2023年12月1日 法務・文科・消費者特連合審査会 包括的財産保全が必要 統一協会被害者救済

配付資料 出典:全国統一教会被害対策弁護団
配付資料 出典:阿部克臣弁護士作成資料

 日本共産党の宮本徹議員は1日の衆院法務・文部科学・消費者問題の各委員会の連合審査会で、統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済のための財産保全法案について全国統一教会被害対策弁護団の声明(11月29日)の中身を紹介しながらただしました。同委員会では自民、公明、国民民主の3党案と立民、維新の2党案が審議されています。
 声明は「将来、旧統一教会に対する解散命令が確定した段階で初めて脱会を決意し、ようやく被害者として声を上げられるようになる方も相当数出てくる」と指摘しています。宮本氏は、3党案では財産の散逸が防げず、解散命令後に現れる「将来の被害者」を救済することができないと迫りました。
 自民党の山下貴司議員が「財産の散逸を防ぐには民事保全がある」と答弁したのに対し、宮本氏は、声明が「(民事保全では)押さえられるのはごく一部の財産にとどまる」と指摘していると示し、包括的な財産保全が必要だと主張。「解散命令後に被害者が名乗り出たときに民事保全で補償しきれると断言できるか」と重ねて追及しました。
 自民党の柴山昌彦議員は「保全財産からは満足を得られないかもしれない」として、民事保全では補償しきれないと認めました。
 宮本氏は、「被害を拡大してきた自民党には被害者全員救済の責任がある」と指摘し、声明が求める「全会一致で法律の制定」「建設的な議論と協議」を訴えました。

以上2023年12月2日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年12月1日 第212国会衆院法務委員会文部科学委員会消費者問題に関する特別委員会連合審査会第1号議事録≫

○武部委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。統一協会、数十年にわたって、霊感商法、高額献金、インチキ募金、大きな被害を広げてきました。これに対して、多くの自民党の議員の皆さんが、イベントに参加して挨拶をする、活動にお墨つきを与える、私は、そのことが統一協会の被害の拡大につながった、このことへの反省が必要だと思いますよ。この反省があるのか。そして、その反省があるんだったら、被害者全員の救済に対して責任を負わなきゃいけないと思うんですよ。その自覚があるのか、お伺いしたいと思います。
○小倉議員 自民党におきましては、既に、各議員それぞれが、旧統一教会との過去の関係を八項目に分けまして詳細に点検、報告をいたしました。そして、この結果を重く受け止め、素直に反省をした上で、今後は関係を持たないことを徹底することを党の方針といたしたところでありました。その上で、こうした考えに立ちまして、今回も、自民党も含む与党におきましては、実効的な被害者救済策を検討し、この法案を作り上げ、多面的な施策を提言するプロジェクトチームの提言を策定したところであります。
○宮本(徹)委員 私は、被害の拡大に自分たちの行動がつながったことへの反省があるのかということを聞いたんですよ。聞いたことに答えてくださいよ。
○小倉議員 先ほど申し上げたように、点検をした上で、重くこれを受け止めて、反省をしたというところであります。その上で、大切なことは、未来に向かって関係を絶つことであり、引き続きこの方針を徹底する、この党の方針に従って我々も取り組んでいるということでございます。
○宮本(徹)委員 自分たちの党の議員の活動が被害の拡大につながった、本当に申し訳ない、だから全員救済のために全力を尽くします、そうやって話すというのが皆さんの責任なんですよ。そういう立場に立っていないから、与党案では足りない、こういう声が上がるんじゃないですか。中身についてただしていきたいと思います。今日、資料をお配りしております。全国統一教会被害対策弁護団の十一月二十九日の声明で、こう言っています。将来、旧統一協会に対する解散命令が確定した段階で初めて脱会を決意し、ようやく被害者として声を上げられるようになる方も相当出てくるものと思われます、こうあるわけですね。これは同じ認識ということでよろしいですね。
○小倉議員 現在、旧統一教会に対する解散命令請求が行われているところでありまして、裁判所による解散命令が行われているかどうかも含めて、仮定のお話についてはお答えできないと思います。ただし、我々も、現状において被害の認識のない方が、今後、被害を認識をして損害賠償請求をされることもあるとも考えております。その上で、解散命令請求が出されて以降、今もなお被害者からの相談も増えているということを関係者の方からも伺っていることも申し添えたいと思います。
○宮本(徹)委員 当然、お認めになったように、解散命令が確定した段階で新たに被害を訴える方というのは出てくるわけですよ。この間、実際、安倍元銃撃事件、これを機に目覚めてマインドコントロールが解けた、こういう方もたくさんいらっしゃる。私の地元でもいらっしゃいます。ですから、解散命令が出たら、この段階で多くの方が被害の声を上げることになると思うんですね。そのことについて弁護団の声明はこう言っているわけですね。「その時点」、つまり解散命令が確定した段階で財産が散逸していれば、そのような将来現れる被害者は一切救済されないことにもなりかねませんと。これも当然同じ認識ということでいいですね。
○山下議員 宮本委員にお答えいたします。財産が散逸する、そして一切救済されない、こういったことを防ぐために与党案を出しているんですよ。財産の散逸を防ぐ、これは財産保全です。先ほど来申し上げているように、財産保全には、実務も蓄積し、最も確実な民事保全という手がある、そして、その民事保全が十全に活用されていないのではないかということから、法テラスをしっかりと充実強化するということで活用していただくということを考えておるところでございます。そしてまた、いわゆる包括保全につきましては、破産法なんかの典型的なものと違って、野党案についてはそういったところがないのではないかということで、我々は、実効的な民事保全の強化ということで、この弁護団指摘のような、財産の散逸によって被害者が救済されないということがないように努めているというところで、この点については弁護団の皆様からも御評価をいただいているところでございます。
○宮本(徹)委員 民事保全で今やるのは、今被害を名のり出た方々が民事保全で訴えるということは、それは支援しようというのが与党の法案でしょう。問題は、解散命令が確定した段階から被害を名のり出る方もたくさんいるわけですよ。その方々のをどうやって事前に民事保全でやるんですか。できっこないじゃないですか。何を言っているんですか。だから、オウムの問題でも、財産が移転させられて、救済が図られなかったということがあったわけです。これを繰り返してはならないから包括的な財産保全が必要だということを、被害者の皆さんも、そして弁護団の皆さんも繰り返しおっしゃっている、こういうことだと思うんですね。十一月二十九日の弁護団の声明ではこう言っているわけですね。被害者による民事保全手続に委ねた場合について、様々なハードルを乗り越えて裁判所により保全が認められたとしても、押さえられるのはごく一部の財産にとどまると。これは間違いないですよね。将来の皆さんの一千億円の財産を押さえられないですよね。ごく一部の財産しか押さえられないんじゃないですか、民事保全では。
○山下議員 宮本委員にお答えします。宮本委員のお立場は、この保全で一千億の財産を保全するというお立場だと今承りました。その一千億の財産を保全する、そういった包括保全、これは破産法によらずにやるというようなお考えだということになるとなかなか難しいのではないかと思います。そして、野党の包括保全においても、一千億を超える保全ができるのかということについてどのようにお考えなのか。それは保全の必要性を立証しなきゃ駄目なんですよ。疎明しなきゃ駄目なんですよ。それをできないということであれば、一部の財産という、まず確実な財産から押さえていって現金化して、それを救済に充てる。そして、解散命令を待たずとも、その前からやっていただくということで被害者の救済を図る。そういうことでございます。
○宮本(徹)委員 それは、解散命令の前から被害者の救済を図るのは当然の話ですよ。問題は、解散命令が出てからたくさん名のりを上げる被害者もいるだろう、その方々も含めて救済の責任を負うというのが立法府の責任だし、被害を広げて、加害者の側に加担してきた自民党の責任なんですよ。その自覚が余りにもなさ過ぎるんじゃないですか。
○柴山議員 まず、これまでの自民党と統一教会の関係が被害を広げてしまったのではないかという御指摘については、これは、岸田総理始め我々自民党としてしっかりと反省しなければいけない、このことは冒頭に申し上げたいというふうに思います。ただ、その上で、仮差押えがごく一部の、しかも、被害を後で申し出た人たちにとって全く効果がないというような御指摘は、これは当たらないというように考えております。仮差押えはあくまでも財産の流出を防ぐための暫定的な処理でありまして、仮差押えによって全ての教団の財産を仮差押えする必要はない。少なくとも、流出のおそれがあるものを必要な限度で押さえておけば、後に明らかになった場合に様々な、目録等の形で被害者の権利を満たすことは、これは可能である。そのための我々は十全な財産流出、逸失防止措置を取っているということを御理解いただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 ですから、そのやり方で、被害者の方々が、マインドコントロールが解散命令が出た段階で解けて、私も本当に人生何十年だまされていた、献金した一億円返してほしい、二億円返してほしい、あるいは、霊感商法でだまされて買った物、これを返してほしい、たくさんたくさん名のり出たときに、今の皆さんの民事保全のやり方だと、そこまでは補償し切れないでしょう。補償し切れると断言できますか。補償し切れますというのなら言ってください。言えないんだったら言えないと言ってください。
○柴山議員 保全財産からは満足を得られないかもしれませんけれども、流出されていない教団の財産に対して強制執行することはその段階ではできるわけです。あくまでも我々が提案しているのは、教団の財産から逸失して将来強制執行ができなくなるものについて、それを止めるということについて必要な措置をしているということは御理解をいただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 ですから、保全のものでは十分に満足に応えることができないとお認めになりました。そして、流出についても、告知すれば防げないじゃないですか、皆さんの法案では。告知したら全部、どんどんどんどん流出してしまうじゃないですか。それを全部止めようと思っても、現に被害を名のり上げている方々の部分しか民事保全では押さえられないんですよ。解散命令が出てマインドコントロールから目覚めた方々の分は保全できないじゃないですか。そのことを言っているんですよ、分かっているでしょう。分かっているのにもかかわらず、なぜ……(柴山議員「ちょっと答弁の機会を与えてくださいよ」と呼ぶ)質問しているんだから。分かっているのにもかかわらず、なぜちゃんと財産を保全しようとしないのか。だから統一協会との関係が切れていないんじゃないかと国民から見られてしまうわけですよ。本当に被害者救済をしっかり図るためだったら、今柴山議員がおっしゃったとおり、民事保全では満足に応えられないんですよ。満足に応えられないんです。おっしゃったとおりですよ。包括保全のためにちゃんと法整備しましょうよ。
○柴山議員 何度も申し上げているとおり、包括保全を採用したことによってそうした財産の流出が止まるということはありません。だから我々は、少なくとも我々の見解では、ありませんから、もし包括保全を講じることによって、それはもちろん、破産の開始決定があった場合とか、要するに会社更生法の定めに従えば、それはより強力な手続というものができますよ。だけれども、少なくとも今の段階では、そういうものを法的に整備するというのは理屈上はあり得ません。ですので、我々が今言っているのは、財産の流出を止める、そして将来の被害者の方々の請求に備える、今は申し出られないかもしれないけれども、将来の方々に備えるということを、これを十全化しようとしているわけです。それと、あと、さっきも再三言っているように、今の段階ではまだ申立てをされていない方々がいらっしゃるけれども、少なくとも、今被害が明らかになった方々がその流出を止めることができれば、今後そういった被害を明らかにした方々と、そういった既存の、既に被害が明らかになった方々が、皆さんがしっかりと、例えば、解散命令請求の後の清算手続によってきちんと債権届をできるとか、あるいは、それぞれが被害者弁護団の方々とともに訴訟することができるとか、そういうことはきちんとできるようになる。それからまた、届出をして流出することができるんじゃないかということをおっしゃいましたけれども、届出をして一か月以内に財産が流出するというものであれば、まさにそれは流出のおそれが高いわけですから、それについては個別保全をすることが、少なくとも既存の被害に基づいて十分にこれを確保することができるというふうに私たちは考えております。
○宮本(徹)委員 もう分かっていてそういう答弁をするのはやめてほしいんですよね。今名のりを上げている百二十四名の被害額は四十億円ですよ。しかし、一千億円を下らない、経済的被害だけでもあるんだということを弁連の皆さんはおっしゃっているわけですよ。四十億円の、今名のり出ている方々が、与党の皆さんの法案で後押しされて一生懸命民事保全をやったって、一千億円の被害者の皆さんの救済はできないんですよ。分かっているでしょう。分かっているからこそ、弁護団の方々はこういう声明を出しているわけですよ。
○武部委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。
○宮本(徹)委員 最後、これだけ申し上げて終わります。「意見が分かれて賛成多数で採決するようなことは決して好ましいことではなく、被害者救済が社会と国会の総意であることを示すためにも、全会一致で法律を制定していただくことを切望するものです。」「両案とも積極面を有するとともに、不十分な点も存するものと考えています。両案は必ずしも排斥し合うものではなく、両案の積極面を生かし、不十分な点を補うような建設的な議論と協議を期待します。」とあります。私も、全くそのとおりです、同感です。そのことを強く求めまして、質問を終わります。