2024年5月17日 衆院厚生労働委員会 無床診療所でも利用を 経口中絶薬 宮本徹議員が求める
配付資料 出典:2021年9月29日付第66回再生医療等評価部会資料「令和2年度厚生労働省委託事業 認定再生医療等委員会の審査の質向上事業一式成果報告書」
日本共産党の宮本徹議員は5月17日の衆院厚生労働委員会で、昨年5月に使用が始まった経口中絶薬を無床診療所でも利用可能にするよう求めました。
世界保健機関(WHO)は、麻酔も要らず、女性の体に負担をかけない経口中絶薬を推奨しています。経口中絶薬の販売開始後半年間の調査で重篤な副反応例は報告されていません。一方、経口中絶薬の相談ができる医療機関は全国で150程度しかなく、10県には相談できる医療機関がありません。
宮本氏は「経口中絶薬は入院施設が必要とされているが、早急に無床診療所でも利用できるようにすべきだ」と要求。武見敬三厚労相は「報告書を作成中のこども家庭科学研究の調査結果などを踏まえ、適切に対応したい」と述べました。
宮本氏は、ウェブサイトを調査した結果、当初、手術費用と同額程度の10万円と言われていた中絶薬による中絶が手術より高額に設定されている例も少なくないと指摘。利用料金の面で外科的手術を行うよう誘導されているのではないかとして、中絶への公費支援を求めました。
工藤彰三内閣府副大臣は「個人の倫理観や家庭観などさまざまな課題があり、公費支援も中絶費用を把握することも考えていない」と不誠実な答弁に終始。宮本氏は、中絶費用が高すぎるために、望まない妊娠をしてもお金がなくて中絶できる時期を逃してしまうことが繰り返されているとして、再考を求めました。
以上しんぶん赤旗ホームページネット配信記事より抜粋
≪2024年5月17日 第213回国会衆院厚生労働委員会第20号議事録≫
○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、経口中絶薬についてまず質問したいと思います。昨年五月の販売開始から半年間で七百二十四人が服用し、十一月十五日までに十四件の副作用がありましたが、重篤な例はなかったという報告が出ております。一方、中絶薬を扱っている医療機関は百四十八ということで、指定医師のいる施設の三・五%にとどまっております。十県は、そもそも、経口中絶薬を利用できる医療機関はないという状況でございます。これらの状況をどう評価しているのか、経口中絶薬の使用が広がっていない要因をどう分析しているのか、まずお伺いしたいと思います。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。御指摘のメフィーゴパックについては、昨年四月、厚生労働省の審議会で薬事承認に関する審議が行われた結果、適切な使用体制の在り方が確立するまでの当分の間、入院可能な有床施設において入院又は院内待機を必須として使用すると判断されたと承知しております。こども家庭庁としては、母体保護法に基づき、指定医師がその必要性や実施時期、経口中絶薬も含めた中絶方法を適切に判断した上で、経口中絶薬が使用されるものと受け止めております。引き続き、人工妊娠中絶が法に基づき適切に実施されるよう、厚生労働省と連携してまいります。
○宮本(徹)委員 何か聞いていることに全然答えていないんですけれども。使用が広がっていない要因をどう分析しているんですかと聞いたんですけれども、合っていますかね、読んでいるペーパーは。ちょっと、これ以上また違うペーパーを読まれると心配なので次に行きますけれども。G7広島首脳コミュニケでは、我々は、安全で合法な中絶と中絶後のケアへのアクセスへの対応によるものを含む、全ての人の包括的なSRHR、性と生殖に関する健康と権利を達成することへの完全なコミットメントを再確認しているとあるわけですね。安全という点でいえば、経口中絶薬による中絶というのは、WHOのガイドラインが推奨しているわけです。麻酔も要らない、体への負担も小さいということになっているわけです。一方、WHOのガイドラインが推奨していない掻爬法が日本ではいまだにかなりあるという状況でございます。女性の権利と安全の面で世界標準にまだまだなっていないと思います。大臣にお伺いしたいと思いますが、経口中絶薬を処方する医療機関を広げる必要があると思います。そして、先ほど、当分の間の対応という話がありましたけれども、今は入院施設等が必要とされているわけですけれども、早急に無床診療所でも利用できるようにすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 委員御指摘のとおり、安全で合法な中絶やアクセスの重要性は認識しておりますので、現行の母体保護法の下で人工妊娠中絶が認められる場合において、いわゆる経口中絶薬は中絶手技における新たな選択肢を提供するものだと考えます。経口中絶薬の例えばメフィーゴパックについては、昨年四月の薬事・食品衛生審議会の審議におきまして、本剤の有効性のほか、出血や感染症のリスク等の安全性について慎重に評価するとともに、製造販売後の管理方法についても議論をされたところでございます。その結果、適切な使用体制の在り方が確立されるまでの当分の間は、入院可能な有床施設において入院又は院内待機を必須として使用することと判断された上で、薬事承認をされたものでございます。この点については、市販後に十分な調査研究を実施をし、適切な医療の連携体制の在り方について評価を行い、その結果に基づき判断することとされております。こども家庭科学研究の調査結果などを踏まえて、適切に対応したいと思います。なお、その調査研究、令和五年度のこども家庭科学研究で、経口避妊中絶薬導入後における人工妊娠中絶の実施調査及び適切な情報提供等に関する研究で実施されてきているものでございますので、現在、その報告書を作成中でございます。
○宮本(徹)委員 報告書を作成中ということですけれども、早急に報告書をまとめて、これを見直していただきたいと思うんですよね。大臣はWHOの親善大使……(武見国務大臣「辞めた」と呼ぶ)あれは辞めたんですか。やられていたということですよね。大変WHOとも関係があると思うんですけれども、WHOのガイドラインではこんな限定的なことを言っていないわけですね。一般医でも大丈夫ですよ、准看護師で薬剤管理をしても大丈夫ですよ、さらには十二週未満での薬剤での中絶は自己管理、これも推奨に入っているんですよね。世界的には本当に安全性が確認される中でそこまで来ているわけですから、これをいまだに、入院しなきゃいけない、そこでしかできない、入院施設がなきゃできないということにしていると、なかなか、せっかく選択肢が増えても利用できない、安全なもの、体に負担が少ないものが利用できないということになりますので、ここは早急な見直しをお願いしたいと思いますし、これはこども家庭庁にはお願いしたんですけれども、そういうことからすると、私は母体保護法の指定医制度そのものもやはり見直す必要があるんじゃないかと思いますよ、中絶薬の取扱いということからいえば。いかがですか。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。御指摘のWHOのガイドラインにおいて、十二週未満での薬剤による人工妊娠中絶について、産婦人科を専門としない一般の医師や看護師等による処方、自己投与も推奨されていることは承知しております。我が国においては、母性の生命、健康の保護のため、一定の知識や技能等を有する指定医師が、妊娠の継続又は分娩が身体的、経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある場合などに、経口中絶薬を用いるなどの手法により人工妊娠中絶をできることとすることで、人工妊娠中絶の必要性や実施時期、方法等が適切に判断されるものと考えております。御指摘の見直しについては、指定医師以外の者においてこうした適切な判断が行えるかなど、様々な観点について慎重な検討が必要だと考えております。
○宮本(徹)委員 この点も、やはりWHOの知見を是非踏まえて検討していただきたいと思います。加えて、配付資料の一番後ろにつけたんですけれども、利用料金の問題があるんですね。当初、十万円ぐらいじゃないかと言われて、それも高い高いと私は一年前、質問をしたんですけれども、ちょっとホームページを調べてみました。私は東京なので、東京の十五の医療機関、経口中絶薬が使えるというところを見ました。値段が出ていないホームページも多いんですけれども、十万五千円から二十二万円までというふうになっていまして、外科的手術の料金と比較できた医療機関はそのうち五つ、そのうち三つが、実は経口中絶薬の方が高いんですね。元々、外科的手術より安くなるんじゃないかと言われていて、安くなっているところもあるんですけれども、必ずしも全体がそうはなっていないわけですね。加えて、他県の医療機関のホームページを見ましても、経口中絶薬の方が安い場合でも、うまくいかなかった場合は外科的手術を追加料金ということで求めますので、合わせると高くなるということで、利用料金の面で、結果的に外科的手術に誘導されているのではないのかということも感じてしまうわけです。海外を見ますと、中絶、御存じのとおりフランスは無料なわけですね。また、中絶薬による中絶で、カナダやオーストラリアは四万円程度ということを言われているわけです。ちょっと政府にお伺いしたいんですけれども、経口中絶薬による中絶の平均的な料金というのは政府としてつかんでいるんでしょうか。私は大変高いと思うんですけれども、そういう認識はあるでしょうか。私は中絶への公費支援を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。経口中絶薬による人工妊娠中絶の費用の傾向に関してこども家庭庁としては把握をしていないことから、お答えすることは困難でありますが、人工妊娠中絶については、個人の倫理観や家庭観等、様々な課題もあることから、まず国民的な合意形成が必要な課題だと認識しており、現時点では、一律に公費支援を行うことや、その前提として費用の傾向を把握することは考えておりません。非常に難しいなとは思っております。各国の話を今、宮本先生はされましたけれども、それを一概にこども家庭庁で精査するということは、まだ私は聞き及んでおりませんので、申し訳ございません。
○宮本(徹)委員 先ほど、G7広島首脳コミュニケ、大事だということで私、読み上げさせていただきましたけれども、安全で合法な中絶へのアクセス、これをしっかり保障するということを考えた場合に、やはり、余りにも中絶費用が高過ぎる、中絶薬も含めて高過ぎるというのが状況だと思うんですよね。本当に、高校生とかが望まない妊娠をして、お金がないために中絶できる時期を逃してしまう、こういうことも今までも繰り返されてきているわけですよね。ここは本当に考えなきゃいけないところだということを、重ねて申し上げておきたいと思います。そして、日本では、二薬目のミソプロストールを一度処方して中絶できなかった場合は外科的手術となっているわけですね。しかし、追加投与すればリスクのある外科的手術が回避できる人も出てくるわけです。国際婦人科連合の推奨を見ますと、十三週までは二から三回、十三から二十六週は合併症がない限り排出されるまで投与を続けるべきであるということになっているわけですね。ですから、女性の体への負担ということも考えても、ミソプロストールを一度処方して中絶できなかった場合は外科的手術という運用はやめて、ミソプロストールを追加投与することを認めるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 この経口中絶薬のメフィーゴパックでございますけれども、まず、一剤目で胎児の命を止めます。そして、二剤目でミソプロストールを投薬をするわけであります。その二剤目のミソプロストールで胎児を体の外に排出するということになるわけであります。投与後に人工妊娠中絶がそのような形で達成されなかった場合は、我が国の場合には、御指摘のとおり、ミソプロストールの追加投与は行わないで、外科的な処置を行うということを考慮することとしております。この理由でありますけれども、ミソプロストールの追加投与というのは海外で複数の報告などはありますけれども、追加投与によって人工妊娠中絶の成功割合が上昇したという報告はまだ示されていないとこちらは承知しております。申請企業からも、追加投与に関するエビデンスは不十分であるとの見解も得ております。このために、PMDAによる審査において、ミソプロストールの追加投与の妥当性を支持する情報は不十分だと判断をされまして、二剤目の投与後に人工妊娠中絶が達成されなかった場合には、外科的処置を考慮するよう注意を喚起するということとしているものでございます。
○宮本(徹)委員 ただ、現実には、世界では様々な臨床研究が行われていまして、二剤目を繰り返し投与することによって、実際はかなり薬によって中絶できる率は高いです。そういう研究が多いです。それは、PMDAがどういう判断をしたのかというのはあるのかも分からないですけれども、もう一度ちゃんと海外の事例を改めて大臣のところでも見ていただきたいと思うんですよね。だって、国際産婦人科連合が、繰り返し投与して、そのことで排出することを推奨しているわけですよ。それはやはり世界の産婦人科の医師の皆さんの知見ですから、それは、役所からそういう説明を受けたんだ、これまでの経過は説明を受けているんだと思いますけれども、改めて大臣の目でこの問題を見ていただけたらなということを申し上げまして、時間になってしまいましたので、今日は終わらせていただきます。