2023年12月6日 厚生労働委員会 薬剤費負担数倍にも 後発品ある品目 宮本徹氏、撤回要求

 日本共産党の宮本徹議員は6日の衆院厚生労働委員会で、導入が狙われている後発品のある先発医薬品の窓口負担引き上げの撤回を求めました。
 新薬開発費の捻出を口実に、後発品のある医薬品が処方された場合に、先発品との価格差の一定部分を全額自己負担とすることが検討されています。その結果、薬剤費に対する実質的な自己負担は3割を大きく超え最大9割にもなります。
 先発品と後発品は同等とされていますが、有効成分の体内の濃度の違いや添加物などの変更は許容されています。臨床試験で効き目の違いが明らかになっている品目もあります。
 宮本氏は、この制度が実施されれば自己負担は最大、降圧剤のアジルバンは2・8倍、ネキシウムは3・1倍、ホクナリンテープは3・2倍との試算を示した上で、将来にわたって3割給付を維持するとした2002年の改定健康保険法付則2条違反になると指摘しました。
 伊原和人保険局長は、患者希望で先発薬が処方される場合、保険外給付として負担を求めるものであり付則2条違反には当たらないと答弁しました。
 宮本氏は「患者希望というが、効き目が弱いように感じて相談して処方変更したら患者希望とされる。自己責任として保険から外すのはやめるべきだ」と求めました。

以上しんぶん赤旗ホームページ2023年12月9日配信記事から抜粋

≪2023年12月6日 第212国会衆院厚生労働委員会第4号議事録該当部分抜粋≫

○宮本(徹)委員 ~略~ 次の問題に移ります。薬価の自己負担の見直しについてお伺いしたいと思います。今年の骨太の方針に、長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進めるとされ、医療保険部会でイメージが提示されております。資料の四ページ目です。後発品が存在する長期収載品について、選定療養の場合には窓口負担以外の患者負担を求める。選定療養の場合の保険給付の水準を決めて、資料でいえば水色の線ですけれども、そこより上の部分は十割負担、全額自費負担を求めるというものですね。新しい制度になった場合にどれぐらい自己負担が増えるのか、資料五ページ目に試算をしてみました。これは、二〇二二年、二〇二一年で、国内で内服薬の売上げ十位以内に入る製品で、後発品が存在する長期収載品、降圧薬のアジルバ、そして消化性潰瘍剤のネキシウムでございます。最大どれだけ高くなるのかということですけれども、アジルバを三十日間処方を受けたら、今は自己負担は三割負担で千二百六十一円ですが、新しい制度だと三千二百七十五円で二・六倍、年間にすれば二万四千百六十八円の負担増。同じくネキシウムは、八百十円が二千三百九円となって二・九倍、年間負担増は一万七千九百八十八円。もちろん、選定療養の場合の保険給付の範囲が議論中ですから、これは負担増の場合の上限ということになると思います。お伺いしますけれども、今後、このアジルバやネキシウムが処方された場合、現行に比べて数倍の薬剤費の自己負担になってしまうんじゃありませんか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。既に特許が切れまして、価格が安い後発品が存在する長期収載品の保険給付の在り方につきましては、イノベーションを推進するという観点から、現在、社会保障審議会医療保険部会等において検討が行われております。検討に当たりましては、まず、医療上の必要性が認められる場合には従来どおり保険給付を行うということにしつつ、患者自身の御希望で長期収載品を選択した場合については、一部の費用を選定療養と位置づけ、自己負担を求める方向で検討が行われております。現時点でその自己負担について具体的な内容などは決まっておりませんが、具体的な検討の観点としましては、メーカーの薬剤工夫などの付加価値等の評価の在り方、後発品への置き換えを進めるという観点、医薬品のアクセスへの配慮、こういった観点から適切な自己負担の水準の在り方について検討してまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 二〇〇二年の健康保険法改正法の附則二条は、将来にわたって三割負担を維持する、こう規定しているわけですよね。長期収載品について、今後三割以上の自己負担にしようとしている、これは二〇〇二年の改正法違反ということになるんじゃありませんか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。御指摘の規定は、二〇〇二年の健保法等の改正において患者負担を三割に統一するに当たりまして附則に規定されたものでございます。これは、当時の国会審議において厚生労働大臣から、三割負担、つまり七割給付を一つの限界とするという認識が示されて、療養に要した費用に対する保険の中の給付割合について七割を維持するということを定めたものと承知してございます。今回の措置でございますけれども、これは、後発医薬品が存在する中においても患者の希望により選択されて使用される場合に関しまして、保険給付外の対応として、選定療養として負担を求めることを検討しているものでございまして、先ほど申し上げたような、附則二条に言うような保険の中の給付割合を狭めるものではないと考えてございますので、健保法附則第二条の規定に抵触するものではないと考えてございます。
○宮本(徹)委員 今、保険給付をやっている薬を、給付を外す、だから法違反じゃない、これは本当にひどいやり方だと言わなければならないと思いますよ。大体、患者の選択で先発品を選んだら給付から一部外すんだ、こういう話をするわけですけれども、先発品が処方される場合というのはいろいろなケースがあり得るわけですよね。例えば、後発品、ジェネリックに替えて効果が弱くなったと感じて薬局に相談したら、先発品に戻すこともできますよと提案されて、それならお願いしますと言うと、これは患者の選択だということで自己負担が増えちゃう。例えば、ぜんそくで使うホクナリンテープというのがありますよね、うちの子もお世話になりましたけれども。これは、先発品と後発品で治療効果が違うということが実際の研究でも示されているんですね。こうしたケースというのは、患者の希望であってもこんなのは医療の必要性があるというべきだし、患者の希望だ、患者の責任だということで、後発品との差額は自己負担せよ、最大自己負担せよ、こういうことはあってはならないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○伊原政府参考人 お答えいたします。まず、後発医薬品の承認審査に当たりましては、有効成分の含量とか不純物等の規格、それから、一定期間の品質を担保するための安全性、後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドラインに基づく同等性試験、こうしたデータに基づきまして、先発医薬品と後発医薬品が同等であるということを評価の上、承認を行ってございます。こうしたことを前提としまして、今回、長期収載品の保険給付の在り方の見直しの検討に当たりましては、こうした中で、医療上の必要性があると認められる場合等は保険給付をするという方向で医療保険部会において議論が進められております。医療上の必要性が認められる場合としましては、例えば、お医者さんが個々の患者さんに対しまして、その個々の症状に応じて、医療上の必要性があって、後発品への薬の変更が適当ではないと判断したような場合が該当するのではないかということが議論されております。引き続き、こうした医療現場での御意見なんかも踏まえまして考えていきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 先発品と後発品と、やはり使って違うという声も結構あるんですよ。(発言する者あり)お医者さんから、たくさんあるという声が出ていますよ。ですから、本当に、このまま薬の保険外しとやるのは、患者にとっても重大なことになりかねない。本当に、医療現場の皆さんの意見、そして治療を受けている患者の皆さんの意見もしっかり聞いて、こうした薬の保険外しは私はやめるべきだということを強く申し上げておきたいというふうに思います。~以下略~