2019年4月26日 衆院外務委員会 横田基地の軍民共用化 瑞穂町など地元自治体の頭ごなしは許されない
日本共産党の宮本徹議員は26日の衆院外務委員会で、在日米軍横田基地(東京都)の軍民共用化について、「騒音被害に苦しんできた地元自治体や住民の頭ごしに進めることは許されない」と強調しました。
横田基地をめぐっては、日本政府がオリンピック・パラリンピック期間中、臨時的な軍民共用化を米国政府に打診したと報じられています。宮本氏は、報道が事実かどうか確認するとともに、横田基地の飛行直下に位置する瑞穂町からは「横田基地の軍民共用化に反対する要望書」が提出されていることを指摘。これまで裁判では、横田基地の騒音は「社会生活上受忍限度を超える違法な権利ないし法律上の侵害」とされていることをあげ、「横田基地の騒音は違法状態との認識はあるか」とただしました。
河野太郎外相は瑞穂町の要望書については「承知している」としながら、報道について「米側と調整中であり、現時点で個別に答えることは差し控える」「軍民共用化の考え方はさまざまある」などと答弁。宮本氏は「答弁に地元自治体が出てこないのはおかしい」と厳しく指摘。「周辺の地方公共団体の考えをしっかり考慮する」としてきたこれまでの政府答弁からも後退しているとして、「騒音に苦しむ地元自治体の意見を聞かずに軍民共用化を進めることなど許されない」と迫りました。
以上2019年4月27日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2019年4月26日 第198回衆院外務委員会第10号 議事録≫
○若宮委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、租税条約についてお伺いします。本条約の改正により、二重課税の除去を理由に、配当、利子、使用料に対する源泉地国での課税を更に軽減又は免除されるということになります。例えば、日本の企業がスペインにある子会社から受け取る配当について、スペインでは一〇%の課税がなされていたのが免税となります。スペインでは配当に課税されないということになるわけですね。では、その配当を日本の企業が受け取ったとき、日本の税法では課税されるんでしょうか。
○武藤政府参考人 お答え申し上げます。委員御指摘の点につきましては、租税条約の適用により、相手国のスペインにおいて課税されない配当を日本の企業が受け取った場合の我が国の法人税の一般的な課税関係を申し上げますと、その配当が持ち株割合二五%以上の外国子会社からの配当である場合には、外国子会社配当益金不算入制度が適用されまして、その配当の額の九五%相当額を差し引いた五%相当額が課税対象となります。一方で、その配当が持ち株割合二五%未満の外国子会社からの配当である場合には、その配当の額の全額が課税対象となります。この点は、条約改正前において、相手国で課税された配当を日本の企業が受け取った場合の取扱いと同様でございまして、条約の改正前後で取扱いに変更はございません。
○宮本委員 今までスペインでは課税されていました、日本では二五%以上の持ち株の子会社の場合は、外国子会社配当益金不算入制度によって、配当のうち九五%はもともと税はかからない、五%だけそこに税金を課していたということですが、今度は、もうスペインでも課税されない。日本でも、今の日本の税制の仕組み上でいえば、配当、九五%はかからないわけですよ。五%についてだけかかる。ですから、二重課税の除去を理由に今回の措置というのは設けられているわけですけれども、実際は、この配当のうち五%しか課税対象にならないということですから、九五%の配当については二重非課税、どちらでも二重非課税になるというのが今度の条約の改正がもたらすものだというふうに思います。ですから、今、BEPSプロジェクトの話もこの間ここでも議論されておりましたけれども、BEPSプロジェクトは、税の侵食からいかに国際的に税を確保しよう、こういう努力をしているときに、どっちでもほとんど課税されませんよという状態をつくり出しているのは、私は、やはり今の国際的な方向性に逆行しているというふうに思いますので、この租税条約の改正については反対だということを申し上げまして、別のテーマについて質問させていただきたいと思います。横田基地の軍民共用化について報道がございましたので、質問させていただきます。四月十九日付毎日新聞にこういう報道がございました。「政府は、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに向けて首都圏の空港の発着数を増やすため、在日米軍横田基地の臨時的な軍民共用化を米国政府に打診した。」「日本側は、実現すれば民間機の恒久的な乗り入れに道を開くことになると期待している。」これは、事実関係、この報道は間違いないか、大臣にお伺いしたいと思います。
○河野国務大臣 御指摘の報道は承知をしております。アメリカ政府は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて政府を挙げて協力するとしており、今般の2プラス2閣僚会合においても、日米間で引き続き緊密に協力する意図を確認をいたしました。また、お尋ねの横田飛行場の軍民共用化のあり方についても、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、さまざまな考え方があることは承知をしております。他方、いかなる分野で協力を行うのか、また、かかる協力に関する協議がどこまで進展しているかなどについては、米側と調整中であることもあり、現時点で個別にお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、引き続き、東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、関係省庁や東京都と連携し、適切に対応してまいります。
○宮本委員 いかなる協議をやっているのか、どこまで進展しているかは差し控えるということです。この日の報道を受けて、同じ四月十九日に瑞穂町の町長から、総理や河野外務大臣宛てに、横田基地の軍民共用化に反対する要望書というのが出されております。一部だけ読みます。瑞穂町はこれまで長きにわたり、軍民共用化反対を関係機関に申し入れてきましたが、地元の声が聞き入れられず、このような報道に接したことは誠に遺憾です。これまで国策による施設であるとして耐え忍んできましたが、経済や利便性のみを追求し、これ以上の騒音の増大をもたらす軍民共用化の推進は、容認できるものではありません。飛行直下に位置し、航空機騒音被害をより多く受けている当町の実情をご賢察くださいますようお願いいたします。こう書かれております。これは河野大臣宛ても名前が入っておりますが、大臣はこの要望書についてどういうふうにお受けとめになっているでしょうか。
○河野国務大臣 御指摘の要望書については承知をしております。先ほども申し上げましたとおり、横田飛行場の軍民共用化のあり方についてはさまざまな考え方があると承知をしております。いずれにせよ、引き続き、オリンピック、パラリンピックの成功に向けて、関係省庁や東京都と連携し、適切に対応してまいります。
○宮本委員 大臣は瑞穂町に行かれたことはございますか。
○河野国務大臣 横田飛行場の周辺には行ったことがございますので、瑞穂町にも当然足を踏み入れていると思います。
○宮本委員 瑞穂町は横田の滑走路の延長線上ですから、周辺自治体の中でもとりわけ騒音被害が激しい地域です。石原元都知事が軍民共用化を打ち出したときから一貫して反対運動を町、議会挙げてやっているところなわけであります。それで、横田基地の騒音は、この間、住民の皆さんも爆音訴訟を闘ってまいりました。そして、いつも判決ではこうなっているわけですよね。社会生活受忍限度を超える違法な権利ないしは法律上の侵害を受けている。判決では、騒音は違法状態だということとされているわけですよね。現状の横田基地の騒音は違法状態だ、こういう認識は大臣にはございますか。
○河野国務大臣 横田飛行場の米軍の運用に際し、地元の方々などから安全や騒音等についての懸念が示されていることは承知をしており、真摯に受けとめております。政府としては、これまでも米側に対し、横田飛行場の騒音規制措置に係る日米合同委員会合意の遵守を含め、安全面に最大限配慮するとともに、地元に与える影響を最小限にとどめるよう、米側にさまざまな機会を通じて求めてきております。また、今般の日米2プラス2においても、飛行安全及びこの問題に係る国民の懸念に対処する重要性について四閣僚の間で認識の一致を見たところであり、外来機の騒音を含め、米軍の運用が地元に与える影響が最小限となるよう米側に要請したところでございます。その上で申し上げれば、日米安全保障条約は、我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与するため、米軍の我が国への駐留を認めており、飛行訓練を含めた軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを前提としております。横田飛行場については、在日米軍司令部や第五空軍司令部などが置かれており、また、有事においては極東地域全体の兵たん基地となります。在日米軍の中枢基地であるが、米軍機による航空機騒音に関し、周辺住民の方々に対し多大な御負担をおかけしていると認識しております。政府としては、今後とも、米側に対し、地元に与える影響を最小限にとどめるよう、さまざまな機会を通じて配慮を求めてまいります。
○宮本委員 その騒音が違法状態だということを繰り返し裁判でも断じられているわけですよね。その上、更に軍民共用化ということになれば、基地は固定化しますし、騒音はふえる。このことを瑞穂町の町長さんは懸念して、報道が出て、その日のうちに要望書も出されるということになったわけですよね。最も騒音被害に苦しんできた地元自治体や住民の頭ごなしに、さっき2プラス2でも何か話合いをやっているような話がありましたけれども、地元自治体や住民の頭ごなしにこの話合いを進めるというのはあってはならないことだと思いますが、その点、大臣の認識はどうですか。
○河野国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、横田飛行場の軍民共用化のあり方についてはさまざまな考え方があると承知をしております。いずれにせよ、引き続き、関係省庁や東京都と連携し、適切に対応してまいります。
○宮本委員 そこには関係省庁や東京都が出てくるんですけれども、地元自治体が出てこないじゃないですか。おかしいんじゃないですか。
○河野国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、横田飛行場の軍民共用化のあり方についてはさまざまな考え方があると承知をしております。いずれにせよ、適切に対応してまいります。
○宮本委員 これまでの政府の答弁と違うんですね。ちょっと私も議事録を振り返りましたけれども、岸田外務大臣は、二〇一四年の答弁で、横田飛行場周辺の地方公共団体の考え、こうしたこともしっかり考慮することが重要であると認識しておりますと言っていたわけですね。基地周辺自治体のことも考慮すると言っていたのに、河野大臣からその発言がないわけですよね。私は、政府の今までの姿勢からも大きな変更だと思いますよ。こういう騒音で苦しんでいる地元自治体が反対しているもとで、その意見も聞かずにこういうものを進めていくというのは許されないということを申し上げておきたいというふうに思います。その上で、もう一点、別の問題について質問させていただきたいと思います。自衛隊の統合幕僚学校の研究についてお伺いします。平成二十九年度、三十年度の研究を見ますと、指定研究として、宇宙作戦にかかわる研究、また、自主研究として、多国間の共同(連合)作戦に指揮権等が及ぼした影響に関する研究、これが行われているということがわかりました。まず、基本的なことをお伺いしますが、この統合幕僚学校の指定研究、委託研究の研究テーマは、どのように決められ、誰が決裁するのか、決裁に当たって政務三役への報告というのはどうなっているんでしょうか。
○原田副大臣 お答えをいたします。統合幕僚学校は、自衛隊の統合運用に関する知識及び技能を修得させるための教育訓練を行うとともに、基本的な調査研究を行うこと等を目的として統合幕僚監部に附置された機関でありまして、平素より、その所掌事務の一環としてさまざまな調査研究を行っております。統合幕僚長の定める研究開発に関する達によれば、指定研究は、統合幕僚長の指示する事項について実施する調査研究として、統幕長の判断により行われるものとされております。また、御指摘の委託研究につきましては、この達に定める自主研究を示しているものと考えますが、これは、統幕の部長等又は統合幕僚学校長が必要と認めて自主的に実施をする調査研究として、統幕の部長等又は統合幕僚学校長の判断により行われるものとされております。御指摘の宇宙作戦に係る研究は、平成二十九年度及び平成三十年度の指定研究として、統幕長の決裁により、また、多国間の共同連合作戦に指揮権が及ぼした影響に関する調査研究は、平成三十年度の自主研究として、統合幕僚学校長の決裁により、それぞれ実施することとなったものと承知をいたしております。なお、これら個別の調査研究の実施に係る意思決定に際し、一つ一つ政務三役に報告されるものではございません。
○宮本委員 現場の判断でやっているということですけれども、宇宙作戦という言葉は、私も大綱だとか中期防だとかいろいろなものを見ますけれども、そういう国民向けに説明される言葉では、防衛省の文書では見たことはないわけですが、この宇宙作戦というのは一体何を指すんですか。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。統幕学校は、その所掌事務の一環として、基本的な調査研究を平素から行っておるところでございます。御指摘の宇宙作戦に係る研究につきましては、そうした調査研究の一環として、平成二十九年度及び三十年度におきまして統幕学校におきまして実施したものであり、本研究は、今後、必要に応じ、統幕の業務の資とすることが可能となるよう、米軍や各国軍の宇宙分野における作戦全般等につきまして、公開資料等をもとに、統幕学校の各研究員が自由な立場から分析、検討を行ったものでございます。したがいまして、委員の御指摘の宇宙作戦は、自衛隊や米軍、各国軍の宇宙分野での活動一般を指しているものでございまして、特定の軍事行動を指すものではございません。
○宮本委員 文書が出てくるのを待ちたいと思いますけれども、宇宙作戦なんて国民向けには使っていない言葉で、米軍と自衛隊が宇宙分野でも一体化を進めようとしているのではないかということで、大変懸念を持っています。それで、この宇宙にかかわりまして、先日の日米の2プラス2のファクトシートではこうあります。「双方は、」「二〇二三年の打ち上げが予定される日本の準天頂衛星システムへの米国が提供するSSAペイロードの搭載の機会を強調した。」こうあるわけですね。なぜ日本の衛星システムにアメリカの宇宙状況監視ペイロードを搭載するんですか。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。先週行われました2プラス2では、二〇二三年度に打ち上げ予定の日本の準天頂衛星への米国宇宙状況監視、SSAと言っておりますけれども、このペイロードの搭載、具体的にはセンサーでございますけれども、センサーの搭載を通じたSSA能力向上のための協力を促進していくことにつきまして日米両国間で一致をいたしました。日米間では、安全保障、探査、産業の各面で宇宙協力を強化していくことを確認しております。準天頂衛星に米国のSSAセンサーを搭載することになれば、日米間の宇宙協力の進展につながり、日米同盟のさらなる強化にも資するものと考えております。また、このような国際協力は、スペースデブリの増加を始めとする宇宙空間の混雑化による衛星衝突等のリスクに対応し、宇宙空間の安定利用を確保する観点から、日米両国のみならず、あらゆる宇宙活動国にとって有意義と考えております。
○宮本委員 これは、費用負担はどうなっているんですか。
○石川政府参考人 今後の日米協議の中で検討されていくものと考えております。
○宮本委員 日本がアメリカのペイロードを積んで打ち上げて、情報はアメリカに持っていかれて、その代金は日本が支払うみたいな話じゃないのか、そういう懸念も持つわけです。もう時間が迫ってまいりましたので、次に行きますけれども、もう一つの、多国間の共同作戦に指揮権等が及ぼした影響に関する調査研究、なぜ今この研究をこのタイミングで始めたのか、いかなる事態を想定している研究なのか、教えていただけますか。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。統合幕僚学校は、平素から、その所掌事務の一環として、さまざまな調査研究を行っております。御指摘の調査研究につきましては、どの国も一国のみでは平和を守ることができない時代におきまして、自衛隊も外国軍隊と協力して活動を行う可能性が排除されないところでございますので、米国を始めとした諸外国が実施した共同連合作戦において発生した問題とか、その改善について調査をし、参考とするということを趣旨として、あくまでも平素からの基本的な調査研究として行われたものであると承知しておりまして、特に特定の具体的な事態を念頭に置いたものではございません。
○宮本委員 なぜこのタイミングで始めたのかということをお伺いしているんですよ、安保法制ができて、更に数年たった今のもとで。
○森田政府参考人 繰り返しとなりますけれども、どの国も一国のみでは平和を守ることができない時代において、自衛隊も外国軍隊と協力して活動を行う可能性があるということで研究がなされたというふうに承知しております。
○宮本委員 多国籍軍の作戦に日本も参加していくということを想定して研究を、なぜこのタイミングで始めているのか。これからも徹底してこの点については質問していきたいと思います。時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。