消費税増税断念を 延期法案、反対討論

%e5%bb%b6%e6%9c%9f%e6%b3%95%e8%a8%8e%e8%ab%96201611021  衆院財務金融委員会で1日、消費税率の10%への増税の実施時期を2017年4月から19年10月に延期する消費税増税延期法案が、自民、公明などの賛成多数で可決されました。日本共産党と民進党、維新の会は反対。日本共産党の宮本徹議員は討論で、消費税増税は延期ではなく、断念すべきだと主張しました。
宮本氏は消費税8%増税が実質可処分所得を奪い、戦後初めて個人消費が2年連続マイナスになっていると指摘。「10%に引き上げれば、国民の暮らしと日本経済に深刻な打撃を与えることは明らかだ。破たんした消費税増税路線はきっぱり断念すべきだ」と要求しました。
中小零細事業者の消費税の新規滞納の発生も深刻で、業者が価格転嫁できず自腹を切ってでも納税しなければならないなどの根本的欠陥があると述べました。
さらに宮本氏は、増税分を「社会保障に全額回す」との政府の言い分について、「社会保障充実に利用されるのはたった1%分相当の2・8兆円だけで、その多くが財政赤字の穴埋めに使うものだ」と指摘。一方で国民には社会保障の負担増・給付減のオンパレードだと批判しました。
宮本氏は、法人税減税や証券優遇税制、タックスヘイブン(租税回避地)での税逃れなどの不公平税制を正して社会保障財源を確保すべきだと主張しました。

以上2016年11月2日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第192国会 衆院財務金融委員会 第6号 2016年11月1日 宮本徹議員の討論≫

○御法川委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 私は、日本共産党を代表して、消費税増税延期法案に反対討論を行います。本法案は、日本経済に甚大な打撃を与えている消費税のさらなる増税を三十カ月延期し、二〇一九年十月に実施するものです。そもそも消費税は、所得が少ない人ほど負担が重い、逆進性があります。税は応能負担で集めるべきであり、逆進性があり、格差拡大を促進する消費税の増税は反対であります。そして、逆進性が強いからこそ、二〇一四年四月に実施された消費税八%への増税は、実質可処分所得を奪ったことで、全国の消費を長期にわたって冷え込ませ、二〇一四年度、二〇一五年度、戦後初めて個人消費が二年連続マイナスという甚大な打撃を日本経済に与えております。政府が二度も増税実施を延期せざるを得なくなっていることからしても、問題点は明白です。本委員会の審議の中でも、消費税増税が消費に悪影響を与えたことは麻生大臣も認められました。日本銀行も認めるように、消費税増税の影響は想定以上に長引いております。消費税を一〇%に引き上げるならば、国民の暮らしと日本経済に深刻な打撃を与えることは明らかであります。政府が、脱デフレを掲げながら、物価を下押しする消費税増税を進めるのも支離滅裂です。破綻した消費税増税路線はきっぱり断念すべきです。中小零細業者の消費税の新規滞納の発生も深刻な状況であることが明らかになりました。消費税は、一〇〇%価格に転嫁できないにもかかわらず、自腹を切ってでも納税を強いるという根本的欠陥があります。本法案の根底にある消費税増税は、二〇一二年に三党合意により決定した税・社会保障一体改革にあります。政府は、一体改革により得た消費税率五%から一〇%への増税分を社会保障に全額回すとします。しかし、社会保障の充実に利用されるのはたった一%分相当の二・八兆円だけで、その他多くが財政赤字の穴埋めに使うものです。きょうの審議でも、これからの二%増は、事実上、専ら赤字の穴埋めのものであることが明らかになりました。その一方で国民には、年金、介護、医療の負担増、給付減のオンパレードであります。税・社会保障一体改革に固執して消費税増税を延期実施するのではなく、大企業優遇を拡大させてきた法人税減税と研究開発減税、資産家優遇の証券優遇税制、タックスヘイブンへの税逃れなど、不公平税制を正すことで社会保障財源を確保するべきであることを申し上げ、反対討論とします。