2021年5月12日 衆院厚生労働委員会 労働者守る対策ぜひ 雇用保険逃れなど告発

 日本共産党の宮本徹議員は12日、衆院厚生労働委員会で、大企業の雇用保険未加入や解雇・雇い止めの実態を告発し、コロナ禍で労働者の生活を守るための対策を要求しました。
宮本氏は、イベント大手「シミズオクト」が、非正規労働者を「日々雇用」という名目で雇い、雇用保険に加入させていない問題を告発。雇用保険法第9条に基づき、厚労相が職権を行使して雇用保険に加入させるべきだと迫りました。
厚労省の田中誠二職業安定局長は「一部の労働者から確認請求があり、確認が行われる中で、他の労働者に被保険者資格があると認められるときは、ハローワークが事業主に届出を指導し、応じなければ職権で確認する」として「ご指摘のような事案についても、職権の行使を含めて、雇用保険制度を適正に運営したい」と答弁しました。
宮本氏はまた、資本金994億円を誇る「阪急阪神ホールディングス株式会社」のグループ企業である「阪急阪神ホテルズ」で、3月末に非正規労働者219人が雇い止めされた事例も告発。雇用調整助成金、休業支援金の一部縮小をただちに撤回し、コロナ特例措置を全国規模で維持して労働者の雇用を守るよう求めました。

以上2021年5月18日赤旗日刊紙より抜粋

≪2021年5月12日 第204回衆院厚生労働委員会第18号 議事録 該当部分抜粋≫

○宮本委員 ~略~ それから、あと、大手のイベント会社、シミズオクトさんですけれども、非正規労働者を日々雇用ということで、実態は継続的な雇用であるにもかかわらず、雇用保険に加入させずに休業手当不払いを正当化するということがあって、私たちも相談に乗ってまいりました。ある非正規労働者の方がハローワークに確認請求した結果、雇用保険加入になったわけですけれども、この方によると、同じように加入資格がある労働者は多数いるけれども、ハローワークは、当事者から請求しないと調査すらしないというふうに言っているらしいんですよね。やはり、こういうシミズオクトさんのような例については、雇用保険法第九条に基づいて、厚労大臣の職権で調査を行って、要件に該当する労働者は雇用保険にしっかり加入させるべきだと考えますが、いかがですか。
○田中政府参考人 一般論として御答弁申し上げますが、雇用保険法におきましては、原則として、事業主は、その雇用する労働者が被保険者となったことを届け出る義務がございますが、これが行われないと、労働者が失業等給付を受けられないといった事態を招くため、その権利の保護を図る観点から、直接労働者本人から厚生労働大臣宛てに確認の請求を行うことを可能としております。さらに、一部の労働者から確認の請求があり、その方について確認を行う中で、当該事業主に雇用されるほかの労働者についても被保険者資格があると認められるときは、ハローワークにおいて事業主に対して届出を指導し、これに応じないときは職権により確認することとしております。いずれにしても、事業主が適正な届出を行っていただくことが最も重要でありますが、委員御指摘のような事案についても、職権の行使を含めて、雇用保険制度を適正に運営してまいりたいと考えております。
○宮本委員 ありがとうございます。一般論と言いながらも、事実上この件についてしっかり対応していただくというお話でしたので、職権の行使をしっかりやっていただきたいというふうに思います。それから、あと、こういう相談もあるんですね。都内のある製造業で働くパートの方が、一日六時間の労働契約だったのが、今回、コロナの時短で四時間労働になって、月九万円から月六万円に収入が減ったということなんですね。ただ、そのときに、平均賃金の六割の解釈を示した一九五二年の通達があるんですけれども、それによると、六万円払っている場合は、二時間の時短分については休業手当支払い義務がないということになっているそうであります。一方で、休業支援金は、一日四時間以上働いた場合は、その日が休業とならずに支給対象にならない。ですから、休業手当も出なければ休業支援金の対象にもならないということになっているわけですよね。私は、そもそも、この一九五二年の通達を見直すべきだというふうに思います。それと、あわせて、休業支援金についても、雇調金だったら、六時間の契約が二時間減って四時間になっても、これは当然、雇調金を使って休業手当を払うことはできるわけですね、雇調金の場合は時短についても使えるわけですけれども。よくここの場でも、休業支援金と雇用調整助成金はパラレルなんだというお話が皆さんからありました。そのパラレル論で、前に進むこともあれば、なかなか後ろに進まないこともありましたけれども。休業支援金と雇用調整助成金はパラレルというなら、少なくとも、休業支援金はこうしたケースにでも支給できるように改善しないと救われないですよね、この方は月九万円の収入が六万円に減ったにもかかわらず。これをどうにか改善していただけないでしょうかね。
○田村国務大臣 これは休業手当の話と雇調金の話で、雇調金は、言われるとおり、時間的に時短で休んでいる部分に関して、そこの部分に対して出る、雇用調整助成金は。ただ、これも、企業にしてみれば、今、補助率が十分の十ですから、そこまで、じゃ、全部対応しようかということになるわけでありますが、これは補助率が違う場合には、当然、持ち出しがあるとなると企業もいろんな形で企業行動は変わってくる可能性はあると思います。基本的に、この休業手当の支払いに関しては、いつもの話でありますけれども、暦日数で割るものでありますから、今委員がおっしゃったみたいなことが起こるわけでありまして、結果的に、日々六千円、時給千円で、例えば六時間働いて六千円もらっているものがあったとしても、全体でこれが十二万円だとすると、三か月の平均で見ると、暦日で割りますから九十日で割りますので、結果的に、出てくるお金というものが当然のごとく変わってくるわけでありまして。すると、この出てきたお金、四千円というものに対して、残り二時間分、何とかならないかという話だと思うんですが、これは四千円に対して六割でありますから、四、六、二十四、二千四百円。二千四百円よりも四千円の方が大きいものでありますから、そういう意味では、これは十分に休業手当分をクリアしているということになりますので。結果的に、休業手当というものは、時短で出てきておる、以前よりも働いている時間が減っている部分に対してというよりかは、全体の中で生活を保障するという意味からして、もらっておられる給料のうちの六割をクリアしているかどうかというようなところの話でございますので、結果的にはこれは暦日を使うものでありますから、こういう形になるということでありますので、これは御理解をいただきたいというふうに思います。
○宮本委員 いやいや、それは理解いただきたいといっても理解できないですよね。だって、休業支援金は八割の賃金保障を実際はしているわけですから。これは、働いている時間が違う、四時間じゃなくて三時間で働いている日がもうちょっと多いというケースだったら、これはちゃんと休業支援金の対象になって出るわけですよね。ですから、これはちゃんと改善してもらわないと、本人は納得できないというふうに思いますよ。それで、もう時間が来たから、もう一問あったんですけれども、これは指摘だけに終わらせていただきますけれども、雇調金の特例、休業支援金の特例、今日大島さんからもお話がありましたけれども、これを縮小したら大変なリストラが私は起きると思いますよ。ちょっと前に聞いた話ですけれども、資本金一千億円近い阪急阪神ホールディングスの株式会社のグループ企業である阪神阪急ホテルズが、非正規労働者二百十九人を雇い止めしたということで、あした労働組合が記者会見の発表もしているわけですよね。こういう形で、今でも、先の雇調金が見えないという中で、こういう話がどんどん出てきているわけですよ。これは絶対に、雇調金は、少なくとも、コロナが終息していく、もうワクチンの作戦を今やっているわけですから、七月末まで高齢者が打っていけば、かなり感染者、とりわけ重症者については抑えていける事態になるわけですから、そこまではしっかり雇調金を私は維持していかなきゃいけないと思いますよ。
○とかしき委員長 申合せの時間が来ておりますので。
○宮本委員 そのことをしっかり受け止めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。