2024年5月15日 衆院厚生労働委員会 再生医療提供計画の独立・公平審査改善を 宮本徹氏 細胞培養企業など退けよ
配付資料 出典:2021年9月29日付第66回再生医療等評価部会資料「令和2年度厚生労働省委託事業 認定再生医療等委員会の審査の質向上事業一式成果報告書」 衆院厚労20240515
日本共産党の宮本徹議員は15日の衆院厚生労働委員会で、再生医療提供計画の独立・公平な審査のための改善を提案しました。
医療機関が再生医療を実施する場合、医療提供計画書を厚生労働省の認定を受けた再生医療等委員会が審査し、厚労相に届け出します。ところが、再生医療コンサルティング会社や細胞培養加工企業が審査をする委員会と審査を受ける医療機関の双方を支援している事例が報告されています。宮本氏は、細胞培養企業など医療提供者と利害を共通にする者を委員会運営から退ける施行規則改正を求めました。
さらに、宮本氏は「審査をする側が審査を受ける側の医療提供計画の作成支援は独立、公平を損なう」と迫りました。武見敬三厚労相は適切ではないことを認め、5月にとりまとめた適正な審査のためのガイダンスの見直しを含めて検討すると答弁しました。
また、宮本氏は、委員会が審査の科学的根拠とする文献が示されていない例が25%あったことも問題であり、「科学的論文が必要だと明示すべきだ」と求めました。
以上しんぶん赤旗ネット配信記事より抜粋
≪2024年5月15日 第213回国会衆院厚生労働委員会第19号議事録≫
○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。質問いたします。再生医療の安全を担保するはずの認定再生医療等委員会の審査が適切なのか、疑問視されております。配付資料は、厚労省の認定再生医療等委員会の審査の質向上事業の成果報告書の抜粋でございます。この委託を受けた専門家の調査では、再生医療計画の約三〇%が医師の専門性と適合していない、二五%が安全性の科学的根拠となる資料を示していない、治療計画の六五%が同じ名前の治療計画があり、説明文書も同じで、審査も一部の認定再生医療等委員会に偏っていた、さらに、癒着が疑われる事例も、ネットで調べるだけでも四例確認されたということなんですね。その四例を資料としてお配りをしておりますけれども。一例目。審査をする委員会と審査を受ける医療機関が、共通の再生医療コンサルティング会社A社の支援を受けていた。複数の医療機関の個別具体的な再生医療計画を審査しているけれども、唯一公開された回の議事録は、全ての計画に関する審査議事録が一言一句同じ、説明文書は大規模に複製、利用されているとのことです。二例目。細胞培養加工企業が、ビジネスパートナーとして、審査を受ける医療機関の計画の作成の支援をし、もう一方で、審査する委員会の事務局を実質的に担っている。三例目。細胞培養加工企業が、審査を受ける医療機関と審査をする委員会の支援をし、何と、審査をしている委員会が審査対象の計画の作成支援も業として標榜している。四例目は、二例目とほぼ同じということで、私もこれを読んで大変驚きました。この成果報告書の中では、こういう記述があるんですね。「審査を受ける再生医療等提供者と利害を共通にする者(具体的には、再生医療等提供機関に培養加工した細胞を提供する事業者など)を委員会運営から退けることは、公正かつ適正な委員会の審査のためには必要」と書いてあります。全く私はそのとおりだと思います。これは、施行規則の見直しも含めて対応を取るべきじゃないでしょうか。
○内山政府参考人 お答えいたします。認定再生医療等委員会におきまして適正な審査が行われること、これは委員御指摘のとおり大変重要なことだというふうに思ってございまして、審査に当たっては利益相反に関する基準を設けておりまして、施行規則におきまして、審査の対象となる細胞加工物を製造する事業者など密接な関係を有する者につきましては委員会の審査に参加できないというふうにしているところでございます。
○宮本(徹)委員 そもそもの、これの中で指摘されているように、委員会と企業の住所が同一だったり、同じ人が企業、委員会、医療機関の全てで要職を兼務している例もあるんですよ。事実上、企業が認定審査会の事務所のフロアも提供している、こういう状況なんですよね。ですから、この委員会のメンバーにどういうものを求めていくのかということを考えたときに、企業のメンバーというのは全部排除していくということが必要なんじゃないですか、関係者というのは。
○内山政府参考人 認定再生医療等委員会のメンバーと、実際の審査があるわけですけれども、今申しましたように、それぞれの認定再生医療委員会は様々な医療機関から審査の依頼が来るわけでございますので、審査の段階において、密接な関係を有する方については委員会の審査に参加できないというふうにしてございます。さらに、今年五月にガイダンスを取りまとめてございまして、委員が自身に利害関係のある企業等を定期的に委員会に報告して利益相反をチェックする仕組みを明確化する、あるいは、実際にその審査のときには審査から外れていただくといったところを示しているところでございまして、まずはこうしたガイダンスをしっかり守っていただくように、適切な運用を図っていきたいというふうに考えてございます。
○宮本(徹)委員 結局、企業が自社の製品の使用計画を作成して、複製して日本中の医療機関に使わせる、そして自らが運営する委員会の審査を通していく、委員会自体を、委員会自体の事務所機能まで含めて企業が担っちゃっているわけですよ。こういうこと自体がおかしいんじゃないですかということを言っているんですよ。そういう、根本の、大本のところから利益相反、責務相反があるんじゃないかということが指摘されているわけじゃないですか。国民は、疑念は晴れないですよね、こういうことを放置していたら。大臣、そう思われませんか。
○武見国務大臣 実際、担当からも説明がありましたとおり、認定再生医療等委員会で適正な審査が行われるように、審査に当たって利益相反に関する基準を設けており、施行規則において、審査の対象となる細胞加工物を製造する事業者など密接な関係を有する者は委員会の審査に参加できないということになっております。その上で、既に利益相反関係にある事業者は委員会の審査から排除されているところです。委員御指摘の成果報告書の記述は、細胞加工物を製造する事業者等について、委員会の審査そのものには参加はしておりませんけれども、審査の運営に影響を及ぼしていることがあるのではないかという指摘だと承知をしております。今年五月に取りまとめたガイダンスにおいては、委員が自身に利害関係のある企業等を定期的に委員会へ報告して利益相反をチェックする仕組みなどの具体的な審査の手順を明確化するなど、適正な審査に資するための対応を行いました。加えて、今回の改正法案においては、新たに立入検査や欠格事由に係る規定を整備することとしております。このように、ガイダンスの周知を行うとともに、改正法案やそれに基づく施行規則を適正に運用することによって、適正に運用を図ってまいりたいと考えます。
○宮本(徹)委員 しかし、そもそも、企業が委員会の事務所も提供して、委員会のメンバーの人選も関与してということになっているとすればですよ、そして、自らの製品の使用計画を作成支援をしている、両方の支援をしているわけですよね、使用計画を作成して、そして認定する側の委員会の支援もしてと。これは誰がどう考えても、それは何らかの力が働いているというふうに思わざるを得ないわけですよ。そこを本当に、このままでいいんだというふうには私はならないと思いますよ。私は、法律で立入検査の権限を設けるんだというんだったら、これは本当に、御指摘されている四例についてはちゃんとまずしっかりと調べるべきだと思うんですよね。なぜなら、ここで言われている専門性調査で問題があるんじゃないかだとか、論文の引用調査で問題があるんじゃないかということが、これらの委員会についても指摘されているわけですよね。ですから、そこは、これでいいですよということにはならない、国民から疑念を持たれる状況は私はなくすべきだと重ねて申し上げておきたいというふうに思います。続きまして、もう一点。成果報告書の中では、先ほどの三例目に関わって、認定再生医療等委員会が自分たちが審査をする計画の作成支援サービスまでうたっているという話もあったわけですが、やはり、認定再生医療等委員会が審査の独立、公平を損なうようなサービス、自分が審査をする計画の作成支援サービスを行うことについては、これはやってはならないということを明確にすべきだと思いますが、いかがですか。
○武見国務大臣 再生医療等安全性確保法では、医療機関が再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出しようとする場合には、認定再生医療等委員会の意見を聞く必要があるとまず規定をしております。その際に、認定再生医療等委員会が医療機関に対して、再生医療等提供計画について法令上の基準等を踏まえた留意点を意見することもありますけれども、審査対象となる計画書を委員会が自ら作成するといった支援は、審査の独立性や公平性を損なうおそれがあって、それは適切ではございません。そこで、今年五月に作成したガイダンスにおいて、認定再生医療等委員会の具体的な業務の手順をお示ししているところであります。今後、適正な審査に資するように、不断にこのガイダンスの見直しを行っていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 それは、ガイダンスに適切じゃないということを書くということですか。
○武見国務大臣 見直しを含めて検討します。
○宮本(徹)委員 それはしっかりやっていただきたいと思います。続きまして、先ほど、再生医療計画の二五%が患者に安全に再生医療を提供できるという科学的根拠となる資料を示していなかったという問題です。そもそも根拠文献を全く示していない、添付文献が学術研究論文でない、いわゆるハゲタカ雑誌、あるいは、引用された論文は安全性を確認できる臨床研究論文ではなかった、こういうものがたくさんあって、この間の機能性表示食品のときの議論とも似ているなということを思うんですけれども、そういうものが今は添付されている。ガイダンス、今度出したものの中ではどうなっているかといいますと、提供しようとする治療が現在の医学、医療の現場を踏まえて最適な選択であることを倫理的及び科学的観点から説明可能なこととしておりますが、ここは以下のような項目が参考になるということで、治療実績等に関する科学的論文その他の関連する情報又は十分な実験結果に基づき、当該治療が倫理的にも科学的にも最適である場合とあって、成果報告書の中では、科学的文献を引用して、やはり科学的論文でエビデンスをちゃんと示すべきじゃないかということが指摘されているわけですね。ところが、ガイダンスは、その他の関連する情報でもいいというふうにしちゃうと、これでは本当に、極めて根拠薄弱な今の現状がまだ残り続けるのではないのかと、大変懸念があるんですね。なぜ科学的論文というふうに限定しなかったんでしょうか。
○内山政府参考人 ガイダンスでは、治療実績等に関する科学的論文その他の関連する情報というふうに書いてございますけれども、この科学的論文につきましては、更に、科学的文献チェックリストというものもガイダンスに載せさせていただいておりますので、そうしたものも踏まえて、科学的な妥当性について適切さを担保していきたいというふうに考えてございます。
○宮本(徹)委員 そのチェックリストを見ているんですけれども、それは科学的論文についてのチェックリストということで、ただ、ガイダンスの、以下のような項目が参考になるというところには、科学的論文その他の関連する情報と、科学的論文じゃなくても、その他の関連する情報でいいですよと。今の科学的根拠がない、示していないような状況でも、まだ認め得るかのようにも読めてしまうわけですよね。そこはやはりもっと明示的に、こんな、その他の関連する情報なんということをやめて、科学的論文が必要だということを言わなければならないんじゃないか。やはり医療というのは、間違えば命、健康に影響するわけですよね。そして、再生医療については、自由診療の世界で行われていて、まだ保険というところまでいかないような中身が多いわけですから、だからこそ本当に科学的な根拠というのが求められると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 このガイダンスの最終版では、治療実績等に関する科学的論文その他の関連する情報というのは、科学的論文と関連するその他の情報又は十分な実験結果に基づく、当該治療が倫理的にも科学的にも最適である場合、こういうふうに規定しております。したがって、やはり、科学的論文というのがまず基本に据えられている点をもう一度確認しておきたいと思います。
○宮本(徹)委員 科学的論文が基本なんですけれども、基本だったらその基本でいってほしいんですよね。その後ろに何か、その他の関連する情報と言ったら、科学的論文以外でもいいんだというふうに読みたい人は読んじゃうわけですよ、そこは。この点も是非、ガイダンスはこれでいいのかという不断の見直しの対象にしていただきたいと思いますが、大臣、そこだけお答えください。
○新谷委員長 武見厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○武見国務大臣 審査はあくまでも科学的知見に正確に基づいて行われるものであるということはもう明白でありますから、科学的論文というものをまず基本としてこうした判断が下されるように努めることが大切と思います。
○宮本(徹)委員 終わります。