2020年6月1日決算行政監視委員会 黒川氏「不公平で甘い」

 日本共産党の宮本徹議員は1日、衆院決算行政監視委員会で、賭けマージャンが発覚して辞職した黒川弘務前東京高検検事長に「訓告」の処分が下されたことは「不公平で甘い処分だ」として、黒川氏の処分をやり直すとともに検察庁法改正案を撤回することが検察や法務省への信頼を回復する道だと主張しました。
 宮本氏は、2017年に都内で(賭けの)レートが1000点につき10円~50円で駆けマージャンをして定職6日の処分を受けた海上自衛隊の案件を紹介。「一方、黒川氏は1000点100円のレートで訓告だ。高額レートでないことを懲戒処分としなかった理由にしているが、大変不公平だと感じないか」と批判しました。
 菅義偉官房長官は「国家公務員の人事上の処分については、所属の各省庁等において個別の事案に応じて適切に判断しているものと承知している。今回も法務省において資料をもとに適切に判断した」と開き直りました。宮本氏は、黒川氏の懲戒権を持っているのは内閣だと批判しました。
 宮本氏は、共同通信の世論調査で約8割が黒川氏への訓告処分は「甘い」としていることを強調。「この甘い処分で、法務省、検察への国民の信頼回復を図れるのか」と追及しました。森雅子法相は「事案の内容と諸般の事情を考慮して前例を踏まえ、監督上の措置の中で最も重い訓告とした」と言いつくろいました。
 宮本氏は「この処分で国民の信頼回復を図れる言葉はなかった。調査して処分をやり直すべきだ」と訴えました。

以上2020年6月2日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第201回2020年6月1日衆院決算行政監視委員会第4号 議事録該当部分抜粋≫

○宮本委員 ~略~ 次に、黒川元東京高検の検事長の処分についてお伺いします。この間、防衛省では、二〇一七年、二〇一八年、かけマージャンでの停職処分というのが四件あります。例えば、二〇一七年七月二十八日に処分をされた海上自衛隊員の案件は、その前年の七月ごろ、都内の雀荘でかけマージャンをやった。レートは千点につき十円から五十円で停職六日だと。一方、黒川氏は、千点につき百円で訓告だと。官房長官、これ、大変不公平だと感じませんか。
○菅国務大臣 国家公務員の人事上の処分については、所属の各省庁等において、個別の事案に応じて適切に判断をしているものというふうに承知しています。黒川氏の処分を決するに当たっても、法務省において、必要な資料を収集した上で適切に判断したものと承知しています。
○宮本委員 黒川さんの懲戒権を持っているのは内閣なんですよ。それぞれの省庁が判断する話じゃないんですよね。そこは、官房長官、認識が違うんじゃないんですか。
○菅国務大臣 今申し上げましたとおりに、国家公務員の人事上の処分については、所属の各省庁等において、個別の事案に応じて適切に判断している。今回も、法務省において、必要な資料を収集した上で適切に判断した、このように承知しています。
○宮本委員 いや、検事長は、懲戒権を持っているのは内閣なんですね。懲戒権を持つのはそれぞれ任命権者ですから、東京高検の検事長の任命権者は内閣ですから、懲戒権を持っているのは内閣なんですよ。そういう答弁では全く何か話が、会話が成り立たないなという感じがするんですけれども。人事院の標準例では、賭博は減給若しくは戒告、職責が特に高いときや公務内外に及ぼす影響が特に大きいときは標準例より重いものにするということなんですよ。何でこれが訓告どまりになるのか。懲戒権を持つ内閣の判断として、もっと低いレートでかけマージャンをやった自衛隊員が停職という懲戒処分で、それよりももっと社会的に重大な影響を与えた、しかも検察のナンバーツーという大変重い職責を持つ方が、刑法に問われる行為をやって、それで訓告どまりだと。これはおかしいじゃないですか。
○菅国務大臣 法令上、検事長に対する懲戒処分を行う懲戒権者は、任命権者である内閣であります。また、監督上の措置を行う措置権者は検事総長とされております。黒川氏の処分については、法務省において必要な調査を行った上で、法務省及び検事総長として、監督上の措置として最も重い訓告が相当であると判断をして、決定したものと承知しております。その上で、法務大臣から私にその旨の報告があり、法務省の訓告との決定に異論がない旨を回答をいたしました。そして、措置権者である検事総長から黒川氏に対し、監督上の措置である訓告の処分がなされた、このように承知しております。
○宮本委員 黒川さんに何か弱みでも握られているんじゃないかと思うぐらい甘い処分ですね。最後に、法務大臣に一点だけお伺いします。かけマージャンを行った黒川氏の訓告について、共同通信の世論調査では七八%が甘いと答えられております。自衛隊の場合よりも大変軽い処分に、国民的な批判が起きている状況であります。総理は、森法務大臣に対して、法務省、検察への国民の信頼回復を図ってほしいとおっしゃったそうですが、この甘い甘い、国民の目から見ても大変不公平な処分で、一体全体、法務省や検察への国民の信頼が回復できるとお考えなんでしょうか。
○森国務大臣 黒川氏は、緊急事態宣言下でかけマージャンを行っていたものであり、大変不適切であり、遺憾に存じます。その上で、黒川氏の処分を、事案の内容等、諸般の事情を総合的に考慮し、先例も踏まえて決定をいたしました。監督上の措置の中で最も重い訓告といたしました。今回の黒川氏の行動について、国民の皆様からさまざまな御指摘、御批判をいただいております。また、法務・検察に対しても同様でございます。法務・検察が適正にその役割を果たしていくため、国民の皆様の信頼が不可欠でございます。総理からも、その信頼回復のために力を尽くすよう指示を受けました。そこで、今般、法務省内に法務・検察行政刷新会議を設置し、これからの法務・検察行政に関する必要な検討を開始することにいたしました。この会議の場が、これからの法務・検察行政に関して、しっかり議論できる場となるよう尽力してまいります。
○宮本委員 この処分について国民の信頼が図れるというお言葉はありませんでした。そういう会議でいろいろ議論する前に、処分を、ちゃんと調査して、やり直すべきですよ。そして、検察庁法をめぐる、あるいは黒川さんの人事をめぐるいろいろな問題について、閣議決定は撤回する、法案も撤回する、そういうことこそ検察と法務省への信頼を回復する道だということを申し上げて、質問を終わります。
○生方委員長 これにて両件についての質疑は終局いたしました。財務大臣以外の大臣は御退席いただいて結構でございます。