2017年3月29日 衆院外務委員会 陸自データベースに保存か?「日報問題」追及

当初「廃棄した」とされた陸上自衛隊南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣部隊が作成した日報が、陸自研究本部が管理する「教訓センターデータベース」に保存されていた可能性が改めて浮上しました。日本共産党の宮本徹議員が、29日の衆院外務委員会で明らかにしました。
宮本氏は第8次派遣部隊が作成した日報(15年12月3日付)を紹介。これとほぼ同じ内容が、陸自研究本部が作成した「南スーダン派遣部隊(第8次要員)に係る教訓要報(16年3月30日付)に掲載されていると指摘しました。
宮本氏は、15年6~12月の現地の活動をもとに作成された要報について、「陸自研究本部に日報の電子データが保存されていないと作成できないはずだ」と指摘。一連の答弁とつじつまをあわせるために日報の存在を隠ぺいしたのであれば「極めて重大だ」と強調しました。
若宮健嗣防衛副大臣は、陸自データベースへの保管を改めて否定。日報問題での特別防衛監察では「全体を全て調査し終わったところで、正確に誠実に説明することが重要だ」と述べ、「中間報告」に否定的な見解を示しました。
宮本氏は、「国民のほとぼりが冷めるまで待つという態度ではまずい」と批判。「聞き取りによって判明した事実から随時報告すべきだ」と求めました。

以上2017年3月30日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2017年3月29日 第193回衆院外務委員会第7号 議事録≫

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず初めに、三月二十二日に続きまして、PKO日報問題についてお伺いします。報道によれば、日報の電子データは、昨年十二月の不開示決定後も、陸上自衛隊の研究本部が管理する教訓センターデータベースに保存されていたとされております。この問題について、稲田防衛大臣は、三月十七日の当委員会で、我が党の笠井議員に対してこう言っています。日報は教訓に係る資料を掲載するのが目的の当該データベースには保存されていないという報告を受けている、こう答弁されたわけですね。この答弁に間違いないですか。
○若宮副大臣 お答えさせていただきます。陸上自衛隊の研究本部が管理をいたします内部サイトにおきまして日報は、ごめんなさい、失礼しました、今、稲田大臣の答弁でございますね。失礼しました。間違いございません。そういう答弁をさせていただいております。
○宮本(徹)委員 それで、この報告を受けているというのは、どこから受けた報告ですか。
○若宮副大臣 まず、二月十四日に笠井議員から御質問いただきました教訓データベースにつきましては、これはまず、統合幕僚監部が陸上幕僚監部を通じまして陸上自衛隊の研究本部に確認をしました結果、研究本部の教訓データベースには南スーダン派遣施設隊の日報は保存されていないことが確認をされまして、その旨をまず防衛大臣に報告してございます。
○宮本(徹)委員 統幕を通じて確認したというお話ですけれども、その報告内容というのは、稲田大臣なり、あるいは若宮副大臣なり、あるいは政務三役できちんと調査、確認というのはされたんでしょうか。報告をただ受けただけですか。
○若宮副大臣 はい、委員が御指摘のとおりでございまして、統合幕僚監部が陸上幕僚監部を通じまして研究本部に確認をしました結果、研究本部の教訓データベースにはこの南スーダン派遣施設隊の日報は保存されていないことが確認をされまして、その旨を大臣に報告しているということでございます。
○宮本(徹)委員 つまり、統幕から報告を聞いたというだけで、大臣あるいは若宮副大臣あるいは政務官は直接はこれを確認はしていないということなわけですね。私、これはちゃんと確認しなきゃまずいと思うんですね。だって、この間、こういう報道が出ているわけですよね。陸上自衛隊の中に、ない、ないと言ったものがあったんじゃないかと報道されて、特別防衛監察も始まっているわけですが、統幕を通じての報告というだけの話で、政務三役としてきちんと確認していないということになっているわけですよ。これはちゃんと政務三役としてしっかり調査をして報告していただきたいと思うんですが、いかがですか。
○若宮副大臣 今委員が御指摘になられております件につきましては、統合幕僚監部の方で大臣に報告した内容ということで、これは、実際に教訓データベースを管理いたしております研究本部の方に確認をした結果でございますので、このような形での確認や報告で十分ではなかろうかというふうに考えているところであります。
○宮本(徹)委員 私は、それが不十分だから特別防衛監察が始まっているんじゃないかというふうに思いますが。全く私はそれで十分じゃないと思いますよ。ちょっと角度を変えてお伺いします。ここに、防衛省から提出いただきました南スーダン派遣施設隊の二〇一五年十二月三日の日報があります。日々報告、一千四百十八号。この日報の五十二ページ、五十三ページに、絆橋付近で受けたハラスメントについてということで、発生日時、内容だとか図面だとかいうものが出ております。ジュバ市内ゴンゴロキ地区で起きたと出ておりますが、これは間違いないですね。このとおりですね。
○若宮副大臣 今委員が御指摘になりました日報の内容と申しますのが、南スーダンの派遣施設隊の第八次要員が活動しておりました二〇一五年、平成二十七年になりますが、十二月の三日に、第八次要員の隊員が、既に先発隊が到着をしておりました第九次要員への業務の引き継ぎを行うために施設隊車両でジュバ市内を走行していたところ、絆橋付近でバイクに乗っていた現地二名からハラスメントを受けたということについての記述になろうかと思っております。
○宮本(徹)委員 それで、これはきのう私に提出していただいた日報です。これは統幕のところに残っていたものだということだと思います。実はこれと同じものがあるんですね。これは陸自研究本部が作成した教訓要報、八次隊の分です。この教訓要報の四十ページを見ますと、同じものがあるんですね。絆橋付近ハラスメントで、これは黒塗りになっている、に関する八次要員日報。これは統幕から出てきたものじゃないんですよ。陸上自衛隊研究本部が作成したものというふうになります。先ほど若宮副大臣は、陸自研究本部の教訓センターデータベースには日報はない、保存されていないと報告を受けているというふうに言われましたけれども、そのデータベースを管理している陸上自衛隊研究本部のまとめた教訓要報には、日報が資料として添付されているわけですね。私、研究本部に日報データがなかったら、こういう資料は絶対つくれないというふうに思いますよ。これまで国会で答弁してきたこととは実際は違うんじゃないですか。陸上自衛隊研究本部にもデータがちゃんとあるということなんじゃないですか、若宮副大臣。どうですか。
○若宮副大臣 今委員が二つの書類について御指摘がございましたが、まず、教訓要報というものでございますけれども、これは陸上自衛隊の研究本部が、陸上自衛隊の運用、それから防衛力整備、それから研究開発、教育訓練等の進展に寄与することを目的といたしまして、それまでの部隊等の活動の実績に基づき作成した教訓をまとめたものとなります。これは専ら実務者レベルでの共有を目的とした文書でございます。また、南スーダン派遣施設隊の教訓要報の作成に当たりましては、研究本部が、現地部隊の教訓の担当者から共有された教訓の資料やあるいは交換情報に加えまして、中央即応集団の司令官に報告をされた派遣施設部隊の成果の報告、それからまた帰国後の隊員からの聞き取り等をもとに取りまとめているところでございます。御指摘のそのハラスメントの事案につきましては、中央即応集団の司令官に報告する日報に記述すべき内容であると同時に、これは現地の教訓担当者が、教訓となり得る事例としまして研究本部と情報共有すべき内容であったことから、結果といたしまして、当該事案に係る日報と、それからまた今委員が御指摘になりましたこの教訓要報との内容がほぼ同じようなものになったということでございまして、教訓データベースに日報が保存されていて、それをもとに作成をしたということではないということで御理解をいただければと思っております。
○宮本(徹)委員 教訓データベースではなくても、陸上自衛隊研究本部にはデータは保存されていたということなんじゃないですか。これは紙でもらっているという話じゃないんですよね。これを見ましたら、ほぼそっくり、九十数%同じなんですけれども、若干違うんですよ。このガナー手というところが機関銃手というふうに書きかえられたりしています。電子データじゃなければこういう書きかえはできないと思うんですよね。ですから、電子データとして、陸上自衛隊の研究本部に保存されていたんじゃないですか。
○若宮副大臣 確かに委員が御指摘になるように、今私からも御答弁申し上げましたが、似たような内容ということになってございますが、これは現実にあった事象といたしまして、どちらがもとにあったかということではなくて、これはやはり、ハラスメントがあったというこの事案そのものが上級部隊に報告すべきものであったということと、そしてまたその後の部隊の教訓にもなり得るものであるということの考え方から、日報それからまた教訓要報の双方に記述があったということでございますので、そういった御理解をいただければと思っております。
○宮本(徹)委員 いや、ですから、双方の記述があるのに、電子データで日報がなければ、これはつくりようがないんじゃないですか、陸上自衛隊研究本部になければ。電子データをいじってつくっているわけですよ。陸上自衛隊研究本部にデータなしで、どうやってこれを一からつくるんですか。
○若宮副大臣 この教訓の作成に当たりましては、研究本部が、現地部隊の教訓担当者から、先ほど申しましたように、共有されたその教訓の資料ですとか、それからまたほかの情報に加えまして、中央即応集団の司令官に報告されました最終的な成果報告、それからまた実際に出向きました、部隊に行った隊員からの聞き取り等々を行っておりまして、それを取りまとめてつくり上げているものでございますので、日報を絶対的に必要としているというわけではないというふうに御理解をいただければと思っております。また、この派遣施設隊は、特にその教訓の収集のための教訓担当者というのが中におります。中におりますので、この派遣施設隊におきまして生起をいたしました、その将来的に教訓となり得る事案につきましては教訓担当者が教訓収集レポートというものとして集めておりますことから、その研究本部におきまして、その日報そのものがなくても十分に教訓要報というのをつくることが可能であるというふうに申し上げられるかと思います。
○宮本(徹)委員 ですから、その教訓収集者が日報を集めて保存していたからこれをつくれたんじゃないですか。これは作成日を見ると、二〇一六年の三月三十日ですよ。派遣部隊が戻ってきて三カ月以上たった後ですかね。ですから、一番初めに派遣された部隊から考えれば、九カ月間は少なくとも電子データを保存していないとつくりようがないものですよ。陸上自衛隊の研究本部で保存していたんじゃないですか。その可能性は、私は排除されないと思いますよ。だから、これだけ、特別防衛監察もやらなきゃいけないような事態になっているということなんじゃないですか。違いますか。
○若宮副大臣 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、この日報と教訓要報というのが、作成されるその流れといいますか、そういったもののルートが違うということを御理解いただければと思っておりますので。教訓というのは、まさに隊員が、今現在いる隊員がその後の展開をするときにどうあるべきか、あるいは、累次、次の部隊にちょうど引き継ぐときでもございますので、その次の隊員に、前あったことを生かしながら次にどういった対応をしていけばよろしいのかということでございますので、そのルートが違うということを御理解いただければと思います。
○宮本(徹)委員 それはルートが違うんじゃないんですよ。日報は日報で上がってきて、日報を陸自の研究本部でダウンロードして保存して、それで教訓要報にまとめたということなんじゃないんですか。これは電子データがなければできないですよ。これはちょっと、両方ごらんになっていますか、若宮副大臣も、双方、日報を。(若宮副大臣「はい」と呼ぶ)ごらんになっているわけですよね。そうしたら、これは電子データがなければできないというのはわかりますよね。同じですよ。ほんの少しだけ変えているんですよ。電子データを保存していなければできようがない仕事を陸自の研究本部はやっていたということになるわけですよ。ですから、私は、これ一つを見ても、陸自の研究本部には、昨年七月の、あの問題になった日報以外も含めて、これは第一次部隊から全部データとして日報が保存されていたんじゃないか、こういうふうに疑いがますます強まっているというふうに思います。そして、それが実際にあって、メディアで報道されているように、国会答弁とつじつまを合わせるために隠蔽、消去したということだったら極めて重大な問題だということを重ねて指摘しておきたいというふうに思います。公文書を意図して不当に廃棄した場合は、公用文書等毀棄罪、懲役三カ月以上七年以下、非常に重い刑になります。隠蔽を指示した者も教唆犯になります。徹底して調査を行って、その結果を本委員会にも報告すべきだと思いますが、いかがですか。
○三ッ矢委員長 答弁できますか。若宮防衛副大臣。
○若宮副大臣 現在、防衛大臣のもとで、独立性の高い立場から徹底した調査を行わせるために、直轄の、元検事長を長といたします防衛監察本部で特別防衛監察の実施を指示されているところでございまして、十七日に承認して既に開始をされているところでございます。この調査には、実際の関係者の聞き取りですとか、あるいは必要な場所への立ち入り、また書類の確認等が含まれ、かなりの時間がかかろうかというふうに考えているところでございます。その間の調査というのは、これは独立した立場の専門家に委ねることが必要だろうというふうにも考えております。また、今回のこの本件につきましても、国会においてやはり責任ある答弁を行うためにも、断片的な聞き取りを御説明申し上げますよりも、全体を全部調査し終わったところで、整合性と、その防衛監察本部によります特別防衛監察によって検証された上での正確かつ誠実な内容を御説明申し上げることが重要ではなかろうかなというふうに考えておりますので、その点につきまして御理解いただければ幸いでございます。
○宮本(徹)委員 何カ月ものんびりやっているというわけにはいかないんですよね。国民のほとぼりが冷めるところまで待っていましょうみたいな監察じゃまずいわけですよ。随時国会に判明したことから報告することを求めて、次の質問に移ります。核兵器禁止条約交渉についてお伺いいたします。ニューヨーク時間の二十七日から核兵器禁止条約の締結を目指す歴史的な交渉が国連本部で始まりました。ところが、日本政府は、高見沢軍縮大使が会場で演説を行って、これからの交渉に参加しないということを表明しました。きのうのメディアでも、被爆者の皆さんからの怒りと失望の声が上がっている状況がたくさん報道されていますが、岸田大臣、被爆地選出の大臣として胸が痛まないですか。
○岸田国務大臣 被爆者の方々のこの思い、これは大変とうといものがあり、重たいものがあると思います。これはしっかり受けとめなければなりません。そして、こうした被爆者の方々と政府との間においても、核兵器のない世界を実現するという大きな目的においては、この目的を共有していると考えます。その中にあって、政府の立場として、今回のこの会議において、具体的にどう行動するのか、対応するのが適切なのか、これにつきまして、慎重に、十分に検討をいたしました。その結果として、今回のこの会議において、まず、出席をした上で、我が国の基本的な考え方をしっかり訴えた上で、その後の交渉には参加するのを控えるという態度をとった次第であります。核兵器のない世界を実現するためには具体的な結果を出していかなければなりません。具体的な結果を出すために、核兵器国と非核兵器国の協力、これはなくてはなりません。今回の会議においてはその協力はなかなか難しいと判断いたしましたが、引き続きまして、核兵器国と非核兵器国がともに参加する枠組み、NPTですとかCTBTですとかFMCTですとかG7ですとか、こうした核兵器国と非核兵器国がともに参加する枠組みを通じて、我が国の思いをしっかりと実現していきたい、このように考えます。
○宮本(徹)委員 先ほど中川委員からも指摘ありましたけれども、昨年十月の段階では、大臣は記者会見で、私としては現段階では交渉に積極的に参加をし唯一の被爆国として主張すべきことはしっかりと主張していきたいと考えておりますと。積極的に参加するというのは、交渉の冒頭に出て核兵器禁止条約に悪罵を投げつけて、もう参加しませんと、これが積極的に交渉に参加するという、当時思い描いていた岸田大臣の考えだったんですか。
○岸田国務大臣 これも従来から申し上げていますが、この会議において主張すべきことは主張すべきであると申し上げてきました。そして、その主張すべきことを主張することができる環境なのか、議論のありようなのか、議論の方式等についてもしっかり確認した上で、最終的な対応を判断いたしますということを申し続けてきました。しっかりとした発言を行う、これはどうしてもやらなければならないということで出席をし、発言をいたしました。しかしながら、ふたをあけたところ、核兵器国は一国も参加をしない、そして、我々とともに中道国として協力をしてきた国々、ドイツもオーストラリアもみんな出席をしておりません。この中で、核兵器国と非核兵器国の協力というこの思い、こういったものを実現することはなかなか難しいと判断をし、御指摘のような対応に至ったという次第であります。
○宮本(徹)委員 いや、核保有国が参加しないなんて初めからわかっていることじゃないですか、はっきり言って。核保有国の理解が得られていなかったのは、あの条約の、反対、賛成のあれを見てもわかっていたことです。当然それは、核保有国の参加は追求しなきゃいけないことですけれども、核保有国が参加しなかったら、では日本は参加しないというんだったら、今まで橋渡し役と言っていたのが、結局核保有国と同じ立場に今度は身を置いておくということになりますよ。そういうふうにみんな見られているじゃないですか。きょうの各紙の社説だってそう書いてあるじゃないですか。それで、私は、やはり岸田大臣は、国連総会、昨年、核兵器禁止条約の締結交渉を開始しよう、なぜこの決議が採択されたのか、ここの理解が私は足りないんだと思いますよ。なぜこの決議が上がって交渉が始まることになったと理解されていますか。
○岸田国務大臣 経緯については、これは昨年二月から八月にかけて三回にわたってジュネーブにおいて開催されました多国間核軍縮交渉の前進に関する作業部会、OEWGにおいて行われました勧告に基づいて、核兵器を禁止する法的規範を作成するための交渉の開始が求められたものであると承知をしております。その背景には、その前の年のNPT運用検討会議、五年に一度のこの会議において結局最終文書が採択できなかった非核兵器国の不満、あるいは早急に実質的な前進を得たいという願いがあるということは理解しております。
○宮本(徹)委員 つまり、NPTのこれまでの枠組みでは核軍縮すら遅々として進まない、核保有国の態度が変わるのを待っていたらいつまでたっても核兵器は廃絶できない、だったら、まず核兵器禁止条約をつくって、核兵器を国際的に認められない存在にしようじゃないか、こういうことでこの核兵器禁止条約の交渉が始まったということですよ。岸田大臣の立場からいえば、今の日本政府の立場からいえば、核保有国の態度が変わるまで核保有国の協力は得られないから、核兵器廃絶、こういうことはやっていけません、さっきの何か難しい言葉でおっしゃっていましたけれども、最小限ポイントというお話もさっきされていましたけれども、最小限ポイントまでたどり着くどころか、今トランプ政権は核兵器をさらに増強しようという話になっているわけじゃないですか。そういうことで、核保有国が核兵器をさらに増強しようと言っているもとで、核保有国の協力をいつまでもいつまでも待っていたら、いつまでたっても核兵器はなくならないんじゃないですか。どうやって核保有国の態度を変えようというんですか。
○岸田国務大臣 いや、逆に、核兵器を持っているのは核兵器国です、核兵器国が動かなければ核兵器は減らない、これは当たり前のことだと思います。核兵器国を巻き込んで行動してこそ結果につながる、逆に、核兵器国を巻き込まなければ結果につながらない、これを私は四年間、痛感してきました。いろいろな議論の場でこうした大変残念な思いをずっと感じてきました。だからこそ、核兵器国と非核兵器国の協力が大事である、唯一の戦争被爆国である我が国はその間の橋渡し役をやらなければならない、こういったことを強く訴えてきました。そして、今回、先ほど申し上げた非核兵器国のこうした思いに基づいてこうした核兵器禁止条約交渉会議が開かれたわけでありますが、そうした真摯な思いについては大変とうといものであると思いますが、こうした、核兵器国を巻き込まずにどんどんと進んでしまうということは、従来、核兵器国と非核兵器国が協力してつくってきた枠組み自体をまた危うくしてしまう、こういったことにもなりかねない、逆効果になってしまう、こういったことを申し上げているわけであります。従来から、戦後長きにわたって、核兵器国と非核兵器国を巻き込んだ上でさまざまな枠組みをつくってきたわけです。この努力を損ねてしまってはならない、こういった思いから今回の我が国の主張に至った次第であります。そして、この我が国の考え方はこれからもぶれてはならないと私は思っています。
○宮本(徹)委員 やはり国際社会が圧力をかけない限り今の核保有国の姿勢は変わらない、だから核兵器禁止条約をつくろうじゃないかということに私はなっているんだと思いますよ。核保有国と非核保有国の協力といったって、核保有国の側が変わらない限り、だめなわけですよ。どうやって変えるのか。どうやったら核保有国が変わるのか。これはもう国際社会全体が、核兵器はだめだという法的な規範をつくるしかない。それをつくれば、核兵器を持っている国というのは、国際的に核を持っちゃいけないという禁止条約ができれば、それこそ、今まで生物兵器や化学兵器やクラスター爆弾が禁止されていったと同じように、持っていたらまずいということで、これは核保有国の姿勢を変えさせていく力になっていくわけですよ。どこから手をつけるのかといったら、今は核保有国の変化を待っていてもしようがない。核保有国に対して当然核兵器禁止の呼びかけをやりつつも、やはり世界が、非核保有国が先頭になって、核兵器は持っちゃいけないんだ、この国際規範をつくらなきゃいけない。それこそ核兵器を世界からなくす一番の道だというふうに思いますが、そうじゃないんですか。
○岸田国務大臣 まず、核兵器国も、また多くの中道国も参加しない形での取り組みが圧力になるかどうかということは考えなければならないと思います。そして、具体的な取り組みを進めていく上で、単なる圧力とか働きかけではなくして、やはり核兵器のない世界を目指すという大きな目標を共有した上で、それへの具体的な道筋を示すことが我々は重要であると考えています。先ほども申し上げましたが、核兵器国と非核兵器国の協力のもとにさまざまな現実的な実践的な取り組み、これをずっと積み重ねてきました。そして、そういったさまざまな具体的な取り組みによって全体の核兵器のレベルを下げることによって、先ほど委員の方からも触れていただきました最小限ポイントというところを目指していく、そしてそのポイントまでたどり着いたところで、法的な枠組みを使うことによって核廃絶の道をつくっていく、こうした大きな全体の流れをしっかり示すことも大変重要だと思います。少なくとも、こうした核兵器禁止条約、法的な枠組みの使い方を間違えてしまうと現実は動かないという大変残念なことになってしまう、こういったことはしっかり指摘をしておかなければならない、このように考えます。
○三ッ矢委員長 宮本君、時間が経過しておりますので。
○宮本(徹)委員 もうこれで終わりますけれども、現実が動いていないからこそ新しい取り組みを国際社会は始めたんだ、そのことを強く指摘しまして、質問を終わります。