2024年3月2日 衆院予算委員会締めくくり質疑
配付資料 2月29日中央公聴会西沢公述人配付資料より抜粋
配付資料 国民負担率と法人税所得課税負担率
≪2024年3月2日 第213回国会衆院予算委員会第16号 締めくくり質疑議事録≫
○小野寺委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。子育て支援金について伺います。中央公聴会でも、公述の皆さんから、撤回を含めて厳しい指摘が続きました。今日は、配付資料でも、公述人の方が使われた資料を抜粋してお配りをしております。医療保険の制度を使っておりますので、総理もこの資料を見ていただければと思うんですけれども、結局、年収でいえば百三十万円から一千七百万円ぐらいまでは、協会けんぽに比べて国保の方の負担がかなり高くなる。そして、国保にしても協会けんぽにしても、一定の所得を超すと、高額所得者ほど負担率が軽くなっていく。医療保険の仕組みを使うと、こうした幾つもの不公平、不平等というのが起きてしまう。これは根本的な問題があるんじゃないですか。総理、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、支援金、これは医療保険料と併せて徴収するものであり、賦課方法も基本的には医療保険制度に準じた取扱いとなるわけですが、その中で、富裕者優遇ではないか、あるいは不公平ではないか、こういった指摘がありました。具体的には、支援金の拠出額については、所得に応じたものとした上で、医療保険制度と同様、賦課の上限を設けることとしております。これは、医療保険制度において、被保険者の保険料の納付意欲に与える影響といった観点から、負担に一定の限度を設けているものであり、これは一定の合理性があるものであると考えます。また、同じ所得でも医療保険制度ごとに拠出が異なる、こうした不公平についての御指摘でありますが、これは、現行の医療保険制度においても、被用者保険と国民健康保険では保険料の賦課に当たって異なる算定方法が取られていることによるものであり、それぞれの賦課方式については一定の合理性があると考えております。
○宮本(徹)委員 そういう合理性は、子育て支援については全く当たらないんじゃないかというのが中央公聴会での公述人の皆さんの指摘だったんですよ。医療保険は、保険料を払った人はみんな使うわけですよ。しかし、子育て支援金というのは子育て世帯だけですからね、給付を受けるのは。こういうものについて医療保険の仕組みを使うこと自体が根本的な間違いですよ。本当に、公述人の皆さんの指摘をしっかり踏まえて、与党の皆さんも聞いていますから、考え直していただきたいと思います。その上で、これは一般質疑でもお伺いしましたけれども、子育て支援の財源として、この支援金の負担増に加えて、医療、介護の国庫負担一・一兆円削減しようとしております。介護保険利用料の二割負担、三割負担の拡大、後期高齢者医療の三割負担の拡大、ケアプランの有料化、要介護一、二の生活援助の保険外し、先発医薬品の自己負担増等々、改革工程表の中ではたくさんのメニューが書かれております。総理が御存じか、お伺いしたいんですけれども、既に、七十五歳以上の医療費の二倍化、一定の所得以上の方は行われましたけれども、これでどれだけの負担増が生じて、どれだけの受診抑制が起きているのか、総理、御存じですか。
○岸田内閣総理大臣 まず冒頭、一言触れるならば、支援金というのは、受益を受けるのは子供、子育て世帯だけだという御指摘がありましたが、全体の考え方として、そういう考え方は取っておりません。こうした子供、子育て政策を進めることによって医療保険制度あるいは社会の持続可能性が高まるということになるわけでありますから、これは社会全体、あらゆる世代が受益するものである、こういった考え方に立っているものであります。そして、委員の御質問として、七十五歳以上の医療費の二倍化でどれだけ負担が起きているのか、こういったことでありますが、後期高齢者の医療の窓口負担割合については、令和四年十月一日から、一定以上の所得のある方に限って一割負担から二割負担、これを変更したわけでありますが、その際に、これにより必要な受診が抑制されないよう、二割負担への変更による影響が大きい外来患者については、施行後三年間、一月分の負担増を抑える配慮措置を講じています。そして、受診行動への影響については、これはあくまでも短期的なデータの分析ではありますが、二割負担となった方は一割負担のままの方と比べて受診日数が三・一%減少しているとされています。これは、二割負担導入時に想定していた影響、マイナス二・六%とおおむね同程度であると認識をしております。
○宮本(徹)委員 負担増の額をおっしゃらないわけですけれども、大体、利用者の負担増、一千億円ぐらい全体で増えているわけですよね。一人当たり平均二・六万円の負担増です。三・一%、これは大体事前の想定の見込みだということを言うわけですけれども、年収が二百万円以上の大きい方の方が、受診日数が今、二百万円以下の人よりも少ない状況なんですよ。必要な医療が受けられない、我慢せざるを得ない状況を生んでいるわけですよね。公費負担一千億円の削減でこうした事態が起きているわけですよ。一・一兆円も公費を削減したら、本当に必要な介護や必要な医療が受けられるのかということになるわけです。それでも必要な人はお金を払いますよ。その場合は、物すごい負担増がそれぞれの個人と家庭にやってくることになるわけですよね。保険料の話ばかり、さっきから社会保険負担率の話を総理はされるわけですけれども、総理の言う社会保障負担率には、医療や介護の利用料が増える、これは算定式に入っていないですよね。総理。もう時間がないから。
○新藤国務大臣 先生、そこはちょっと、とても重要なところなので。歳出改革の一兆円は、これまでの九年間の歳出改革の合計の平均ですから。新たに増やすわけではありませんので、従来の歳出改革の枠の中でやっているということで、歳出改革と医療制度の改革とごっちゃにしないでください。
○宮本(徹)委員 全く答えていないでしょう、今。出てきて、質問と関係ない答弁をされては困りますよ。総理が手を挙げたんだから。審議の妨害をしないでください。
○岸田内閣総理大臣 改革工程については、御指摘の窓口負担の見直しのほか、医療提供体制の効率化、あるいは介護分野におけるICTの活用など、これは幅広いメニューが列挙されており、社会保障の持続可能性を高めて全世代型社会保障を構築する、その観点からこうしたメニューが用意をされています。そして、このメニューからどれを採用するか、これについては今後も議論を続けてまいります。そして、一方で、支援金制度については、先ほど来申し上げておりますように、社会保障負担率の考え方に基づいて、歳出改革によって生じる保険料負担の軽減効果を積み上げて、その範囲内で支援金制度を構築する、こういったことでありますので、実質的に負担は生じないと説明をさせていただいております。
○宮本(徹)委員 医療や介護の利用料が、国庫負担を削減すれば大きく増えるわけですよ。どのメニューをやるか分からないと言っていますけれども、どのメニューをやっても負担が増えるわけですよ。そのことを隠して、実質的負担が増えない、こういう説明ばかりするのは本当にまやかしですよ。やめていただきたいと思います。時間が来たから終わりますけれども、資料の裏面だけ是非見ていただきまして、この間、国民負担率は上がっていますけれども、法人所得課税負担率はバブルのときに比べて下がっているんですね、マイナス二・七%。国民負担率は一〇・五%プラスですけれども。企業の利益はバブルのときに比べて二・五倍ぐらい増えていますけれども、法人税の負担は五兆円もバブルのときに比べて減っている。求めるべきところに負担を求めれば、庶民に負担など求めなくても子育て支援の拡充はできます。しっかり考え直すことを求めまして、質問を終わります。
○小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。