2018年5月22日 衆院本会議 茂木大臣不信任決議案

安倍晋三首相が2015年2月25日に加計学園の加計孝太郎理事長と面談したことが愛媛県の新文書で判明し、首相の進退に関わる重大事態となるなか、政府・与党は22日の衆院本会議でカジノ実施法案の審議入りを強行しました。日本共産党など野党各党は、国会で1年も虚偽答弁を続けてきた安倍首相と、疑惑解明にフタをして悪法をごり押しする政府・与党を厳しく批判しました。
安倍首相は、学園の獣医学部新設を知ったのは昨年1月20日だと繰り返し答弁してきましたが、愛媛県の新文書で虚偽の疑いが強まっています。この日の衆院本会議での答弁で、安倍首相は15年2月25日に「加計理事長と会ったことはない。これまで答弁してきたとおり、獣医学部の新設について話をしたことはない」と言い張り、面会を否定しました。
カジノ実施法案の質疑で、日本共産党の宮本岳志議員は、愛媛県の新文書は国会の国政調査権に基づく要求に対して提出されたもので、首相が国会を欺き、虚偽の答弁を重ねてきたのではないかという極めて重大な疑惑を示すものだと指摘。加計氏と柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問、中村時広愛媛県知事の参考人招致を求めました。
茂木敏充TPP担当相不信任決議案の賛成討論に立った日本共産党の宮本徹議員は、「行政の私物化を隠すために国会を欺き続け、関係者を巻き込み虚偽の答弁をさせる。まことに罪深い」と安倍首相を追及。「今やるべきはTPP、働き方改悪、カジノ実施法案の強行ではない。総理主導の疑いが決定的となった加計疑惑の真相究明の責任を果たすことだ」と強調しました。
茂木担当相の不信任決議案は、自民党、公明党、日本維新の会などの反対多数で否決されました。

以上2018年5月23日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2018年5月22日 第196回本会議28号 議事録≫

○議長(大島理森君) 宮本徹君。
〔宮本徹君登壇〕
○宮本徹君 日本共産党の宮本徹です。私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました茂木敏充TPP担当大臣に対する不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)まず冒頭、加計学園疑惑について指摘しなければなりません。総理は、先週、私の質問に対して、私は加計理事長と獣医学部の新設について話をしたことはないと答弁されました。しかし、きのう国会に提出された愛媛県新文書では、二〇一五年二月二十五日に加計理事長と首相とが面談し、今治市での獣医学部新設について話したことが繰り返し記されております。総理は国会をだまし続けているのではありませんか。時の権力者がみずからの友人のために権力を行使し、便宜を図る、行政の私物化そのものであります。そして、そのことを隠すために国会を欺き続ける。関係者をも巻き込み、虚偽の説明をさせる。まことに罪深いと言わなければなりません。今、国会がやるべきは、TPPの強行ではありません。働き方の改悪でもありません。カジノの強行でもありません。国会が今やるべきは、国民の負託に応え、国会の国政調査権を行使し、いよいよ総理主導の疑いが決定的となった、加計学園疑惑の真相究明の責任を果たすことであります。加計孝太郎理事長、柳瀬元総理秘書官、藤原元内閣府審議官など関係者の証人喚問と、中村愛媛県知事の参考人招致を早急に行うことを強く求めるものであります。続いて、茂木大臣不信任決議案に賛成する理由を述べます。最大の理由は、茂木大臣が、国会決議に違反し、農林水産業を始め国民生活に甚大な打撃を与えるTPP11を強行しようとしているからであります。内閣委員会の審議の中で、総理は、TPPでの日本の農業における譲歩というものはもうマックスだと明確にトランプ大統領に伝えていると答弁しました。しかし、たび重なる国会決議は、農業分野のマックスの譲歩など認めていないのであります。国会決議は、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要五品目を関税撤廃の交渉から除外することを明確に求めてきました。ところが、TPPでは、重要五品目のうち、三割の品目で関税を撤廃、牛肉・豚肉では七割の品目で関税が撤廃されます。国会決議に明白に反し、TPPを進める茂木大臣を信任できないのは当然であります。TPPは即時撤回するべきであります。さらに、四月の日米首脳会談で、日米の新たな経済協議の枠組みをつくることで合意しましたが、その担当が茂木大臣であります。新協議は日米双方がお互いの関心事項を持ち寄るといいますが、USTRが外国貿易障壁報告書をもとに、牛肉や米、乳製品を含む農産物を始め、規制緩和など、TPP以上の要求を突きつけてくることは明白であります。既にアメリカ側は、適切な時期にFTAを結ぶことに関心があると日本政府に通告しております。TPP交渉で譲歩をした線をスタートとして、際限のない譲歩を迫られ、行き着く先は日米FTAという、国民の利益を大きく損なうことになるのではありませんか。このような茂木大臣は到底認めることはできません。このような重大な問題にもかかわらず、TPP11条約は、外務委員会での審議は六時間にも満たないものであり、内閣委員会での法案質疑もまだ十数時間。会期末まで一カ月を切る中、国会多数が懸念しているカジノ実施法案を強引に成立させるために、TPPについてまともに審議を尽くさず、短時間で打ち切り強行しようとしている与党の姿勢は断じて許されません。公文書改ざん、隠蔽、捏造、虚偽答弁の連発という前代未聞の異常事態を引き起こし、国民の代表たる国会を冒涜し、我が国の民主主義を根底から突き崩し恥じない、安倍政権と与党の姿勢を厳しく批判し、茂木大臣不信任決議案に対する私の賛成討論といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。