2024年3月2日 衆院本会議 2024年度予算委員会反対討論

 国民の暮らし破壊と大軍拡の2024年度予算案が2日、衆院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決しました。自民党派閥の裏金事件をめぐり、国民の厳しい批判が巻き起こるなか、政府・与党が説明責任を全く果たさないまま、予算案だけは衆院を通過させるという暴挙。日本共産党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組は予算案に反対しました。
 予算案をめぐり、1日には政府・与党が採決強行の構えをとるなか、日本共産党の宮本徹議員は「疑惑隠しの審議打ち切りは許されない」と抗議し、真相究明と徹底審議を強く要求。立民が予算委員長の解任決議案に続き、鈴木俊一財務相不信任決議案を提出するなど与野党の攻防は深夜まで及び、仕切り直しとなり、翌2日、異例の「土曜国会」で予算委員会が開かれました。
 一方、自民、立民両党の国対委員長が同日会談し、▽参院で来年度予算が成立した後、しかるべき時期に、衆参両院の予算委員会での集中審議を行う▽引き続き「政治とカネ」の問題について、参考人招致などの協議を継続し、政治倫理審査会で申し出のある議員の弁明及び質疑を行う▽4月以降、衆院に「政治改革特別委員会」(仮称)を設置する―ことを確認し、2日の本会議での予算案の採決に合意しました。日本共産党の穀田恵二国対委員長は同日、8党・会派の国対委員長会談で「きょうの予算案の採決には反対だ」と主張しました。
 予算委員会で日本共産党は予算案を抜本的に組み替える動議を提出。大軍拡計画を撤回して軍事費を大幅に削減し、物価高騰から暮らしを守り、経済を立て直す政策への転換を求めましたが、自民、公明両党などの反対で否決されました。
 2日の本会議で反対討論に立った宮本氏は「国民を裏切る裏金づくりを何十年にもわたって行いながら、その真相究明にすら後ろを向き、幕引きを図ろうとする岸田政権に、暮らしと平和を踏みにじる予算を押し通す資格など全くない」と訴えました。
 本会議では所得税法、地方税法、地方交付税法等の改定案がそれぞれ与党などの賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。

以上2024年3月4日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2024年3月2日 第213国会衆院予算委員会第9号議事録≫

○議長(額賀福志郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。伊藤俊輔君。
〔伊藤俊輔君登壇〕
○伊藤俊輔君 立憲民主党・無所属の伊藤俊輔です。私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和六年度一般会計予算外二案について、反対の立場から討論いたします。(拍手)冒頭、言わなければならないのは、なぜこれほど予算審議を急ぐ必要があるのかということです。例年、予算委員会は審議時間が約八十時間です。しかし、六十九時間しか積み上がっていない時点で、小野寺五典予算委員長は、職権により強引に採決を決めてしまいました。過去二番目の規模となる予算案の審議を軽んじる裏金隠しの強行採決に、改めて抗議をいたします。我々野党は審議拒否をしているわけではありません。むしろ、しっかり審議をした上で、三月四日に円満に採決をしようと再三申し上げてきました。三月四日に予算案を参議院に送っても、審議をして年度内に成立させるための日数は十分に残っています。そもそも、予算案の採決が予算委員会、本会議とも土曜日に行われるのは、実に三十一年ぶりのことであります。そんな異例なことまでして予算案の衆議院通過を急ぐ必要があるのか、甚だ疑問であります。土曜日の審議を行うことで、衆議院や霞が関の職員を始め、マスコミの関係者や政党関係者、議員秘書の方々も休日出勤を強いられております。今は三月で、今日まさにお子さんが卒業式を迎えた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。そもそも、政治倫理審査会の開催が一日遅れなければ、昨日、金曜日、この質疑は行われていたはずであります。更に言えば、国会の召集日についても、我々野党はもっと早い時期にすべきだと再三申し上げてまいりました。政府の段取りの悪さのツケを押しつけるのはやめていただきたいというふうに思います。能登半島地震の発災から二か月が経過をいたしました。改めまして、今回の震災により亡くなられた方々に衷心より哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。私たち立憲民主党は、今国会の召集日である一月二十六日に、被災者へ支援金を大幅に引き上げるために被災者生活再建支援法改正案を、日本維新の会、そして国民民主党と共同で衆院に提出いたしました。これを受けて、政府も、新たに約一千億円の被災者支援金支出を決定いたしました。野党の提案を受けて政府・与党も動いたのは、民主政治のあるべき姿を象徴するものであります。とはいえ、子育て世帯の一部や石川県の六市町以外の自治体、富山県、新潟県は支給の対象にならないのは問題であり、改善を求めたいというふうに思います。我々野党は、裏金のあった自民党の衆議院議員五十一人全員の政治倫理審査会への出席を求めてきましたけれども、出てきたのは岸田総理を含めてたった六名であります。岸田総理の答弁は予算委員会での答弁と変わらず、ほかの派閥幹部も、自分は知らない、関与していないという責任逃れ、押しつけ合いのオンパレード。塩谷議員、西村議員、高木議員の説明は矛盾が露呈をし、疑惑解明どころか、国民の疑念は更に高まったと言わざるを得ません。今回出席しなかった安倍派の萩生田光一議員、下村博文議員、そして二階派の二階俊博議員ら幹部には、参考人や証人喚問で話していただかなければなりません。また、幹部以外の裏金議員の皆様には、本日昼の与野党国対委員長会談で、政倫審に申し出たい議員の質疑を行うことが合意され、自民党国対は止めないそうでありますから、志ある裏金議員は政倫審に出ることを求めたいと思います。また、政治改革特別委員会の設置が合意されましたので、徹底的な事実解明と実効性のある制度改正を与野党と進めていこうではありませんか。話は少し戻りますけれども、やはり何よりも看過し難いのは、自民党の裏金問題であります。国民には増税、自民は脱税。確定申告真っただ中の今、この不条理に、納税者である国民は怒りを覚えております。昨年十月から消費税のインボイス制度が開始されましたけれども、我々が度々懸念を示してきたとおり、これにより廃業に迫られている事業者も出てきております。また、結局、今回も実施時期の決定は見送られましたけれども、岸田総理がもちろんやりますと断言された防衛増税の実施も今後控えております。そして、子ども・子育て支援金については、月額五百円という極めて粗い試算を御披露されましたけれども、加藤大臣も認められたとおり、人によっては月額千円、年額にして一万円を超えるような新たな負担が生じることになります。実質的な負担は生じないとの答弁は詭弁にすぎず、これは事実上の子育て増税として、子供を育てる現役世代を直撃いたします。このように、国民には複合的な増税を押しつけておきながら、せっせと裏金づくりにいそしみ、脱税を繰り返しているのが今の自民党であります。岸田総理は、裏金議員に対して、納税義務を果たすことも指示しない、政治倫理審査会への出席も指示しない。リーダーシップが欠如しているどころか、岸田総理自身が政治改革の障害となっていると言わざるを得ません。政権交代こそが最大の政治改革となります。本気の政治改革を実行する気がないなら、一刻も早くその座をお譲りいただきたいというふうに思います。令和六年度予算の一般会計総額は百十二・六兆円に上り、二年連続で百十兆円を超過しました。依然として歳出の膨張は歯止めがかかっていないというのが実態であります。財源確保の在り方にも問題があります。例えば、防衛費は、過去最大を記録した昨年を大きく上回り、七・九兆円規模とされました。子供予算については、まさに子育て世代でもある現役世代の手取り額が減る上に、事業主負担も重くなるため、賃上げ意欲がそがれ、正規雇用の抑制につながりかねません。子供予算の財源確保策が子供支援に逆行するという、本末転倒の事態が生じているのです。予備費の在り方にも問題があります。特定目的予備費については、対前年比で減額はされたものの、依然として物価・賃上げ促進予備費一兆円を計上しております。経済が正常化しつつある中で、その必要性や合理性も十分に説明ができない予備費は、財政民主主義の観点から、一刻も早く正常化すべきです。そもそも、予備費ではなく、補正予算を組むように我々は求めております。被災地石川県の馳知事も、能登半島の実情を踏まえ、数兆円規模の補正予算編成を政府に求められております。政府は、問題山積の予備費増額を今すぐ取りやめて、被災地の要望に十分応え得る補正予算を速やかに編成すべきです。以上申し上げたとおり、我々は、令和六年度予算に断固として反対するものであります。今こそ、人へ、未来へ、真っ当な政治へ、大転換を図るときです。今後も、政府の問題点をただすとともに、もっとよい未来を実現するために尽力することをお誓い申し上げ、私の反対討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 上野賢一郎君。
〔上野賢一郎君登壇〕
○上野賢一郎君 自由民主党・無所属の会、上野賢一郎です。私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となりました令和六年度予算三案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)まず、令和六年能登半島地震につきまして、発災から二か月がたちました。亡くなられた方々と御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に改めて心からお見舞いを申し上げます。被災者への支援を含めた被災地域の復旧復興に、与野党を超えて万全を期していくことが今求められております。三十年ぶりの水準となりました賃上げ、設備投資、そして史上最高値を更新した株価。日本経済のこの明るい兆しを経済の好循環につなげ、デフレ完全脱却を実現するため、引き続き、日本経済全体で、物価高に負けない、持続的で構造的な賃上げを実現し、企業の稼ぐ力を強化していくことが必要です。加えて、急速に進展する少子化、デジタル化、GXの実現、一層緊迫する我が国周辺の安全保障環境や国際情勢、気候変動や感染症などの世界的な諸課題など、国内外の構造的な課題にしっかりと対応していかなければいけません。こうした中、令和六年度予算案は、歴史的な転換点にあって、時代の変化に応じた先送りのできない課題に挑戦をし、変化の流れをつかみ取るための予算となっております。以下、本予算案に賛成する主な理由を申し述べます。第一に、能登半島地震への対応として、令和六年度においても、生活、なりわいの再建を始め被災地の復旧復興に至るまで、切れ目なく機動的に対応できるよう、一般予備費を倍増し、一兆円措置をしております。第二に、物価に負けない賃上げの実現に向けた予算面での対応を最大限図ることとしております。特に、医療、福祉の現場で働く幅広い方々の賃上げを率先して達成するため、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬改定において、公的価格の在り方を見直し、現場で働く幅広い方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築することとしております。第三に、少子化という我が国が直面する最大の危機に対して、児童手当の抜本的な拡充や高等教育費の負担軽減などの経済的支援の強化、子供の貧困対策や障害児支援などの多様な支援ニーズへの対応など、こども未来戦略に基づく加速化プランをスピード感を持って実施するための予算となっております。第四に、デジタル化、GXの実現に向け、デジタル田園都市国家構想交付金により、デジタル行財政改革の先行モデルとなる取組や、観光、農林水産業の振興等を支援するとともに、二〇五〇年カーボンニュートラルに向け、官民のGX投資を促進するものとなっております。第五に、厳しさを増す安全保障環境はもとより、ロシアによるウクライナ侵略等の激動する外交環境に対応するため、安全保障対応や邦人保護、危機管理の基盤を大幅強化し、同時に、防衛力の抜本的強化を推進する予算となっております。このように、令和六年度予算は、我が国が直面する構造的な課題に的確に対応するものとなっております。本予算案の速やかな成立が求められます。以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。歴史的転機を迎える今、将来世代の視点に立ち、この時代を俯瞰し、日本の進路を見定める必要があります。先送りできない課題に挑戦をし、希望ある社会を次の世代に引き継いでいかなければなりません。本予算案に対する議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 林佑美君。
〔林佑美君登壇〕
○林佑美君 日本維新の会、林佑美です。教育無償化を実現する会との統一会派を代表して、令和六年度一般会計予算及び特別会計予算に対し、反対の立場から討論いたします。(拍手)まずもって申し上げます。そもそも、今の自民党に、国家の進路を方向づける予算を策定する正当性があるのでしょうか。派閥と所属国会議員による政治資金パーティーの不正な売上操作や多額の裏金づくりは、国民の政治に対する信頼を完全に失墜させました。それなのに、昨秋の問題噴出以降、人ごとのごとき対応を続け、この期に及んで刷新なる言葉だけの改革ポーズを取ることに憂き身をやつし、政治と金の問題の抜本的解決は一体どこへやら。見えてくるのは、どこまでも国民を愚弄した不誠実な態度ばかりです。総裁たる岸田総理始め自民党の皆さんは、自民党の常識は世間の非常識であることをちゃんと認識されているのでしょうか。党内の聞き取り、アンケートは、裏金の真実解明への羅針盤にはならず、いかにお手盛りであるかが白日の下にさらされました。裏金議員も収支報告書の訂正は行いこそすれ、一部の議員は臆面もなく使途や金額、支出日を不明としてお茶を濁すずさんさは、ただただ唖然とさせられるばかりです。政治刷新本部の中間取りまとめは踏み込み不足であり、端的に零点をつけざるを得ません。また、公表から一月が経過しても続報が聞かれません。最終の取りまとめがいつ公表されるかは、いまだに不透明です。これが我が国の政権与党の姿であるとしたら、余りにも寂しいと言わざるを得ません。我が党は、維新版政治改革大綱を策定しました。政治資金の在り方を見直すことを機に、選挙制度や国会運営まで幅広い改革を一気通貫で実行し、腐敗の根底にある構造問題自体を解決することで、我が国に政権交代のある二大政党制を確立し、緊張感のある政治を取り戻す必要があると考えます。平成元年に自民党が公表した政治改革大綱では、国民本位、政策本位の政党政治の実現を掲げ、我が党にとって痛みを伴うとしつつも、小選挙区制導入を断行しました。今の自民党が私利私欲にとらわれ、真っ当な大局観を持つ人材が失われたのであれば、政権を返上すべきではないでしょうか。日本の経済と財政をめぐる環境は危機的状況にあります。社会保障関係費は、本年度から八千五百億円余り増加して四十兆円に迫り、増加の一途をたどっています。厚生労働省は、先月、令和五年の出生数が七十五万八千六百三十一人だったと明らかにしました。出生数は、昨年に引き続き八十万人を割り、過去最低を更新しています。政府は異次元の少子化対策を喧伝するものの、少子化の底は抜け、現役世代の数は減少を続けています。世界では、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルとハマスの戦闘など、深刻な戦争、武力衝突が続いており、日本を取り巻く安全保障環境は困難の度を増しています。一方で、次世代の産業の芽はなかなか育ちません。我が国の研究開発投資は停滞し、米国から大きく水を空けられる一方、韓国にも猛追を受けています。数多くの問題を抱えた日本を下支えするため、令和六年度予算の歳出規模は、特定目的予備費の削減等で本年度から僅か二兆円弱の減額にとどまり、経費の膨張トレンドは逆転できていません。さらには、財政規律の劣化も深刻です。新型コロナウイルス感染症が拡大した令和二年度から、政府は機動的な対策を盾に予備費の積み増しを図り、コロナ禍以降の予備費は合計で三十兆円に上っています。これは、財政民主主義の例外たる予備費として異常ではないでしょうか。過去、一般予備費は多くて五千億円程度の規模であるところ、令和六年度の予算では、能登半島地震の復旧復興を大義名分とし、一兆円もの一般予備費を計上しています。加えて、基金にも八千億円強を積み増すこととしています。コロナ禍を経て、基金残高は十六兆円を超え、肥大化した基金の整理縮小は急務であるところ、更に残金を積み増す理由はないと考えます。これらは全ての国民の負担となり、真綿で首を絞めるように生活を苦しめています。社会を維持するために必要な支出は増える一方で、その負担が次世代への投資を圧迫する悪循環に陥っているのが今の日本であり、抜本的に資源配分を改革しなければ、今後は縮小均衡に陥ることは免れないでしょう。しかし、改革国会とすべき今国会の実態は、裏金国会、脱税国会と成り下がりました。これら政治と金の問題の根源にあるのは、自民党と一部の企業、団体との癒着関係です。平成六年に誕生した政党交付金は、企業、団体からの献金が政策決定をゆがめる弊害を取り除くことが目的でした。趣旨を踏まえると、企業・団体献金は当然禁止し、また、パーティー券の企業、団体向けの販売も同様に禁止するのが筋です。それにもかかわらず、自民党は、政治資金規正法の抜け穴を活用し、企業・団体献金を受け取り続けています。結果的に一部の企業、団体が政策決定をゆがめてきたことを指摘しなければなりません。自民党は、医療関係の団体から毎年数億円に上る多額の献金を受け取り、医療費削減には本腰を入れて取り組まず、政府が提唱する子供、子育て加速化プランの財源となる約一兆円の公費削減すら、ほとんど手つかずです。加えて、診療報酬もプラス改定となりました。この負担は、社会保険料を通じて現役世代に転嫁されるのみならず、子ども・子育て支援金の詐欺的とも言えるロジックで、子育ての負担をも押しつける方針です。少子化対策の内容も総花的であり、高等教育を無償化するなど、思い切っためり張りもありません。我が党は、教育の多様性の確保及び選択肢の拡大に積極的に取り組んでおり、地方自治体での先行事例を参考に、日本全体で高等学校の無償化を提言しています。一方で、政府にこの件を問いただしても、自治体任せにするばかりです。これが果たして異次元の少子化対策でしょうか。同様の事象は幅広い業界にわたっています。企業・団体献金や、迂回のためのパーティー券販売、票の取りまとめ等で自民党と既存業界が癒着することで、非効率な業界構造が温存され、競争力を失い、一層の業界保護を求める悪循環が様々な業界で引き起こされています。自動車業界に匹敵する一大産業とされる医療業界で効率化が進まないことや、業界の利益に忖度し、新規参入ができない日本版ライドシェアが誕生したこと。これらは、本来、公正な競争環境の下で効率化やサービス向上を競うべきところ、権力と結託し、競争環境自体をゆがめている点で共通しています。日本経済が停滞する原因の一端がここにあります。冷戦の終結後、グローバル化の進展や人工知能等の破壊的な新技術の出現など、世界の姿が目まぐるしく変化し、現在は、先行きが見えないVUCAの時代と言われております。その一方で、自民党は、旧態依然としたしがらみ政治にとらわれ続けています。私利私欲のため、癒着システムの維持に血道を上げる政治は、これからの世代のために、ここで終止符を打たなければなりません。今は、高度経済成長期と異なり、政治が経済成長の果実を直接国民に分配することはできません。今の政治の役割は、果実が育つ土壌を用意することです。それは、例えば、健全な競争環境を確立し、強靱な民間経済を確立することであり、一部の企業、団体におもねり、ぬるま湯の保護主義に陥らない公正な政治を取り戻すことです。日本維新の会は、しがらみの政治から脱却するため、企業・団体献金の禁止を訴え、既に内規で実現しています。また、我が党の政治改革大綱では、企業、団体へのパーティー券販売も禁止することを訴えています。我々は、日本経済の悪循環を逆転し、一部の企業、団体のみではなく、努力する人が公平に報われる社会をつくることを申し述べ、反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 佐藤英道君。
    〔佐藤英道君登壇〕
○佐藤英道君 公明党の佐藤英道です。私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました令和六年度予算案につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)討論に先立ちまして、この度の能登半島地震でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。年明け一月一日の能登半島地震は、半島という地形の形状から、避難や救助が困難を極め、土地の隆起や液状化など、他に類を見ない大災害となり、被災地に住む方々の生活を根こそぎ奪いました。政府は、一月二十五日、被災者の生活と生業支援のためのパッケージを取りまとめ、今年度の予備費の使用に加えて、令和六年度予算案の予備費を当初の五千億円から一兆円に増額し、復旧復興の段階に応じて機動的、弾力的に活用し、切れ目のない支援に全力を尽くすことといたしました。これが、本予算案に賛成する理由の第一点目であります。第二の理由は、少子化対策、子育て支援を強力に推進する予算になっている点であります。本予算案には、こども未来戦略に基づき、令和六年度から三年間で集中的に取り組む加速化プランが盛り込まれております。我が党が一昨年策定した子育て応援トータルプランで掲げた施策の多くがベースになっております。児童手当については、本年十月分から、所得制限を撤廃し、支給対象を高校生年代まで拡充し、第三子以降は月三万円に増額をいたします。また、妊娠期から出産、子育てまで一貫して寄り添う伴走型相談支援や経済的支援を行うための出産、子育て交付金については、法改正による恒久化を視野に、予算を増額して継続をいたします。さらに、高等教育の無償化も拡大します。低所得世帯の学生等を支援する修学支援新制度について、令和六年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層にも対象を拡大いたします。第三の理由は、経済の好転の兆しを今後の更なる経済成長につなげるため、物価高に負けない賃上げや所得向上の実現に向けた対応が措置されている点であります。中小企業の賃上げには、労務費も含めた価格転嫁を適切に行うことができる環境づくりや、生産性の向上に向けた投資の後押しが重要であります。そこで、下請Gメンを増強し、取引実態の把握と指導を徹底するとともに、賃上げ実施に向けて設備投資を行う事業者への支援も行うこととしております。また、我が党が強く求めてきた公的部門の賃上げについては、医療や福祉分野で働く方々の処遇を改善するため、診療、介護、障害福祉サービス等の三報酬改定において二・五%のベアを実現するために必要な水準を措置するとともに、人事院の勧告を踏まえた保育士等や教職員の処遇改善も行うこととしております。なお、六月以降には、所得税、住民税の定額減税を実施するとともに、減税の恩恵を十分に受けられない方々には給付金を支給します。賃上げの効果と相まって、全ての国民の皆様の可処分所得を確実に下支えする対策となっております。予算審議の中では、政治資金をめぐる問題に多くの時間が費やされました。我が党は、いち早く政治改革ビジョンを発表し、政治資金の透明性の確保と罰則の強化を訴えてまいりました。とりわけ、政策活動費の使途の公開が重要であると考えます。一刻も早く対策を講じて、国民の政治に対する信頼を取り戻さなくてはなりません。我が党は、その実現に向けて尽力することを表明いたします。以上が、本予算案に賛成する理由であります。能登半島地震の被災者の支援、復旧復興に向けて、早急に予算を成立させ、避難生活を送る人々の暮らしを取り戻すこと、今後も、現地のニーズを踏まえながら、暮らしやなりわいの再建に向けて、被災者に寄り添った支援を行っていく決意であることを申し添えます。本予算案の速やかな成立に向け、議員各位の御賛同を賜りますことをお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 宮本徹君。
〔宮本徹君登壇〕
○宮本徹君 日本共産党を代表して、政府予算案に断固反対の討論を行います。(拍手)自民党の派閥ぐるみの裏金事件に国民の怒りが沸騰しております。世論調査では、六五%の国民が、裏金議員は議員辞職をと答えております。数十年にわたり裏金をつくり続けた政治家が、三年分の収支報告書のいいかげんな訂正で免罪されていいはずがありません。国税庁は、裏金議員の税務調査を行うべきであります。いまだ、一体誰が何の目的で裏金づくりを始めたのか、一旦中止が決まったキックバックを誰の判断で継続したのか、裏金の使途は何なのか、全く真相が明らかにされておりません。森元首相にかたくなに聞こうとしない総理の姿勢は、全容解明に背を向けていると言わざるを得ません。昨日の政治倫理審査会では、二〇二二年八月の安倍派幹部の協議の時点で、キックバック、裏金の違法性の認識について、下村博文議員の記者会見の発言と西村議員、塩谷議員の発言が矛盾していることが明らかになりました。疑惑は深まるばかりであります。また、新たに、二〇一八年の収支報告書において、麻生派、志公会からのキックバックの寄附を自らの収支報告書に記載していない議員の存在が、しんぶん赤旗日曜版最新号で報じられております。自民党の全議員アンケート調査に対してうそをついていたことになります。このような状態で、真相究明から逃げ、幕引きをすることなど許されません。森元首相や安倍派幹部らの証人喚問が必要です。過去に遡って、麻生派も含めた徹底調査を行うことが必要であります。岸田総理は、真相究明に主導的な役割を果たすよう、姿勢を根本的に改める必要があるんじゃないでしょうか。さて、本予算案の大問題は、第一に、中国を抑え込むアメリカの軍事戦略の一翼を積極的に担うために、憲法違反の長射程ミサイルの開発、大量取得や米軍再編経費など、八兆円にも上る過去最大の軍事費を盛り込んでいることであります。軍拡最優先で犠牲になるのは国民の暮らしです。本予算案は、雇用調整助成金の勘定から一千九百六十四億円も軍拡の財源に回します。一方で、被災地で苦しむ事業者への雇用調整助成金の日額上限はコロナ禍の半分程度。悲鳴が上がっています。優先順位が間違っています。軍事費は、民主党政権時に比べ三兆円増えます。大学の無償化に必要な予算は二兆円という答弁がありました。軍拡より教育無償化を優先すべきであります。沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古新基地建設は即刻中止し、普天間基地は無条件返還を迫るべきです。激戦地であった沖縄南部の遺骨混じりの土砂を埋立てに使うなど、人の道に反しており、断じて許すわけにはまいりません。馬毛島基地建設も即刻中止すべきです。武力行使を繰り返し行っているアメリカなどに殺傷能力のある武器輸出に踏み切ることは、憲法の平和理念を投げ捨て、紛争を助長するものであり、撤回すべきであります。軍拡競争で緊張を高め合うのではなく、絶対に戦争にしない平和外交こそ進めるべきだと強く申し上げたいと思います。第二の問題は、企業・団体献金を背景に、大企業への減税や補助金は大盤振る舞いの一方で、物価高騰に苦しむ国民への支援や賃上げは全く不十分。その上、国民生活に追い打ちをかける負担増まで狙っていることです。総理は、子育て支援の財源確保は実質的な負担が生じないと説明してきました。しかし、子育て支援金制度は、新たな国民負担そのものじゃありませんか。一・一兆円もの医療、介護の公費負担削減は、利用者の重い負担増とサービス削減をもたらします。実質的な負担が生じないというのは、全くのまやかしであります。しかも、医療保険の仕組みを使うので、同じ収入でも国保加入者の負担が大きくなり、また高額所得者ほど負担が軽い、不公平なものであります。脱税議員は増税するな、この怒りの声が広がっております。子育て増税も、軍拡増税も、医療、介護の負担増、給付減も撤回すべきであります。在宅介護を崩壊させる訪問介護の基本報酬引下げも撤回すべきであります。昨年の春闘で置き去りになったケアワーカーの賃上げが二・五%では、この二年の物価にすら追いつきません。人手不足の危機的状況を解決するために、全産業平均以上に引き上げるべきであります。物価を上回る賃金の底上げへ、五年で十兆円規模の大胆な中小企業、小規模事業者への支援を行うべきであります。年金は、実質削減をやめ、物価並みには引き上げ、物価を引き下げる消費税減税にこそ踏み切るべきであります。自民党の派閥ぐるみで国民を裏切る裏金づくりを何十年にわたって行いながら、その真相究明にすら後ろ向き、幕引きを図ろうとする岸田政権に、このような暮らしと平和を踏みにじる予算を押し通す資格など全くありません。金の力で動く政治から国民の声で動く政治へ、アメリカと財界におもねる政治から国民の暮らしに寄り添う政治へ、そして、企業・団体献金の全面禁止へ、日本共産党は力を尽くす決意を申し上げ、反対討論といたします。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) 田中健君。
〔田中健君登壇〕
○田中健君 国民民主党の田中健です。私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和六年度総予算案外二案に反対の立場から討論を行います。(拍手)昨日で、能登半島地震の発災から二か月がたちました。改めて、失われた貴い命に心からのお悔やみと、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。復旧復興に向けて日々取り組んでいただいている全ての皆様に感謝と敬意を表するところですが、政府の今般の地震における被災者への新たな交付金制度は、被災地域、被災者の年齢によって分断を生むものであり、極めて不十分であります。立憲民主党、日本維新の会と共同で法案を提出しておりますが、被災者生活再建支援金を拡充し、最高額を三百万円から六百万円に倍増するとともに、支援金の国庫補助率の引上げと適用地域の拡大を強く求めるものであります。さて、我が国は、長期にわたり停滞する経済、止まらない少子化傾向という深刻な問題に直面しています。総理は、今国会冒頭の所信表明演説で、経済の再生が岸田政権の最大の使命、経済、とりわけ賃上げがまさに喫緊の課題であると述べられました。この春も、賃金も経済も安定的に上昇する経済社会に向けてステージ転換を図る正念場です。連合が目標とする、ベアで三%以上、定期昇給と合わせて五%以上の賃上げ実現のためには、政治と経済界、労働組合が昨年以上に力を合わせなくてはなりません。政治の果たす役割として、最優先課題である物価上昇を上回る賃金上昇を実現するための予算編成は急務であります。しかし、岸田政権が編成した令和六年度総予算案には、個人負担を増やすなど、賃上げの効果に水を差すものが含まれており、日本の根本的な問題への解決策が欠落しています。これまでと同様、課題解決を先送りするどころか、更に事態を悪化しかねない点で問題です。まず、国民の暮らし、事業経営を圧迫しているガソリン価格や電気代の具体的な高騰対策が盛り込まれていません。特に、現在の燃料油価格激変緩和補助金は、会計検査院からも問題が指摘をされており、本年五月以降の出口戦略として再三再四にわたりトリガー条項凍結解除を提案したにもかかわらず、総理が決断できなかったことは極めて残念です。賃上げの阻害要因を取り除くべく、一日も早く具体的な時期や内容を示し、明確な施策を打つべきです。続いて、子ども・子育て支援金制度です。子ども・子育て支援金の増加自体については、我々も大いに賛同いたしますが、政府の検討している内容では、そもそも医療保険の目的外使用であるという問題があるとともに、税金を保険料につけ替え、個人負担を実質的に増やすステルス増税となり得る可能性もあります。これ以上の現役世代の社会保険料負担の増加は、制度の目的に逆行し、むしろ少子化を加速させかねません。また、所得税の定額減税についても、本制度では、令和六年分の所得減税から一人当たり三万円を控除することとしていますが、本施策の目的が物価高騰対策なのかデフレ脱却なのか判然とせず、三万円という金額の根拠も、本施策による具体的な効果も不明確です。さらに、給与所得者や、事業所得がある者、また事業主、それぞれに対する減税のタイミングがばらばらであり、令和六年度末の確定申告まで減税効果を受けられない場合があることは大きな問題です。さて、我々国民民主党は、対決よりも解決の下、常に対案を示してきました。限られた時間ですが、以下、具体案を申し述べますので、是非とも参考にしていただき、政府の施策に取り入れていただきたいと思います。まず、給料が上がる経済を実現させるためにも、あらゆる税制改革が必須です。先ほども触れましたが、ガソリン価格高騰対策として、トリガー条項凍結解除によるガソリン減税や、暫定税率、二重課税の見直しを行うべきです。あわせて、広く国民生活を支える対策として、時限的な消費税の減税、電気料金値上げに対して再エネ賦課金の徴収停止といった所要の措置も講じるべきです。また、急ピッチな物価上昇を賃金上昇が上回るまでは、ブラケットクリープ対策としての基礎控除を引き上げる所得税の減税が必須です。法人税減税として、投資額以上の償却を認めるハイパー償却税制の導入や少額減価償却資産特例の上限額の引上げも行うべきです。所得減税については、給付つきの税額控除制度とした方が、公平性と即効性、そして簡便性を両立できるとも考えております。子供、子育て政策としては、人づくりこそ国づくりとの考え方から、子供、子育て支援における公的給付の所得制限の撤廃や、財政法を改正して、教育や人づくりに関する支出を公債発行対象経費とする教育国債を創設、さらに、教育科学技術予算の倍増や年少扶養控除の復活などを速やかに行うべきであります。また、自分の国は自分で守るという観点も欠かすことはできません。農林水産業関連の物価高騰対策、それに伴う適正な価格転嫁支援や、食料安全保障基礎支払いといった所得補償を行うなど、農林水産業への多角的な支援も行うべきです。コロナ禍で顕著になった医薬品供給問題については、薬価制度の見直しなど安定供給の実効性を確保し、イノベーションの促進やセルフメディケーションの促進に向けた施策も打つべきであります。最後に、歳出歳入の見直しが必要です。GDP成長を踏まえると、税収は政府想定よりも上振れが想定されます。今年度税収見積りについて増額修正を行い、歳入を見直すべきです。また、政府は長期金利の指標となる十年物国債の想定金利を令和六年度予算で一・九%としていますが、令和六年度の政府の長期金利の見通しが〇・八%であることから、想定金利を昨年同水準の一・一%に据え置くことで利払い費を縮減します。これらを盛り込んだ予算組替え動議は予算委員会でも否決をされてしまいましたが、国民民主党は、一つずつでも国民生活を支える政策を実現できるよう、引き続き真摯な議論を他党に働きかけてまいります。困難な問題に真正面から取り組み、対決よりも解決の姿勢で、日本を再生する仕事に全力で取り組むことをお約束して、会派を代表しての討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(額賀福志郎君) これにて討論は終局いたしました。令和六年度一般会計予算外二案を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。氏名点呼を命じます。
〔参事氏名を点呼〕
〔各員投票〕
○議長(額賀福志郎君) 投票漏れはありませんか。――いまだ投票されない方は、ただいまから一分以内に投票されるように望みます。その時間内に投票されない方は棄権とみなします。(発言する者あり)演壇で議長の許可なく発言することはおやめください。(発言する者あり)演壇で議長の許可なく発言することはやめてください。
〔投票継続〕
〔発言する者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 演壇で議長の許可なく発言することはやめてください。
〔投票継続〕
○議長(額賀福志郎君) 投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。投票を計算させます。
〔参事投票を計算〕
○議長(額賀福志郎君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
〔事務総長報告〕
投票総数 四百五十五
可とする者(白票)      二百八十八
否とする者(青票)       百六十七
○議長(額賀福志郎君) 右の結果、令和六年度一般会計予算外二案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)