2024年3月2日 衆院予算委員会 組み換えを求める動議 2024年度予算委員会反対討論

2024年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

≪2024年3月2日 第213国会衆院予算委員会第16号議事録≫

○小野寺委員長 ただいままでに、日本維新の会・教育無償化を実現する会林佑美さんから、また日本共産党宮本徹君から、また国民民主党・無所属クラブ田中健君から、それぞれ、令和六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。この際、各動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。林佑美さん。

○林(佑)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の林佑美です。私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和六年度予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨の弁明を行います。政府の予算案に対する問題点を指摘し、我々が令和六年度予算案の編成替えを求める理由を申し上げます。自民党の派閥と所属国会議員による多額の裏金づくりによって、高い国民負担率に苦しむ国民の政治への信頼は決定的に地に落ちたと言わざるを得ません。政治家自身が身を切らないまま、国民に負担を求めるべきではありません。今実施すべきは、将来にわたって国民負担率を引き下げる展望を国民と共有することです。足下の賃上げを上回る物価高により国民の実質所得が目減りする経済状況にあって、医療報酬はプラス改定となるなど、社会保障制度改革が着実に行われているとは言えません。電子カルテのデータ規格の統一といったボトルネックの解消に踏み出す思い切ったDX策等、踏み込んだ医療改革を行う必要があります。これが着実に行われなければ、結果として若い世代の負担増につながりかねません。政府は賃上げに基づく社会保険料負担軽減論を展開していますが、実現可能性はいまだ見通せません。その中で、実質負担が生じないとして、社会保険料負担を現役世代に押しつけることは到底理解できません。本来、歳出改革を実現すれば、こども・子育て支援加速化プランの財源となる追加的な一兆円の社会保険負担も特別会計の設置も不要となります。令和五年の出生数は約七十六万人で、過去最低を更新しています。政府の子育て支援策を見ると、一定層の支援にはなり得るものの、いずれも条件や支給額が中途半端で、少子化対策を抜本的に強化できる案であると評し難いものとなっております。若い世代が子供を持ちたいと思えるめり張りの利いた子育て支援策と、社会保険料の減額等による可処分所得の増加の両輪により少子化対策を講じる必要があるのではないでしょうか。令和六年度予算全体を見ても、歳出規模は、特定目的予備費の減額や令和五年度予算に計上された防衛力強化資金の繰入れの剥落等で二兆円弱の減額にとどまるなど、経費の膨張トレンドは逆転できておりません。それだけではなく、我々は財政規律そのものにも懸念を持っております。新型コロナウイルス感染症が拡大した令和二年度から、政府は、機動的な対策を盾に予備費の積み増しを図っており、コロナ禍以降の予備費は合計で三十兆円に上っています。これは、財政民主主義の例外たる予備費として、異常な額ではないでしょうか。過去の歴史を鑑みるに、一般予備費は多くて五千億円程度の規模ですが、令和六年度の予算では、平時への回帰を主張しながらも、能登半島地震の復旧復興を大義名分に一兆円もの一般予備費を計上しております。また、令和六年度予算では、基金に八千億円強を積み増すこととしています。コロナ禍を経て基金残高は十六兆円を超え、肥大化した基金の整理縮小は急務であるところ、更に基金残額を積み増す理由はありません。こうした政府の予算案について問題点を指摘させていただいた上で、少子化が進み、活力が失われつつある我が国にあって、我々は、現役世代の負担軽減に向けて、具体的で有効な対策を実施していくことが必要であると考えます。そのために、教育の無償化、予備費の減額と令和六年能登半島地震復旧復興のための予算編成、医療制度改革、ガソリン税の暫定税率廃止の四項目について、令和六年度予算案に盛り込むよう組替えを要求するものです。委員の皆様には、何とぞ御賛同くださいますよう申し上げ、趣旨の弁明といたします。

○小野寺委員長 次に、宮本徹君。

○宮本(徹)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇二四年度政府予算三案につき撤回のうえ編成替えを求める動議について、提案理由及び概要を説明いたします。政府予算案は、アメリカの世界戦略の一翼を担うため、敵基地攻撃能力の保有を始めとする、五年間で四十三兆円とする大軍拡計画の下で、過去最大の八兆円に迫る軍事費を計上する、軍拡最優先の予算となっております。また、企業・団体献金を背景に、大企業への減税や補助金を大盤振る舞いしています。社会保障費の自然増は一千三百億円削減し、新たな負担増となる子育て支援金制度の創設もたくらまれております。軍拡のあおりで、中小企業予算などは連続削減されています。国民の命と暮らし、平和を守り、日本経済のゆがみを正して、その発展を進めるためにも、そして、政治への国民の信頼を取り戻す上でも、本予算案の抜本的な組替えが必要です。次に、編成替えの概要について、主な点を説明します。第一に、能登半島地震被災者への支援、復旧復興に万全の措置を取ることです。住宅再建の支援金の上限を、対象を限定せずに六百万円に引き上げるとともに、支援金の対象を半壊、一部損壊にも拡大します。地域産業の復旧復興の補助の抜本的拡充、雇用調整助成金の日額上限の引上げと延長を行います。第二に、大軍拡計画を撤回し、軍事費を大幅に削減します。安保三文書を撤回し、長距離ミサイルやイージスシステム搭載艦の導入、統合作戦司令部の創設などの予算を削除します。防衛力強化資金を廃止し、復興所得税の流用を始めとした軍拡増税、軍事費への建設国債の充当を撤回します。米軍への思いやり予算、沖縄・辺野古新基地建設や馬毛島基地の建設費などを全額削除します。殺傷兵器の輸出解禁を決めた閣議決定を廃止します。第三に、物価高騰から暮らしを守り、経済を立て直します。中小企業への直接支援を抜本的に拡充し、全国一律の時給千五百円を実現します。非正規ワーカーの待遇改善と正規化を進めます。消費税率を五%へ緊急減税し、インボイスを廃止します。第四に、社会保障費の削減をやめ、拡充を進めます。物価高騰に見合う年金支給額を引き上げます。高齢者医療費の二割負担をやめ、元の一割に戻し、国保料の大幅引下げと均等割、平等割を廃止します。先発医薬品の保険外しを中止します。訪問介護などの基本報酬引下げを中止し、介護、障害福祉、保育など、ケア労働者の賃金を全産業平均並みに引き上げます。生活保護基準を二〇一三年削減前の水準に戻し、物価高騰に見合う引上げを行います。第五に、子育て予算を抜本的に拡充し、教育の無償化を進めます。学校給食の無償化、高校授業料無償化の所得制限撤廃、大学、専門学校授業料を直ちに半減し、入学金を廃止します。高校、大学の給付制奨学金を拡充し、就学援助を拡大します。少人数学級の早期実現、そして教員の過重勤務を解消するため、教員定数を改善します。子供医療費無料化を国の制度として実施します。子供、子育て支援予算の財源を国民に押しつける支援金制度の創設を中止します。第六に、原発回帰をやめ、省エネ、再エネの推進で燃料高騰と気候危機を打開します。第七に、ジェンダー平等を進めます。男女賃金格差を是正する施策を進めます。第八に、大企業、富裕層優遇の不公平税制を改め、不要不急の予算を削減します。研究開発減税などを抜本的に見直します。マイナンバーカード普及経費、大阪万博関係予算を削除します。予備費を削減し、政党助成金制度を廃止し、企業・団体献金を禁止します。以上、編成替えの内容はお手元配付の文書のとおりであります。委員各位の御賛同をお願いし、趣旨説明といたします。(拍手)

○小野寺委員長 次に、田中健君。

○田中(健)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出の令和六年度当初予算三案について撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明をいたします。まずは、編成替えを求める理由を申し述べます。長期にわたり停滞する経済、止まらない少子化傾向、このような問題も、結局は、手元に残るはずの可処分所得が少なくなっていることにより引き起こされています。これらを改善、解決するためには、給料が上がる経済に寄与する予算、人づくりに寄与する子供、子育て政策関連の予算を編成しなければなりません。また、ガソリン、軽油価格、電気料金等の高騰に伴い、物価も上がっています。これにより国民生活は大きな影響を受けているため、国民生活を支える予算編成が必要です。そこで、国民民主党・無所属クラブは、給料が上がらない我が国の経済、いまだ脆弱な少子化、子育て支援策、農林水産業への支援、ガソリン等の物価高騰に対し、真に国民生活を支える内容に令和六年度当初予算を変えるため、減税を含む予算の編成替え動議を提案をいたします。次に、編成替えの概要を御説明いたします。第一に、所得減税を実施いたします。政府案に連動した税制の見直しのうち、所得減税に関しては、物価上昇率や名目賃金上昇率等を考慮し、基礎控除、給与所得控除等の額を引き上げる等、国民民主党案に修正をいたします。第二に、エネルギー価格高騰対策、ガソリン減税を実施します。トリガー条項等の凍結を解除するとともに、暫定税率、二重課税を見直すことで、五月以降の値下げを継続をいたします。また、再エネ賦課金の一時徴収停止により、電気代の負担軽減を図ります。ガス、灯油等の燃料費についても負担軽減を図ります。そのため、令和六年五月以降の対策に関する予算及び地方税収の減収に対する予算を確保いたします。第三に、消費税の減税を行います。安定的に賃金上昇率が物価上昇率より二%上回る状況の実現、維持に向けて、当分の間の措置として消費税率を一〇%から単一税率の五%へ引き下げつつ、これに伴い、インボイス制度も廃止をいたします。第四に、法人の投資に係る税の減税を行います。投資額以上の償却を認めるハイパー償却税制の導入や少額減価償却資産特例の上限額の引上げを行います。また、生産に比例し減税する制度を導入することにより、企業の国内生産基盤の強化とともに、生産性向上を促します。第五に、賃上げ促進税制の拡充を行います。税額控除等の引上げや価格転嫁等の取引条件を改善した企業等への適用拡大を行うとともに、赤字法人も対象となるよう、減税項目を法人事業税、固定資産税、消費税に拡大いたします。第六に、農林水産業への多角的な支援を行います。農林水産業関連の物価高騰対策、それに伴う適切な価格転嫁支援や食料安全保障基礎支払いといった所得補償を行います。第七に、年少扶養控除を復活し、所得制限を撤廃します。政府が検討する子供、子育て支援金制度を見直すとともに、子育てに係る経済的負担を軽減するためにも、教育国債を財源とする各種子育て支援制度の所得制限撤廃と拡充、年少扶養控除の復活を行います。第八に、被災者生活支援です。政府の能登半島地震における被災者への支援は、被災地域、被災者の年齢によって分断するもので、極めて不十分です。立憲民主党、日本維新の会とともに共同で法案を提出しておりますが、被災者生活再建支援金を拡充し、最高額を三百万円から六百万円に倍増するとともに、支援金の国庫補助率の引上げ、適用地域の拡大を行います。第九に、医薬品は公定価格が決まっており、メーカー等が原材料の高騰を価格に転嫁できない状況です。また、毎年改定については、その是非を含め抜本的に見直します。また、国民生活に密接に関わる医薬品の安定供給確保を目指します。第十に、歳入の見直しです。GDP成長率を踏まえると、税収は政府想定よりも上振れが想定されます。今年度税収見積りについて増額修正を行い、歳入を見直します。また、政府は、長期金利の指標となる十年物国債の想定金利を令和六年度予算では一・九%としていますが、令和六年度の政府の長期金利見通しが〇・八%であることから、想定金利を昨年同水準の一・一%に据え置くことで、利払い費を縮減いたします。以上が、国民民主党・無所属クラブの編成替え動議の概要であります。委員の皆様におかれましては、真に国民生活を支える本動議に賛成をしていただくことをお願いして、提案理由とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○小野寺委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。これより討論に入ります。令和六年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件を一括して討論に付します。討論の申出がありますので、順次これを許します。牧島かれんさん。

○牧島委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となっております令和六年度一般会計予算案外二案に対し、賛成の立場から討論を行います。まず、令和六年能登半島地震につきまして、亡くなられた方々と御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に改めて心からお見舞いを申し上げます。三十年ぶりの経済の明るい兆しを経済の好循環につなげるため、物価高に負けない賃上げを実現し、企業の稼ぐ力を強化していくことが必要です。加えて、急速に進展する少子化、DX、GXの実現、一層緊迫する我が国周辺の安全保障環境など、我が国内外の構造的課題に的確に対応しなければなりません。こうした中、令和六年度予算案は、歴史的な転換点にあって、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れをつかみ取るための予算となっております。以下、本予算案に賛成する主な理由を申し述べます。第一に、令和六年能登半島地震への対応として、復旧復興の段階などに応じた切れ目のない機動的な対応を確保するため、一般予備費を倍増し、一兆円措置しております。第二に、物価に負けない賃上げの実現に向けた予算面での対応を最大限図ることとしており、特に医療、福祉の現場の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築することとしています。第三に、児童手当の抜本的な拡充や高等教育費の負担軽減、子供の貧困対策などの多様な支援ニーズへの対応など、こども未来戦略に基づく加速化プランもスピード感を持って実施する予算となっております。第四に、DX、GXの実現に向けて、デジタル田園都市国家構想交付金による支援や官民のGX投資を促進するものとなっております。第五に、厳しさを増す我が国周辺の安全保障環境やウクライナ侵略等の激動する外交環境に対応するため、外交分野において、邦人保護、危機管理等の基盤を大幅に強化し、防衛力の抜本的強化を推進する予算となっています。以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。本予算案に対する議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げます。なお、日本維新の会・教育無償化を実現する会、日本共産党、国民民主党・無所属クラブ提出の編成替え動議につきましては、見解を異にすることを申し述べまして、私の賛成の討論とさせていただきます。(拍手)

○小野寺委員長 次に、藤岡隆雄君。

○藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄です。私は、会派を代表して、令和六年度一般会計予算外二案については反対、また、他会派提出の組替え案についても反対の立場から討論をいたします。冒頭に言わなければならないのは、なぜこれほど予算審議を急ぐ必要があるのかということであります。例年、予算委員会における審議時間は約八十時間でございます。しかし、六十九時間しか積み重なっていない時点で、小野寺予算委員長は職権により強引に採決を決めてしまいました。過去二番目の規模となる予算案の審議を軽んじる強行採決に、改めて抗議をいたします。我々野党は、審議拒否をしているわけではありません。むしろ、しっかり審議をした上で、三月四日に円満に採決をしようと再三申し上げてまいりました。三月四日に予算案を参議院に送っても、審議をして年度内に成立させるための日数は十分残っております。何より、政治倫理審査会の開催が一日遅れなければ、昨日金曜日にこの質疑が行われていたはずです。今回の強行採決には、裏金の疑惑隠しの狙い、これが潜んでいるとしか言いようがありません。私たち立憲民主党は、今国会の召集日である一月二十六日に、被災者への支援金を倍増させる被災者生活再建支援法改正案を日本維新の会、国民民主党と共同で衆議院に提出をいたしました。これを受けて、政府も新たに約一千億円の被災者支援金支出を決定しました。野党の提案を受けて政府・与党も動いたのは、民主政治のあるべき姿を象徴するものであります。とはいえ、子育て世帯の一部や石川県の六市町以外の自治体、富山県、新潟県は支給対象とならないのは問題であり、改善を求めたいと思います。何より、国民は増税、自民は脱税、国民は怒りを強く覚えている中で、一昨日、昨日に政倫審が開催されましたが、岸田総理の答弁は予算委員会での答弁と変わらず、国民の疑念は更に高まりました。今回出席しなかった二階派の二階俊博議員、安倍派の萩生田光一議員、下村博文議員からも話を聞かなければならないのは言うまでもありません。改めて、参考人招致や証人喚問に出席してもらう必要があります。以上申し上げたとおり、予算の提出者たる岸田総理や岸田政権の基本姿勢には看過し難い問題が多く見受けられますが、予算そのものにも多くの問題が存在しております。令和六年度予算の一般会計予算総額は百十二・六兆円に上り、これからの金利上昇リスクを見据えなければならない中で、野方図な歳出の膨張には歯止めがかかっていないというのが実態です。子供予算については、子供、子育て支援金で一兆円の財源を確保されておりますが、実質の子育て増税であります。実質の子育て増税は到底認められるものではありません。また、予備費は一刻も早く、十分、正常化をすべきです。財政民主主義の観点から、そもそも、また予備費ではなく、補正予算を組み替えるように我々は求めております。被災地石川県の馳知事も、能登半島の実情を踏まえ、数兆円規模の補正予算編成を政府に求められております。政府は、問題山積みの予算、予備費増額を今すぐ取りやめて、被災地の要望に十分に応え得る補正予算を速やかに編成すべきではないでしょうか。以上、申し上げたとおり、看過し難い数多くの問題が存在することから、令和六年度一般会計予算外二案については反対、他会派の組替え動議についても反対を申し上げ、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○小野寺委員長 次に、漆間譲司君。

○漆間委員 日本維新の会の漆間譲司です。教育無償化を実現する会との統一会派を代表して、令和六年度予算に対し、反対の立場から討論いたします。日本の経済と財政をめぐる環境は危機的状況にあります。社会保障費は本年度から八千五百億円余増加して四十兆円に迫り、増加の一途をたどっています。一方で、社会保障改革が着実に行われているとは言い難く、政府が提唱する子供、子育て加速化プランの財源とするべき一兆円の歳出削減すらほとんど手つかずです。その結果、令和六年度予算の歳出規模は、特定目的予備費の削減等で令和五年度から僅か二兆円弱の減額にとどまるなど、経費の膨張トレンドは逆転できていません。日本の経済財政運営が重要な局面を迎える中、今国会は改革国会となるべきでした。しかし、今国会の実態は裏金国会であると言わねばなりません。政治と金の問題の根源にあるのは、自民党と一部の企業との癒着関係です。平成六年に誕生した政党交付金は、企業、団体からの献金が政策決定をゆがめる弊害を取り除くことが目的でした。趣旨を踏まえると、企業・団体献金は当然禁止し、また、パーティー券の企業、団体向けの販売も同様に禁止するのが筋です。それにもかかわらず、政治資金規正法には政党支部への献金などの抜け穴が残され、自民党は政党交付金制度の開始以降も堂々と企業・団体献金を受け取り続けています。結果として、一部の企業や団体が資金力に任せて政策決定をゆがめてきたことを指摘しなければなりません。自民党は、医療関係の団体から毎年数億円に上る多額の献金を受け取り、医療削減には本腰を入れて取り組まず、診療報酬もプラス改定となりました。この負担は、社会保険料を通じて現役世代に転嫁されるのみならず、政府は、子供、子育て支援金の詐欺的とも言えるロジックで、子育ての負担をも押しつける方針です。日本維新の会は、しがらみの政治から脱却するため、企業・団体献金の禁止を訴え、既に内規で実現しています。また、我が党の政治改革大綱では、企業、団体へのパーティー券販売も禁止することを訴えており、これも内規で実現してまいります。我々は、日本経済の悪循環を逆転し、努力する人が公正に報われる社会をつくることを申し述べ、反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○小野寺委員長 次に、角田秀穂君。

○角田委員 公明党を代表いたしまして、令和六年度予算三案について賛成、三会派からの組替え動議に反対の立場から討論を行います。政府は、予備費を活用して能登半島地震の被災者への緊急支援に取り組むとともに、令和六年度予算案の概算閣議を変更して、予備費を五千億円から一兆円に増額しました。この決断を高く評価いたします。引き続き、被災者の生活やなりわいの再建、被災地の復旧復興に全力を尽くしていただきたい、これが賛成理由の第一です。第二に、少子化対策、子育て支援が抜本強化される点です。児童手当は、本年十月分から所得制限を撤廃し、支給対象を高校生年代まで拡充、第三子以降は三万円とする抜本的な拡充がなされます。また、妊娠期から出産、子育てまで一貫して支援する出産、子育て交付金は、制度の恒久化を視野に、予算が増額されています。さらに、低所得世帯の学生等を支援する修学支援新制度は、令和六年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層に対象を拡大し、大学等の高等教育の無償化も前進をいたします。第三に、デフレ脱却へ、物価高に負けない賃上げ、所得向上に全力を挙げる予算となっている点です。労務費を含めた価格転嫁の促進へ、下請Gメンを増強して取引実態の把握や指導を徹底するとともに、賃上げに取り組む中小企業の生産性向上に向けた設備投資の支援や、公庫等における金融支援を強化することとしています。また、医療、介護、障害福祉分野で働く方々の二・五%のベアを実現するために必要な水準を報酬改定で措置するとともに、保育士等や教職員の処遇改善も行うなど、公的部門の賃上げも手当てをされています。六月以降には所得税、住民税の定額減税と給付も実施をされます。賃上げの効果と相まって、全ての国民の皆様の可処分所得を確実に支える対策になっていると確信をいたします。以上、令和六年度予算案は、被災地の復旧復興に全力を挙げるとともに、少子化やデフレ脱却など、我が国の重要課題に真っ向から挑む予算であり、本予算案の速やかな成立と着実な執行を求めます。また、大きな課題となっている政治資金問題について、国民の政治に対する信頼を取り戻すため、公明党は、政治資金の透明性の確保と罰則の強化の実現に向けて尽力することを表明し、賛成討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

○小野寺委員長 次に、宮本徹君。

○宮本(徹)委員 日本共産党を代表して、政府予算案に断固反対の討論を行います。本予算案の大問題は、第一に、中国を抑え込むアメリカの軍事戦略の一翼を積極的に担うために、憲法違反の長射程ミサイルの開発、大量取得や、米軍再編経費など、八兆円にも迫る過去最大の軍事費を盛り込んでいることであります。軍拡最優先で犠牲になるのは、国民の暮らしです。本予算案は、雇用調整助成金の勘定から一千九百六十四億円も軍拡の財源に回します。一方で、被災地で苦しむ事業者への雇用調整助成金の上限額は、コロナ禍の半分程度。悲鳴が上がっております。政治の優先順位が間違っております。軍事費は、民主党政権時に比べ三兆円も増えます。大学の無償化に必要な予算は二兆円という答弁がありました。軍拡より教育無償化を優先すべきです。沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古新基地建設予算は認めるわけにはまいりません。普天間基地は無条件返還を迫るべきであります。また、武力行使を繰り返し行っているアメリカなどに殺傷能力のある武器輸出に踏み切ることは、憲法の平和理念を投げ捨て、紛争を助長するものであり、撤回すべきであります。軍拡競争で緊張を高め合うのではなく、絶対に戦争にしない平和外交こそ進めるべきであります。第二の大問題は、企業・団体献金を背景に、大企業への減税や補助金は大盤振る舞いの一方、物価高騰に苦しむ国民への支援や賃上げは全く不十分、その上、国民生活に追い打ちをかける負担増まで狙っていることであります。総理は、子育て支援の財源確保は実質的な負担が生じないと説明してきました。しかし、子育て支援金制度は、新たな国民負担そのものであります。一・一兆円もの医療、介護の公費負担削減は、利用者の重い負担増とサービス削減をもたらします。実質的な負担が生じないというのは全くのまやかしであります。しかも、医療保険の仕組みを使うことで、高額所得者ほど負担が軽くなり、同じ収入でも国保加入者の負担が大きくなるなど、不公平なものであります。脱税議員が増税するなと怒りの声が広がっております。子育て増税も軍拡増税も、医療、介護の負担増、給付減も撤回すべきであります。訪問介護の基本報酬引下げは在宅介護を崩壊させると怒りの声が広がっております。これも撤回すべきであります。昨年の春闘で置き去りになったケアワーカーの賃上げが二・五%では、この二年の物価上昇にすら追いつきません。人手不足の危機的状況を解決するために、全産業平均以上に引き上げるべきであります。そして、賃金の底上げ、五年で十兆円規模の大胆な中小企業、小規模事業者への支援こそ行うべきであります。今、この予算委員会でも、裏金事件の議論を重ねてまいりました。裏金を長年にわたってつくり、国民への裏切り行為を派閥ぐるみで行っておきながら、その真相究明もまともに行わないこの政権に、暮らしと平和を踏みにじる予算を押し通す資格など全くない、このことを申し上げまして、討論とさせていただきます。(拍手)

○小野寺委員長 次に、田中健君。

○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の令和六年度一般会計予算外二案について反対、他会派から提出の編成替えを求めるの動議に反対の立場から討論を行います。総理は、今国会冒頭の所信表明演説で、経済の再生が岸田政権の最大の使命、経済、とりわけ賃上げが今まさに喫緊の課題であると述べられました。我々も、長期にわたり停滞する経済や止まらない少子化など、我が国が直面している課題の根本的な原因について、結局、問題は賃金であると考えています。とりわけ、国民の皆様の手元に残る使えるお金、可処分所得を増やすことこそが重要です。しかし、本年度予算には、むしろ個人負担を増やすなど、賃上げの効果に水を差すものが含まれていることは大いに問題です。例えば、子供、子育て支援金制度です。子供、子育て政策の強化自体については我々も大いに賛同いたしますが、政府の検討している内容では、そもそも医療保険の目的外使用であるという問題があるとともに、税金を保険料につけ替え、個人負担を実質的に増やすステルス増税ともなり得る可能性を秘めています。これ以上の現役世代の社会保険料負担の増加は、制度の目的に逆行し、むしろ少子化を加速させかねません。直ちに見直しを行うべきです。また、積極的な経済政策と同時に、国民の家計負担や事業者負担を緩和し、下支えする経済対策も不可欠です。しかし、本予算には、地方の暮らしや事業に欠かすことのできないガソリン代等の燃料費対策や電気代の負担軽減策については盛り込まれておらず、先の見通しも立っていないことは大きな問題です。燃料代について、会計検査院からも指摘がされている、いわゆるガソリン補助金の延長はあり得ないと考えます。やはりトリガー条項凍結解除や暫定税率、二重課税の見直しは必須です。また、電気代についても、現下の国際情勢に鑑みれば、再エネ賦課金の徴収停止による負担軽減を図るべきです。その他にも、より手厚い被災者生活支援や、歳出のみならず、歳入の見直しを行うべきであって、やはり本予算の内容は不十分だと言わざるを得ません。国民民主党は、正直で偏らない現実的な政治を信条とし、対決よりも解決、あくまで政策本位で、国民のためになる政策を実現すべく取組を続けています。何としても、日本全国津々浦々まで、老若男女全ての方に賃上げの効果を実感していただけるような政策を実現させ、皆様が希望と活力を持って暮らし続けられる輝く日本の姿をお示しすることを国民の皆様にお約束し、私の反対討論といたします。(拍手)

○小野寺委員長 次に、緒方林太郎君。

○緒方委員 緒方林太郎です。先ほどの討論的質疑で岸田総理に厳しいことを申し上げましたが、続きを読み上げたいと思います。しかし、それに対峙する主要野党には、旧態依然とした体制が見え隠れします。私は、政策活動費は野党にもあったから、まず公開してはどうかと質疑で示唆をいたしました。政治と金の改革で大攻勢に出るためには、このハードルを越えなくてはならないと思ったからです。私は助け船を出したつもりでした。しかし、主要野党幹部は頬かむりしたままです。高級飲食店での豪遊が表になるのを嫌がる方がいるせいなのか、それ以外の表に出せない使途があるのかは分かりませんが、政治と金の問題で主要野党の追及が迫力を欠いていることに国民は気づいています。地雷を踏まないように恐る恐るやっているからです。これでは期待感は高まりません。国民の怒りのマグマは行き場を失い、どんどんとたまっているのを感じます。時代と国を異にすれば、ここでクーデターが起こりかねないレベルです。大正デモクラシーから続いた政党政治は五・一五事件で終えんを迎え、ドイツのワイマール体制はナチス政権樹立で終わり、フランスの第四共和政はアルジェリア危機に対応できず崩壊いたしました。いずれも民主政治の機能不全に対応できなかったのが原因でした。今、同じマグマが日本社会にたまっています。もちろん、日本では軍事的なクーデターが起きる可能性はありません。しかし、このような中、我々が恐れなくてはならないのは、エーリッヒ・フロムが述べた「自由からの逃走」が日本社会に到来することです。今、世界中で民主主義のレジリエンスが問われています。多くの国で民主主義対専制主義の戦いが繰り広げられています。民主主義は放置していても勝手に発展していくわけではありません。私は、人間が希求する自由、平等といった価値観を信じ、それを体現する政治体制として民主主義を信じ、三十年前にフランシス・フクヤマが述べた「歴史の終わり」という大きな方向性を信じたいと思います。しかし、そのためには民主主義をアップグレードする取組が必要です。私は与野党の心ある議員に訴えたい。日本の民主主義を立て直すために今こそ立ち上がるべきときだと。与野党共に、幹部の在り方に強い不満を持っている議員がいることは日々感じています。もうそのようなものにつき合う必要はない、私はそう訴えたい。かつて、小選挙区制を導入する際、小泉純一郎衆議院議員は、小選挙区制になれば、権限が党の幹部に集中され、執行部の気に食わないことがあると、気に沿わないことが言えなくなると述べたそうです。今、まさにその状態が眼前にあると思いませんか。自分は党のサラリーマン化していないか、一人一人の議員が是非胸に手を当てて考えていただきたい。この八方塞がりの状況を打開するのは誰か。ほかでもない、我々一人一人の議員ではありませんか。この暗闇に一縷の光をもたらしたい。既存の枠組みを超えた政治勢力の決起が今、求められていると思います。我々有志の会はたった四人。しかし、落選を経験し、地をはいながら無所属で勝ち上がってきた四人です。選挙において、党からの資金援助も、企業・団体献金の可能性も、敗者復活の比例枠もありません。政治的に楽をしたいのであれば、絶対にこの道を選ぶことはありません。なぜ我々は無所属なのか。それは、この国家を思うからです。艱難辛苦あろうとも、我が身が朽ち果てようとも、この国のために立ち向かう気概を持っています。志のある方、共に立ち上がりましょう。そのことを述べて、反対討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

○小野寺委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決に入ります。まず、田中健君提出の令和六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小野寺委員長 起立少数。よって、田中健君提出の動議は否決されました。次に、宮本徹君提出の令和六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小野寺委員長 起立少数。よって、宮本徹君提出の動議は否決されました。次に、林佑美さん提出の令和六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小野寺委員長 起立少数。よって、林佑美さん提出の動議は否決されました。次に、令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小野寺委員長 起立多数。よって、令和六年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。お諮りいたします。ただいま議決いたしました令和六年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。本日は、これにて散会いたします。