2024年4月26日 衆院厚生労働委員会 雇い止め規制強めよ 安心の妊娠・出産へ 宮本徹氏
配付資料 育児休暇の取得状況
配付資料 会計年度任用職員の育児休業・介護休暇の状況
配付資料 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第九条
配付資料 「こども未来戦略」(2023年12月22日閣議決定)より抜粋
日本共産党の宮本徹議員は26日の衆院厚生労働委員会で、有期雇用で働く女性労働者が安心して妊娠・出産できるようにするため、雇い止め(契約の不更新)を解雇と同様に規制する法整備を求めました。
男女雇用機会均等法は、妊娠中と出産後1年を経過しない女性労働者に対する解雇を禁止し、立証責任を事業主に負わせています。一方、有期雇用労働者に対する雇い止めについては妊娠等を理由とした「不利益な取り扱い」を禁止しているものの、労働者が立証しなければ無効となりません。
宮本氏は、有期雇用労働者が妊娠を告げたり、育休を取ろうとした途端に雇い止めされるケースがあり、「雇い止めについても(解雇と)同様に保護を行う法改正が必要ではないか」と迫りました。武見敬三厚生労働相は「人事労務管理の慣行等の観点から慎重な検討が必要」と後ろ向きな姿勢を示しました。
宮本氏は、自治体の会計年度任用職員についても育休取得者らが雇い止めにあっているが、自治体がどこもチェックしていないと指摘。育休取得者、育休予定者の雇い止めがないかについて、それ以外の者との任用継続率(合格率)の差異も含めて実態調査をするよう求めました。総務省の小池信之公務員部長は「調査することは考えていない」と背を向けました。
以上しんぶん赤旗ホームページネット配信記事より抜粋
≪2024年4月26日 第213回国会 衆院厚生労働委員会第17号議事録≫
○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、非正規雇用労働者の育休についてまず取り上げたいと思います。今でも、均等法九条三項で、妊娠、出産、育休、こうしたものを理由に不利益な取扱いをしてはならないとなっているわけですけれども、現実には、有期雇用労働者が妊娠を告げた途端に雇い止めにされてしまう、育休を取ろうとしたら雇い止めにされてしまう、こういうケースが少なくありません。なかなか裁判で争うというふうにはならないわけですよね。やはり、非正規雇用の皆さんの場合は、生活維持のために次の場所を見つけて働かなきゃいけないということがあります。ですから、私は、今の均等法九条三項だけではなくて、九条四項ですね、九条四項は妊娠中と出産後一年の解雇を禁止しているわけですけれども、雇い止めについても同様の保護を行うような法改正を行う必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 御指摘の点に関する男女雇用均等法の規定は、妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇を無効としている規定でありまして、事業主に立証責任を転換している、大変強い民事上の効力を有する規定でございます。委員の御提案については、解雇は使用者が一方的に労働契約を終了させることに対して、有期雇用契約の雇い止めは本来予定されていた契約期間が終了した際に使用者が契約を更新しないことといった違いがあることを踏まえまして、人事労務管理の慣行等の観点から慎重な検討がやはり必要となります。また、現行の男女雇用機会均等法第九条第三項におきましても、妊娠や出産したことを理由として不利益な取扱いをしてはならないとされているところであり、不利益な取扱いを受けた労働者は、都道府県労働局長が事業主に助言、指導、勧告を行うように求めることができるほか、都道府県労働局において紛争の解決援助を図っているところでございます。都道府県労働局において丁寧にこうした対応をし、女性労働者の方が妊娠や出産などにより不利益な取扱いを受けないよう、環境の整備には努めてまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 先ほど、立証責任がどちらにあるのかというのが違うんだという話がありましたけれども、雇い止めの場合は立証責任が労働者の側に来てしまいますから、事業主が、これは育休を理由じゃない雇い止めですというふうに言った場合は、長い紛争になっていってしまうわけですよね。ですから、やはり雇い止めについてもこれはもっと強い保護をしないと、安心して出産、育児をするということができないと思うんですよ。現実には、本当だったら正規で雇ってしかるべきような仕事まで契約社員になっている、あるいは、公務員の現場でもそうですよね、非正規の公務員になっているということがあるわけですから、ここは本当にしっかりとした保護がないと、安心して子供を産めないんじゃないですかね、育てようとならないんじゃないですかね。慎重な検討よりも踏み込んでいただきたいと思うんですけれども、それこそ慎重ではなくてという話が今日の議論でもありましたけれども、これはちゃんと、どうやってこうした非正規の皆さんを保護していくのかというのは考えなきゃいけないと思いますけれども、いかがですか。
○武見国務大臣 法律上の扱いをどうするかという点については、やはり慎重な検討が必要だとは申し上げなければならないのでありますけれども、実態として、都道府県の労働局の中で、こうした案件について個別にしっかりと丁寧に対応していくことが必要だと思います。
○宮本(徹)委員 現実には、なかなかそれだけでは事態は是正できていなくて、たくさんの雇い止めがマタハラとして起きている。ここは本当に、これをどう解決していくのかというのは政治の責任だと私は思いますので、そこはよく考えていただきたいと思います。あわせまして、ちょっとこの問題、同じ問題で、地方自治体の会計年度任用職員のこともお伺いしたいと思うんですね。同じような問題がたくさん起きております。今日、資料をお配りしておりますけれども、常勤職員は育休取得率だとかをちゃんと把握しておりますが、会計年度任用職員はそもそも育休取得率というものを取っていないんですね。取得者数しかカウントしていないということがあります。これもちゃんと把握していただきたいと思います。加えて、育休中の者、育休取得者、育休予定者の雇い止めがないかということについて、それ以外の者との任用継続率、合格率の差異も含めて、私は実態を調査していただきたいと思うんですね。というのも、私、今国会一番初めに、東京都のスクールカウンセラーの問題を取り上げさせていただきました、大量の雇い止めがあると。スクールカウンセラーの皆さんの話を聞いていると、どうも、育休を任用中に取った方が高い比率で雇い止めに遭っているのではないのかという声が出ているわけですね。ですから、ここは本当にちゃんと実態調査をしていただかないと、本当に、不利益が行われているということにもなりかねないと思っています。実は、私たち、東京都議ももちろんいますので、ルートで資料を東京都に出してもらおうと思ったんですけれども、出さないというのがあるんですね。これはなかなか、こういうふうになってくると、本当に不利益が育休を取った者に対して行われているのではないかという疑念も持たざるを得ないということがありますので、こうした調査を是非やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小池政府参考人 まず、会計年度任用職員の育児休業取得率について、これは調査をしておりませんけれども、これを算出するためには、分母として、当該年度に新たに育児休業の要件を満たして取得可能となった会計年度任用職員の数を正確に把握する必要がございますが、会計年度任用職員の任用時点や期間は様々であり、分母に該当する職員の把握が困難であることから、現時点で調査することは考えておりません。また、会計年度任用職員につきましては、令和五年度に、公募によらない再度の任用回数の運用状況などを詳細に調査をしておるところでございますが、育児休業取得者など特定の属性の人が再度任用されたかどうかについては、各自治体の具体的な任用に関わることでもございますので、総務省において調査することは考えておりません。なお、再度任用の際に、例えば育児休業をしていることを理由として任用しないとする取扱いは、地方公務員育児休業法第九条に照らして認められないということを助言をしているところでございます。
○宮本(徹)委員 そういう助言をしていても、実態としてそういうことが起きているのではないのかという声がいっぱい上がっているわけですよ。地方自治体と一緒になって隠蔽するというのが総務省の立場ですか。
○小池政府参考人 繰り返し申し上げますが、それぞれの自治体において、どういった職員を採用するかどうかは決めることでございますので、各自治体において適切に判断されるものと考えております。
○宮本(徹)委員 いや、そんなことを言っているわけじゃないです。そういう実態が起きているのではないのかというたくさんの声が上がっているから、誰かが調べないと駄目じゃないですか。都道府県は資料も出そうとしない。どうやって、誰がチェックするんですか。
○小池政府参考人 地方公務員の採用についてでございますが、会計年度任用職員として任用する場合には、制度上、一会計年度を超えない範囲で任用するということでございますので、その任用に当たっては、地方公務員法に定める平等取扱いの原則ですとか成績主義を踏まえ、できる限り広く募集を行うことが望ましいと考えておりまして、こういったことですとか、先ほど申し上げました助言等を踏まえて、各自治体において適切に任用を行っていただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 結局、誰もチェックしないんですよ。自治体が資料も出さないということになって隠そうとしたら、総務省もチェックしないということで、こんなのでいいんですかね、本当に。私は、公務員の職場というのは、率先して誰もが働きやすい職場というのを実現して、そしてそれが民間にも広がっていくというのが、本来、公務の現場であるべきことだと思うんですよね。それで、おかしなことが起きているのではないのかと言われているのに、調べようともしないというのでは、私は、ちょっと本当に、役割を行政が果たしているとはとても言えないと思います。この問題は、またどこかでやりたいと思います。続きまして、男性の育休の取得日数についてお伺いしたいと思います。男性がどの程度の期間の育休を取れば、その後も共育てになっていく、こう考えられるのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○武見国務大臣 育児、家事を分担するかについては各家庭の御事情によって決められるものでございますから、それぞれの男性労働者にどの程度の育児休業期間が必要かというのは様々でありまして、一律に申し上げることはちょっと難しいかなと思います。
○宮本(徹)委員 一律は難しいという話ですけれども、今度、次世代育成支援対策推進法に基づいて、行動計画、これを定める指針に、企業に対しては適切な目標の設定というのを、育児休業の期間についても求めるわけですよね。企業に対して適切な目標を設定してくださいといいながら、国としては、それはそれぞれの家庭の事情なので一律には申し上げられません、じゃ、どうやって企業に決めてくれということになるんですか。何らか、これぐらいのことというのはやはり共育てにしていくためには必要だということを示すしかないんじゃないですかね。
○堀井政府参考人 今回改正をした次世代育成支援対策推進法が成立しました場合には、行動計画策定指針の中におきまして、今、宮本委員から御指摘のあったように、各事業主、各企業が、各企業の状況を踏まえて、そのような男性の育児休業の取得の期間などについても目標を定めることが望ましいというふうなことを記載をする。そのような背景としましては、やはり、一律になかなかこの期間、こういった形での育児、家事参画というのを決めるのは難しい一方で、ただ、企業の中で各事業所の状況をよく把握をして、そしてPDCAサイクルを回していく中で、労働者の希望も聞いた上で、このぐらいの一定期間ということが定められるということが望ましい、そのような背景があるということでございます。
○宮本(徹)委員 今の説明を聞いて分かった人は余りいないんじゃないかと思いますよ、はっきり言って。一律には決められないけれども、企業には決めてくださいと。私、これではちょっと企業も本当に困ると思いますので、これぐらいというのは、やはり政府としても是非検討していっていただきたいと思うんですよね。育休について、北欧を中心に、クオータ制を取っている国々があるわけですよね、三か月だとかそういう期間を設けて。それは、やはりそれぐらいは取らなきゃというのがあるんだと思うんですよ、男性もその後育児に恒常的に参加していこうと思ったときに。ですので、それは是非、各国の制度も含めて研究しながら、企業から相談が来たときに、政府がちゃんと相談に乗れるようにしていただきたいと思います。その上で、もう一点お伺いしたいのは、こども未来戦略には、期間が少し入っている目標が書いてあるんですね。男性の育児休業取得率の目標について、公務員については、一週間以上の取得率幾らとか、二週間以上の取得率幾らだとか、こういうことが書かれているんですね。こんな短い期間を書くと、男性は一週間とか二週間だけ育休を取ればいいんじゃないかという間違ったメッセージになるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○工藤副大臣 宮本委員御指摘の男性の育児休業取得率の目標について、こども未来戦略では、現在の育休取得状況も踏まえつつ、それまでの政府目標であった三〇%から、二〇三〇年までに八五%へ目標を大幅に引き上げた上で、国、地方公務員については先行的に目標の前倒しを進め、二〇三〇年を待たずに、二〇二五年までにまずは一週間以上の取得率を八五%とし、その上で、二〇三〇年までに二週間以上の取得率を八五%とすることとしております。これは、男性の育児、家事参画のためにはある程度まとまった期間の取得が必要であるとの考えの下、設定したものであり、以上とあるように、一週間や二週間で育児休業取得期間が十分であるという考えを記したものではございません。また、育児休業については、男性育休が当たり前になる社会の実現に向け、それぞれの家庭の事情などを踏まえて、仕事と育児を両立するため、希望する期間、取得できるようにすることが重要と考えており、そういった趣旨もしっかり発信することで、委員御指摘のような誤ったメッセージを受け止められないように考えておりますし、宮本先生からの質問を受けまして、サンプルはとても少ないんですけれども、私も、役所内のある程度の年齢の男性の方に、子供が生まれたらどれくらい取りますかということを質問して、ちょっと向こうもたじろいでおりましたけれども、一週間、二週間と言ったら、やはり一か月は取りますよということがおおむねの答えでありましたので、余談ですけれども、つけ加えさせていただきます。
○宮本(徹)委員 おっしゃられたとおり、もうちょっと公務員の皆さん、男性でも取っている場合の方が多いと思うんですよね、多くの場合は。平均的に見てもそうだと思いますので、さすがにこの一週間以上、二週間以上というのは、ちょっと次にこども未来戦略を決めるときには書き改めていただいて、もっと、これぐらいしっかり取って、男性も育児参加をその後もやっていける状況を公務員の分野から率先してつくっていただきたい、そのことを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。