東村山 生活保護をめぐる市議会議員団NEWSを紹介します
東村山市議団ニュース 2017年初夏号
生活保護は国民の権利
生活困窮者自立支援 共産党は“水際作戦”合理化を指摘し反対
2013年11月「生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し自立相談支援事業などの支援を行うための措置を講ずる」として、生活困窮者自立支援法が自民・公明などにより可決されました。
日本共産党は「生活保護の申請の際、『書類提出』を義務付け、『書類不備』を理由に追い返すことができるなど、ハードルが高くされており、“水際作戦”を合法化させる」と法制定に反対しました。
また「申請の際に親族などの扶養義務者への調査が強化され、“迷惑をかけたくない”と申請を断念に追い込まれる」とも指摘してきました。
東村山市では、法律が施行された2015年4月、真っ先に生活困窮者自立支援事業「ほっとシティ」を開設しています。「ほっとシティ」では、生活に困っている市民が相談に来た際の“ワンストップ窓口“として、民間業者に委託をして相談業務などが行われています。
党市議団は、「ほっとシティ」がどのような対応をしているのか、議会で実例をあげて告発してきました。共産党が指摘した“水際作戦”が行われている実態が浮かび上がってきました。
そもそも…生活保護ってなに?
憲法25条では、すべての国民は、人間の尊厳にふさわしい生活を営む権利があるとして「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定されています。この精神に基づき、生活保護法では第一条で「最低限度の生活を保障し、自立を促すことを目的とする」として、人間らしい生活を保障する内容になっています。
生活保護はすべての国民が、生活に困った際に利用することのできる制度です。
しかし、1980年代に暴力団による生活保護不正受給事件が起こったことを機に、申請者の収入や資産などを厳しくチェックし、保護を受けさせない“水際作戦”が全国で広がりました。また、2012年には、生活保護にたいするバッシングが広まり、生活保護制度や利用者への負のイメージが作られました。
また、13年には生活困窮者自立支援法が成立し、親族など扶養義務者への通知など“水際作戦”がさらに強化されています。
最近、生活保護受給世帯が増えているとの報道などもありますが、生活が困窮している家庭のうち生活保護を利用している人の割合(捕捉率)は、2割台といわれています。
若者や女性の非正規労働の拡大や年金の削減などで、生活が困窮していて生活保護を受給する必要がある方が利用しきれていないのが現状です。
生活保護が命と生活を守る最後のセーフティネットとして、利用漏れがないようにする必要があります。
生活保護を権利として保障させ拡充させること、捕捉率を上げさせること、同時に他の様々な社会保障を拡充させることを一体に取り組んでいくべきです。「人間らしく生活するための権利として、生活が困ったら生活保護を誰でも利用していいのです」と声を上げていきましょう。
最初の相談は市職員でこそ
東村山市役所では、窓口業務の委託化が進められています。住民票などの発行窓口や国民健康保険の窓口、「ほっとシティ」の窓口も委託です。
とくに、生活に困った市民の相談窓口は市の職員でなければなりません。
いま、東村山市役所に「生活に困っている」と相談に訪れて、最初に案内されるのが「ほっとシティ」です。どのような理由で生活に困っているのか、どのような支援を必要としているのか、さらには生活保護が必要かどうかということまで、本来市の職員が担うべき業務を委託事業者が行っていることが、大きな問題であると考えています。
また、生活保護は書類がなくても口頭での申請が可能で、申請の申し出があれば市はその場で受理しなければなりません。
委託業者が最初の窓口になっていては、申請の申し出があっても市の職員に伝えなければ手続きがされません。
党市議団は、最初の相談は市職員が対応し、生活保護や就労支援など、どのような支援が必要なのかを職員が判断し、それぞれの担当につなぐという本来の形に戻すよう求めていきます。
市議団長あてに質問状
市議団は市にたいし自己検証すべきと抗議文提出
2月21日、党市議団長山口みよ議員あてに東村山市から“質問状”が送られてきました。
質問状は2月17日付の「しんぶん赤旗」に掲載された、厚生労働省との懇談の様子を報道した記事にたいしてのもので、「誰が出席したのか」「相談者の現状を誰が確認したのか」など、当日の様子を事細かに聞く内容になっています。
党市議団は4月14日に、記事の内容はこれまで議会で指摘してきたことで、改めて回答する必要はないとし「議会などにおける批判や問題点の指摘は、自らを自己検証する機会とすることが行政機関の本来のあり方であり、“質問状”を送り付けるなどもってのほかである」と市にたいし抗議文を提出しました。
東村山市長 渡部尚殿
山口みよ市議あて「質問状」に抗議し、市の生活保護行政の是正を求めます
2017年4月14日 日本共産党東村山市議団
日頃より、市政に対するご努力に対し、感謝申し上げます。
さて、先日二回にも渡って送られてきました質問状に対して、厳しく抗議します。
日本共産党山口みよ市議会議員は、この間、生活保護を申請しようとしても「ほっとシティ」が認めない限り保護の相談につながない状況になっている問題を、実例をあげて何度か一般質問で取り上げてきました。
無年金で一人暮らしの方は、腰痛がひどくなり仕事ができないため生活保護を受けたいと相談に行ったが、「ほっとシティ」の職員から、新聞配達の仕事を薦められ、生活保護をあきらめた、病院に行くお金もないため「死ぬしかない」と思っていたと言いました。
また、5年前に失業しホームレスになった男性は、うつ状態になり、足を怪我して、その周りは壊死常態になっているにもかかわらず、生活保護を申請したいといっても「ほっとシティ」の職員は、健康状態については確認することもなしに、住込みの新聞配達ならすぐに仕事はあると薦めました。
他にも、高齢者世帯の方が生活保護の申請に行ったが、「ほっとシティ」の職員が対応し、最初の段階から生活保護の適用に相当すると判断しながら、手持ちの金があるという理由で市の生活保護担当にすぐ回さなかったため、相談に訪れた方が不安に陥っていたという事例がありました。
そもそも、生活保護法では申請書をまず受け付けるのが原則です。このようなやり方は、生活保護申請者を制度の入り口で排除する「水際作戦」というべきであり、断固としてただすべきものです。2016年6月定例会において健康福祉部長は「ほっとシティ東村山では、広く相談を受け、相談者をアセスメントして、関係機関へつなぐコンシェルジュ機能を果たしております。相談者ご本人の状況に応じた支援を行っているため、その中で生活保護が必要な方については、早急に相談第1係につなぎ、生活保護申請できるよう密に連携を取っております」と答弁しています。これは、「ほっとシティ」が認めない限り生活保護の窓口につなげないことを公言するものです。
そこで、厚労省に生活困窮者自立支援事業の市の在り方について質したところ、厚労省は“ほっとシティのやり方は踏み込みすぎている感じがする。本来は相談者の状況をよく聞き、その人にあった支援につなげていくこと。病気があれば、まずは病気を治すこと”だとのべました。
2017年度予算委員会では生活福祉課長が、生活保護の申請については、あくまで生活福祉課の相談担当が直接受け付けることになっている主旨を答弁しています。本来の立場に立って、生活保護の申請はまず無条件に生活福祉課が対応するよう是正すべきです。
市長は、これらの指摘を受け止め、自らの行政の在り方を自己点検すべきなのに、こともあろうにこの問題を取り上げて質問した国会議員、ブログでのべた都議会議員に対しても、「期日までにご返事いただけない場合には、事実に基づかずに発表したものと判断し、然るべき措置をとらせていただきます」などと、脅しとも取れるような質問状を送りつけてくるなどもっての外と言わなければなりません。
市が自ら自己点検を行い「改善すべきこと、反省すべきこと」など、自らを律する真摯な態度こそ必要ではないでしょうか。
日本共産党東村山市議団は、憲法25条の生存権を保障する立場で、生活保護行政を改めるよう強く求めます。