違憲 経済無策 国民無視 岸田内閣不信任案 宮本徹氏が賛成討論 自公維国 否決

 衆院本会議は16日、立憲民主党が同日提出した岸田内閣不信任決議案を、自民、公明、維新、国民民主各党の反対多数で否決しました。日本共産党は宮本徹議員が賛成討論を行い、憲法違反の大軍拡や国民無視の悪法を強行する岸田内閣を厳しく批判しました。
 宮本氏は賛成討論で不信任の理由を三つあげました。
 第1は、岸田政権が憲法違反の敵基地攻撃能力の保有と5年間で43兆円もの大軍拡に踏みだしたことです。
 宮本氏は、岸田政権の安保3文書では敵基地攻撃能力は集団的自衛権の行使としての使用まで可能だとしているが、「日本が攻撃を受けていないにもかかわらず、他国の紛争に自ら参戦し、相手国の領土を攻撃することが、憲法9条のもとで許されるはずがない」と強調。大軍拡は、増税、暮らしの予算削減、借金によるインフレリスクの増大などにもつながる「まさに『軍事栄えて民滅ぶ』、亡国の道だ」と批判しました。
 第2は内閣の経済無策です。物価高騰で国民の暮らしは悲鳴を上げ、岸田政権の下で実質賃金は13カ月連続で減り続けています。宮本氏は「『所得倍増』との総理の約束はどこに行ったのか」と批判。世界100カ国超が踏み出している消費税減税には背を向ける一方で、10月からはインボイスを導入しようとしていることを批判し、「税制で暮らしと生業(なりわい)をつぶすなど絶対に許せない」と述べました。
 第3は、国民無視の大暴走です。
 マイナ保険証のトラブルが頻発しているのに保険証廃止の方針に固執したり、人権無視の入管法改悪を強行するなどしてきた内閣を批判。「国民の声を聞くことができない総理にこれ以上内閣を任せることはできない」と断じ、「新しい政治」への扉を開くために全力を尽くす決意を述べました。

以上2023年6月17日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年6月16日 第211国会衆院本会議第34号 議事録≫

○議長(細田博之君) これより会議を開きます。
○佐々木紀君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。安住淳君外十八名提出、岸田内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
○議長(細田博之君) 佐々木紀君の動議に御異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。岸田内閣不信任決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。泉健太君。

○泉健太君 立憲民主党・無所属を代表し、岸田内閣不信任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。(拍手)まず、決議の案文を朗読します。本院は、岸田内閣を信任せず。右決議する。〔拍手〕以下、提案理由を申し述べます。総理、まず、今回の解散騒動は何だったんですか。総理には全く自覚がないんじゃないでしょうか。周りがなぜ騒いでいるのか。俺にはそんなつもりはないと言うかもしれません。しかし、総理の発言が、総理の含み笑いが、周囲を挑発し、自民党を混乱させ、今回の大きな解散騒動となりました。総理は、自らの権限と影響力を理解していないと言わざるを得ません。与党には、随分影響を被った方も多いんじゃないですか。野党でも、余りに国会の権威、議員の身分を軽んじた総理の発言に、怒りを覚えた議員の皆様も多いのではないでしょうか。全国の自治体を混乱させ、政治、行政、経済にも大きな影響を与えかねない解散を軽々しく振り回し、当の総理にその迷惑をかけたという自覚がない。だからこそ、私は、議場の見識のある皆様にお訴えをいたしたいと思います。岸田内閣を退陣させる内閣不信任案に賛同いただきたい。まず、内閣不信任案について、皆様と正しい認識を共有したいと思います。内閣不信任案の提出は、憲法六十九条に定められた正当な権利であります。一国会に一度のみ衆議院に提出ができ、それが諮られるものであり、乱発できるものではありません。だからこそ、内閣不信任案の提出は、非常に重い判断の上に出されるものなのであります。一度だけ提出できるというものであるからこそ、提出会派はもちろんのこと、全ての会派にこの不信任案への対応が求められます。すなわち、現政権、岸田政権に対してどのような姿勢なのか、岸田政権を信任するのかしないのかを問う唯一の機会ではないでしょうか。是非、各党の皆様、岸田政権でよいのか、それを問う採決であるということを御認識ください。以下、皆様とは、通常国会で岸田内閣が進めてきたことを振り返らせていただきたいと思います。まず、今年の通常国会は、防衛増税からスタートをいたしました。十三か月連続で実質賃金が下がり続けている、この物価高の局面で、岸田総理が策定した今年度予算は、防衛費が他の歳出の伸びを大きく上回る予算でありました。五年間で四十三兆円。日米同盟を基軸とした安全保障政策を進めてきた日本が、今後、自ら何をして、米国とどういった協力、役割を担って総合的な抑止力を高めていくのか、そういった緻密な議論がほとんどないままに、五年で四十三兆円の言葉が躍り、二%の言葉が躍り、計画の詳細は委員会で議論もされぬまま、採決にまで至ろうとしたのが防衛財源確保法であります。NATOでも防衛費二%は十年かけて取り組むものであり、二〇一四年からの取組であっても、いまだにNATOでも二%を達成していない国は多く存在をしております。日本が余りにも急激に防衛費を伸ばすことは、自衛隊の運用上にも大きな負荷をかけ、また、防衛力のバランスを欠くことにもなりかねません。私たち立憲民主党は、我が国が直面する安全保障環境の変化への対応、また新領域における能力向上の緊急性や重要性に鑑み、防衛費の一定の増額は理解をしております。しかし、このような急増に伴い多くの無駄が生じていやしないか、戦略的合理性、費用対効果、優先順位などの観点から、納税者の視点から効率的で無駄のない調達や支出になっているか、これを精査して、防衛費の増を限りなく精査していかなければなりません。また、たとえ防衛費をGDP二%としても、その中身が真に戦略的で効率的であるかを更に議論して、国民の理解を得なければなりません。しかし、岸田総理の説明責任は非常に不十分。隠蔽体質、立ち止まって再考できないような姿勢では、我々が直面する厳しい安全保障環境に臨機応変に対応することはできません。改めて、防衛費の財源確保法、まずは、防衛増税ありきではなく、国民生活のために歳出改革を徹底すること、そして、予備費や決算剰余金を防衛費に優先的に回すのではなく国民生活に優先的に回すこと、そして、復興特別所得税を転用し防衛増税までを決定するというのは多くの国民にとって反対であるということ、このことを我々は明らかにしなければなりません。子育てや教育、農業など他の予算を強烈に圧迫し、防衛費だけの確保を優先させ、むしろ我が国の、日本の将来を危うくするこの財源確保法、そして急過ぎる防衛力整備に関する財源確保のスキームには、立憲民主党は反対をいたします。改めて、各党の皆さん、この防衛増税には反対をされている方々は数多くおられるのではないでしょうか。今国会の最重要課題でもあるこの防衛増税について、これを進める岸田内閣を信任するのでしょうか。是非、皆様にはそれを問いたいと思います。続いて、子育て支援対策についてです。今、物価が上昇し続けている、このことは先ほども申し上げました。五%ほどの賃上げや、あるいは一・九%の年金支給額の引上げをもってしても、残念ながら、物価上昇には追いついておりません。だからこそ、十三か月連続で、懐に入る実質賃金が下がっているというデータになっております。そんな中で、政府は、政治は何をすべきなのでしょうか。国民の生活が第一の政治を行うべきであります。歳出の無駄を徹底的に削減し、生活者に優しい税制、公共料金の仕組みを整えること、そして厳しい国民生活を豊かにする、これが政治の役割であります。立憲民主党は、子ども・子育て政策の財源を、現役世代を直撃する社会保険料の引上げに求めることには反対をいたします。そして、児童手当に伴う扶養控除の全面廃止にも反対です。現役世代の負担増、子育て世代の負担増は、少子化傾向の反転どころか、加速につながるでしょう。岸田総理のこども未来戦略方針では、給食費の無償化が先送りをされています。非正規雇用対策も未婚対策も示されておりません。このようなことで、ラストチャンスと言われる少子化克服、できるとは到底思えないのではないでしょうか。現在の少子化は国難であります。この少子化対策、子育て支援にこそ、本気の、本気の財政投入を行うべきではないでしょうか。こうしたことを打ち出さずに、生活に冷や水を浴びせる岸田政権を信任するのでしょうか。各党にはそれが問われていると思います。子育て予算の三・五兆円も、財源確保策の結論は年末に持ち越されております。財源の一つとされる支援金制度の詳細は不明ですが、医療保険料に定額を上乗せする案が浮上しています。保険の本来の機能が失われかねないばかりか、現役世代の手取り額が減って、企業側の事業主負担が重くなるため賃上げ意欲もそがれ、正規雇用を一層控えることにもつながる可能性があるのではないでしょうか。社会保険の仕組みを使えば現役世代の負担が重くなり、子ども・子育て支援策や少子化対策と逆行してしまいます。子育て世帯や若者の不安は募るばかりであります。そもそも、岸田総理は、国民の懐を全く重視していない。これだけ物価が上がれば、最低賃金千五百円は、ゆとりのためのバイト代ではないんです。生活の維持に直結する最低賃金ではないでしょうか。政府には、上がらない賃金や不安定な雇用など、若者の未婚率増加の背景にある構造的な問題への解決策が決定的に欠けております。三十代前半の男性非正規雇用者の有配偶者率、結婚率は約二割ということになっています。正規雇用者の有配偶率は約五割。大きな差があります。五十歳時点の未婚率である生涯未婚率は、男性非正規社員で六割に達しております。だからこそ、雇用の正規化、最低賃金千五百円に早期に向かっていく、岸田政権にはこうした方向がないのではないでしょうか。続いて、天下りも問題になりました。立憲民主党は、使途が不明瞭な膨大な基金、委託業者よる中抜き、腐敗の温床となる天下りなどを徹底的に改革いたします。そして、税制の所得再配分機能が先進七か国で最も低い状況に鑑み、所得税の累進性強化、また一億円の壁を解消する金融所得課税の改革など、格差を是正する税制改革を実行し、財源を捻出してまいります。私たちは、この天下り問題についても、OBの関与が実質上許され、OBによる口利きで今もなお民間事業者に役職者が入り込んでいく、こういったものを変えるのが政治の使命だと考えております。こうしたことも岸田総理は全く取り組もうとしておりません。そもそも、新しい資本主義は、今や完全にスローガン倒れとなっております。先ほどお話をした一億円の壁を放置していることがその象徴ではないでしょうか。立憲民主党は、昨年来、何度も緊急経済対策を提言するなど、国民生活の実情に即した対策の実現を度々求めてきましたが、政府の追加物価高騰対策はその後追いでしかありませんでした。いまだに不十分な内容で、評価できるものではありません。さて、後半国会では、特にマイナンバーカードのことが問題として挙げられております。国民の関心も非常に高まっております。岸田政権は、そんな中、健康保険証、現在の紙の健康保険証を廃止し、全てマイナンバーカードに統合する法律案を制定いたしました。しかし、無保険者扱いで十割負担を患者に請求した事例、マイナ保険証に他人の情報がひもづけられていた事例、他人の医療情報が閲覧された事例、本人が希望もしないのにマイナンバーカードに健康保険証が一体化された事例など、様々なトラブルが明らかになっています。医療情報という、プライバシーに密接に関連し、また命と健康に関する情報をめぐるトラブルでもあり、これは国民に関わる極めて深刻な事態です。また、高齢者施設からは、入所者のマイナンバーカードや暗証番号を管理できないではないか、このような声も上がっております。また、オンライン資格確認システムの運用を開始した医療機関は、義務化対象施設でも約八割にとどまっていて、不具合も多く報告されています。このまま健康保険証を廃止すれば、国民皆保険を揺るがす危機的な状況を招くおそれがあります。紙の保険証を存続させるべきであります。立憲民主党は、質疑でも岸田総理に直接要請をし、そして厚生労働省にも申入れをし、健康保険証の存続を求めております。しかし、岸田政権はかたくなにそれを拒み続けているではないですか。国民の不安を顧みない岸田政権がこれ以上続くことは許されないのであります。政治資金問題についても様々な課題が浮上しました。また、大臣の辞任という問題も相次いでいるのが岸田政権であります。昨年八月の改造内閣発足以降、旧統一教会問題で辞任に追い込まれた山際元経済再生担当大臣、事務所賃料や故人の名前を会計責任者欄に記入したなどを指摘されて総務大臣を更迭された寺田元総務大臣、統一教会問題と選挙運動報酬の問題で更迭をされた秋葉復興大臣、死刑に関する発言で引責辞任となった葉梨大臣、大臣だけでも相次いでおり、さらに、荒井秘書官、そして息子の翔太郎秘書官、側近二人も辞任をしております。このようなたがが緩んだ緊張感のない政権は、替わってもらう必要があるんじゃないでしょうか。続いて、今国会の、これも国民の関心事項であるはずです、調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費の改革、自民党、どうなったんでしょうか。立憲民主党は、文書通信費について、日割り支給導入、また、差額の自主国庫返納を可能にする、使途報告・公開などを定めることを内容とする歳費法改正案を他党とともに衆議院に提出し、国民目線での改革を目指してきました。いまだ残る国庫返納、そして使途報告・公開などの議論は、この国会で決着をつけるんだったのではないでしょうか。この文書通信費問題、現在の調査研究広報滞在費問題を放置する岸田政権を信任していいんでしょうか、皆さん。信任していいんでしょうか。それが問われているのではないでしょうか。自民党には、岸田総裁には、この文書通信費問題、今国会で結論を出していただきたい。そうでないならば、退陣をしていただきたい。まさに改革や無駄遣いへの本気度が問われるのではないでしょうか。さて、今国会は、多様性の問題、人権の問題、生きづらさを抱えている当事者をどう守るかという問題も大きな議論となったのではないでしょうか。私は、ソフトに見える岸田内閣が、こんなにも当事者を無視する、そんな総理大臣だとは思いませんでした。多様性をおろそかにする、そんな総理大臣だとは思いませんでした。いわゆる入管法。日本の難民認定率が異常に低いこと、これは与党の皆さんでも認めざるを得ないのではないでしょうか。一方で、技能実習生など外国人労働者の扱いが過酷であり、また、我が国の多文化共生施策が不十分であるために、また、これまでの大変過酷な入管行政も含めて、これまで我が国の難民行政には問題がありました。こうした重要課題を改善するために、立憲民主党は政府案に対抗して対案を提出いたしましたが、残念ながら一顧だにせず、成立せず、遺憾に堪えません。八日の参議院法務委員会では、委員長職権による政府案の強行採決が行われ、到底通常の委員会運営ではなかったことに厳しく抗議をいたします。今回国会に提出された政府案は、二年前に多くの国民の批判を受けて廃案となった旧法案の焼き直しにすぎません。送還停止となる難民認定の申請回数を二回までとし、退去命令違反に対する罰則を設けた。保護されるべき難民が、逮捕、投獄、拷問、こうした迫害が待っている母国に強制的に送還される可能性があり、また、罰則を創設しても、長期収容が解消されるかは大いに疑問です。政府側の立法事実は明らかに崩壊しています。入管行政と難民審査をめぐり、次々と問題が発覚したのではないでしょうか。入管改革に関するこれまでの説明は根底から覆されています。また、特定の難民審査参与員に難民認定の審査が著しく偏っていた問題も判明しています。日本の極端に低い難民認定率に深刻な懸念が示され、司法審査を経ない身体拘束、無期限収容を国際法違反の人権侵害だと批判され続けており、国際機関からは度々勧告まで受けています。我が党は、立憲民主党は、議員立法の難民保護法そして入管法改正案の二本を提出いたしました。出入国を管理、規制する入管庁ではなく、政府から独立した、難民を認定する、保護する第三者機関の創設を提案し、収容に当たっては、裁判所の許可を要件としました。世界全体で難民の数が一億人を超えている状況の中で、日本が難民の保護、支援に取り組む国際社会において名誉ある地位を占める、これは当然のことではないでしょうか。日本に暮らす外国籍の皆さんが安心して生活し就労できる環境を整えるため、立憲民主党は、これからも全力で取り組んでいく決意であります。こうしたことにも後ろ向きなのが岸田総理でありました。そして、LGBT理解増進法も、本日、参議院で可決をされてしまいました。本来は当事者のための法律であったものが、当事者無視の法律案となり、当事者から失望と怒りの声が上がる法律として可決されてしまった。誠に残念であります。私たち立憲民主党は、当事者の皆様とともに怒りを持って抗議いたします。改めて、私たちは、当事者を大事にする、困っている方々を助ける、この視点が政治になければならない、内閣になければならない、しかし岸田政権にはそれが欠けている、このことを申し上げなければなりません。同性婚の法制化についても同様です。同性カップルに何ら法的保障がないのは、G7では日本だけであります。日本でも、世論は既に同性婚の法制化を容認する意見が多数ではないでしょうか。裁判所でも、次々と、憲法違反であるという判決が相次いでおります。永田町の、更に一部の政府・自民党だけが同性婚の法制化に反対し、憲法に違反する状態を固定化させているのです。このような理解のない政権を信任するのでしょうか。日本国憲法は、全ての人に幸福を追求する権利を保障しています。立憲民主党は、誰もが愛する人と結婚して幸せになりたい、その願いをかなえたいと考えております。性的指向や性自認によって差別されることは許されません。立憲民主党は、同性婚を法制化するための法律も提案をしております。岸田政権は、この法案を審議しようともせず、同性カップルのささやかな願いすらかなえようとしておりません。これは日本の活力をそぐことでもあります。人権軽視の姿勢で、家族が変わってしまうなどととんでもない見識を持っている今の政権を替えねばならないのであります。国民生活を無視、国民には負担増を強い、そして防衛増税、さらには社会保険料の引上げ、子育て政策は不十分、こうした岸田政権に私たちは不信任案を提案いたします。改めて、解散権という伝家の宝刀を抜くぞという構えを示していた総理はこれまでもあったかもしれませんが、最初からその刀を振り回している岸田総理の言動は前代未聞であります。何と立憲民主党側の不信任案の提出をもって解散するかどうかを判断するかのような、あたかも提出側に解散権を移譲するかのごとくの姿勢には、全く驚きを感じました。このような不見識な総理はかつて存在しなかったのであります。こうした異常な政権運営を続けた岸田総理が政権を担う資格がないのは明白ではないでしょうか。速やかに退陣をすべきであります。そのほかにも申し上げたいことは多々ありますが、以上を申しまして、私の趣旨弁明を終わります。(拍手)

○議長(細田博之君) 討論の通告があります。順次これを許します。伊藤達也君。
○伊藤達也君 自由民主党の伊藤達也です。私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました岸田内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)昨夜、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、我が国のEEZ内、石川県から僅か二百五十キロメートルという地点に落下しました。国民生活を著しく脅かす、我が国の安全保障に対する重大な挑発行為であり、断固非難をいたします。さて、新型コロナや世界的な物価高騰、激変する安全保障環境など、日本は今、歴史を画するような内外の厳しい課題に直面をしています。国民の間には不安が広がり、将来への希望も見えにくい、まさに国難とも言える時代であります。そうしたときに、出さなければとの強迫観念に駆られているのか、まるで会期末の慣例行事のごとく内閣不信任決議案を提出する立憲民主党の皆さんは、本当に国民に目を向けているのか、甚だ疑問です。岸田政権は、今国会、野党の皆さんからの御意見に真摯に耳を傾け、法案修正など、時に御協力をいただきながら、丁寧な国会審議に努めてきました。国民の負託に応えるべく、お互いに汗をかいていた中での今般の不信任案提出。このような日程闘争に終始した党利党略の不信任は、時代に全くそぐわないものであります。岸田内閣は、これまで、国民の命や暮らしを守り抜くため、あらゆる政策を総動員して足下の不安を打破するとともに、経済構造の転換や成長分野への投資といった、未来への希望を育てるための政策を打ち出してきました。新型コロナの感染拡大から三年が経過をしましたが、日本は、岸田政権の下、国民の皆様にも御協力をいただきながら、感染の波を乗り越え、ウィズコロナに向けて着実に前進をしています。五月八日から新型コロナが五類感染症に移行され、本格的な日常を取り戻すための新たなステージが始まりました。コロナ対策と社会経済活動の両立に向けた大きな一歩であります。コロナの影響で減少していた観光客の数も回復し、地域は活気を取り戻しつつあります。昨年一年間の全国における日本人宿泊者数は前年と比べて四〇%増となり、コロナ前の水準の九割を回復しました。また、昨年十月の水際措置緩和以降、訪日外国人旅行者数も回復基調にあり、今年四月の訪日外国人の数は百九十五万人と、個人旅行が再開されてから過去最高、さらに、今年第一・四半期の訪日外国人旅行消費額はコロナ前の九割の水準に達するなど、インバウンドも着実に回復をしています。岸田内閣には、引き続き、コロナから全面的に日常を取り戻し、日本を本格的な経済回復、さらには新たな経済成長の軌道に乗せていくため、全力で取り組んでいただきたいと思います。岸田内閣発足以降、日本経済は確実に回復をしています。株価は上昇し、三万円台を回復、三十三年ぶりの高値をつけました。また、昨年度の名目GDPは五百六十二兆円と、コロナ禍直前で過去最高だった二〇一九年の水準を超えました。さらに、今年度は、名目、実質共に過去最高となる見通しで、コロナを乗り越え、景気は確実に、着実に回復の道をたどっています。他方で、ロシアによるウクライナ侵攻によって起きた物価高やエネルギー価格の高騰が、国民生活に影響を与えています。岸田内閣では、昨年四月に事業規模十三・二兆円の総合緊急対策、十月には事業規模七十一・六兆円の総合経済対策、さらに今年三月には二兆円超の追加策と、切れ目のない対応を講じてきました。一連の対策によって、本来であれば二百円近くまで上昇していたガソリン価格は、百七十円程度に抑制されています。また、物価上昇も、米国など他の主要国が一〇%近くの物価上昇に直面する中、日本の上昇幅は三%程度に抑えられています。岸田内閣は、常に国民の不安に寄り添い、政策を着実に進め、様々な課題に機動的に対応することで結果を出してきました。不信任に値するとの批判が全く当たらないことは、火を見るより明らかであります。岸田内閣が掲げる最重要課題の一つが賃上げです。岸田総理は、一月の施政方針演説で、労働移動の円滑化、さらには、生産性を高めるための学び直し、リスキリングを始めとする人への投資などを含めた構造的な賃上げの実現を訴えました。さらに、三月には、八年ぶりとなる政労使会議を開催し、政労使が一体となって賃上げに取り組むことを確認いたしました。その結果、今年の春闘では、大企業で三・六九%、中小企業においても三・三六%という三十年ぶりの高い賃上げ率を達成しました。この流れを止めることなく、新たな価値創造による生産性の向上や価格転嫁対策の徹底など、構造的な賃上げの推進によって、賃金引上げのモメンタムを維持強化する。岸田内閣の下で、賃上げの好循環を更に加速していただきたいと思います。我が国は、今、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。岸田総理は、これまで、各国首脳と膝を突き合わせ、世界経済、エネルギー、食料危機、気候変動問題など、幅広いテーマについて議論を行い、連携を深めてきました。今年三月、総理は、自らウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領との首脳会談や現地情勢の視察などを行いました。国際社会でウクライナ情勢が重要なテーマとなる中で、大きな意義があったと思います。実際、訪問を評価する声が七割を超えたとの世論調査の結果も出ています。また、五月には韓国を訪問し、日韓のシャトル外交が十二年ぶりに再開しました。北朝鮮問題など安全保障環境が厳しさを増す中で、インド太平洋の安定化に向けた連携強化を確認し、日韓両国の関係改善を本格化する重要な機会となりました。今、国際秩序は、間違いなく歴史的な転換点にあります。これほどまでに国際社会の結束が求められているときはありません。そうした中で、五月十九日、G7広島サミットが行われました。今回のサミットにはウクライナのゼレンスキー大統領も出席をし、G7とウクライナの揺るぎない連帯を示すとともに、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くとの力強いメッセージを日本から世界に発信しました。また、地球規模の課題解決に向け、グローバルサウスと連携を強化していく決意を示すとともに、広島という平和の誓いを象徴する地で開催されたサミットで、核軍縮に関する広島ビジョンをG7として初めて発出できたことは、歴史的な意義があったと思います。これを含め、今回のサミットは、日本がG7議長国としてリーダーシップを発揮し、国際社会の結束を高める、歴史を刻むサミットとなりました。岸田内閣は、昨年、五年間で四十三兆円の防衛予算を確保し、反撃能力の保有やサイバー、宇宙など新領域への対応などを進める、新たな国家安全保障戦略などを策定しました。今国会では、防衛力の抜本強化に向けて必要な財源を確保するための財源確保法が成立をしました。防衛力の抜本強化に向け、一刻も早く、国民の命そして暮らしを守り抜くための体制を整備しなければなりません。国民の安心、安全に資する防衛力の抜本強化に向け、総理が先頭に立って進めていくべきです。昨年の我が国の出生数は七十七万人と、過去最少となりました。急速に進む少子化、人口減少に一刻も早く歯止めをかけなければなりません。岸田内閣は、少子化という待ったなしの課題に不退転の決意で取り組んでいます。四月には、こどもまんなか社会の司令塔となるこども家庭庁を設置、今月十三日には、少子化反転の要となるこども未来戦略方針を決定しました。今回の戦略方針では、三兆円台半ばまで予算規模の充実を図り、現在のこども家庭庁予算四・七兆円を最初の三年間で一・五倍に拡大することとしています。これにより、我が国の子ども・子育て関係予算は、一人当たりで、OECDのトップのスウェーデン並みの水準となります。我が国が直面する少子化の反転に向け、ここからの取組が重要になります。岸田内閣には、実行に向けた取組や今後の課題の検討を加速していただきたいと思います。本日にも、骨太の方針と新しい資本主義実行計画が決定します。骨太の方針には、外交、安全保障の強化、人への投資、成長分野への投資を始めとする新しい資本主義の加速、少子化対策、子供政策の抜本強化など、我が国が直面する内外の諸課題の解決に向けた取組方針が盛り込まれています。また、新しい資本主義実行計画には、スタートアップ企業の育成に向けた取組や、GX、DXの推進を始めとする戦略分野への投資など、官民が連携をして社会課題を成長のエンジンへと転換し、成長と分配の好循環を生み出すためのグランドデザインがまとめられています。この骨太の方針や実行計画を基に、来年度予算に向けて、我々は、政府と連携をしながら、更に議論を深めていきたいと思います。政治に近道はありません。一つ一つの積み重ねなのです。いたずらに批判を繰り返し、短絡的な判断で物事を進めても、その先には何も生まれません。真摯な言葉で建設的な議論を尽くし、政策を丁寧に着実に実行していく。真に国家と国民を愛し、国民の声に耳を傾けながら、進むべき道を、未来を切り開いていく。それが今求められている政治です。我が党は、引き続き、内外の諸課題の解決に向け、政府と緊密に連携をしながら、一つ一つの解決策を示し、国民の負託に応えてまいる覚悟です。改めて、今般提出された極めて理不尽な不信任に断固反対をし、否決していただくことを強くお願い申し上げ、討論を終わります。(拍手)

○議長(細田博之君) 石川香織君。
○石川香織君 立憲民主党の石川香織です。私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました岸田内閣不信任決議案に賛成の立場から討論いたします。(拍手)冒頭、ここ数日の岸田総理による解散をめぐる独り芝居、自作自演について申し上げます。自ら解散風を吹かす総理は見たことがありません。任期半分にも満たずに解散に踏み切るためには、よほどの大義が必要です。しかし、広島サミットで人気が上がったので、今なら勝てるというよこしまな気持ちがあったのでしょうか。かと思えば、不信任案の前に早々と解散見送りの表明をしたりと、一連の行動は意味不明で、国民もあきれています。その軽々しさに、与野党の議員だけではなく、総理があそこまでにおわせていたこともあり、自治体では、選挙の準備を想定し、週末の予定を変更するか検討させられるなど、社会全体を振り回したことにお気づきなのでしょうか。自ら解散風を吹かすという独り芝居、自作自演により国民を振り回したことは責任重大です。まず、このこと一つを取っても、一国の総理大臣としてふさわしくないことは明らかです。それでは、ここから岸田内閣の問題点を具体的に指摘したいと思います。一つ目は、電気料金や食料品などの物価高騰など、国民の生活がますます苦しくなっている中、そこに追い打ちをかけて、岸田内閣は国民への増税、負担増を企てている点です。防衛財源について、岸田内閣は、今後五年間で四十三兆円もの巨額の防衛費を確保しようとしています。着実な防衛強化は必要ですが、五年間で四十三兆円というのは余りにも巨額過ぎではないでしょうか。しかし、岸田内閣が成立をさせた、いわゆる防衛費の財源確保法案ですが、財源確保とは名ばかりで、歳出改革、決算剰余金、税外収入、税制措置の規定が法律案に盛り込まれていないため、財源の中身が乏しく、持続可能性もない欠陥法案です。そして、身の丈を超えるような防衛費倍増が国民の大きな負担となるのではないかという疑問に正面から答えようとしません。こういった姿勢は、国民に寄り添っているとはとても思えません。さらに、東日本大震災の復興財源を確保する復興特別所得税が防衛費に転用されることは、国民との約束違反です。当事者である被災住民の声を聞くために被災地での地方公聴会の開催を繰り返し強く求めているにもかかわらず、衆議院では質疑を打ち切って採決を強行したことも、余りにひどいの一言です。次に、岸田内閣が少子化対策として六月十三日に発表したこども未来戦略方針ですが、内容、予算、財源に大きな問題があります。三年間の集中取組期間とする加速化プランの予算三兆円台半ばの中身ですが、財源確保策の結論は年末に持ち越されました。財源の一つとされている支援金制度の詳細は不明ですが、医療保険料に定額を上乗せする案が浮上しています。保険の本来の機能が失われかねないばかりか、現役世代の手取り額が減り、企業側の事業主負担が重くなるため、賃上げ意欲がそがれる可能性があります。社会保険の仕組みを使えば現役世代の負担が重くなり、子ども・子育て支援策や少子化対策と逆行してしまいます。さらに、こども特例公債も将来世代に負担を先送りすることにつながりかねません。使途が不明瞭な莫大な基金や、委託業者による中抜きや天下りなど、徹底的に改革をした上で、所得税の累進性強化や一億円の壁を解消する金融所得課税改革など、格差を是正する税制改革を実行することで財源を捻出するべきではないでしょうか。児童手当の所得制限の撤廃、支給期間の延長は、立憲民主党がかねてから訴えてきました。しかし、自民党は、民主党政権時に所得制限のない子ども手当をばらまきだと批判し、その実現を大きく遅らせました。さらに、昨年の秋には児童手当の特例給付の一部を廃止し、約六十一万人の子供たちを支給対象から外し、子ども・子育て支援策を後退させてきました。立憲民主党は、既に提出している学校給食費無償化法案のほか、高校授業料無償化の所得制限撤廃、国公立大学の授業料無償化等、教育の無償化は進めるべきであると主張しています。しかし、政府案は、年収約六百万円までの多子世帯や理工農系の学生への授業料減免等の拡大にとどまり、それでは余りにも対象者が少なく、不十分です。また、政府の対策には、上がらない賃金や不安定な雇用など、未婚率増加の背景にある構造的な問題への解決策が決定的に欠けている点も指摘せざるを得ません。先日、ママ議員サミットというものを開催しました。立憲民主党は、四月の統一地方選挙で若手、女性議員が多く誕生しており、その中でも子育てをしながら議員をするママ議員に焦点を当て、女性が働く上での課題を話し合うというものです。開催時刻は、通常の会議などで設定されがちな早朝や夕方ではなく午前十一時、場所は、子連れも参加しやすいように議員会館の和室を利用したところ、参加者である地方議員だけではなく、取材に来た記者たちからも、十一時開催だと会社に戻って原稿を書いても夕方には上がれると非常に好評でした。いかに永田町を始め社会全体が男性目線で会議の時間や場所などが設定をされ、それに、あらゆる工夫をしながら何とか女性がこなしていたのかということが分かると思います。子育てをしながら働きやすい環境や子供を産み育てやすい社会をつくるためには、もちろん大胆かつ中長期的な支援策が必要とされますが、しかし、異次元という仰々しいものだけではなく、少しの工夫や社会の意識を変えていくことがとても重要なのではないでしょうか。是非、こういうやりくり上手になる視点も岸田内閣には持っていただき、政府の想定を上回るペースで進んでいる少子化対策を本気で進める必要があります。しかしながら、岸田内閣は子育て世代への支援が的を射ているとは思えず、現場のニーズと乖離があります。岸田内閣の少子化対策は、遅くて不十分、財源も示されず、無責任そのものであります。このままでは、少子化に歯止めがかかるとは思えません。次に、岸田内閣の、命や人権に対しての向き合い方について指摘をします。六月九日に岸田内閣が強行的に成立させた入管法は、多くの人々の生死が懸かった命の問題でした。しかし、政府案の収容施設内の医療体制については、廃案になった二年前の政府案とほぼ同じ規定であり、ウィシュマさんの死に対する反省がどこにも見られませんでした。立憲民主党は、議員立法で、難民等保護法案と入管法改正案を参議院に提出いたしました。岸田総理、今からでも遅くありません、難民の皆さんや、日本が当然守るべき命や人権を大切にすることが当たり前の国にするべきです。LGBTなど性的マイノリティーは、性的指向、性自認を理由に偏見やハラスメントにさらされ、自死に至るリスクが高いと言われております。立憲民主党は、昨年六月にLGBT差別解消法案を提出し、G7先進国の世界基準である同性婚を法制化する議員立法を国会に提出しています。夫婦別姓に関しても、自民党は選択制でさえ認めようとしておりませんが、岸田内閣が女性活躍を支援といっても、何の説得力もないのではないでしょうか。宗教二世の問題が大きな話題になった後も、統一教会による献金集めは継続され、被害者は増え続けています。解散命令請求についても、文化庁は教団に対して六回にわたり情報を収集しているものの、解散命令請求はいまだに出ておりません。入管法、LGBT、統一教会、岸田内閣の対応は一人一人の命や人権を軽視していると感じざるを得ません。そして四つ目は、危機管理能力の欠如です。昨年八月、現在の内閣が立ち上がって以降、閣僚や秘書官の辞職、更迭は七人。順に申し上げます。山際大志郎経済再生大臣、葉梨康弘法務大臣、寺田稔総務大臣、秋葉賢也復興大臣、杉田水脈政務官。官邸では、荒井勝喜秘書官、そして岸田翔太郎秘書官も更迭されました。一年にも満たない短期間にこれほどの数の閣僚や秘書官などが辞職、更迭される、このような事態で総理の任命責任が問われるのは当然です。そして、現在、マイナンバーカードに関するトラブルが大きな問題になっています。七千三百七十二件もマイナ保険証の誤登録が発覚をし、国民の不安は高まっているにもかかわらず、従来の保険証の廃止を強行しようとする岸田内閣は、国民の命と健康を脅かしています。六月九日に、立憲民主党は、厚労省に従来の保険証の存続の申入れをしました。誤登録により誤った医療情報につながれば、必要な医療が受けられなかったり、誤った投薬や治療につながったり、保険診療が受けられず十割負担になる危険性があるからです。岸田総理、与党内からも来年秋の保険証廃止の先送り検討を求める声が上がっています。是非、従来の保険証廃止の方針を撤回して、まずは、原因究明、再発防止を徹底して、国民の不安を解消するべきではないでしょうか。そして、食料安全保障についての本気度も大変疑問です。自国で食料を生産する重要性が認識されているにもかかわらず、岸田内閣では、まだ牛乳を搾れる牛を処分すると十五万円の奨励金が出る早期リタイア事業に象徴されるように、生産基盤を弱体化させることに予算をつけています。水産業、林業の現場への支援も不十分です。岸田内閣の急な方針転換に現場は振り回され、生産現場は二度と立ち上がれないかもしれないほどの深いダメージを負っています。お金で食料が買える時代はもう終わり始めているのです。また、食料安全保障とセットで考えなければいけない物流業界のいわゆる二〇二四年問題も間近に迫っています。自分たちだけではなく子供や孫がこれからも食べるものに困らず幸せに暮らしていける日本であるかどうか。未来の子供たちの生きる社会をつくるのは、今の私たち、つまり、この議場にいる私たち政治家なのです。だからこそ、政治家とは、人生を懸けて取り組む仕事であり、妥協をしたり、こそくな手を使うことは許されないことだと思っております。これまでも、自民党は、大企業や富裕層がもうかれば、その富が庶民にこぼれ落ちてくるという政策を訴えていましたが、結局、トリクルダウンは起きませんでした。生活そのものも、心の豊かさも失われつつある日本は、今、間違いなく正念場です。私たち立憲民主党は、闘うことを忘れ、さめた雰囲気が格好いいかのような空虚な政治がつくられそうになっても、暑苦しいぐらいの情熱を持って政治に向き合うべきだと思っております。その歩みを絶対止めてはいけないと胸を張って主張します。改めて岸田内閣に早急な退陣を促し、私の賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(細田博之君) 堀場幸子君。
○堀場幸子君 日本維新の会、堀場幸子です。私は、党を代表し、ただいま議題となりました岸田内閣不信任決議案に対して、反対の立場から討論をいたします。(拍手)我が党は、改革とは縁遠い、古き自民党政治の打破に真っ正面から挑み続けている責任野党です。もちろん、この不信任案には反対ですが、かといって、岸田総理の政権、政策運営を全面的に肯定しているわけではありません。今国会の岸田内閣の成績を優、良、可、不可と率直に評価するならば可といったところですが、何より、この不信任決議案に同調しない理由は、会期末になれば、年中行事のように、否決されて終わりの不信任決議案を出す特定野党の三文芝居には、おつき合いする気がさらさらないからです。今回も、解散への恐怖心からぎりぎりまで逡巡しながら、解散はないと確信するや否や、党幹部が公然と可決するだけの力がないとのたまう不信任案を臆面もなく提出して、見せかけだけのファイティングポーズを取る姿にあきれ果てております。このような独善的で非生産的な政治ごっこは、これで最後にしていただきたいと強く申し上げておきます。さて、今国会の会期は、残すところ実質三日です。この半年足らずを振り返ると、成立したGX関連法案や入管の改正法案、刑法の改正案といった政府提出重要法案について、日本維新の会の修正の呼びかけに与党が応じていただき、各法律をよりよい内容に仕上げることができました。議員立法では、一部野党も方向性で一致した行革関連法案や学校給食無償化法案などを共同提出することができました。立法に当たって、日本維新の会は、従前から是々非々で対応しておりますが、可能な限り国民そして国益に資するものにしたいという思いは一貫しております。この場をおかりして、我が党との協議に真摯に向き合っていただきました与野党の皆様に深い感謝をいたします。一方で、今国会は、立法府に身を置く者と国民の皆様との感覚の乖離を改めて痛感させられました。それを象徴するのは、今国会の宿題となっていた調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費をめぐる改革が、またしても、なし崩し的に先送りされてしまうかもしれない状況になっているからです。与野党が、会期中に旧文通費の使途公開と残金返還について成案を得ることは合意しているはずです。これは国民との約束にほかなりません。我が党は、再三にわたり、この改革を前に進めるよう全会派に訴えてきましたが、肝腎要の自民党が本気にならなければ、事は動きません。自分の身分や待遇にメスを入れられることには徹底的に抵抗するという立法府の負の歴史は、やはり繰り返されてしまうのでしょうか。これまでに、私たちは、身を切る改革の一環として、ほとんど稼働せず、コストばかり無駄に費やされていた特別委員会の統廃合を訴えてきました。ただ一つ、科学技術・イノベーション推進特別委員会を減らすだけで約五年の歳月を要しました。また、先日、自民党と立憲民主党の国対委員長会談で、一日六千円の委員長手当の廃止で合意され、今国会で歳費法が改正される運びとなりましたが、これも、私たちが数年前から主張してきたことが、ようやく日の目を見ることになったのです。こんなに当たり前の改革に、どれだけ時間をかければいいのですか。翻って、国民の皆様は、可処分所得は増えていないのに、物価が高騰し、苦しんでいます。五月の生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数は四%を超え、十一か月連続の上昇となり、第二次オイルショックの昭和五十六年以来、約四十二年ぶりの高水準となりました。調理食品や菓子類は一割以上値上げをするなど、物価高による家計負担増は歯止めがかかりません。そこに、全国大手電力七社による一般家庭向けの電気料金の大幅値上げが追い打ちをかけ、地域によっては、標準家庭で月に二千円程度の電気代が上がるという異常事態に直面しております。私は、スーパーでよく買物をしますが、あらゆる商品が一斉に値上げしている現実を目の当たりにして憂えております。ポテトチップスを手に取れば、価格が変わらず内容量が減らされているステルス値上げです。育ち盛りの子供のおやつまで減らさなければならない家庭も少なくありません。加えて、ただでさえ、今年の国民の所得に占める税金や社会保障費の割合、すなわち国民負担率は約四七%にも達していますが、やがて、防衛費の財源確保のための増税も待ち受けております。このため、最近、地元の有権者の方々から、私たちの暮らしは厳しくなるばかりなのに、国会議員はいい御身分ですねと言われたことは枚挙にいとまがありません。こうした国民の皆様の悲痛な声に胸が痛みませんか。どうして平気でいられるのですか。旧文通費の使途公開は懐具合に影響するものでもないのに、いつまでも頬かむりを決め込むつもりですか。会期はまだ三日あります。時間が足りないというならば、一週間でも十日でも会期延長して、何としても旧文通費改革を成し遂げ、国民との約束を果たすべきです。それが国民から負託された国会議員の責務です。与野党の筆頭の自民党と立憲民主党がやると決断すれば、できることです。先ほど、趣旨説明で立憲民主党の泉代表が、文通費改革をやらない自民党、公明党を批判しておりました。法律がなくても、党で決めれば今すぐできます。我が党は既に自主的に実施しております。そこまで言ってくださるなら、立憲民主党も今すぐ、今日から一緒にやっていただけると信じております。言うだけなら誰でもできます。発言に責任を持って御対応ください。会期末近くなって滑り込みで決めた委員長手当の廃止でお茶を濁すようなことは断じて許されません。皆様にそう強くお訴えさせていただきます。国会議員の定数削減についてもしかりです。六月九日に、大阪市議会では、大阪維新の会主導で、議員定数を八十一から七十に十一削減する条例案を可決しました。大阪府議会では、この十年間、議員定数を百九から七十九と三十減らしました。議席が減っても立派に議会として機能し、数々の改革、住民のための施策を実行しております。地方議会にできて国会にできない理由はありません。しかし、民主党政権、平成二十四年、当時の野田総理と安倍自民党総裁が党首討論で議員定数の大幅な削減で合意したのに、その後十年余り、定数の削減は遅々として進んでいません。これも国会の怠慢、国民との約束の不履行です。国会議員は特権階級なんですか。議員バッジをつければ上流階級になるんですか。そんな大いなる勘違いをしている方は、ここには誰一人いないと信じております。是非、行動で示してください。国民の皆さんにはこれでもかと負担を背負わせておきながら、自分たちは身を切ることもなく涼しい顔をしていることは許されません。国会議員が国民からお預かりしている議席は、既得権でもなければ、あぐらをかいて居座るものでもありません。それを肝に銘じ、国会議員も身を切る改革に真剣に取り組むべきです。日本維新の会は国会議員定数の三割削減を訴えておりますが、一足飛びに実現させようとは言いません。国民の皆様と同じ目線に立って削減に着手し、徐々に拡大していきませんか。最後に、防衛力の抜本的強化と並び、我が国の重要課題となっている少子化対策について触れさせていただきます。十三日、岸田総理が発表したこども未来戦略方針は、当然取り組むべき内容も含まれておりますが、正直、がっかりさせられました。とりわけ、三・五兆円にも及ぶ財源をどうするのか、年末まで先送りされていることの不安は拭えません。相変わらず国債頼みとなれば、子供たちに未来の借金を背負わせることになります。総理は、増税はしないと明言されておりますが、もし仮に社会保険料の負担を増やすことになれば、増税と何ら変わらないばかりか、子育て世代でもある現役世代に負担が集中し、逆に少子化を加速させることにもなりかねません。また、児童手当の所得制限を撤廃し、高校まで延長しても、十六歳から十八歳の扶養控除を廃止するなどの小手先の手法に走れば、事実上の子育て罰をつくり出し、問題を複雑化させるだけです。さらに、政府お得意の給付金の支給を計画しているようですが、一時的なばらまきは、受け取った方には歓迎されても、少子化対策としてさしたる効果は期待できず、焼け石に水になりかねません。つけ焼き刃の政策に加えて財源も宙に浮いているようでは、異次元の少子化対策など絵空事で終わるだけです。今、真に求められていることは、少子化の元凶となっている日本の社会経済システムそのものに大なたを振るう構造改革の断行に尽きます。若い人が、仕事か結婚か、あるいは子育てか老後の蓄えかを選択するような社会ではなく、働きながら結婚をし、子供を育て、なおかつ心豊かな暮らしをして、老後の心配をしなくていい。我が党は、そんな社会の実現をし、少子化を克服していく決意です。恐らくさほど遠くない時期に行われるであろう総選挙において、我々日本維新の会は野党第一党にならなければなりません。こんなあしき慣習や前例がはびこる国会を変えていかなければならないのです。真に国民の皆様のために働く、正真正銘の言論の府をつくり上げることをお誓いし、討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(細田博之君) 宮本徹君。
○宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、岸田内閣不信任案に賛成の討論を行います。(拍手)不信任に賛成する第一の理由は、岸田政権が、歴代政府が建前としてきた専守防衛を投げ捨て、憲法違反の敵基地攻撃能力の保有と、五年間で四十三兆円、史上空前の大軍拡に踏み出したことにあります。岸田政権の安保三文書では、敵基地攻撃能力は集団的自衛権の行使としての使用まで可能だとしています。日本が攻撃を受けていないにもかかわらず、他国の紛争に参戦し、相手国の領土を攻撃することが、憲法九条の下で許されるはずがありません。日本の敵基地攻撃能力は、日本が独自に運用するものではありません。アメリカの統合防空ミサイル防衛、IAMD計画の一翼を担い、攻撃計画の立案、攻撃目標の分担、指揮統制に基づく実際の攻撃、攻撃の成果の共有など、米軍と一体に運用されることになることが防衛省の内部文書で明らかになっております。戦後、アメリカは、国際法違反の侵略戦争を繰り返し、今日のIAMDでも先制攻撃を原則としております。アメリカの戦略につき従い、米軍の矛の役割まで肩代わりし、日本に戦火を呼び込む敵基地攻撃能力の保有は撤回すべきであります。軍事費をGDP二%に引き上げよと迫ってきたのはアメリカです。アメリカの軍拡要求に応え、国民に新たな負担を強いることは断じて許されません。軍拡財源法の対象の国立病院や厚生年金病院、社会保険病院の積立金は、法律で、医療や年金の財源に充てるとされております。医療機器購入費が足りず、五億円もの寄附を呼びかける病院から、積立金を奪っていいはずがありません。年金財源が足りないといって年金を目減りさせながら、年金財源を横取りして大軍拡に流用するなど、許し難い国民いじめではありませんか。岸田政権の進める大軍拡は、増税、暮らしの予算の削減、借金によるインフレリスクの増大、喫緊の課題である国民生活の支援の後回し、まさに軍事栄えて民滅ぶ、亡国の道と言わなければなりません。岸田内閣を不信任とする第二の理由は、経済無策です。物価高騰で、国民の暮らしは悲鳴を上げています。岸田政権の下で、実質賃金は十三か月連続で減り続けています。所得倍増という総理の約束は一体どこに行ったのでしょうか。足下だけではありません。労働者の実質賃金は、安倍、岸田政権の十年間だけで、年収で二十四万円も減っています。財界に賃上げをお願いするだけなら、政治は要りません。政治が責任を負う最低賃金は、ドイツは千八百円、フランスは千七百円に引き上げています。日本でも、中小企業支援とセットで、時給千五百円以上に引き上げるべきであります。医療、介護、保育、障害者福祉、非正規公務員などを放置せず、政治が賃上げに責任を果たすべきではありませんか。物価上昇分にも追いつかない僅かな賃上げではしゃいでいるようでは、暮らしと日本経済を立て直すことは到底できません。岸田内閣は、消費税減税にも背を向け続けてきました。コロナ危機以降、世界では百を超える国が消費税減税に踏み出しています。物価高騰が暮らしを直撃している下で、庶民の暮らしを守る最も効果的な対策は消費税減税です。ところが、逆に、岸田内閣は、十月からインボイス制度を強引にスタートさせようとしています。財務省の試算では、インボイスによる増収は二千四百八十億円。売上げ年五百五十万、粗利年百五十万の零細事業者に、十五万四千円もの増税を強います。余りに過酷、多くの事業者を廃業の危機に陥れるものであります。税制で暮らしとなりわいを潰すなど、断じて許されません。インボイス導入中止を重ねて求めるものであります。さらに、岸田政権の少子化対策は、異次元といいながら、少子化傾向を打開するための肝腎の対策が全く欠落しております。若い世代の経済的安定には、雇用の正規化を進める法整備が不可欠ではありませんか。若い世代が最も求めている、国際公約でもある大学までの教育無償化をなぜやらないのですか。また、少子化対策の財源を医療や介護の歳出カットや庶民の負担増に求めるのは根本的な間違いだと指摘をしておきたいと思います。岸田内閣を不信任とする第三の理由は、数の力に任せ、国民の声に一切耳をかさずに突き進む、国民無視の大暴走を続けていることにあります。マイナンバーカードは、ひもづけの間違いなど様々な問題が噴き上がり、国民の不信、不安は高まるばかりです。マイナ保険証は医療現場でトラブルが頻発し、解決策も示せないまま、政府・与党は、来年秋に健康保険証を廃止するマイナンバー法等改定案を強行しました。しかし、法案強行後も、保険証廃止の中止を求める声は広がり続けております。読売新聞の社説は、「行政文書は、あとで修正できるかもしれないが、医療に関する手違いは、国民の健康や生命に重大な影響を及ぼす恐れがある。」「現在、何ら不都合なく使えている保険証を廃止し、事実上、カードの取得を強制するかのような手法が、政府の目指す「人に優しいデジタル化」なのか。」「廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だ。」と述べております。当然の指摘であります。保険証廃止方針に固執し、国民の命と健康を軽んじる政権が信任に値しないことは余りにも明らかであります。難民認定の申請中でも外国人の送還を可能とし、外国人の命を危険にさらす入管法改悪案は、日に日に国会を包む抗議の声が広がり、審議すればするほど大問題が噴出し、改定の根拠が崩壊したにもかかわらず、強行成立させました。国際人権法に違反し、人権無視の入管法改悪を強行した岸田内閣を断じて許すわけにはまいりません。岸田総理は、サミットの開催地に被爆地広島を選びながら、広島ビジョンは、いざというときには核兵器を使うことが前提である核抑止力論を公然と宣言しました。わざわざ被爆地からこうしたことを発信することは被爆者と被爆地を愚弄するものであり、これもまた許すことはできません。今、人類が直面する最大の危機は気候変動であります。ところが、岸田政権は石炭火力延命策に固執し、広島サミットでは、議長国でありながら、石炭火力廃止時期の合意を阻む、恥ずべき役割を果たしました。一・五度目標と整合する脱炭素、再生可能エネルギーへの速やかな移行への道筋を示せない無責任な岸田政権に未来を任せるわけにはまいりません。岸田内閣の国民無視の暴走はこれにとどまりません。東京電力福島第一原発事故の教訓を投げ捨て、世界に例を見ない超老朽原発の運転、新増設など原発回帰、推進など、もってのほかであります。性的マイノリティーの差別解消に逆行するLGBT法四党案の強行は、言語道断と言わなければなりません。しかも、多くの国民に甚大な被害を広げてきた統一協会について、岸田政権は、質問権の行使を重ねるばかりで、一向に解散命令請求に踏み切ろうとしておりません。自民党と統一協会の関係を解明しようともせず、うやむやにするなど、断じて許されません。もはや、岸田総理の聞く力なるものが、国民の声を聞く力ではなく、財界の声、アメリカの声しか聞こえない力であることは明らかであります。主権者である国民の声を聞くことができない岸田総理に、これ以上、内閣を任せることはできません。日本共産党は、国民の皆さんと手を携え、力を合わせ、平和と暮らしの切実な願いに応える新しい政治への扉を開くために全力を尽くす決意を述べて、岸田内閣不信任案に賛成する討論を終わります。(拍手)

○議長(細田博之君) 岡本三成君。
○岡本三成君 公明党の岡本三成です。私は、公明党を代表し、岸田内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)岸田内閣は、総理を先頭に、国民の皆様からの声に真摯に耳を傾け、丁寧に政権運営を行っています。また、本格的な経済再生や厳しさを増す安全保障環境への対応など、内外の重要課題が山積する中でも、個々の課題に正面から取り組んでいます。特に、想定より速いペースで進む少子化など、先送りが許されない我が国の構造的な課題には、スピード感を持って対応しています。こうした重大な局面を迎える我が国において、国政を停滞させる猶予はありません。その上で、以下、三点にわたり、反対理由を申し上げます。第一に、日本経済の再生です。長期に及ぶコロナとの戦いに加え、昨年二月にはロシアによるウクライナ侵略が勃発。原油や穀物等の高騰が、我が国のガソリンや電気・ガス料金、飲食料品など生活に密接に関わる品目を中心とした値上げを引き起こし、国民生活に大きな影響を及ぼしました。そこで、公明党としても、岸田総理に対して幾度となく政策提案を行ってまいりました。これを受け、岸田内閣は、電気、ガス、ガソリン価格の激変緩和対策の実施や、生活困窮世帯等への支援、自治体が地域の実情に応じて活用できる地方創生臨時交付金の拡充など、国民が求める必要な対策を打ち続けてきました。現在も、国民生活への影響を注視し、機動的な対策に万全を期しております。その上で、長年続くデフレスパイラルから脱却をして、本格的な経済再生を果たす鍵は、物価高に負けない賃上げであります。岸田総理は就任当初から分配戦略の重要性を訴えてこられ、今年の春闘の賃上げ率は三十年ぶりの高水準を記録し、賃上げに向けたムードがかつてないほど高まっています。また、分配を支える成長戦略として、格差や気候変動、災害、エネルギーや食料といった社会課題の解決に向けた取組を新しい成長のエンジンとし、持続可能な経済社会構造へと転換しつつ、経済再生も実現する新しい資本主義の理念に公明党は賛同しています。また、日経平均株価は約三十三年ぶりに三万三千円台を回復いたしました。これは、日本経済と日本企業への期待の高まりであり、岸田内閣の経済政策が内外に広く支持を広げ始めた証左にほかならないと考えています。経済再生への確かな兆しが芽吹き始めた今、岸田内閣を不信任とするのは理解できません。今こそ、成長と分配の好循環実現へ、日本全体が前向きな取組を加速させるときであります。第二に、岸田内閣は、子ども・子育て支援策を大きく前進させていることであります。我が国の出生率、出生数は共に過去最低を更新し、少子化対策は待ったなしです。言うまでもなく、子供政策は、子育て世帯のみならず、高齢者や、子供のいない御家庭も含めて、全世代の社会保障を支え、全ての方々に恩恵をもたらす、我が国の未来を開く重要な政策です。先日、岸田内閣は、こども未来戦略方針を策定いたしました。この方針には、今後三年間で集中的に取り組むべき施策を加速化プランとして、できる限り前倒しで実施することが明記されています。児童手当の大幅拡充を始め、保育など子育てサービスの拡充、働き方改革とそれを支える制度の充実、さらには、障害児や医療的ケア児、一人親家庭、ヤングケアラーへの支援など、公明党が強く主張してきた施策が数多く盛り込まれ、政府の本気度を感じました。これらを速やかに実行し、子育てへの安心感を確保していかなければなりません。財源確保についても、まずは徹底した歳出改革等により実質的な追加負担を生じさせないことや、既定予算の最大限の活用、新たな支援金制度の構築など、道筋が示された意義は大変に大きいと考えています。また、持続的な経済成長の実現も不可欠です。このため、同方針には、構造的賃上げと官民連携による投資活性化が明記されました。賃上げの流れを広く波及させ、特に、若者世代の可処分所得を増やすことが期待されています。日本の未来をつくる。そこに政治の使命と責任があります。その覚悟を持って、公明党は引き続き全力で取り組んでまいります。最後に、岸田内閣の外交、安全保障における成果を挙げたいと思います。国際社会が時代を画する変化と課題に直面する中、岸田内閣は、先月のG7広島サミットで、議長国として議論をリードし、多くの成果を残しました。G7、招待国の首脳、そしてウクライナのゼレンスキー大統領とともに議論をし、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持していくとの強いメッセージを示すとともに、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々との関与を深めることについての成果を上げられました。今回、被爆地広島での開催を通じて、世界のリーダーたちと被爆の実相に触れつつ、核軍縮に関する初めてのG7独立首脳文書であるG7首脳広島ビジョンをまとめられたことは、今後の核兵器のない世界の実現へとつながる、歴史的に大きな意義があったと高く評価されるべきものです。このように積極的な外交を推し進める一方で、厳しい安全保障環境に対応した防衛力の強化にも取り組んでまいりました。戦争を起こさせないために不可欠なことです。必要な財源確保に当たっては、公明党が強く訴えてきたとおり、最大限の歳出改革や決算剰余金の活用、税外収入から調達するなど、国民負担を最小限に抑えようとする岸田内閣の姿勢を評価いたします。我が国の外交、安全保障政策は、岸田総理のリーダーシップの下、内閣が一致団結して取り組んだ成果であり、同盟国、同志国を始めとする国際社会から高く評価されているものです。以上のように、内政、外交の両面にわたり着実に成果を上げている岸田内閣に対して、不信任に値するとの指摘は全く当たりません。我々公明党は、引き続き、安定した自公連立政権の基盤の下で、岸田内閣をしっかりと支えながら、国民の皆様の負託に応える政策を実現するために全力で取り組んでいくことをお約束いたしまして、私の反対討論を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)

○議長(細田博之君) 浅野哲君。
○浅野哲君 国民民主党の浅野哲です。私は、ただいま議題となりました岸田内閣不信任決議案について、反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)ただし、我々は、岸田内閣を全面的に信任しているわけではありません。この反対は、近年の国会で漫然と行われてきた会期末の内閣不信任決議案提出という行為を多くの有権者は必ずしも望んでいないという実感に沿って行動するものであります。もちろん、時の内閣に不信任に足る事由がある場合には、内閣不信任決議案をもって政権と全面対決することを否定するものではありません。しかし、今は、国会の総力を挙げて、国民の生活不安、将来不安を払拭し、外交上の様々な懸念に対応するために万全を期することで国民の政治に対する信頼を取り戻すことであると考え、現時点での内閣不信任決議案の提出には賛同しかねるものであります。まず、昨夜のことになりますが、岸田総理は、官邸内で、今国会中の解散は考えていないことを明言されました。その時点で、内閣不信任決議案が提出されたとしても、まずもって成立する見込みはなく、さらに、総理に解散するつもりがないということは誰の目から見ても明らかでした。そのような状況でもなお内閣不信任決議案を提出するという行為が国家国民にとってどのような意義があるのかを考えますと、私たちに、その真意を見出すことはできませんでした。さらに、本日の午前中、私は、立憲民主党会派の皆さんとともに、公務員として働く方々の労働基本権の確立に資するため、国家公務員法等の一部を改正する法律案外四案を共同提出してまいりました。もちろん、その時点では、内閣不信任案が提出されることが決まったとは聞いておりませんでした。この法案は、自律的労使関係制度を持たない国家公務員並びに地方公務員の皆様に対して団結権や協定締結権等を付与し、労使が職員の勤務条件等について真摯に向き合い、公務員の皆様がやりがいを持って働ける環境を構築するための法案で、国民民主党としては、党内審査プロセスの例外をつくってでも公務員の皆様の職場環境改善を図るべきとの思いで、党内一致して共同提出に賛同したものでありました。しかし、そのような法案を提出した直後に内閣不信任決議案を提出するということは、この法案の成立に向けて議論を行う機会を自ら放棄することに等しく、今朝、共に提出をした立憲民主党会派の提出議員の皆様のこの法案に対する熱意、その心境を考えますと、このタイミングで内閣不信任決議案の提出は大変理解に苦しく、また、この法案の作成に関わり、その成立を望む公務員の皆様の心情を察すると、大変遺憾であると言わざるを得ません。そもそも、私たちが本来取り組むべきは、先ほどのように、現在の法制度の改善を望む国民の意を酌んだ取組を進めることのほか、持続的な賃上げの実現や目の前の物価高騰対策、エネルギーの安定確保、少子化対策などの重要な政策課題に対して、国民生活における安心と安全、そして安定のため、着実な前進、改善を図っていくことです。ロシアのウクライナ侵略がもたらした世界のエネルギー危機は深刻の度を増しています。今後、LNGを始めとした化石資源の獲得競争は激しさを増し、アジアの一部地域では、資源価格の高騰から、計画停電を行う国も出てきました。ヨーロッパ諸国でも、一旦停止した火力発電所の緊急稼働や原子力発電所の新設計画など、大きな政策変更につながっています。我が国においても、エネルギーコストの上昇やそれに起因した物価高騰が続いており、コロナ禍を乗り越えたばかりの地域生活は大きな危機にさらされています。そのような状況を鑑み、私たち国民民主党は、先日、物価高騰対策、熱中症予防のための緊急家計支援パッケージを策定、発表しました。現在行われている電気料金、ガソリン料金の負担軽減策の継続や水道料金の減免などを盛り込み、日々の生活現場で御苦労をされている人々の暮らしを支える内容となっております。引き続き、政策本位の姿勢を貫いてまいります。最後に、岸田政権が先日公表したこども未来戦略方針に関して一言申し上げたいと思います。児童手当や育休取得促進、託児サービスの利便性向上など、個々の政策を充実させることは結構だと思いますが、少子化対策の本質は、子育て世代の方々が子供を産み育てられると思うことができる環境、これをつくり出すことだと考えています。その点から、今政府がなすべきことは、子育て世代の収入を増やすこと、受益と負担のバランスを改善すること、この二つだと考えます。一九九六年をピークに、我が国の実質賃金は四半世紀下がり続けています。この実質賃金の低下と出生数の低下の相関係数は〇・九三。極めて強い相関があることから、まず、子育て世代の給料を上げることが大前提です。だからこそ、私たち国民民主党は、給料が上がる経済の実現を最優先課題に掲げ、様々な政策を提案、実現してきました。その上で、重い教育費負担は少子化を助長することが内閣府の調査でも明らかになっていることから、私たちは、教育無償化及び奨学金返済の減免を訴えています。また、受益と負担のバランスを改善することは、言い換えれば、税負担、社会保険料負担を減らすことと、控除や給付、そして無償化などの公的支援を増やすことあり、児童手当の拡充の裏側で議論が進められている十六歳から十八歳の扶養控除廃止や子供保険なる社会保険料の上乗せは、子育て世代の負担を増やすことで、少子化対策に逆行する悪手にほかなりません。そして、忘れてはならないのは女性の負担軽減です。これまでの政権の下では、女性に家庭内の家事、育児、介護の一切を任せ、自助、共助を国民自身に押しつけることによって国の福祉予算を軽減させていました。現在、我が国を覆っている少子化は、固定化された性別役割分担意識や男女不平等、長時間労働や非正規雇用の蔓延、多様な家族の形を認めてこなかった固定的家族観など、我が国が抱える個々の政治課題による合併症だと考えています。そのことを理解し、多面的な政策的手当てをしなければ、我が国の未来は到底変わりません。私たち国民民主党は、政権与党だけがこの国を前に進めるエンジンだとは思いません。建設的な野党がいてこそ、与党もおごることなく、偏らず、公平な視点を持つことができるものと考えています。だからこそ、今という時代に野党である者は、目の前の政局だけを考えるのではなく、より深く未来を見詰め、国家国民のために議論を尽くす姿勢を貫くべきだと考えます。強い者が間違っているならば、私たちは勇気を持って正していく。大きな者が見逃しているならば、私たちは信念を持って訴えていく。これからも国民民主党は、言葉のとおり、対決より解決の姿勢で、国民生活向上のため全力を尽くすことをお約束申し上げ、私の討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(細田博之君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。氏名点呼を命じます。
〔参事氏名を点呼〕
〔各員投票〕
○議長(細田博之君) 投票漏れはありませんか。投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。投票を計算させます。
〔参事投票を計算〕
○議長(細田博之君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
〔事務総長報告〕
投票総数 四百四十九
可とする者(白票)         百七
否とする者(青票)      三百四十二

○議長(細田博之君) 右の結果、岸田内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)