2023年12月6日 衆院厚生労働委員会 生活保護裁判上告するな 宮本徹氏、自民の減額強行指摘

配付資料1 出典:東京新聞2023年12月1日
配付資料2 出典:いのちのとりで裁判全国アクション提供資料
配付資料3 出典:2023年9月29日第168回社会保障審議会医療保険部会資料
配付資料4 出典:2023年11月29日第171回社会保障審議会医療保険部会資料
配付資料5 出典:厚生労働省ホームページ、日経メデイカルホームページより宮本徹事務所作成
配付資料6 出典:「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」(2007年8月28日厚生労働省告示第289号)
配付資料7 出典:NHK2023年12月1日

 日本共産党の宮本徹議員は6日の衆院厚生労働委員会で、生活保護費減額取り消しと賠償を国に命じた名古屋高裁判決を受け、上告せず全面解決に向かうべきだと迫りました。
 宮本氏は「地裁判決は直近は原告の9勝1敗。なぜ国の敗訴が続いていると考えているのか」とただしましたが、武見敬三厚労相は「係争中のため差し控える」と答弁を回避しました。
 宮本氏は国の連続敗訴の背景には、自民党が2012年に生活保護基準10%削減を公約し、それに呼応し政府が恣意(しい)的な計算式で減額を強行したことがあると指摘。政府が当初、減額理由を「物価下落で可処分所得が増えたからデフレ調整した」と説明しながら、敗訴を重ねる中「国民との不均衡の是正を図った」と説明を変えたことをあげ、「当初の主張がもう通用しない。政治主導で行った間違いは政治主導で正せ」と強調しました。
 宮本氏は、75歳以上の医療費窓口負担を原則2割に引き上げる検討をしているとの報道について追及。昨年10月に年収200万円以上の高齢者が2割負担になった影響についてただすと、武見厚労相は「1割負担にくらべ受診日数が3・1%減少した。さらに詳細な分析をする」と述べました。
 宮本氏が、2割負担を社会保障の「改革工程表」に盛り込まないということかと重ねてただすと、武見厚労相は「現時点で(2割負担を)検討している事実はない」と答えました。

以上2023年12月7日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年12月6日 第212国会衆院厚生労働委員会第4号議事録≫

○田畑委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。冒頭、塩崎政務官に一問お伺いさせていただきます。安倍派の裏金疑惑というのがこの間報道されているわけでございますが、御自身について、政治資金パーティーでのキックバックがあるのか、そして、それについて政治資金収支報告書にちゃんと記載しているのか、お尋ねしたいと思います。
○塩崎大臣政務官 委員の御質問にお答えいたします。政治資金につきましては、法にのっとり適正に処理し、報告をしています。
○宮本(徹)委員 分かりました。それぞれの委員会でもしっかりただしていきたいと思います。大臣に質問していきたいと思います。名古屋高裁が、二〇一三年から一五年の生活保護費の減額は違法だとして、引下げを取り消し、国家賠償を命じました。厚労省は独自の物価指数を使うなどしましたが、これについて判決は、統計等の客観的な数値との合理的関連性及び専門的知見との整合性を欠いており、著しく合理性を欠くもので、裁量権の範囲を逸脱していることは明らかである、こう厳しく指摘をしているわけであります。二十二の地裁の判決が出ておりますが、原告の十二勝十敗ですが、ここのところだけ見れば原告は九勝一敗です。名古屋高裁も原告の逆転勝訴となりました。この流れはもう変わらないと思います。大臣にお伺いしますが、なぜ国の敗訴が続いているとお考えですか。
○武見国務大臣 平成二十五年から三年間かけて実施した生活保護基準の改定に関して、これまで、一高裁及び十地裁の判決では生活保護基準の改定が適法であると認められているが、一高裁及び十二地裁の判決では違法とされています。いずれの事案も判決は確定しておらず、訴訟係属中でございまして、係属中の訴訟に関する事柄においてはお答えは差し控えたいと思います。なお、今後の対応方針については、現在、判決内容の詳細を精査するとともに、関係省庁や被告自治体と協議をしておりまして、今後適切に対応してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 別にお答えを差し控えなくてもいいんですよね。なぜ負けているのか、負け続けているのか、ここをしっかり分析したら、私はとても続けるということにならないと思うんですよね。元々、何で負け続ける事態になったのかということを考えると、あの生活保護の引下げというのは出発点が間違っていたわけですよ。二〇一二年の総選挙で自民党が生活保護を一〇%削減すると公約して、この公約に基づいて生活保護基準を切り下げるために恣意的な計算式を作った。だから、裁判で説明すればするほど、国の説明は筋が通らない、こういう判断が下されているということだと思うんですよね。しかも、当初国は、国会でも裁判でも、物価の下落により可処分所得が増えた、だからデフレ調整をしたんだ、こう説明してきました。ところが、国側は、敗訴を重ねる中、目下の裁判では、一般国民との間の不均衡の是正を図ったと完全に説明を変えているんですね。当初の主張がもう通用しない、これは国も分かっていることなんじゃないですか。
○武見国務大臣 平成二十五年から三年間かけて実施した生活保護基準の改定に関する訴訟は、いずれも判決が確定しておらず、係争中でございます。係争中の訴訟に関する事柄については、お答えは差し控えたいと思います。
○宮本(徹)委員 ここで答えたくないのかも分からないですけれども、答えたらぼろが出るからということかも分からないですけれども、同じ破綻済みの説明を裁判でこれからも繰り返すんですか。生活保護は、国民の生存権を保障する根幹の制度ですよ。その根幹の制度が恣意的なやり方でねじ曲げられたという判決がずっと続いているわけであります。争い続けること自体が、私は、生活保障への国の信頼をますます損なうことになると言わざるを得ないと思います。政治主導で行った間違いは政治主導で正さなきゃいけないと思いますよ。ですから、今、どうするかということを考えているようですけれども、上告せずに本判決を確定させる、そして、原告、利用者の皆さんに謝罪をして、そして全面解決に向かっていくことを強く求めたいと思います。次の質問です。七十五歳以上の医療費の窓口負担の原則二割への引上げというのが検討されているという報道が続いております。資料三ページ目につけております。これは予算委員会でも紹介しましたが、昨年十月から年収二百万円以上の方などに二割負担が始まりまして、受診抑制が厚労省の調査でも起きております。大臣、これはどのような病気で受診抑制が起きているんでしょうか、つかんでいるんでしょうか。そして、収入の少ない方も含めて原則二割負担にすると、更なる受診抑制が起きて、健康に深刻な影響を与える、こういう認識はございますか。
○武見国務大臣 御指摘の後期高齢者医療制度の患者負担の原則二割化については、これは厚生労働省として現時点では具体的に検討している事実はございません。その上で、一定以上の所得がある方へ窓口二割負担の導入による受診行動への影響については、短期的なデータの分析はありますが、二割負担となった方は一割負担のままの方と比べて受診日数が三・一%減少しており、これは、二割負担導入時の想定した影響、マイナス二・六%とおおむね同程度であったとみなしております。今後につきましては、科研費等も活用した専門家による分析、研究なども通じまして、こうした受診行動への影響等については更に詳細な分析を行っていきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 受診行動への影響は詳細な分析を行うと。是非行っていただきたい。これは野党が元から求めてきたことですから、やっていただきたいと思うんですけれども、そうすると、それが少なくとも判明するまでは、今報道されているような、年末の改革工程表に、二割負担の拡大、こんなことは入れないということでよろしいですね。
○武見国務大臣 御指摘の患者負担の原則二割化等に関しまして、厚生労働省として現時点で具体的な検討をしているという事実はございません。
○宮本(徹)委員 ですからそれは、検討はしていないんですから、改革工程表に入れようなんて報道されているわけですから、それは、厚労大臣の立場としては入れさせないという思いだということでよろしいですよね。
○武見国務大臣 社会保障制度の改革工程について、現在、全世代型社会保障構築会議において検討中でございまして、昨日の経済財政諮問会議で示された素案においても、後期高齢者の医療費の窓口二割負担の拡大について、具体的な記載はされておりません。したがって、御指摘の後期高齢者医療制度の患者負担の原則二割化について、厚生労働省としては現時点で具体的には検討している事実はございません。
○宮本(徹)委員 よそから言われて、きっと財務省とかから流れているから、ああいうニュースが出ているんだと思うんですよね。ですから、そういうことは厚労省としては認めません、こう一言言っていただければいいんですよね、厚労大臣なんですから。なかなかそれは、ペーパー以上言えないようなので、次の問題に移ります。薬価の自己負担の見直しについてお伺いしたいと思います。今年の骨太の方針に、長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進めるとされ、医療保険部会でイメージが提示されております。資料の四ページ目です。後発品が存在する長期収載品について、選定療養の場合には窓口負担以外の患者負担を求める。選定療養の場合の保険給付の水準を決めて、資料でいえば水色の線ですけれども、そこより上の部分は十割負担、全額自費負担を求めるというものですね。新しい制度になった場合にどれぐらい自己負担が増えるのか、資料五ページ目に試算をしてみました。これは、二〇二二年、二〇二一年で、国内で内服薬の売上げ十位以内に入る製品で、後発品が存在する長期収載品、降圧薬のアジルバ、そして消化性潰瘍剤のネキシウムでございます。最大どれだけ高くなるのかということですけれども、アジルバを三十日間処方を受けたら、今は自己負担は三割負担で千二百六十一円ですが、新しい制度だと三千二百七十五円で二・六倍、年間にすれば二万四千百六十八円の負担増。同じくネキシウムは、八百十円が二千三百九円となって二・九倍、年間負担増は一万七千九百八十八円。もちろん、選定療養の場合の保険給付の範囲が議論中ですから、これは負担増の場合の上限ということになると思います。お伺いしますけれども、今後、このアジルバやネキシウムが処方された場合、現行に比べて数倍の薬剤費の自己負担になってしまうんじゃありませんか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。既に特許が切れまして、価格が安い後発品が存在する長期収載品の保険給付の在り方につきましては、イノベーションを推進するという観点から、現在、社会保障審議会医療保険部会等において検討が行われております。検討に当たりましては、まず、医療上の必要性が認められる場合には従来どおり保険給付を行うということにしつつ、患者自身の御希望で長期収載品を選択した場合については、一部の費用を選定療養と位置づけ、自己負担を求める方向で検討が行われております。現時点でその自己負担について具体的な内容などは決まっておりませんが、具体的な検討の観点としましては、メーカーの薬剤工夫などの付加価値等の評価の在り方、後発品への置き換えを進めるという観点、医薬品のアクセスへの配慮、こういった観点から適切な自己負担の水準の在り方について検討してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 二〇〇二年の健康保険法改正法の附則二条は、将来にわたって三割負担を維持する、こう規定しているわけですよね。長期収載品について、今後三割以上の自己負担にしようとしている、これは二〇〇二年の改正法違反ということになるんじゃありませんか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。御指摘の規定は、二〇〇二年の健保法等の改正において患者負担を三割に統一するに当たりまして附則に規定されたものでございます。これは、当時の国会審議において厚生労働大臣から、三割負担、つまり七割給付を一つの限界とするという認識が示されて、療養に要した費用に対する保険の中の給付割合について七割を維持するということを定めたものと承知してございます。今回の措置でございますけれども、これは、後発医薬品が存在する中においても患者の希望により選択されて使用される場合に関しまして、保険給付外の対応として、選定療養として負担を求めることを検討しているものでございまして、先ほど申し上げたような、附則二条に言うような保険の中の給付割合を狭めるものではないと考えてございますので、健保法附則第二条の規定に抵触するものではないと考えてございます。
○宮本(徹)委員 今、保険給付をやっている薬を、給付を外す、だから法違反じゃない、これは本当にひどいやり方だと言わなければならないと思いますよ。大体、患者の選択で先発品を選んだら給付から一部外すんだ、こういう話をするわけですけれども、先発品が処方される場合というのはいろいろなケースがあり得るわけですよね。例えば、後発品、ジェネリックに替えて効果が弱くなったと感じて薬局に相談したら、先発品に戻すこともできますよと提案されて、それならお願いしますと言うと、これは患者の選択だということで自己負担が増えちゃう。例えば、ぜんそくで使うホクナリンテープというのがありますよね、うちの子もお世話になりましたけれども。これは、先発品と後発品で治療効果が違うということが実際の研究でも示されているんですね。こうしたケースというのは、患者の希望であってもこんなのは医療の必要性があるというべきだし、患者の希望だ、患者の責任だということで、後発品との差額は自己負担せよ、最大自己負担せよ、こういうことはあってはならないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。まず、後発医薬品の承認審査に当たりましては、有効成分の含量とか不純物等の規格、それから、一定期間の品質を担保するための安全性、後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドラインに基づく同等性試験、こうしたデータに基づきまして、先発医薬品と後発医薬品が同等であるということを評価の上、承認を行ってございます。こうしたことを前提としまして、今回、長期収載品の保険給付の在り方の見直しの検討に当たりましては、こうした中で、医療上の必要性があると認められる場合等は保険給付をするという方向で医療保険部会において議論が進められております。医療上の必要性が認められる場合としましては、例えば、お医者さんが個々の患者さんに対しまして、その個々の症状に応じて、医療上の必要性があって、後発品への薬の変更が適当ではないと判断したような場合が該当するのではないかということが議論されております。引き続き、こうした医療現場での御意見なんかも踏まえまして考えていきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 先発品と後発品と、やはり使って違うという声も結構あるんですよ。(発言する者あり)お医者さんから、たくさんあるという声が出ていますよ。ですから、本当に、このまま薬の保険外しとやるのは、患者にとっても重大なことになりかねない。本当に、医療現場の皆さんの意見、そして治療を受けている患者の皆さんの意見もしっかり聞いて、こうした薬の保険外しは私はやめるべきだということを強く申し上げておきたいというふうに思います。続きまして、三報酬改定についてお伺いをしたいと思います。介護、障害福祉、地元の事業者を回っていましても、本当に人手不足が深刻です。全産業平均との七万円もの賃金格差を速やかに是正することが不可欠だと思います。資料六ページ目につけておりますが、これは厚生労働省の告示なんですね。社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針、この中で、給与体系の検討に当たっては、国家公務員の福祉職俸給表等も参考とすることという記載があります。大臣に確認したいと思いますけれども、国家公務員の福祉職俸給表での賃金が保障できるような介護報酬、障害福祉サービス等報酬に現状なっているでしょうか。大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 御指摘の福祉人材確保指針におきまして、経営者、関係団体等が取り組むべき事項として、キャリアと能力に見合う給与体系の構築、適切な給与水準の確保等を求めるとともに、給与体系の検討に当たっては、国家公務員の福祉職俸給表等も参考とすることとお示ししているところであります。これは、必ずしも福祉職俸給表と同等の給与水準等を求めているものではございません。いずれにせよ、介護、障害福祉分野における賃上げへの対応そのものは、これは喫緊の課題かつ重要な課題だというふうに認識をしております。このために、今般の経済対策におきましても、介護、障害福祉分野の人材確保に向けて必要な財政措置を早急に講じることとし、補正予算においてそのための必要な施策を盛り込んだところでございます。その上で、令和六年度の介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定において、必要な処遇改善の水準の検討に併せて、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築すべく、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 私の質問には直接お答えになっていないんですけれども、今の介護報酬、障害福祉サービス等報酬の水準というのは、国家公務員の福祉職俸給表等の賃金を保障できる水準になっていますかということをお伺いしました。端的にその点だけお答えください、時間がありませんので。
○武見国務大臣 先ほども申し上げたとおり、参考として我々は理解をしておりまして、同等というふうには理解しておりません。
○宮本(徹)委員 でも、参考に、そうした賃金体系にしてくれということを事業者に求めながら、その水準の介護報酬、障害福祉サービス等報酬をちゃんと保障していないというのは、これは大変大きな問題だと思うんですよね。やはりちゃんと、国が民間に参考にしろということを求めているんですから、国家公務員並みの賃金が保障できる、これぐらいの報酬はやるのが国の最低限度の責任だと思いますよ、告示で言っているわけですから。その上で、政府の今回の障害福祉分野の経営実態調査でも、職員が事業所平均一・一人減っておりました。大臣、これは賃金の低さで、そのことによって深刻な人手不足になって、若い世代が入職、定着するには大幅な賃上げが必要だということを示しているんだと思うんですね。そういう認識はあるのかというのをお伺いしたい。もう一点、今、処遇改善加算の一本化というのが事務負担の軽減で検討されておりますが、実は、事務負担が大き過ぎて、小さな事業所ほど一つの処遇改善加算も取れていないんですよね。ですから、全事業所の賃上げのためには、基本の報酬を抜本的に引き上げる必要があると思うんですね。この認識はあるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
○武見国務大臣 障害福祉分野におきます賃上げを始めとする人材確保への対応は、喫緊の重要な課題だというふうに認識をしております。このために、障害福祉分野において人材確保に向けて必要な財政措置を早急に講じ、補正予算において施策を盛り込みました。令和六年度の障害福祉サービス等報酬改定において、処遇改善加算の一本化、それから書類の簡素化といった加算取得の事務負担の軽減について検討するとともに、物価高騰、賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、そしてさらに利用者負担への影響などを踏まえまして、利用者が必要なサービスが受けられるように、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 その必要な対応の水準というのは、報酬改定、プラス一〇%ぐらいやろうということですかね。
○武見国務大臣 それは、今まだ数字を申し上げる段階ではありません。
○宮本(徹)委員 今、三年に一度ですから、物価も春闘も三%ずつ毎年上がっていて、三年だったら一割ですから、もし三年に一度の改定をするんだったら、そういうのはマストですよ。加えて、全産業平均との差というのを考えたら、それでも足りないぐらいと言わなければならないと思います。もう一点お伺いしますが、就労継続支援B型で、平均工賃額の多寡という成果主義による報酬の仕組みの強化が検討されておりますが、これについては、障害が重い人などが敬遠、排除されることにつながるのではないのかという懸念の声が上がっております。大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○武見国務大臣 御指摘の就労継続支援B型、障害の重さにかかわらず、様々な障害のある方を対象として、就労の機会を提供し、必要な訓練などを行う事業です。本事業の報酬につきましては、障害者の経済的自立を促す観点から、利用者の平均工賃月額等に応じた基本報酬により工賃向上に取り組む事業者を評価する一方で、重度の障害者の受入れに当たって一定程度の負担や体制整備の必要が生ずることなどを考慮をし、その受入れ等の評価をする加算を設けております。令和六年度障害福祉サービス等報酬改定におきましては、平均工賃の水準に応じた評価をよりめり張りのあるものとするとともに、多様な利用者に対応するために手厚い人員配置をした場合の評価、それから、障害特性等により月当たりの利用日数が少ない方にも配慮した平均工賃額の算出方式の導入などを検討しております。引き続き、重度の障害がある方を含めて、障害者がその希望や能力等に沿って働けるように支援をしていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 手厚い支援の評価というのは大事なんですけれども、成果主義で評価を強めるということになったら、これはどうしても、手厚い支援をしているところは基本の報酬のところが成果主義によってどんどん減っていく、小さくなっていくということが起きちゃうんですよね。ですから、本当に、障害福祉というのは成果で測る世界じゃないんですよ。一人一人の障害の特性に応じた支援をして、その方々が生きがいを持って生活して働けるようにしていく、ここが最大のメインなんですから、成果主義で測るというのは、私は福祉の考え方から反しているというふうに厳しく指摘しておきたいと思います。もう一点お伺いします。生活介護について、営業時間ではなく、サービス提供時間に応じた報酬体系の見直しというのが今検討されておりますけれども、例えば雪国では、冬場の送迎に時間がかかるために、冬は午後一時から送迎をスタートするケースもあるということを聞きました。問題が生じるんじゃないですか。
○武見国務大臣 生活保護の基本報酬について、今回の報酬改定は、利用者ごとのサービス提供の実態に応じた報酬体系とするために、障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおいて、基本報酬の報酬設定について、区分ごと及び利用定員規模別に加え、サービス提供時間別に細やかに設定することを見直しの方向性として示してあります。あわせて、利用者によって様々な配慮が必要なケースも考えられるために、あらかじめ個別支援計画に記載された支援時間で算定することを基本とするなど、実態を踏まえた措置を設けていくことも検討してまいりたいと考えます。
○宮本(徹)委員 ちょっと時間がないので、最後の問題についてお伺いします。診療報酬の改定です。大臣も、看護協会から直接、離職率が増加しているという話をお聞きになったと思います。人材流出が懸念されるという話も看護協会から大臣は聞かれたと思います。日本医労連の調査でも、今年三月までの一年間の退職者が前年度より増えた医療機関が三七%、退職者数を四月の入職者数で補えなかった医療機関が六四%に上っております。八割の看護師さんが心の中では仕事を辞めたいと考えており、その理由の一位は人員不足で仕事がきつい、二位は賃金が低いとなっております。こうした中で、資料七ページ目につけておりますけれども、医労連の記者会見で、冬の一時金、三割の医療機関で引下げ回答ということになっているんですね。大臣、なぜこうした事態が起きているというふうに認識されていますか。
○武見国務大臣 先ほど、生活介護というのを生活保護と誤って述べてしまったこと、ここで訂正させていただきたいと思います。なお、看護職員の離職について、日本看護協会の調査によりますと、看護職として就業中の方の退職したい理由への回答として、子育てや結婚が多いものの、二十代から三十代では、他の世代と比べて、他産業への転職を希望するためとの回答も多いということも承知しております。また、議員御指摘の日本医療労働組合連合会の調査について回答した組合のうち、三割以上が冬のボーナスの引下げを予定しているとの報道があったということも承知しております。冬のボーナスはこれから支給予定でありまして、現在は各医療機関においてそれぞれの経営状況等を踏まえ調整が行われているものと承知しております。看護職員の賃金水準は全産業平均に比べ高いものの、今年の春闘などを通じて各産業で賃上げが行われている中で、医療分野では賃上げが他の産業に追いついていない状況にあります。着実な賃上げにつなげていくことが重要だと認識をしております。
○宮本(徹)委員 周りは賃金が上がっているのに医療現場では賃金が上がらない、しかも、今年度からコロナ特例の報酬も小さくなり、そして補助金もどんどんなくなっている、そういう中で医療機関の経営も去年よりも悪くなってきているわけですね。そういう中で、こうした事態が起きているんですよ。ですから、抜本的な診療報酬の引上げを確保して、賃金が上がる状況をつくらなきゃいけないと思うんですよ。その認識はあるのかということを最後にお伺いして、質問を終わります。
○田畑委員長 宮本委員に申し上げます。もう時間が超えてございますので、答弁は求めません。次に、北神圭朗君。