2023年12月6日 厚生労働委員会 ケア労働 賃上げ必要 3報酬改定に宮本徹氏

 日本共産党の宮本徹議員は6日の衆院厚生労働委員会で、介護、障害福祉、医療の3報酬改定の引き上げによるケア労働者の大幅賃上げを求めました。
 厚生労働省告示は、社会福祉に従事する者の確保措置のために、「給与体系の検討に当たっては国家公務員の福祉職俸給表等を参考とすること」と記載しています。宮本氏は「国家公務員福祉職の賃金が保障できる介護報酬、障害福祉サービス等報酬になっているか」とただしました。
 武見敬三厚労相は、「参考として理解していて、必ずしも同等の給与水準を求めているものでない」と答弁しました。宮本氏は、事業者に参考を求めながら、その水準の報酬を保障していないのは大きな問題であると指摘。政府の障害福祉分野の経営実態調査でも職員が減っているのは賃金の低さによる人手不足であり、若い世代が入職・定着するには全産業平均の賃金への引き上げが必要であると迫りました。
 宮本氏はまた、看護師の離職率が増加している中、3割の医療機関で冬の一時金の引き下げ回答が出ているとの日本医労連調査結果を示し、賃上げできるよう診療報酬の引き上げを求めました。武見厚労相は「賃上げが他の産業に追いついていない。着実な賃上げにつなげることが重要」と述べました。

以上しんぶん赤旗ホームページ2023年12月16日配信記事から抜粋

≪2023年12月6日 第212国会衆院厚生労働委員会第4号議事録該当部分抜粋≫

○宮本(徹)委員 ~略~ 続きまして、三報酬改定についてお伺いをしたいと思います。介護、障害福祉、地元の事業者を回っていましても、本当に人手不足が深刻です。全産業平均との七万円もの賃金格差を速やかに是正することが不可欠だと思います。資料六ページ目につけておりますが、これは厚生労働省の告示なんですね。社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針、この中で、給与体系の検討に当たっては、国家公務員の福祉職俸給表等も参考とすることという記載があります。大臣に確認したいと思いますけれども、国家公務員の福祉職俸給表での賃金が保障できるような介護報酬、障害福祉サービス等報酬に現状なっているでしょうか。大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 御指摘の福祉人材確保指針におきまして、経営者、関係団体等が取り組むべき事項として、キャリアと能力に見合う給与体系の構築、適切な給与水準の確保等を求めるとともに、給与体系の検討に当たっては、国家公務員の福祉職俸給表等も参考とすることとお示ししているところであります。これは、必ずしも福祉職俸給表と同等の給与水準等を求めているものではございません。いずれにせよ、介護、障害福祉分野における賃上げへの対応そのものは、これは喫緊の課題かつ重要な課題だというふうに認識をしております。このために、今般の経済対策におきましても、介護、障害福祉分野の人材確保に向けて必要な財政措置を早急に講じることとし、補正予算においてそのための必要な施策を盛り込んだところでございます。その上で、令和六年度の介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定において、必要な処遇改善の水準の検討に併せて、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築すべく、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 私の質問には直接お答えになっていないんですけれども、今の介護報酬、障害福祉サービス等報酬の水準というのは、国家公務員の福祉職俸給表等の賃金を保障できる水準になっていますかということをお伺いしました。端的にその点だけお答えください、時間がありませんので。
○武見国務大臣 先ほども申し上げたとおり、参考として我々は理解をしておりまして、同等というふうには理解しておりません。
○宮本(徹)委員 でも、参考に、そうした賃金体系にしてくれということを事業者に求めながら、その水準の介護報酬、障害福祉サービス等報酬をちゃんと保障していないというのは、これは大変大きな問題だと思うんですよね。やはりちゃんと、国が民間に参考にしろということを求めているんですから、国家公務員並みの賃金が保障できる、これぐらいの報酬はやるのが国の最低限度の責任だと思いますよ、告示で言っているわけですから。その上で、政府の今回の障害福祉分野の経営実態調査でも、職員が事業所平均一・一人減っておりました。大臣、これは賃金の低さで、そのことによって深刻な人手不足になって、若い世代が入職、定着するには大幅な賃上げが必要だということを示しているんだと思うんですね。そういう認識はあるのかというのをお伺いしたい。もう一点、今、処遇改善加算の一本化というのが事務負担の軽減で検討されておりますが、実は、事務負担が大き過ぎて、小さな事業所ほど一つの処遇改善加算も取れていないんですよね。ですから、全事業所の賃上げのためには、基本の報酬を抜本的に引き上げる必要があると思うんですね。この認識はあるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
○武見国務大臣 障害福祉分野におきます賃上げを始めとする人材確保への対応は、喫緊の重要な課題だというふうに認識をしております。このために、障害福祉分野において人材確保に向けて必要な財政措置を早急に講じ、補正予算において施策を盛り込みました。令和六年度の障害福祉サービス等報酬改定において、処遇改善加算の一本化、それから書類の簡素化といった加算取得の事務負担の軽減について検討するとともに、物価高騰、賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、そしてさらに利用者負担への影響などを踏まえまして、利用者が必要なサービスが受けられるように、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 その必要な対応の水準というのは、報酬改定、プラス一〇%ぐらいやろうということですかね。
○武見国務大臣 それは、今まだ数字を申し上げる段階ではありません。
○宮本(徹)委員 今、三年に一度ですから、物価も春闘も三%ずつ毎年上がっていて、三年だったら一割ですから、もし三年に一度の改定をするんだったら、そういうのはマストですよ。加えて、全産業平均との差というのを考えたら、それでも足りないぐらいと言わなければならないと思います。もう一点お伺いしますが、就労継続支援B型で、平均工賃額の多寡という成果主義による報酬の仕組みの強化が検討されておりますが、これについては、障害が重い人などが敬遠、排除されることにつながるのではないのかという懸念の声が上がっております。大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○武見国務大臣 御指摘の就労継続支援B型、障害の重さにかかわらず、様々な障害のある方を対象として、就労の機会を提供し、必要な訓練などを行う事業です。本事業の報酬につきましては、障害者の経済的自立を促す観点から、利用者の平均工賃月額等に応じた基本報酬により工賃向上に取り組む事業者を評価する一方で、重度の障害者の受入れに当たって一定程度の負担や体制整備の必要が生ずることなどを考慮をし、その受入れ等の評価をする加算を設けております。令和六年度障害福祉サービス等報酬改定におきましては、平均工賃の水準に応じた評価をよりめり張りのあるものとするとともに、多様な利用者に対応するために手厚い人員配置をした場合の評価、それから、障害特性等により月当たりの利用日数が少ない方にも配慮した平均工賃額の算出方式の導入などを検討しております。引き続き、重度の障害がある方を含めて、障害者がその希望や能力等に沿って働けるように支援をしていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 手厚い支援の評価というのは大事なんですけれども、成果主義で評価を強めるということになったら、これはどうしても、手厚い支援をしているところは基本の報酬のところが成果主義によってどんどん減っていく、小さくなっていくということが起きちゃうんですよね。ですから、本当に、障害福祉というのは成果で測る世界じゃないんですよ。一人一人の障害の特性に応じた支援をして、その方々が生きがいを持って生活して働けるようにしていく、ここが最大のメインなんですから、成果主義で測るというのは、私は福祉の考え方から反しているというふうに厳しく指摘しておきたいと思います。もう一点お伺いします。生活介護について、営業時間ではなく、サービス提供時間に応じた報酬体系の見直しというのが今検討されておりますけれども、例えば雪国では、冬場の送迎に時間がかかるために、冬は午後一時から送迎をスタートするケースもあるということを聞きました。問題が生じるんじゃないですか。
○武見国務大臣 生活保護の基本報酬について、今回の報酬改定は、利用者ごとのサービス提供の実態に応じた報酬体系とするために、障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおいて、基本報酬の報酬設定について、区分ごと及び利用定員規模別に加え、サービス提供時間別に細やかに設定することを見直しの方向性として示してあります。あわせて、利用者によって様々な配慮が必要なケースも考えられるために、あらかじめ個別支援計画に記載された支援時間で算定することを基本とするなど、実態を踏まえた措置を設けていくことも検討してまいりたいと考えます。
○宮本(徹)委員 ちょっと時間がないので、最後の問題についてお伺いします。診療報酬の改定です。大臣も、看護協会から直接、離職率が増加しているという話をお聞きになったと思います。人材流出が懸念されるという話も看護協会から大臣は聞かれたと思います。日本医労連の調査でも、今年三月までの一年間の退職者が前年度より増えた医療機関が三七%、退職者数を四月の入職者数で補えなかった医療機関が六四%に上っております。八割の看護師さんが心の中では仕事を辞めたいと考えており、その理由の一位は人員不足で仕事がきつい、二位は賃金が低いとなっております。こうした中で、資料七ページ目につけておりますけれども、医労連の記者会見で、冬の一時金、三割の医療機関で引下げ回答ということになっているんですね。大臣、なぜこうした事態が起きているというふうに認識されていますか。
○武見国務大臣 先ほど、生活介護というのを生活保護と誤って述べてしまったこと、ここで訂正させていただきたいと思います。なお、看護職員の離職について、日本看護協会の調査によりますと、看護職として就業中の方の退職したい理由への回答として、子育てや結婚が多いものの、二十代から三十代では、他の世代と比べて、他産業への転職を希望するためとの回答も多いということも承知しております。また、議員御指摘の日本医療労働組合連合会の調査について回答した組合のうち、三割以上が冬のボーナスの引下げを予定しているとの報道があったということも承知しております。冬のボーナスはこれから支給予定でありまして、現在は各医療機関においてそれぞれの経営状況等を踏まえ調整が行われているものと承知しております。看護職員の賃金水準は全産業平均に比べ高いものの、今年の春闘などを通じて各産業で賃上げが行われている中で、医療分野では賃上げが他の産業に追いついていない状況にあります。着実な賃上げにつなげていくことが重要だと認識をしております。
○宮本(徹)委員 周りは賃金が上がっているのに医療現場では賃金が上がらない、しかも、今年度からコロナ特例の報酬も小さくなり、そして補助金もどんどんなくなっている、そういう中で医療機関の経営も去年よりも悪くなってきているわけですね。そういう中で、こうした事態が起きているんですよ。ですから、抜本的な診療報酬の引上げを確保して、賃金が上がる状況をつくらなきゃいけないと思うんですよ。その認識はあるのかということを最後にお伺いして、質問を終わります。
○田畑委員長 宮本委員に申し上げます。もう時間が超えてございますので、答弁は求めません。次に、北神圭朗君。