2019年4月9日 衆院国土交通委員会 下関北九州道路疑惑 首相発言流れつくった
日本共産党の宮本徹衆院議員と山添拓参院議員は9日、衆参両院の国土交通委員会で、塚田一郎前国交副大臣が辞職に追い込まれた下関北九州道路計画をめぐる安倍政権による利益誘導と国政私物化の疑惑を追及しました。
宮本氏は、提出された昨年12月20日の塚田氏と「下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会」会長の吉田博美参院自民党幹事長の面談記録には、「総理、副総理」が3回繰り返され、「塚田氏の忖度発言と符合する」と指摘し、真相究明のために、塚田・吉田両氏の参考人招致を求めました。
宮本氏は、「国直轄調査の予算をつける客観的なルールはあるか」とただすと、池田豊人道路局長は、「総合的に勘案する」と答弁。宮本氏は「定かなルールはなく政治主導で決めることが可能だ」と指摘しました。また、池田局長は、本年度予算で調査費用が国直轄になった道路は、108路線のうち下関北九州道路の1件だけだったと明らかにしました。
また、宮本氏が、下関北九州道路に国の直轄調査予算をつけることについて、副大臣から指示があったのかただすと、池田局長は、「要望をふまえて検討するように日頃から受けている。12月20日もそのひとつ」と述べました。
宮本氏は、昨年10月25日の安倍晋三首相と吉田氏の会談で首相の指示を受けた吉田氏が動き、塚田氏からの指示で国直轄調査の予算が計上されたことを示し、「安倍首相の発言から予算がつく流れが生まれた」と指摘しました。
以上2019年4月10日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2019年4月9日 第198回衆院国土交通委員会第4号 議事録≫
○谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。塚田前副大臣の発言にかかわって、私も質問いたします。あの発言は、うそならば、選挙に向けて有権者を欺いて支持を広げようとした。真実ならば、総理、副総理へのそんたくで税金をつけ、選挙に利用する、税金の私物化。どちらに転んでも、とんでもない発言であります。昨日出てまいりました昨年十二月の吉田、塚田会談の記録のメールを見ますと、ほんの数行の中に、吉田参議院議員の発言として、総理、副総理というせりふが三回も出てくるわけです。総理、副総理の地元であることを暗に強調しているように見えるわけですよね。石井大臣、このメールの記録というのは、塚田前副大臣のそんたく発言とぴったり符合するんじゃないですか。
○石井国務大臣 塚田前副大臣は御自身の発言を撤回したと承知をしております。
○宮本委員 撤回したのは、うそで撤回したのか、事実を言ってしまったのが問題になるので撤回したのか、そこはまだ、どちらなのかというのは究明していかなければならないわけですが、塚田前副大臣の演説会での発言は大変リアリティーがあったわけですよ。その場の雰囲気で、あんな詳細に話を思いついて人間ができるものなのか、多くの国民がそう思っております。それで、吉田議員からは、塚田、わかっているな、総理の地元と副総理の地元の事業なんだよと言われたということでございます。道路局長に確認しますが、この会談の場で、総理の地元と副総理の地元の事業だというせりふが吉田議員からあったんじゃないですか。
○池田政府参考人 総理、副総理の地元事業であることを理由に、国で調査することを求められたことはなかったと思います。
○宮本委員 いや、だから、総理の地元と副総理の地元の事業だというせりふはあったのかということを聞いているわけです。
○池田政府参考人 議事録におきましても、総理、副総理の地元とは関係なく、中国、九州の経済や後世のため、オール・ジャパンで必要な道路であるというような発言を吉田議員の方でされているところでございます。そのほかにつきましては、私の方で追加するようなことはございません。
○宮本委員 ほかに追加することがないというのは、これは、でも、十五分のうちほんの数十秒分しか書いていないわけですよ。ほかの部分については覚えていないということですか。
○池田政府参考人 私の方で、この議事録の内容につきまして、ここが欠落をしているのではないかとか、そういう意味でこれに追加するようなものはないというふうに考えております。
○宮本委員 ですから、あと十四分以上分が欠落しているわけですよ、私たちに公開されているものは。あと十四分以上分、同じことを十四分間繰り返して話したわけじゃないでしょう。記憶があるんじゃないですか。
○池田政府参考人 この議事録に記載されている内容に私の方で現時点でつけ加えるべき内容はないというふうに考えております。
○宮本委員 つけ加えることはないというのは、記憶がないからないのか、どういうことなんですか。書きたくないからないのか、記憶にないからないのか。
○池田政府参考人 書きたくないからということではございません。この議事録に記載されている内容を今見たところ、私の方で、これは落ちていたんじゃないかとか、そういうことについて思い当たるところがないということでございます。
○宮本委員 思い当たるところはないということですから、残りの十四分は思い出せないということなんだと思うんですよね。ちゃんと記憶を思い起こしていただきたいと思うんです。この塚田副大臣が演説会でおっしゃった吉田議員のせりふと今回のマスコミ退席後の吉田議員のせりふと、ちょうど何かつながるなという感じに見えるんですよね。つなげるとこうですよね。塚田、わかっているな、総理の地元と副総理の地元の事業なんだよと言ってそんたくを促し、その後に、総理、副総理と言うと国交省もやりにくいだろう、与党、公明党、野党で協力して進めていくと。これはこういうせりふがあったとしか思えないようなつながり方になっていくわけですよね。ですから、これはそういうことなんじゃないですか。総理、副総理と言うと国交省もやりにくいだろう、このせりふの意味は、実態は総理の地元と麻生さんの地元の安倍麻生道路だ、だけれども、露骨にやると世論の批判を招くので、あえてカムフラージュして進めていこう、こういう話だったというふうにしか思えないんですよね。違いますか。
○池田政府参考人 総理、副総理の地元事業であることを理由に、国で調査することを十二月二十日に求められたことはなかったと思います。
○宮本委員 それは、本人だってそんたくしたと言っているわけでしょう。委員長、これ以上ここで議論してもはっきりしませんので、塚田前副大臣そして吉田議員の本委員会への参考人招致を求めたいと思います。
○谷委員長 後日、理事会にて協議いたします。
○宮本委員 次に、国で直轄調査の予算がついた過程について改めて御確認したいと思いますが、まず、地域高規格道路の候補路線について、どこを優先して国の直轄予算をつけるのか、これについて客観的なルールというのはあるんでしょうか。
○池田政府参考人 地域高規格道路の候補路線を含めまして国が個別路線の道路調査を実施する際には、データに基づきまして、渋滞や交通事故などの道路交通の課題の状況及び周辺の道路の整備状況などを総合的に勘案した上で調査の着手を判断しております。なお、地域ごとに地形や気候、産業構造などが異なります。また、地域ごとに、物流の効率化や地域の活性化や観光振興、医療の問題、防災など、地域が抱える課題は多様でありますから、このような地域の実情を踏まえながら、個別ごとの調査の実施の判断をしております。
○宮本委員 定かなルールがあるわけじゃなくて、個別ごとに総合的に勘案して決めていると。もっと言えば、大臣、副大臣、政治主導で判断で決まっていくということが可能なものになっているという話だと思います。もう一点お伺いしますが、この地域高規格路線の候補路線というのは今何路線あって、二〇一九年度予算で国の直轄調査の予算が初めてついた路線というのは何路線あるんでしょうか。
○池田政府参考人 二〇一九年四月一日時点で、地域高規格道路の候補路線は百八路線になります。そのうち、二〇一九年度の予算で国の直轄調査の予算がついた路線は本件の路線のみでございます。
○宮本委員 つまり、百八路線あるうち、この路線だけが国の直轄調査の予算がついたという話ですよ。まさに政治案件として予算がつけられていったのではないかということをうかがわせるものだというふうに思います。もう一つ聞きますけれども、候補路線の段階で新たに初めて国の直轄調査の予算がついたものは、過去五年ではどういうものがあるんですか。
○池田政府参考人 過去五年で国の直轄調査の予算が新たについた路線は五路線でございまして、昨年度は国道百二十一号の日光地区の予算がついております。
○宮本委員 それで、今回この路線だけが初めて予算がついたということですが、下関北九州道路について国の直轄予算の計上を決めたというのは、最終判断したのはどなたなのか、その過程について、経緯や理由を記した文書というのは存在するんでしょうか。
○池田政府参考人 関門海峡においては関門トンネルと関門橋の二つの道路で連絡されておりますけれども、関門トンネルを含む国道二号及び三号について、慢性的な渋滞が発生しております。また、東日本大震災の教訓や平成二十八年四月の熊本地震の救援に際しまして、関門トンネル、関門橋が果たした役割を踏まえた代替路の重要性が再認識をされたところでございます。このようなことから、下関北九州道路につきまして、平成二十九年度より、福岡県、山口県、北九州市などによりまして道路のルートや構造、整備手法などの調査が実施されており、この三月八日に下関北九州道路調査検討会が開催され、調査検討の取りまとめがされております。この調査結果を踏まえまして、道路局の方で取りまとめを行い、副大臣を含む政務三役にも説明をし、国交省として直轄の調査の決定をしているところでございます。
○宮本委員 午前の質疑のやりとりだとか、あと、参議院でもやっておりました。それから、きのうもレクがございましたけれども、個別の道路については、いろいろ決めるときには、日ごろから大臣、政務三役に説明していて、指導や助言を得ながら決めていっているということでいいわけですよね。
○池田政府参考人 今御指摘のとおり、日ごろからの個別路線の整備方針の説明の際に、政務三役の方から指導や助言をいただきながら、箇所づけ等の方針に反映をしていっているところでございます。
○宮本委員 午前中の答弁では、国直轄の調査費をつけることについて副大臣からの指示はなかったという答弁をされていましたが、日ごろの説明の中で、副大臣からの助言というのはあったんですか。
○池田政府参考人 下関北九州道路につきまして、前塚田副大臣より個別の指導や助言はございませんでした。
○宮本委員 個別の指導や助言はないということですけれども、十一月二日の自民党本部でも、下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会、道路局長は一緒に塚田副大臣と参加されております。十二月二十日の吉田、塚田会談にも参加しているわけですけれども、こういう場も含めて、この道路について副大臣と話し合った機会は一度もないということですか。
○池田政府参考人 今御指摘のありました十一月二日の会合の場、あるいは十二月二十日の吉田議員が訪問された、このことを除いて、具体的に前塚田副大臣から道路局の方に下関北九州道路についての御指示を受けたことはなかったと思います。
○宮本委員 十二月二十日を除いてということは、この十二月二十日の塚田副大臣のせりふというのは、事実上の指示に相当するものだというふうに捉えたということですね。
○池田政府参考人 御要望を受けた後に、この御要望を踏まえて検討するようにということを、日ごろから一般的にお話を受けております。十二月二十日につきましても、そのような形で、この議事録にありますように、地元の調査結果をしっかり受けとめ、前向きに検討して、あ、ごめんなさい、済みません、ちょっと訂正させていただきます。この二十日のときにも、そのような一般的なお話をしていただいたかと思います。
○宮本委員 十二月二十日は、一般的な話じゃなくて、個別の道路の話なんですよね。その場で、要望については受けとめて、検討してくれという話があったということですね。
○池田政府参考人 一般的と申しますのは、私どもが日ごろからたくさんの要望を受けておりますけれども、その際に、要望の後に、こういった要望を踏まえて引き続き検討するようにというのは、日ごろからお話を受けております。十二月二十日もそれの一つであったように思います。
○宮本委員 つまり、塚田副大臣から明確な要望を受けて、検討するようにという指示もあったという発言であります。まさに、そんたくした副大臣が道路局長に事実上の指示を行っているということじゃありませんか。次にお伺いしますけれども、大臣にもお伺いしますが、二〇一八年十月二十五日、安倍首相は、下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会の会長としての吉田議員と官邸で会談をしております。これは大臣じゃないですね、道路局長に聞きます。西日本新聞は、安倍総理は、早期実現に向けた活動をしっかり取り組むようにと述べたと報じております。当然、この総理の発言は、道路局長、当時、国交省として把握していますよね。
○池田政府参考人 今委員御指摘のことについては最近知りましたけれども、その当時においては承知しておりませんでした。
○宮本委員 いやいやいや、報道されたものを国交省は把握していないんですか、メディアで。これは西日本新聞の報道だと思うんですけれども。道路についての報道というのは、普通は国交省の皆さんは、あらゆる報道、専門紙まで含めて丹念に追っかけていると思いますけれども、最近まで知らなかったんですか、こういう話があったことを。国交省としてですよ。
○池田政府参考人 私としては、そのお話は最近まで承知しておりませんでした。
○宮本委員 局長は知らなかったけれども、国交省としては把握していた可能性はあるということですよね。
○池田政府参考人 私としては存じておりませんでした。
○宮本委員 局長は知らなくても、国交省は知っていると思いますよ。この総理の指示を受けて、一週間後に、昨年十一月二日、自民党本部で下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会の設立総会が開かれ、その場で吉田議員は、下関北九州道路の早期実現が求められる、今後は国が調査を引き継ぎ、事業化に向けた具体的検討を行うことが必要だと述べているわけですね。総会には塚田副大臣が参加し、きょうの思いをしっかり受けとめて、最大限努力していくと語っている。そして、昨年十二月二十日の吉田、塚田会談。そして、四千万円の国直轄予算の計上。大臣、時系列をたどったら、これはどう考えても、昨年十月二十五日の安倍総理の発言から、国直轄調査の予算がつく流れが生まれているということじゃないですか。
○石井国務大臣 昨年十月ですか、官邸における会談、私も最近まで知りませんでした。どういったものだかは、私はよくわかりません。
○宮本委員 時系列を見たらはっきりします。十月二十五日の総理の指示を受けて吉田議員が動き、塚田さんに大会に来ていただき、塚田さんと会談し、そして塚田さんが道路局長に検討しろと言い、それで実際に四千万円の予算がついたということじゃないですか。安倍総理の発言がきっかけで予算がついていった。まさに安倍道路になっているんじゃないですか。そして、下関北九州道路は、冬柴大臣がもともととめる決断をしていたものであります。二〇〇八年三月十二日の本委員会で冬柴大臣は、我が党の穀田議員の質問に対して、海峡横断プロジェクトという調査は、今後は行わないという決断をしましたと答弁されております。その後も、午前に紹介があったように、二〇一五年八月四日の質問主意書の答弁でも、政府としては、下関北九州道路を含め、海峡横断プロジェクトについては、個別プロジェクトに関する調査を行わないと答弁をしております。ところが、一転して、二〇一六年十一月十六日には、石井大臣は答弁で、他のプロジェクトとの違いを踏まえながら、地域で検討していただき、一度、ゼロベースでの、必要性を再整理することが必要だと答弁しております。何がきっかけなのか。午前も議論がありました。いろいろなことを石井大臣は述べられましたけれども、石井大臣が述べられた話というのは、二〇一六年以前も同じ状況なんですよ。調査中止の結論をひっくり返すには、余りにも説得力がない説明だったというふうに思います。この下関北九州道路を動かすことが先にありきで、動かすための理由として後づけで考えただけじゃないかというのが、私が聞いていて聞こえてきた話でございます。それで、午前の初鹿議員への答弁で、大臣が道路局に、他の海峡横断プロジェクトと性格を異にするのではと提起した、こういう趣旨の発言がありましたが、これは、何年何月ごろに道路局に提起したんですか。
○石井国務大臣 海峡横断プロジェクトにつきましては、平成二十年三月に、六つのプロジェクトでありますが、個別プロジェクトに関する調査は行わないこととしておりました。一方、私、大臣就任直後に、福岡県知事などから下関北九州道路の具体化に関する要望を受けました。関門海峡については関門トンネルと関門橋の二つの道路で連絡されておりますけれども、関門トンネルを含む国道二号及び三号については、慢性的な渋滞が発生をしております。また、平成二十八年四月に熊本地震がございまして、救援物資の輸送等に関門トンネルや関門橋が大きな役割を果たし、代替路の重要性を再認識をしたところでございます。これらを踏まえまして、下関北九州道路については、既につながっている関門トンネルや関門橋のバイパス機能確保など、他の五つの海峡横断プロジェクトとの違いがあると私の中で認識が膨らんでまいりまして、こういったことについて事務方に問題提起をしたところでございます。時期については、平成二十八年の夏ごろだったと思うのですけれども、明確には覚えておりません。
○宮本委員 今いろいろなことをおっしゃいましたけれども、それは二〇一六年以前も同じ状況だったわけですよ、関門海峡をめぐる状況というのは。中止したころともそう変わっていないですよ。ただ、変わったのは、その間に、関門会、安倍首相が要望書に名も連ねている関門会の皆さんからの要望は石井大臣のところに行ったということなんですね。夏ごろに道路局の方に提起したという話です、二〇一六年夏ごろ。その前にまさにあったのが、関門会の皆さんとの懇談ということになるわけですね。午前の答弁を聞いていて不思議だなと思ったんですけれども、要望書に安倍総理の名前があるのは後で知ったというふうにおっしゃいましたね。大変不自然ですよね。要望書は、冒頭からこう書いているわけですね。去る二月二十四日に安倍総理を囲み懇談会を開催させていただいたところ、その際、第二関門橋の早期建設促進の件が話題となり、関門会の総意として要請行動を行うこととなった。三月三十一日に要望書を受け取って、懇談を大臣はされているわけですよね。この懇談の際に、こういう要望書を受け取っておいて、安倍総理の名前が出ることはなかったんですか。安倍総理の名前もそこで出たんじゃないですか。どうですか、大臣。
○石井国務大臣 いや、はっきり覚えていないんですけれども、関門会が陳情に来たいということで、そこで陳情を受けたわけですけれども、その中にたまたま安倍総理の名前があったということであります。
○宮本委員 はっきり覚えていないということですけれども、時間ですから終わりますけれども、総理と囲んで、このことを動かすために要望書にわざわざ総理の名前も入れ、冒頭にも総理の話を入れて要望されているわけですよ。それを後で知ったなんて、全く説得力がない答弁だと言わなければなりません。質問時間が来たから終わりますけれども、これはまだまだ質疑をしなければならないことを申し上げまして、質問を終わります。
○石井国務大臣 午前中の質問でもお答えをいたしましたが、私が関門会の要請を受けて、あるいは安倍総理をそんたくをして問題提起をしたということは全くございません。これは私自身のことですから、はっきり申し上げたいと思います。