2020年5月15日 衆院厚生労働委員会(動画)

提出資料① 第24回社会保障審議会福祉部会当日配布資料奥山委員提出資料の1枚目
提出資料➁ 第24回社会保障審議会福祉部会当日配布資料奥山委員提出資料の2枚目

 

≪第201回2020年5月15日衆院厚生労働委員会第13号 議事録≫

○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず初めに、資金繰り支援と日本政策金融公庫の姿勢についてお伺いしたいと思います。一昨日、年商六億円を超えるある社長さんからの苦情を伺いました。従業員の給与を支払うのも家賃も大変なので、日本政策金融公庫に実質無担保無利子の三千万上限の別枠融資を受けたいという相談をしたら、別枠というのは建前だ、こう言われたというんですよね。この社長さんは、もともと政策金融公庫に五千万借りていて、事業を広げている最中だったんですけれども、これまでに六百万円返して残債が四千四百万円だそうですけれども、借りられるのは六百万円だと。もともと五千万借りていて、六百万返したら新しく借りられるのは六百万ですよと話をされたという話なんですよね。もともと借りている五千万というのは、土地を担保に入れて借りているわけですよ。だから、逆に言えば、別枠で実質無担保無利子だという話をされても、別枠は一切ないという話だという。大変憤っておられる状況でございました。これまでも、別枠と言われても実際は別枠ではないという、いろいろな苦情もいろいろな議員のところに寄せられていたというふうに思うんですが、そのたびに国会でも問題になって、そういうのはなくすという話だったんですが、いまだにこういうことが繰り返されている実態があるわけであります。事業存続に本当にこの融資というのは不可欠な事態に今なっているわけですよね。事業の継続が図れるようにこれは是正すべきだと思います。きょうは経産省と財務省がそれぞれ来ていますので、よろしくお願いします。
○松本副大臣 中小企業の事業継続にとりまして、資金繰りの確保は何よりも重要であるというふうに理解をしております。日本政策金融公庫では、五月十三日までに約四十五万件の融資申込みを受け付けておりまして、二十五万件、四・二兆円を超える融資を既に決定をいたしているところであります。他方、委員御指摘のとおり、融資を断られたという声もあることは承知をしております。経済産業省から政府系金融機関等に対しまして、融資、保証審査に際しては、赤字や債務超過、貸出条件の変更といった形式的な事象のみで判断するのではなく、事業者の実情に応じて最大限の配慮を行うよう累次にわたって要請をしているところであります。融資の審査に当たりましてはこうした要請を踏まえまして事業者に寄り添った対応に努めているものと承知をしているところでありますけれども、今委員から御指摘のようなことがあったのだとすれば、それは、もちろん、どちらが言ったとか言わないとか、それが事実かとかというのは別として、やはり事業者の皆さんにそういう思いを持たれてしまうということは何としても避けていかなければいけないというふうに理解をしているところであります。万一、公庫の対応について問題がある等の指摘がありましたら、しっかりと確認をし、必要に応じて指導していくことによって運用の改善を図ってまいりたいと存じます。
○井上大臣政務官 お答えいたします。今、松本副大臣からもお話がありましたけれども、新型コロナウイルス感染症を受けて、事業者の資金繰りについて、三月の六日、十六日、四月の二十七日の三たびにわたりまして、日本政策金融公庫等に対しまして事業者の実情に応じた対応に万全を期するよう麻生大臣から要請を行っております。また、四月八日、緊急事態宣言が発令されたときでありますけれども、総理からも日本政策金融公庫に対して迅速かつ柔軟な対応などをお願いしたところでございます。今御指摘がありましたことに対して真摯に受けとめて、引き続き、事業者の資金繰りに支障が生じることがないように全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。
○宮本委員 しっかり指導をお願いしたいというふうに思います。先ほど赤字だとかなんとかにかかわらずという話がありましたけれども、ちなみに、この事業所は返済できるぐらい黒字でこのコロナ危機まではやっていたところですからね。年商もこれだけあって黒字でやってきているところに対して、別枠は一つも出さないみたいに受け取られるようなことをやっているということ自体が大変問題で、先ほど廃業、倒産の話がありましたけれども、そのことによってやめることになったら日本社会にとっても大変な損失ですし、働いている方、経営している方の生活にもかかわる問題になりますから、しっかりと指導していただきたいということを申し上げて、この問題は終わりにしたいと思います。きょうはこれで御退席していただいていいです。ありがとうございました。次に、雇用の問題についてお伺いします。先ほどの山井さんへの大臣の答弁を伺っていまして、雇用調整助成金について、前払いというか、先ほど話があったとおり、払っていなくても、これだけ払いますよという計画が出た段階で申請を受け付けるということなんですよね。では、出る段階はいつなんですか。前払いではない。申請は先に受け付ける、それで、給与を支払った途端に出すという感じなんですか。ちょっと、その辺のイメージを教えてください。
○加藤国務大臣 そこは、きちんと、給与支払い明細書というんでしょうか、そういったものをお出しいただければ、それを受けて申請を、これはいろいろなチェックをしなければなりませんから、申請をして、支給するということで、その間に支給したかどうかという確認ということは、今の段階で予定はしていないと聞いております。
○宮本委員 ちょっとよくわからないですね。
○小林政府参考人 お答えいたします。実際、手当、給与の支払いというのは、賃金締切日に応じて締めた上で、実際の支給には一定のタイムラグがあるということであります。少なくとも、賃金締め切りということになりますと、どれだけ支払うかということは確定されるわけでございますので、もうその時点から我々の審査業務というのはスタートできるということはあると思います。ただ、実際には、雇用調整助成金は、きちんと支払っていただくということは確認しないといけないということはございますので、支払いを確認できれば直ちに支給決定は行える、そういうふうに運用してまいりたいというふうに思います。
○宮本委員 ということは、前払いではないということで、そこはやはり、私はぜひ更に考えていただきたいと思います。(発言する者あり)
○盛山委員長 では、時計をとめてください。
〔速記中止〕
○盛山委員長 時計を動かしてください。加藤厚生労働大臣。
○加藤国務大臣 先ほど申し上げたのは、まず、前払いではないということですね。まず、どこで申請をしていただけるかというのは、要するに、給与支払い明細みたいなものをきちんとつくっていただいたその段階で、まだ個々の働いている方の預金口座には振り込みがなされていなくても、その段階で申請を受けさせていただいて、我々は審査手続に入っていくということであります。最終的に支給決定ということになれば、その段階では別に確認作業をしていなくても支給はさせていただきますが、もちろん事後的には確認させていただくということにはなるわけであります。
○宮本委員 ですから、幾ら支払うという明細が出た段階で申請は受け付ける、雇用調整助成金が振り込まれ、支払いは確認される。そこをちょっとお願いします。
○加藤国務大臣 ですから、申請のチェックさえ終われば支給決定がされまして、当然振り込まれます。ただ、それと今申し上げた支給確認とは、支給というか、言葉が二つ入っちゃっていますけれども、給与の支払いが、休業手当の支払いがなされたということを確認した上で支給をするという段取りは踏みません。したがって、そこは、支給しようがしていなくても、要するに、事務的な手続がなされて、これは支給決定ができるんですねということであれば、支給決定はされます。ただ、もちろん、事後的に、ちゃんと払われたかどうかの確認、これは当然必要だということを申し上げたということです。
○宮本委員 今の最後のが大臣の答弁だということで、それは理解します。それで、あともう幾つか確認したいことがあるんですけれども、大臣はけさの記者会見で、休業した場合の給付金にかかわって、使用者の責めに帰すべき事由により労働者を休業させた場合は休業手当の支払い義務があると強調したという話で、この新しい休業給付金がどういうものなのかなというのをちょっとお伺いしたいんです。これは、雇調金も過去にさかのぼって特例を適用するという話ですけれども、今検討されている休業者への給付金というのは、過去、もう既に休業手当を全然もらわずに休んでいる労働者はたくさんいるわけですよね、その過去分だとかも含めてさかのぼって給付がされるという制度設計で考えられているんでしょうか。
○加藤国務大臣 そういう議論があることは我々は承知しておりますけれども、まさに今制度設計をしているところでありますから、今の段階で具体的な詳細を詰め切っているわけではありませんから、申しわけないですけれども、それに対してお答えは今の段階ではできないということ。ただ、そういった議論があることは重々承知はしております。
○宮本委員 それと、報道を見ると、これは対象は中小企業だというふうに報道も出ていたりするんですけれども、いろいろな報道があって、どこまでがどうなのかというのはわからないんですけれども、今、大企業が非正規労働者に休業手当を出していないというケースも結構あるわけですよね。正社員には休業手当を出しているけれども、非正規には出していない。先日はコナミが大きく東京新聞で報道されていましたけれども。どういう労働者を対象にというふうに今考えられているんでしょうか。大企業とか中小企業とか、そういう区別は考えているんでしょうか。
○加藤国務大臣 ですから、今回、まずメーンとしては、今もあるいわゆる雇調金ですね、雇用調整助成金、この仕組みがあって、それの特例として個別の申請に基づく支給を、どういう制度設計をするのか、まさに今、与党、あるいは場合によっては与野党でやっていただいているのかもしれませんが、そういった議論を踏まえて、我々も我々の中で議論をさせていただいている、こういう状況でありますので、今その詳細について御質問いただいても、答えるものを今は持っていないということであります。
○宮本委員 困っている人たちみんなを救わなきゃいけないという思いが一方でありながらも、大企業が、例えばコナミは、この間物すごく大きく報道されていますけれども、内部留保自体は一千七百億円も持っている大企業が雇用への責任を果たさずに、はい、あなたは国の方の直接の給付金をもらってくださいというのもいかがなものかなという思いを私は持っているわけですよね。その思いは大臣も共有していただけるでしょうか。
○加藤国務大臣 私の思いで物が動いているわけではありませんけれども、そうした御指摘がある、そうした御意見がある、それはやはり、大企業と中小企業等々を同一で考えていいのか、これは当然議論としてあるというふうに思います。
○宮本委員 労働基準法上の休業手当の支払い義務というのは当然あるわけですから、ただ、こういう事態だからどうするのかということで、みんなで知恵を出さなきゃいけない面はあるんですけれども。ただ、やはり、労働基準法の原則は踏まえていただくというのを大前提で対応するのが大事かなということを申し上げておきたいと思います。それから、あともう一点、これも前回議論をさせていただいたんですけれども、個人事業主やフリーランスに国保の傷病手当金がないということなんですけれども、実際は、自治体によっては、新型コロナ対応の傷病手当金制度を個人事業主も対象にしている自治体もあるみたいなんですね。厚労省として、これはどれぐらいあるか把握していますか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。御指摘の状況でございますけれども、現時点では八割以上の市町村が傷病手当金を支給する又は支給する方向で検討しておりますけれども、被用者以外も対象としているかなど、その具体的内容につきましては現時点で把握をいたしておりません。今後、自治体の条例制定の進捗状況を見ながら、条例の具体的内容の把握についても検討してまいりたいと思います。
○宮本委員 把握していないということなんですけれども、二つの自治体がある。私が把握している範囲ですから、全部調査したわけじゃないですけれども。鳥取県の岩美町が個人事業主も対象にしたということで、私もきのう知って電話させていただいたんですけれども、そうしたら、副町長さんのお話を伺うと、何で個人事業主も対象にしたのか、理由は単純だとおっしゃっていました。労働者だけが対象で、事業主が対象にならないのはおかしい、一人親方だとかを対象外にするのは、町民から見てもよくわからない制度になる、わかりやすくしなきゃいけないというので設けたんだという話でした。先日、大臣とここで議論をした際に、大臣からは傷病手当金の基準となる収入の計算をどう考えるのかという課題があるんだというお話がありましたが、岩美町の計算方法は、前年度の営業収入を三百六十五で割る、その一日分の三分の二を支給するというやり方でやっていた、上限は被用者と同じにした。それからもう一つ、飛騨市も同じようなやり方で、計算方法でやっている。私が把握しているのは二つしかないんですけれども、ほかにも広がり始めているかもわからないですけれども、ですけれども、やはり全国でやってほしいなということを岩美町の副町長さんもおっしゃっていました。ぜひ、こういうやり方があるんだというのも検討していただいて、今は感染状況がこういうことですけれども、また第二波、第三波がどうやってくるかわからないということですから、その間にやはり差別なく傷病手当金制度ができるようにぜひ検討していっていただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。答弁は求めません。次に、法案について質問させていただきたいと思います。先ほど尾辻さんから、介護福祉士の国家資格にかかわって、大変私も共感する質疑がありました。養成施設を卒業すれば国家試験に不合格でも暫定的に五年間は介護福祉士の資格が得られるという経過措置がとられておりますが、今度の法案はこれを更に五年延長するというものであります。お伺いしますけれども、他の国家資格試験で、国家資格試験に合格しないまま国家資格が得られるという経過措置を繰り返しているものというのはあるんでしょうか。
○辺見政府参考人 お答え申し上げます。網羅的に把握をしているわけではございませんけれども、御質問のような国家資格については承知をしていないところでございます。
○宮本委員 ですから、これだけが特例扱いにずっとなっちゃっているわけですよ。国家資格というのをこういう扱いにしていいのかというのが問われなきゃいけないというふうに思います。先ほど尾辻さんからも社会保障審議会の福祉部会の結論は両論併記だったというお話がございましたけれども、福祉部会で経過措置延長に対して賛成、反対の意見表明というのはそれぞれ何人いらっしゃいましたか。
○辺見政府参考人 お答え申し上げます。介護福祉士養成施設卒業生に対する国家試験の義務づけについて議論いたしました昨年十一月十一日の第二十三回社会保障審議会福祉部会におきましては、経過措置の延長に賛成の委員が二名、経過措置の延長に慎重な立場の委員が六名、発言内容からは立場が必ずしも明らかではない委員が一名でございました。
○宮本委員 賛成だという方が二名で、慎重だ、反対だという方が六名で、立場がわからないというのが一名だというお話でございましたが、審議会の議論では、私も議事録を読ませていただきましたけれども、物すごく反対意見がわあわあ出る状況だったんですよね。ところが、特例措置の延期ということになって、全く不可思議なんですね。審議会は両論併記ということなんですけれども、その議事録の最後に部会長がこう述べているんですよ。「今後、関係者も国会議員の方々も、本日の議事録を通じてまたさらに認識を深めていただくことになると思います。先ほど言いましたように、この議論の報告については、一人一人の意見を全部書くとすごく長くなりますので、この背景には本日の議事録に残る皆様方の貴重な御意見があることを世の中の人には理解していただけるでしょう。」ということで、今後考える方々はこの議事録をよく読んで考えてほしいというのが審議会の部会長のまとめだったんですよね。ちょっとお伺いしたいんですけれども、この福祉部会の議事録を政務三役の方はどなたか読まれましたか。
○加藤国務大臣 議事録はまだ読んでおりません。
○橋本副大臣 私も目は通しておりません。
○小島大臣政務官 まだ読んでいません。
○宮本委員 皆さん本当にお忙しいと思いますよ、とりわけコロナの対応もこの間ありましたから。ですけれども、この審議会があったのは、コロナの対応の前の去年の話なわけですよね。これだけ反対意見が出て、異例の国家資格試験にかかわって、試験を受けなくても不合格でも学校さえ出ていれば国家資格が受けられる、こういうのを繰り返している、それに対して物すごく懸念が出ているわけですよね。ところが、その議事録を、みんなに読んでほしいと思って一生懸命議論したのに、どなたも読まないまま延長が決まっちゃった。そういう法案が出てきたというのは、私は本当に、経過としてどうなのかなということを思ってしまいますよね。一体、この福祉部会の後、厚労省内でどういうメンバーでどんな検討が行われて、また延長しましょうという話になったんですか。
○辺見政府参考人 お答え申し上げます。まず、福祉部会のほか、社会保障審議会の介護保険部会ですとか、また、個別に関係団体の意見を聴取する機会がございました。いずれの場においても、総じて、養成施設団体と介護施設団体からは経過措置を延長すべきとの意見が、介護福祉士会などからは経過措置の延長に慎重な意見が変わることなく表明されたところでございます。また、与党からも御意見をいただき、自民党社会保障制度調査会介護委員会においては、昨年十二月二十日に経過措置を延長すべき旨を含む提言が取りまとめられたところでございます。これを踏まえて、厚生労働省内の検討プロセスを経て、経過措置の延長を法案に盛り込むこととしたということでございます。
○宮本委員 与党の意見を受けて厚労省でこうなったんだという話なんですけれども、与党の皆さんはこの議事録を読まれたんですかね。そういう聞き方をしたらちょっと失礼になっちゃうかもわからないんですけれども。だって、国会は、前回法律を延長したときに附帯決議までつけて、着実にこの経過措置はやめるようにしましょう、そういう附帯決議をみんなでつけたわけですよね。ところが、大臣が諮問してそこで一生懸命議論された結論については誰も読まないまま、結論ありきで延長というのが出されているわけです。きょうは、福祉部会に出ていた資料を一枚つけました。これは全国福祉高等学校長会の奥山さんの意見書です。本当に、なぜ反対するのかという痛切な思いが書かれていますよね。福祉系学校の場合は、養成施設ルートと同等の条件を満たすことを求められて、教員要件の高度化、指導時間数の大幅増、施設設備の充実など、一生懸命やってきた、しかし、教員を確保できない中、学科を閉じなきゃいけないところもたくさん出て、福祉系高校は二百三十二から百七に激減した、そんな中でも一生懸命研修をやり、授業力の向上をやり、合格率も五割台から八割台まで高めてきた、そして、介護福祉士の国家資格だということで、これを得た人たちは誇りを持って仕事をしているという話であります。その裏面に書いているのを見ると、強烈な批判が書かれていますよね。今回、「養成施設ルートへの入学生が減少している中で留学生の増加が顕著であること、外国人の試験合格率が低いことを理由として、受験義務付けを延長するというのは本末転倒です。介護サービスを受ける国民の視点に立っておらず、養成施設の運営が厳しいから延長を求めるのは国民に対して失礼だと考えます。」その下の方には、「さらなる延長は介護福祉士資格への不信感を助長し、将来、介護を目指す者の減少に拍車をかけることにつながります。」ここまで厳しい指摘をされています。介護の質を担保するために国家資格を設けたんだと尾辻さんへの答弁で大臣ははっきりと述べられていたわけでありますよね。だから、介護の質を担保するために、これは延長する必要はないじゃないですか。人材確保という話を先ほど大臣は答弁されていましたけれども、外国人の方は、養成施設コースでもし国家資格試験を通らなくても、今、特定技能という制度ができているわけですから、そちらに移って働くことができるわけですよね。ですから、人材確保、人手不足というのは、私は、この特定技能の制度もつくったもとではなかなか成り立たない議論ではないかというふうに思っております。こういう意見が出されているのを見て、大臣、どう思われますか。
○辺見政府参考人 今回の経過措置につきましては、平成二十八年当時と比較して介護現場の人手不足がより深刻化しているなどの状況のもと、さまざまな御意見も含め、総合的に勘案して慎重に検討し、介護サービス提供に支障がないよう、経過措置を五年間に限り延長することとしたものでございます。御指摘のとおり、外国籍の養成施設卒業者は、在留資格、特定技能で必要とされている試験を受験することなく介護分野の特定技能に在留資格を移行することが可能でございます。しかしながら、養成施設に入学する外国人留学生には、我が国での在留だけを目的とせず、我が国の介護福祉士資格の取得を目指す方もいらっしゃいます。こうした方々にとっては、養成施設の現状の合格率のもとで経過措置が終了すれば、せっかく二年以上留学しても介護福祉士資格を取得できない可能性が高まるように感じられること、介護分野の特定技能に必要とされる技能よりも高い水準である介護福祉士取得レベルを目指した教育を受けたにもかかわらず在留資格が特定技能しか与えられないことになります。こうしたことは、我が国の介護福祉士資格の取得を目指す外国人の方々がふえつつある流れに水を差すことにもなりかねず、介護人材の確保が厳しい状況のもと、現時点で経過措置を終了させることは適当でないと考えた次第でございます。一方、この経過措置はあくまで暫定的なものであり、速やかに養成施設の教育の質を向上させ、外国人留学生の合格率も上げていくということが必要であり、このため、養成施設ごとの合格率の公表ですとか養成施設の教育の質の向上に係る取組への財政的支援などによりまして、養成施設における取組を強化し、介護人材について量と質の向上の両立を図っていきたいと考えております。
○宮本委員 そういう話を聞いていますと、結局、試験を受けなくても資格が得られるから、それが人材確保につながっているからという説明にしか聞こえないわけですよね。そんなのでいいんですかね。やはり、国家資格というのはそういうものじゃないんじゃないですか。介護福祉士の資格というのはそういうものじゃないんじゃないですか。介護の質を高めていく、そのために設けた資格なのに、試験に合格しなくても資格が得られるコースがあるから、それが外国人を引きつける力になっているから続けていくんだ、そういう論理は私は全く間違っていると思いますよ。大臣、ぜひ議事録を読んで、聡明な大臣ですから速いスピードで読めると思いますので、議事録を読んで、次回の質疑の際には感想を聞かせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 どのぐらいの議事録かちょっとよくわかりませんけれども、今お話がありましたので、議事録は議事録として読ませていただきますけれども、今回こうして決めさせていただいた理由は先ほど審議官の方から説明させていただいたところであります。
○宮本委員 時間になりましたから終わりますけれども、この問題は次回もやらせていただきます。ありがとうございました。
○盛山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。