2021年4月16日 衆院厚生労働委員会 高齢者医療費2倍禍受診控え考慮せず ‶決め方乱暴”

提出資料 法律案新旧対照条文
提出資料 厚生労働省資料
提出資料 厚生労働省資料

日本共産党の宮本徹議員は16日の衆院厚生労働委員会で、75歳以上に窓口2割負担を導入する「高齢者医療費2倍化法案」に対し、患者の受診控えを考慮せず2割負担の対象者が決められた実態を告発し、2割負担が導入されれば次々と対象拡大される危険性をただしました。
宮本氏は、「年収200万円以上」(3割負担対象者を除く)とした2割負担の基準をめぐって、政府が検討していた同155万円以上~240万円以上の間の基準5ケースごとの受診控えの影響をただしました。厚労省の浜谷浩樹保険局長は、受診控えでの給付費減は1790億~590億円と見込み、給付費減の全体の半分程度と答弁。「受診行動の変化をもって所得基準を選んだわけではない」と言い放ちました。
宮本氏の追及に対し、浜谷局長は、厚労省が法案作成の与党協議に受診控えの影響額を示していなかったことも認めました。宮本氏は「受診控えの数字すら示さないのは、きわめて乱暴な決め方だ。与党協議からやり直すべきだ」と追及しました。
そのうえで宮本氏は、2割負担の所得基準は政令で決めるため、2割負担導入後、対象者を次々と拡大して事実上「原則2割負担」にできる内容だと追及。田村憲久厚労相がこの間、保険財政を踏まえて「(対象拡大は)検討することになってこよう」と答弁したことをあげ、「歯止めなく時の政権の判断で拡大できるということだ。こんな法案は許されない」と批判しました。

以上2021年4月18日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年4月16日 第204回衆院厚生労働委員会第12号 議事録≫

○橋本委員長代理 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。前回の続きをやりますが、まず、受診抑制の問題、先ほど来議論されておりますが、元々、与党の皆さんがテーブルにのせていたのは、五つの案をのせていたわけですよね。所得基準として考えられる機械的な選択肢ということで、二百四十万円以上、二百二十万円以上、二百万円以上、百七十万円以上、百五十五万円以上というのがあったわけですが、ちょっとそれぞれこの五つのケースについて、これを二割負担の対象にした場合、給付費が幾ら減って、そのうち受診行動の変化によるものは幾らなのか、教えていただけますか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。窓口負担二割の所得基準につきましては、厚労省から、機械的な五つの選択肢として、課税所得で見て上位二〇、二五、三〇、三八、四四の範囲を審議会等にお示しして御議論いただきました。その機械的な五つの選択肢につきまして、昨年十一月に医療保険部会でお示しした給付費の減少でございますけれども、これは配慮措置が、当時の政府の原案である、厚労省の原案であります月四千五百円を前提にしておりまして、また令和二年度予算ベースでありますので、現在お示ししている財政影響とは前提が異なりますけれども、十一月当時お示ししていたそのままの数値を申し上げますと、上位二〇%を対象とする場合、給付費の減少でございますけれども千二百四十億円、二五%を対象とする場合には千七百五十億円、三〇%を対象とする場合には二千二百九十億円、三八%を対象とする場合には三千二百億円、上位四四%を対象とする場合には三千七百四十億円と試算いたしております。また、受診行動の変化につきましては、いずれの選択肢におきましても、その給付費の減少のおおよそ半分程度を見込んでおりまして、所得上位二〇%の場合には五百九十億円、二五%の場合には八百四十億円、三〇%の場合には千百億円、三八%の場合には千五百三十億円、四四%の場合には千七百九十億円と見込んでおります。
○宮本委員 ありがとうございます。それで、それぞれ、当初から受診行動の変化、受診抑制を織り込んで財政影響を試算していたということなわけですが、じゃ、この五つの案の中で年収二百万円以上の方という案を選んだわけですけれども、その際に、この受診行動の変化の問題についてはどのような点を考慮したんですか。
〔橋本委員長代理退席、長尾(敬)委員長代理着席〕
○浜谷政府参考人 お答えいたします。この五つの選択肢につきまして、選択をいたしましたのは、現役世代の負担軽減と高齢者に与える影響、それを総合的に勘案して選択をしたということでございまして、御指摘の受診行動の変化の大小をもって所得基準を選んだということではございません。
○宮本委員 ちょっと、今大変重大な答弁だと思うんですけれども、受診行動の変化については、基準にして選んだわけではないと。つまり、受診抑制がどれだけ起きるかなんて知ったこっちゃないということで、自民党と公明党さんの間で議論して総理が決めた、そういう理解でいいわけですね。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。先ほど申し上げましたけれども、現役世代の負担軽減それから高齢者の生活に与える影響等を総合的に勘案して決定したということでございます。
○宮本委員 確認しますけれども、この財政影響を与党に示す際に長瀬効果の数字は示していましたか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。長瀬効果の内訳として幾らかというものはお示ししておりませんけれども、長瀬効果も含まれるということはお示しをしております。
○宮本委員 いやいや、驚きましたね。与党の協議の中で、一体全体どれぐらい受診抑制が起きるのか、その数字すら示していなかった。そういう中で、年収、単身世帯でいえば二百万円以上、こういうものを決めていったということであります。これはちょっと、決め方として極めて乱暴なんじゃないですか。本当、与党協議からやり直した方がいいんじゃないですかね。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。これまでの改正におきましても一定の長瀬効果を見込んで財政試算をお示ししておりまして、そういう意味では、これまでの制度改正と同様の資料をお出しして御議論いただいたということでございます。
○宮本委員 何か、今までも数字も出さずにやってきたということじゃないですか。今までの負担増も随分乱暴なやり方で決めてきたという話じゃないですか。いや、もう本当に、今糖尿病にかかっている方というのは、毎月毎月、少ない方でも三千円、高い方だと五千円ぐらいかかる方もいらっしゃると私はお話を聞きますよ。そういう方が二割負担になったら月六千円になる、あるいは一万円になる、こういう話になっていくわけですね。配慮措置終了後はそうなっていくわけですよ。複数の病気を抱えていたら本当にもっと大変というのがあるわけですよね。そういう方々が、これは負担が大変だということになったらどうなりますか。私、今日、前回配った資料をもう一回配ればよかったんですけれども、前回紹介しましたけれども、全日本民医連のある病院、医療機関がアンケートをしております。これは西日本のある病院なんですけれども、「七十五歳以上の方へ、窓口負担が二割化した場合に、通院はどうしようと思うか?」というアンケートで、単身二百万円以上の方でも、診療科の数を減らす一三・七%、通院回数を減らす一七・六%、こういう数字が出てくるわけですね。これは一病院が取ったアンケートですけれども、恐らく、日本中どこで調査したとしても、同じように、二割負担になったら少しどこか削らなきゃいけないという中で、もちろん医療費は削らずにほかを削るという病気を抱えている方もいらっしゃると思いますし、あるいは、人によってはもう削るところがなくて、たくさんの病気を抱えていて、診療科の数を減らす、通院回数を減らす、こういうことを選ばざるを得ない人が現にいるわけですよ。こういう中で、そのことについて与党の協議でまともな検討もしていなかったというのが今日明らかになりました。私、こんな法案をこのまま通すわけには絶対にいかないと思いますよ。そのことを強く申し上げておきたいというふうに思います。それから、二問目、お伺いしますけれども、今日は配付資料で法案を配っておりますが、これも前回からずっと議論になっていることです。二割負担の範囲については今回政令で決めるということになっているわけですね。ちょっと、まず現行法の解釈をお伺いしたいんですけれども、現行法は、六十七条の一で、次号に掲げる場合以外の場合は百分の十とあって、二で、現役世代の百分の三十の話があるんですけれども、現行法の読み方だと、この法のたてつけでは一割が原則だ、こういうふうに読める法のたてつけじゃないかと思いますが、間違いないですかね。
○田村国務大臣 どれが原則というわけではありませんが、それは、言われるとおり一割が今多いわけであり、七割から、一割の方々でございますので、そういう意味では、一割が一番多いということであります。
○宮本委員 これは、どれが原則というわけでもないんですかね。普通、二つのことを書く場合に、原則のものを先に書いて、例外は後ろに書くという形に一般的にはするんじゃないかというふうに思うわけですけれども。ところが、今度の法改正は、「次号及び第三号に掲げる場合以外の場合 百分の十」ということで、二号、三号、こういうふうになっていると、こうなると、三通りありますよという形の、ある意味書き方になっていて、とても一割が原則とは読めない法改正に私はなっていくと思うんですね。そうすると、今日も議論になっていましたけれども、今度の法改正というのは、二割負担が原則になっていくということも可能な法文の書き方だということでよろしいですね。
〔長尾(敬)委員長代理退席、橋本委員長代理着席〕
○田村国務大臣 繰り返しますが、法案、法律の中に原則だとか原則じゃないとかという明記があるわけではなくて、それぞれ、言うなれば、一割、二割、三割というような方々がおられるということでありますが、ただ、今回の改正でも、先ほど来申し上げておりますが、一千八百十五万人の中で一割負担の方々が一千三百十五万人、約七割でございますので、一割負担の方々がおおむねという形になろうというふうに考えております。
○宮本委員 いや、それは今度の法案じゃなくて政令ですよね。今度の政令はそうしようとしていると。法律にはそんな範囲は書いていないわけですから。じゃ、原則という言い方をしたら答えにくいようなので、高額所得者の人は百分の三十、本当の低所得者の人は百分の十、残りの大半の人を百分の二十にするというのは、今回の法案では政令によって可能になるということですよね。
○田村国務大臣 失礼いたしました。法令でございます、法案ではございません。いや、実は、今委員のおっしゃられている意味のちょっと真意が私も測りかねるんですけれども、そういうことを今考えているわけではございませんので、今回の政令でお示しをするというような、そのような形で国民の皆様方にお願いをさせていただきたいということで提案をさせていただいているわけでございます。
○宮本委員 今出している政令は知っているわけですよ。ただ、政令はその時々の閣議決定で決めていくわけですけれども、法案は、一回国会を通れば、その枠組みができ上がるわけですよ。政令は、政権が替われば、どんどんどんどん変わっていくことが可能なわけですよ。前回、大岡さんが大臣になったらどうなるのかという議論もありましたけれども、いないじゃないですか、そういう話もありましたけれども、本当に、どういう考え方の政権になるかによっては、あるいは、前回、田村大臣の答弁を聞いていましたら、将来、保険の状態によってはみたいな話も、いろいろ検討するみたいなこともおっしゃっていましたけれども、事実上、二割の範囲はどんどんどんどん拡大することが可能な法律のたてつけになっている、このことはお認めになりますよね。
○田村国務大臣 今も、一割と三割という形で同じたてつけになっているわけでございますので、法律改正をする必要とかそういう話ではなくて、三割負担分の金額が、どれぐらいの方々が上限になってくるかということは、それは政令の中で書き換えられるわけでありますが、ただ、そこは、勝手に政府がやるというよりかは、国民の皆様方、審議会のいろんな方々の御議論をいただく中において、最終的にお諮りをしてまいるという形になろうというふうに思います。でありますから、そこに二割というものを、一割、三割の中に二割というものを、今回は法律の中で提出をさせていただいているということであります。
○宮本委員 ですから、歯止めなく、時の政権の判断で変えていけると。確かに、今の法律だって、三割、歯止めなく拡大することは可能ですよ。だけれども、少なくとも今の法のたてつけは、次号に掲げる場合以外の場合は百分の十ということで、普通に読めば一割が原則だと読める法のたてつけになっているわけです。それを、今度、二割を入れることによって、どれが原則なのか分からない状態にして、その二割の範囲を時の政権が幾らでも拡大できる。これは、国会にこれでいいですかと問うこと自体が、私は本当におかしいと思いますね。だって、与党の皆さんも責任が取れますか。公明党の皆さんも責任が取れますか。一生懸命、山口代表と総理と交渉して、二百万円以上と決めましたけれども。どんどんどんどん時の政権によって上がる、そういうところまで認めていくのが今度の法案だということを厳しく指摘しておきたいというふうに思います。それと、あと今日は、法案で、国保の問題についてもお伺いしたいというふうに思っております。今回、法案では、法定外繰入れですね、国保の会計に対しての法定外繰入れに対して、それを解消していくための計画を都道府県が持つようにということを求めております。ちょっと確認しますけれども、法定外繰入れを行っている自治体が多い都道府県はどこなのか、そして、それぞれの法定外繰入額について述べていただけますか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。管内市町村における決算補填等目的の法定外繰入額の合計額が多い都道府県でございますけれども、令和元年度速報値におきまして、額の多い順に、東京都約四百九十七億円、神奈川県約百四十九億円、埼玉県約九十五億円、愛知県約五十三億円、沖縄県約四十七億円でございます。
○宮本委員 それぞれの自治体は、何で法定外繰入れをこれだけ多くの自治体がやっているんですか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。法定外繰入れを行う理由につきましては、自治体により様々でございますので、一概にお答えすることは難しいわけでございますけれども、例えばでございますが、保険料収納率が低い自治体、あるいは医療費水準が高い自治体におきまして、保険料負担緩和等のために行っているものと考えております。
○宮本委員 保険料収納率が低い自治体でやっていると。保険料収納率が低い理由は何ですか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。まず、保険料収納率でございますけれども、近年、自治体の努力によりまして、かなり向上してきております。その上で、保険料収納率が低い理由には様々あろうかと思います。例えば、都市部と都市部以外でありますと、都市部の方が比較的顔が見えづらいということで取りづらいとか、様々な理由があるものと考えております。
○宮本委員 顔が見えるとか見えないとか、そういう話じゃなくて、最大の問題は、国民健康保険料が高過ぎるから収納率が低いんじゃないですか。お伺いしますけれども、国民健康保険料の滞納率の高い都道府県はどこなのか、その滞納率についても述べていただけますか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。お尋ねの国保料の滞納率が高い上位五都道府県につきましては、令和二年六月一日現在におきまして、滞納率が高い順に、東京都二一・九%、神奈川県一五・九%、群馬県一五・四%、大阪府一四・九%、福島県一四・七%でございます。
○宮本委員 さっきの、繰入れを行っているトップ、東京、二番、神奈川と、滞納率が高いところのトップ、東京、二番、神奈川ということになるわけですけれども、みんな、やはり高い国保料を払うのに苦労しているわけですよ。私は本当にそういう相談もたくさん受けるわけです。それこそ差押えの相談なんかも含めて、私たち、よく受けるわけですよ。結局、法定外繰入れを行っているのは、収納率が低いということをおっしゃいましたけれども、それは、裏返せば、保険料が生活実態に比べて高過ぎる、東京や神奈川は家賃も高いですよ、物価も高いですよ。そういう中で、法定外繰入れをやめなさいということを上から求めていく。そうしたら、保険料はもっと上がる。ますます生活が苦しくなって、滞納者、滞納額を増やしていく。こうなるだけなんじゃないですか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。国民健康保険も保険でございますので、健全な財政運営のためには、受益と負担の均衡を図る観点から、法定外繰入れ等の計画的な削減、解消をお願いしてきたところでございます。そういう意味では、保険の健全な運営のために必要だといったことでございます。ただ、一方で、法定外繰入れの解消につきましては、保険料の引上げも伴うものでございますことから、よく議論の上に、住民の理解を得ながら進める必要があると考えております。
○宮本委員 住民は理解しないですよ。今でさえ、東京でいえば二十数%、国保料が滞納がある、そういう事態なわけですよね。もっと上げましょう、もっと上げなさい、国が言うことじゃないでしょう。最後、資料四ページ目にお配りしておりますけれども、これは各保険者の比較ということで、それぞれの健康保険の中で保険料が支えている部分がどれだけあるのか。市町村国保は保険料負担率が一〇・〇%、協会けんぽは七・五%、組合健保は五・八%、共済組合も五・八%、後期高齢者医療制度は八・三%。市町村国保が断トツに保険料の負担率が高くなっているわけですよね。大臣、やはり、市町村国保はほかの健保に比べても保険料の負担というのは今でも高いんですよ。それに対して、もう法定外繰入れをやめて保険料をもっと上げてください、これは考え方として間違っているんじゃないですか、いかがですか。
○田村国務大臣 もう御承知のとおり、被保険者全体の相互扶助で成り立っているわけでありまして、そこは応分の保険料負担をいただく。ただし、やはり、低所得者に対しては、これは保険料の軽減措置等々もあるわけでありますし、先ほど来、違う委員にもお答えしましたけれども、場合によっては相談も応じる等、各自治体に対応いただいています。国も、保険料等々、財政基盤が弱い等々いろんな話がある中で、国保に対しては、財政的には、都道府県が一定の責任を持っていただきたいということでお願いをここ数年来ずっとしてまいりまして、結果的には、それぞれ都道府県が対応いただく形になりつつあるわけであります。それに対しては、国の方も三千四百億円、これをしっかりと対応させていただきながら、国保財政等々を立て直そうとしてきているわけでありまして、様々な理由はあろうと思いますけれども、しっかりと、保険料収納率が低いところは徴収していただいて、保険料を取っていただく等々対応していただきながら、相互扶助の精神の下で、しっかりと保険を支えていただきたいという思いであります。
○宮本委員 いや、払えない人から取っていくという話をしましたけれども、それは相互扶助の精神じゃないですよ。それは、保険料が高過ぎて払えないわけですから、もっとしっかりと国が財政支援をやるというのが、三千四百億円なんということを言わずに、もっとやらなきゃいけないんじゃないですか。たしか知事会は一兆円とかと言っていましたよね。そういう規模でしっかりやらないと、本当に保険料を払えない、手元に保険証がなくて、短期保険証やあるいは資格証明書、こういう方が増えていく。国民の命と健康を守る上でも、私は、国保の保険料をどんどん上げなさいという圧力をかけるのは全く反する政策だということを申し上げておきたいというふうに思います。ちょっと時間がなくなってきました。コロナ対策も少しだけお伺いしたいと思いますが、後遺症のことについて少しお伺いします。先日、阿部知子議員が質問されておりました。コロナの後遺症、様々な後遺症があるわけですけれども、その一つで、ME、CFS、筋痛性脳脊髄炎や慢性疲労症候群というのもかなりあるというのが世界的に言われております。ME、CFSはいろんな方がこれまでも研究をされていて、神経免疫系でいえば山村先生なんかもやられていて、いろんな角度で研究するのが私は大事だと思いますが。コロナの後遺症、本当に多くの方を診察しているヒラハタクリニックの平畑先生というのが、よくメディアでも登場されていますが、いろいろいろいろ診る中で、後遺症の、こういう慢性疲労症候群みたいなものが起きている方の一定の人たちが慢性上咽頭炎というのを起こしているんじゃないかと。治療法として、耳鼻科でやられてきたEATというのが効くのではないのかということをかなり強く発信をされております。国としては、この点、どのような知見を持っているのか、こうした点での研究はどう進めていくのか、お伺いしたいと思います。
○正林政府参考人 お答えします。新型コロナウイルス感染症から回復した方のうち、一定の割合で何らかの症状が持続している方がいるということは承知しております。ただし、新型コロナウイルス感染症と回復後に見られる症状については、いまだ関連の有無が明らかになっていない点も多く、まずはその実態を明らかにしていくことが重要と考えております。後遺症については、昨年度より、その実態把握や原因究明に関する調査研究等を開始したところであり、調査研究は、取りまとまり次第、速やかに公表していくこととしています。具体的な内容としては、後遺症障害としての頻度が高いとされる呼吸苦に関する研究、それから、後遺症の症状、頻度、持続期間等に関する研究、味覚、嗅覚障害に関する研究となっています。議員御指摘の症状や治療法があるということは聞いておりますが、厚生労働省としては、まずは、専門家の御意見を踏まえつつ、新型コロナウイルス感染症の科学的知見等を積み上げていくことに注力していきたいと考えております。
○宮本委員 何か大変つれない感じの答弁なんですけれども。多分、日本で最もたくさん後遺症の方を診られている方の一つだと思うんですね、平畑先生というのは。日本中の方々のオンライン診療を早くからずっとやられていて、後遺症外来がたくさんできてほしいとか、いろんなことをこの間発信されておりましたけれども、最近は、後遺症外来ができるよりも、EATの治療をやってくれるところが増えたらいいという主張をかなりされているようなんですけれども。こういう、現場で実践されている先生方からの、その知見に学ぶということというのは、何か厚労省というのはやられているんですか。いや、研究班が今三つあって、やられているのは知っていますよ。それは知っているんですけれども、そうじゃなくて、現場でやられている平畑先生みたいな方の知見というのはどういうふうに吸収されようとしているんですか。
○正林政府参考人 もちろん研究班にはお願いしていますが、それ以外にも、我々も、様々な論文を読んだり、いろんな形で情報は収集しつつあります。
○宮本委員 論文はまだ書き上がっていないと平畑先生は言っているみたいですけれども、是非、いろんなところでお話なんかも聞かれたらいいのかな。私は直接話を聞いているわけじゃないですけれども、かなりたくさんの患者を診られて言われている話ですので、お願いしたいというふうに思います。時間がなくなってまいりました。あと、後遺症のことで、ずっと長引く方がいらっしゃるということで、働くことができないという方もたくさんいらっしゃる、体調によっては。当面は傷病手当というのもあるとは思うんですけれども、さらに、状態によっては、障害年金、これも受給できるということになるんでしょうかね。
○田村国務大臣 新型コロナウイルス感染症の後遺症によって、日々生活されるのに、日常生活に著しいやはり制限といいますか、影響があるということであれば、その必要とする程度の障害が残る等々のことはあるわけでございますし、そういう場合に関しては、一定の保険料納付要件を満たせば、これはおっしゃられますとおり、障害年金の対象にはなり得るということであります。
○宮本委員 分かりました。そういうことも是非案内していっていただきたいと思います。これは最後ですけれども、ワクチン接種後、とりわけ二回目というのは、かなりの比率で熱が出るわけですよね。これは、多くの場合は副反応として出るわけですけれども、もしかしたらほかの疾病で発熱する場合もあるわけですよね、たまたま。あるいは、もしかしたら、たまたま同じ時期にコロナに感染して発熱している場合もあり得るわけですよね。そういうときに、ワクチン後に熱が出たからこれは副反応だろうと決めてかかると、見逃しが起きるんではないのか、こういう懸念の声を医療関係者の皆さんから聞いています。現瞬間は医療者に対して打っているのがほとんどですので、二回目の接種というのは、大体トリアージできると思うんですけれども、高齢者は、二回目これから、一回目が始まったところですけれども、ずっと二回目ということになると、かなりの人が熱が出るとなった場合に、この判断というのはどうされるのかというのをお伺いしたいと思います。
○田村国務大臣 基本的には、診療・検査外来というものを、御承知のとおり全国に三万一千か所といいますか、お願いをさせていただいているわけでありますが、こういうところで診ていただくという話になると思います。そのまま歩いていっていただくという、そういう距離に一医療機関等々をしっかり確保していこうというふうな形で整備を今させてきていただいたわけでありますが。ただ、言われるとおり、そもそもコロナなのかどうなのか、発熱をされている方々を診ていただくのに、ワクチン二回目を打って発熱三十七度五分というのは、一定程度、今までの報告でおられるわけでありまして、そういう方々には、厚生労働省のホームページで、ワクチンを打った場合にこういうような発熱の症状が出ますよ、例えば、それほど発熱が長引かない、一日で下がるだとか、そういうようなことをその中で示させていただいておりますが、同時に、やはり医療機関にもそれが御理解いただかなければならないわけでございまして、これは、近くそういうものを含めた情報等々を医療機関等々に御理解いただけるような、そういう通知を発出をさせていただきたいというふうに考えております。
○宮本委員 分かりました。時間になりましたので、終わります。