2021年4月23日 衆院厚生労働委員会 高齢者医療費2倍化 受診控え影響額 首相「聞いてなかった」

提出資料 厚生労働省
提出資料 厚生労働省
提出資料 厚生労働省
提出資料 馬場園明「医療サービスの受診保障と患者自己負担」

75歳以上に医療費窓口2割負担を導入する「高齢者医療費2倍化法案」をめぐって、菅義偉首相は23日の衆院厚生労働委員会で、2割負担対象者を決める際に、厚労省から受診控えの「影響額は聞いていなかった」と認めました。受診控えによる健康悪化に目を背けた「負担増ありき」の姿勢が鮮明になりました。日本共産党の宮本徹議員への答弁です。
菅首相はこの間、“受診控えは直ちに健康に影響しない”と答えてきましたが、厚労省は負担増での受診控えで給付費を年1050億円も削減できる推計結果を示しています。
宮本氏は、2割負担対象の「年収200万円以上」などの基準を決める際、この推計結果を「聞いていなかった」と答えた首相を、「あまりに無責任だ」と批判しました。
2001年に窓口1割負担が導入された際にも、糖尿病や高血圧症の受診率が下がったという研究結果を示し、「早期発見・早期治療が困難になる。健康への悪影響は明らかだ」と強調しました。
さらに、年収200万円は「負担能力がある」との政府の言い分について、税や保険料を支払えば年175万円となり、「余裕があるとは言えない」と反論。「現役世代の負担軽減」も、22歳が74歳まで支払う保険料の軽減は、平均で計1万8千円ほどで、75~80歳までの窓口負担増は平均16万円だと示し、「現役世代も負担増になるのは明白だ」と強調しました。
同法案はこの日の採決が狙われていましたが、自民党の菅原一秀議員が選挙区内での新たな現金配布疑惑が発覚して与党筆頭理事を辞任したため、見送られました。

以上2021年4月24日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年4月23日 第204回衆院厚生労働委員会第15号 議事録≫

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。総理、国民の生活も事業者の皆様も大変厳しい状況にこの一年置かれてきました。その中での三度目の緊急事態宣言ということになります。昨日、渋谷のミニシアターが閉館を発表されました。ホームページにこう書いていました。昨年は助成金、補助金もあり、ぎりぎり生き延びることができましたが、今年はさすがに限界を超える状況で、再投資をしても先が見えない状況となり、閉館という決断を余儀なくされましたと。私もよく行ったことがある映画館です。こういう状態に今置かれているわけですよね。この一年、本当にたくさんの事業者が倒産、廃業に追い込まれ、そしてたくさんの雇用が失われてきました。今度の緊急事態宣言で、これ以上なりわい、あるいは文化は絶対に潰さない、そういう覚悟を持っての支援を総理はする責任があるんですよ。先ほど、協力金の話がありました。まだ決まっていないと総理はおっしゃいましたよね。幾ら何でも、デパートに一日二十万円、これがマックスだと。あり得ないですよ。あるいは、テナント二万円といいますよね。だって、デパートのワンフロアを借りて本屋さんをやっているところだってありますよ、ワンフロア借りてやっているところも二万円ですか。やはり、事業規模に応じての支援をやらなければ、これまで、コロナ以前だったら頑張ってこられた事業者がどんどん倒れることになるんですよ。先ほど、暮らしを守る、しっかり対応するとおっしゃったんですから、しっかりと、これなら協力できるという額での支援をしてください。
○菅内閣総理大臣 まず、今回のコロナ禍の中でそうした閉館とか事業を畳んでしまう皆さんには、大変申し訳ないというふうに思います。ただ、政府として、そうした方々にできる限りの事業継続の支援をさせていただく、あるいは雇用を守るための支援をさせていただく、そういう思いで今日まで取り組んできております。今、二十万円とかいろいろ御指摘をされましたけれども、まだこれは決定をしていることではありません。そうしたことについて、政府としては、決定をした段階においてはしっかりと対応させていただきたい、こう思います。
○宮本委員 それは決定していないということですから、増額を夕方までに真剣に考えていただきたいというふうに思います。 そして、協力金の額もそうなんですけれども、今回、強い対策ということで、ステイホームをかなり呼びかけるということになりますよね。そうなれば、これは直接の時短や休業の要請をしていない事業者にも物すごい大きな影響が出ます。ですから、この間、全国知事会からも繰り返し、持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を求める声が出ていますよね。是非これも、中身も、企業規模に応じて支給額を上げていただきたいと思いますけれども、売上減少についての要件も緩和してほしいと思いますけれども、この持続化給付金もバージョンアップして、私は再支給が必要だと思いますよ。今回の緊急事態宣言に当たって、直接要請するところ以外も、幅広く、全ての業種を対象に支援をする、これを具体化してください。
○菅内閣総理大臣 新型コロナの影響が長引く中で、多くの事業者の皆さんにとって重要な資金繰りの支援、雇用調整助成金の特例措置による人件費の支援により、事業継続をお支えをすることにいたしています。さらに、緊急事態宣言などの影響によって売上げが大幅に減少した事業者には一時金などを支給をさせていただきたい、このように思っております。
○宮本委員 大きくというのは五〇パーとかでしょう、今までの。五〇パーじゃなくても、二〇パー、三〇パーの売上げの減少がずっと続いて苦労している方々もたくさんいらっしゃるんですよ。そういうところも含めて、要件も緩和して、本当に困っている事業者を全部助けないと、次から次へと倒れていきます。是非具体化をお願いしたいと思います。あと、もう一点、緊急事態宣言で感染を大きく減少させていかなければならない、その上で、私は是非総理にやっていただきたいことがあります。というのも、この間、国民の中には、やはり自粛疲れもあります、宣言慣れというのもあると思うんですね。ですけれども、この宣言で、今回の宣言でやはり大きく感染減少をつくり出さなきゃいけないと思っています。そのために、どうやって国民の協力を得ていくのか。補償の問題もそうですけれども、同時に、私は、総理が先頭に立って国民とのコミュニケーションをやっていくというのが必要だと思うんですよ。正直、この間、前回の緊急事態宣言を解除した後、時間を取って記者会見を総理はやられてこなかったわけですよ。そういうところは率直に国民に映っているわけですよ。本当に必死になって、真剣に国民に対して、今度の変異株がどんなに恐ろしいものなのか、そして、マスクなしでの会話がなぜ危険なのか、そして、家族以外の人と会食はできるだけ、絶対避けてほしいとか、本当に、医療従事者の皆さんは一生懸命訴えられていますよ、そういうことを。そういうことを、私は、毎日毎日、是非総理が尾身会長や専門家の皆さんと一緒になって記者会見を開いて、訴えてほしいと思うんですよ。そうしないと、この宣言、本当に成功させることはできないと思います。私、前も総理に、国民とのコミュニケーションに前向きになってほしい、こういう話を差し上げたと思いますが、是非本気になって取り組んでください。
○菅内閣総理大臣 御指摘ありがとうございます。ただ、私自身、ここ連日のようにぶら下がりの記者会見はさせていただいています。国民の皆さんにできるだけ政府の思いを届ける努力は必要だと思いますので、させていただきたい。今は、たしか、先週ぐらい、ほぼ毎日やっておりました。
○宮本委員 だから、ぶら下がりでちょちょっとやるんじゃなくて、やはり科学的なコミュニケーションが大事だと思うんですよ。やはり、専門家の皆さん、尾身先生や押谷先生やいろんな人と一緒になって、いろんなことを毎日毎日届けていく、こういう姿勢が、この感染拡大危機の、変異株の危機的な局面にあっては、リーダーに求められる仕事だと思うんです。これは総理にしかできないんですよ。私が幾ら言ったって、メディアは何も報じないですよ。しかし、総理がやれば伝わっていくわけですから、是非お願いします。
○菅内閣総理大臣 いや、今日も尾身会長と記者会見をやる予定であります。
○宮本委員 ですから、それはいつも一回きりで、その後がないわけですよ。だから、そういうところが本当に国民に伝わっていかないと私は……(発言する者あり)
○とかしき委員長 御静粛に願います。
○宮本委員 本当に今度の……(発言する者あり)今、大阪では人が死んでいるんだからというお話がありましたけれども、本当に国民に必死でお願いをする、必死にこのウイルスの特徴を伝える、今何が必要か伝える、そして国民の生活を支え抜くんだという決意も伝える、これが今一番大事なことだということを重ねて申し上げておきたいと思います。法案について、最後にお伺いしたいと思いますが、七十五歳以上の医療費の二割負担の対象を決める際に、総理は、どの程度の受診抑制が起きるか、この推計をしていることを御存じでしたか。
○菅内閣総理大臣 受診抑制が起きないようにその対策を講じるべきである。そういう中で、先ほども申し上げましたけれども、一か月三千円を超える支出がないようにさせていただいています。
○宮本委員 ちょっと、答えていません。受診抑制の試算を政府はしていたわけですけれども、この間の審議では与党協議に示していなかったというのが明らかになっているわけです。受診抑制がどの程度起きるかということについて、二百万円という対象を決めるときに総理は御存じでしたか。
○とかしき委員長 菅内閣総理大臣、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。
○菅内閣総理大臣 必要な医療が受けられなくならないように一定の配慮を行っていく必要があるということで、私は対応させていただいています。
○宮本委員 いやいや、ですから、それはちょっと答えていないので、委員長、答えさせてください。今のはどう見ても。
○菅内閣総理大臣 今回の見直しによる受診行動の変化に伴う具体的な影響額は聞いておりませんでしたが、少なくとも、必要な医療が受けられなくならないように一定の配慮を行っていく必要があるという考え方の中で、月額三千円を超えないようにということをさせていただきました。
○とかしき委員長 宮本徹君、申合せの時間が来ておりますので、御協力をお願いいたします。
○宮本委員 はい。受診行動の変化が起きて、受診抑制が起きるということも知らずに総理は決めちゃったわけですよ。余りにも無責任ですよ。こんなままこの法案を通すわけにはいかないということを申し上げまして、質問を終わります。

~途中省略~

○とかしき委員長 次に、宮本徹君。
〔委員長退席、門委員長代理着席〕
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。緊急事態宣言に関わって幾つかお伺いしますが、今、雇調金の特例措置がありますけれども、これがどうなっていくのかというのがあるわけですね。これは当然、緊急事態宣言ということですから、縮小せずに続けるということになるのかということと、あともう一点は、休業支援金の対象期間、これも四月末となっているんじゃないかと思いますが、当然これも延ばされるということでいいですよね。
○田村国務大臣 申し訳ないんですけれども、これは先ほど総理も申し上げたと思いますが、まだこれは決まっていないわけでございますので、私から現時点で何とも申し上げられないということで、御理解いただきたいと思います。
○宮本委員 これだけ強い行動制限を国民の皆さんにお願いをする、事業所にも休業要請、時短要請するということになったら、当然、働いている方々に対しても影響が出るわけですから、当然、今までの措置を縮小したりというのはあり得ないということですから、心の中ではもう決まっているんでしょうけれども、しっかり対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。もう一点、これは私は何度も申し上げておりますが、感染経路について国民の共通認識にしていく努力というのが感染対策の基本の土台になると思うんですよね。今日、資料をお配りしておりますが、これは四月七日に厚労省が出した事務連絡であります。「新型コロナウイルス感染症の治療を行う場合の換気設備について」というのが一枚目にありまして、二枚目、三枚目がこれを出す根拠になった資料ということで、研究を行って、病院の大きなクラスターについて、三ページ目のところに結論が書いてありますけれども、エアロゾルによって感染が発生したと断定することはできないがと言いながらも、ちゃんと換気ができていればクラスター感染の状況が異なった可能性は否定できないということで、限りなくエアロゾル感染だろうということで、こういうのが出されたわけでございます。A病院、B病院、C病院、D病院、E病院とありますけれども、私はダクトを通っていっているのかなという話を去年したと思うんですけれども、これを見たら、廊下を伝っていっていたというのがこの研究結果ということなんですね。いずれにしても、ダクトもかなりの距離を通るわけですけれども、廊下を渡ってでの短距離エアロゾルじゃなくて長距離エアロゾルで巨大クラスターが病院で発生していったということなんですね。ということは、当然ながら、陽性の方がいて、その方がスーパースプレッダーだった場合は、病院以外でも同じようなことが起きているということだと思うんですよね。この間、内閣官房のAIプロジェクトなんかの出ている研究なんかを拝見しますと、やはり、スーパースプレッダーの方というのは、唾液のPCRじゃなくて、呼気検体のPCRに大量のウイルスが入っているというんですね。唾液のPCRで見たらほかの人とそんなに変わらないんだ、だけれども、呼気検体をやったら物すごい量のウイルスがあるスーパースプレッダーの人がいるという研究も紹介をされております。ですから、そういう方がいれば、当然、病院以外もこういう今回厚労省が通知に添付された研究と同じような形で広がっていっているのではないかというふうに思いますので、こうしたものは本当に、これは多分医療機関にはこういうふうに四月に伝わっていったんだと思いますけれども、介護施設も含めて、あるいは厚労省以外のところもしっかり伝わっていくというのが必要だと思いますが、この点、大臣、いかがですか。
○田村国務大臣 前回も局長から話があったと思いますけれども、よく飛沫なのか空気感染なのかという話でしょうけれども、飛沫だとは思うんです。ただ、その飛沫核に完全に水分が飛んで、空中を浮遊して、長時間浮遊しているというような空気感染ではなくて、マイクロ飛沫というような、要するに、飛沫核に水分が一定程度あるんですけれども、少ないものですから、それなりの時間、浮遊しながら移動していく。だから、基本的に、換気してください、三密を避けてくださいと。普通、本当のインフルエンザのような飛沫ならば、せきやくしゃみの飛沫だったとすれば、それは換気云々というよりか、すぐ落ちてしまうわけでありますけれども、かなりの時間は私は浮遊している可能性があると思うんです。だからこそ、その証左が換気をよくしてくださいという話でありますから、今言われたとおり、やはり換気をしっかりやって、要するに、そこに浮遊させない、多くのウイルスを吸い込まないというような、そういう対策が必要であろうというふうに思いますので、これはずっと委員がそういうようなことをおっしゃっておられますけれども、私も、結構な時間はそれなりに浮遊しているようなマイクロ飛沫というものが感染源の一つであるというふうには考えております。
○宮本委員 それはそういうことなんです。それを、換気が必要だということではなくて、前から申し上げているんですけれども、厚生労働省の、新型コロナウイルス基礎知識というのがありますよね、ホームページに。あれを見ても相変わらず主な感染経路は飛沫と接触と書いてあるんです。そこにちゃんとマイクロ飛沫、皆さんの言葉ではマイクロ飛沫ですね。マイクロ飛沫は、でも日本の造語ですよね。エアロゾルと私はちゃんと書いた方が専門家の皆さんとか広い人もイメージできると思いますけれども、あるいは、限定された形の空気感染という書き方でもいいと思いますけれども、ちゃんと書くことが私は国民全体が誤解なく対策をやる上で大事だと思いますよ。換気が大事だというのは、本当になぜ換気が大事なのかというのが伝わるというのが大事なので、実は、診療ガイドラインとかを見ても、基本は飛沫と接触だというのは相変わらずそうなっているわけじゃないですか。ですから、基本のところにもちゃんと位置づけた方がいいのではないか、この感染経路について、エアロゾル感染についてということを私は一貫して申し上げている。
○正林政府参考人 前回も申し上げましたが、今また大臣もおっしゃいましたけれども、飛沫感染とか接触感染というのがあるんですが、今回のコロナの場合、単なる飛沫というと、本当にちょっとせきをした、本当に近距離だけというイメージで、もうちょっと広く拡散しているような感じがする。かといって、空気感染の場合は、本当にこの部屋で一人はしかの方が出たら、もう部屋中に感染者が出ちゃうような強い感染力を持ちますけれども、そこまでのものではない。専門家の間では、その間のような概念でマイクロ飛沫ということで使っています。そのマイクロ飛沫という言葉はちゃんと厚労省のホームページで出てきていますし、特に、五つの場面の一つがまさにマイクロ飛沫でありますし、図も使ってホームページでは解説したりしていますので、決してマイクロ飛沫を軽視しているわけではありません。
○宮本委員 ですから、基本の感染経路にちゃんと位置づけるべきだ、主要な感染経路に位置づけるべきだというのが私が申し上げていることなんですよ。それは出てきますよ、マイクロ飛沫の言葉も出てきますし。それが余りにもまれであるような位置づけではなくて、それは主要な感染経路の一つだと。私はエアロゾル感染が一番主要だと思っていますけれども、それを是非書いていただきたいということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。それと、あと、ワクチンのお話ですけれども、ワクチンの副反応のことを今日もお伺いしたいと思いますが、今日は副反応の部会がありましたが、新型コロナワクチン接種後で亡くなられた方の数と脳出血になられてしまった方の人数についてお伺いしたいと思います。
○鎌田政府参考人 お答えいたします。本日、副反応部会合同部会が開かれましたが、前回、お尋ねのありました、四月九日の審議会以降に新型コロナワクチン接種後に死亡として新たに報告があった件数は四件でございます。なお、これらの新たに報告された四件の死亡例につきましては、脳出血を含む出血性脳卒中の症例は含まれてございません。また、出血性脳卒中につきましては、これとは別に新たに三件が報告されているところでございます。
○宮本委員 分かりました。前回、この脳出血について、肺炎球菌についてはどれぐらいあるのかというお話を伺いましたけれども、それ以外のワクチンというのはどれぐらい接種後に出ているものなんですかね。
○鎌田政府参考人 お答えいたします。国内で接種している新型コロナワクチン、それから、前回お答え申し上げました肺炎球菌以外でございますけれども、インフルエンザのワクチンにつきましては、平成二十五年四月以降、累計で、くも膜下出血が一件、脳出血が三件でございます。また、同じく平成二十五年四月以降の数字でございますけれども、四種類のワクチン、ロタワクチン、Hibワクチン、十三価肺炎球菌ワクチン、DPT―IPVワクチン、これは主に子供が中心でございますけれども、この四種類のワクチンを同時接種した方について脳出血が一件あるという報告を受けているところでございます。
○宮本委員 それぞれの接種人数、分母を教えてもらっていいですか。
○鎌田政府参考人 失礼いたしました。インフルエンザのワクチンにつきましては、済みません、手元の数値が分かれているんですけれども、平成二十七年十月一日から平成二十八年四月三十日までに、接種の延べ人数として五千百四十四万二千三百七十四人で、このうち、くも膜下出血が一件でございます。また、同じくインフルエンザワクチンでございますが、平成三十年十月一日から平成三十一年四月三十日までにつきましては、五千二百五十一万一千五百十人が接種延べ人数でございまして、このうち脳出血が三件報告を受けているところでございます。済みません、先ほど申し上げました四種類のワクチンを同時接種した方につきましての接種者数については、ちょっと手元にございません。
○宮本委員 前回、肺炎球菌の数字もお伺いしましたけれども、やはりちょっと、比較相対的な話ですけれども、ワクチン接種した方の中で脳出血にその後なる方の人数が高いのかなというふうに思うんですね。ですから、是非このメカニズムは何なのかというのを調べていかなきゃいけないんじゃないか、どういう人が起きる傾向があるのかというのをやはりやっていかないと私は大変不安だなと思いますので、これはよろしくお願いしたいというふうに思います。それでは、法案について質問に入りたいというふうに思います。今日、資料で、これは前もお配りした資料ですけれども、四ページのところに、二百万円の方は負担能力があるということをいつもおっしゃられるわけですけれども、余裕があるとはとても言えないという話をこの間してまいりましたが、この政府の単身世帯年収二百万円の方を見ると、二百万円のうち二十五万円が非消費支出、税金や社会保険料ということですね。十二万円残って、非消費支出を除くと百六十三万円で暮らしているということになるのかと思います。それと、前回、立憲の方の質問への答弁で、生活保護の生活扶助と住宅扶助は、東京二十三区、年間で百五十三万円マックスという話がありました。では、七十五歳以上の生活保護受給者の医療扶助と介護扶助の年間平均額を教えていただけますか。
○橋本政府参考人 お尋ねいただきました医療扶助、介護扶助につきまして、この七十五歳以上の一人当たり年間平均額という形での把握はいたしておりません。それで、まず医療扶助についてなんですが、平成三十年六月審査分の七十五歳以上の生活保護受給者の医療レセプトの総額、これが平成三十年度の医療扶助実態調査の中で把握をいたしております。これと時点が近いということで、平成三十年七月末時点の七十五歳以上の被保護者数、これは平成三十年度の被保護者調査の中で把握しております。この人数で割りますと、一人当たりの平均額、単純計算で約九万一千円ということになります。これが月額でございますので、仮にこの月額の七十五歳以上の生活保護受給者一人にかかる医療扶助費を単純に十二倍ということで掛け算をしますと、約百九万二千円ということになるところでございます。ただ、御承知のとおり、医療機関への受診動向につきましては季節による変動がございますので、これは年額ではないということには留意をいただきたいと思います。それから、介護扶助の方でございますが、これは医療扶助と異なりまして、基本的には、介護保険の自己負担分について給付をするものであります。平成三十年度の年間総給付額が約八百九十七億円となってございまして、これを仮に介護扶助を受給している人員数で単純に割りますと、一人当たりは二十一万四千円ということになってまいります。また、介護扶助の受給の有無に関係なく、介護保険の第一号被保険者となります六十五歳以上の被保護者数の数で割り算をいたしますと、八万六千円ということでございます。ただ、いずれにしましても、介護扶助につきまして、七十五歳以上という形での把握はいたしておりません。
〔門委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本委員 もちろん、生活保護の医療扶助や介護扶助を受けられる方というのは、その年代になる前からいろいろなたくさんの病気があって働けない方だとかも入っていますから、金額は当然大きくなるわけでありますけれども、じゃ、年収二百万円の年金で暮らされている方が最低限度の生活保障という生活保護の方と比べて余裕がある金額なのかといったら、私は、決して余裕がある金額ではないというのは今の数字を紹介されてもはっきりしているというふうに思いますので、私は、こういう層から負担増をするのはやめた方がいいと重ねて申し上げておきたいというふうに思います。それから、よく今回の法案は現役世代の負担軽減のためだという説明が政府からやられます。現役世代の負担軽減のためというのはまやかしだという指摘も前回参考人質疑でありました。厳しい指摘がありました。現役世代の負担軽減には、本人負担だけではなく、事業主の負担も含まれます。なおかつ、今回の窓口負担増による給付減の現役世代の負担減に回るのは二割弱だという指摘もありました。それで、参考人の方がおっしゃっていたんですけれども、現役世代の負担に事業主の負担を含んだ政府の公式文書は今回が初めてではないか、こういう指摘もあったんですが、一体、この現役世代の負担の中に事業主の負担も含めるという使い方というのはいつからやっているんでしょう。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。これまでの大きな制度改正につきましては、世代間の公平あるいは負担能力に応じた負担を求めることを目的としておりまして、後期高齢者医療における現役世代からの支援金の負担軽減そのものを目的としたものはないものと認識しております。一方で、これまでの制度改正の財政影響におきましても、現役世代の保険料への影響には事業主負担分を含めてお示ししているのが一般的でございまして、今回の見直しでもそれを踏襲したということでございます。
○とかしき委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○とかしき委員長 速記を起こしてください。宮本徹君。
○宮本委員 どこまで質問したのか、あれなんですけれども、現役世代の負担にやはり事業主の負担を入れるというのは、私はやめた方がいいと思いますよ。違うんですから、本人負担と事業主の負担というのは。それで、ちょっとお伺いしますけれども、今二十二歳の人が八十歳まで生きた場合、あるいはまた九十歳まで生きた場合、今回の法改正の影響によって保険料の負担軽減というのは総額幾らなのか、そして窓口負担の増額は幾らなのか、平均額で示していただきたいと思います。当然、単身で年金が二百万円を超す場合ということで。お願いします。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。保険料あるいは窓口負担の金額につきましては、加入する保険者、あるいはその保険者における医療費の伸び、所得や世帯構成、本人の疾病の状況等に応じて多様でございますので、お求めのような個人の保険料の軽減額、あるいは窓口負担額の増加額をお示しするのは難しいものでございます。
○宮本委員 何で計算してくれないのかなと思いますけれども。では、支援金が一人当たり年間七百円減るんだ、これは皆さんの数字ですよね。そのうち本人負担は三百五十円だというのは、これも当然そうなるわけですよね。これは何歳まで払うんですかね、現役世代は支援金は六十五までですか、六十までですか。七十まで。
○浜谷政府参考人 支援金でございますけれども、七十四歳までお支払いいただきます。
○宮本委員 七十四歳まで払うということになると、三百五十円掛ける五十二をすれば保険料の平均的な軽減額は出るんじゃないですか。幾らですか。
○浜谷政府参考人 繰り返しになりますけれども、あくまで七百円等は平均でございまして、保険者によりましてその額も変わりますので、個々人単位ではお示しするのは難しいものと考えております。
○宮本委員 だから、平均で出してくれればいいというんですよ、皆さんは平均で今まで全部出しているわけですから。出るじゃないですか、三百五十掛ける五十二でぽんぽんぽんと計算すれば。計算していただけませんか。私、ちょっと今電卓が手元にないから。窓口負担増も出ますよね。例えば八十歳まででは平均三・二万円、皆さんは負担が今度の窓口負担増で増えるという計算をしているんですから、八十歳まで生きたらその五年分で、平均でいえば十六万円、九十歳まで生きれば十五年分で、五十万弱というのが出ますよね。保険料の軽減は、三百五十掛ける五十二年しても、幾らですか、ちょっと暗算ができないんですけれども、ほんの数万の話ですよね。
○浜谷政府参考人 繰り返しになりますけれども、個々の保険料については、なかなか、機械的にそういうふうに試算すべきものではないのではないかと考えております。
○宮本委員 私は計算しましたけれども、三百五十円掛ける五十二というのは一万八千二百円ですよ。ですから、現役世代の負担軽減といっても、今二十二歳の人からしても、一万八千二百円、納める保険料は減るけれども、八十歳まで生きてもその十倍ぐらいの窓口負担増が増えるわけですよ。九十歳だったら、そのうん十倍増える。百歳まで生きればもっと増えるわけですよね。これを現役世代の負担軽減という言葉で説明すること自体がちょっとミスリードなんじゃないですか。
○浜谷政府参考人 これまで法案の趣旨を御説明申し上げておりますとおり、団塊の世代が急増するに当たり、やはり支援金が急増いたします。その支援金の伸びを一定割合減少するために今回の法案を提出をさせていただいているということでございます。
○宮本委員 ですから、現役世代も、人生トータルで見たら、みんな今度の法改正で負担は増えるわけですよ。それを現役世代の負担軽減という言葉を使うのは、私は絶対間違いだというふうに思います。結局、減るのは国や自治体の負担であり、事業主の負担が減っていく。しかし、個人に特定してみれば、現役世代の負担は、その人の人生トータルでは増えるのが今度の法案であります。それを高齢者か現役世代かという世代間の分断を持ち込むような議論を私はやるべきではないというふうに思います。やはり財源は大企業、富裕層、富める者にしっかり負担をお願いする、これこそやるべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。それから、次の質問に行きますけれども、後期高齢者医療制度の窓口負担の二割の対象について検討した五つのケースがあるわけですけれども、今日、受診行動の変化を長妻さんも議論されておりましたけれども、この五つのケースについて、それぞれ受診行動は、外来、入院、何日減るというふうにそもそも計算されていたんですか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。昨年秋に、窓口負担割合を一割から二割に引き上げる対象者の範囲を検討する中で、五つの機械的な選択肢を医療保険部会等でお示しして議論いたしました。長瀬効果でございますけれども、あくまでも給付率の変化とマクロで見た医療費水準との変化について見たものでございます。いずれの選択肢におきましても対象者の給付率の変化は同じでありますので、受診行動の変化、すなわち長瀬効果の影響や、外来、入院の減少幅は同じでございます。
○宮本委員 つまり、これは、よく分からないんですけれども、どういうことですか。負担の割合が年収の対象がどれであっても減る率は変わらないということなわけですね。減る率は変わらない、日にちは変わらないということなわけですね。
○浜谷政府参考人 対象者はどこで切りましても給付率は同じでございますので、御指摘のとおりでございます。
○宮本委員 そうすると、何か長瀬効果というのは随分乱暴な計算の仕方ですね。本来、低所得者のところまで負担増を求めたら、当然、低所得者の方が受診控えが起きるというのは、この間、世界の研究でもそうなっているわけですから、随分いいかげんな数字で計算しているというのがよく分かりました。それからあと、もう時間が少ないので、最後にお伺いしますけれども、今日は配付資料でまた一つ国内の先生のものを持ってまいりました。というのも、一昨日、学習院大学の鈴木亘教授の論文を紹介して、受診抑制で糖尿病が悪化するという指摘をしましたら、それはゼロ歳から六十九歳までの分析じゃないか、高齢者には当てはまらないじゃないかと言わんばかりの答弁が大臣からありました。そこで、今日は、九州大学の馬場園先生の論文、医療サービスの受診保障と患者自己負担増を紹介したいと思います。これはちょっと抜粋ですけれども、資料の六ページ目のところにあるんですけれども、老人保健制度への定率負担導入の影響を紹介するということで、二〇〇一年に老人保健制度に導入された一割負担の影響を福岡県のある健保組合で見たものです。高血圧症は受診率が四・五%下がった、糖尿病は八・六%も下がり、それ以降も受診率は回復しなかったということなんですね。先ほど、午前の質疑を聞いていましたら、高額療養費がない場合の長瀬効果の指数として九・四%ということを言われておりましたけれども、糖尿病なんかは高額療養費にかからない、外来だけならかからない。そうすると、八・六%ですから、先ほど、午前、長妻さんとのやり取りで紹介された九・四%に近い数字が出ているのかなという思いもしながら午前の質疑を聞いていましたが、高齢者では現役世代よりも更に大きな影響が出ているんじゃないですかね。この間の現役世代のやつは高血圧症は下がっていなかったけれども、これは高血圧症も高齢者では下がっているということなわけですよ。この先生の論文の結論は、明確なことは、経済的な理由により、患者が受診を自ら抑制することが増え、早期発見、早期治療が困難になる傾向があることであると。こういう研究は幾つもこの間やられてきているわけですよ。これは、健康への悪影響というのは窓口負担二割に七十五歳以上を引き上げたら起こるというのは明らかじゃありませんか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。御指摘の文書でございますけれども、馬場園さんが、自らが行った自己負担率の変化による受診への影響に関する実証的な研究を紹介したものと承知しております。具体的には、過去の窓口負担割合の見直しに関連して、経済的理由による受診控えに関する研究、あるいは、御指摘の糖尿病、高血圧の患者の受診行動に与える影響の研究などを紹介しております。そういう意味では、先日の鈴木先生の論文もございますけれども、鈴木先生の論文では、高血圧についてはむしろ受診率が上がった、糖尿病では下がった。今回は糖尿病、高血圧とも下がった。様々な結論、研究がございます。ただ、そういう意味では、様々な論文がございますけれども、結論も様々でございまして、そういう意味では、確たるものは、現段階では私どもとして政策的に参考にできる程度の論文はないものと承知しております。
○宮本委員 様々な結論があるというふうにおっしゃいましたけれども、じゃ、お伺いしますけれども、糖尿病の受診率が上がったという論文はあるんですか。負担増したことによって糖尿病の受診率が上がった。ありますか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。私どもは網羅的に論文を把握しているわけではございませんので、現時点で御指摘のような論文は承知、把握はしておりません。
○宮本委員 ですから、承知していないのに、様々な結論があるんだということで、先生方の、それこそレセプトを分析したり、患者さんの行動を実際に一生懸命追いかけた研究成果を無視して、健康への影響はないんだと、こういう議論はやるべきではないですよ。これだけ幾つも幾つも、皆さんは参考にできる論文なんてないんだと言われるから、しようがないから私たちが一生懸命探したら出てくるわけですよ。あるじゃないですか。ちゃんとこうした過去の研究をしっかり皆さんも分析してまとめて、健康への影響があるのかないのかというのをまず明らかにすべきじゃないですか。大臣、何か後ろから、聖徳太子じゃないじゃないですか、やはり。ですから、大臣、やはりこれは、過去の負担増の例も含めて、負担増が健康にもたらす影響についてまず調べる、これが今やるべきことなんじゃないですか。法案の審議は終わりましょうよ。もう、今日、菅原筆頭もいなくなり、採決もなしというふうになったんですから。もう本当に、私は、ここでいつも質問しながら物すごく悩んでいるわけですよ。大臣を法案審議で縛りつけているということに物すごく悩んでいるんですよ。本当にコロナ対策でこんな大変なときに、全力で病床の確保だとかいろいろなことに当たってもらわなきゃいけない大臣が、こんな法案のためにここにいなければならない。恐らく、私は野党の議員の皆さんもそうだと思いますよ。本来だったら、コロナ対策で地元からいっぱい聞いている要望を一つ一つ各省庁とやり合って、いろいろ改善を求めたり対策を取ってもらう、そういう仕事をしなきゃいけないときに、この法案を、健康への影響があるんじゃないかとこれだけたくさん論文があるのに、それについては知りませんというまま審議を続けていく。これはもう大臣の判断でやめましょうよ。コロナを理由にすれば、今、中断して、やめることは可能だと思いますよ。そのことを申し上げます。いかがですか。
○とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。
○田村国務大臣 様々な研究があるのは我々も承知しておりますが、要は、今回、我々は、言われるような健康被害といいますか、必要な受診を控えるような、そういうようなところにはお願いをしないということで、一定の所得の層の皆様方にお願いをさせていただき、しかも、導入したときにはどうしても、余り導入のときの負担が増えると、仮に負担ができたとしても、やはりそれは負担が増えた分だけいろいろな抑制がかかるというようなことは往々にしてあり得るかも分かりませんので、そこは経過措置を置いて、そういうような負担が増えたというような感覚をある程度緩和をさせていただきながら、負担能力のある方々に御負担をいただいて、必要な医療も併せて受けていただこうということで提案をさせていただいておりますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
○宮本委員 経過措置は三年で切れます。そして、受診抑制は必ず起き、健康悪化をもたらす過去の研究はたくさんあります。法案の撤回、審議中断を求めて、質問を終わります。