2024年2月6日 衆院予算委員会 裏金使途まで調査せよ 真相解明迫る

パネル 雇用調整助成金
パネル 物価上昇率と介護職賃上げ率
パネル 社会福祉法人全国社会福祉協議会提供資料
パネル 自由民主党「派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査」
パネル 岸田総理の政治団体の政治資金パーティ―収入の推移
パネル 河野洋平元議長の発言
パネル 海外の政党への企業献金禁止

以下2024年2月7日付赤旗日刊紙より抜粋

 「全てのうみを出し切らなければ政治の信頼回復はできない」―。日本共産党の宮本徹議員は6日の衆院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件の真相解明を求め、裏金づくりの動機や使途まで調査し、徹底的に明らかにすべきだと迫りました。岸田文雄首相は、全容解明に背を向ける答弁を繰り返し、不十分な調査のまま幕引きを図ろうとする姿勢が浮き彫りになりました。
 自民党は全所属国会議員を対象に、政治資金パーティー収入についての政治資金収支報告書への「不記載」を調査するアンケートを開始しています。
 宮本氏は、アンケートの項目が「不記載の有無」と「過去5年分の不記載額」だけで「アリバイづくりのためのようなアンケートだ」と批判。「いつから、いくら裏金をつくり、どう管理し、何に使ったのか、全貌を明らかにしなければならない」と迫りました。
 また、自民党の安倍派(清和政策研究会)が参院選の年には改選の参院議員にパーティー券の売り上げ分を全額キックバックしていた疑惑を指摘。選挙買収などの可能性も含めて裏金の使途を調査すべきだと主張しました。
 岸田首相は、「ご指摘の点も含めて、使途について聞き取りを行う」と述べました。
 宮本氏は、裏金の原資となったパーティー券の多くは企業・団体が購入していると指摘し、政治資金パーティーが事実上、違法な企業・団体献金の抜け穴になっていると追及。自民党の河野洋平元総裁の「企業献金が政策のゆがみを引き起こしている」との発言も示しながら、企業・団体献金が本質的に賄賂性を持つことを告発しました。消費税増税のたびに法人税減税が行われてきたことなどをあげ、「企業・団体によるパーティー券の大量購入がお金の力で政治をゆがめている」と述べ、パーティー券も含めた企業・団体献金の全面禁止を求めました。

≪2024年2月6日 第213国会衆院予算委員会第4号議事録≫

○小野寺委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、能登半島地震の被災者支援です。住まいとなりわいの再建へ、希望が持てる支援が必要です。商工会の方に伺うと、断水もあり、事業が再開できるまで長期間かかり、雇用の維持、従業員の確保で苦境に陥っています。助成金だけでは給料を賄えない、人材が流出したら事業が再開できなくなるので、休業補償を一〇〇%しているという事業所もあります。パネルを御覧いただきたいと思います。雇用調整助成金、今回はコロナのときより大変貧弱です。上限額は、コロナのときは一日一万五千円、今回は八千四百九十円。助成率も、コロナのときは最大十分の十、今回は中小企業でも最大五分の四。総理は、異例の措置もためらわずに実行するとおっしゃいました。総理、雇用を守り、人材を流出させないことは、なりわいの再建の大前提だと思います。コロナ並みに日額上限や助成率を引き上げるべきなのではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 被災地において今後の復旧復興に取り組んでいくためにも、雇用の維持、従業員の確保、これは重要な課題であり、雇用調整助成金について助成率や支給日数を引き上げるなどの特例措置、これは講じたところです。そして、委員の方から、コロナの特例措置との比較について御指摘がありましたが、お尋ねのコロナの特例措置については、コロナ流行下において国から事業者や国民に対し感染防止対策への強い要請を行う中で実施したものです。具体的には、日額上限の特例については、休業手当が支払われることを前提とした雇用調整助成金とは別に、休業手当が支払われない場合でも労働者に適切な支援が行われるよう新型コロナウイルス感染症対応休業支援金という特別な仕組みを創設した際に、休業を余儀なくされている労働者の雇用維持を支える両制度のバランスを確保する観点から、雇用調整助成金の日額上限、これを引き上げた、こういった経緯をたどりました。また、助成金の特例については、企業が休業手当を十分に支払える状況にしなければ労働者が安心して行動抑制をすることが困難であるということから、感染防止対策として、趣旨を踏まえて、特例的な助成率の引上げ、こういったことを行った次第であります。こうしたコロナ特有の事情において、御指摘の助成率、日額上限、こういったことの引上げが行われた、こういったことであります。同一に災害対応として論ずることはできませんが、今回においても様々な支援を行っている、細かい配慮を行っている、このことについては強調しておきたいと思います。長いと言うのでここで止めますが、こういった配慮も行っているということを申し上げた上で、コロナ対応との違いについて申し上げさせていただきました。
○宮本(徹)委員 コロナのときよりも、はっきり言って被災者の皆さんは大変じゃないですか。建物も機械も損傷して、ある意味、コロナよりも大変なんですよ。その大変さが全然総理は理解されていない。昨日、与党の被災地の議員からも同じ要望が出ていたじゃないですか。党派を超えて当然やるべきことだということで、やらなきゃいけないと思いますよ。コロナのときだって、いろいろなことがありましたけれども、先ほど言ったような話で引き上げたんじゃないですよ。私、この予算委員会でずっと議論を聞いていましたけれども、コロナのときに引き上げたのは、イギリスが休業補償を上限三十万やっているのに比べて低い、こういう指摘ががんがんやられて、当時の安倍首相も決断して引き上げたんですよ。全然経過も違うことを述べられて、やらない理由ばかり述べるのはやめてください。被災地の皆さんにちゃんと寄り添ってください。
○岸田内閣総理大臣 今回の特例措置においては、過去の災害の対応を参考としつつ、現地での休業による雇用維持だけではなくして従業員が二次避難を行っている場合等の出向を活用した雇用維持の助成も対象とする、また、被災企業がより制度を活用しやすいように休業等の規模が小さい場合でも助成の対象とする、こうした要件緩和も行っています。こうした、今回の災害の現地の事情にも細かく配慮した制度を用意しているということであります。先ほどのコロナの経緯については、先ほど説明したとおりであると私は認識しております。
○宮本(徹)委員 細かい配慮なんて、なっていないわけですよ。全然足りない。本当に、雇用の維持ができなかったら、人材が流出していったら、今、人手不足の時代なんですから、人材が流出したら事業を再建しようと思ってもできないですよ。是非、もっと被災地の皆さんのお話を聞いていただきたいと思います。今度の予算を見て驚いたことがあるんですよね。コロナのときに、雇用調整助成金のために労働保険特別会計に繰り入れておりましたが、今回、一千九百六十四億円を一般会計に戻すと。財務大臣、これは戻して何に使うんですか。
○鈴木国務大臣 ただいま御指摘のありました雇用調整助成金のコロナ特例に伴う一般会計負担分の返納金につきましては、令和六年度予算では、労働保険特別会計からの受入金として、防衛力整備計画対象経費の増額に充てる財源に活用することとしております。
○宮本(徹)委員 つまり、雇用調整助成金を引き揚げて、被災地のために使うんじゃなくて、防衛省予算の倍増のために使うという話ですよ。心を寄せるところが違うんじゃないですか。優先すべきところが違いますよ。そのことを厳しく指摘しておきたいと思います。次に、医療、介護、障害福祉の分野の賃上げについてお伺いしたいと思います。先日、地元で障害福祉の関係者の集いがありましたけれども、本当に人手不足、人材流出、深刻です。背景に、全産業平均より七万円も低い賃金があります。昨年の消費者物価は実質賃金に使う指数でプラス三・八%、二四年度の政府の物価見通しはプラス二・五%。少なくとも昨年、今年で六・三%上げないと物価には追いつかない。一方、昨年の春闘では、医療、介護、福祉の分野は置き去りになりました。介護分野ではベア〇・五%台、三分の二の事業所はベアはありませんでした。関係者の批判の中、来年度予算案で出てきたのはベア二・五%分ということでございます。総理、二・五%程度のベースアップ、賃上げでは、この間の物価にも追いつかず、人材確保の危機は解決できないんじゃないですか。全産業平均並みに引き上げるべきじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 介護、障害福祉、医療分野における賃上げを始めとする人材確保への対応については重要な課題であり、岸田政権としても、公定価格の見直しを掲げて、これまで累次の処遇改善を講じています。今般の介護、障害福祉、医療分野の報酬改定では、政府経済見通しで令和六年度の全産業平均の一人当たりの雇用報酬の伸びが二・五%と物価上昇率と同水準で見込まれる中、こうした見込みと整合的にベースアップを求めているところであります。令和七年度分を前倒しして賃上げいただくことも可能な上、ベースアップ分以外の賃金の伸びもあり得ますが、まずは、物価高に負けない賃上げとして、令和六年度、二・五%のベースアップ、これを実現してまいります。
○宮本(徹)委員 全産業平均が二・五%だから、介護、福祉も二・五だというんですけれども、去年は全然上げられなかったわけですよ。介護報酬も、診療報酬も、障害福祉の報酬の改定もなかったわけですから。その分を補わなければ人材流出が続くじゃないですか。その危機感が総理になさ過ぎると言わなければならないと思います。全産業平均へ引き上げることを重ねて求めておきたいと思います。加えて、重大なのは、今度の介護報酬の改定で訪問介護の基本報酬がマイナス改定になっている。パネルは、全国ホームヘルパー協議会、日本ホームヘルパー協会の政府宛ての抗議文であります。読みます。「訪問介護の現場従事者を代表して強く抗議します。」「もともと報酬単位が小さい訪問介護系サービスのみが引き下げられたことは、私たちの誇りを傷つけ、更なる人材不足を招くことは明らかで、」「このままでは、訪問介護サービスが受けられない地域が広がりかねません。」厚労省の調査でも訪問介護事業所の三六・一%が赤字なんですよ。この上、基本報酬を減らしたら、撤退する事業所が広がりますよ。総理、この訪問介護の基本報酬のマイナス改定は撤回すべきじゃありませんか。総理が手を挙げています。
○武見国務大臣 今般の介護報酬改定におきまして、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に進める観点から、訪問介護につきまして、基本報酬の見直しを行いつつ、処遇改善加算については他の介護サービスと比べて高い加算率を設定することとしております。また、特定事業所加算や認知症に関する加算を充実することなどにより、訪問介護は改定全体としてプラス改定としたところでございまして、住み慣れた地域でできる限り暮らしていただくために在宅サービスを整備していくという基本的な方針には変わりはございません。その上で、訪問介護を始めとした現場において、加算未取得の事業所は加算を取得し、既に取得している事業所は新たな処遇改善加算の体系に早期に移行していただくことで、介護職員の賃上げを実現できるよう、必要な対応を講じることとしております。また、加算の取得要件のうち、賃金体系の整備など導入に時間がかかるものについては、導入の好事例を分かりやすくお示しするなどして、早期の加算取得を支援する観点から、配慮措置を早急に検討していきたいと考えております。こうした取組などを通じて人材確保を進めて、誰もが住み慣れた地域で必要な介護サービスが安心して受けられる体制を引き続き整備していくというのが私どもの考えであります。
○宮本(徹)委員 小さい事業所ほど処遇改善加算も取れていないんですよね。いろんな加算をつくったって、それが取れない事業所からしたら、本当に事業所の経営は赤字が更に拡大する。去年、訪問介護事業所の倒産、過去最高ですよ。この上、基本報酬を減らしていくというのはあり得ない判断ですよ。今、国民に向かっても意見を求めるパブリックコメントの期間中ですから、是非、総理もこれは見直すという方向で決断をしていただきたいということを強く求めておきたいというふうに思います。先日、毎日新聞がダブルケアの初めての調査というのを発表しておりましたけれども、ダブルケア、子育てしながら親の介護をしている方が二十九万人もいらっしゃる。この上、ケアワーカーが更に不足して事業所が閉鎖していくということになったら、現役世代も介護離職が一層進んでいく。さらに、国民の皆さんの尊厳ある暮らしが維持できなくなる。本当にしっかり考え直していただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。続きまして、自民党の裏金事件について聞きます。金権腐敗を一掃する大前提は裏金事件の全容解明であります。いつから、幾ら裏金をつくり、どう管理し、何に使ったのか、全貌を明らかにしなければなりません。パネルにありますように、自民党が全議員アンケートを開始しましたけれども、項目は、不記載の有無と、過去五年分の不記載額だけなんですね。これだけですよ。まるで、全議員調査した、こういうアリバイづくりのためのようなアンケートにも映ります。私たち何度も指摘しましたけれども、しんぶん赤旗の報道では、五年より前に、麻生派が為公会の時代に裏金をキックバックしていた、こういう証言も報じてきたわけですね。にもかかわらず、なぜ、総理、これは五年分しか聞いていないんですか。
○岸田内閣総理大臣 お尋ねのアンケート調査については、刑事責任の有無に関わる過去五年分について調査することとした次第であります。そして、今、これで不十分だという御指摘がありました。これは、アンケートと並行して、党役員、外部の弁護士にも参加してもらって、聞き取り調査を進めてまいります。その中で、今日までの経緯と、そして使い道等についてもヒアリングを行いたいと思います。そのことによって全体の実態把握を行ってまいります。
○宮本(徹)委員 聞き取りは、安倍派、二階派の方々ですよね。麻生派は聞き取りの対象になっていません。私たちが何度も、証言もあるんじゃないかということをこの場でも指摘をしてまいりました。対象外になっちゃうじゃないですか、麻生派の過去の、裏金をつくってきたんじゃないかという疑惑は、今回のこのアンケートと今の聞き取り調査だけでは。どうされるんですか。
○岸田内閣総理大臣 刑事責任の有無に関わる五年間について調査を行っております。こうした具体的な書類の存在等を考えますときに、五年間においてまずは確認をした上で実態を把握していく、これがまず大事であると考えております。
○宮本(徹)委員 それは検察は、捜査機関ですから、公訴時効との関係で五年ですよ。しかし、政治的には、別に五年に限る必然性はどこにもないんですよ。書類の保存期間は三年ですからね。五年というのは、どこから来た五年なのかという話なんですよね。政治的な責任を取るというんだったら、五年よりも遡って調べるべきじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 まさに委員おっしゃった刑事責任の有無、そして書類の保存期間との関係等を踏まえて、五年という年月にわたりまして調査を行っているところであります。
○宮本(徹)委員 こういう、五年だけに限って、私たちが指摘した疑惑についても調べようともしない。これだと、幕引きを図るためのアンケートになっているじゃないですか。ちゃんと調べてくださいよ。もう一点、今度、聞き取りの問題についても聞きますけれども。安倍派議員らへの聞き取り調査についてでございますが、萩生田さんによると、二〇〇四年には裏金システムはあったそうでございます。いつ、誰が、何の目的で裏金システムをつくったのか、総額幾ら裏金をつくったのか、これは調べようとしているんでしょうか。これは会長案件だということを安倍派の幹部の皆さんおっしゃっている。今御存命の会長というのは森元首相ということになりますので、森元首相からも調査する必要があると思いますが、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました党幹部による聞き取り調査、外部の弁護士にも参加してもらって行っている聞き取り調査については、違法性の認識を含む不記載に至った経緯、また使途等についても確認を行っているところであります。派閥の幹部について聞き取りを行っていく予定ですが、聞き取りの範囲については、事実関係の把握の状況を踏まえて、適切に範囲を判断してまいります。
○宮本(徹)委員 昨日、立憲民主党の岡田幹事長からも同じ提起があったと思うんですよね。会長案件なんですから、森元首相に聞かなければ、真実は分からないはずです。なぜ昨日言われたのに、今日も全く同じ答弁をされるんですか。
○岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、聞き取り調査を進めてまいります。そして、その必要に応じて、そして事実関係の把握に応じて、必要な範囲に、聞き取りの範囲を判断してまいります。
○宮本(徹)委員 会長案件だと言われているわけですよ。必要な範囲に森元首相が現時点で入っていないこと自体がおかしいんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 今、聞き取りを進めています。そして、聞き取りを行っている外部の弁護士を始め関係者、党の役員を始め、参加している関係者において、聞き取りの対象については判断をしております。必要に応じて対象範囲、判断してまいります。
○宮本(徹)委員 だって、今週で聞き取りするわけですよね。あと数日しかないのに、早く連絡を取らないと、今週終わっちゃうじゃないですか。聞き取りもせずに、また中途半端なまとめが出てくるということになるんですか。そういうことになったら、まともな予算委員会の審議にならないですよ。そこをちゃんと自覚しておいていただきたいと思いますね。委員長、裏金事件の全容解明のために、森元首相の証人喚問を求めます。
○小野寺委員長 理事会で協議いたします。
○宮本(徹)委員 下村議員が記者会見で、安倍元総理が亡くなった翌月、還付について幹部で協議し、そこで、還付については個人の資金集めパーティーのところに上乗せして、収支報告書で合法的な形で出すということもあるのではないかという案があったと述べておられます。合法的な形で出すという発言は、この発言した本人に裏金の違法性の認識があった、そして、その場に同席された皆さんも違法性の認識があったということになると思います。自民党の聞き取り調査では、下村議員、安倍派座長の塩谷議員、そしていわゆる安倍派五人衆への聞き取りというのはもう行ったんでしょうか。そして、その際、違法性の認識については聴取されたんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 実際、聞き取り調査、誰を対象にして、どこまで進んでいるか、私は承知しておりませんが、使途ですとか経緯ですとか、全体を把握する上で必要な対象に対して聞き取りを行い、今申し上げた点について確認を行うものと承知をしております。
○宮本(徹)委員 今申し上げた点について確認を行うというのは、私が指摘した下村さんの記者会見での発言について、その場にいられた皆さんの違法性の認識があったかどうかについても確認をするということでよろしいですね。
○岸田内閣総理大臣 個別の事項については申し上げませんが、お金の使い道、そしてこういった事態に至った経緯、こういったことについて聞き取りを行うということを、党役員、関係者としては考えております。
○宮本(徹)委員 違法性の認識について言明されないのはなぜですか。
○岸田内閣総理大臣 違法性の認識等も経緯という中に含まれると考えます。
○宮本(徹)委員 では、しっかりと聞き取りをしていただきたいと思います。加えて、解明が必要なのは裏金の使途ということになります。安倍派は、二〇一九年、二〇二二年の参院選の年は、改選となる参議院議員に集めた全額を裏金としてキックバックしていたとされます。これは、選挙で表に出せない金として使えということなんじゃないでしょうか。朝日新聞の報道では、ある安倍派の参院議員は、裏金を自らの選挙に使った、自民党の地方議員について、ぐれん隊みたいな人ばかり、お金がないと動いてくれない、こう述べている。買収も疑われる発言だと思います。この聞き取りの中では、使途、選挙に使ったのか、公選法違反はないのかというのは当然聞かれているということでよろしいですね。
○岸田内閣総理大臣 使途についても聞き取ると報告を受けています。
○宮本(徹)委員 ですから、具体的な証言が朝日新聞で報道されているわけですよ。ただ、名前が出ていないんですね、安倍派の中堅の参議院議員としか書いていません。ただ、選挙で使った、ここまでは書いてあるわけですよ。裏金を選挙で使うといったら、それは当然、表に出せない使い方をしたということでしょう。これは、政治資金規正法違反だけじゃなくて公選法違反にも問われる事態なんですよ。そういうことも含めて、うみを出す調査をやろうとされているのかというのをお伺いしているんです。
○岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたアンケートと併せて、外部の弁護士にも参加をしてもらい、聞き取りを行っております。そして、その上で、聞き取りを行った上で、第三者によって取りまとめを行ってもらう、こうした取組を今予定しております。
○宮本(徹)委員 お答えになっていないんですけれども。具体的な証言が新聞報道にも出ているわけですから、参議院議員、二〇一九年、二〇二二年、どちらの改選組か分かりませんけれども、選挙に使った、こういう証言があるんですから。そういう可能性がある方々については、しっかりと、選挙に使ったのか、何に使ったんだと具体的にただす必要があるのではないかと申し上げています。使途を聞くというのは、ちゃんともっと、ずばっと差し込む形で、選挙に使っていないのかというのをちゃんとただすということでよろしいですね。
○岸田内閣総理大臣 使途についても確認すると申し上げております。御指摘の点も含めて、使途ということについて聞き取りを行います。
○宮本(徹)委員 選挙に使ったかどうかという点も含めて聞き取りを行うということであります。この間、地方議員に現金をばらまいた選挙買収事件として、二〇一九年、参院選における河井克行元法務大臣夫妻の事件がありました。このときは、地方議員ら百人に選挙運動の現金として計二千八百七十一万円渡っております。この選挙では河井陣営には様々なお金が、裏金的なものじゃないかというのも含めて渡っているという報道もなされてきたわけですね。そうすると、私、公選法違反の疑い、裏金の使い道ということを考えたときに、それぞれ議員に聞くと同時に、もらった側ですね、地方議員はお金がないと動いてくれないという証言もあるんですから、地方議員の側にも、この際、調査する必要があるんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 今、党として、関係議員に対してヒアリングを行っております。実態を把握するための範囲については、この聞き取りの進捗状況を見ながら判断をいたします。
○宮本(徹)委員 本当に、選挙に使われたんじゃないかということも調べられるということをおっしゃったわけですから、配った側は違法性の告白はなかなかしづらいかも分からない、もらった側も違法性の告白はしづらいかも分からないですけれども、全てのうみを出し切るという立場でやらないと、信頼回復できないですよ、たくさんの証言がこの間報道されているわけですから。その証言が本当なのかどうなのかというのも含めて調べないと駄目だということを厳しく申し上げておきたいというふうに思います。次ですけれども、この裏金の原資となったパーティー券を誰が買っているのかということになります。いろいろな政治資金パーティーを見ても、二十万円以下は記載義務がないので全く不透明ということになっております。ただ、派閥の政治団体も、国会議員の政治団体も、政治資金規正法ではその他の政治団体となっていますから、企業・団体献金はそもそも禁止されているわけですね。そこで、お伺いしたいと思います。岸田派の宏池政策研究会は、二〇二二年に開催した政治資金パーティーで一億八千三百二十八万円の収入を得ているわけです。このパーティー券の収入金額のうち、個人による購入の合計額、そして企業、団体、この団体には業界の政治団体も入れてほしいですけれども、企業、団体による購入の合計額、それぞれ幾らでしょうか。五日前に通告しておりますので、計算できていると思います。
○岸田内閣総理大臣 宏池会における政治資金については、政治資金規正法の定めに従い、公開すべきものは全て公開しております。それ以上の事柄についてお答えは控えます。
○宮本(徹)委員 驚きの答弁ですね。私、時間がなくて間に合わないという答弁が返ってきたらまずいと思って五日前に通告したのに、調べようともしない。大体、自民党の政治刷新本部で、これから各党と協議して制度面も改善しよう、公開性を高めていこう、こういうことを皆さん出されているじゃないですか。率先してまず公開性を高めたらいいじゃないですか。別に個別の企業名を出せなんて言っているわけじゃないですよ。個人がどれぐらいなのか、企業、団体がどれぐらいなのか、これぐらいの数字もなぜ言えないんですか。
○岸田内閣総理大臣 政治資金に関しましては、政治活動の自由と透明性の確保、この両立の中で議論が行われ、今日法律ができている、それに基づいて各党そして各政治団体も政治資金について公開をしている、こういったことであります。これまでの議論の積み重ねである共通のルールに基づいて公開すべきものであると考えます。公開すべきものについては、法律に基づいて公開をしております。
○宮本(徹)委員 これだとこの先の議論が思いやられますね。各党と協議して政治資金規正法を改正していく、公開性を高めていくと。今以上公開する気がない方々と議論して、何か政治資金規正法は前に進むんですか。まず自ら率先して公開していく姿勢に立つべきじゃないですか。ちなみに、かつて稲田朋美議員がパーティーを中止したことがございます。その際、パーティー券代を返金したことが収支報告書に記載されています。返金額は一千五百万円余り、このうち企業、団体、業界の政治団体は一千二百万円以上、八割近くということなんですね。恐らく岸田さんの宏池会のパーティーもそうなんじゃないですかね。パーティーを開いているのは派閥だけじゃないですよね。二〇二二年の自民党の六派閥の政治資金パーティーの収入は十億円余りですけれども、二〇二二年の全国の政治資金パーティーの収入総額は百八十一億円ですから、圧倒的に国会議員や政治家個人の政治団体のパーティーの方が多いわけであります。パネルは、岸田総理の政治団体である新政治経済研究会のパーティー券の売上収入の推移でございます。二〇一四年は六千八百四十八万円だったのが、どんどんどんどん増えて、二〇二二年は一億五千五百九万円、倍増以上に増えているんですよ。誰が買ってくれているんですかね。もう一度お伺いしますよ。今度は宏池会じゃないですから、岸田総理の政治団体ですから、岸田総理御自身の判断でこれは公開できるはずです。二〇二二年に開催した政治資金パーティーのパーティー券の収入金額のうち、企業、団体による購入の合計額、これは幾らですか。これは総理の決断で出せるはずです。
○岸田内閣総理大臣 政治資金については、共通のルールに基づいて、透明性を図っていかなければなりません。政治資金規正法の定めに従い、御指摘のパーティーについても公開すべきものは公開しております。それ以上の事柄についてはお答えを控えます。
○宮本(徹)委員 たくさんたくさん増えた中身が企業や団体からのパーティー券の購入だとばれることがそんなに怖いことなんですか。
○岸田内閣総理大臣 政治資金をめぐる議論については、政治活動の自由と透明性の確保の両立の中で議論が進められ、各党が参加した上で各党共通のルールが定められています。そのルールに従って公開することが重要であるということを申し上げております。
○宮本(徹)委員 初めに申し上げましたけれども、政治資金規正法で企業や団体が献金できるのは、政党と政党支部、そして政党の政治資金団体だけであって、派閥の政治団体や議員の政治団体は企業・団体献金は受けられないんですよ。ところが、パーティー券を買っているのは企業、団体が多数だと。これは、事実上、企業・団体献金の抜け穴に政治資金パーティーがなっているということなんじゃないですか、総理。
○岸田内閣総理大臣 企業・団体献金と政治資金パーティー、これは、そもそも献金とそして事業収入の違いはあります。しかし、それも含めて、企業、団体からのお金についてどのようなルールを作るのか、こういった議論は行われるべきであると考えます。
○宮本(徹)委員 事実上の企業・団体献金の抜け穴に政治資金パーティーがなっているのははっきりしていると思います。パーティー券の購入も含めて企業・団体献金を禁止すべきだと私たちは申し上げておりますけれども、それを厳しく求めていきたいと思います。二月四日付の赤旗日曜版によりますと、記者の取材に対して、ゼネコン関係者がこう証言しています。岸田さんがパーティーを開く際、岸田事務所の、Y秘書にしておきます、新聞報道は実名が出ておりますが。Y秘書が、ゼネコン各社の担当部署を訪れ、多いところで二万円のパーティー券を三十から四十枚置いていくと聞いている。ゼネコン本社は大口購入者として公表されない二十万円分を買い、残りは関連会社が買うようにしている。総理、これは事実でしょうか。
○岸田内閣総理大臣 そのような、報道のような事実はないと報告を受けております。
○宮本(徹)委員 それでは、これはゼネコン関係者が虚偽の証言をしたという理解ですね。
○岸田内閣総理大臣 報道の中身については申し上げません。しかし、御指摘のような事実はないという報告を受けております。
○宮本(徹)委員 じゃ、売り方については聞きませんが、ゼネコン各社に回ってパーティー券をお願いしているというのは事実なんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 どなたにパーティー券を買っていただいたか、これについては、政治資金規正法に従って、公開すべきものは公開しております。
○宮本(徹)委員 ゼネコン各社にたくさん買ってもらっているかどうかについても、お答えを避けようとされる。何かやましいことがあるんですか、隠さなきゃいけないような関係が。日本建設業協会九十三社の国からの受注は、二〇二二年、二兆五千六百億円、二〇二三年は二兆九千八百億円ですよ。公共事業の受注の見返りとしてパーティー券を売りつける、献金を求める、まさに利権政治だと言わなければなりません。こうした癒着構造があるから、人口減少社会なのに浪費型の大型開発が止まらないんじゃないかと言わざるを得ないと思うんですね。そもそも、今日午前中からの議論もありますが、企業・団体献金というのは本質的に賄賂性を持っております。衆議院が年末に河野洋平元議長のオーラルヒストリーを公表されました。河野元議長は、三十年前、自民党総裁で、政治改革のいわゆる総総合意の当事者です。こう言っているわけですね。この頃は、企業献金が多いから税制を始めとしていろいろな政策がゆがんでいる、庶民から企業の方へ政策のウェートがかかって、企業献金が政策のゆがみを引き起こしているから、それをやめろということだったのに、それが今またああいうふうになっているというのは、本当におかしいと思いますね。こうおっしゃっておられます。河野元議長のおっしゃるとおりじゃないですか。消費税増税のたびに法人税減税が繰り返されました。そして、今度の予算の税制改正も、自民党自身が、法人税減税はもう賃上げに回らない、失敗だと総括しながら、法人税減税の大盤振る舞いが続いている。総理、企業・団体献金、企業、団体によるパーティー券の大量購入が、お金の力で政治をゆがめているんじゃありませんか。企業・団体献金はパーティー券の購入も含めて全面禁止すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 まず、河野元衆議院議長の発言については、御自身のお考え、政治経験を述べられたものと考えますが、詳細について承知しておりません。お答えは控えます。その上で、政党助成制度は、政党が民主主義の重要な担い手であることに鑑みて、その費用を国民全体で負担するために導入された。そして、それと併せて、企業・団体献金の在り方については、各党間で議論をし、合意に至らなかったものであると承知をしております。そして、今、企業・団体献金について、また大きな指摘を受けている。各党共通のルールとして、この問題についても議論をする、このことについて自民党として貢献をすることは考えてまいります。
○宮本(徹)委員 企業・団体献金がお金の力で政治をゆがめている、これが河野元議長の指摘の中心点ですよ。その認識、総理にございますか。
○岸田内閣総理大臣 企業・団体献金については、政党等の政治団体の自由の問題と、そして企業等の政治に対する働きかけ、あるいは寄附、こうしたことに関する自由の問題、こうしたものが絡んでいると思います。いずれにせよ、今日までの議論の中で今日の姿があります。引き続きこの問題について議論を行うこと、これは政治の立場から重要であると考えます。
○宮本(徹)委員 企業・団体献金は、やはり見返りを求めて企業が出すわけですよね。パーティー券を何で山のように買うのか、それは当然、見返りを求めて買うわけですよ。今日、私、総理のパーティー券の収入、政権復帰後しか書いていないですけれども、野党時代のパーティー券の収入、もっと少なかったですよね。政権に就いていなかったから、見返りがないから、パーティー券もたくさん企業、団体に買ってもらえなかった。やはり企業は見返りを求めて企業・団体献金をするし、皆さんのパーティー券を山のように買うんですよ。だから政治をゆがめる。エネルギー政策だってそうじゃないですか。気候変動の問題、この間、COP28がありましたよ。化石燃料から脱却しよう、こういうことが確認されたのにもかかわらず、化石燃料、石炭火力発電、日本はやめようとしない。そういう背景に、関連企業からの献金やパーティー券の購入があるんじゃないですか。だから、企業・団体献金は駄目なんだということを私たちは申し上げているわけです。最後に聞きますけれども、河野洋平元議長はこうも言っているわけですね。トップ会談で決めたのは企業献金をやめること。企業献金の廃止は、個人献金に振り替えろという話はなかなか難しいだろうから、企業献金をやめて公費助成にしようということでした。だから、公費助成が実現したら企業献金は本当は廃止しなきゃ絶対におかしいんですよと。この三十年、政党助成金と企業・団体献金の二重取りがずっと続いてきました。歴史的経過からいっても、これ以上二重取りを続けることは許されないんじゃないですか、総理。
○岸田内閣総理大臣 民主主義のコストをどのように支えていくのか、負担していくのか、こういった議論の中で、かつて政党助成金が導入された当時も、個人献金と企業・団体献金と政党助成金、この三つのバランスが重要であるという議論が行われていたことを私は記憶をしております。そういった議論も含めて、様々な議論が行われ、今日の制度、法律に至っていると認識をしています。そして、今改めてその問題について議論が沸き起こっている。この問題について、改めて政治活動の自由と透明性の確保の関係でどうあるべきなのか、これをしっかり考えていくことは重要であると思います。
○宮本(徹)委員 どうあるべきかというのは、当然経過からいえば二重取りはやめなきゃいけない。民主主義のコストとかなんとかと言いますけれども、政治資金収支報告書を訂正したのを見ても、スナック代だとか居酒屋代だとか、そういうのがいっぱい並んでいるじゃないですか。それが民主主義のコストですか。あるいはお土産代だとか、それが民主主義のコストですか。十万円のすし屋もあったという声もかかりましたけれども。およそ国民は、皆さんの政治資金収支報告書やその訂正内容を見て、これがまともな政治活動のお金なのかな、疑問に思っているわけですよ。それを民主主義のコストだなんといって、政党助成金と企業・団体献金の二重取りを続ける口実にされては困るんですね。私たちは、企業・団体献金も政党助成金も受け取らずに活動しております。個人の浄財で、政党はできるんですよ。少なくとも二重取りは直ちにやめなきゃいけない、政治をお金の力でゆがめる企業・団体献金は直ちにやめなきゃいけないというふうに思います。世界を見ても、政党への企業献金を禁止している国、フランス、カナダ、韓国、ベルギー、スペイン、ポーランド、ギリシャ、ハンガリー、ルクセンブルク、チリ、エストニア、イスラエル、メキシコ、スロベニア、コスタリカ、ラトビア、リトアニア、アメリカ。OECD諸国でこれだけあるわけですよね。国会図書館に調べていただきました。政党への企業献金、禁止しましょうよ。総理、これ以上二重取りを続けるのはやめましょうよ。いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 企業・団体献金について、これを議論しなければならない、これは委員御指摘のとおりだと思いますが、あわせて、機関紙の購入を始め、様々な政治に関わるお金についてもこれはやはり議論をしていかなければなりません。是非、改めて、政治の信頼という観点から、この議論を進めることは重要であると考えます。
○宮本(徹)委員 時間になりましたけれども、終わりますけれども、企業・団体献金禁止、政党助成金廃止法案を私たち国会に出しておりますので、各党の皆さんにも是非賛成していただきたい。そのことを申し上げまして、質問を終わります。
○小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。