『共同の広がりを財産に 宮本徹衆院議員に聞く』 東京民報11月14日号から
今回の衆院選は本格的な野党共闘のもとで行われた初めての国政選挙でした。東京20区で市民と野党の共闘候補として奮闘し、小選挙区では得票を伸ばしたものの議席には及ばず、比例で復活当選した日本共産党の宮本徹氏に、選挙戦を振り返り、今後の課題と抱負について聞きました。
―当選、おめでとうございます。野党統一候補としての初めての選挙でした。
今回の選挙は、政権交代を野党、市民のみなさんと一緒になって訴えた初めての選挙だったので、何としてもという思いで頑張りました。結果として、私の得票は前回より伸ばしましたが、小選挙区では議席に届きませんでした。野党統一候補としての責任を果たせなかった点で、私自身の力不足を痛感しています。
選挙戦では、日に日に、政権交代をめざし、取り組む市民と野党の輪が広がりました。20項目の共通政策に団結して、その実現を目指す共同の輪が広がったことは、次につながる大きな財産です。
5市の立憲民主党、社民党、生活者ネット、無所属の議員、元議員のみなさん、緑の党やれいわ新選組の支援者も政権交代へそれぞれの思いを訴えました。早朝の駅頭宣伝に連日参加してくれるなど、胸を熱くしながらの選挙戦でした。選挙ハガキの推薦欄に自らの名前を添えて支援者や知人にだす取り組みも広がりました。
自らのたたかいに
選挙戦の中で、保守系の無所属市議の方もはじめてマイクを握って訴えてくれました。これまでになかったことです。武蔵村山市の保守系市議の方は、「今の政治は政策以前の問題。正義が通らない政治をまず正すことが必要だ」と、訴えてくれました。また、選挙カーのドライバーを、自民党の元市議の方が務めてくれるということもありました。底深い変化がおきています。
市民のみなさんの立ち上がりが、今回すごかったですね。例えば清瀬の市民連合だけで27人の方がマイクを握り、自らの思いを訴えました。市民連合のみなさんが独自に宣伝カーを出したり、朝宣伝したり、ビラや動画をつくったり、手作りの看板や横断幕などをつくって、創意工夫をこらして宣伝に取り組んでいました。市民が立ち上がりの広がりが力となって、野党の共同の輪がさらに広がりました。
日本共産党が野党統一候補となった選挙区は全国でも少数です。その中で、東大和市の無所属市議の中野しのぶさんが「共産党であろうが誰であろうが、政権を代えるために共同するのは当たり前じゃないか」「野党共闘は、共産党があってこそだ」と、絶えず言ってくれたのは、とても励まされ、力になりました。
共感呼んだジェンダー平等、気候危機打開
―今回、日本共産党は4つのチェンジを訴えました。手応えはどうでしたか。
今回、政策的に新たに重視したジェンダー平等と気候危機打開の提案への反響や共感は、大きなものがありました。日本共産党の気候危機打開の「2030戦略」は、生活者ネットやみどりの党の議員の方々からも「国際基準の政策は共産党だけですね」など、高い評価をいただきました。街頭でも共産党の「2030戦略」を紹介してくれる議員の方もいました。
私も気候変動の問題に力を入れて訴えました。若い人から「もっと選挙の争点にしてほしい。日本の未来がかかっているんだ」との真剣な声が寄せられました。
ジェンダー平等の問題では、選挙権のない高校生からもがんばってほしいという声がよせられました。選挙戦の中では、ジェンダートークも行いました。LGBTQ(性的少数者)の当事者の方も、何度もマイクを握って切実な思いと重ねて、政権交代を訴えました。最終盤には、学生の方が初めて選挙カーのマイクを握り、性暴力の根絶を切々と訴えました。
街頭でのリレートークを何度もやりました。これほど市民のみなさんと一緒になって訴えた選挙は、これまでありませんでした。
政権交代への信頼
―今後に生かす課題をどのように考えますか。
比例で東京全体では前回より約5万2000票伸びたのは、政策への期待と同時に、野党共闘に誠実に努力する日本共産党への評価がそれだけあったのだと思います。
一方で自民党陣営からは、野党共闘、中でもそこに加わる共産党への批判を前面にしたした攻撃がおこなわれました。中心は安全保障問題で、デマも含めて共産党を攻撃し、そういう党と組む立憲は無責任だという野党共闘批判を、公示第一声から続けました。
これに対し、野党共闘勢力が、共闘の大義や政権交代の魅力と同時に、政権交代への安心感、信頼感を国民が感じられるよう、果たしてどこまで伝え切れたか。
また、東京20区の出口調査をみると、60代以上では自民党候補とほぼ互角のたたかいですが、10~40代の現役世代の支持率が相対的に低くなっています。もっと現役世代にわかりやすく伝える努力と同時に、日本共産党への誤解を解く努力が必要です。
―3期目がスタートします。
選挙中、コロナ禍のもとでいっそう深刻となった雇用や介護をはじめ、年金、障害者福祉などたくさんの声が寄せられました。宮本徹と日本共産党に寄せられた一票には、切実な願いが込められていることを、ひしひしと感じた選挙でした。
政権交代はかないませんでしたが、掲げた公約実現のために、市民の世論と運動といっしょになって国会を動かすために力を尽くします。議席に届かなかった仲間の分もがんばってほしいという声もたくさんよせられます。二人分働くつもりで、頑張ります。
以上東京民報2021年11月14日号から抜粋