安永事件 警察に拘束され障害者死亡 風化させない集会

 佐賀県で2007年9月、障害者作業所から帰宅途中に、保護を名目に複数の警察官に取り押さえられ、安永健太さん=当時(25)=が亡くなった事件があります。安永さんは知的障害がありました。この事件から障害のある人と警察のあり方を考えようと、関係者らは17日、東京都内で集会を開きました。遺族や支援者らは事件を風化させず、誰もが安心して暮らせる社会にしていこうと確認しあいました。
 主催は、安永健太さん事件に学び共生社会を実現する会(健太さんの会)。オンラインと合わせ約440人が参加しました。
 安永さんの父安永孝行さんは「この事件は障害者だけではなく健常者にも起こりうる。事件を風化させないためにも警察官や一般の人にも理解してほしい」と述べました。警察官職務執行法には、「保護」の対象として「精神攪乱」の規定があります。
 健太さんの会世話人で日本障害者協議会の藤井克徳代表は、警職法が対象とする「精神攪乱」は、障害者を「不良」とした旧優生保護法の障害者観と通じると指摘。「障害者権利条約は、障害者はその心身がそのままの状態で尊重される権利を有するとうたっている。社会が条約に近づくようにしていこう」と呼びかけました。
 藤岡毅弁護士は「安永さんの死を無駄にしない。警職法の改正の実現を目指す」と訴えました。
 与野党の国会議員があいさつしました。日本共産党の宮本徹衆院議員は「警職法で精神攪乱者と判断すれば、制圧が容認される規定は人権侵害も甚だしい。改正に向けて取り組む」とあいさつしました。

以上2024年4月18日付赤旗日刊紙より抜粋