2016年4月20日 衆院文部科学委員会 将来にわたり都民負担 JSC法改正案
新国立競技場建設で都民負担を合理化する日本スポーツ振興センター(JSC)法の一部改正案などの審議が20日、衆院文部科学委員会で行われ、日本共産党の宮本徹議員が「地方財政法の精神に反する」とただしました。
法案はJSCの競技施設整備に使える財源を、事実上東京都から3分の1以内を負担できるようにするもの。
地方財政法は、国の施設に地方自治体の負担を求めることを原則禁じています。宮本氏は、この原則を適用除外できるのは、「住民の利益を命ずることをやむをえないもの」という場合だと指摘。旧国立競技場は、国が全額負担した事例も示して追及しました。
「いまは国の財政が厳しい。50年前とは違う」という馳浩文部科学相の弁明に対して、宮本氏は「国の予算不足を地方に転嫁してはならないとした地方財政法の原則にもとる」と指摘しました。
また、宮本氏はJSCの施設は東京にしかないことから、憲法95条の規定で住民投票が求められる特別法にせずに、一般法にした立法事実はないではないか」とただしました。文科相は「国際大会招致の将来の可能性」を述べるだけでした。
宮本氏は、新国立競技場を五輪後に6万人から8万人規模にする改修や、秩父宮ラグビー場や代々木第2体育館の建て替え・改修も法案の対象になることを明らかにし、「将来にわたって都民に財政負担を求めるものだ」と批判しました。
採決では、日本共産党の大平喜信議員が「法案は建設費の大半をサッカーくじと都民負担に依存する仕組みになっている。国立スポーツ施設の建設は国費でまかなうべきだ」と反対討論し、日本共産党と社民党が反対しました。法案は賛成多数で可決されました。
日本スポーツ振興センター(JSC)は20日、2020年東京五輪・パラリンピックで競技会場となる国立代々木競技場について、耐震改修工事に約22か月を要する見通しを明らかにしました。17年夏までに実施設計と工事契約を終えて工事に着手し、19年3月末までに終了する予定。
工事期間中はほぼ使用できなくなるため、JSCの高谷吉也理事は「他の施設を利用していただかなくてはならない」と話し、各競技団体に代替施設利用を促す意向を示しました。JSCによると、国立代々木競技場の第1体育館は稼働率が高く、15年度は329日にわたって利用されました。
国立代々木競技場は20年東京五輪でハンドボール、パラリンピックではバドミントン、車いすラグビーの会場となります。
以上2016年4月21日付赤旗日刊紙より抜粋
≪第190回 衆院文部科学委員会第5号 2016年4月20日 議事録≫
○谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず初めに、このたびの熊本・大分大地震で亡くなられた皆様の御遺族の皆様にお悔やみ申し上げると同時に、被災された全ての皆さんに心からお見舞い申し上げます。私たち日本共産党としても、被災者の支援、救援に全力を挙げる決意をまず初めに申し上げたいと思います。そして、JSC改正法案について質問いたします。オリンピックに一体幾ら税金がかかるのかと国民、都民の中で大変心配が高まる状況にあります。総費用について、オリンピック組織委員会の森会長は二兆円を超すかも、こう言い、舛添都知事の方は三兆円ぐらい、こういう数字も口にしております。そして、東京都が分担してつくると言っていた競技施設の建設費だけでも、立候補ファイルの時点の一千五百三十八億円から二千二百四十一億円へ、一・五倍に今膨らんでおります。さらに、組織委員会が建設することになっていた仮設の会場についても、東京都が税金で負担する話が出てきているわけですね。そして、新国立競技場は一千四百九十億と、国民の批判で見直しましたが、それでもこれまでのオリンピックに比べて桁が一つ多いということになっております。これだけ高いのは、もうこれは東京都の負担を当て込んで巨額にしたんじゃないか、こう疑念を抱かざるを得ません。そして、国立の競技施設であるにもかかわらず、こんなに高額にしておいて、足りないから都民の税金を出せ、こういうのは、幾ら舛添都知事がよしと言ったとしても、納得できない都民は多いというふうに思います。きょうは、幾つかの角度から改正案の問題点についてただしたいと思います。まず、一番目の問題は、地方財政法の精神にもとるという点です。地方財政法は、十二条でこう定めております。「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならない。」こう書いてあるわけですね。まず、一つずつ確認したいと思いますが、今度の新国立競技場の建設、運営というのは、地方公共団体が処理する権限を有しない。これはそうですよね。
○高橋政府参考人 このたびの新国立競技場の建設は、国の独立行政法人でありますJSCにおいて行われるものでありますので、先生御指摘のとおり、「地方公共団体が処理する権限を有しない事務」に該当するものでございます。
○宮本(徹)委員 つまり、地方公共団体が処理する権限は有しないというのははっきりしているわけですよね。その上で、十二条がなぜ設けられているのかというのが非常に大事だと思うんですよね。きょうは総務省に来ていただいておりますので、なぜ地方財政法十二条でこういう規定があるのか、解説していただけるでしょうか。
○内藤政府参考人 お答え申し上げます。先ほどお話がございましたように、地方財政法第十二条は、地方公共団体が処理する権限を有しない事務につきましては、国が地方公共団体に負担させることを原則として禁止しておりますけれども、法令または政令に基づいて地方負担を義務づけたものは、第十二条の適用が除外されるところでございます。この第十二条につきましては、地方公共団体が処理する権限を有しない事務に要する経費の負担を法令上の根拠なしに地方公共団体に転嫁することを法律上禁止しようとする規定でございますけれども、その趣旨は、国と地方公共団体との地位の優劣が、国の予算不足を地方に転嫁し、そのために、国と地方公共団体の合理的な財政秩序の確立に支障となる場合があることによるものでございます。また、本条によりまして、法律または政令において地方負担を義務づけたものにつきましては本条の適用が除外されますけれども、これは、地方公共団体が処理する権限を有しない事務でありましても、当該事務の遂行の結果が当該地方公共団体の住民の利益を増進するものについては地方公共団体に負担を求めることもまたやむを得ないと考えられる場合があるという考えによるものでございます。
○宮本(徹)委員 今の総務省の説明で明確だと思うんですよね。地方財政法逐条解説という、総務省の皆さんのバイブルの本がありますけれども、この中でも、「地方公共団体以外の国等の処理する事務に要する経費は、全額国等において負担すべきであるという負担区分の原則を黙示している」と。これは原則なんですよね。そして、国の予算不足を地方に転嫁してはいけないということからこの十二条というのは設けられているわけですよ。まさに今起きているのは、国がつくるのが大変だから東京都に負担してくれという、この地方財政法にもとる考え方で東京都に負担を求めようとしていると言わざるを得ないというふうに思いますが、大臣、そう思いませんか、地方財政法との関係で。
○馳国務大臣 地方財政法第十二条第一項においては、「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならない。」と規定されております。同法の解釈として、本項の「法律又は政令で定めるものを除く外、」という適用除外に係る規定が設けられたのは、地方公共団体が処理する権限を有しない事務のうち、住民の利益を増進するものについては地方公共団体が負担することもやむを得ないと考えられる場合があるとの考えによるものと承知しております。本法案において都道府県に負担を義務づけることとなる費用は、「地域の発展に特に資するものとして政令で定める施設の整備に要する費用」の一部であり、これは当該地方公共団体の住民の利益を増進するものと考えられます。したがって、本法案の規定は、地方財政法第十二条第一項の適用除外の趣旨に沿うものであり、御指摘は当たらないものと考えております。
○宮本(徹)委員 いや、地方財政法の趣旨はやはりそうじゃないんですよね。まず、そもそも、「国等の処理する事務に要する経費は、全額国等において負担すべき」だ、これは負担区分の原則なわけですよ。その上で、「地域の発展に特に資する」ということを法律に書き込んだら何でも地方自治体に負担を求めていいかといったら、そうはならないというのが地方財政法の趣旨ですよ。先ほど紹介ありましたけれども、適用除外がある「法律又は政令で定めるものを除く外、」というものの解説の中で、「地方公共団体の住民の利益を増進するものについては、地方公共団体に負担を命ずることもまたやむを得ないと考えられる場合があるからである。」というふうに書いてあるわけですね。今までこの考え方でやってきたのは何かといったら、国道ですよ、河川改修ですよ、公営住宅ですよ。つまり、直接、その地方公共団体に住んでいる住民の利益を増進する、そのことを目的にしているわけですよ。住宅だってそうでしょう、国道だって、その人たちが使うためというのが直接の目的になっているわけですよ。ところが、新国立競技場というのは、直接の目的は違いますよね、明確に。それがどうして国道や河川改修や公営住宅と同じなんですか。
○馳国務大臣 なかなか、ここはやはり丁寧に解釈をしていった方がいいと思います。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会を招致したのは日本ではありません、東京都が招致をしたものであります。そして、その東京都が招致の際にIOCに対してお示しをした招致計画の中に明確に位置づけられておりましたのが、国立競技場を新しく、ザハ・ハディドさんの案ではありましたが、こういうふうな位置づけをして、オリンピックを開催する準備をいたします、そういう計画を持って、IOCの総会において、最終的に、選挙の上、投票の上、東京都がオリンピックを招致したものでありますから、したがって、東京都民にとりまして、新国立競技場はまさしく利益に資するものだと私は考えられると思っております。しかしながら、まさしくここからが議論だと思いますけれども、国立競技場自体は国が責任を持って整備すべきものであります。そういった中から、お互いの協力関係の中で、こういうふうな、今回私どもが提出いたしました法律の趣旨になっていったものであります。舛添都知事と、そしてオリンピック・パラリンピック大会を所管する遠藤大臣と、そして私と、三名において、新国立競技場の建設に当たっての計画内容や、あるいは財源のあり方については、やはり十分に意見交換をした上で最終的にこのような財源の配分になったもの、こういうふうに承知をいたしております。
○宮本(徹)委員 そういう話にはならないんですよね。先ほど言いましたが、国道だとか河川改修だとか公営住宅は、これは直接、地方公共団体の住民の利益に属するものなんですよね。(発言する者あり)運動場は、これは東京都民のためにつくる運動場じゃないですよ。何を言っているんですか。東京都がオリンピック招致のためにという話しか出されないわけですけれども、これが直接、地方公共団体の住民の利益の増進のためというのとは違うでしょう、明らかに。どうして住宅と国立のスポーツ競技場が同じなんですか。全く説明になっていないですよ。それで、地方公共団体に負担を命ずることもやむを得ないというものでなければならないわけですよね。もう一つ聞きますけれども、旧国立競技場はオリンピックのためにも使われましたけれども、旧国立競技場のときも東京都に負担を求めたかといったら、そんなことないですよ。もし、国立の競技場が地方公共団体に負担を命ずることもやむを得ないというものであれば、旧国立競技場だって、当然、法律のもとで負担を求めるべきものだったわけですよね。旧国立競技場が新国立競技場になったら、なぜ地方公共団体に負担を命ずることもやむを得ないものになるんですか。説明してください。
○馳国務大臣 なかなか御納得いただけていないようでありますが、そもそも、オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会の招致に手を挙げたのは東京都であります。そして、こういう国際競技大会を招致する場合には、当然、開会式、閉会式そして陸上競技場等、こういった施設を備えていなければなりません。これは御理解いただけると思います。しかしながら、東京都が招致計画においてお示しをすることのできる、いわゆるIOCの規定に準拠するような競技場といったものは、自前でつくるか、あるものを活用するか、どちらかの選択肢になるわけであります。そうすると、自前でつくるよりも、五十年前に建設をされた国立競技場を活用することの方が、ある意味でいえば、東京都のオリンピックを開催しようとする財政的な負担をやはり和らげるものになる、私はそのように理解をしております。ただ、かつての国立競技場は耐震化の問題もありますし、このことが検討された時期は、ちょうど、二〇一九年のラグビーワールドカップ招致の事業もございまして、ワールドラグビーボードといいましたか、IRB、ラグビーの世界連盟からも、ワールドカップを開催するにふさわしい、そういったものも求められているというふうな時期でありました。したがって、オリンピックを招致しておる東京都といたしましては、自前で莫大な建設費をもって建設するよりも、やはり、国と協力をして国立競技場を再整備することによって、招致の一つの象徴とする、つまり規定を整えることが重要であるという認識に当時の東京都知事は至ったのだと思います。したがって、これに対して国として何らかの支援が必要ではないかということで、国としては、今お示しをしている法案にもありますとおり、国立競技場を建てかえることによって協力をすることができる、こういう判断に至ったものでありますから、私は、そういった、まずオリンピックを招致するに至る経緯も踏まえて、東京都民にとっては、都民の便益にならないとは私は言えないと思います。同時に、今回建設をするに当たりましては、やはり、首都直下型地震が今後三十年以内に非常に緊迫感を持って心配されている状況においては、あそこは新宿区と港区と、あと渋谷区に隣接する土地でありまして、万が一首都直下型地震があった場合には、あの神宮の森エリアは恐らく数万人の避難者を受け入れなければいけないエリアになると思います。そうすると、区民といいますか都民といいますか国民といいますか、十分な広さと、そして耐震性に基づいた避難所、避難場所がやはり必要であるということ、これは言をまつものではないと思っています。そういう総合的な観点からも、私は、東京都民にとってはある意味では非常に求められている施設となるのではないか、こういうふうに思っております。こういう議論を舛添都知事とも、オリパラ担当の遠藤大臣とも、そして私は、JSCが国立競技場を所管しておりますので、そのJSCを所管しておる担当大臣として協議の上、最終的に、財源の分担論についても議論をし、こういう内容を今皆さん方にお示ししている、こういうことであります。
○宮本(徹)委員 結局、私はさっき聞きましたけれども、何で、旧国立競技場でやられていなかったのに、新になったら、国立競技場が地方公共団体に負担を命ずることもやむを得ない施設になるのかということに対して、回答はないわけですよ。先ほど長々長々と。なぜ変わったんですか。
○馳国務大臣 旧国立競技場の建設については、まさしく国が負担をして建設したものであります。同時に、私たちは政治の場におる者として、また、私も文科省の行政を担当する者として、国の財政状況を考えた場合になかなか厳しい状況にあることは、まず言うまでもありません。スポーツ振興予算の財源の確保については、非常に長い、数十年の経緯のある中で、スポーツ振興投票制度を議員立法でスポーツ議員連盟につくっていただいて、今日のスポーツ振興予算に資し、また地方自治体のスポーツ施設の建設に支援をするということの体制をとらせていただいたわけであります。本当に、全額、国で全部やれればよいというような、財政当局との交渉ができればよいのでありますが、ここは、スポーツの効果、スポーツに対する支援のあり方、こういったものがスポーツ基本法においても規定されている中で、財源のあり方については、最終的には、やはり多様な財源を確保して新国立競技場の建設を行うということで政府内においても理解をされたものであります。こういう経緯をたどっておりますので、五十年前の国立競技場の建設に至った状況と、今日の新国立競技場の建設に至る財源の確保策については、こういう違いがあるということはお伝えしたいと思います。
○宮本(徹)委員 つまり、結局、旧でやらなくてなぜ新でやるのかということになりますと、国の財政状況のお話しか出てこないわけですよ。初めに地方財政法十二条を、総務省にも来ていただいて紹介してもらったのは、そういう財源不足を理由にして地方自治体に求めるということがあってはならないということが地方財政法の本来の考え方なんですよ。ですから、今のやりとりを聞いても、なぜ旧でやらなかったものを新でやることになったのかということを考えても、地方財政法の考え方からすればやはりおかしな問題になっているということを認識していただきたいと思います。それから、二つ目の問題は憲法との関係です。憲法九十五条は、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」というふうにされているわけですよね。今回、法改正で、JSCが所有する国際大会のためのスポーツ施設というのが対象になるわけですけれども、これは全部東京都にありますよね。確認したいと思いますけれども。
○馳国務大臣 憲法第九十五条では、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」とされております。今回の法案による改正後のJSC法附則第八条の十における都道府県に負担を求める規定については、一つの地方公共団体のみに適用される規定ではありません。将来、他の地方公共団体にも適用され得ることから、憲法第九十五条の住民投票は不要であると考えており、御指摘は当たらないものと考えております。なお、仮に、今後、国際的な規模のスポーツ競技会の招致などのため、地域の発展に特に資するスポーツ施設の整備をJSCが行うこととなった場合には、本規定に基づき、今回と同様に都道府県に負担を求めることがあり得るものであります。
○宮本(徹)委員 一つ一つ確認しようと思ったんですけれども、国立競技場も秩父宮ラグビー場も代々木第一、第二体育館も、いずれも東京都にしかない。これはそうですよね。今JSCが現に所有している国際的なスポーツ大会に使えるものは東京都にしかありません。もう一つ聞きますけれども、国際大会のスポーツ施設として今後具体的に建設を予定しているものというのはありますか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。現時点においては、今委員が御指摘の施設以外に予定しているものはございません。
○宮本(徹)委員 つまり、今東京都にあるものしかない、今後つくる予定も具体的には何もないというのが実態になっているわけですよね。ですから、今度の法律というのは、形の上では一般法を確かに装う形になっておりますが、事実上は、一つの地方公共団体にのみ現時点では適用される特別法的なものになっているわけですよね。憲法では、特別法の場合は、住民投票における過半数の同意という手続を求めているわけですけれども、なぜ、不思議なんですけれども、都民がこの税金の負担をするのかどうか、やるべきかどうかというこの選択の機会をあえて奪って、特別法ではなく一般法という形で今回法律にしたんですか。
○馳国務大臣 先ほど高橋次長が答弁をさせていただいたのは、今、きょう、今日現在はありません。今後、このオリンピック・パラリンピックの大会を契機に、各スポーツ団体において世界的な規模の競技会を招致する機運が生まれる場合には、一般法としてこの法律が適用される可能性があるということを、先ほども私が申し上げたとおりであります。きょう、今、この段階では、まさしくその対象となるのは東京都の新国立競技場のみであります。
○宮本(徹)委員 つまり、可能性をおっしゃるわけですけれども、可能性だと、特別法ではなくて一般法にするという立法事実にならないと思うんですよ。やはり法律をつくるためには立法事実が必要なわけですから。なぜ特別法ではなく一般法にしたのか、その立法事実はないんじゃないですか。
○馳国務大臣 今回の新国立競技場を建設するという計画の経緯の中において、例えば日本サッカー協会もワールドカップ招致について言及をされておられますし、ほかの競技団体においても世界的な競技会の開催について言及をしておられます。例えば陸上競技連盟などもその一つであります。したがって、一般法としてお示しをすることの方が、私は、政府としての責任を果たしているもの、このように考えております。
○宮本(徹)委員 ワールドカップというのは二〇三四年ですよね、たしか招致の目標というのは。えらい先の話であります。現時点であるものは新国立競技場しかないわけですよ。なぜ都民に審判の機会を与えないのか、この説明には全くなっていない。私は、憲法九十五条の考え方に今回の一般法という出し方は反しているということを厳しく指摘しておきたいと思います。三つ目の問題は、一般法の形式をとったために、先般の国と東京都の合意以上の負担を東京都に求め得る枠組みになっていることです。法律によりますと、都道府県が三分の一以内の負担、そして費用の額、負担の方法はJSCと都道府県が協議するというふうになっています。確認しますけれども、今回一般法という形をとっていますので、新国立競技場の今回の建設以外にも、今後の可能性としては、東京オリンピック後、六万席から八万席にふやす改修というのが出てくるわけですけれども、この改修費もこの法案では対象にし得るというものですよね。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。この法律の規定は対象を今回の新国立競技場の建設に限定するものではありませんが、実際に負担を求めるに際しては、事前に、事務的にも、そして大臣、知事レベルでも東京都と協議をしておりまして、そして十二月の財源スキームを決めております。その中には、オリンピック終了後行われる改修などについてはそのスキームには含めないということとしております。
○宮本(徹)委員 時間がないからちゃんと答えてほしいんですけれども、この法律のたてつけを聞いているんですよ。東京都と国の合意は、負担は、改修は求めないということになっているわけですけれども、法律のたてつけ上は対象にし得ることになっているんじゃないですかと聞いているんです。
○高橋政府参考人 若干繰り返しになって恐縮でございますが、法律上は、この場合において、「当該都道府県が負担する費用の額及び負担の方法は、センターと当該都道府県とが協議して定める。」ということになっておりまして、その協議に委ねられておりますが、昨年十二月の関係閣僚会議においては、オリンピック・パラリンピック終了後の改修については含めないということとしております。
○宮本(徹)委員 もう一つ聞きますけれども、秩父宮ラグビー場だとか代々木第一、第二体育館の建てかえや改修の費用も、その際、これは国際大会で使うという名目で、地域に特に資する、そういうふうになった場合は、この法案の対象になり得るということですね。
○高橋政府参考人 法律上は対象になり得るというものでございますが、実際に政令を定めて負担を決めるときには各地方公共団体と協議を行うことになっております。そして、今回は、東京都と実務的な、そしてまた閣僚、知事レベルの協議を踏まえた上で、新国立競技場のみにする、代々木の第一、第二体育館は対象としないということで合意をしておるところでございます。
○宮本(徹)委員 つまり、法律上は対象となって、現時点での合意には含まれていないけれども、今後それ以上の負担がいろいろな形で東京都に求め得るたてつけになっているわけですね。しかも、そういった場合に都道府県に対して、東京都に対して幾ら負担を求めるかというのは、法律上は、文部科学大臣が最終的には決めるという仕組みになっていますよね。
○馳国務大臣 最終的には文部科学大臣が決めるとなっております。
○宮本(徹)委員 つまり、話し合いがまとまらなかったら文部科学大臣が最終的には決めちゃうという、大変問題のある仕組みですよ。東京都と国が現在合意したものを、今後さらに、いろいろなものだ、いろいろなものだ、いろいろなものだということで覆していくことができる仕掛けが今度の法律の中にたてつけとしては入ってしまっているんですよ。これは大変問題だというふうに思います。しかも、似たような法律じゃないですけれども、これは直接住民の利益に資するものだからあれですけれども、防災街区の整備の促進に関する法律や、あるいは大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別法、これも負担金を地方自治体に求め得るものになっていますけれども、これも「国土交通大臣が裁定する。」となっていますけれども、その際、「総務大臣と協議しなければならない。」という規定が入っているんですね。今回の法律には、「総務大臣と協議しなければならない。」という、ほかの法律にある規定も入っていないということになっているわけですよね。ですから、そういう点でも大変おかしなことになっていると思います。それと、私がお伺いしたいのは、国が東京都に対して、あるいは一般論でいえば都道府県に対して、現在合意している以上のものを押しつけられる仕組みに今度の法案はなっているわけですけれども、こういう仕組みをつくるということについて、東京都との合意というのはあるんでしょうか。
○馳国務大臣 今般の法律をつくるに当たっては、昨年十二月に、私と舛添都知事と、そして遠藤大臣、新国立競技場をどうするか、その財源をどうするかということで、三者において事前の協議の上、合意をした。その上で、法律を準備し、こうして提示をしておるわけであります。したがって、当然、都知事だけではなく都議会のやはり了解も今後しっかりと得られることになると思います。改めて申し上げますけれども、文科大臣が決めることができるというこの条文を、私自身は、金科玉条のように捉えてはいけないと思っております。当然、地方自治体との合意を踏まえて今後対応すべきものである、こういうふうに考えております。
○宮本(徹)委員 合意を踏まえてやりたいということをおっしゃるわけですけれども、合意ができなかったときに文部科学大臣が決められるというのが今度の法律のたてつけになっているわけですよね。都は、三月八日の都議会で、東京都と国の合意以上の負担というのは想定してございませんということを言っているわけですよ。ですけれども、今度の法律では、都が想定していないものまで含めて今後負担を求めるものになっているわけですよね。これはやはり国と自治体の間の信義則にもとると思いませんか。
〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕
○馳国務大臣 まさしく国と自治体の信義則に基づいて、最終的に文部科学大臣が決めるべきものと考えております。
○宮本(徹)委員 信義則にもとるんじゃないかという話をしているわけです、私は。時間になりましたので私の質問はこれで終わらせていただきますけれども、地方財政法の考え方からいっても、憲法の考え方からいっても今度の法律というのは問題が大変多い、こういう法律の出し方はすべきでない、そして、将来にわたってJSCが管理する国立のスポーツ施設の改修、建てかえにまで東京都民に財政負担を負わせるべきでないということを強く申し上げまして、質問を終わります。