2023年5月26日 衆院厚生労働委員会 「宿泊拒否」箇所を削除 旅館業法改正案 修正案を可決
感染症流行時の宿泊施設の対応を定める旅館業法改正案が5月26日の衆院厚生労働委員会で採決され、日本共産党を含む7会派が共同で提出した修正案が全会一致で可決されました。(30日の衆院本会議で可決)
政府提出法案の宿泊拒否制限の緩和については、ハンセン病訴訟原告団・弁護団や障害者団体などから批判の声があがっていました。修正案は、(1)宿泊拒否事由から、感染防止対策への協力の求めを受けた者が正当な理由なく応じない場合を削除(2)宿泊拒否事由「実施に伴う負担が過重でサービス提供を著しく阻害する要求を繰り返す場合」は「要求」を厚労省令で定め、明確化すること(3)事業者は宿泊しようとする人の状況等に配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにするとともに、法にもとづき宿泊を拒否した場合は理由等を記録に残すこと―など9項目にわたります。利用者が理不尽な宿泊拒否で困ることがないようにするものです。
採決前に質疑に立った日本共産党の宮本徹議員は、感染拡大防止のための協力要請について、「感染症法や新型インフルエンザ特措法と整合をとり、必要最小限度のものでなければならないことを明確にすべきだ」とただしました。厚生労働省の佐々木昌弘生活衛生・食品安全審議官は、「感染症法や新型インフル特措法との整合性を図ってまいりたい」と答弁しました。
以上しんぶん赤旗ホームページ2023年6月6日配信記事から抜粋
≪2023年5月26日 第211国会衆院厚生労働委員会第17号 宮本徹質疑の議事録≫
○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。本法案については、宿泊拒否制限を緩和することについて、日弁連やハンセン病訴訟弁護団、あるいは全療協や障害者団体、医療団体などから大きな懸念の声が上がりました。私も理事会等で再三この改正案は認められないということを申し上げてきましたが、真摯な協議が重ねられ、懸念の中心点を解消する修正合意にこぎ着けることができました。与野党筆頭理事を始め、各委員、関係者の皆さんの尽力に敬意を申し上げたいと思います。修正は、国会が機能しているということも言えるわけですけれども、同時に、法案の検討過程でも団体ヒアリングで様々な懸念は指摘され続けておりました。ところが、大きな懸念が指摘されたままの法案の国会提出となったという問題もあります。大臣としての反省はあるでしょうか。
○加藤国務大臣 今回の旅館業法改正の検討過程では、令和三年八月に厚生労働省に旅館業法の見直しに係る検討会を設置をいたしました。そして、そこの場において、旅館、ホテルの事業所だけではなく、多くの患者などの団体や障害者団体等計二十六団体からヒアリングを行い、昨年七月まで七回にわたり、熱心に御議論をいただきました。この検討会では、様々な御意見が出た中で、見直しを具体的に進めることが求められる中で、より多くの関係者の理解を得ながら、感染症の蔓延防止の観点からの見直しなどを中心に調整を進めていくべきとの報告書が取りまとめられたところでございます。この報告書の内容に基づき本法案を取りまとめ、昨年秋の臨時国会に提出していたところでございますが、引き続き、これからガイドライン等の作成をしていくこととなります。関係者の皆さん方の意見を真摯に承りながら、様々な御懸念にしっかり対応する。そして、今回の改正の趣旨を踏まえ、同時にそれぞれの皆さん方の御懸念にもしっかり配慮しながら進めさせていただきたいというふうに思っています。
○宮本(徹)委員 様々な団体の御意見を真摯に受け止めるという答弁がございました。残る懸念について質問をいたします。四条の二ですけれども、営業者は、宿泊しようとする者に対して、特定感染症の蔓延防止のため協力を求めることができるとし、宿泊しようとする者は、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならないとしております。仮に五条二号が削除された場合は、正当な理由なく四条の二の協力の求めに応じない場合でも、そのことによって宿泊の拒否はできないということを確認したいと思います。あわせて、四条の二の第四項違反を理由に法案五条三号の違法行為をするおそれがあると認められるときとみなして宿泊拒否することもできない、このことを確認しておきたいと思います。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。仮に御指摘のような修正がなされた場合には、宿泊しようとする者が改正後の旅館業法第四条の二第一項による感染防止対策への協力の求めに応じないことをもって宿泊を拒否することはできなくなるものと考えております。
○宮本(徹)委員 五条三号を迂回してのやり方もできないということを確認させていただきました。その上で、法案では、特定感染症の症状を呈している者に対して求めることができる協力として、一番目に挙げているのが、医師の診断結果など、特定感染症の患者に該当するかどうかを確認するために必要な事項を営業者に報告することとあります。これは、例えば、発熱している人が宿にたどり着いたら、あるいは宿泊中に熱発したら、医療機関に行くように協力を求めることができる、こういう趣旨の条項なんでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。旅館業法により宿泊を拒むことができる事由は制限されております。現行法では今まで説明したとおりでございますが、このような中で、新型コロナウイルス感染症の流行期に旅館業の現場から様々な御意見、施設の適正な運営が困難に、支障を来したとの意見が寄せられました。こうした背景から、この旅館業法第四条の二第一項第一号イについては、特定感染症の症状を呈しているものの、特定感染症の患者等かどうかが明らかになっていない者に対し、営業者の独自の判断ではなく、医師の診断の結果などの客観的な事実に基づいて特定感染症の患者等かどうかを確認し、その者の状態に応じた適当な措置が講じられるようにする趣旨であります。協力を求める内容は医師の診断の結果などの報告であって、営業者に対して、宿泊しようとする者を医療機関に受診させる権利を直接的に規定したものではなく、医師の診断の結果などが報告される場合は、宿泊しようとする者は改めて医療機関を受診することにはならないという内容でございます。
○宮本(徹)委員 医療機関に受診させる権利を直接的に規定したものではないということなんですね。発熱などの症状を呈している方に対しては、私はやはり、必要に応じて医療機関を紹介する、こういう姿勢で接するというのがあるべきことであって、そもそも本人が受診の必要性を感じていない状態であるにもかかわらず、営業者が医療機関への受診を求め、正当な理由がない限り応じてください、こう強く迫るということは、一般的には医療機関を受診するかどうかは本人が決めるものであるわけですから、問題があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。営業者は、医師の診断の結果などの報告を求める場合も、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に考慮することが重要であると考えており、宿泊しようとする者の状況等に一切配慮せず医療機関の受診を求めるようなことは、適切な運用とは考えておりません。他方で、営業者は、宿泊者や従業員の安全確保も含め、施設の適正な運営を行う必要があり、具体的な運用については、本法案が成立した場合には、関係者による検討会で検討を行った上で、旅館業の営業者が感染防止対策への協力要請等に適切に対処するためのガイドラインを策定したいと考えております。
○宮本(徹)委員 医療機関にかかるかどうかというのは本人が決めることですから、今回、附帯決議案で、旅館業の営業者が宿泊しようとする者に対して医師の診断を受けることを強制できるものでないことを明らかにして周知することということを入れますので、自己決定権が尊重されることをしっかり周知していただきたいと思います。その上で、四条の二での、感染拡大防止のために求める協力は、特定感染症の蔓延の防止に必要な限度において、こういう言葉がかかっております。そうすると、例えば、五類になる前の新型コロナのようなタイプの感染症の国内発生期間の場合、特定感染症の症状を呈している者には必要に応じて、ロに記載されております、みだりに客室その他の営業者が指定する場所から出ないこと等を求めるのが蔓延等の防止に必要なことであって、医療機関への受診を求めることは蔓延防止に必要な限度を超えることになるのではないかと思います。 医療機関への受診を始めとした協力を求める際は、蔓延の防止に必要かどうかの慎重な検討が求められると思いますが、いかがですか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。御指摘の規定に基づく協力要請の内容に関し、感染症ごとに症状や症例定義等が異なるため、特定感染症の国内発生に際しては、発生した特定感染症に応じた具体的な内容を示すことになりますが、特定感染症の蔓延の防止に必要な限度に留意するなど、その検討に当たっては慎重に、これは委員御指摘のとおり慎重に行ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 基本的には、恐らく多くの感染症が、ロの、みだりに客室から出なければ感染が広がるということはないというふうに思いますので、何かイに書かれている、医師の診断結果の報告を求めることができるというのを濫用して、とにかく医者に行ってくださいみたいな、こういう運用にならないようにしていただきたいと思います。さらに、感染症法、新型インフル特措法との関係ですけれども、感染症法では、検体採取、健康診断、入院等の措置は、感染症の発生を予防し、又はその蔓延を防止するため必要最小限度のものでなければならないとしております。新型インフル特措法でも、制限は必要最小限のものでなければならないとしております。そうすると、やはり、今回の四条の二に基づく協力要請も、感染症法、新型インフル特措法との整合性を取って、必要最小限のものでなければならないことを政省令やガイドラインで明確にすべきだと思いますが、いかがですか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。この旅館業法における感染防止対策の内容は、委員御指摘の感染症法ですとか新型インフルエンザ特別措置法の感染防止対策の内容と法律の主な目的が異なっていても、内容そのものの整合性を図ることは重要と考えております。このため、感染防止対策への協力要請の内容については政令で定めることとしており、その際、感染症に関する専門的な知識を有する者の意見を聞かなければならないとされております。この法案が成立、お認めいただいた場合に開催を予定しておりますガイドラインの検討会においても、感染症に関する専門的な知識を有する者を構成員に含めることも考えております。さらに、実際に特定感染症が国内で発生したときは、当該感染症について、感染症法に基づき感染の防止の方法に係る情報等も提供されることから、こうした情報にも即して、特定感染症の蔓延の防止に必要な限度の感染防止対策等を示すことで、感染症法や新型インフルエンザ特別措置法との整合性を図ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 しっかり必要最小限度という原則をこの面でも貫いていただきたいと思います。続きまして、感染症法では、濃厚接触者について求めるものは、健康状態の報告、自宅等への待機ですね。これについては、努力義務というのがあります。一方、四条の二の協力は、感染症法を超えて濃厚接触者に診療を求めたり、あるいは、感染症法では努力義務すらない濃厚接触者でもない同行者に診療を求める権限はない、こういうことでよろしいんでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。感染症法による措置と改正後の旅館業法による措置は、その趣旨、目的や協力要請の主体が異なり、それぞれの目的に応じた規定を設けているものであり、それで旅館業法が感染症法を超えるという性格のものとは考えておりません。その上で、旅館業による感染防止対策への協力等について、旅館業の営業者が誤った認識で過大に求めることがないよう、感染症ごとに感染経路等が異なることも踏まえ、関係省による検討会で検討を行った上で、特定感染症の国内発生に際して、発生した特定感染症に応じて、委員御指摘の濃厚接触者の場合はどうなのか、また同行者の場合はどうなのか、こういったことに対して、必要な限度やその対象者等の具体的な内容を示すことをその感染症に応じて対応したいと考えております。
○宮本(徹)委員 感染症法、新型インフル特措法としっかり整合性を取って運用を図っていただきたいと思います。そして、例えば、医療機関が近くにない、体調が悪いのでまずは休みたい、夜間診療に行くほどの状態でないので休みたいというような理由は、四条の二の第四項、感染防止対策の協力が拒否できる正当な理由になるのか、また、これらが正当な理由となるのであれば、こうした場合は、そもそも感染防止対策の協力として医療機関への受診を求めない方がよいことをガイドライン等で明確にすべきだと思いますが、いかがですか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。営業者は、旅館業法に基づいて感染防止対策の協力を求める場合、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に考慮することが重要であると考えております。一方で、他の宿泊者や従業員の安全確保も含め、施設の適正な運営を行う必要もございます。このため、正当な理由としては、現時点においては、これまでお答えしたとおり、例えば、医療機関の逼迫や診療時間外によって診察を受けられない、消毒用アルコールへのアレルギーがある、こういったことを例示してまいりました。委員御指摘いただいた点も踏まえ、具体的な内容については今後検討を進め、また、ガイドライン等の形でお示ししていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 これはしっかり、本当に過大なものを求めるような認識がもし旅館事業者の側が持つようなことになったら、旅行者にとっても大変なことですけれども、事業者にとっても、大きなトラブルになりかねないことにもなりますから、そこはしっかりガイドラインで定めていっていただきたいと思います。続きまして、五条一号に関わって聞きます。今回、五条一号は、これまでの、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるときというものを、特定感染症の患者等ということにするわけですが、コロナ禍で経験したことは、入院のキャパをはるかに超える感染拡大ということでした。旅先で感染した人について、自治体がホテルに患者の宿泊を依頼するということも行われてきました。そうすると、この特定感染症の患者等を宿泊拒否できるという条文だけでは、今回のコロナ禍の経験に照らせば、これは本当に実態に合わないんじゃないかと思っております。旅先で患者となった方が野宿せざるを得ない事態にならないように、医療機関が逼迫している場合などは宿泊拒否をせず、感染対策を取って客室で療養していただくことが基本である、このことを明確にすべきだと思いますが、いかがですか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。その宿泊しようとされる方が特定感染症の診断を受けた場合につきましては、まず、一義的には、感染症法に基づいて、保健所等の指示に従うことになります。その際に、例えば、新型コロナウイルスのときにもありましたけれども、自宅での療養のような形の場合で、旅先の場合、ホテル、旅館が現実的にはそこが泊まれるところという場合につきましては、旅館、ホテルの御協力をいただきながら、もちろん動線ですとか換気ですとかに注意をいただくことにはなりますが、そのように御協力いただけるように求めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 野宿せざるを得ない、こういうことが起きないようにしっかりとしていただきたいと思います。そうすると、そうした場合には、旅館の客室で療養していただくということになるわけですので、他の宿泊客や従業員に感染が生じないよう十分な対策を講じた客室などが用意できるような支援を旅館業者に行っていくということが非常に大事だと思います。その点、どう考えているのかということ。あわせて、コロナはもう五類になっておりますけれども、またコロナの感染が広がり始めております。感染拡大の波、当分繰り返すわけですが、新型コロナ感染症の特徴は、発症前の無症状の人が感染力を持って、換気がよくなければエアロゾル感染で感染が大きく広がることになります。そうすると、ホテル等の宴会場その他の換気設備や空気清浄機等のしっかりとした支援を行っていく必要もあると思いますが、この点も併せてお答えいただきたいと思います。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。旅館業は基本的に宿泊料収入で経営が成り立っているものであって、旅館業法四条において旅館業の施設は換気を行うこととされていることから、法律上求められている例えば換気のための設備について、これのみをもって支援を前提とすることはなかなか困難かと思いますが、いずれにせよ、この改正旅館業法の施行に当たっては、御指摘いただいた換気ですとか、また、そのための具体的な方策についての必要な対策等について適切に運用されるように、これは様々な形での周知を旅館業の営業者に図ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 ちょっとこれに関わって、先に行くんですけれども、五月十一日にCDCが室内換気のガイダンスというのを更新したんですね。これを見ますと、一時間当たり少なくとも五回の空気の交換を目指すこととあるわけです。日本は、この間、コロナ対策で換気の目安として、ビル管法のCO2濃度一〇〇〇ppm未満というのを使ってきました。これに対応するものとして、必要な換気量は一人について一時間当たり三十立方メートルだとか、あるいは、換気回数は一時間当たり二回以上、こういうのが使われてきたわけですよね。そうすると、やはりこれは、旅館、ホテルに限ったことではないですけれども、屋内換気の基準ですね、換気回数などについてもCDCを参考にしてバージョンアップする必要があるというふうに思うんですけれども、この点いかがですか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。委員御指摘のとおり、建築物衛生法において、多くの者が利用する特定建築物に対して、室内の二酸化炭素濃度の基準、一〇〇〇ppm以下と定めております。新型コロナウイルス対策では、この基準に基づいて適切な換気を行うように求めてきたところです。感染症の拡大防止の観点から、換気の徹底は当然重要な対策の一つと認識しております。その上で、飛沫感染ですとか接触感染ですとかエアロゾル感染など様々な感染様式を想定し、新たな感染症発生時に換気を含む基本的な感染対策の徹底をしていくことが重要と考えております。その際、例えば今委員から御紹介いただいたようなCDCの知見もありますし、また、関連するいわゆる環境感染学会のようなところからの知見を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 そういうものを参考にしていくとなったら、換気の基準を更にバージョンアップしていく、高めていくとなったら、やはりこれは、財政的にも、それぞれの事業者はお金がかかるということになりますので、そこはやはり政府として考えなければいけない点だということを申し上げておきたいと思います。あわせまして、今回は、三条の五で、障害者などに特性に応じた適切なサービスを提供するために、従業員への研修が努力義務になります。旅館業法制定過程の団体ヒアリングの中では、患者団体、障害者団体から様々な意見や要望が出ておりました。例えば、全国手をつなぐ親の会は、宿泊中に不随意な声が出たことで退去せざるを得なくなった、入浴時間を深夜に指定されただとか、大変困ったことがあった、差別的な対応もあったということが、声が上がっております。あるいは、視覚障害者団体連合の方からは、チェックインが機械の場合はタッチパネルの操作ができない、こういう声も上がっております。全日本ろうあ連盟の方からは、電話以外の連絡システム、例えば振動呼出し機、チャットで連絡できるタブレットなどの貸出しの対応が必要だと。あるいは、全国がん患者団体連合会の方からは、がんの中には、病態や治療によって外見上の変化を伴う場合がある、乳がんの場合の乳房の切除、あるいは大腸がんのオストメイトなど、精神的な障壁を感じる場合もある、疾病を有する宿泊客が安心して滞在できるよう、環境整備の指針を示していただきたい等々、本当に切実な声がたくさん出ておりました。是非、この講習内容の作成に当たっては、患者団体、障害者団体の意見をよく聞いて、講習に際しても、患者団体、障害者団体とも協力して、障害理解を促進し、合理的配慮がしっかりなされるようにしていただきたいと思います。あわせて、国土交通省とも協力して、ホテル又は旅館における高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計基準の改善と周知徹底、事業者への支援にも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐々木政府参考人 簡潔にお答えいたします。まず、ガイドライン等の策定に当たっては、障害者団体などの御意見も伺いながら検討を進めていきたいと考えております。国土交通省等が進めているバリアフリー化の関係でございますけれども、これも、国土交通省とも適切に連携し、周知等に取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 あわせまして、感染拡大防止のことでもう一点お伺いしたいと思います。感染経路について、科学的な認識に基づいて対策を取るということが極めて大事なわけですね。ところが、新型コロナでは、まれとされる接触感染が当初大きく報じられた影響もあったんだと思いますが、例えば、ビュッフェで使い捨て手袋の着用という、今から見れば感染拡大防止に余り意味がないものが、ガイドラインで長きにわたって強調され続けるということが続きました。私は当初から、エアロゾル感染、この対策が極めて重要だということを申し上げてまいりましたが、エアロゾル感染の軽視から、換気を妨げるようなパーティションの配置も、長らく長らく行われ続けてきたことがあるわけです。市民が取るべき感染対策については、世界的な科学的知見を早期に社会全体で共有する姿勢と取組が欠かせないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○佐原政府参考人 お答えいたします。議員御指摘のとおり、感染症対策について最新の科学的な知見を広く収集、分析し、国民に周知していくことは非常に重要なことであると考えております。今般の新型コロナウイルス感染症におきましても、令和二年五月の新型コロナウイルス感染症専門家会議の提言を踏まえまして、新しい生活様式におきまして具体的な実践例を示した後、それ以降、科学的知見の集積やワクチン、治療薬の開発、またオミクロン株への変化等を踏まえて、対応を行ってまいりました。コロナは五類に位置づけられたところではありますけれども、今後とも、政府としては、感染症法の第三条の一項に基づきまして、個人や事業者の判断に資するような情報の提供を行うとともに、今後の感染症に備えましても、感染症に対する調査研究や情報の収集、分析を的確に行いまして、科学的知見に基づく分かりやすい発信等を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 時間になりましたから終わりますけれども、やはり感染対策は科学だと思うんですね。科学に基づいて、感染経路はどこにあって、本当に必要な感染対策は何なのかというのを国民、社会全体で共有すれば、不要な様々な制限というのは最小限にできると思いますので、その点の取組の強化は重ねて求めまして、質問を終わらさせていただきたいと思います。
≪2023年5月26日 第211国会衆院厚生労働委員会第17号 修正案の提案、採決、附帯決議の議事録≫
○三ッ林委員長 この際、本案に対し、上野賢一郎君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による修正案が提出されております。提出者より趣旨の説明を聴取いたします。上野賢一郎君。
○上野委員 ただいま議題となりました新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。修正の要旨は、第一に、題名を、生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律に改めること。第二に、宿泊拒否事由から、感染防止対策への協力の求めを受けた者が正当な理由なく応じない場合を削除するとともに、宿泊拒否事由に係る宿泊しようとする者からの営業者に対する要求について、「厚生労働省令で定めるもの」と明記し、厚生労働省令で明確化すること。第三に、営業者は、旅館業の公共性を踏まえ、かつ、宿泊しようとする者の状況等に配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにするとともに、宿泊を拒む場合には、宿泊拒否事由のいずれかに該当するかどうかを客観的な事実に基づいて判断し、及び宿泊しようとする者からの求めに応じてその理由を丁寧に説明することができるようにするものとする旨の規定を追加すること。第四に、厚生労働大臣は、宿泊者に対する感染防止対策への協力の求め及び宿泊拒否事由等に関し、営業者が適切に対処するために必要な指針を定める旨の規定を追加すること。第五に、政府は、感染防止対策への協力の求めを受けた者が正当な理由なくこれに応じないときの対応の在り方について、旅館業の施設における特定感染症の蔓延防止を図る観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を追加すること。第六に、政府は、過去に旅館業の施設において、この法律による改正前の旅館業法第五条の規定の運用に関しハンセン病の患者であった者等に対して不当な差別的取扱いがされたことを踏まえつつ、改正後の旅館業法第五条第一項の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を追加すること。第七に、旅館業の営業者は、当分の間、改正後の旅館業法第五条第一項第一号又は第三号のいずれかに該当することを理由に宿泊を拒んだ場合には、その理由等を記録しておくものとすること。第八に、都道府県知事は、当分の間、事業譲渡により営業者等の地位を承継した者の業務の状況について、当該地位が承継された日から起算して六月を経過するまでの間において、少なくとも一回調査しなければならないこととすること。第九に、この法律の施行後三年を経過した場合における検討について、その対象を改正後の旅館業法の規定のみならず、改正後の生活衛生関係営業等のそれぞれの法律の規定に拡大すること。以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○三ッ林委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。第二百十回国会、内閣提出、新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。まず、上野賢一郎君外六名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○三ッ林委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○三ッ林委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。この際、本案に対し、田畑裕明君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者より趣旨の説明を聴取いたします。宮本徹君。
○宮本(徹)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。一 旅館業の営業者が感染防止対策への協力を求める場合は、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に踏まえた上で、協力の必要性及び内容を判断するよう、適切に指導すること。二 旅館業法第四条の二第一項は、旅館業の営業者が宿泊しようとする者に対して医師の診断を受けることを強制できるものではないことを明らかにして周知すること。三 宿泊しようとする者が特定感染症の患者に該当するかどうかを確認した結果の営業者への報告は、口頭による報告も含めること。四 旅館業法第四条の二第三項に基づく厚生労働大臣の意見聴取に当たっては、感染症患者、障害者等の旅館業の施設の利用者からも意見を聴取すること。五 旅館業法第四条の二第四項の正当な理由については、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に踏まえた上で、協力の必要性の有無及び協力の内容について適正性・公平性が図られるよう、柔軟に幅広く解釈・運用すべきであることを営業者に周知すること。また、営業者の実施した協力の求めの内容等について適切に把握し、その適正性・公平性を確認すること。六 宿泊しようとする特定感染症の症状を呈している者が診察等に容易に応じることができるよう、地域における旅館業の施設と医療機関との連携を確保すること。七 旅館業の営業者が適切に対処するために必要な指針の策定に当たっては、宿泊しようとする者が特定感染症の患者等に該当した場合であっても医療機関等が逼迫しており入院調整等に時間を要するときは宿泊拒否ではなく感染防止対策への協力を求め個室等で療養させることが望ましいこと、旅館業の営業者は障害者差別解消法等を遵守し、障害を理由とする差別は許されず障害を理由とする宿泊拒否はできないこと、障害者差別解消法第八条第二項の「実施に伴う負担が過重でない」ものは宿泊拒否事由に当たらないことを明確にすること。八 宿泊拒否事由に係る宿泊しようとする者からの営業者に対する要求についての厚生労働省令を定めるに当たっては、営業者による恣意的な運用がなされないよう明確かつ限定的な内容とするよう努めること。九 本法附則第二条第一項に基づき、正当な理由なくこれに応じないときの対応の在り方について所要の措置を講ずるに当たっては、今回の修正があったことを受け止め、まずは宿泊拒否事由の拡大以外の事項の検討を行うこと。十 旅館業の営業者と宿泊しようとする者が混乱することなく対応できるよう、本法による旅館業法の改正の内容及び指針について、周知徹底すること。十一 旅館業の営業者に対し、差別防止のための研修教材の準備や研修を担う人材の育成等に対する支援を行うこと。また、旅館業の営業者の研修の実施の有無・内容等について、定期的に確認すること。十二 旅館業の施設には不特定多数の者が宿泊することに鑑み、科学的知見に基づいた換気設備等の感染防止のために必要な対策等についての周知を行うとともに、感染防止対策を担う人材育成を支援すること。十三 旅館業は宿泊者の移動・生命・財産を守ることが求められている重要な事業であることを踏まえ、旅館業の事業譲渡が行われた場合には、事業を承継した者に対して事業の継続性について十分に周知すること。十四 生活衛生関係営業等の営業者の地位の承継後六月以内に少なくとも一回行わなければならないとされる都道府県知事等による業務の状況の調査について、承継後可能な限り速やかに実地検査を含めた必要な調査が行われるようにすること。以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○三ッ林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○三ッ林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。