統一協会問題野党国対ヒアリング 早期解散請求を要望
統一協会(世界平和統一家庭連合)への解散命令請求を巡って、政府は12日にも宗教法人審議会を開催し審議する見通しです。審議を前に国対ヒアリングが6日、国会内で開かれ、被害者家族らが協会の反社会的行為を詳細に報告しました。被害者らは、早期に解散命令請求を出すことや賠償のため協会の財産を保全する法整備などを求めました。
統一協会信者ではないAさん=東京都=は、2008~13年の間に夫婦で約1000万円の献金被害に遭ったといいます。
08年4月、突然自宅を訪問した女性2人から「近所で無料開運鑑定をしています」と誘われたことが始まりでした。「何度も断ったが、根負けした。会場で高額な開運水晶を買うまで7時間拘束された」。翌年に初めて統一協会だと知りました。
病気を抱えていた妻は、統一協会の物品を買わないと治療できないと思い込まされ、300万円の献金や200万円のネックレスなどを購入。病気は回復せず嫌気がさし13年以降は会合への参加をやめました。
昨年7月の安倍晋三元首相銃殺事件をきっかけに、被害者が多くいると知りました。同年10月に被害救済に取り組む弁護士に連絡し、協会と返金交渉を開始。いまだに協会から返金はないといいます。
Aさんは、協会が解散しても、韓国の本部に送金するなどして資金を隠すことが考えられると指摘。「国が法律をつくり、財産保全を早急にしてもらいたい」と訴えました。
中野容子さん(仮名)は、母親が統一協会信者で1億円の献金をしました。母親は協会から損害賠償請求を全面的に放棄するとした念書を取られていたといいます。「念書で泣き寝入りをしている被害者がたくさんいる。あきらめないでほしいと訴えたい」
中野さんは、協会が被害者の訴えに真摯(しんし)に応じる姿勢がないことは明白で、必ず資産隠しが行われると強調。「被害者の損害賠償請求に対して十分な返還が行われるかどうかが大きな問題だ」と語りました。
全国統一協会被害対策弁護団の木村壮弁護士は、解散命令請求をしても裁判所から命令が出るまでには、相当な時間がかかるおそれがあると説明します。この間に資金を協会全体に残しておくことは考えにくいと指摘。「解散命令が出て協会が法人格は失っても(関連団体に)散逸させた財産で活動し続け、被害者は賠償請求ができなくなる事態を避けるために、国会で対応していただきたい」と述べました。
野党議員から▷審議会の日に解散命令請求がされるのか▷財産保全の法整備には文化庁が主体的に取り組むのかーなどの質問が出ました。文化庁の担当者は「現時点では審議会の開催や、解散命令請求を決めた事実はない」と述べるのみでした。
ヒアリングには日本共産党の宮本徹衆院議員が参加しました。
以上2023年10月7日付赤旗日刊紙より抜粋