2020年4月15日 衆院本会議 年金開始75歳まで拡大改正法案審議入り 「なぜ今」 

 公的年金の受け取り開始時期を65~75歳(現行70歳まで)に拡大することなどを盛り込んだ年金制度改正法案が、14日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の宮本徹議員が質疑に立ち、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、「なぜ今なのか。すべての知恵と力を新型コロナ対策に振り向けるべきだ」と批判。安倍晋三首相は「『全世代型社会保障』改革は待ったなしだ」と強弁しました。
 同法案は、受け取り開始時期の選択肢を75歳まで広げ、確定拠出年金の年齢要件を企業型、個人型ともに5歳ずつ延長。厚生年金加入義務のある企業の規模を段階的に引き上げ、2024年10月に「従業員数51人以上」まで拡大します。
 宮本氏は、「マクロ経済スライドという年金削減の仕組みを放置する一方で、国民に自助努力を求める法案だ」と指摘。基礎年金へのマクロ経済スライドの適用をやめるよう求めました。
 受け取り開始時期についても、「公的年金で足りない人は体力の限界まで働けと求めるに等しい」と述べ、65歳になれば働かなくとも暮らせる年金制度をめざして大企業・富裕層に応分の負担を求めるべきだと主張。「公的年金の削減を進めながら、元本割れのリスクのある確定拠出年金を推奨するのは無責任だ」と批判しました。
 安倍首相は「マクロ経済スライドを廃止する考えはない」「高額所得者と大企業だけに特別な負担を求める考え方は、慎重な検討が必要だ」と応じませんでした。

野党提出の法案 高橋議員が答弁

 宮本氏は、立憲民主党などの共同会派と共産党が共同提出した年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)法等改正案についても質問。高橋千鶴子議員が答弁に立ち、「安倍首相になって以降、高リスク株式の運用比率が高まり、損益の幅が非常に大きくなっている」と指摘し、「年金積立金の資産額に占める株式の構成割合を『おおむね20%を超えない範囲で定める』こととする」と同法案の意義を述べました。

以上2020年4月14日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第201回2020年4月14日衆院本会議第18号 議事録≫

○議長(大島理森君) 宮本徹君。
〔宮本徹君登壇〕
○宮本徹君 日本共産党の宮本徹です。日本共産党を代表して質問いたします。(拍手)総理、なぜ、今、このタイミングで年金法案の審議なのですか。新型コロナの爆発的感染を阻止できるかの重大局面です。新型コロナ対策を担う厚労省職員は疲弊しています。年金法案の審議は先送りして、全ての知恵と力を新型コロナウイルス対策に振り向けるべきではありませんか。緊急事態宣言から一週間。医療は崩壊寸前です。政府の責任で、N95マスクやガウンなど個人防護具を全力で医療現場に供給し続けること、医療関係者に特別な手当をどんと出し、潜在医師、潜在看護師に復職を大胆に呼びかけること、病床確保、軽症者の宿泊施設確保の財政支援の抜本的な引上げ、発熱外来とPCRセンターの設置と支援、保健所体制、検査体制の抜本的強化、病院の経費増と減収の全額補償、これらのための予算の大幅な拡充を強く求めるものであります。政府の感染拡大防止策の最大の欠陥は、損失への補償を拒否しながら、曖昧な休業要請になっているため、効果が上がらないことです。補償なしの自粛要請では、三密が生まれるお店も安心して休業できません。感染拡大防止に補償は不可欠なのではありませんか。東京都は休業等への協力に対し協力金の制度を設けましたが、家賃で消えてしまうと声が上がっています。東京のような協力金は出せないという自治体もあります。政府の事業者への給付金は、対象が限定され、金額も全く足りません。五〇%以上の売上げ減少という要件の緩和、給付上限の抜本的な引上げ、家賃など固定費が賄える継続的支援を行うべきであります。そして、政府の給付は余りにも遅過ぎます。政府の一世帯三十万円の給付金は、対象が極めて限られ、不公平です。世帯主の収入で見るため、世帯の収入減が同じでも、給付の対象になる世帯とならない世帯が出ます。また、この四月から働く予定だった方も、それまでの収入がなければ、どれだけ生活が窮していても給付されません。抜本的に見直すべきであります。今、八割接触を減らそうと、多くの国民が自粛要請、休業に協力しています。多くの方の収入が落ち込んでいます。少なくとも、生活、営業が持ちこたえられる水準の補償を行うべきであります。個人には、まず、一人十万円の給付を行うべきです。休業や自粛要請が続くのであれば、個人事業主を含め、働く人には継続して賃金、収入の八割を補償する制度をつくるべきではありませんか。大量解雇も生まれています。コロナに乗じたリストラ、派遣切りを許してはなりません。雇用を守るためのさらなる策が必要です。雇用調整助成金の助成率を十分の十に引き上げるべきであります。アルバイトがなくなり、生活に窮した学生が、東京から地方へ帰省せざるを得なくなっています。感染拡大防止のために、総理は何をしますか。生活費、家賃など、経済的支援をすべきではありませんか。次に、年金法案について伺います。本法案は、国民の多くが抱える老後の不安に応えるものに全くなっていません。現在のマクロ経済スライドの仕組みのもとでは、年金実質削減が数十年にわたって続き、基礎年金は実質三割の削減です。これでどうやって暮らすのか。年金が少ない人ほど年金の削減率が大きいのは大問題ではありませんか。基礎年金へのマクロ経済スライド適用はやめるべきであります。本法案は、年金削減の仕組みを放置した一方で、国民に自助努力を求めるものとなっています。これまで七十歳までだった年金受給開始時期の選択肢を七十五歳開始にまで広げます。年金を減らすので、年金が足りない人は、七十五歳、体の限界まで働けと求めるに等しいものではありませんか。体力には個人差があります。六十五歳になれば働かなくとも暮らせる年金制度こそ目指すべきではありませんか。また、本法案は、公的年金に上乗せする確定拠出年金に加入できる年齢を延ばします。新型コロナショックでiDeCoは元本割れしたという悲鳴の声が上がっています。公的年金の削減を進めながら、他方で元本割れリスクのある確定拠出年金を推奨することは、無責任ではないでしょうか。今、政治がやるべきは、国民に自助努力を求めることではなく、頼れる年金制度、これをつくることであります。財政状況の悪い国民年金勘定に合わせて基礎年金のマクロ経済スライドの期間を長期化させる仕組みに合理性はありません。国民年金と厚生年金の財政統合を行えば、試算では年金の削減率はマイナス八%程度にまで抑制できます。財政統合について真剣に検討すべきではありませんか。将来世代の年金の給付水準を守るために、新たな財源確保が欠かせません。標準報酬の上限を健康保険と同じ水準に引き上げ、アメリカのベンドポイントのように、高額所得者の年金給付の伸びを抑制する仕組みを導入すれば、一兆円の財源が確保できます。高所得者と大企業に負担を求め、将来世代の年金の給付水準をしっかり守るべきであります。さらに、最低保障年金制度を創設すべきであります。安倍政権は、株価つり上げ政策をとる中、二〇一四年、GPIFが運用する年金積立金のポートフォリオを変更し、それまで四分の一だった株式比率を倍増させました。しかし、今、新型コロナウイルスの影響で、世界で株価が下落しております。今後の成り行きによっては、ポートフォリオ変更後の運用益はマイナスになりかねません。年金の積立金は安定運用すべきではありませんか。以上、総理と野党法案提出者に伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮本徹議員にお答えいたします。本法案の国会審議についてお尋ねがありました。国会での法案審議のスケジュール等については国会でお決めになることですので、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。その上で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止し、国民の命と健康を守り、国民生活や経済への影響を最小限に食いとめることは、国家としての最重要課題であり、引き続き、政府として万全を期していく所存です。また、急速に少子高齢化が進み、人生百年時代を迎えようとする中で、全世代型社会保障への改革も待ったなしの状況にあると考えており、政府としては、年金制度改革にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。医療提供体制の確保のための予算についてお尋ねがありました。 感染拡大防止と同時に、国内で感染者数が大幅にふえた場合に備え、重症者対策を中心として医療提供体制を強化することは喫緊の課題です。このため、今回の緊急経済対策では、第一の柱として、感染拡大の防止、医療提供体制の整備等に最優先に取り組むこととしており、医療用マスク、ガウン等の必要な医療機関への優先配布、重症者に対応できる医師、看護師等の確保、病床及び軽症者等の療養場所の確保、帰国者・接触者外来の拡充、保健所の体制やPCR検査体制の強化も含め、人、物両面からの抜本的強化を図ることとしています。これらに伴う経費については、国として補助を行うことはもちろんのこと、新たに緊急包括支援交付金を創設し、各都道府県が必要とする対応を柔軟かつ機動的に実行できるよう、強力な財政支援を行うこととしたところです。さらに、新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関に対しては、診療報酬の増額を行うこととしています。引き続き、医療の現場を守りつつ、感染拡大防止及び重症化予防に向けて、自治体と連携しながら、全力で取り組んでまいります。自粛要請による経済への影響についてお尋ねがありました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止のため、接触機会の低減を図ることが必要です。そのため、政府としては、緊急事態宣言のもと、外出自粛の要請等を強力に行い、人と人との接触の機会を徹底的に低減するための取組を進めています。その上で、自粛要請によって生ずる個別の損失に対する補償については、直接要請の対象となっていない取引先や他の業種においても売上げや発注の減によって甚大な影響が生じていることも勘案すると、そうした個別の損失に限定して直接補償を行うことは現実的でないと考えています。しかしながら、多くの中小・小規模事業者の皆さんが事業継続に大きな支障を生じておられること、また、その中で歯を食いしばって頑張っておられる方々に何としても事業を継続していただくため、極めて厳しい状況にある中堅・中小企業に二百万円、個人事業者に百万円を上限に、過去に例のない現金給付を行うこととしました。本給付金は、今般の感染症により休業を余儀なくされた事業者のみならず、売上げが大きく減少した事業者を業種にかかわりなく幅広く対象としており、他の欧米諸国との比較において、対象範囲の広さでも、金額でも、遜色のない支援を行うことができるものと認識しております。これに加えて、四十五兆円に及ぶこれまでにない規模の強力な資金繰り支援、本邦初となる総額二十六兆円の税、社会保険料の大胆な猶予制度、テナントの賃料等の支払い猶予の要請など、事業の継続を強力に後押しし、雇用を守り抜いてまいります。また、雇用調整助成金については、解雇等を行わず雇用を維持する企業に対して、正規雇用、非正規雇用にかかわらず、休業手当の助成率を最大で中小企業は九〇%、大企業でも七五%に引き上げるなどのさらなる特例措置を講じており、従業員の皆さんの雇用と収入の確保と事業者負担の軽減を図ってまいります。また、世帯向けの現金給付については、国民全員に一律で行うのではなく、甚大な影響を受けて収入が減少し、生活に困難を来している方々の生活維持のため、生活の単位である世帯に着目し、集中的に三十万円の思い切った給付を行うことで、大変な状況にある方々に直接手が届く効果的な支援策を実施していくこととしています。現在、できるだけ多くの自治体で五月中にも給付を開始できるよう準備を進めているところであり、御指摘のような個別の事情を踏まえた、できるだけきめ細かな対応がどこまで可能か、迅速な給付の実現の必要性と給付の実務を担う市町村への影響も勘案しつつ、具体的な制度設計を進めてまいります。雇用調整助成金の助成率引上げや生活に窮する学生への支援についてお尋ねがありました。雇用調整助成金については、今般の感染症の影響を踏まえ、解雇等を行わず雇用を維持する企業に対して、正規雇用、非正規雇用にかかわらず、休業手当の助成率を最大で中小企業は九〇%、大企業でも七五%に引き上げるなどのさらなる特例措置を講じており、この助成金を活用して事業主を積極的に支援していくこととしています。今後とも、経済、雇用情勢の現状をしっかり見きわめながら、状況に応じて必要な対応を講じてまいります。生活に窮した学生への経済的支援については、高等教育無償化の新制度等の運用において、感染拡大などの影響を受けて家計が急変した場合には、それを加味した所得見込みで支援の判定を行うこととしています。また、入学金や授業料の納付が困難な学生にはそれらの納付猶予や減免等を行うよう、大学等に対し要請しているところです。さらに、今般創設した返済免除特約つきの緊急小口資金の特例等も御活用いただくことが可能となります。こうした支援により、地域の雇用と学生の生活などをしっかりと守り抜いてまいります。基礎年金へのマクロ経済スライドについてお尋ねがありました。昨年公表した財政検証の結果によれば、将来世代の給付確保のために行うマクロ経済スライドによる調整が終了した後の所得代替率は、当初、前回検証よりも悪化するのではないかとの臆測も見られたところですが、そうした一部の臆測に反し、代表的なケースで、前回検証時の五〇・六%に対し、五〇・八%と改善したところです。また、基礎年金額は、物価上昇分を割り戻した実質価格で見ておおむね横ばいとなっており、実質三割減との御指摘は当たりません。年金のマクロ経済スライドについては、将来世代の給付水準の確保のために必要な仕組みであることから、政府として、廃止することは考えておりません。受給開始時期の選択肢の拡大及び公的年金の給付水準についてお尋ねがありました。全世代型社会保障の実現のため、人生百年時代の到来を見据えながら、年金制度においても、働き方の変化を中心に据えて改革を進めることが必要であると考えています。このため、政府としては、高齢者が意欲を持って働ける環境整備を進めるとともに、そのための手段として、受給開始時期の選択肢を七十五歳まで広げ、受給額についても、年金財政中立の考え方のもと、八四%までの割増しを受けることを可能としております。こうした改革により、支え手をふやし、年金制度全体の安定性を高めることで、低所得の方を含めた将来の年金水準の確保にもつなげていくことが可能となると考えております。なお、低所得の、無年金、低年金の高齢者の方には、年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮、年金生活者支援給付金の支給、年金給付から天引きされる医療、介護の保険料軽減を実施してきており、今後とも、社会保障制度全体で総合的な対応を検討してまいります。個人型確定拠出年金、いわゆるiDeCoの見直しについてお尋ねがありました。公的年金に上乗せするiDeCoは、加入が任意であり、運用商品も元本確保型を含むさまざまな運用商品の中からみずから選択いただくものですが、短期的な損益を狙うよりも、むしろ、長期的な観点に立って適切な選択が行われるよう、金融機関等が加入者の立場に立って支援を行う仕組みとしているところです。なお、今回の法案は、今後も拡大することが見込まれる高齢期の就労とあわせて、老後の生活設計の選択肢の一つとして活用できるよう、今回の公的年金制度の改正に合わせて、iDeCoの加入可能年齢の引上げを行うものです。国民年金と厚生年金の財政統合についてお尋ねがありました。基礎年金制度は、全ての国民の老後の生活の安定等を図るため、全国民に共通する給付を支給する制度として導入されたものであり、費用も公的年金制度の被保険者全体で公平に負担するという考え方を基本として、国民年金、厚生年金の各制度が、その被保険者数に応じて頭割りで拠出金を拠出する仕組みです。こうした導入の経緯を踏まえれば、現在の仕組みを変更し、国民年金と厚生年金の間の財政統合を行うことは、各方面にさまざまな御意見があると考えています。他方で、基礎年金は、所得の多寡にかかわらず一定の年金額を保障する所得再分配機能を有する給付であり、この機能を将来にわたって維持していくことが重要です。昨年の財政検証結果では、被用者保険の適用拡大は、厚生年金のみならず、基礎年金の水準を確保する上でもプラスの効果を持つことが確認されており、今般の制度改正においても、その内容を盛り込んでいるところです。 公的年金制度における給付と負担のあり方についてお尋ねがありました。御指摘の米国における年金制度は、我が国の基礎年金のような仕組みを有していない制度の中で、平均賃金が高い者などの年金の給付率を引き下げる仕組みを設けているものと承知しています。他方、我が国の厚生年金制度においては、定額給付を基本とし、公費負担のある基礎年金と報酬比例を原則とする年金を組み合わせることで、報酬の増加に伴い年金の給付率が逓減する仕組みをとっています。御提案の高額所得者と大企業だけに特別に負担を求めるという考え方は、こうした報酬比例を前提として既に拠出を求めている厚生年金の考え方に照らせば、慎重な検討が必要と考えています。また、最低保障年金については、多額の税財源が必要になり、保険料を払っている方々と払っていない方々との間の公平性をどう担保していくのかといった課題があり、導入は難しいと考えています。政府としては、今般の年金制度改正に盛り込んでいる被用者保険の適用拡大により基礎年金水準を確保していくなど、今後とも公的年金制度を、老後生活の基本を支える役割を果たしていけるように改革を進めてまいります。年金積立金の運用についてお尋ねがありました。年金積立金の運用は長期的な観点から行うこととされており、株式市場を含む市場の一時的な変動に過度にとらわれるべきではありません。令和元年度第三・四半期までの年金積立金の運用の累積収益は、平成十三年度の自主運用開始以降では約七十五・二兆円、また、議員御指摘の平成二十六年十月の基本ポートフォリオ変更以降も約三十四兆円に上っており、年金財政上必要な収益を十分に確保しております。また、年金積立金の運用は安全かつ効率的に行うことが重要です。このため、経済動向や運用環境などを踏まえて、リスクを抑えつつ、年金財政上必要な利回りを確保していくことが必要であると考えております。(拍手)
〔高橋千鶴子君登壇〕
○高橋千鶴子君 宮本徹議員から、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFが管理、運用する年金積立金の資産の安定的な運用の必要性についてお尋ねがありました。ことし一月から三月期の資金運用実績は、新型コロナウイルスの影響による世界的な株安によって、損失額が十七兆五千億円程度に達する見通しと言われています。四半期別の損失額としては、一八年の十から十二月期の十四・八兆円を大きく上回り、過去最高を更新することになるようです。年金積立金は、被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ将来の年金給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら被保険者の利益のために行うというのがGPIFの基本姿勢であります。ところが、安倍政権になって以降、御指摘のように、国内外の株式の構成割合を五割に引き上げ、リスクの高い株式の割合が高まったことで、損益の幅が非常に大きくなっています。また、GPIFは、この四月に五年半ぶりに基本ポートフォリオを変更し、国内債券を一〇%減らし、外国債券を一五から二五%にふやしました。これにより、更に海外リスクが高まるとの指摘もあります。GPIFは、約百六十兆円を運用する世界最大規模の機関投資家です。市場に与える影響も大きく、今のような運用を続けていくことは、国民の不安や不信を招き、年金制度に対する信頼は損なわれてしまいます。そこで、本法案では、年金積立金の資産の額に占める株式の構成割合について、GPIF設立時の株式の構成割合を参考に、おおむね二〇%を超えない範囲で定めるものとし、これを法律上に明記することとしています。なお、株式の構成割合の変更については、市場その他民間活動に与える影響等を勘案して、公布の日から十年の経過措置を設けています。以上です。(拍手)