2020年3月18日 厚生労働委員会 雇調金の制度拡充を 「助成率引き上げよ」

 宮本徹議員は18日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染拡大による雇用への影響に対して、雇用調整助成金(雇調金)の助成率や対象を拡充するよう求めました。
 厚労省の小林洋司職業安定局長は「不況時に備えた雇用安定資金の残高は1兆円超あり、当面問題なく運営できる」と説明しました。
 宮本氏は、「リーマン時は、助成率を中小企業で10分の9まで引き上げた。本来は10分の10とすべきだが、せめてリーマン時並みに引き上げるべきだ」と迫りました。
 加藤勝信厚労相は「足元(の経済状況)が悪化するなら、それに応じた措置をとる」と述べました。
 宮本氏は「労働組合には雇い止めの相談が相次いでいる」と指摘。「雇用を守る強力なメッセージを発せよ」と求めました。

以上2020年3月24日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第201回2020年3月18日衆院厚生労働委員会第5号 議事録≫

○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、きょうは、雇用保険の財政運営の試算見通しからお伺いしたいと思います。もともと、今回の法案が出される前提の雇用保険部会で議論されていたときの雇用情勢と、今の雇用情勢は全く違う状況になってきているのではないかと思います。きのうも、西村経済再生担当大臣は、リーマン・ショック並みか、それ以上の影響が経済に出ているという発言をなさっております。そうすると、きょう資料をお配りしておりますが、当初、財政運営の試算というものが労政審の雇用保険部会でも出されたわけでございますが、実際の見込みはこれとは違うんじゃないかと思うんですよね。仮にリーマン・ショック並みの影響が今回の新型コロナウイルスで出た場合、この試算の見通しというのはどうなるんでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。今先生お示しの資料でございますが、これは、昨年十二月十三日、労働政策審議会の雇用保険部会の方に今後の試算としてお示しをしたものでございます。それで、今、仮にということで、リーマン・ショック並みの影響があった場合というお話がございました。もちろん、今回の新型コロナウイルス感染症による影響というのは現時点でお示しすることは不可能であるわけでございますが、仮にということで、リーマン・ショックの際の実績で申し上げますと、平成二十一年度の失業等給付の支出額は約一・八兆円、基本手当の受給者実人員の月平均数ですが、八十五万人でございました。お示しの昨年十二月十三日の試算でございますが、令和二年度の見込みのところでございますが、これが一・一兆円強、受給者実人員が三十七万人ということになります。今申し上げました平成二十一年度と単純に比較しますと、約七千億円の差ということになります。一方で、積立金残高のところをごらんいただきますと、なお相当程度の積立金を有しておるところでございまして、今後、リーマン・ショック並みの支出を求められた場合でありましても対応できる。また、今般、雇用保険料率の暫定引下げ措置を二年間継続するということにしておりますが、弾力条項と申しまして、千分の四の範囲内で保険料率を変動できるという規定については生かした形での暫定措置の延長でございますので、こういった措置も含めて、今後の対応というのは十分可能であるというふうに考えております。
○宮本委員 リーマン・ショック並みの影響を見込んだら七千億程度の支出が更にあるんじゃないかということですから、令和六年度見込みの積立金残高は一・八兆じゃなくて一・一兆ぐらいになる可能性もあるということなのかなと思いますけれども、かなりの減り方ということになるわけですよね。これが単年度で終わるのか。リーマン・ショックのときも、すぐにおさまったわけじゃないですよね、それ以降も続くということになるわけですよね。そうすると、一・一兆どころじゃなくて、令和六年度見込みというのは数千億の積立金になる可能性もあるということでいいわけですね。
○小林政府参考人 先ほど申し上げましたように、今回の新型コロナウイルス感染症の影響ということは見通すことは不可能でございますが、いろいろな可能性としては議員御指摘のような状況もあり得る、ただし、それに対しては積立金及び保険料の弾力的な対応で対応できるというふうに考えております。
○宮本委員 もちろん、積立金が足りなくなったら保険料を上げる手段はあるわけですけれども、きのうの参考人質疑の中でも、経済情勢が悪いときに保険料が上がると大変だという話もあったわけですよ。そういうときに、こういう、もしかしたら本当に積立金ががくんと減りかねない経済状況がある中で、国庫負担を減らし続けるというのを延ばしていいんですか、大臣。今の状況から考えたら、やはり国がふさわしい責任を果たすべきなんじゃないですか。
○加藤国務大臣 今回の措置は、まさに雇用保険の財政状況と、そして、予算の状況というんでしょうか、国全体の財政状況、その全体の中で、本来だったら二年で終わるべきところを更にまた延長のお願いをしているわけでありますので、そういった判断でさせていただきました。いずれにしても、これからの動向はよく見ていきながら、今は保険料を一番低いところまで下げておりますけれども、それをどうするのかということを中心に、状況状況を見ながら対応はしていかなければいけないというふうに思いますし、また、今回の暫定の期間が終わることに向けて、附則にも書いてありますけれども、必要な財源を確保することを含めて、こうした国庫負担をしっかり確保すべく、引き続き努力をしていきたいと思います。
○宮本委員 私は、やはり、保険料でまず対応するというのじゃなくて、そうなれば中小企業は本当に大変なことになりますから、これは国庫負担をもとに戻すということで対応すべきだと思いますよ。今回の法案は、やはり、もう事態が変わっているわけですから、修正がこの点については必要だということを厳しく申し上げておきたいというふうに思います。それから、あともう一つ、雇用保険二事業の方の財政運営については、この新型コロナの影響というのはどう見込んでいるんでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。雇用保険二事業のお尋ねでございますが、雇用保険二事業は、先ほど御指摘いただいた失業等給付とは別に、事業主のみから保険料をいただいておるものでございます。こちらの雇用保険二事業の運営でございますが、毎年度事業主からいただく保険料収入と、それから不況時の支出に備えて積み立てております雇用安定資金により運営をしておるところでございます。今般、新型コロナウイルス感染症対策として、雇用調整助成金の特例、そして学校休業に伴う保護者の休業補償につきまして措置を講ずることとしたわけでございますが、これは今年度の予備費及び既定予算の範囲内で実施をすることといたしておりまして、雇用安定資金を取り崩すことにはしておりません。雇用安定資金はなお一兆円を超える資金残高がございますので、当面これで問題なく運営できるというふうに思っております。
○宮本委員 こちらの方は、ことしの予備費と予算の範囲で対応するから取り崩さずできると。ということは、逆に言えば、大変余裕があるということなわけですよね。それで、きのうからも議論になっておりますし、予算委員会でもずっと議論になっておりますけれども、雇用調整助成金の対象あるいは助成率がこれでいいのかということは、やはりもっと考えなきゃいけないと思うんですよね、リーマン・ショック並みか、それ以上の影響だと。リーマン・ショックのときは、助成率はもっと高かったんじゃないですか。
○達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。リーマン・ショック時につきまして、雇用調整金の助成率でございますが、上乗せ助成をしておりまして、中小企業が三分の二から五分の四、それから大企業が二分の一から三分の二ということで引上げをしているところでございます。
○宮本委員 その上乗せに加えて、雇用を守った場合のさらなる上乗せもしていたんじゃないですか。
○達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。一定の雇用を維持した事業主につきましては、中小企業の場合、例えば十分の九という形で上乗せをしているところでございます。
○宮本委員 ですから、リーマン・ショックのときは中小企業は十分の九までやっているわけですよね、十分の九まで。大企業も四分の三をやっていたと思いますけれども。リーマン・ショック並みか、それ以上の影響だと一方で経済再生担当大臣が言っていて、雇用調整助成金の出し方はリーマン・ショック以下。おかしいじゃないですか。これは、加藤大臣、私たちは本来十分の十をやればいいと思っていますけれども、せめてリーマン・ショック並みには引き上げる必要があるんじゃないですか。
○加藤国務大臣 リーマン・ショックのときの失業率が、一番ひどいときは五・五までいったように記憶をしております。今、足元はたしか二・四とか、そんな水準なんだろうと思います。ただ、これは遅行指数なのかもしれませんから、それだけで判断するべきではないと思います。西村大臣が言われたのは、まさに、今起きている状況というのは、そういう厳しい状況と。ただ、問題は、これがどこまで続くのか、そして、雇用情勢にどういう影響を及ぼし得るのか、そういったことも、全体を判断しながら必要な措置をとっていかなきゃいけない。我々も、今のままで常に固定するということを考えているわけではありません。状況状況を見ながら、必要な措置。したがって、先般、北海道のいわば特例的にやらせていただいたものも、北海道においてはそうした事業自粛等をすれば悪化するおそれがある、そうすると、それに対処する必要があるということでやったわけでありますから。したがって、それは単に北海道だからやったのではなくて、悪化をするおそれがある、あるいは悪化するということでやっているわけでありますから、当然、足元の状況がそうした形に移行していくのであれば、それに応じた対策をとっていく、これは当然のことなんだろうと思います。
○宮本委員 実際は、労働組合への労働相談でも、雇いどめの相談が相次いでいるわけですね。恐らく、厚労省でも雇いどめの相談が今ふえてきているんじゃないですか。違いますか。
○小林政府参考人 解雇ですとか雇いどめについての御相談というものも増加しております。主に旅客運送、中国人を相手として観光バス等を運営していた会社に大きな影響が出ております。それ以外のところにつきましては、宿泊業、製造業を含めて、今、休業という形で御対応いただいておるというふうに承知をしております。
○宮本委員 ですから、影響がどこまで続くのかというのはあるわけですね。どんどんどんどん、どこまで広がるかわからない状況があるわけですから。だって、既に雇いどめが出ている、雇用調整助成金を緩和しても雇いどめが出ているのが今の現状なわけですよ。雇用を守るためには、もっと強力なメッセージを、雇用調整助成金の拡充ということで発する必要があると思いますよ。
○加藤国務大臣 もちろん、雇いどめ等、あるいは内定取消し等、我々も一つ一つ見させていただいております。したがって、リーマンのときにはベースの雇用情勢が今より悪かったところからより悪化をした、今はそれよりもはるかにいい状況になってきているという、私は水準が低いからいいと言っているんじゃないんですよ、そこからどう動くかがむしろ大事なんだろうと思います。したがって、それがどういう形で動いていくのか、それを見ながら対応していく。委員の御指摘だと、もう最初から十分の十を常にやっておけばいいじゃないかということになるんだろうと思います。日常だって発生するわけですからね。さはさりながら、そういうわけには、なかなか難しいので、やはり状況状況に応じて施策の強さ、強度は変化させていくということなんだろうと思います。したがって、先ほど申し上げたように、我々も、ずっと今のままで経済あるいは雇用情勢が悪化しても続けていこうということを考えているわけではありません。足元、あるいはそこから見られる今後の推移、これをしっかり見きわめながら、必要な対策を講じていきたいと思います。
○宮本委員 雇いどめだとかがふえていなければ今の大臣の言い分は成り立つのかもわからないですけれども、既にふえているというのが厚労省自身の認識なわけですから、ではそれを食いとめるためにどうしようかという手を打つべきだということを強く申し上げておきたいと思います。その上で、きのうに続いて、高齢者の雇用、六十五歳から七十歳にかけて、就業確保の際に雇用によらない働き方、個人請負でもいいとされた問題について質問させていただきたいと思います。労働者保護法制が及ばないことになります。きのう東京電力の例を紹介しましたが、実際は会社の指揮命令下に置かれている場合、労働者性がある場合も少なくない。個人請負の場合は、そういう場合もたくさんあるわけですね。きのうの答弁の中でこういう話があったんですね。契約のいかんにかかわらず、指揮監督を受けているなど労働基準法上の労働者と認められれば労働法制が適用される、こういう答弁がありました。労働基準法上の労働者と請負契約の方が認められるには、どうするんですか、誰がどうやって認定してくれるんですか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。今御質問の労働基準法上の労働者という概念でございますけれども、基準法の第九条で「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」ということとなってございます。この労働者に該当するか否かということにつきましては、契約形態にかかわらず、仕事の依頼あるいは業務指示等に対する諾否の自由があるか、あるいは業務を遂行する上で指揮監督を受けているか、支払われた報酬が提供された労務に対するものであるかなどの実態を勘案した総合的な判断ということでございまして、個別に即して、私どもの監督署の方に申告等がございましたら、私どもの監督署の方でも事案に即した総合的な判断をして、その事案に対して対処するということでございます。
○宮本委員 それでは、きのう例を挙げた東京電力の関連会社の方々が労基署に今から行けば、東京都の労働委員会は労働組合法上の労働者だと認められました、あの命令書の中身をもってして、労働基準法上の労働者だと労基署で認めていただけるということでいいわけですか。
○坂口政府参考人 きのうもお話を申し上げましたけれども、お尋ねの個別の事案、あるいは個別の事案でまた係争中の事案ということについてのお答えについては差し控えたいと思います。いずれにしましても、先ほど申し上げましたとおり、一般論としましては、労働基準法上の労働者に該当するかということにつきましては、個別のお話に即して総合的に判断するということになりますし、また、労組法上の労働者に該当するか否かということにつきましては、個別の事案に即して労働委員会あるいは裁判所において判断されるというものでございます。
○宮本委員 それで、労基署に相談に行って、労働者性が認められるというふうに労基署が判断をする、そういう仕組みがどういうふうになるのかわからないですが、労基署が判断していただいた。それに対して、使用者の側が、いえいえ、違います、これは個人請負ですというふうになった場合はどうされるんですか。
○坂口政府参考人 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたような判断のメルクマールというものを、個別の事案に即して、労使双方のお話も聞きながら、総合的に判断をさせていただくというものでございます。
○宮本委員 ですから、それを労基署が判断をして、労働基準法上の労働者だと労基署が言っても、いえいえ、違いますと、使用者の側が違いますというふうに争う姿勢を見せたらどうなるんですかということをお伺いしているんです。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。労働基準法の観点で結果的に労働者であると私どもが判断し、法令の違反があるということであれば、私どもは労働関係法令違反が認められた場合には必要な指導をするということでございますが、事業主の方々の方でそういった部分についてまた争いがあるということであれば、それは一定の訴訟、争訟ということになると思われます。
○宮本委員 ですから、労基署に相談に来てくださいよと言っても、使用者の側が認めなかったら訴訟になるわけですよ。訴訟になって労働者性が認められるまでに何年もかかるということに実際はなるわけですよね。ですから、結局、この個人請負という働き方を労働法制の中に今回の高年法の改悪という形で入れていくというのは、私は、実際は保護されない働き方がどんどんふえていくと言わざるを得ないと思いますよ。その上で、もう一点、高齢者雇用にかかわってお伺いしたいと思います。きのうの他委員の質疑を聞いていましたら、三十人以下の企業で六十歳以上の雇用確保がどの程度なされているのか集約もしていないという答弁で、私も驚きました。お伺いしたいんですけれども、六十歳を超えたら継続雇用が再雇用なり何らかの形で六十五歳まで義務づけられているわけですけれども、この継続雇用や再雇用を拒否されたことをめぐる労働相談というのは、今どれぐらい政府は把握されていますか。
○小林政府参考人 六十歳の継続雇用を拒否された事案があるということは認識をしておりますが、具体的にそれを数として把握はできておりません。それで、今の御指摘に関して申し上げますと、平成二十五年に高年齢者雇用安定法が改正されておりまして、六十五歳までの継続雇用義務というのを課す一方で、年金の支給開始年齢に合わせる形で、労使が合意すればということでございますが、段階的に継続雇用年齢を引き上げるという経過措置が現在講じられておるところでございます。この結果としてこの対象になるかならないかということが生じてき得るということでございますが、仮に基準に該当しないということで雇用継続されないということになった場合には、事業主は本人が希望した場合には再就職援助措置を講ずるよう努めなければならないというふうにされております。したがって、事業主の方で再就職の援助をしていただくことになるわけですが、あわせて、ハローワークの方におきましても、速やかな再就職の実現に対する支援というのを行うこととしておるところでございます。
○宮本委員 法律があっても拒否されるということは起きているわけですが、こういう話を伺ったんですね。税理士国民年金基金で働いてきた職員が、二〇一八年十月、六十歳で雇いどめにされたという話でございます。国民年金基金は、今でいえば厚労大臣の認可を受ける公的な法人ということになるわけでありますが、六十歳で継続雇用してくれと言われても雇いどめになるというのは、これは法律違反ということでいいわけですか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、六十五歳までの継続雇用制度を設けるということが事業主の義務とされておりまして、また、その制度導入に当たっては、労使協定によって段階的な引上げを行うということが認められておるわけであります。一方で、これは制度の話でございますので、同じく高年齢者雇用安定法上の理解といたしましても、個々の労働者に対して事業主が個別に六十五歳まで雇用する義務を負うわけではない、したがって、解雇事由として定められているような事由に該当する場合には継続雇用の対象としないということは可能になってくるわけでございます。こういった個々の効果につきましては、これは民事的な判断になるわけでございますが、例えばということで申し上げますと、客観的かつ合理的な理由がないにもかかわらず高年齢者を継続雇用の対象としなかったことについて、労働契約法十六条に基づく解雇権濫用規制の類推適用という形で再雇用契約の成立というものを認めた事例もあるというふうに承知をしております。
○宮本委員 この六十歳で雇いどめされた方というのは、私が伺っている話では、職場でパワハラに遭う中で、数年前に労働組合に入られたということなんですよね。ほかの方々はみんな六十歳になっても勤められたけれども、この方だけが再雇用されなかったという話なわけであります。こういうことは許されるんですか。
○小林政府参考人 先ほど申し上げましたように、個々の労働者の継続雇用ということにつきましては、事業主として、解雇事由としてどういったことを定めているか、またその事由に該当するか否かという個別の判断になってくるわけでございます。それで、今御指摘いただいた件でございますが、これはまさに民事訴訟が提起されておる事案だというふうに承知をしておりまして、個別の係争中の事案でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
○宮本委員 この税理士国民年金基金は、昨年四月に全国国民年金基金に集約されているわけですよね。全国国民年金基金は、御存じのとおり、常務理事は厚労省からの天下りの皆さんがやられているわけですよ。まさに厚労省自身の足元でこういうことが起きていて、訴訟になるような話になっているわけですよ。これはやはり、もっと高年法の趣旨がちゃんと徹底されるように、正しく法律が運用されるように、足元から正していく必要があるんじゃないですか、大臣。違いますか。
○加藤国務大臣 お尋ねの方は、日本税理士国民年金基金に対して民事訴訟を提起されている。私どもの全国国民年金基金に引き継いだのは平成三十一年四月一日ということでありますから、まさにその段階では民事訴訟について私どもが受け継いだ、そして今そうした訴訟が行われている、こういう流れであります。
○宮本委員 そういうことじゃなくて、別に訴訟の解説をしてほしいと言ったわけじゃないわけですよ。厚労省の所管している法人で、しかも、厚労省の皆さんが、ここで一生懸命労働者を守りましょうと言っている厚労省の皆さんが、実際は天下って運営の中心にいるわけじゃないですか。そういうところでこういう問題が起きているというのは、これはやはりちゃんと解決しなきゃいけないと思いますよ。個別の事案ということしかおっしゃれないのかもわからないですけれども、やはりちゃんとやっていただきたいと思います。それから、現状でも、雇用を義務づけられていても、企業の側が守らず、選別しているということが起きているわけですよね。法案の六十五歳以上の努力義務、今度は義務じゃなくて努力義務だと。そうすると、雇用がされる、されない、就業が確保される、されない、こういうことをめぐって不当な差別が起きるんじゃないですか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。今般、高年齢者就業確保措置というのを法律に新たに規定をしたわけでございますが、この条文のところにございますように、高年齢者が希望するときに継続的に雇用や就業の機会を確保する、こういう規定になっております。この法の条文をどうやって運用していくかということになるわけでございますが、個々の労働者のニーズというのを十分踏まえていくことが必要である。そのため、一つは、昨日来申し上げておりますように、この措置を具体的に実施する上での運用計画というのを定めていただく。これについては、労使がしっかりと合意をしていただく必要があるわけであります。その上で、この措置を個々人に具体的にどう適用していくかという局面が次にあるわけでございますが、この措置の適用につきましても、本人の希望を聴取し、本人の希望を勘案して選択できるような仕組みとすることが重要であるというふうに考えておりまして、こういったことについても今後指針で定めていく必要があるというふうに考えております。
○宮本委員 指針でいろいろ定めるということを言いますけれども、今でもこういう差別、選別が起きていて、法律上の文言には今回は努力義務ですよと。差別、選別してはいけませんということは別に法律上は何も書かれていないわけですよね。そこは大変懸念されます。時間が来たからもう終わりますけれども、とりわけ、実際起きている例でいえば、雇用か請負か、こういう選別が行われているわけですよ。きのう尾辻委員が挙げられていた布団の丸八のケースは、営業職で売上げが芳しくない人は請負契約にしているわけですよ。こういうやり方がまかり通るものになりかねないということを厳しく指摘させていただいて、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。