2020年5月13日 衆院厚生労働委員会 「雇調金」の延長必要 宮本氏「雇用維持図れぬ」

提出資料① 一般社団法人全国介護事業者連盟「新型コロナウイルス感染症に係る経営状況への影響について『緊急調査』集計結果
提出資料➁ 上段出典:厚生省健康政策局通知 下段出典:療養費の支給基準 

 日本共産党の宮本徹議員は13日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う雇用調整助成金の特例措置の期限を6月30日より後ろに延ばすべきだと求め、加藤勝信厚労相は「必要な対応を講じたい」と述べました。
 宮本氏は、5月末に派遣労働者に対して6月30日での雇い止め通告がされるとの指摘に触れ、特例措置の「期間を延ばさなければ、派遣・契約社員などの雇用維持が図れない」と追及。加藤厚労相は「感染状況、経済雇用状況を見極めつつ必要な対応を講じたい」と答弁し、宮本氏は「早急に判断を」と求めました。
 宮本氏は「派遣先企業が契約を中途解除しないよう強力に働きかけを」と要求。加藤厚労相は、「必要に応じて指導等を行う」と述べました。

以上2020年5月19日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第201回2020年5月13日衆院厚生労働委員会第12号 議事録≫

○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、予算委員会の続きですけれども、派遣の問題についてお伺いします。予算委員会の際に、派遣の解雇等、厚労省がつかんでいる数が三百九人という答弁がありましたけれども、そんなはずないだろうと思って、信濃毎日新聞の報道を見たら、長野労働局が派遣元八社に聞き取った解雇や雇いどめ、見込みを含む、が、四月一日以降、百四十九人と。もっと実際は厚労省自身もつかんでいるんじゃないかというふうに思いますが、改めて派遣について、全国の雇いどめ、見込みを含む数を教えていただけますか。
○小林政府参考人 お答えいたします。まず、労働力調査がございます。労働力調査で見ますと、非正規の職員、従業員、三月の数字でございますが、前年同月差で二十六万人の減少ということになっております。その内訳を雇用形態別に見ますと、労働者派遣事業所の派遣社員、三月は前年同月差で二万人の減少という数字になっております。また、先ほど御指摘ございましたが、都道府県労働局、それから業界団体等を通じまして情報収集を行っておりますが、五月十二日時点で労働者派遣事業について申し上げますと、解雇等見込み労働者数が四百名ということになっております。契約の不更新だけでなく、中途解除というのも一部出始めてきておるところでございますので、引き続き状況をしっかりと注視してまいりたいというふうに思います。
○宮本委員 四百名というのは、これは長野の労働局の百四十九人を入れた数なんですか。
○小林政府参考人 私ども、各都道府県の数字を積み上げて、先ほどのように、解雇等見込み労働者数、全体で六千二百名余ということでございますが、うち派遣については、先ほどの四百名ということになっております。
○宮本委員 だから、それはどういうつかみ方をしているのかなというふうに私は思っちゃうんですよね。多分、長野の労働局だけは、ちょっと報道を見たら、派遣元にみずから聞き取りをして、つかんだ数が報道されたんだと思うんですけれども、全国的にはそういうことをやっていないから、四百という数になっちゃうんじゃないかというふうに思うんですよね。予算委員会で加藤大臣も答弁されたように、七月一日からの新しい更新に向けて、この五月に相当、もう次は更新しませんよというのをやられる可能性が高いと言われているわけですから、これをやはり本当に前もってしっかりつかんで指導をしていただきたいというふうに思うんですね。その上で、予算委員会では派遣元の責任についてお伺いしましたけれども、派遣先の責任についても、きょうはお伺いしたいと思います。本来、直接雇用が、雇用は原則だ、派遣というのは一時的、臨時的なものに限って、常用雇用の代替にしてはならない、これが大原則だということだと思うんですが、実態は常用雇用の代替として派遣を使って、こういう局面になったら雇用の調整弁として使うというのがまかり通っているわけであります。先ほど、中途解除が出てきているという御答弁もございましたけれども、派遣先が派遣契約の中途解約、中途解除をした場合は、あるいは契約を更新しないということになった場合は、多くの場合は、派遣元から派遣労働者が解雇されるあるいは雇いどめされる、ここに直結していくわけですよね。ですから、派遣先に対しても派遣契約の中途解除を行わないように、これから強力に働きかける必要があると思いますが、この点、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 派遣労働者の方々の雇用安定を図るため、派遣先が安易に労働者派遣契約の中途解除を行うことのないように、これまでも主要経済団体に対して繰り返し要請を行い、また、派遣元、派遣先に対しても周知を図っているところであります。具体的には、派遣先の都合による労働者派遣契約の中途解除が行われた場合には、派遣先において新たな就業機会を確保すること、派遣元において派遣労働者の休業手当が支払われるよう、派遣先が休業手当相当額を負担することなどの措置を講ずる必要がある、その旨を派遣先に周知をしております。また、派遣労働者の解雇等の見込みについては、都道府県労働局において、先ほど申し上げたような形で情報収集を行っており、派遣先がこの措置を適切に講じているか確認をし、都道府県労働局において必要な指導も行っているところであります。今後とも、派遣労働者に係る状況をしっかり注視をしながら、また、必要に応じて、先ほど申し上げた指導等、あるいは情報収集、指導等を行いながら、雇用を守る、こうした立場に立って、引き続き必要な対応を図っていきたいと思っております。
○宮本委員 指導するということなんですけれども、今指導しているとおっしゃられても、厚労省がつかんでいるのは四百人だと。でも、実際は、労働力調査で見たら二万人、三月で減っていると。四月は物すごい数、もっと減っていますよ。五月はもっと更に減っていく。派遣労働者は雇いどめに遭っているわけですよね。ですから、本当にこれは乗り出してやっていかなきゃいけないことだと思います。そして、派遣元が果たすべき雇用安定措置の第一として掲げられているのが、派遣先への直接雇用の依頼なんですね。V字回復というのが今後いつになっていくのかというのは全くわからないわけですけれども、本来は、派遣先にしても、新しい人にV字回復後に一から仕事を覚えていただくよりも、仕事に熟達、熟知している方がいる方がV字回復は図れるということだと思うんですね。ですから、派遣先が派遣元から直接雇用の依頼を受けた場合、雇用調整助成金を使えるわけですから、これは使えるわけですよね。ですから、それも使って、やはり直接雇用に積極的に応じるように、政府としても派遣先に強く求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
○小林政府参考人 まず、今御指摘いただきました雇用調整助成金でございますけれども、今回、特例措置ということで、六カ月未満の労働者も対象とすることといたしております。したがいまして、派遣先において直接雇用された場合には、雇用調整助成金を利用できるということになります。今御指摘ございましたように、派遣元事業主、派遣会社の方におきましては、雇用安定措置として、派遣先に対して直接雇用の依頼をするという義務が義務の一つとしてかかることになっております。また、これが達せられない場合には別の派遣先を提供する等の措置も講じなければならないことになっております。そうした中で、派遣先にできるだけ雇用していただくということが望ましいという状況は御指摘のとおりでございまして、現在、私どもとしては、派遣先に対して、安易な中途解除を行わないようにということを繰り返し要請してきておるところでございますが、こういったことを超えて、更に雇用を守るという観点に立って対応していただくように働きかけてまいりたいというふうに思います。
○宮本委員 派遣法が改正される前は、派遣先の側に労働契約申込義務というのがあったわけですけれども、それがなくなっちゃったわけですよね。ですから、今、現行法で唯一定められている派遣先の義務は、雇入れの努力義務しかない。政治が派遣先の側の責任を取っ払っちゃったという政治の側の責任があるわけですから、法律で努力義務しかないわけですけれども、やはり、政治がここは本当に責任を果たさないと、犠牲が全部派遣労働者に背負わされることになりますので、しっかりお願いしたいと思います。それと、六月三十日で契約が切れる方々への雇いどめの通告が五月末に一斉になされていく可能性があるわけですね。これは、派遣先が直接雇用するのであれ、あるいは派遣元で雇用を継続するのであれ、雇用調整助成金を使っていこうと思ったら、今、雇用調整助成金の助成率引上げの特例期間というのは六月三十日までになっているわけですよね、六月三十日。これを延ばさないと、この問題には対応できないと思うんですよね。ですから、今から本当に、派遣先、派遣元に対して、あるいは、それ以外も、非正規の方々なんかもたくさん雇いどめになる可能性はあるわけですけれども、この特例期間を延ばすということにならないと、厚労省の指導が実効あるものにならないと思うんです。ぜひこれを早急に延ばしていただきたいと思いますが、いかがですか。この点、大臣にお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例については、四月一日から、いわば当面ということで、三カ月間、六月三十までの緊急対応期間ということを設定して、そこにかかるということでございます。その後の対応については、今後の感染状況あるいはその影響による経済、雇用情勢、そうしたものをしっかり見きわめつつ、また、先ほどのお話にもありました、雇用のそうした流れ、こうしたものを見きわめつつ、必要な対応を講じていきたいというふうに考えています。
○宮本委員 今の答弁は、見きわめて対応を考えるということだと思うんですけれども、その見きわめる後ろというのはいつごろまでと考えているんですかね。きょうはもう五月の十三日ということで、五月末には一斉に、これで終わりですよという話が、恐らくかなりの数やられると思います。これは労働局からぜひ派遣元に話を聞いてもらえばいいと思いますけれども、私たちが聞いている話でも、かなりそういう話を聞いていますので。延ばすなら早く決断しなきゃいけないし、延ばす決断をする必要があると思うんですけれども、いつごろまでに判断されようと思っているんですか。
○加藤国務大臣 今、雇調金については、雇調金そのものの制度をどうするかという議論もありますから、そうしたことの議論も含めて考えていく必要があるんだろうというふうに思います。
○宮本委員 いや、それはわかりますよ。雇調金そのものを、上限の引上げだとか何だとかというのもありますけれども、ただ、期間については、これは延ばす方向で検討しているということぐらいはもうにじみ出しておかないと、なかなか、雇用を継続してくれ、雇調金を使ってくれという話にならないんじゃないですかね。
○加藤国務大臣 ですから、先ほど答弁を申し上げたとおり、今委員の御指摘、派遣事業者の雇用の状況等をよく見きわめながら、ただし、最初に申し上げたこの三カ月は、当面の措置ということで三カ月間置いたわけでありますから、状況状況を見ながら、それから、今申し上げた、制度そのものをどうするか、どう拡充するかということがありますので、そうした議論の趨勢も見きわめて判断をしていきたいというふうに思います。
○宮本委員 早急な判断をお願いしておきたいと思います。次に、国民健康保険の傷病手当金についてお伺いしたいと思います。これも三月にここで大臣と議論した記憶がありますけれども、コロナに感染したり、あるいはその疑いで仕事を休む場合、非正規労働者については、国が全額について財政措置をとるということになりました。ですけれども、この財政措置の対象は給与等を受ける被用者に限られているわけですね。国保には個人事業主やフリーランスも当然入っているわけですけれども、自営業の皆さんは入っているわけですが、こうした方々が財政措置の対象とはなっていません。国の方は、自治体が条例改正すれば、それは当然、自治体で支給の対象拡大はできますよ、こういうことは言っているわけでありますけれども、しかし、国の財政措置がないと、自治体も二の足を踏んじゃうわけですよね。私なんかが聞いている話では、同じように自分たちも保険料を払っているのに、差別じゃないか、こういう話も伺うわけですね。保険料は同じように払っているわけですから、傷病手当金の給付で区別するというのは、私はどう考えてもおかしいので、これは個人事業主やフリーランスも国の財政措置の対象に含める、そういうことを今度の補正予算でやっていく必要があるんじゃないかと思いますが、この点は大臣に御所見をお伺いします。
○加藤国務大臣 傷病手当金については、療養のため労務不能となり、収入の減少を来した場合に、ある程度補填をして生活保障を行おうという趣旨でありまして、健康保険法においては法定給付、国民健康保険においては任意給付とされておりまして、コロナ感染症の拡大が始まる前は、ほとんど、たしか全くと言ってもいいと思いましたけれども、任意給付がなされていなかった。そうした状況を踏まえて、これは自治体からの要望もあって、被用者に対して傷病手当金を支給する、こうした御要望がありましたので、私どもも、国が特例的に財政を支援することとしたところでありまして、現時点で八割以上の市町村が傷病手当金を支給する又は支給する方向で検討されているというふうに伺っております。ただ、国民健康保険にはさまざまな就業、生活形態の方が加入しておりまして、自営業者等は、被用者と異なって、療養の際の収入減少の状況も多様であり、所得補償として妥当な支給額の算出が難しいなどの課題が従来からも指摘をされていたところであります。なお、制度としては、先ほど委員のお話がありましたように、被用者以外にも支給することは、これは可能な仕組みとなっているのはそのとおりであります。なお、所得補償とは異なりますけれども、国民健康保険では、新型コロナウイルス感染症の影響により収入減少等がある場合に保険料を減免することが可能になるよう、保険者への特例的な財政支援も講じているところであります。こうした措置を含めて、あるいはさまざまな事業者支援のスキームもございます、そういったことも含めて対応していただきたい、あるいは対応に当たっていきたいというふうに思っています。
○宮本委員 被用者以外は収入の減少をどうやって判断するんだと、収入の問題ですかね、それは難しいんだという話がありましたけれども、それはいろいろなやり方が考えられると思いますよ、私は。最低賃金で出すだとか、そういうことなんかも考えられると思いますよ。ただ、やはり、同じ保険料を納めて、この間、雇用類似の働き方というのもずっと国会でも議論されているように、形としては個人事業主だけれども被用者に近い働き方をされている方、雇用に近い方というのはかなりたくさんいらっしゃるわけですから。今ふえているウーバーイーツの方、物すごく町でたくさん見ますけれども、仕事を失って、ウーバーイーツの方もいっぱい働いていますが、あの人たちも対象にならないわけですよね、今のままでは。ですから、そこはちょっと踏み込んで考える必要があると思いますよ。もともと、これを始める理由というのは、感染拡大防止のためだということだったと思うんですよね。仕事を休みやすい環境をつくる、コロナに感染している疑いがある場合もやはり仕事を休むということをしないと職場での感染拡大が広がるじゃないか、こういう議論を一番初めに大臣とさせていただいたことを覚えていますけれども、そこからこれは始まったんだと思うんですよね。ですから、同じ感染拡大防止の観点からいえば、これはぜひ考えていただきたいというふうに思いますので、そのことだけ申し上げておきたいと思います。それからもう一点、生活保護のコロナ特例についてお伺いしたいと思います。けさのNHK、朝見ていましたら、若い路上生活者がふえているというのを仙台の事例で取り上げてやっていました。ごらんになった方もいらっしゃると思いますけれども、仕事を失って、ネットカフェは使えない、あるいは派遣切りとともに寮を失ったということが取り上げられておりました。本当に今、仕事を失って収入を失って、大変苦しい生活をされている方がふえております。そういう中で、日弁連の会長が生活保護の特例というのを出しました。その中ではこう言っているんですね。保護開始時の現金、預貯金は最低生活費の五割しか認めない運用を改めて、少なくとも最低生活費三カ月分までは保有を認めればいいじゃないか、そして、収入基準の審査のみで保護の要否判定を行うというのをこの期間は特例的にやったらいいんじゃないか、こういうことが書かれておりました。今回、急に収入を失った方々というのは、病気になって生活保護になるわけでもなく、けがをして生活保護になるわけでもなく、本当に一時的な話なんですよね。一時的に仕事が、本当に経済活動全体が縮小する中で仕事ができない、この状況がなくなったらまた働けるという人たちですから、そういう人たちをどう救うのか。確かにいろいろな議論をされているのは知っていますよ、みなし失業の議論もこの間ありましたし、政府部内では休業した方に対して給付を出そうという検討も進んでいるというのがきょう報道もありましたけれども、私なんかはもともと、生活保護をもっと受けやすいものにすれば解決する話じゃないかということも思うわけですね。この日弁連の提案について、本会議でもお伺いしましたけれども、やはり踏み込んで検討する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 まさにこの新型コロナウイルス感染症の拡大という状況を踏まえて必要な対応をとっていくということで、これまでも生活保護の認定というんでしょうか、それを認めることに対して弾力的な対応もとらせていただいておりますので、そういったものと、そもそもの生活保護制度からくるもの、それをどうするか、これは別の議論なんだと思います。ですから、先ほどお話がありました日弁連の会長がおっしゃったように、例えば、最低生活費三カ月分までは保有を認めること、これはもともと、活用可能な資産を有していながら保護を行うということは生活保護の補足性というものとは必ずしも一致をしないということでもありますので、本来の生活保護制度というものの運用というのは運用として持ちながら、しかし、その中で、先ほどお話がありましたように、一時的に生活保護水準になられて、しかし、この状況が終わればまたもとに戻っていかれる可能性がある、そういった方に対する運用、対応をどうするかについては、もう既に弾力的な運用もお示しをさせていただいているところであります。
○宮本委員 ですから、弾力的な運用といっても、収入、資産要件は従来どおりになっているわけですよね、基本的には。半月までの資産と。そこまで減ったら、その次にまた立ち上がるときが大変になるわけですよね。だから、もうちょっと余裕を持った、三カ月分ぐらい、せめて保有を認めるようにした方がいいんじゃないかというのが日弁連の提案であります。いずれにしても、本当に今、一時的に収入が落ち込んで大変な方がたくさんいるわけですから、緊急にどうするのかというのは踏み込んで更に考えていただきたいと思います。それから、もう一点ですけれども、先ほど白石議員からもお話がありましたけれども、介護の収入の落ち込みの問題、私からも一言させていただきたいと思います。もう何度もお話しさせていただきましたけれども、きょう、介護事業者連盟の行った調査を資料としてお配りしておきました。これは、全体、特養から何から、どれぐらいの事業所がどれぐらいの比率で減収しているのかという話があったわけですけれども、先ほど白石さんのお話にあったとおり、通所介護がとりわけ大きな減収になっているわけですよね。利用控えというのがあります。これは二月と三月を比べたものということになっています。二月の最終週と三月の最終週を比べたものだとかいろいろなものが出されておりますけれども、四月ということを考えたら、もっと、緊急事態宣言で利用控えは、私が聞いている話でも進んでおります。何らか考えなきゃいけないという答弁がありましたけれども、私は、考え方としては、こういう福祉の事業所ですから、基本はやはり前年並みの収入、前年同月並みの収入を補償していくというのが基本的な考え方だというふうに思うんですよね。そうしていかないと、人を抱えて家賃も払って介護事業所を運営しているわけですから、大きく減るというのが、これから感染拡大、拡大状況とそれがおさまる状況と波を繰り返しながらということを考えたら、長い間、そういう通所控えというのが続く可能性があるわけですよね。ですから、前年というのを一つの基準にしてしっかりと補償していく必要があるんじゃないかと思いますが、その点、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 何を基準に物を考えるかというのは多分いろいろあると思いますが、やはり大事なことは、通所であり訪問であり、こうした事業が、それぞれの地域で高齢者の方、今、サービスによっては障害者の方々を支え、またその家族を支えておられるわけでありますから、そうしたサービスが引き続き継続して実施をしていただける環境あるいは経営状況をつくっていくということが必要なんだろうと思いますし、また、そうした事業主体そのものはもともと高い利益率を持っているわけでもありません。そうしたことも踏まえながら、先ほども申し上げた、今お示しをいただきましたけれども、これは二月、三月でありますけれども、三月の介護報酬のそれぞれの請求状況、あるいは四月分ももう今出てきていますから、そういったことも踏まえながら、そうした事業体が引き続き事業を継続していただき、地域における高齢者、障害者を支えていただける、こういうふうにしていかなきゃならないというふうに思っています。
○宮本委員 しっかり対応をお願いしたいと思います。最後に、一月前に取り上げさせていただきました靴型装具の問題、残った時間でお話しさせていただきたいと思います。四月に、二〇一八年の誤った通知の誤った運用で、障害者の方が、やっと自分が歩ける靴をつくってもらえる技術者に出会ったのに、突然、保険でその靴がつくれなくなったというお話をさせていただきました。そして、その際の答弁は、義肢装具士以外が治療用装具の採寸等を行うのは事実上違法行為だというような答弁があったわけですね。四月十四日の吉田医政局長の答弁は、治療を継続している又は治療が必要とされる患者に係る義肢装具の採型及び適合については医行為に該当するものと考えておりますと、この医行為ができるのは義肢装具士だけだという話でありました。しかし、私は、この見解というのは深刻な矛盾があると思います。じゃ、義肢装具士法以前というのは、装具作製者は医療現場で患者に採寸、採型、適合を行っていましたけれども、全部違法行為だったということになっちゃうわけですね。あるいは、現在、私、この間、靴屋さんの話をしましたけれども、義肢装具士の資格を取らない、靴型装具の専門的なコースを持つ専門学校というのがあります。ここの学校を出て義肢装具士の会社に勤められる方がたくさんいらっしゃるわけですよね。その学校の卒業生も当然、医療現場で患者に採寸、採型、適合をやっていますが、これが違法行為になっちゃうわけですよね。仕事ができなくなっちゃうという新たな深刻な問題が生じると思うんですよ。この間の答弁の見解でいくと、私、問題がどんどんどんどん拡大するというふうに思っています。改めて法律制定時の通知を私も見てみましたけれども、きょう資料でお配りしましたが、これは通知についている、別記様式と書いているんですね。これは何かといいますと、法律ができたときに、義肢装具士の資格をつくるわけですけれども、その試験もできるわけですけれども、そのときに使うものの証明書なんです。こう書いていますね。「私は、義肢装具士法附則第三条の趣旨が、これまで医療の現場において実際に適法に義肢装具の採型(採寸を含む。)、製作及び適合の業務を行ってきた者に、法施行後も継続して業務を行うことができるようにするために設けられた特例措置であることを理解し、」云々云々と書いています。つまり、義肢装具士法ができる以前も、ここに書いているとおり、医療の現場で採型、採寸、製作、適合。義肢装具士法以前ですからね、義肢装具士じゃない方が、国家資格がない時代にやっていたんですよ。そうとしか、通知を見る限りでは読めないわけですね。実際、そうなわけですよね。医療の現場で採型、採寸、国家資格なしで患者に対してやれているじゃないですか。なぜそれがこの間のような答弁になるんですか、治療を継続している又は治療が必要とされている患者に係る採型、採寸、適合は医行為になるんだと。全部は医行為にならないはずですよ。私は、このときの通知とこの間の答弁というのは、全くそごを来しているというふうに思います。そして、その下を見ていただきたいと思うんですけれども、これは今、療養費の支給基準というのを出しています。もともとはこれは厚生省の時代の医療課が編集していた小冊子、それを今はほかのところが引き継いで出していますけれども、この下の段落を見ていただければわかりますように、「治療用装具の実際の製作過程についてみると、装具製作者が製作のみならず医師の指示のもとに採型、装着等にも関与している例が通常である。」と。通常なんですよ、これは。これは義肢装具士と書いていないわけですよね。義肢装具士以外が医療現場で医師の指示のもとに、治療を継続している患者に対して、過去から現在まで、やることは認められてきているわけですよ。厚労省自身もいろいろなところで書いてあるじゃないですか。何で全部が医行為になるんだと。私は本当にこれはおかしいと思いますよ。この点、大臣、ちゃんと整理する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 済みません、通知レベルまで見れば、ちょっと私もすぐに答えられませんけれども、ただ、これはもともと、義肢装具士法上、義肢装具士の業務として、義肢装具の製作と義肢装具の装着部位の採型及び身体への適合、これが定められております。このうち、義肢装具の採型、適合については、人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある行為である医行為に該当するものとそうでないものが含まれており、医行為に該当するものに関しては、義肢装具士法の制定前は、医師や看護師等でなければ業として行ってはならないとされていた。そして、医行為に該当するかについては、最終的には個別具体的な判断になりますけれども、一般的には、治療を要する患者の患部への義肢装具の採型、適合については、適切に行わなければ患者の患部に危害を及ぼすおそれがあると考えられるため、医行為に該当するというふうに考えているということであります。医行為に該当しない場合ももちろんあります。そうした行為や義肢装具の製作については、医行為に該当しないため、一方で、治療までは要しない方や治療が完了した方に対して、その日常生活の補助や、疾病、けがの予防のための義手や義足、靴型装具を製作する際に行う採型、適合などであれば、これは医行為に該当しない場合もある。したがって、そうした行為や義肢装具の製作については、医行為に該当しないため、義肢装具士法の制定前から現在においても、無資格者であっても適法に行われたというふうに整理がなされているというふうに承知をしているところであります。
○盛山委員長 宮本君、既に持ち時間が終了しておりますので、まとめてください。
○宮本委員 僕、ちょっと今の答弁は納得いかないので、また次やらせていただきますけれども、治療といっても、生々しい治療と、そうじゃない治療があるわけでしょう。難病で、徐々に足の長さが片足が短くなっていくだとか、あるいは徐々に足が変形していくだとか。生々しい状態にある方に対して適合、採寸する際は医行為に該当するかもわからないですけれども、そうじゃない治療中の患者、治療中といったって、ずっと治療中ですからね、難病の方は。そういう方に対して、全てが医行為に当てはまるわけがないわけですよ。だけれども、そういうふうに医行為に全部当てはめて、できないという扱いを今しちゃっているわけですよね。ですから、その治療というのに対しても、いろいろな治療があるわけですよ、治療を継続している患者といっても。そこをちゃんと整理をしていただきたい。そうしないとこの問題は解決しないと思っていますので、また続きをさせていただきます。