八王子市での学童保育での「給食」の試行についてお話をうかがいました
9月13日に八王子市役所にうかがい、この夏休みに試行的に学童保育で「給食」を実施した取り組みについてうかがいました。八王子市の取り組みがメディアで報道されて、うちでもやってほしいという声があちこちから聞こえてきます。私の娘も学童クラブに通っていますが、保護者からは「1日でも、お弁当をつくらなくていい日があれば、助かる」という声もあります。
お話をうかがって、働く保護者の負担の軽減、こどもの貧困対策、食の安全、食育、さらには直営調理員のみなさんの活躍の場など、様々な観点で、とてもいい取り組みです。試行が予算をかけずに取り組めたというのも驚きでした。
実施のための条件は様々ありますが、全国的にも大いに学べる取り組みだと思い、以下に、うかがった話の要点をおしらせします。
・学童での「給食」は父母からの要望が前々からあった。夏休み40日間、朝ごはんをつくり、さらにお弁当をつくるのは、負担が大きいという声。
・児童青少年課と保険給食課でとりくんだが、教育委員会の協力があったからこそできた。
・八王子では、学童はすべての小学校区にあり、指定管理者制度で法人に委託しておこなっている。なかには父母の要望で仕出し弁当を取ってやっているところ。イベント的にお弁当の買い出しにスーパーやコンビニ買い出しにいったり、昼食を作って食べるというのがあった。
・今回は小学校給食の調理室を使って2カ所で試験的におこなった。それぞれ、5日間おこなった。1箇所は社協、もう1箇所はNPO法人が学童を委託しているところだが、協力していただけた。
・3月に検討を開始し、すぐに具体化できたのは予算がかかっていない。直営の調理員が、実施する学童のある学校にいっておこなった。食材は保護者の負担。厳密には電気代、ガス代がかかった程度。
・現在小学校は67あるが、給食は18を直営でおこない、49が委託。直営の調理員さんは40人いる。できるだけ多くの調理員に協力していただこうということで、2日づつ、交代でおこなった。
・要望は前からあったが、なぜ、今年からスタートかというと、昨年の猛暑をうけて、給食調理室に今年の夏までにエアコンを設置した。それで夏でも調理することができた。エアコンがなければ、とても調理員にはお願いできない。
・全国的にもある話だと思うが、いま、夏休みが終わると、少しやせて学校にくるという子供もいることも、実施の背景にある。お弁当はクーラーの下においているが、暑い夏の中、腐らないか心配される保護者もいる。
・調理員さんは、例年はこの時期、給食調理室のメンテナンスや研修をおこなっているが、調理員さんからも夏休みにやれることはないかという声もあった。
・校舎の中の空き教室で学童をおこなっている。学校の給食調理室でつくった食事を外にもちだして食べるのはできない。つくったものを外にもちだすことは、建築基準法上、「工場」になるので、建築審査会での許可が必要になる。そのためには、住民への事前の説明や公共性などの条件を満たさなければならない。許可をとるには時間がかかるので、許可をとらなくていいところで試行をおこなった。
・こどもたちは、給食を大変喜んでいた。事前にメニューを配った。アレルギーがある子もいるので、食材に何をつかっているのかもプリントにして配った。嫌いなメニューがある人はその日はおにぎりをもってきたりしていたが、ほとんどのこどもが申し込んだ。
・学校給食法にもとづく取り組みではないので、調理員も普段の給食ではできないことにもチャレンジしてとりくんだ。いま給食では中心が75度以上に加熱しなければならず、あったかいフルーツポンチになる。学童の昼食では、サイダー寒天など冷たいデザートをだせた。パフェ風ヨーブルトもだしたが、これも学校給食ではあえたものはダメということでだせない。今回は「給食」と呼ばず「昼食」と呼んでいる。
・学校給食は259円でおこなっているが、学童の昼食では300円でおこなった。お金の徴収は学童でやっていただいたが、徴収の手間を考えて、きりがいい値段ということにした。牛乳っをだしていない。普段よりも豪華なものがだせた。
・学校給食法ではカルシウムの基準があり、牛乳でそれを摂取するが、給食でないので牛乳がとれず、牛乳はなしにした。カルシウムは給食法からみると充足していない。
・こどもたちはおかわりもよくしていて、食べ終わる前からお代わりする人もいた。また、学校給食と違って、後ろに授業がないのでゆったりたべられたのもよかった。
・配膳は1〜3年生でおこなうのは、学校での教室ごとの微妙なルールの差もあり、初日は混乱したが、なれていった。
・配膳を広げておこなうスペースがいるので、普段の学童の部屋では足りない。食べる部屋がいる。
・試行はそれぞれ5日間づつだが、お盆などこどもが少ない時期ではなく、80%のこどもが出席している期間を選んでおこなった。
・食育という観点で、夏休みに家族でぜひ「チャレンジ」してほしいということで、レシピを配るということもやった。