2018年2月26日 衆院予算委員会第五分科会 『社事大がルール破り 無期転換へ指導を』『看護・介護の増強必要 ハンセン病療養所』
日本共産党の宮本徹議員は26日の衆院予算委員会分科会で、日本社会事業大学(社事大)が有期契約を5年以上繰り返した職員を無期転換する「5年ルール」を適用しないとしていることを示し、加藤勝信厚生労働相に実態把握と指導を求めました。
社事大は厚労省から委託費(約3.6億円)を交付され、社会福祉の専門家を養成しており同省と関係の深い大学です。宮本氏は、同省の「おひざ元」にあるともいえる同大学の契約職員数と、「5年ルール」に該当する職員数をただしました。厚労省は、2月時点での契約職員は23人で、「3月末で5年ルールに該当する職員は1人いるが、再雇用の予定はない」と答えました。
宮本氏は、社事大は同省の天下り先でもあるとして「厚労省として実態を把握し、啓発・指導を」と要求。加藤厚厚労相は「無期転換ルールを逸脱する意図ならしっかり対応していきたい」と述べました。
日本共産党の宮本徹議員は26日の衆院予算委員会分科会で、ハンセン病療養所の多磨全生園(東京・東村山市)の入所者が高齢化するなか、看護力、介護力の増強が求められていると指摘し、職員の定数を減らさず確保することを求めました。
加藤勝信厚労相は「職員の確保において必要な努力をしていきたい。(全生園は)機会を見つけて訪問したい」と答弁しました。
宮本氏はまた、給与水準の低さから医師確保が困難となっていると指摘。他の病院との「有償兼業を認めるべきではないか」と提起しました。加藤厚労相は「前向きに考えてもいいのではないか。議論させていただきたい」と答えました。
以上2018年2月27日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2018年2月26日 第196回予算委員会第5分科会第2号 議事録≫
○石崎主査代理 これにて大西英男君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。きょうは、地元の問題について、何点か御質問させていただきます。東村山には多磨全生園があります。先日、自治会の皆さんにお会いしてお話も伺ってまいりました。大臣に伝えてほしい一番の話は、挙げられたことは、職員を減らさないでほしいというお話でした。今、多磨全生園は、入所者百七十一名、そのうち認知症の方が七十一名となっております。入所者の平均年齢は八十五・五歳。園の入所者自体は減っておりますけれども、丁寧なサポートが必要な認知症の方は、一年前に比べてもふえているというのが実情です。どんどんどんどん高齢化が進む中で、介護力だとか看護力は増大が求められているというのが今の園の実情だというふうに思います。入所者の皆さんは、国の誤った隔離政策で、家族もふるさともない。そういう中で、職員の皆さんは、入所者の皆さんに家族のように寄り添って介助されておられます。しかし、現状の職員の人数でも入所者の皆さんの要望には応え切れていないというのが、実情としてあると思います。こういう話を聞きました。終末期医療のお話を伺ってきました。これまでは、仲間が、入所者の方が亡くなるときは付き添ってみとりをやっていた、こういうこともできたけれども、入所者自身がみんなが高齢化する中でそういうこともできなくなってしまった、自分たちには家もないんだ、家族もいないんだ、そういう中で、最期に誰かにみとっていただけるとしたら、やはりそれは職員なんだというお話でした。だけれども、今の職員の体制では、夜勤になれば、昼間はたくさんの方がいらっしゃいますけれども夜勤は大変少ないですから、そういう最期のみとりということも職員にやってもらえない、付き添ってもらえない、なかなか、そういう事態であるというお話も聞きました。加藤大臣にお伺いしたいんですけれども、国との合意書では、二〇一八年度までは職員は減らさない、こういう合意でやってきたわけですけれども、二〇一九年度以降は、入所者一人当たりの定員は維持するということになっていますが、職員の定削が始まるということになっているわけですね。ただ、実際は、高齢化が進んでいる、より介護も看護もいよいよ求められてきている、そういう実情を踏まえて、職員の定数は減らさずに、しっかり確保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔石崎主査代理退席、主査着席〕
○加藤国務大臣 私も岡山県の選出をさせていただいている議員でございまして、地元岡山県、直接私の選挙区ではありませんけれども、岡山ということで、長島愛生園や邑久光明園がございますし、また、その関係者ともいろいろお話もさせていただいているところでございます。その上で、本当に、いろいろなこれまでの思い、そして現状についてもお話をいただき、そして今委員御指摘の中で、平成二十六年の八月に、いろいろ議論のある中で合意書が結ばれたということでございまして、それに基づいて、平成二十七年度から三十年度までの間は定員を毎年度一名ずつ、それにのっとって増員をしてきた。委員は、そこから先、三十一年度以降どうなのかということでありますが、この合意書には、定員の絶対数を継続的に減少させていくことになるがとして、しかし、その際には、介護等の支援を必要とする入所者一人当たりの介護員、看護師数を一・五人とする、入所者一人当たりの定員は、平成三十年度時点の水準を下回らないということでございます。また一方で、入所されている皆さんが安心して、そして豊かな生活を営めるよう、良好な療養環境を確保していくことは重要な課題でございますので、そういった視点を踏まえながら、平成三十一年度以降、必要な人員の確保に向けて努力をしていきたいと思います。
○宮本(徹)分科員 岡山の療養所のお話も伺っているというお話でしたが、であればなおさら、今、本当に高齢化が進む中での大変な実情も大臣も御存じだというふうに思いますが、ぜひ東京にも、多磨全生園、東村山にありますけれども、お伺いしていただいて、ぜひ介護の現場を見ていただけないかというふうに思っています。入所者の自治会の皆さんも、ぜひ大臣には来ていただいて、高齢化が進む中での現状というのをしっかり見ていただいて、なぜ人の確保が必要なのかというのをしっかり知っていただきたいんだというお話がございましたので、お忙しいかとは思いますが、ぜひ来ていただきたいと。そして、入所者の皆さんが言っていたのは、ぜひ、病棟だとか、大変な介護の現場の実情のところ、現場のところを見てほしいとおっしゃっていましたので、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 私自身、多磨全生園はお伺いしたこともございませんし、また、他方で、東村山の市長からもいろいろなお話も聞かせていただいて、まずは一回見に来てほしいということも承っているところではございますので、しっかり機会を見つけて、ぜひ訪問させていただきたい、こう思っております。
○宮本(徹)分科員 これまで来られたいろいろな方の中で、入所者の自治会の方が、こういうことをちょっと懸念されていたのは、ぐるっと全生園内を車で回り、納骨堂に献花して帰るのではなく、しっかりと介護の現場を見てほしい、これも入所者の自治会の方から伝えられたことですので、しっかり、やすらぎ病棟だとか、いろいろな介護の現場を見ていただきたいというふうに思います。それからもう一点、療養所の医師の確保についてもお伺いしたいと思います。これは、昨年も塩崎大臣に質問させていただきました。昨年取り上げたときは、多磨全生園、内科の常勤医が四人いたのが二人に減って、しかもそれが血液と透析の専門の方だというお話をさせていただきました。今は更に減って、内科の常勤医は一人。あとは非常勤なんですね、内科の先生でいえば。そういう形になっております。それで、園長先生にもお話を伺いましたが、内科の医師はやはりふやしたいんだ、常勤をふやしたいというお話もありました。ただ、ネックになっているのが、やはり職員確保をする上でのネックが給与なんですよね。独立行政法人の、国立病院の機構に比べても医師の給与の水準が低い、民間と比べても低い、これがネックになってきております。きょうは、人事院にも来ていただきました。厚労省からは、療養所の医師確保のために給与改善の要望が出ていると思いますが、人事院は、この療養所の医師確保のために、ハンセン病問題基本法の立場に立った対応をすべきだと思うんですが、その点はどう考えているんですか。
○嶋田(博)政府参考人 お答えいたします。人事院といたしましても、全国各地のハンセン病療養所におきまして、医師を含めた職員の方々が入所者の皆様に寄り添って、日々心を砕いておられることは承知をしております。国の医師の給与につきましては、医療職俸給表(一)が適用された上で、勤務地域にかかわらず一六%の地域手当が特例的に保障されるほか、人材確保の観点から、初任給調整手当が支給されております。さらに、ハンセン病療養所の医師につきましては、職務の特殊性を評価して、俸給の調整額が支給されております。御指摘のとおり、厚生労働省からは、「厚生労働行政の業務に従事する職員の給与改善等について」の中で、ハンセン病療養所の医師の処遇改善等に関しましても、人事院に御要望いただいております。このような御要望を踏まえまして、医師の給与につきましては、人材確保の観点から、平成二十一年四月、初任給調整手当の特別改善により、年間給与の水準を平均約一一%引き上げるなどの配慮を行ってきております。また、今年度におきましても、こうした御要望等を踏まえまして、昨年八月、国会及び内閣に対し、医師の処遇を確保する観点から、初任給調整手当の支給月額の限度の引上げを勧告したところでございます。昨年の十二月には、人事院勧告どおりの給与法の改正が行われまして、平成二十九年四月にさかのぼって初任給調整手当の引上げが行われております。人事院といたしましては、こうした近年の給与改定の内容を踏まえつつ、厚生労働省のお考えを改めてしっかりと伺いながら、国立ハンセン病療養所の医師の給与につきまして、必要となる検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮本(徹)分科員 厚労省から、もっとたくさん要望が出ているんじゃないですか。ハンセン病療養所の医師の確保のためには、もっとたくさん細やかに要望が出されているというふうに思うんですね。本当に園長先生は一生懸命、医師確保のために走り回っています。ただ、なかなか最後、話がまとまらないのは、前の園長先生のときからも課題になっているのが、やはり給与の話なんですよね。とりわけ多磨全生園は、周りが大変病院が多い地域でもあるんですよね。お隣の清瀬市も病院がたくさんありますし、近くにも病院もあります。ですから、そういう中で、やはり周りの病院に比べて給与水準が低いと、一生懸命医師確保に当たっても医師は確保できない。結局、定員で医師が、多磨全生園で一人、療養所全体でこの一年でふえたというのは、厚労省が責任をとって技官の方を配置していただいた。ただ、それは、現場で医師として働いているというわけじゃないですからね。それだけなんですよね。本当に苦労しても、なかなか確保できないという状況があります。やはり、ハンセン病の問題に当たっては、基本法の立場に立ってしっかりと、もっと給与を保障して、医師が確保できるようなところまで人事院も考えなきゃいけないと思うんですが、その点はどうですか。
○嶋田(博)政府参考人 御指摘の点に関しましては、所管省である厚生労働省の医師の人材確保に向けたお考えを、実情等を、改めてしっかりと伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。
○宮本(徹)分科員 ぜひ、療養所の医師確保の取組なんかもじかに聞いていただいて、厚労省の意見もよく反映させて、給与の引上げに当たっていただきたいというふうに思います。それと、あともう一点、その医師確保の上で、同じように法務省の矯正医官も大変苦労していたわけですけれども、いろいろなことをやっています。法務省の矯正医官については、有償兼業が認められるということになりました。園長先生に聞きましたら、療養所でも有償兼業が認められたら医師をリクルートしやすくなるということもおっしゃっていました。これは法務省で始まっているんですから、ぜひ、療養所についても早急に有償兼業を認めるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 済みません、ちょっと個別のところがよくわからないところがあるんですが、基本的な考え方をまず述べさせていただきたいと思います。国立ハンセン病療養所が立地する地域の医療機関などからの要請に基づき、入所者に対する診療に影響のないことを前提として時間外の診療行為に従事することは、医師の技能維持向上や地域医療への貢献という観点からも意味があるというふうに考えております。職員の兼業許可については、国家公務員法に基づき、職員からの申請に対し、兼業による心身の疲労のため、職務遂行上その能率に悪影響を与えることがないかどうか、兼業することが国家公務員としての信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるおそれがないかどうか。この二点目は、普通の診療であればこんなことはないと思いますが、を審査の上、兼業を認めるということにしております。国家公務員の一員である国立ハンセン病療養所の医師が外部機関において診療行為に従事する場合については、まず、当該診療所においてしっかり入所者に対する診療に当たっていたことが前提ではありますけれども、先ほどの兼業許可基準を踏まえて、医師の特殊性を考慮しながら、私は、ある程度前向きに考えていってもいいのではないかというふうに考えております。ただ、今聞きますと、今まで認めた例はないということでございますので、またそうした申出があれば、しっかり承って対応させていただきたいと思います。
○宮本(徹)分科員 無償では、いろいろなところに診療所の先生も今出かけるということもやっていますけれども、有償かどうか、やはりそこが医師確保のところでは大変大事になりますので、ちゃんと制度として確立していただきたい。先ほど前向きな答弁もいただきましたので、制度として、しっかりと大臣のイニシアチブで確立していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○加藤国務大臣 今は、もちろん有償を前提にお話をさせていただきました。ただ、先ほど申し上げた、当該診療所において入所者に対する診療等がしっかり確保されていくということと、それと、結果的に外で働くことが長時間の労働になっては、また働き方改革との問題もありますけれども、その辺をよく見ながら、ただ、委員御指摘のような点はあると思いますので、我々もしっかり、そうした御要請を踏まえて、あるいは御要請がないからといって検討しないということではなくて、少しこの辺は中で議論させていただきたいと思います。
○宮本(徹)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。それからあと、二点目に、介護報酬の地域区分についてお伺いしたいと思います。資料もお配りをさせていただいておりますが、介護報酬は、人件費の地域差を調整するために、地域ごとの割増しがあります。一級で二〇%、六級で三%ということになっております。私の地元でいいますと、東久留米は五級地で一〇%。この地図を見てもらえばわかりますけれども、周辺を見ると、西東京一五%、小平一五%、東村山一二%、清瀬一二%で、東久留米だけが低いという状況になっています。あるいは武蔵村山で見ますと、武蔵村山は六級地で六%ですけれども、隣接している立川は一二%、東大和は一二%。同じ医療圏を構成している中で六%も低いということになっています。基本的に、同じ経済圏、同じ生活圏の中でも介護報酬の地域区分が大変細やかに、細かく設定されておりますので、こうなると、介護報酬が低い自治体では何が起こるかといいますと、事業所が人材を確保するのに大変な苦労が生じます。職員の給与が周りより低ければ確保できない、なかなか確保できない。逆に、職員の給与を周りに合わせようとすると、経営が大変な事態になるということです。ですから、この介護報酬の地域区分、これはこのままじゃまずいというふうに思うんですが、今の現状の地域区分が介護事業所の経営と人材確保に困難をもたらしている、こういう認識は政府はお持ちなんでしょうか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。介護保険制度の創設時から、人件費の地域差を介護報酬に反映させるための仕組みといたしまして地域区分を導入してきたところでございますけれども、これにつきましては、公平性、客観性の観点から、民間の賃金水準を反映して設定されております公務員の地域手当に準拠することを原則としてきたところでございます。その後、地域区分につきましては、必要に応じまして順次見直しを行ってまいりましたけれども、介護給付費分科会におきまして、各自治体の意見を聴取した上で課題や論点等を整理すべきとの指摘があったことを踏まえまして、平成二十七年度に自治体から意見を聴取したところでございます。その結果につきまして、平成二十八年度に取りまとめたところでございますけれども、主な意見といたしましては、区分を上げたい意向の自治体では、御指摘のとおり、人材確保等を懸念する内容が多かった一方で、区分を下げたい意向の自治体では、保険料等の増額を懸念する内容が多かったところでございます。また、区分の上げ下げの意向にかかわらず、近隣とのバランスに問題意識を持った意見が多かったところでございます。
○宮本(徹)分科員 介護の待機者ゼロだとか、そういうことをやろうと思ったら、当然施設の整備を進めていかなきゃいけないわけですが、そういうことをやる上でも、この地域区分が実態に見合っていないということになれば、介護事業所が出てくるのも思いとどまってしまうわけですよね。ですから、ここは本当に改善が求められている分野だというふうに思います。私、配った資料の裏面に、介護保険の地域区分と、それに対して市民一人当たりの市民税の所得割額を並べたのを載せました。例えば東久留米は五級地になっていますが、市民税の一人当たりの所得割は六万一千九円です。二十三区は全部一級地、二〇%になっていますけれども、足立区は区民の所得割は五万八千五百六十五円。級地で見れば、東久留米の方が五級地ということで上乗せ割合が大変低くなっているわけですけれども、市民の実際の収入水準ということを見れば、逆転している自治体というのはたくさんあるというのが実情なんですよね。こういう中で、本当に細かに格差をつけられる。私は、人事院の決めている公務員の地域手当の決め方がそもそも問題だと思っているんですけれども、それに準拠して、全部、介護報酬も含めてやっていくということになると、本当に介護事業所の皆さんが苦労されるということになります。ですから、次回に向けて、こういう地域区分の決め方によって苦労している自治体、事業所が生まれないように是正を図るべきだと思いますが、これはいかがでしょうか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。先ほども御答弁申し上げましたけれども、これまでも、必要に応じて順次見直しを行ってきたところでございますけれども、平成三十年度の介護報酬改定におきましては、地域区分の高い地域に囲まれている場合に、一定程度引き上げることなどの見直しを行ったところでございます。また、この報酬改定の議論の中におきまして、地域区分のあり方につきまして、審議会におきましては、より広域的な範囲での設定とするなど根本的な見直しを含めて、今後も引き続き検討すべきとの意見もありましたので、こうした意見も踏まえつつ、次期介護報酬に向けまして、必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○宮本(徹)分科員 確かに、今回、囲まれルールで改善された自治体はあります。例えば東京では、三鷹市なんかは改善された面はありますけれども、例えば東久留米は、囲まれルールでいくと、埼玉県に接していますから、埼玉県の新座市との関係で囲まれルールが適用されないとなるわけですよね。だけれども、人の流れは都心に流れているわけでして、そういう今回の囲まれルールだけでは、やはり矛盾は解消されなかったわけですよね。ですから、ぜひ、とりわけ周りよりも上乗せの介護報酬が低くて苦労している自治体について、実情をよく、更に聞き取っていただいて、どういう対応が必要なのかというような突っ込んだ検討をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。自治体の意見はよくお聞きして対応したいと思います。ただ、先ほど申し上げましたけれども、自治体によりましては、人材確保等を懸念する内容が多かった一方で、保険料等の増額への懸念をする内容もございます。そういう意味では、両方の意見もございますので、よくよく自治体の意見を聞きながら検討してまいりたいというふうに考えております。
〔主査退席、石崎主査代理着席〕
○宮本(徹)分科員 次回に向けて必ず改善されるように、大臣の方でもイニシアチブをとっていただきたいというふうに思います。それから、最後に、社会事業大学の問題についてお伺いします。厚労省は、日本社会事業大学に対して委託費を交付して教育研究を進めております。まず大臣にお伺いしたいのは、厚労省における社会事業大学の位置づけ、これはどうなっているんでしょうか。
○加藤国務大臣 学校法人日本社会事業大学、昭和三十三年に創立し、日本で初めての社会福祉の専門教育機関であり、創立当初から、厚生労働省から社会福祉のリーダーの養成を委託している大学でございます。また、日本社会事業大学に勤務する教職員の人件費や大学の運営に係る費用から、入学金や授業料などの収入を差し引いた額を委託費として交付もしているところでございます。
○宮本(徹)分科員 つまり、厚労省の大学と言ってもいいような大学が社会事業大学ということだと思います。この厚労省のお膝元の大学で、有期雇用の無期雇用転換ルールが今どうなっているのかというのをちょっときょうは取り上げたいと思いますが、社会事業大学で、現時点での契約職員の人数、無期転換ルール適用に該当する人数、一度契約打切りになって再雇用された人数というのは、それぞれどうなっていますか。
○定塚政府参考人 お答え申し上げます。日本社会事業大学に確認いたしましたところ、日本社会事業大学における契約職員の人数は、平成三十年二月一日現在において二十三人とのことでございます。また、有期で雇用されている職員で、雇用契約を更新して通算五年を超える労働者につきましてでございますが、平成三十年三月三十一日に通算五年となる方が一人いらっしゃるということでございますが、この方について再雇用の予定はないと伺っているところでございます。
○宮本(徹)分科員 なぜ再雇用の予定がないのかということなんですけれども、学校法人日本社会事業大学有期雇用職員就業規則、平成二十七年四月というのを私、見ました。こう書いてあるんですね、第五条の二で、「雇用契約が締結されていない期間が連続して六月以上ある場合を除き、契約期間が通算して五年を超えることはない。」典型的な無期雇用逃れのためのルールをつくっているわけですよ。今、大臣は、省を挙げて、有期雇用の皆さんが五年を超えて契約更新になれば無期転換できるようにする、このルールの定着を日本社会で図っているというふうに思いますが、厚労省のお膝元の大学で、この五年ルールを、無期雇用転換ルールを無視するような就業規則をつくっているわけですよね。これは撤廃させるべきだ、是正させるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 まず、お膝元といっても、先ほど申し上げた委託という関係でございますし、この大学はあくまでも学校法人ということになりますから、そういった意味での管理監督というのは別でありますし、また、もちろん私ども、労働行政を担っているわけでありますから、そういった意味では当然対象になることは委員御指摘のとおりであります。その上で、今の規則、済みません、個々のこれについて、一つ一つちょっとコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、例えば、六カ月を超えた先においてまた雇用するよというようなことであれば、これはこの無期転換ルールを意図的に逸脱しようとしているということで、これまでもそうしたケースにおいては必要な監督指導を行っているところでございます。
○宮本(徹)分科員 組合の団交のニュースも私も見せてもらいましたけれども、これまで、五年で一旦首を切られて、また半年たって、一定期間たって戻ってこられた方も三人いらっしゃるという話なんですよね。ですから、明白な、これは無期転換ルール逃れだと言っていいというふうに思います。団交のこの記録を見てみましたら、組合の側から是正すべきじゃないかということを求められても、これは次年度以降に考えるという話しか理事者側はしていないわけですよね。先ほど話したとおり、三月三十一日に一人の方は雇いどめになるということになっていくわけですよね。これは、お金を出して、しかも専務理事もずっと厚労省から天下っているところなんですよね。それは、厚労省自身が一生懸命やっている政策については、ちゃんと指導を貫徹するということが必要なんじゃないですか。
○加藤国務大臣 その天下っているというのは、いわゆる公務員の、何法でしたっけ、退職した後の手続にのっとってやっているんだろうというふうに思いますけれども、いずれにしても、ちょっと個別について私はここでコメントするのは差し控えたいと思いますけれども、もちろん、それがこの無期転換ルールを逸脱しようとする意図のもとで行われている、これは一般論でありますけれども、という場合についてはしっかりと対応していきたいと思います。
○宮本(徹)分科員 これは、まさに社会事業大学の場合はそれに当てはまるというふうに思いますので、厚労省として、しっかりと社会事業大学のこの雇用の問題について実情を把握していただきたいと思いますが、いかがですか。
○定塚政府参考人 先ほども大臣から御答弁申し上げたとおり、委託事業を行っていただいているという観点からの確認指導というものは日本社会事業大学に行ってきているところでございますが、その観点から、教職員の雇用契約や就業規則等について個々に監督指導するという立場には立たないと考えております。したがいまして、日本社会事業大学が、その規定や関係法令にのっとって適切に対応していただくべき課題かと考えております。
○加藤国務大臣 済みません。先ほど監督指導と申し上げましたけれども、労働契約法ということでございますので、啓発指導ということでやらせていただいていることを訂正させていただきます。
○宮本(徹)分科員 以前、我が会派で、厚労副大臣のところに、この問題での要請にも行かせていただきました。そのときに、一つ一つ、問題があったら労働局を通じて、場合によっては本省でも指導するからというお話があったんですよ。ところが、今は指導をしないかのような局長の答弁があったわけですけれども、そこはしっかりと、一つ一つ、こういう問題があるじゃないかと言われたことについては啓発指導されるということでいいわけですね。加藤大臣、最後に確認させていただきます。加藤大臣です。
○加藤国務大臣 多分、局長もそういう趣旨で言われたのではないかなというふうに思いますけれども、いずれにしても、無期転換ルールというものがしっかりと実行されていくように、我々も引き続き、周知あるいは相談体制、そして今委員御指摘のように、そこにそれを逸脱しようとするようなものがあれば、そうしたものに対しては啓発指導に取り組んでいきたいと思います。
○石崎主査代理 宮本徹君、申合せの時間が既に経過しております。
○宮本(徹)分科員 啓発指導をしっかりしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○石崎主査代理 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。