桜を見る会徹底追及で政権倒す 田村参院議員と、東京民報新春号で対談
安倍首相による桜を見る会の私物化問題は、1月の通常国会の大焦点です。この問題を国会で最初に追及(2019年5月13日)した日本共産党の宮本徹衆院議員、問題が注目されるきっかけとなった予算委員会での質問(11月8日)で“時の人”となった田村智子参院議員が語り合いました。
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―宮本さんがこの問題を最初に国会で追及しました。
宮本 今年の桜を見る会は、4月13日に開会されたその日から、安倍首相の「お友達」がそろって参加しているなど、問題が多いとネット上で騒ぎになっていたんです。それで、東京新聞が4月16日に、省庁の推薦より与党の推薦の人数が多いと報道しました。
田村 なぜ与党関連が多いと分かったのだろう?。
宮本 それまでは、取材に対して、内閣府の担当者が普通に答えていたんです。私が質問準備のため5月9日に資料要求をしたら、突然、口をつぐみ出しました。
―安倍後援会が会に多数参加していたと、しんぶん赤旗日曜版が10月13日付で報道しました。
宮本 実は、日曜版が発行された直後、10月11日に予算委員会質問があって、この問題を取り上げようかとも考えたんです。しかし、消費増税直後なので、消費税にテーマを絞りました。
結果的に、田村さんの質問のタイミングは、ベストでしたよね。増税で税金の使い方に国民が厳しい目を向けていて、しかも質問直前に閣僚が2人、政治とカネで辞任した。彼らは自分のお金でメロンなどを配って辞任したのに、首相は税金でやっているのか、と。
田村 二閣僚が辞任したから、予算委員会が開かれて、テレビ入りの場で、安倍首相を追及できました。安倍内閣のモラルハザードが、この事態を招いたんです。これは許せない、今度こそ首相を辞めさせてくれと閉会後も多くの反響が続いています。
―政府は12月17日の衆院内閣委員会理事会で、野党の質問状にゼロ回答で応じました。
宮本内閣委員会理事会の与野党合意で、野党の質問状に政府が説明するとなったにもかかわらず、首相の招待区分の問題、文書破棄の経緯や記録など、すべての調査を拒否しました。
国政調査権の否定だし、三権分立のもと、行政を監視する国会に、行政が説明責任を果たそうとしないという、日本の民主主義にとって、とんでもない事態です。与党である自民党、公明党も、今の姿勢でよいのか厳しく問われています。
―これまでの安倍政権による私物化問題以上に、国民の怒りを呼んでいます。
宮本 これまでの問題は、森友も、加計も「疑惑」だったんです。今回の問題は、疑惑ではなく、総理自身が問題があったと認めた。その中身は、非常にわかりやすい税金の私物化、税金による有権者の「買収」です。
田村 宮本さんが言われた通り、森友や加計は、追及で完全に追い詰められていても、政府は一応、「適正だった」という理屈を立てていた。今回は、言い逃れる理屈を立てられないから、資料などを捨てたとしか言えない。ここが決定的な違いですね。
◇ルール無視の文書廃棄
―招待名簿を宮本さんが資料要求したその日に破棄したと説明していることなど、公文書管理の問題も、大きな批判が起きています。
田村 自分は公務員だという方から、内閣府の公文書の扱いや、それに関する答弁が許せないと怒りの声が何人も届いています。内閣府は、公文書の管理の方針を決めて、各自治体にも適正な管理をするように求めているのです。その行政府が文書は捨ててしまったと開き直っているのですから、当然の怒りです。
宮本 桜を見る会の名簿は、昔のものは国立公文書館に永久保存されていますし、麻生内閣は3年間保存としていた。安倍内閣は途中で1年間保存とし、彼らの説明によると2018年4月1日から1年未満の保存にした、としています。
改めて、公文書のガイドラインを読みなおしてみると、「事業の実績の合理的な跡付けや検証に必要となる行政文書」は、1年以上の保存期間を定める、と明記されているんです。今回、まさに起きているように、招待の実態を検証するのに必要な、名簿や招待区分の資料は、必ず1年以上、保存しないといけないはずです。菅官房長官は会見で、ルールに基づいて破棄したと説明していますが、まったく逆です。ガイドラインに従えば1年以上保存しないといけない文書を、ルールを無視して1年未満で捨てられる文書にしてしまったということなんです。
◇党を超えワンチーム
―野党追及チームでは、二人はどんな役割ですか。
宮本 桜を見る会追及チームというのはもともと、イレブン(11人)で作られたんです。そこに私も田村さんも入っていました。
田村 その11人を中心に幹事となって、70数人の追及本部ができました。私や宮本さんは、追及本部の幹事として、いわば作戦会議を、他党の幹事のみなさんと一緒にやるわけです。閉会中も追及本部を開こう、宣伝もやろう、チラシも作ろうとか。
宮本 幹事の会議は、立憲民主党の部屋で開いています。ですから、共産党の控室よりも、立憲民主党の部屋にいる時間が長いくらいで(笑)。
田村 幹事の会議に出て感じるのは、党の違いを意識せず、どうやったら追いつめられるか、どういう活動をしたら通常国会につなげられるか、みんなで本当に真剣に考えていることです。かつてないことで、まさに「ワンチーム」です。
宮本 同じ目標を目指して共同作業をすると、人間的にも信頼感が互いに高まっていくんだと思いますね。私自身は、この国会で委員会でのトップバッターの質問者を初めて経験させてもらいました。衆院内閣委員会で、桜を見る会を集中審議したときです。普通は大きい会派から質問するので、共産党は後ろなんです。
田村 与党の質問がなく、野党だけだったので、桜を見る会を最初に追及したことに、各党が敬意を払って譲ってくれました。
◇公正な政治の姿を示し
ー通常国会へ、どう追及していきますか。
宮本 これまで、官僚のみなさんが調査しません、確認しませんと繰り返してきた問題を、いよいよ総理に直接、問いかけることになります。国民の疑問に一つ一つ、首相自身が答えてもらわなくてはいけません。
田村 安倍事務所がツアーを組んでいたという問題の本質を、彼らは一切、否定できなかった。これまでのような、ごまかし答弁はもう通用しません。
宮本 街を歩き、話を聞くと、消費税増税後の暮らしの痛み、悲鳴がすごいですね。この政権は、そういう痛みをそっちのけで、税金を私物化している。来たる総選挙で、私自身が小選挙区(東京20区)で勝つことが、政権を倒すことにつながります。比例代表での躍進とともに、野党共闘で、小選挙区で必ず勝てるよう、頑張り抜きます。
田村 桜を見る会の問題を通じて、安倍政権に対する国民の見方が大きく変わったと思います。こんなにみっともない政治の私物化をやって、こんなにみっともない言い逃れをしているんだ、と。それでも、安倍政権に代わる政権の姿が見えないと感じている国民が少なくないのも、事実です。
総選挙へ、安倍政権を倒してどうするか、当たり前の公正さを取り戻す政権をつくる希望を示すことが、本当に大切です。
そのためには宮本さんが言われたような街の人々の当たり前の要求が、もっともっと声として可視化されてこそ、それにこたえようという野党の結束を作り共闘を発展させていくんだと思います。東京民報の読者の皆さんと連帯し、東京民報がよりよい政治を願う人々の絆となってさらに広がっていくことを、心から期待しています。
以上東京民報2019年12月29日・2020年1月5日合併号より抜粋