労政審分科会 パワハラ指針了承 一部修正も問題点残す

 労働政策審議会雇用環境・均等分科会は20日、パワーハラスメント指針をまとめました。前回の指針素案で「使用者の弁解カタログ」だと批判されていたパワハラに該当する例・しない例は一部修正しただけで残されました。
 パワハラに該当しない例のなかで、日本共産党の宮本徹衆院議員が「追い出し部屋」を正当化する言い訳に使われると国会で追及した「経営上の理由で一時的に能力に見合わない簡易な業務に就かせる」という例示は削除されました。
 パワハラの判断基準は、素案では「平均的な労働者の感じ方」だけが書き込まれ、国会付帯決議に示された「労働者の主観への配慮」が無視されていました。今回の指針案で、相談対応の場面で労働者の「受け止めなどその認識にも配慮」すると書き込まれました。
 第三者からの被害、フリーランスや就活学生などの保護も不十分なままでした。
 労働者委員からは「(ハラスメントの範囲が)狭くなっている。該当する例しない例は整理すべきだ」「指針案のパワハラの要素を満たさなくても、周囲でパワハラがあれば委縮して就業環境を害されることがある」「顧客やフリーランスについて、内容が変わっていない」など再考するよう意見が相次ぎました。
 使用者委員は「この内容でとりまとめるのが適切。雇用関係にない者の対応は難しい」などの発言がありました。
 分科会長の奥宮京子公益委員(弁護士)が、「一定の修正が必要だが、年内に結論を得る必要がある」として、審議を休憩。公益委員で6ヶ所を修正した指針案が再提示され、採択されました。
 労働者委員会から、「該当例の疑念をぬぐいさるのは相当な困難を要する。フリーランスや就活生の声に耳を傾けるよう要望する」(井上久美枝連合総合政策推進局長)と意見が出されました。

以上2019年11月21日付赤旗日刊紙より抜粋