2023年12月12日 衆院本会議 松野内閣官房長官不信任決議案に賛成討論

 松野博一官房長官不信任決議案が12日の衆院本会議で、自民、公明の反対多数で否決されました。日本共産党、立民、維新、国民民主などが賛成しました。共産党の宮本徹議員は賛成討論で「パーティー券の不正は自民党全体が問われる疑惑だ。真相の徹底究明は国会の使命」だと強調しました。
 宮本氏は、安倍一強政治のもとで権力・権威をバックに企業・業界団体にパーティー券を売り、大量の金をつくってきたのではないかとし、「物価高騰で苦しむ国民そっちのけの『金まみれの政治』に国民の不信は極限に達している」と指摘。松野官房長官らは誰一人疑惑を明らかにしておらず、閣僚交代での幕引きは許されないと述べました。
 宮本氏は、パーティー券の不正は自民党全体の問題なのに、岸田文雄首相は疑惑解明に背を向け、説明責任をまったく果たしていないと批判。「松野長官をはじめ各派閥の事務総長経験者らを証人喚問し、真相を徹底究明することは国会に課せられた使命だ」と強調しました。
 宮本氏は、派閥への企業・団体献金は禁止されているものの、パーティー券購入は圧倒的に企業・団体によるもので、形を変えた企業・団体献金だとし、「その抜け道を悪用し、多額の裏金づくりが行われてきた」と批判。「企業は見返りを期待するから『対価』に見合わないパーティー券を購入する。金の力で政治をゆがめる企業・団体献金はパーティー券購入を含めすべて禁止すべきだ」と主張し、岸田政権の退陣を求めました。

以上2023年12月13日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年12月12日 第212国会衆院予算委員会第11号議事録≫

○井野俊郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。安住淳君外十八名提出、内閣官房長官松野博一君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

○議長(額賀福志郎君) 井野俊郎君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。内閣官房長官松野博一君不信任決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。稲富修二君。
〔稲富修二君登壇〕
○稲富修二君 立憲民主党の稲富修二です。私は、立憲民主党・無所属を代表して、内閣官房長官松野博一君不信任決議案について、提案の趣旨を説明します。(拍手)まず、決議の案文を朗読します。本院は、内閣官房長官松野博一君を信任せず。右決議する。以下に、本決議案を提案する理由を申し上げます。自由民主党における派閥の政治資金パーティーの問題、裏金づくりは、疑惑の域を超えて疑獄と言えるほど、近年まれに見る異常事態となっております。特に、清和政策研究会、いわゆる安倍派は、所属する議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入をキックバックし、派閥と議員の政治資金収支報告書にはいずれも記載せず、当然ながら所得としての申告もせず、納税もせず、裏金づくりをしていた問題が厳しく指摘されています。派閥全体での裏金は、五年間で数億円規模に上っていると報じられております。松野博一官房長官、西村康稔経済産業大臣、高木毅国対委員長、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長は、それぞれ多額のキックバックがあったと報じられております。政府・与党の幹部がそろって裏金を得ていたのであれば、政権そのものの正当性が疑われる事態です。今、多くの国民は、賃金が伸び悩み、それ以上に食料品や日用品が毎月のように値上がりする中、家計のやりくりをして、生活を守るために格闘しております。中小零細企業の多くの経営者は、政府が旗を振る賃上げは必要なことと分かりつつ、従業員の賃金を上げるためにどう原資を捻出するか、頭を悩ませています。経営においては、人手不足が直撃し、仮に賃金を上げてもなかなか人が集まらず、人材確保に苦労しています。コロナ禍三年の暗く長いトンネルを抜けて、ようやく日常の経済活動が戻りながらも、コロナ禍での借入金の返済に直面している方もいらっしゃいます。これが、私の知る国民生活の景色です。物価高と日々戦う国民にとって、また、こつこつ働いて真面目に税金を納めている国民にとって、また、従業員の賃上げに苦悩する経営者にとって、政治家の裏金づくりは想像も及ばない悪行であり、政治に対する国民の信頼は地に落ちたと言わざるを得ません。裏金づくりは、政治資金規正法違反はもちろん、脱税に当たるのではないかとの指摘もあります。派閥ぐるみで違法行為と脱税を繰り返していたとすれば、そもそも国会議員として不適格と言うべきです。自民党は、昨年の今頃、防衛増税を決めました。言うまでもなく、正しい納税をしない政治家に増税を決める資格はありません。国民への負担増を決める一方で、自らは裏金づくりに励む政治家が許されるわけがありません。特に、内閣の要たる内閣官房長官松野博一君の責任は極めて重大です。内閣官房長官は、総理大臣を補佐するとともに、内閣の情報を内外に発信する極めて重要な役割を担っています。しかし、今、内閣の発信者として、松野官房長官は全く機能しておりません。松野官房長官は、当初、官房長官記者会見において、安倍派の事務総長を経験していたことから、記者にキックバックの関与について質問をされた際に、この場は政府の立場としてお答えしているものと認識しており、私個人の政治活動に関わる事柄についてお答えは差し控えさせていただきますなどの回答を繰り返しました。政府の立場を盾にした、事実上の答弁拒否、説明責任の放棄にほかなりません。業を煮やした報道各社は、松野官房長官に事実関係の説明を求める要望書を提出しました。まずは、官房長官会見でキックバックの関与について説明すること、政府の立場で難しいのであれば、定例の官房長官会見とは別に記者会見を開くように報道各社は求めましたが、結局、今現在においても説明拒否を続けております。そのため、官房長官の定例会見では、記者から、官房長官の資質を問う声が続々と上がっております。以下、幾つか紹介をいたします。共同通信より引用いたします。官房長官は、例えば、大地震が起きた場合や北朝鮮から弾道ミサイルが発射された場合など、国民に直結する正確な情報発信を行う内閣の最重要ポストかと思います。長官御自身に疑念が生じている中、御自身で説明しない限り、国民も長官の発信に対する疑念を抱かざるを得ない状況にあります。官房長官を続投されるならば、自身の言葉でこの疑念を払拭すべきだと思いますが、この点、いかがですか。また、政府の立場として答えを控えるということでありますが、今、政治全体への不信が高まっていると思います。政府の立場としても対応すべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、回答しない官房長官の態度は、国内外問わずに、日本政府の信頼性への悪影響を及ぼすことのリスクがあると思いますが、それを認識していますか、何か責任を感じていますかなどといった声です。これらは野党議員の発言ではありません。全て、官房長官の定例会見における記者の言葉です。松野官房長官は、記者からも完全に信用を失ってしまったわけです。このような質問を連日受ける官房長官に、政府の情報発信者としての職責が果たせるわけがありません。松野官房長官は直ちに辞任するか、総理が決断をして官房長官を交代させるべきであります。松野官房長官は、国会においても同様の答弁拒否を繰り返しています。十二月八日に、官房長官が一千万円を超える裏金のキックバックを受け取ったと報じられた日の予算委員会においても、政府の立場から言及は差し控えるとの答弁を繰り返しております。立法府における国会の質疑においても、内外の情報を発信する定例会見においても、説明責任を放棄して、内閣の情報発信者としての機能は完全に停止しました。松野官房長官の言動は、国民の政治に対する信頼をますます失墜させております。FNNがこの週末に実施した世論調査では、松野長官の説明に納得できますか、納得できませんかという趣旨の問いに対して、納得できるとの回答が八・九%、納得できないとの回答が八七・四%でした。国民の九割近くが松野官房長官の説明に納得していません。記者からの信頼だけでなく、国民からの信頼を失った官房長官に職務を遂行することができるのでしょうか。政府の情報発信は、主に官房長官が担っております。国民の信頼を失った官房長官が、海外からも信頼されるはずがありません。松野官房長官がその職に居座り続ける限り、日本政府の国際的な信用も失い、国益をも大きく損ない続けると断ぜざるを得ません。岸田総理の就任以降、この二年余りで、大臣四人、副大臣二人、政務官三人、首相秘書官二人が辞任をしました。昨年、山際経済再生担当大臣は、旧統一教会との関係が相次いで指摘され、国民への十分な説明ができずに辞表を提出しました。葉梨法務大臣は、法務大臣の職務を軽んじるかのような発言が問題視され、辞表を提出しました。寺田総務大臣は、公職選挙法を所管する総務省の大臣であるにもかかわらず、自身の政治団体の政治資金の不適切な処理を指摘され、辞表を提出しました。秋葉復興大臣も、政治と金をめぐる問題で辞表を提出しました。同じ日に、差別的な発言を繰り返していた杉田総務政務官も辞表を提出されました。今年に入ってからも、岸田首相秘書官、荒井首相秘書官、秋本外務政務官、山田文部科学政務官、柿沢法務副大臣、神田財務副大臣が辞任をしました。たった二年で、これだけの政務三役や首相秘書官が辞任しているのです。この問題は、明らかに、適材適所の人事ができていない任命権者たる岸田総理にあるのではないでしょうか。松野官房長官も、残念ながら、結局、適材適所ではなかったということであります。物価高対策も少子化対策も経済対策も、全て決断が遅く、後手に回って批判されている岸田総理です。松野官房長官がその任にないのは明らかであります。官房長官自ら身を引くか、岸田総理は人事の過ちを認め、松野官房長官を更迭すべきです。国政の停滞は許されません。早急な決断を下すべきではないでしょうか。そもそも岸田内閣は、国民の声を聞く力も、政策を決定し遂行する能力もなく、国民の信任を失っていることが明白です。物価高対策も少子化対策も経済対策も、全て決断が遅く、後手に回り、増税か減税か、方向性も示せません。決断力がない岸田政権により、国民の生活はますます苦しくなり、内閣支持率は下がり続けています。そのさなかに、政治と金の問題が浮上しました。問題の真相を解明するどころか説明拒否を繰り返す官房長官の存在を見たとき、政治に対する不信が増大するのは当たり前です。説明責任を果たせない官房長官を替えることから、政治への信頼を取り戻す一歩目が始まるのではないでしょうか。しかし、今回の政治と金の問題について、自民党政権の下で真相解明が進むのか甚だ疑問ですし、自民党政権の自浄作用にはとても期待できません。東京地検特捜部が捜査していると報じられていますが、我々立法府としても、政治と金の問題について真剣に議論する必要があります。是非、この機会に、政治と金の問題を根本的に解決するための法整備など、立法府としての責務を果たそうではありませんか。国民は、失われた三十年を経て、我が国が海外の成長から取り残され、国力が相対的に低下しているのを感じています。海外からの多くの観光客で観光地がにぎわっているのを喜びつつ、日本の四季折々の自然や文化に魅力があるからだけでなく、日本が安価な観光先になってしまっているからではないかとも感じています。このままでは経済大国日本の国際的な存在感が低下するとの危機感を国民も共有しています。今まさしく、来年度予算の編成、税制改正、重要政策を決定する最も重要な時期です。日本再建のためには、国政の停滞は許されません。これまで述べてきたとおり、松野博一君は、内閣官房長官として明らかに不適格であります。岸田総理は、聞く力をまさに発揮すべきときです。そうでないならば、国民の政治への信頼を取り戻し、喫緊の内外の諸課題に対応するために、松野官房長官は直ちに辞任すべきです。本決議案に対する議員各位の賛同を心よりお願いして、趣旨弁明を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。井上信治君。
〔井上信治君登壇〕
○井上信治君 自由民主党の井上信治です。私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました松野官房長官への不信任決議案に対し、反対の立場から討論を行います。(拍手)我々は、今、世界的な物価高騰、厳しさを増す安全保障環境、少子化、人口減少など、歴史の転換点とも言える様々な変化に直面しています。岸田総理は、今国会の所信表明演説で、変化の流れを絶対に逃さない、つかみ取るとの決意を表明されました。我々政治家には、国民の不安にしっかりと寄り添うとともに、変化の流れの中にある希望を育て、未来へとつなげていく責任があります。与党も、そして野党の皆さんも、その思いは同じだと思います。自由民主党は、いま一度、政治は国民のものとの原点に立ち返り、政治家各々が緊張感を持って、一意専心、課題解決にひたむきに取り組んでいくことを、国民の皆様にお誓い申し上げます。先日来、大きく取り上げられている我が党の政策グループの政治資金パーティーの問題について、国民から厳しい目が向けられ、疑義が広がっていることは、我が党として大変深刻に受け止めております。この問題について、岸田総裁は、強い危機感の下、党として一致結束して対応しなければならないとの考えを示されております。そして、まずはその第一歩として、各政策グループの政治資金パーティーについて開催を当面見合わせるとともに、年末年始の行事なども自粛するとの方針を掲げ、党全体で共有したところです。今後、事態の進展をしっかり把握しつつ、問題点やその原因を明らかにした上で、二度とこのような問題が起こらないよう、我が党として、透明性を高める措置や再発防止策などにしっかりと取り組み、国民の信頼回復に努めてまいります。内閣官房長官は、内閣の重要政策に関する基本的な方針の企画立案や政策の総合調整を担う内閣官房、内閣府の事務を統括し、その機能を十全に発揮していくための重要なポストです。松野官房長官は、岸田内閣発足時から一貫して官房長官を務め、国内外の危機管理、政府のスポークスマン、政府部内や国会との総合調整といった、岸田内閣のまさに扇の要としての役割を果たしてこられました。この間、岸田内閣において、新型コロナ対応については、保健医療体制の強化やワクチン接種の推進、五類への移行など、感染症対策と経済社会活動との両立に向けた取組を的確に進めてきました。足下の急激な物価高に対しては、今般成立した令和五年度補正予算を含め、国民生活や事業者を守るため、累次の経済対策を実施してきました。さらに、新しい資本主義を実現するため、賃上げを含めた人への投資や官民連携による投資の促進、GX、DXの推進やこども未来戦略方針の策定など、我が国の未来を切り開くための政策も進めてまいりました。外交面では、ロシアによるウクライナ侵略に対し、G7を始めとする国際社会と結束をして、厳しい対ロシア制裁や強力なウクライナ支援を実施し、G7議長国として、広島サミットにおいて、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くとのメッセージを日本から世界に発信しました。また、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、いわゆる安保関連三文書の策定と防衛力の抜本的強化を進め、国民の命と日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くための取組を着実に進めてきました。これらの岸田内閣の成果は、先送りできない内外の諸課題に対し、岸田総理の下で、様々な関係閣僚会議の議長も務めつつ、複数の省庁にまたがる案件について円滑な政策立案の調整に努められてきた松野官房長官の存在が不可欠であったと言えます。危機管理対応も官房長官の重要な役割です。松野官房長官は、これまで、危機管理の要として、まさに昼夜を問わず、的確に、官房長官としての職責を果たしてこられました。今年は、北朝鮮が、ICBM級の弾道ミサイルを四回、人工衛星と称する発射を三回強行しました。また、梅雨前線や台風の影響により、各地で豪雨災害も相次ぎました。こうした事態が発生した際に、松野官房長官は、速やかに官邸に登庁され、情報収集を的確に行った上で、記者会見などで国民に適切な情報発信を行うなど、最前線で対応されてこられました。北朝鮮によるミサイル発射対応や災害の発生に伴い松野官房長官が行った臨時会見も、二十回以上に及びます。以上、るる述べてきましたように、松野官房長官は、岸田内閣の要として、政策に真摯に取り組んでこられており、官房長官として不信任には当たらないと考えております。今般の政治資金に関する問題をめぐって、いかなる事由であれ、国民の信頼を著しく損なったことは、我が党として猛省しなければなりません。自由民主党は、今後、強い決意と覚悟を持って、国民の皆様の信頼回復に努めるとともに、引き続き、先送りできない課題に一つ一つ愚直に、謙虚に取り組んでまいります。松野官房長官にあっては、岸田内閣の一員としてその職責を果たすに当たり、捜査に支障が出ない範囲の中で国民の皆様への説明責任を果たしていただくことを、我が党からも強くお願いしたいと思います。最後に、改めて、今般提出された不信任案に反対をし、粛々と否決していただくことをお願い申し上げ、討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 太栄志君。
〔太栄志君登壇〕
○太栄志君 太栄志です。私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました内閣官房長官松野博一君不信任決議案に賛成の立場から討論いたします。(拍手)松野官房長官は、派閥のパーティー収入を収支報告書に記載せず、五年間で一千万円以上をキックバックとして受け取り、裏金としていたことが報じられています。これが事実であれば、政治資金規正法違反であり、脱税に当たる犯罪行為です。松野官房長官は、国民に対してこの疑惑を説明する責任がありますが、国会での質疑においても、官房長官の定例記者会見においても、政府の立場や捜査中であることを盾に取り、説明責任を全く果たしていません。私は、内閣委員会や拉致問題特別委員会で、松野官房長官と、この一年、国民保護体制や拉致問題、安保関連三文書など、国民の命や安全に関わる議論を繰り返してきました。国会審議をより深めるために情報開示を求めてきましたが、残念ながら、官房長官からは十分な説明を得られませんでした。政府として、特に外交や安全保障において、機密情報が存在することは十分承知しております。しかし、民主主義において、国民の支持と理解を得るために、最大限、情報を開示し、真摯に国民と向き合うことこそが政治の要諦です。国民への説明責任を放棄し続ける官房長官の姿勢では、到底、国民の信頼を得られません。さらに、官房長官は、日本の危機管理の要です。国際情勢が不安定化し、大規模な自然災害がいつ発生してもおかしくない、まさに今、もし有事が起これば、御自身のことすら真っ正面から説明できない官房長官の言葉を、誰が信じることができますか。官房長官の不誠実な対応は、既に我が国の危機管理体制を揺るがせており、国民の命を危険にさらしています。国民を守るためにも、松野官房長官、即刻お辞めください。物価高により、国民の生活がますます厳しくなっています。地域を歩く中で、一千万円以上も裏金をつくっている官房長官を許せない、真面目に働き、真面目に税金を納めている国民の生活実感と余りにもかけ離れているといった声を、この週末も多く聞いてきました。国民の政治不信は極限に達していますが、松野官房長官は国民の声や怒りを聞いていますか。キックバックを受け取っていないと断言できないのであれば、やはり、これ以上、政治不信を招かないためにも、官房長官は辞任すべきです。さらに、松野官房長官が定例記者会見や予算委員会において答弁拒否を続ける姿勢は、政府の信頼を失い、国益を大きく損ねます。そんな官房長官は、政府の情報発信者として不適格です。キックバックについて、記者の質問に同じ答弁を繰り返す対応は、極めて不誠実です。国民に事実を説明しようとする姿勢が全く見られません。官房長官が一千万円を超える裏金のキックバックを受け取ったと報じられた十二月八日の予算委員会において、松野官房長官は、答弁を拒否し続けました。派閥において事実確認がされている最中であり、捜査が行われており、精査して適切に対応したいと繰り返すばかりで、真摯に答弁しようとする姿勢は全く見られませんでした。何も不都合がなければ、キックバックはなかったと答弁すれば済む話です。簡単なことです。松野官房長官の定例記者会見は、内閣の情報を内外に発信する極めて重要な場です。その記者会見においても、キックバックについて、記者の質問に一切回答しない。何を聞かれても、政府の立場として答えているので、個人の政治活動に関わる事柄についてお答えは差し控えるなどと繰り返す官房長官に対して、記者からは、回答しない官房長官の態度は、国内外問わずに、日本の政府の信頼性に悪影響を及ぼすことのリスクがあると思いますが、それを認識していますか、何か責任を感じていますかとただされる始末です。この問題は海外にも発信され、我が国の国際的な信頼も失っています。もはや、松野官房長官がその職にとどまり続けることが我が国の国益を失う結果になっています。職責を果たすことができない松野官房長官は、一刻も早く辞任すべきです。今回の裏金問題は、疑惑を超えて疑獄とも言われています。安倍派のパーティー収入のキックバックは、派閥全体で、五年間で数億円規模に上るとも報じられています。報道では東京地検特捜部も動いていると言われていますが、国民の政治に対する信頼を取り戻すために、立法府としても自浄作用を発揮すべきです。私たち立憲民主党は、議員立法の企業・団体献金禁止法案を衆議院に提出しています。私も、利益誘導や利権につながりかねない政治と金の問題を正すには、企業や団体からの献金を一切禁止することを訴えてきました。国民の政治への不信を解決するために、立法府は、真摯に自らの政治改革に取り組むべきです。そして、この問題を調査するために、総理は、自らの責任をもって自民党全議員の徹底調査をすべきです。岸田総理の任命責任も問われています。岸田総理の就任以降、二年余りで、計十一人もの大臣、副大臣、政務官、首相秘書官が不祥事で辞任しました。岸田総理は適材適所と言っていますが、松野官房長官も適材適所だと言い張るのでしょうか。これまで述べたとおり、松野官房長官は不適格であり、その職を続ける限り、国民の政治不信はより一層深まります。官房長官が自ら辞任しないのであれば、岸田総理は、国家国民のために、一刻も早く更迭すべきです。今こそ、岸田総理の決断力が問われています。総理、このまま旧態依然とした金権政治を続けていては、もうこの国はもちません。世界から更に取り残されてしまいます。国民の政治への信頼を取り戻し、国民的な支持の下に政権を運営する真の民主政治を我が国に根づかせなければなりません。内憂外患の今こそ、総理は、野党の声を聞き、国民の声に耳を傾け、日本の総力を結集し、オール・ジャパンでこの国難を乗り越えるときです。そのためにも、松野官房長官が直ちに辞任することを強く求めて、賛成討論といたします。御清聴ありがとうございます。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 三木圭恵君。
〔三木圭恵君登壇〕
○三木圭恵君 日本維新の会の三木圭恵です。私は、党を代表し、ただいま議題となりました松野博一官房長官に対する不信任決議案について、賛成の立場で討論をいたします。(拍手)松野長官におきましては、自民党の派閥による政治資金パーティーをめぐる問題で、重大な裏金疑惑が浮上しています。言うまでもなく、松野長官は内閣の要であり、政府のスポークスマンでもあります。自身に疑惑が向けられたならば、率先し、真摯かつ丁寧に説明してしかるべきです。しかしながら、松野長官は、連日の記者会見や、さきの衆参両院の予算委員会の集中審議で再三再四説明を求められながら、自身が所属する自民党安倍派が事実関係を精査中であることや司直が捜査中であることなどを理由に、何回も何回も、政府の立場としてお答えは差し控えると判を押したように答えるのみで、核心については口をつぐみ続けています。今国会では、ただでさえ、政治と金をめぐる問題で、法務副大臣と財務副大臣がきびすを接して辞任に追い込まれました。さらに、今回の自民党派閥の政治資金パーティーを舞台にした裏金疑惑が燎原の火のごとく広がり、国民の政治に対する不信と怒りは頂点に達しつつあります。そうであるのに、まさに政権の心臓部に身を置く官房長官が自らの疑惑に対して正面から答えられない逃げの姿勢は、大変残念でなりません。政策を遅滞なく推進するためには、政治への国民の信頼が不可欠です。目の前には内外の課題が山積しています。令和六年度予算案の編成作業は大詰めを迎えています。物価高を克服できるよう、賃上げを軌道に乗せなければなりません。少子化対策も待ったなしです。中国、ロシア、北朝鮮という核を持つ専制国家を隣に抱く日本にとって、外交や防衛力を着実に強化することも極めて重要です。自らの身を正すことさえできない政治家に、大改革など、重要な政策課題の実現など望めるはずもありません。岸田総理に対しては、国民の政治不信を払拭し、重要政策を確実に遂行、果たしていくために、企業・団体献金の完全廃止やパーティー券のルール厳格化などによって、今回の政治と金の問題が二度と起きないよう、早急に対策を講じることを強く求めます。国会から無駄を一掃する改革や、自民党の抵抗によって放置され続けているいわゆる旧文通費の使途公開、残金返納の義務化という、政治家としての当たり前の改革を成し遂げるよう切に訴えます。八日の予算委員会で、我が党の馬場代表が総理に、文通費改革を必ずやると岸田総理がお約束いただきましたら内閣不信任案には反対をします、お約束いただけますかと迫りましたが、総理は相変わらず明言されませんでした。そもそも、この旧文通費改革については、さきの通常国会において、自民党幹部と我が党との間で、めどがついたタイミングで改革を行うことで合意していたのを忘れてはいませんか。この期に及んで自民党が文通費改革に背を向け続けるなら、国民の政治不信は、増幅することがあっても和らぐことはないと考えます。是非、総理の決断を求めます。総理に決断を求めるのは、憲法改正についても同じです。憲法改正は、国民の信頼がなければなし得ません。総理は、来年九月までの自民党総裁任期中に憲法改正の実現を目指すと公言されていますが、今の自民党の状況では、とても憲法改正までの道のりは厳しいと言わざるを得ません。総理には、憲法改正に邁進していただくよう強く求めるとともに、この政治と金をめぐる問題を一刻も早く解明し、政治不信を招いたことへの説明と謝罪を行い、信頼回復することを強く求め、私の賛成討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 長友慎治君。
〔長友慎治君登壇〕
○長友慎治君 国民民主党の長友慎治です。会派を代表し、松野官房長官の不信任決議案に賛成の立場で討論いたします。(拍手)私は、二〇二一年十月三十一日に行われた第四十九回衆議院総選挙で初当選した一期生です。同年十一月十日に発足した第二次岸田内閣で内閣官房長官に再任された際、松野官房長官は、地盤、看板、かばんを持たず、日本で初めて公募制度から生まれた衆議院議員、料亭にほとんど行ったことがない、清廉で、たたき上げの、志の高い政治家と伺っておりました。私は、野党の一期生ではありますが、同じ大学の同じ学部を卒業した後輩として、いつか直接お話しする機会があれば御挨拶に上がりたい、そのような思いを抱いていました。しかし、この度の自民党の政治資金パーティー裏金問題をめぐり、一千万円以上のキックバックを受けた閣僚の一人として追及されています。安倍派の意思決定機関、常任幹事会に幹事として名を連ねており、官房長官としても、裏金問題の詳細について内閣の情報発信者として説明責任を負わなければならない立場にもかかわらず、今日まで、政府の立場としてお答えは差し控えたい、私の政治団体についても精査して適切に対応してまいりたいと考えておりますとの答弁を繰り返し、いまだ国民に対するその職責を果たしていません。その姿は後輩として見るに堪えず、心から残念でなりません。今、組織的な資金集めなどの派閥活動に国民の厳しい目が向けられています。自民党は、一九八九年のリクルート事件により国民の政治不信が極度に高まったことを受け、政治改革大綱を決定し、国民感覚とのずれを深く反省し、政治は国民のものと改めて宣言し、信頼回復を誓ったことを忘れたのでしょうか。派閥による資金調達の制限や党役員、閣僚らの派閥離脱などを掲げた文書を発表し、派閥の弊害除去を約束したはずですが、三十年以上がたち、当時掲げた脱派閥の理念は完全に忘れ去られてしまっています。政治資金の透明性の確保、派閥パーティーの自粛の徹底などをうたったにもかかわらず、今回明らかになったのは、完全な派閥政治の復活です。今朝の新聞には、安倍派閣僚ら十五人更迭などの見出しが掲載されていますが、岸田総理自身も、九月の内閣改造で各派の要望に基づいた人事を行い、それを適材適所とうそぶいたことが、今になって政権を直撃している有様です。今、国民が求めていることは、裏金疑惑を持たれた方のみそぎだと思います。潔く、正直に、全てを明らかにし、国民の信頼を取り戻さなければ、国民の政治不信はますます深刻なものとなり、この国は沈没する道を歩むことになりかねないと危惧します。私たち国民民主党は、どの政党とも等距離で政策ごとに協力してきましたが、その大前提となるのは、我が党が公約にも掲げる正直な政治が大前提です。不誠実で、正直ではない政党には厳しく対処します。官房長官という、内閣総理大臣臨時代理就任順位第一位という要職にある松野官房長官は、この度の不信任決議案を重く、重く受け止められ、国民に説明責任を果たされることを国民を代表して申し入れ、私の賛成討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 宮本徹君。
〔宮本徹君登壇〕
○宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、内閣官房長官松野博一君不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)日本共産党が発行するしんぶん赤旗の昨年十一月のスクープ報道が端緒となった、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑は、まさに底なしの様相です。ノルマ以上のパーティー券収入を派閥側も議員側も収支報告書に記載せず、裏金にする。安倍派による組織的な裏金化は、この五年だけで数億円の規模と報じられています。安倍一強政治の下で、桜を見る会、加計疑惑、森友疑惑など、行政の私物化が問題になってきました。その一方で、権力、権威をバックに、企業や業界団体にパーティー券を売りまくり、大量の裏金をつくって、うまい汁を吸ってきたのではないか。表に出せない金の使い方をしているのではないのか。企業、団体との汚い癒着が隠されているのではないのか。物価高騰で苦しむ国民そっちのけの金まみれの政治に、国民の不信は極限に達しております。岸田政権の中枢を担う安倍派幹部が、そろって裏金疑惑をかけられています。ところが、松野官房長官を始め、誰一人として裏金疑惑について明らかにしようとしておりません。安倍派閣僚らの交代が報道されていますが、臭い物に蓋をして幕引きを図ることは許されません。一体、誰の発案で、誰がどれだけ裏金をつくり、何に使い、何を隠してきたのか、全て国民の前に明らかにすべきです。安倍派だけではありません。麻生派についても、赤旗紙面で、ノルマを超えて販売したパーティー券のキックバックは裏金で渡していた、現金が入った茶封筒を手渡ししたと証言が報道されています。公訴時効かどうかにかかわらず、隠さず、真実を明らかにすべきです。二階派も岸田派も、パーティー券収入の過少記載が指摘されています。パーティー券をめぐる不正は、自民党全体の問題と言わなければなりません。岸田政権の中枢が関わり、自民党全体が問われる疑惑であるにもかかわらず、岸田総理は、疑惑解明に背を向け、説明責任も全く果たしておりません。今こそ、国会が真相究明の役割を果たさなければなりません。司直の捜査を理由に、説明を拒むことは許されません。松野官房長官を始め、各派閥の事務総長経験者らを証人喚問し、真相を徹底究明することは、国会に課せられた使命ではありませんか。今回の事態は、政治改革三十年のうそとごまかしが露呈したものと言わなければなりません。かつて、リクルート事件など金権腐敗事件が相次ぎ、政治改革と称して、企業・団体献金をなくすという口実で政党助成金が導入されました。ところが、企業・団体献金は政治家個人に禁止するといいながら、政党への企業・団体献金を容認し、企業、団体による政治資金パーティー券購入を認めるという二つの大穴を空けたのであります。派閥への企業・団体献金は禁止されているにもかかわらず、派閥のパーティー券を購入しているのは圧倒的に企業と団体です。政治資金パーティーを隠れみのにして、形を変えた企業・団体献金が行われてきました。しかも、二十万円を超えなければ購入者を収支報告書に記載する義務はない不透明な仕組みです。この不透明さと企業・団体献金の抜け道を悪用することによって、多額の裏金づくりが行われたわけです。そもそも、企業献金は本質的に賄賂性を持つものです。企業は、見返りを期待しているからこそ、対価に見合わないパーティー券を大量に購入し、企業・団体献金を行うのです。金の力で政治をゆがめる企業・団体献金は、パーティー券購入を含め、全て禁止すべきです。企業・団体献金にどっぷりつかり、国民の暮らしそっちのけで大企業、財界奉仕の政治を続け、疑惑解明に背を向ける岸田政権は退陣すべきです。以上申し上げ、松野博一君不信任決議案への賛成討論とします。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。氏名点呼を命じます。
〔参事氏名を点呼〕
〔各員投票〕
○議長(額賀福志郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。投票を計算させます。
〔参事投票を計算〕
○議長(額賀福志郎君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
〔事務総長報告〕
投票総数 四百四十四
可とする者(白票)       百六十六
否とする者(青票)      二百七十八
○議長(額賀福志郎君) 右の結果、内閣官房長官松野博一君不信任決議案は否決されました。(拍手)