CSISへの資金提供等に関する外務省、防衛省提出資料
日本の政策に大きな影響を与えているとされる米国のシンクタンク、戦略問題研究所(CSIS)のホームページに日本政府が50万ドル以上貢献しているドナーとして記されていました。
ドナーとは、河野大臣によると、寄贈者、資金提供者というのが一般的な意味。
CSISについてもっとも日本で知られているのは「アーミテージ・ナイ」リポートでしょう。累次のアーミテージ・ナイリポートは、軍事分野での取り組みをはじめ、日本への「要求」がまとめられ、アーミテージ・リポートがその後、日本政府の政策として具体化されたものが多数あります。いったい、なぜ、どういう名目でCSISに日本政府が支出をおこなっているのか? 予算書をひっくり返しても、CSISに対して日本政府が支出をおこなっていることについては、どこにもでてきません。
そこで、CSISに日本政府が、どれだけ資金提供をおこなっているのか、予算書のどこから支出されているのか、外務省に問い合わせましたが、説明のつかない、説明が繰り返されました。
まず、1回目のやりとりは次のとおりです。
この間の支出額については、2013年度から2018年度まで明らかになりました。毎年度支出され、2013年度の約778万円から2018年度には約8569万円へと急増しています。
一方、2019年度予算案については、CSISへの支出が前提となっているものはない、という回答でした。
そこで、2回目に、いったいなぜ、CSISへの資金提供が急増しているのかと合わせて、過去のたとえば2017年度の7968万1800円のCSISへの資金提供は予算書のどの項目から支出されているのか、外務省に問い合わせました。
2回目のやりとりは、次のとおりです。
おどろいたことに、7968万1800円の支出が予算書のどこからでているか、説明のつかない回答がかえってきました。
しめされた予算書は、在外公館、項=分野別外交費、事項=国際の平和と安定に対する取組に必要な経費、目の区分=諸謝金だといいます。しかし、ここには、1765万9000円しか計上されていません。7968万円がここからだせるはずがありません。しかも、この諸謝金も、です。「米国安全保障研修業務」としてここからいくらかだしたとのことでしょう。しかし、それ以外については外務省は、「お答えを差し控えたい」というものでした。さしひかえる理由も、「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上の不利益を被るおそれがあるため」というもので、予算書のどの項目から支出したか示すことでなぜ、国の安全が害される等のことになるのか、理解のできない説明でした。
これでは、7968万円の大半が予算書のどこから支出したのか、国民にはまったく説明がつきません。予算書にも記さず、国民にも説明できないのはあまりにおかしい。
この時点では、ひょっとして、機密費から支出しているのではないかという想定もしました。
そこで衆院外務委員会で大臣に質問しました。大臣から、委員会の指示があれば説明するということで、その後4月22日、外務省から次の資料が提出されました。
委員会での質問をふまえ、予算書のうち、戦略的対外発信謝金、戦略的対外発信庁費、北米地域外交に必要な経費の諸謝金から、でているということをやっと明かしました。しかし、いったい、なぜ、このことを明らかにすると、国の安全が害されるおそれなどという説明を、当初はしたのか。なぞであります。戦略的対外発信、つまり日本政府の取り組みの発信をCSISに資金提供をしておこなっているということを隠したかったということでしょうか。
いずれにしても、具体的にCSISの何の事業にだしたのかは説明をしません。いったい日本政府の取り組みをCSISを通じて発信するとは具体的にどういうことなのでしょうか。CSISのどの研究などに日本政府の提供した資金が使われたのでしょうか。