医師裁量拡大の動きノー 精神科医療の身体拘束 慎重な議論求め集会
精神科医療での身体拘束で、医師の裁量を拡大しようとする動きに抗議する集会が9日、国会でありました。主催は「精神科医療の身体拘束を考える会」です。集会では「開かれた場で慎重に議論することを求める」アピールを採択しました。
医師裁量拡大の動きのきっかけは、石川県内の精神科病院で大畠一也さん(当時40)が6日間の身体拘束後にエコノミークラス症候群で亡くなった2016年の事件です。遺族が病院を訴えた訴訟は、身体拘束を違法とした高裁判決について最高裁で確定。しかし、1か月後に日本精神病院協会会長が「到底容認できない」と声明を出したことを受け、厚労省は大臣告示で医師の裁量を拡大しようとしています。
「『死んだ』と電話がきたときには体が震えた。今でもつらい毎日を送っている」と声をつまらせながら話したのは一也さんの父親、正晴さん。大臣告示改悪を許さないたたかいに「少しでも役に立ちたい」と話しました。
杏林大学の長谷川利夫教授は、国会での議論も行われず告示の全容は明らかになっていないとして、「本来なら最高裁決定を生かした政策が作られるべきなのに、逆に要件を拡大することが行われている」と厚労相のやり方を批判。「議会による民主的統制を利かせてほしい」と訴えました。
集会に先立って抗議行動が厚労省前でありました。抗議行動に日本共産党の倉林明子副委員長が参加し、集会では宮本徹衆院議員があいさつしました。
以上2023年6月10日付赤旗日刊紙より抜粋