2017年3月22日 衆院外務委員会 オスプレイ配備を追及
沖縄の海岸に米軍のオスプレイの「チェックリスト」(確認書)が漂着しました。「墜落」したオスプレイのものと思われます。2月には琉球新報や沖縄タイムス、週刊金曜日などがその内容を報道しました。空中給油時に問題がおきたときの対処では、ホースを切断した場合、プロペラにからみ、破滅的な結果をもたらすなど、空中給油中の事故の危険性が記されています。
3月、山下よしき参議院議員がこのチェックリストをとりあげて追及しました。稲田大臣は「存在を承知していない」というばかりでした。
このやりとりを見ていて、こんな逃げの答弁でこの問題をますわけにはいかないと思いました。というのとも、すでに自衛隊自身がオスプレイの2018年からの運用にむけて、米国で研修をはじめており、間違いなく、チェックリストの空中給油の記述も見ているからです。
そこで、山下議員の質問の、追撃としておこなったのがこの日の質問です。
なお、この日は、CV-22の横田配備延期の理由についてもききました。最長3年の延期について、東京新聞の報道では、要員不足とありますが、それだけなのか。アメリカの国防総省の運用試験・評価局が米議会に出した最新の年次報告書をみると、CV−22オスプレイについても欠陥を指摘しています。「用試験のパイロットはアイシング・ プロテクション・システム(氷結防止装置?)で頻繁な障 害を報告した」「飛行安全上の問題を引き起こす可能性がある」「追加の設計変更が必要かどうかを判断します」と記されており、機体の欠陥も延期の理由にあるのではないか。
また、この日は、CV-22オスプレイをアメリカがどう運用しているのか、日本政府の委託調査研究の内容を若宮防衛副大臣に述べていただきました。アメリカから空中給油しながら直接、イラク戦争での特殊作戦部隊を送り込むことをおこなっています。アフガン戦争でもテロリストと疑わしきものということで、国際法上の手続きもなく、特殊部隊が急襲、拘束という作戦もおこなっています。対テロ戦争への出撃拠点として、首都・東京の横田基地を提供していいのかが、問われています。
以下、「赤旗」より抜粋
日本共産党の宮本徹議員は22日の衆院外務委員会で、垂直離着陸機オスプレイの危険性を指摘し、配備中止を求めました。
宮本氏は、オスプレイの米軍パイロットが携帯している「チェックリスト」の中で、空中給油の際に起きる破滅的事故の危険を認識している点を指摘。自衛隊もオスプレイを導入することから、防衛省も空中給油の危険を把握しているのではないかと追及しました。
若宮健嗣防衛副大臣は、現時点で自衛官3人をアメリカに派遣して、オスプレイの機体を用いた操縦訓練などを実施し、米軍が作成したマニュアルを使っていることを明らかにしました。一方で「マニュアルは米軍の厳重な管理のもとで訓練中の自衛官が閲覧している。本省として把握しているわけではない」と答弁しました。
宮本氏が本省としてマニュアルの内容を確認することを求めたのに対し、若宮副大臣は消極的な態度に終始しました。
宮本氏は、「自衛隊が運用しようとしているのに把握しようとしないのは、隊員や住民の命を軽んじるものだ。危険性に目をむけたくないということか」と追及。「沖縄での事故でこれだけ危険性が明らかになっているのに調べようとせず、“オスプレイは安全だ”というのは通用しない」と断じました。
衆院外務委員会では同日、日米、日豪、日英物品役務相互提供協定(ACSA)の採決が行われ、自民、公明、維新各党の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対。宮本議員は反対討論で「協定は安保法制=戦争法の内容を反映し、自衛隊があらゆる場面で他国軍に兵たん支援できる枠組みを定めたもの。戦闘現場での支援も可能になり、自衛隊が相手方から攻撃を受ける危険性は増大する」と述べました。
≪2017年3月22日 衆院外務委員会第6号 議事録≫
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。ACSAについて質問します。ACSAは安保法制の実行を可能とする条約です。戦闘現場に向かって飛んでいる米軍のオスプレイの空中給油も可能になります。そこで、まずオスプレイについて聞きます。先週、参議院の予算委員会で我が党の山下芳生議員が、普天間基地で米海兵隊が訓練で使用しているマニュアル、チェックリストを示して質問しました。このチェックリストの中では、オスプレイが空中給油機から連結ホースで給油を受ける中で、ホースが分離不能となった場合の事例が書いてあります。両機から連結ホースを強制分離すれば構成品が破損し異物破片がプロペラにぶつかる、ギロチンをすればホースがプロペラに絡まるなど、いずれの対処もカタストロフィー、壊滅的な影響が生じると、危険性を強調している。稲田防衛大臣は、このチェックリストの存在は知らないと繰り返すばかりでした。そこで、きょうは違う角度で聞きます。自衛隊自身が二〇一八年からオスプレイの運用を開始する予定となっておりまして、そのためにパイロットの研修を既にアメリカで始めております。今アメリカで自衛隊のパイロット何人がオスプレイの研修を受けているのか、明らかにしていただきたいと思います。
○若宮副大臣 お答えさせていただきます。V22オスプレイにつきましては、平成二十七年度の予算で五機、それから平成二十八年度の予算で四機を取得するということでいたしておりました。それぞれ、実際には平成三十年度、それから平成三十一年度の納入を予定いたしておりますところでございます。また、平成二十九年度の、今参議院の方で御審議いただいております予算案では四機の取得に係る経費を計上いたしておりまして、これは平成三十二年度の納入を念頭に置いているところでございます。このオスプレイの操縦士の養成につきましてでございますが、平成二十八年度から米国に留学をさせまして、必要な知識また技能を習得させることとしております。昨年の十月から順次教育をさせておりまして、現時点では三名を派遣しているところでございます。実際にこの三名が行っている養成につきましては、地上における座学ですとか、あるいはシミュレーターを用いた教育、また、実際の機体を用いた操縦訓練を実施していると承知をいたしているところでございます。
○宮本(徹)委員 実際の機体を用いた操縦訓練をもうやっているわけですね。USAミリタリーチャンネルというところに、二月一日、自衛隊員がオスプレイを初操縦したというふうに出ておりました。この間、チェックリストの存在は知らないと稲田防衛大臣は委員会で繰り返したわけですが、実際にオスプレイを運用して訓練しているわけですから、そうすると、マニュアルだとかチェックリストを当然使用してやっているということになると思います。そうすると、アメリカでの自衛隊のオスプレイの研修というのは、米軍のマニュアル、チェックリストでやっているのか、それとも、それとは違う独自の自衛隊がつくったものでやっているのか、どちらですか。
○若宮副大臣 現在米国に派遣をいたしておりまして実施をしているオスプレイの操縦教育に関しましては、米軍が作成をしたマニュアルを使用して行われているというふうに聞いております。
○宮本(徹)委員 当然そうだと思うんですね。そうすると、その米軍のマニュアル、チェックリストは、当然、空中給油についても書かれているはずです、危険性について書かれているはずです、破滅的な影響が生じる危険性が書かれているはずだと思うんですが、アメリカで研修中の自衛隊員の皆さんに、オスプレイの空中給油についてはどういう記述があるのか、これは防衛省として把握されているんですか。
○若宮副大臣 今委員が御指摘になりましたオスプレイの操縦にかかわりますマニュアルにつきましては、米軍の厳重な管理のもとで訓練中の自衛官が閲覧をしているのは事実でございます。その内容につきましては、これは米軍との関係もございますことから、お答えは差し控えさせていただければというふうに思っております。
○宮本(徹)委員 では、内容をしゃべれと言いません。内容は確認しているんですか、防衛省として。
○若宮副大臣 実際に訓練中の隊員がそれを見ながらシミュレーターあるいは実機に関しましての訓練をしておりますので、その内容につきましては、隊員が知っているということでございます。
○宮本(徹)委員 自衛隊の隊員が知っているだけじゃなくて、本省として掌握していないんですかということを聞いているんです。
○三ッ矢委員長 答えられますか。速記をとめてください。
〔速記中止〕
○三ッ矢委員長 速記を起こしてください。若宮防衛副大臣。
○若宮副大臣 本省として今把握をしているわけではございませんで、実際に現地に行っております、先ほど申し上げた隊員の方が、そのマニュアルを見ながら訓練をしているということでございます。
○宮本(徹)委員 重大ですよ。あれだけ沖縄で事故があって、それで、事故の危険性というのは、実際にはアメリカのマニュアルには書いてあったということも国会でこれだけ問題になっている。現地で、アメリカで自衛隊員の皆さんはそのマニュアルを見て訓練していると、そこまで知っておきながら、どうして本省で把握しようとしないんですか。これは実際、自衛隊も運用しようという話で今なっているわけですよね。自衛隊員の皆さんの命も、住民の皆さんの命も軽んじる話ですよ。どうしてこれは把握しないんですか。すぐ確認できるんじゃないんですか。どうですか、確認されますか。
○若宮副大臣 その訓練につきましては、もちろん、今委員が御指摘のとおり、いずれは日本にも導入予定ではございますけれども、現時点におきましては、米軍の厳重な管理のもとで、訓練中の自衛官がそれを見ながら訓練をしているということでございますので、内容についてはちょっと差し控えさせていただければということでございます。
○宮本(徹)委員 内容について差し控えさせてじゃなくて、確認すべきじゃないかということを言っているわけですよ。沖縄のあの事故を受けて、皆さんが、その運用の安全性を確認している、確認しているということを言っているわけですけれども、実際出てきた米軍のマニュアルというのは、空中給油訓練で破滅的な影響が結果としてもたらされる危険があるんだというのが書かれていたわけですよね。それを、なぜ、アメリカに自衛隊員の皆さんが行って実際見ているにもかかわらず、それをつかもうとしないのか、そこがわからないですよ。知りたくないんですか。危険性に目を向けたくないということですか。どうですか、若宮副大臣。
○若宮副大臣 今委員が御指摘になりました、さまざまな件につきましての御指摘も十分考慮していかなければいけないと思っておりますのですが、内容につきましてはやはりお答えは差し控えさせていただければというふうに思っております。
○宮本(徹)委員 いや、本当に、自衛隊の皆さん、住民の皆さんの命を軽んじる態度だと思いますよ。ここまで危険な訓練なんだということももう明らかになってきているのに、それを、実際、文書を調べようともしない。それで、住民に向かっては、オスプレイは安全です、安全です、安全ですと。こんなのは通用しないですよ。全くもっておかしいと言っておきたいと思います。それから、もう一つお伺いします。MV22の沖縄に配備されているものに続いて、横田に、当初、ことし後半からCV22オスプレイが配備される予定でした。先日、これは最長三年延期という発表がありましたが、延期の理由は何なんでしょうか。
○若宮副大臣 今委員が御指摘になりましたように、三月の十三日、これは現地時間でございますけれども、アメリカの国防省の方で、CV22オスプレイの横田飛行場への配備を延期して、二〇二〇年のアメリカの会計年度といたします旨の発表をされたところでございます。現在、米側に詳細につきましては確認中でございまして、現時点で申し上げることというのはないのでございますが、今後、詳細な情報が得られ次第、御地元を初め、関係各位に対して、適切に説明していきたいというふうに考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 東京新聞の報道によりますと、本紙の取材に対して、米国防総省は、操縦士や整備士の育成が計画よりもおくれている、要員が十分な経験を積む前に分散して配備することは賢明ではないと述べたというふうに書かれております。では、果たして、こういう報道があるように、要員の不足だけなのか。私、ちょっと、いろいろ調べましたら、アメリカの国防総省の運用試験・評価局が米議会に出した最新の年次報告書があります。これにCV22の評価も出ております。この中で、運用試験のパイロットはアイシング・プロテクション・システムで、氷結防止装置というんですかね、頻繁な障害を報告したと。飛行安全上の問題を引き起こす可能性がある、追加の設計変更が必要かどうかを判断しますということも書かれております。若宮副大臣もこういうものがアメリカの議会で報告されたのを御存じだと思いますけれども、延期の理由というのは、機体の安全性、こういう問題も含まれているんじゃないんですか。違いますか。
○若宮副大臣 今委員からいろいろな御指摘がございました。アメリカ側とは日ごろからさまざまなやりとりを行っているのは事実でございますが、その詳細につきましてはお答えすることは差し控えさせていただければというふうに思っております。いずれにいたしましても、現在、その詳細につきましては確認をいたしてございますので、それが確認次第、関係各位にまたお示しをさせていただければ、かように考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 若宮副大臣は当然御存じですよね、こういうものがあると。議会に出されているというもの、CV22の安全性。
○若宮副大臣 今、ちょっと、御通告いただいていなかったものですから、その書類というのがどういったものなのかというのが、今、私、にわかには、定かに特定できませんので、お答えできない状況というのは御理解いただければと思っております。
○宮本(徹)委員 いや、これは毎年出されている年次報告書で、F35のものだとか、いろいろなものがあります。F35は何百カ所も欠陥があった、こういう報告もですね。毎年、そういうものが出されていますので、アメリカ製の兵器、これだけ買っているわけですし、アメリカのいろいろな兵器も配備されているわけですから、そういうのはぜひ見ておくというのが防衛省として必要なことだと思います。その上で、このCV22、配備は最長三年の延期ということになっていますが、これが実際どう活用されていくのかというのが問題です。米軍はどう活用しているのかということで、自衛隊はオスプレイを導入する際に、委託調査報告書ということで、アメリカ軍がどうオスプレイを運用しているかというのを調査しております。諸外国におけるティルトローター機の開発・運用等に関する調査研究でありますが、イラク戦争ではどういう役割をCV22が果たしたか、ちょっと記述を紹介していただけるでしょうか。
○若宮副大臣 平成二十五年度の予算におきまして、各種活動に活用し得る機動展開、輸送機能等を持つティルトローター機につきまして、その実用化が私どものこの日本の安全保障にとってどのような意義があって、我が国としていかなる利用可能性があるのかについての検討の資とするために、諸外国におけるティルトローター機の研究開発、運用等の実情について情報収集を行うための調査研究というのは確かに実施したところでもございます。御指摘の平成二十五年の十一月の諸外国のティルトローター機の開発・運用等に関する調査研究報告書の中の百十四ページの部分のことだと思いますが、読み上げをさせていただきますと、アメリカ・フロリダ州から七千ノーティカルマイル、これは約(一万二千九百六十四キロ)の距離を自己展開しOIFに、これはオペレーション・イラク・フリーダム、イラクの自由作戦のことでございますが、参加、主として特殊部隊のために長距離投入、脱出や補給ミッション、テロリストと疑わしき者の捕獲をサポートするミッションを実施、自己展開時には、途中三回の空中給油を受け、七日間で大西洋を横断。作戦時には、類いまれな航続距離性能、高速性能、多用途性でもって兵力の投入に貢献、従来のヘリコプターではできなかった戦闘を可能としたと。作戦参加の間、残した実績は以下のとおり、四十五回の強襲兵力直接投入、脱出、百二十三回の戦闘部隊サポートミッション、三万二百五十ポンド(一万二千七百二十一キログラム)の物資、二千三百四十九人以上の人員を輸送というふうに記載をされているかと思います。
○宮本(徹)委員 今紹介してもらいましたけれども、CV22というのは、対テロ戦争に、それこそアメリカ本国からも空中給油で直接出撃して、テロリストと疑わしき者の捕獲と。疑わしき者ですよ。もう国際法の根拠も何もなく拘束しているという作戦に使われているわけですよね。ちなみにアフガニスタンの作戦では、同じ報告書の中では、CV22は、一万一千五百三十一人の強襲兵員を投入し、七百二十五人のテロリストと疑わしき者を捕獲したと書いてあります。横田にCVが配備されたら、今回のACSAで、こうした対テロ戦争の空中給油、岸田外務大臣、これは行うんですか。
○岸田国務大臣 戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機への給油あるいは整備、こうしたことについて、一昨年の平和安全法制の議論の中で、米国のニーズが確認されたことを前提に検討を行った結果、現に戦闘行為を行っている現場では支援活動を実施しないという一体化回避の考え方に基づいて、給油及び整備を実施することができる場合を明らかにする、こういった法整備を行った次第です。新たな日米ACSAは、このような協力を含む、平和安全法制で実施可能となった自衛隊からの米軍への物品、役務の提供も協定の適用対象となっております。そして、米側から要請がある場合に御指摘のような空中給油ができるかどうかについては、今申し上げました我が国の法律はもちろんですが、それ以外にも、我が国の政策ですとか関連条約との整合性、さらには、自衛隊の部隊における装備品の保有状況、支援を提供する必要性、緊急性、こういったものを、個々、要請の都度に具体的に判断するということになるかと思います。要は、実際に発生した事態に即して個別具体的に判断することになると考えます。
○宮本(徹)委員 つまり、個々、発生したことで具体的に判断するということを言って、やらないということを言わないわけですよ。アメリカの対テロ戦争なんというのは、国際法上、何の根拠もないですよ。こんなテロリストを捕まえて、アメリカの、アブグレイブだとかいろいろな、アブグレイブじゃないですかね、ちょっと失念しちゃいましたけれども、いろいろな収容所に入れて、それはもう国際的にも大きな問題になってきたわけですよね。ですから、こういうCV22特殊作戦機の配備は、延期ではなくて中止しなきゃいけない、そして、ACSAなどもってのほかだということを申し上げまして、質問を終わります。