2020年4月24日衆院厚生労働委員会 平均余命手取り大幅減 年金制度改定案を批判
提出資料➁ 日本年金機構のチラシ表面
提出資料➂ 日本年金機構のチラシ裏面
日本共産党の宮本徹議員は24日の衆院厚生労働委員会で、年金受給の開始を75歳まで遅らせることを可能とする年金制度改定法案について、平均余命を数年超えなければ65歳から受給した場合と実質同額にならないことを国民にきちんと知らせるべきだと主張しました。
同法案は年金の受け取り開始を75歳に遅らせると、月額で84%増になるとしています。しかし、65歳から月額15万円の年金を受給した場合、税が同約1800円、国民健康・後期高齢者医療保険料が同約4000円かかるのに対し、75歳に遅らせると年金が月額27・6万円なのに対し、税が同約1万9000円、後期高齢者医療保険料が同約1万7000円もかかることになります。平均余命の87歳では約370万円の税・保険料の負担増です。
高橋俊之年金局長は、税・社会保険料を控除すると、75歳から受給した場合、受給総額で65歳から受給していた年金額を上回るのは90歳0カ月であることを明らかにしました。
これに対し宮本氏は「厚労省は平均余命まで生きれば中立になる年金だと説明しているが、税金や社会保険料を含めれば、中立だと言えないのが今の答弁でも明らかだ」と批判しました。
さらに宮本氏は、年金機構のチラシが受給開始年齢を遅らせると年金が増額すると書いてあることだけが目立つと批判。税金や保険料が大きく増えることがある事実を、国民へ例示すべきだと強調しました。
以上2020年4月25日付赤旗日刊紙より抜粋
≪第201回2020年4月24日衆院厚生労働委員会第10号 議事録≫
○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、新型コロナウイルス対策について質問いたします。埼玉県で、お二人の方が自宅療養中に亡くなるということが起きてしまいました。大臣は、昨日、軽症者の方は宿泊施設が基本だということを表明されました。その上で、都道府県が宿泊施設を用意する上での国の支援がどうなっているのかということなんですよね。聞こえてくるのは、やはり人的配置をするのが大変だ、医療関係者の確保が大変だということが自治体からは聞こえてくるわけですけれども、その辺の支援が不十分なんじゃないでしょうか。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。宿泊療養をそれぞれの都道府県が選択をしてそれぞれ展開していただくに当たりましては、私どもとして、その運営に当たっての一つのマニュアルの形で、一定の方向性についてお示しをしてございます。その中には、委員御指摘いただきましたように、利用される方々の健康状態をフォローするための一定のスタッフについてもお示しをしてございますし、それに必要な経費につきましては、今回補正において盛り込むことにしております包括支援金などについての御活用もいただきながら、必要な経費についてはきちっと対応させていただく。その中で、それぞれの地域において、関係者の方々の御理解、例えば地域の医師会の関係者の方々あるいは看護協会の方々にも御協力をいただきながら必要な体制をとっていただいているというふうに理解しておりますので、そのあたりが、私どもとしてもしっかり支援をさせていただきたいと思っております。
○宮本委員 しっかり支援できていたら、軽症者の施設はもっとたくさん確保できているわけですよ。実際はそうなっていないわけですよね。総理はたしか、記者会見でこの軽症者の問題を言われたときに、必要ならば自衛隊の医療スタッフも動員してやるんだということをおっしゃられたと思うんですよね。私、そういう記憶がありますよ。軽症者の施設を早く用意しないと、またこういう事態が続くかもわからないわけですよ。自治体が一生懸命、それは医師会とも協力して人を募る、募るのにまだ手が挙がらない段階では、政府の医療スタッフも含めて、軽症者施設を早く用意するために力を尽くすべきなんじゃないですか。大臣、御答弁をお願いします。
○加藤国務大臣 ですから、私どもとして、どういうホテルのグループが受け入れてくれるのかということを、これは観光庁が中心になって情報を集め、それをそれぞれの地方自治体に提供させていただいています。それから、自衛隊に関しても、当初の立ち上げを中心にそうした対応もさせていただくということを申し上げております。主として、予算については、先ほど局長が申し上げたような、そうした宿泊療養施設をつくるに当たっての物的な整備の支援、また人的な配備をすることに対する支援、こういったことも今回の交付金の中に盛り込んだり、場合によっては診療報酬を活用していただいたり、そういったことで対応させていただくということも御説明をさせていただいております。したがって、環境としては我々はできる限りの対応をさせていただき、そしてその中で具体に、それぞれの地域が具体的に、ホテルの中で、動線等も考えながら、ではこのホテルを使いましょうと。そして、地元の医師会等とも御相談をされながら、どうした人的な支援、医療的な支援を受けていくのか、そういったことを今立ち上げていただいて、三十二の都道府県において既に実施をし、あるいは準備に入っている、こういうふうに承知をしているところでありますが、更に県が拡大していくこと、またそれぞれ都道府県において更に宿泊療養の体制がより強化していけるように、更に我々も支援をしていきたいと思っています。
○宮本委員 ちょっと確認したいんですけれども、今、政府の医療スタッフは、軽症者の施設に対して何人が協力されているんでしょうか。
○吉田政府参考人 お答えいたします。政府のというところをいま一つ私どもは受けとめかねているのかもしれませんが、先ほど大臣から答弁がありましたように、これまでの経緯の中におきまして、例えば東京都のように、立ち上げ期における必要に応じて、都道府県からの御要請に応じた自衛隊の応援というのもいただいております。現時点、今々について、地域においてどのような体制を日々組んでおられるかをすべからく把握している、今の時点、この手持ちではございませんが、それぞれのニーズに応じて、私どもとして、必要があれば、またそれについての御相談に応じてまいりたいと考えております。
○宮本委員 実際にどれぐらい医療スタッフが足りなくて、まだ確保できていないんだったらこれだけ出しますよ、そういう相談を詰めて、急いでやっていかなきゃいけないんじゃないですか。埼玉では、確認されたうちの半分ぐらいの方が自宅療養ということになっているわけですよね。物すごく不安だと思いますよ、今、自宅療養をされている皆さんは。このコロナの特徴は、とにかく症状が悪化し始めたら急速に悪くなるということなんですから、だからこそ大臣も、基本はこれからは宿泊施設で、医療スタッフがいるところでということで方針を発展させたわけですから、それを実効あるものにしていただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょう。
○加藤国務大臣 いや、先ほど局長が申し上げたように、政府のというのは、我々自身、国立のそういったものを持っているわけでもありません。今は、JCHOとか、それぞれ独立行政法人であります。あるいはナショナルセンター。きのう東京の施設に行きましたけれども、国立国際研究センターからスタッフが実際に出ているわけでありますから、それを幅広く政府のといえば、そういった支援もさせていただいております。ただ、限定的に言えば、政府のというと厚生労働省にまさに医務技監、医務の関係の方がおられますが、これは行政職としておられるわけでありますので、直接に我々はそれだけの手持ちを持っておりませんが、ただ、国の持っているそうした公的医療機関も含めて、また、先ほど申し上げたように自衛隊においてもそうした対応を図るということ、これを地方に対しても申し上げているところであります。
○宮本委員 実際にどれだけ足りないのかというのを把握して、進めていっていただきたいと思います。それから、二つ目ですけれども、病院の減収に対する支援策についてお伺いしたいと思います。一つは歯医者さんなんですけれども、歯医者さんは、まさに、治療するときに唾液がかかるという職業ですから、感染者がいた場合は感染リスクが一番高いところになるわけですよね。そういう中で、政府自身の事務連絡で「歯科医師の判断により、応急処置に留めることや、緊急性がないと考えられる治療については延期することなども考慮すること。」こういうふうになっています。ですから、私なんかが聞いても、歯医者さんも、緊急じゃないものについては、歯のメンテナンスなんかについては来ないでくれというのをとりわけ高齢の方々にはずっとお話ししているというお話も伺っております。それから、テレワークの影響もあって、都心なんかの歯医者さんは三月の半ばぐらいから患者さんが激減しているという話を聞いているわけであります。政府の側から治療を延期してくれということを言われて、診療報酬が歯医者さんのところはがんと減るわけですよね。歯医者さんの場合は、オンライン診療だとか電話で診療といっても、やれることは限られるわけですよ。入ってくる収入は、ほとんどがやはり実際に会わなきゃできない仕事ですから。これについてはちゃんとした支援策をとらないと閉院するところが相次ぐんじゃないかと思いますが、この点の支援、どうされるんでしょうか。
○吉田政府参考人 お答えいたします。委員御指摘いただきましたように、歯科医療機関におきましては、治療時に唾液等を含む飛沫が生じる歯科診療所の特性を踏まえた留意点、特に院内感染対策として四月六日に事務連絡を発出させていただいて、今引用いただきましたように、歯科診療を行う上で、歯科医師の判断によって、応急処置にとどめることや、緊急性がないと考えられる場合に治療の延期を考慮するということもお示ししてございます。さらに、外出自粛というものの要請を行っておりますので、そのような影響などもあって、歯科医療機関においては収入の減少等の影響があるものというふうに私どもは関係者の方々からお話を伺っております。そのための支援策といたしましては、福祉医療機構が行う融資におきまして、新型コロナウイルス感染症の影響によりやむを得ず機能停止等となった歯科医療機関に対する無利子無担保という形での優遇や、日本政策金融公庫等による実質の無利子無担保の融資、さらには、資金供給の円滑化を図るために、信用保証協会のセーフティーネット保証五号の対象業務に四月の十日から追加をさせていただいております。さらに、経済上の理由により事業縮小が生じた場合には、その事業主が雇用調整のために労働者を休業させ休業手当を支払った場合として、雇用調整助成金による支援、これに加えまして、特に厳しい状況にある歯科医療機関につきましては、今後、中小企業等を対象とする持続化給付金の御活用もいただけるものと承知をしております。
○宮本委員 持続化給付金、先週ここで総理とも議論させていただきましたけれども、その額では家賃の一部にしかならないような場合も少なくないわけですよね、とりわけ都市部では。ですから、もっと踏み込んだ支援が必要だというふうに思います。きょう資料を配付させていただいておりますけれども、こっちは歯医者じゃなくて普通の診療所や病院ですね、東京保険医協会の方が四月の半ばに行われたアンケートの結果です。これは二十日に集計されたものですけれども。四月上旬はどうだったのかということで、外来患者が大きく減ったと。保険診療収入で見れば、半減以上したというところを足せば三割を超えるんですよね。電話再診だとかがどんどんふえているわけですけれども、電話再診では全部の診療報酬は補えるわけはないわけであります。とりわけ、病院の中でも精神科なんかは、通院精神療法の点数は、これは電話再診ではとれないから、収入が減って本当に大変だというのがこのアンケート結果には書かれておりました。ですから、このままでは閉院に追い込まれそうだという声が、幾つもこのアンケートの自由記述欄には書かれておりました。こういうところもしっかり支援していく必要があると思いますし、私、この間、何度も申し上げてきましたけれども、介護あるいは障害者福祉も利用の抑制によって収入が大きく減っているところが少なくありません。こういうところへの踏み込んだ支援策がどうしても欠かせないんじゃないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○吉田政府参考人 お答えいたします。新型コロナウイルス感染症の影響、医療機関あるいは介護福祉、障害福祉事業者、それぞれに事業の継続に支障が生じているというお声をいただいておりますので、私どもとしては、それをしっかり、お話を伺いながら支援を行っていきたいというふうに考えてございます。具体には、医療機関として、先ほど御答弁申し上げましたような、福祉医療機構あるいは政策医療金融機構、さらには信用保証協会などによる取組を行っておりますのに加えて、診療報酬において、重症の新型コロナウイルス感染症患者の診療にさらなる評価が必要であることなどを踏まえまして、当該患者に対する一定の評価、治療への評価を二倍に引き上げさせていただきました。また、介護サービス、障害福祉サービスにおきましては、通所サービス事業者が居宅を訪問してサービスを提供した場合や、電話による安否確認等を行った場合に特例として報酬の算定を可能とする取扱いを示しているところでございます。引き続き、私どもとしては、関係者の方々のお話を伺いながら、いろいろな形から支援をさせていただきたいというふうに考えております。
○宮本委員 介護についても電話でもいいですよ、障害者福祉も電話でもいいですよというのを特例としてやられたわけですけれども、利用料が発生するわけですよね、使う側には。なかなか、例えばデイサービスに来られなくなった方々に電話で、事業者の側はそれで救われるかもわからないですけれども、利用者の側からすれば、電話だけなのに利用料なんですかという話が出てくるわけです。そうすると、事業者の側も、デイサービスに来ていなくて電話だけで、では利用料をお願いできるかといったら、なかなかできないという話になっちゃうわけですよ。ですから、もうちょっと実態に見合った支援策が必要だと思うんですね。やはり、報酬を引き上げていくだとか、あるいは支援金を、自治体でも出しているところがあるじゃないですか。福岡市なんかは、医療機関に対しても、介護施設に対しても、障害者施設に対しても出しているわけですよね。そういうものをぜひ検討していただきたいというふうに思います。その上で、年金法について、前回の続きで質問したいと思います。七十五歳からも受けられるという、七十五歳まで年金の受給開始の選択肢がふえるわけですが、もう一度、前回と違うやり方で計算をお願いしました。単身者で、六十五歳から八十七歳まで月十五万円の年金をもらう場合と、七十五歳から八十七歳まで、その一八四%の月二十七万六千円の年金をもらう場合で、年金所得のみの場合、それぞれ、年金にかかる所得税、住民税の負担及び後期高齢者保険料、これは東京のケースでいいですから、それはどれぐらいで、負担の総額はどれぐらいふえるのか。そして、年金額から所得税、住民税、後期高齢者保険料を引いた額で比べると、七十五歳まで繰り下げて年金を受給する場合、何歳まで受給すれば六十五歳から年金を受給する場合と同じ程度の額となるのか。この計算をお願いします。
○高橋政府参考人 前回と同様に、新宿区を例として計算してということでございましたので、その計算をしてまいりました。御指摘の要件で、年金額にかかる所得税、住民税、保険料の額を機械的に計算をしましたところ、六十五歳から月額十五万円の年金額を受給する場合は、所得税、住民税の月額が約千八百円程度、国民年金保険料若しくは後期高齢者医療の保険料の月額が約四千円程度でございます。一方、年金を七十五歳に繰り下げて八四%増額した月額二十七万六千円の年金額を受給する場合、所得税、住民税の月額が一万九千円、後期高齢者医療の保険料の月額が一万七千円でございます。個々人によりまして、何歳まで生きて何歳から受給を開始して引退生活に入るのかとか、何歳まで長生きして年金を受給するかにつきましては大きく異なりますので、個々人の損得をお示しするものではありませんけれども、その上で、御指摘の要件で機械的な計算を、年金額も税、保険料も変化しない前提で機械的に計算しますと、六十五歳から八十七歳までの二十二年間、月額十五万円の年金額を受給する場合は、年金収入の総額が約三千九百六十万円であるのに対しまして、所得税、住民税、保険料の負担総額は約百五十三万円、一方、七十五歳から八十七歳までの十二年間、月額二十七万六千円の年金額を受給する場合の総額は、年金収入の総額が約三千九百七十四万円であるのに対し、所得税、住民税、保険料の負担総額は約五百十万円となります。また、単純な比較をすることは適切ではないと考えておりますけれども、その上でお求めの計算をいたしますと、七十五歳まで繰り下げた方の税、社会保険料控除後の年金受給額が六十五歳から年金を受給している方のそれを上回るのが九十歳ゼロカ月というふうになります。今後、平均寿命はどんどん延びてまいります。六十五歳を迎えた方が九十歳まで生存する確率を見ますと、現在でも男性の三割以上、女性の約六割でございますし、また、一九九〇年生まれの方で見ますと、男性の四割以上、女性の七割が九十歳まで長生きする社会になるというふうに見込まれてございます。個々人が自分の余命を予測することは困難でありますけれども、公的年金は、何歳まで生きるかわからない中で、繰下げ受給により増額した額を終身受給できるという、安心感がある、保険としてのメリットを持つ制度だということをしっかりと周知して、個々人に御選択いただくということをしてまいりたいと考えてございます。
○宮本委員 ありがとうございます。九十歳ゼロカ月を超えれば、七十五歳に繰り下げた場合でもというお話でした。ただ、さっき、六十五歳から七十五歳までは国保の金額も足しているわけですよね、国保の保険料も。ただ、七十五歳の場合は国保は足していないわけですよね。勤労者だから国保じゃないかもわからないということで、六十五から七十五の側の、こちらは健康保険料は足していないという数字としてということだと思います。その上で、もう一点お伺いしますが、年金に月五千円を上乗せする年金生活者支援給付金ですが、これは、国民年金満額の月六・五万円の方が七十五歳に繰下げした場合は十一万九千六百円になると思いますが、これは受給できないと思うんですよね。年金と年金生活者支援給付金を六十五歳から八十七歳までに受け取る総額と、七十五歳から八十七歳まで受け取る総額、それぞれ幾らなのかというのをお伺いしたいと思います。そして、七十五歳に年金を繰り下げた場合、年金プラスこの年金生活者支援給付金の受取総額が六十五歳から年金を受給した場合の受取総額を超えるのは何歳のときなのか、これも教えていただけるでしょうか。
○高橋政府参考人 先ほどの計算は、国民健康保険、そしてまた七十五歳からは後期高齢者医療、その保険料ということでございました。今の御質問でございますけれども、まず、年金生活者給付金は、年金を含めても所得が低く経済的な援助を必要としている方についての生活の支援、そういう趣旨だということがまず大前提でございまして、したがいまして、基礎年金を繰り下げて裁定請求をしていない間は年金生活者支援給付金を受給することはできないものでございます。そのことも含めまして、御自身にとって望ましい受給のあり方を自由に選択できる仕組みということでございます。満額の基礎年金の受給権を有する方が七十五歳までの繰下げを選択された場合は、年約八十八万円、基礎年金満額プラス十万円という基準を上回りますので、年金生活者支援給付金や補足的年金生活者支援給付金のいずれも受給対象にならないということでございます。七十五歳までの繰下げを選択した方は、七十五歳まで年金を受給しなくても生活を維持できる何らかの糧を有しているということが想定されるということと、七十五歳以降は増額された年金を終身受給することができる、こういった点にも留意することが、単純比較ではなくて、必要ではないかと考えてございます。単純な比較をすることは適切でないという前提の上でお求めの計算をいたしますと、七十五歳まで基礎年金を繰り下げた方の受給総額が六十五歳から基礎年金と年金生活者支援給付金を受給されている方の合計の受給総額を上回るのは八十九歳二カ月の時点でございまして、六十五歳時点での平均余命が八十七・一歳でございますので、若干超えた時点でございます。
○宮本委員 つまり、この場合は、平均余命よりも二年一カ月長生きすれば超えるということであります。ちょっと一つ前の質問に戻りますけれども、さっき、後期高齢の側に、六十五から七十五までの国保も、百五十三万の中には国保の負担料も入っているという話だったんですけれども、国保の負担料を引いた場合は、後期高齢者と税金ということで計算したら、何歳で六十五歳から年金を受給する場合と同じ程度の額になるのか。これは出していますか。
○高橋政府参考人 済みません、先ほどの試算で申し上げましたのは、六十五歳から年金を受給している場合は国民健康保険、七十五歳からは後期高齢ということで計算を申し上げました。また、七十五歳に繰り下げて七十五歳から受給開始といった場合には、七十五歳からの後期高齢の保険料のみ、そこを計算したものでございます。
○宮本委員 ですから、お伺いしたいのは、六十五から七十五は、繰り下げた場合は皆さんの想定が働いているということを想定しているんだと思うんですけれども、その場合は、国保じゃなくて、国保は払わないけれども、かわりに、協会けんぽなり、あるいは企業の健保も入っているわけじゃないですか。それがどれぐらいかというのは比較のしようがないわけですよ、六十五から七十五は。だから、六十五から七十五の国保の負担を除いて比較した場合、後期高齢者の保険料と税金で比較した場合はという計算はやられていますかと。
○高橋政府参考人 先ほどの数字、申し上げた数字が、今御指摘のような、七十五歳からの年金と七十五歳からの税や保険料だけを計算したものでございまして、七十五までの、その間の保険料については計算に入れていないものでございます。
○宮本委員 六十五から七十五の国保は入っているわけでしょう、国保の負担は、さっきのお話で。入っていないんですか。入っていない数字ですね。
○高橋政府参考人 もう一回申し上げます。六十五歳から年金を受給開始している方につきましての税金や保険料はということにつきましては、七十五歳までの国保と七十五歳からの後期高齢を合算しています。一方、七十五歳に繰り下げた場合については、七十五までの分は入れておりません。
○宮本委員 ですから、私の理解では、六十五から七十五の方だけ国保を入れて、七十五に繰り下げた場合は協会けんぽなり企業健保の保険料を払っているわけですから、そこの比較はいろいろな想定があってやりようがないから、六十五からの場合は国保を引いて比べたのも出していただきたいと思っていたんですが、どうも計算してきていないみたいなので、それは後で出してください。いずれにしても、皆さんの説明というのは、高齢者が意欲を持って働ける環境整備だということを一生懸命説明されるわけですね。平均余命まで生きれば中立になる年金だという説明がされてきているわけですけれども、税金や社会保険料まで含めれば、なかなか中立だとは言えないのが今の答弁でも明らかだと思うんですね。その一方、きょう資料でお配りしていますけれども、年金機構のチラシを見ると「大切なお知らせ 受給開始を繰り下げると年金は増額できます。 七十歳で最大四二%UP」と書いています。年金機構の皆さんが何を配っているのかというのを一式もらいましたけれども、これが大変目立つんですね。黄色で「大切なお知らせ」としていますから、人間の目のピントは黄色で合わせますから、このチラシだけにこの黄色が使われているから、これを見てもらおうというのは明らかだと思うんですね。ふえますよというのが書いてあります。次のページにその裏面があるんですけれども、「ご注意いただきたいこと」ということで、税金や保険料がどうなるのか。あるいは、ここには医療保険や介護保険の自己負担という話も書いています。二割負担、三割負担がありますので、年金が高い場合は。あるいは年金生活者支援給付金の話がありますけれども、二行書かれているだけなんですね。「ご注意いただきたいこと」「低年金者に支給される年金生活者支援給付金、医療保険・介護保険等の自己負担や保険料、税金に影響がある場合があります。」その上には、先ほど自民党の委員からあった加給年金や振替加算の不利益のことが書いてあるわけであります。七十五歳まで繰り下げて一八四%の年金ということになると、税金や保険料というのは、七十歳まで繰り下げるときよりもどんとふえるわけですよね、試算していただきましたけれども。やはり、税金や社会保険料が実際これぐらいだったらこれぐらいふえますよという例示をあわせてやらないと、大変不親切な大切なお知らせになっちゃうんじゃないかなと私は思うんですよね。大臣、そう思われませんか、このお知らせを見て。
○加藤国務大臣 もちろん、その方が、年金以外もあるわけでありますから、どういった所得状況かによってそれはそれぞれ変わってくるんだろうと思いますので、まさにこれは、年金そのものがどうふえるのかということをるる御説明をさせていただいておりまして、特に、年金という中においては、加給年金と振替加算は一つの制度になっておりますから、それを書き、それ以外に、保険料あるいは税金の問題はありますということを注意書きをさせていただいている。あとは、個々それぞれの、御自身の資産所得とか、あるいは雇用による所得とか、それぞれによって異なってくるわけでありますから、それはそれぞれ、その中で保険料、税金についてはこれまたお考えいただくということなんだろうというふうに思います。
○宮本委員 それぞれはそれぞれなんですけれども、税金や保険料のふえ方は、物すごく大きくふえるケースが多いわけですよ。平均的な厚生年金、十五万円ですからね。それで大体試算してもらったわけですよ、今回は。その税と保険料の負担のふえ方が物すごく大きいわけですから、平均の場合はこれぐらいふえますというのを例示するぐらいやらないと、あるいは、大きくふえることがありますということをちゃんと書かないと、私は、ミスリードを国民にすることになりかねないというふうに思いますよ。
○盛山委員長 時間となっておりますから、簡潔な答弁を。
○加藤国務大臣 いや、ですから、比較するなら、六十五から七十五までどういう形で所得を獲得するのか、どういう生活をされるのか、これによって全部、比較が変わってくるんですね。ですから、さまざまな比較がありますので、それはなかなか一律にこうだという、先ほど委員は、委員の前提においての計算はされておりますけれども、では六十五から七十五までどういう働き方をするのか、あるいは貯金を取り崩して生活をしていくのか、これはいろいろなパターンがありますから、一概に、どっちが有利でどっちが何だ、あるいはその場合は幾らだ、これはなかなかお示しするのは難しいんじゃないかと思います。
○宮本委員 それは私は大変不親切な話だと思いますよ。少なくとも、平均の場合はこれぐらいです、あるいは、かなり大きな、税金や社会保険の負担がふえるケースがありますよというぐらいは言うべきですよ。これだけを見たら、物すごくお得ですよとしか、このお知らせを見たら見えないわけですよね。平均まで生きた場合はお得じゃないケースがたくさんあるというのが実際なわけですから。長生きしたら得ですよ、平均よりも長生きしましょうねという、書くかどうかは別にあれですけれども。それは、人生それぞれありますから。ですけれども、ちゃんとそれぐらいは国民に対して知らせるべきだろうということを私は強く申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。