2015年3月10日 予算委員会第一分科会 武器輸出問題について
≪189回 予算委員会第一分科会 2015年3月10日議事録≫
○宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。きょう三月十日は、あの東京大空襲から七十年目の日でございます。平和憲法の大切さをかみしめながら、質問させていただきます。昨年四月、安倍政権は、武器輸出は行わないと定めてきた武器輸出三原則をやめ、以降、官邸が先頭になって、武器輸出、国際共同開発の動きが急速に進んでいるのは重大であります。秋には防衛装備庁を発足させようとしておりますが、武器輸出や国際共同開発を担当する職員は、現在何人で、防衛装備庁になると何人にふえるんでしょうか。
○吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。現在、経理装備局装備政策課におきまして、諸外国との防衛装備・技術協力に関する業務について約五名が従事しておりますが、平成二十七年度に新設予定の防衛装備庁、仮称でございますが、装備政策部のもとに約二十名体制の国際装備課を設置すべく、二十七年度予算案に計上しておるところでございます。
○宮本(徹)分科員 五人から二十人に、武器輸出、国際共同開発の体制を大きく強化しようという話であります。三月五日付の日経新聞では、十三日に、日本、フランス両政府のいわゆる2プラス2を開いて、武器を含む防衛装備品の協力拡大について合意する、日仏で共同開発や輸出を進めやすくするための協定に署名する、無人機などを念頭に、無人システムの開発に向けた協力も申し合わせる、こう報道されておりますが、これは事実でしょうか。
○黒江政府参考人 三月十三日に東京において行われます日仏の外務・防衛閣僚会合に関してのお尋ねでございますけれども、この会合におきましては、両国が置かれております安全保障環境について認識をすり合わせるといったこととともに、両国間で安全保障、防衛協力強化の方策を議論するということでございまして、こういったことを通じまして、日仏間の特別なパートナー関係といったものをさらに強化したいというふうに考えております。なお、日仏の外務・防衛閣僚会合につきましては、昨年一月に同じ会合が行われまして、本年も日本で開催することを決定されたということを受けまして実施するものでありますけれども、議題等の詳細、今先生が御指摘になられたようなところについては、現在調整中でございます。
○宮本(徹)分科員 新聞に報道されているから、その方向というのは間違いないと思いますが、仮に政府間で防衛装備品の共同開発のための協定を結ぶということになった場合は、国会批准を求める条約になるんでしょうか。
○鈴木(哲)政府参考人 お答えいたします。日仏間の防衛装備品・技術移転協定についてのお尋ねですけれども、昨年五月の日仏首脳会談で交渉が合意され、以来、交渉を続けておりまして、現在、日・フランス間で交渉を進めているところでございます。その前提で申し上げれば、現在交渉中の協定は、国会の承認をお願いするものではなく、我が国の法令及び予算に従って履行される、いわゆる行政取り決めとして締結することを想定しております。
○宮本(徹)分科員 つまり、行政取り決めということで、国会にかけないということです。国会にかけないということは、国民に事前に知らせて了承を得るということもやらないわけです。こうやって重大な内容をどんどん進めていくというのは、私は許されないというふうに思います。昨年五月の日仏首脳会談での共同プレスリリースでは、「両国は、無人システムを始めとするいくつかの分野において協力する共通の関心を特定した。」と発表されております。ここで聞きたいんですけれども、防衛省が軍用無人機を開発する目的は何なんでしょうか。また、無人機開発の最終的な目標は何なんでしょうか。人間の操作なしで動く自律型のロボット兵器まで視野に入れているんでしょうか。お答えください。
○中谷国務大臣 昨年五月の総理訪仏時の日仏共同プレスリリースにおいては、「防衛装備協力については、両国は、無人システムを始めとするいくつかの分野において協力する共通の関心を特定した。」とされており、現在、日仏当局間で、これらの分野における防衛装備・技術協力の可能性について議論を進めております。防衛省・自衛隊におきましては、これまでも、爆発物処理などの危険な任務や警戒監視といった長期間の単調な任務などにおいて、隊員の安全確保や負担軽減を目的とし、無人機の研究開発を実施しております。今後は、画像処理などのスマート化、またネットワーク化のような防衛技術の動向を踏まえて、統合運用の観点に留意しつつ、隊員のさらなる安全確保や負担軽減を目的に研究開発を進めていく予定でございます。
○宮本(徹)分科員 初めは攻撃能力がない無人機として始めても、無人システムというのは、やはり無人攻撃機にまで応用されていく危険というのをはらんでいるというふうに思います。実際、アメリカでは、自律型のロボット兵器の開発も莫大な費用を投じて進められております。近い将来、いわゆる殺人ロボット兵器が生まれるというふうに言われております。国際社会の方でも、殺人ロボットが生まれたら大変だということで、規制するための会議も始まっております。無人兵器の開発というのは重大な問題があるという認識を持たなければならないというふうに思っております。そして、フランスは、御存じのように、無人機という点では、世界有数の無人攻撃機を開発している国でもあります。今、無人機攻撃による民間人への誤爆も非常に多くて、国際的に大問題になっております。二〇一三年九月の国連人権高等弁務官事務所のエマーソン氏による報告では、二〇〇四年以来のアメリカの無人機攻撃で少なくとも四百五十人以上の民間人が犠牲になっております。イギリスの調査報道局によると、八百人以上の民間人が犠牲になり、うち二百人以上が子供だとされております。そして、結婚式や葬儀も攻撃の対象になっております。国連の自由人権委員会は、昨年四月二十三日に、アメリカが対テロ作戦として無人機攻撃を行っていることについて、法的正当性、透明性の欠如、人命の損失に関する説明責任の欠如を指摘しております。中山外務副大臣にお伺いしますが、無人機攻撃の問題点についてどう認識していらっしゃるでしょうか。
○中山副大臣 米国政府は、無人機によるものも含めまして、あらゆる米国の軍事行動は関係法規に従って行われていると説明していると承知いたしております。他方で、米国のオペレーションの詳細につきましては、我が国は当事者ではなく、また米国による行動の具体的態様等について承知する立場にはございません。その上で申し上げますと、テロ対策の目的で使用されている無人機が文民を巻き込んだ被害をもたらしていることについて、国際社会において関心が寄せられていることは十分承知をいたしております。我が国として、無人機によるものであるか否かにはかかわらず、民間人が巻き込まれる事態というのは極力避けなければならないと考えております。政府としては、無人機をめぐる問題について、人道上の影響も含め、引き続き、大きな関心を持って国際社会の動向を注視してまいりたい、かように考えてございます。
○宮本(徹)分科員 アメリカの民間研究所にスティムソン・センターというのがございます。そこが、無人機の運用戦略の見直しを勧告する報告書を昨年六月に発表しております。報告書は、無人機は、みずからが危険にさらされることなく相手を攻撃し、費用も安いので、紛争にかかわる敷居が下がる、他国も米国に倣って無人機攻撃を行うようになり、地球上のあちこちの地域で紛争を広げる危険がある、こういうふうに強調しております。また、アメリカ政府の資金で運営されているCNA、海軍分析センターも、昨年四月、報告書を発表し、アメリカがテロ対策を口実に国外で続ける無人機攻撃が、地元住民の怒りを買い、テロを助長していると、政府の調査、議会による監視を勧告しております。中谷大臣はこの報告書の内容を恐らく知っていると思いますが、ここに出てくる無人機攻撃の危険性に対する大臣の認識を伺いたいと思います。
○中谷国務大臣 御指摘の報告書については承知をいたしております。昨今の米国による対テロ作戦における無人機を活用した攻撃の拡大状況を踏まえて、無人機攻撃に係る透明性の向上、米議会による米軍無人機作戦の監視、監督の強化、民間人犠牲者の正確な把握、同犠牲者数を減少させる方策の検討、無人機攻撃による被害者支援の検討など、各種の提言を行っているものと承知しております。
○宮本(徹)分科員 この報告書を知っているということでしたら、なおさら、軍用無人機の国際共同開発に乗り出していくというのは極めて重大だというふうに思います。きょうはここに、社団法人日本機械工業連合会が日本戦略研究フォーラムに委託した、無人機についての防衛機器産業への影響調査報告書を持ってまいりましたが、中谷大臣、この報告書の内容は御存じでしょうか。
○中谷国務大臣 同報告書の存在については承知しており、同報告書の中で、当時の防衛庁に要望したい旨の記述がされているものと承知をいたしております。
○宮本(徹)分科員 この報告書は、軍用無人機の先進国であるアメリカやヨーロッパ、そしてイスラエルの無人機を調べております。そして、この報告書はこんなことを言っております。我が国の防衛産業は、無人機システムの製品輸出あるいは国際的な共同開発、生産へ踏み出すべきである、そして、外国との国際共同研究、開発、生産の道が開かれれば、諸外国の軍民をも顧客とすることができるであろうと、何とも商魂たくましい報告書になっております。そして、経団連も、この間、武器の国際共同開発の推進を繰り返し要望して、ヨーロッパ各国で、無人機を含めた防衛産業政策の調査も行っております。昨年秋にNHKスペシャルで武器輸出が特集された際に、防衛省の装備政策課長が日本とフランスの軍事企業の橋渡しをしている様子も報道されました。日仏企業の会議は八時間にわたり、無人潜水艇やレーダーや航空機など、テーマは十一に上ったと報道されておりました。中谷大臣、今回の無人機の国際共同開発の動きは、軍用無人機で一もうけしようという国内の軍事産業の要求に応えた動きなんじゃないでしょうか。
○中谷国務大臣 昨年五月に、日仏首脳会談において、共同プレスリリースを踏まえまして、日仏間では、無人システムを初めとする共通の関心分野における防衛装備・技術協力の可能性について議論を行うとされております。現在、日仏間では、防衛装備・技術協力に関して具体的な協力案件が決定されているわけではありませんが、事務レベルでの協議など、機会を利用しつつ、今後、引き続き協議をしてまいりたいと思っております。
○宮本(徹)分科員 軍事企業の要望だということはお認めにならないわけですけれども、この防衛機器産業への影響調査報告書の中では、「わが国の防衛体制整備と無人機」という章を設けております。「一、わが国の防衛作戦における新たな作戦構想」「二、無人機の導入による各種作戦への影響」とあり、「攻撃機としての無人機」という項目もこの中にはあります。読むと、現代戦において無人機に期待される役割は、前にも述べたように急激に増大しつつある、特に、3D、ダル、ダーティー、デンジャラスと言われる任務のうち、SEAD、敵防空施設の制圧や敵航空基地攻撃作戦などの運用には有効であるとともに、高高度に在空し、敵目標の発見に伴い迅速かつ確実に爆撃できる精密爆弾による爆撃などの任務にも無人機は必須のものになりつつある、ここまで書かれております。国連が問題視している攻撃機としての無人機にまで視野を入れた国際共同開発を提言しているというのがこの報告書になっております。中山外務副大臣、財界のこういう要望に沿って日本が無人攻撃機の国際共同開発という道に進んでいいんでしょうか。
○中山副大臣 一般論として申し上げますと、いかなる国とどのような内容の共同開発を行うかというのは、防衛装備移転三原則及び運用指針に従い厳格に審査して決定されるものと承知いたしております。また、新たな原則において移転を認め得る場合は、我が国の安全保障の観点から積極的に意義がある場合等に限定されているのではないかというふうに考えております。
○宮本(徹)分科員 いや、一般論で聞いているわけじゃないんですよね。これだけ国際社会でも問題になっている軍用無人機、特に無人攻撃機について伺っているわけであります。そして、この防衛機器産業への影響調査報告書の作成は、名立たる企業が調査委員を出しております。この報告書の作成で、調査委員に唯一複数のメンバーを出しているのが、日本電気、NECであります。現在、NECの矢野会長は、防衛装備工業会の会長を務めておられます。そして、一月十七日の安倍首相のイスラエル訪問の経済ミッションに、この防衛装備工業会会長である矢野会長は参加されておられます。矢野会長は、イスラエルに何の商談に行ったんでしょうか。イスラエルの軍事企業あるいは国防関係者との接触はあったんでしょうか。
○吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。今議員が御指摘になられましたように、NECの会長が、本年一月の安倍総理のイスラエル訪問に経済ミッション二十一社の一員として同行したというのは事実でございます。防衛省といたしまして、その訪問の詳細について責任を持ってお答えする立場にはございませんが、同会長は、防衛装備工業会の会長としてではなく、私企業の代表として同行した、二十一社、皆さんそのようなことだと思っております。また、活動としては、ネタニヤフ首相との会合や経済セミナーに参加したものと聞いてございます。
○宮本(徹)分科員 その範囲では全くわからないわけですよね、何をしたのかというのが。個別の企業のことはそれ以上わからないようですので、防衛省自身の動きについて伺いたいと思います。先ほど紹介した昨年のNHKスペシャルの中で、防衛省の装備政策課長が、イスラエルの企業なのか国防関係者なのかわかりませんが、軍用無人機について話し合う姿が放映され、多くの国民が驚きを持って受けとめました。防衛省の出している装備・技術協力の推進というペーパーを見ると、昨年以降、意見交換を行った国々ということが書かれております。装備・技術協力に関する意見交換を行った国々の中にイスラエルも入っておりますが、一体、イスラエルとどんな意見交換を行っているんでしょうか、兵器の種類も含めてお答えいただきたいと思います。また、この間、イスラエルの国防関係者やあるいはイスラエルの企業とどの程度この装備・技術協力について接触があったのか、お答えいただきたいと思います。
○吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。イスラエルは、防衛装備・技術の面でも世界的に見て高い水準にあるものと認識してございます。防衛省といたしましては、世界の装備・技術の最新の動向を適切に把握することは、日本の装備を研究開発する上でも、国際的な装備・技術協力を検討する上でも重要と考えておりまして、このような観点から、イスラエルについても情報収集等を実施してきております。相手国政府や企業との関係もございますので、意見交換の大要について申し上げることは差し控えますが、国際装備展示会への参加や、イスラエル国防省の装備・技術の関係者が訪日した際等に、このような意見交換や情報収集等を実施しておるところでございます。
○宮本(徹)分科員 NHKスペシャルでは、この防衛省の課長とイスラエルの方々との話し合いにカメラは入れませんでした。きょう、私のアイフォンで撮った写真を資料としてお配りしておりますが、これはNHKスペシャルの写真でございます。具体的には、あの場で何について話し合ったんでしょうか。
○吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。御指摘の国際装備展示会、ユーロサトリ二〇一四年におけるNHK報道の場面につきましてですが、防衛省職員がイスラエルの企業の展示ブースに立ち寄った際に、同企業関係者から無人機に関する展示の一般的な説明を受けたというふうに承知してございます。
○宮本(徹)分科員 一般的な説明を受けたというお話ですが、ここにありますように、NHKスペシャルで、防衛省の課長は、イスラエルの機体と日本の技術を使うことでいろいろな可能性が出てくるというふうに述べられております。このいろいろな可能性とは具体的に何なのでしょうか。無人機の共同開発も、この間、イスラエルとの間で話題になっているんでしょうか。
○吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、イスラエルというのは大変すぐれた技術を防衛分野でも持っているところでございまして、先ほども申し上げました課長の発言につきましては、我が国への一般的な導入可能性について述べたというふうなものでございまして、議員御指摘のような、何か特定の具体的な可能性について述べたものではないというふうに承知してございます。
○宮本(徹)分科員 一般的な可能性ということでありますが、もう一点、お伺いします。ユーロサトリにこの防衛省課長が参加した最大の目的は、日本の企業とフランスの企業を国が橋渡しすることだと紹介されておりました。防衛省は、この間、日本の企業をイスラエルの軍事企業などへ橋渡しを行ったことはあるんでしょうか、あるいは今後行うつもりはあるのでしょうか。
○吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。先ほど申し上げたように、イスラエル、大変高い技術を持っているというところでございますが、他方、企業との関係におきましては、私ども、単に防衛省のみならず、日本の装備関連企業も、国内ばかりに目を向けるのではなく、世界の最新の技術動向を把握しておくことは重要だと考えてございまして、イスラエルも含め、世界の主要関連企業が出展する装備展の開催予定などを企業に紹介してきているところでございまして、今後とも、日本の防衛関連企業とも、必要に応じて適切に連携していくこととしております。
○宮本(徹)分科員 今のお話だと、日本の企業にも、イスラエルの企業が参加している展示会にも案内していく、紹介していくという話で、重大だと思いますよ。イスラエルは、昨年、御存じのとおり、ガザで二千人もの人の命を奪って、国際的な非難を浴びております。そして、この間、長い間のガザ攻撃に無人機も使用していると伝えられております。このイスラエルと共同して武器を開発するということは、罪なき市民の殺りくを行ってきたイスラエルに軍事的に肩入れして、国際紛争をまさに助長するものだと言わざるを得ないと思います。中山外務副大臣にお伺いしますが、我が国の中東外交は、パレスチナとイスラエルの和平実現に向けた方針というのがあると思います。イスラエルとの武器の共同開発という外交方針を外務省は持っているのか、あるいは検討したことがあるんでしょうか。
○中山副大臣 御指摘のように、中東和平の実現は、我が国の中東外交の重要な柱であります。一月の総理の中東訪問時の首脳会談におきましても、イスラエル及びパレスチナに対して、中断している和平交渉の早期再開と、入植活動を含め、交渉の妨げとなる一方的措置の最大限の自制を求めた次第であります。イスラエルとの間では、両国防衛当局間の交流の促進で一致はしているものの、御指摘のような防衛装備の共同開発を実施するとの方針はございません。いずれにしても、イスラエル、アラブ諸国の双方を含む全ての中東諸国とバランスのとれた関係強化を図ることが、我が国の対中東外交の基本方針であります。
○宮本(徹)分科員 そういう方針は持っていない、イスラエルと共同開発するという方針は持っていないというお話でありました。ならば、防衛省も、こういう展示会に行って無人機について話を聞いてくる、あるいは、日本の企業を、イスラエルの企業も含めて紹介していく、会ったらどうですかということをやるというのは、全くやるべきことじゃないというふうに思います。国連でも問題視されている軍用無人機、無人攻撃機の開発を、憲法九条を持つ日本が進めることは極めて問題であります。国際紛争当事国であるイスラエルとの軍用無人機の共同開発に乗り出すことは絶対に許されないというふうに思います。防衛大臣にお伺いしますが、軍用無人機の国際共同開発という道に進むべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
○中谷国務大臣 防衛省・自衛隊におきましては、爆発物の処理などの危険な任務や警戒監視といった長期間の単調な任務などにおいて、隊員の安全確保や負担軽減を目的として、無人機の研究開発を行うことは重要だと考えております。議員が御指摘をされました無人機の国際共同開発につきましては、政府としては何ら決定をしておりませんが、仮に国際共同開発を行う場合は、防衛装備移転三原則に基づき、厳格な審査を行った上で、我が国の安全保障政策として積極的意義がある場合にのみ行うことといたしております。
○宮本(徹)分科員 今は遠隔操作の無人機ですが、世界の無人機の開発は、いわゆるロボット兵器と言われる自律型無人システムに向かっているのは大臣も御存じのとおりです。人間の判断なしに人の命を奪う兵器ということで、国連の専門家も、そのようなロボット開発は凍結すべきだと提言しております。そして、先週、三月三日の報道ステーションでは、武器輸出に一定の制限をかけているドイツの武器がテロ勢力に渡っている問題が特集されました。武器は、一旦輸出されたら、どこに行くかわかりません。日本が武器輸出、国際共同開発に乗り出せば、その武器、技術がどこでどう使われるかわからず、未来に、みずから作成した武器や技術でテロ勢力などから攻撃されるということも起き得ます。だからこそ、大事なのは、世界で武器の管理規制を進めて、軍縮を進めていくことだと思います。武器輸出三原則があったときは、日本政府は武器管理で世界をリードする立場にありました。憲法九条の精神に立ち戻って、国際紛争を助長する武器輸出政策は取りやめることを強く求めたいと思います。最後に、もう一つただしたい点が、昨年十二月から始まった防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会についてであります。防衛装備移転三原則からさらに踏み込んで、国が武器輸入国に財政支援などを行う、こういうことまで検討されているということであります。産経新聞などでは、軍事版ODAという見出しも躍っておりました。国際紛争を解決する手段として、武力の行使、武力による威嚇を放棄した日本国憲法の精神に真っ向から反するものだというふうに思っております。そして、この検討会で配付された資料には、ASEANを初めとするアジア太平洋地域などに対する海洋安全保障などを念頭に置いた防衛装備品の提供などを想定というふうに書いております。中山外務副大臣にお伺いしますが、我が国の外交政策は、これまで発展途上国への援助は、平和援助、人道支援に努めてきたはずだと思います。外務省もこの検討会にオブザーバーで参加しておりますが、発展途上国への武器供与を日本の外交戦略として外務省は検討しているんでしょうか。やめるべきではないでしょうか。
○中山副大臣 我が国は、ASEAN諸国が海を守る能力をシームレスに支援していくこととしております。昨年五月のシャングリラ・ダイアログで安倍総理が表明したとおり、ODA、自衛隊による能力構築支援、防衛装備協力など、さまざまな支援メニューを組み合わせて実施をしてまいる考えでございます。このような我が国の方針につきましては、私自身、昨年九月に、ASEANの実務の担当者の参加を得て東京で開催された会議の機会に、ASEAN側に説明を申し上げました。これは、法の支配を貫徹するための取り組みの一環であり、途上国の法執行能力を高めるための支援として実施するものであります。防衛装備の供与そのものを目的として行うものではございません。いずれにせよ、いかなる国との間でどのような内容の防衛装備協力を行うかにつきましては、さまざまな観点で総合的に考慮をしつつ、厳格かつ適切に判断していく考えであります。
○宮本(徹)分科員 海洋安全保障のためといって、外務省まで発展途上国に対して防衛装備を供与していくことを認めていくというのは、重大な話だというふうに思います。大体、そうやって武器を供与していけば、アジア各国の軍備拡張を後押しすることになって、アジアの緊張をますます高める道になると思います。その道に私は未来はないと思います。日本は、憲法九条を持っているわけですから、やはり武器輸出三原則に立ち戻って、憲法九条を生かした平和外交で軍縮をリードしていく、アジアの軍縮をリードしていく、そういうことこそ日本が進むべき道だということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○平沢主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。