2022年5月27日 衆院本会議 補正予算案衆院通過 宮本徹氏反対討論 国民支援ないも同然
2022年度の補正予算案が27日、衆院本会議で自民党、公明党、国民民主党の賛成多数で可決されました。日本共産党などは反対しました。
補正予算案は総額2兆7009億円。予備費の補充として1兆5200億円を計上したほか、原油高対策として石油元売り会社への補助金などが盛り込まれています。
日本共産党の宮本徹議員は反対討論に立ち、「ガソリン・燃油対策を除けば、物価高騰に苦しむ国民や中小零細事業主等への支援がないにひとしく、国民の暮らしを守れない」と批判しました。
宮本氏は、物価高騰が生活必需品全般におよび、値上げラッシュが続くと指摘。いま政治がやるべき仕事は、物価の引き下げと、物価高騰に負けないよう収入を増やすことだと強調しました。
また、補正予算案の予備費の積み増しについて「財政民主主義を踏みにじるものであり、断じて認められない」と指摘しました。
その上で宮本氏は、岸田文雄首相が日米首脳会談で「防衛費の相当な増額を確保する」と表明したことについて、大軍拡は、消費税増税か、社会保障や福祉教育の削減への道であり断じて許されないと強調。また、政府が「敵基地攻撃能力」を保有し、他国の空爆まで言及していることについて「安全保障のジレンマを呼び起こし、際限のない軍拡競争につながる亡国の道だ」と批判しました。
以上2022年5月28日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2022年5月27日 第208回衆院本会議第30号 議事録≫
○議長(細田博之君) 令和四年度一般会計補正予算(第1号)、令和四年度特別会計補正予算(特第1号)、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長根本匠君。
○根本匠君 ただいま議題となりました令和四年度一般会計補正予算(第1号)外一案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。まず、補正予算二案の概要について申し上げます。一般会計補正予算については、歳出において、四月二十六日に決定されたコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を踏まえ、原油価格高騰対策並びに今後への備えとして、一般予備費、及び、新型コロナウイルス感染症対策予備費を改組し使途を拡大した、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の確保に必要な経費の追加等を行う一方、歳入において、公債金の増額を行うこととしております。これらの結果、令和四年度一般会計予算の総額は、歳入歳出共に当初予算から二兆七千九億円増加し、百十兆二千九百七十三億円となります。特別会計予算については、国債整理基金特別会計において、所要の補正を行うこととしております。この補正予算二案は、去る五月二十五日本委員会に付託され、同日鈴木財務大臣から趣旨の説明を聴取し、昨日から質疑に入り、本日、質疑を終局いたしましたところ、れいわ新選組から、令和四年度補正予算二案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、趣旨の説明がありました。次いで、補正予算二案及び動議について討論、採決を行いました結果、動議は否決され、令和四年度補正予算二案は賛成多数をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(細田博之君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。道下大樹君。
○道下大樹君 立憲民主党・無所属の道下大樹です。私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和四年度補正予算について、反対の立場から討論いたします。(拍手)冒頭、細田博之議長をめぐる問題について一言申し上げます。議長には、公正性と中立性が求められることは言うまでもありません。しかしながら、十増十減に否定的な発言を繰り返す細田議長の言動は、明らかに中立性を欠いていると言わざるを得ません。十増十減は既に国会で議論の上定められた法律に基づくものであり、立法府の長がこれを批判するなどあり得ません。自民党の伊吹文明元衆議院議長は、議長が議会の決めた法案を公然と批判したら国会の権威は丸潰れだと厳しく批判されています。細田議長には、基本的な姿勢を根底から改めていただく必要があります。また、一部週刊誌では、細田議長のセクハラ疑惑も報じられています。国会法第十九条では、議長について、「議院の秩序を保持し、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表する。」と定められています。細田議長にセクハラ疑惑が持たれたまま国会が開かれ、このように審議が行われている状況は、不正常と言わざるを得ません。細田議長には、議院を代表する者として、議院の秩序と品位を保持していただくためにも、国会閉会後に訴訟など対応するより前に、今国会中に細田議長御本人から本件に関して説明責任を果たしていただくことを強く求めます。補正予算の中身に先立ち、岸田政権の基本姿勢について申し上げます。知床半島沖の観光船沈没事故で亡くなられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、今なお行方不明の方々の一日も早い発見、救助を願うとともに、捜索活動に当たっている関係機関には感謝を申し上げ、あらゆる手だてを尽くすことを要望します。本件については、ずさんな安全管理体制であった運航会社に大きな責任があることは明らかですが、国土交通省の甘過ぎる検査、監査にも原因があると言わざるを得ません。船と地上との連絡方法としていた衛星携帯電話の機能の未確認や、携帯電話がつながらないという実態を見逃していたこと、さらには、二度の事故後の改善報告書が国交省からの参考文書を丸々コピペしたものであっても国はそれを認めていたこと、抜き打ち確認も、担当者不在で確認できないまま、その後のフォロー検査をしていなかったことなど、監督官庁としての役割を果たしているとは到底言えません。岸田総理並びに斉藤大臣には、真正面から国の落ち度、責任、監督体制の不備を認めて、二度とこのような事故が起こることのないように、徹底した原因究明と再発防止策を強く求めます。国土交通省については、もう一つ深刻な問題があります。建設工事受注動態統計の不正問題です。有識者会議の調査結果では、今回の統計不正により、二〇二〇年度の統計が約三・六兆円過大になっていたことが明らかになりました。また、二〇一九年度以前については、毎年約五・八兆円過大になっていた可能性があるとも指摘されています。GDPへの影響は軽微であるとのことですが、基幹統計でこれだけの誤差が生じるということ自体、統計への信頼を揺るがす大問題であります。知床観光船沈没事故に加えてこの統計不正問題と、この間、国土交通省の不祥事が目立ちます。斉藤大臣の監督責任は極めて重いと言わざるを得ません。改めて猛省を求めます。岸田総理が掲げる子供、子育て関連予算倍増について、我が党の泉健太代表や同僚議員が昨日の予算委員会で、現在の予算額は幾らで、それをいつまでにどのようなスケジュール感で倍増するのか、具体的な説明を求めましたが、岸田総理からは、予算の充実につなげていきたいという具体性のない答弁でした。子供、子育て経費の負担軽減に期待していた多くの国民、特に子育て世帯は、期待外れだ、失望したと感じているのではないでしょうか。非常に残念であります。一方、岸田総理は、アメリカのバイデン大統領との会談で、日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏づけとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明されました。安倍元総理は、これを受けて、六兆円台後半という意味ではないかと発言し、自民党は、さきの衆院選で、NATO諸国の国防予算の対GDP比二%を念頭に防衛費の増額を図ることを掲げています。しかしながら、予算というものは金額ありきで決めるものでは決してありません。日本を取り巻く安全保障環境を考慮し、防衛力を強化する必要については理解しますが、防衛費については、真に必要なものを精査した上で、調達改革を徹底し、必要額を積み上げていくべきです。また、最近の与党や一部野党を見ていると、ウクライナ危機に乗じて、核共有や敵基地攻撃能力、憲法九条改正など、安全保障に関する議論が、たがが外れたように進んでいます。そもそも、大前提として、まず行うべきは外交努力であります。この間、拉致問題、北方領土問題などは一向に進展せず、ロシア制裁はG7と歩調を合わせるだけです。この有様を踏まえれば、まず議論すべきは、我が党の泉健太代表が予算委員会で指摘し提言したように、積極的な首脳会談など外交力の抜本強化ではありませんか。自らの外交力の欠如を棚に上げて、安全保障の議論にのみ固執する政府・与党の態度は極めて不誠実であります。四月の消費者物価指数は、前年同月比で二・一%の上昇を記録し、消費税率引上げの影響を除けば、実に十三年七か月ぶりの上昇幅となりました。一方で、賃金の上昇が追いついていないことから、実質賃金はマイナスとなり、家計負担が増大する、いわゆる悪い物価高が起きています。この悪い物価高は急速な円安の進行による輸入物価の上昇により助長されていますが、この背景には、アベノミクス以来の異次元の金融緩和により、金融緩和の縮小に踏み切った諸外国との間で金利差が拡大しているという事情があります。それにもかかわらず、安倍元総理が政府の子会社と認識している日銀は、異次元の金融緩和に固執し、金融政策の見直しに着手しようとしません。日本銀行法第二条は、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」と定めています。日銀による異次元の金融緩和に固執し、悪い物価高で国民生活が苦しくなっていくのを放置することが、果たして国民経済の健全な発展に資するのでしょうか。甚だ疑問であります。政府及び日銀には、国民生活の視点に立った政策の展開を強く求めます。このとおり、予算の提出者たる政府の基本姿勢には、枚挙にいとまがないほど多くの問題がありますが、予算の内容もまた到底賛同できるものではありません。今回の政府の補正予算約二・七兆円は、一言で言えば、遅い、小さい、中身がないということに尽きます。立憲民主党は、四月八日の時点で、二十一兆円規模の経済対策を取りまとめて、補正予算の編成を求めております。一方で、政府が補正予算を編成して国会に提出したのはつい数日前、しかも、中身は、既に支出した予備費の埋め戻しに充てる分を除けば、僅か一・二兆円の原油価格高騰対策のみです。年金生活者支援のための予算が含まれていないこと一つとっても、この予算で物価高騰とコロナ禍で苦しむ国民生活を支えられるわけがありません。また、当初予算に計上した予備費について、予算成立後僅か一か月で支出し、しかもそれを補正予算で埋め戻すというのは、財政民主主義を軽視し、国権の最高機関である国会を愚弄する極めて異常な対応であると言わざるを得ません。自民党の福田達夫総務会長も記者会見で、予算をつくる我々国会の立場としては余り頻発すべきことではないと発言されるなど、与党内からも苦言が出されています。憲法第八十七条は、予備費について、「予見し難い予算の不足に充てるため、」に設けるものと定めています。裏を返せば、今回の常軌を逸した対応は、政府の予見能力の低さを自ら証明しているということにほかなりません。結局、今回の補正予算は、選挙前に予算委員会を開きたくなかった自民党と、選挙目当てで大規模な補正予算を編成したかった公明党の妥協の産物にすぎず、そこに、物価高騰とコロナ禍にあえぐ国民生活を守り抜くという視点は存在しなかったのです。このような国民不在の補正予算には到底賛成できません。立憲民主党は、物価高と戦う、教育の無償化、着実な安全保障という生活安全保障三本柱を掲げ、引き続き、物価高騰とコロナ禍から国民の暮らしを守り抜くため、必要かつ十分な規模と内容を伴った補正予算の編成を強く求めることをお誓い申し上げ、私の反対討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(細田博之君) 島尻安伊子君。
○島尻安伊子君 自由民主党、島尻安伊子です。私は、自由民主党、公明党を代表し、ただいま議題となっております令和四年度一般会計補正予算及び令和四年度特別会計補正予算、以上二案に対しまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)ロシアによるウクライナ侵略により、世界情勢は一変しました。この決して許されない侵略行為によって命を失った方々に対し心より哀悼の意を表しますとともに、今こそ、平和国家である我が国が世界の連帯を導き、力による一方的な現状変更を止めていかなければならない、この決意を新たにするものであります。ウクライナ侵略の影響は、世界経済へも暗い影響を及ぼしております。石油や天然ガスの供給不安が高まったことから、エネルギー価格は急激に上昇し、様々な要因も絡んで、極めて不安定な状況となっております。また、小麦の世界的な輸出国であったウクライナが侵略されたことで、穀物市場も不安定化し、世界規模の食料危機が警戒されているほか、海産物価格も上昇するなど、その負の影響は大規模かつ多岐にわたっております。エネルギーは経済成長、産業振興の要、そして、食料は人類が生きていく上でなくてはならないものであります。それらの価格が上昇し不安定化することは、我が国の産業や国民生活にとって非常に大きな影響を及ぼし、ウクライナ情勢に伴い、その影響も懸念されます。今般のウクライナ情勢等による原油価格、物価高騰等は、新型コロナウイルスからようやく抜け出そう、回復しようとする経済社会の動きを阻害しかねない、大変深刻な問題であります。こういった状況を受け、四月二十六日、政府は、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を策定いたしました。この総合緊急対策には、原油価格高騰がコロナ禍からの経済回復の重荷となる事態を防ぐための原油価格高騰対策のほか、エネルギー、原材料、食料等の安定供給対策や、新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策、そして生活困窮者支援など、現在の状況にしっかりと効果を発揮することができる施策が盛り込まれ、既に実施に移されているところです。今般、国会において精力的に審議されました本補正予算は、この総合緊急対策を受け、今後への備えとして編成されたものであります。以下、本補正予算に賛成する主な理由を申し述べます。第一に、本補正予算に盛り込まれている燃料油価格の激変緩和事業は、燃料油価格の上昇が移動コストや輸送コストの増を通じて国民全体に与える影響を抑制する重要な施策です。この臨時異例の措置を九月末まで継続し、国民の生活を守る予算となっております。第二に、本補正予算では、総合緊急対策で使用した金額相当の一般予備費を積み増して五千億円の水準とするとともに、コロナ予備費を新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費として使途拡大した上で、五兆円の水準を確保しております。予備費は法令等の規定に従って、適切に使用されなければなりませんが、今後の災害、新型コロナウイルス感染症再拡大や、原油価格、物価の更なる高騰等による予期せぬ財政需要に迅速に対応するため、今こそ必要な措置であると言えます。以上、本予算に賛成する理由を申し述べました。議員の皆様の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げます。(拍手)
○議長(細田博之君) 阿部司君。
○阿部司君 日本維新の会、阿部司です。会派を代表して、令和四年度一般会計補正予算案及び同特別会計補正予算案に反対の立場から討論をいたします。(拍手)今回提案された補正予算案は、特例公債を財源として、総額二兆七千九億円の予備費を積み立てるものです。このうち、一兆五千二百億円を四月に支出した予備費の補填に、さらに、一兆一千七百億円余りを原油価格高騰対策に充てるというものですが、以下の点から、賛成することはできません。まず第一に、財政の例外措置である予備費を安直に巨額な規模で確保することは、財政民主主義の観点から不適切であり、財政ガバナンスを損なうものであります。そして第二に、既に総合緊急対策として使用した分を埋め戻す対応は異例なものであると同時に、五兆五千億円もの予備費を確保する根拠が不明確です。第三に、これまで実施した総合緊急対策の政策効果が不透明で、検証もなされておりません。そして第四に、燃料価格激変緩和措置は、小手先的な対応であり、不十分と言わざるを得ません。ガソリン補助は、市場の価格決定機能をゆがめ、脱炭素の流れに逆行するものであり、本来的には、脱炭素の視点も含め、石油に対する課税の在り方を抜本的に見直すべきです。更につけ加えれば、総合緊急対策として実施した低所得世帯向けの五万円給付などは、参議院選挙を前にした選挙対策そのものであり、貴重な税金が政策効果も不明確なまま与党の選挙対策としてばらまかれることを立法府の一員として看過することはできません。物価高による生活不安に対応するというのであれば、消費税の軽減税率の段階的引下げなど、国民に広く公平に支援が行き届く施策を断行すべきではないでしょうか。さて、我が国もコロナとの戦いが三年目を迎えるとともに、ロシアのウクライナ侵略は世界の安全保障環境を一変させました。そして、今、インフレが進行し、景気減速化のふちにある世界は、スタグフレーションが懸念される事態となっております。時代の転換点ともいうべき中で、ロシア、中国、北朝鮮といった権威主義的国家に囲まれた日本がいかにして国民の生命と財産を守っていくのか。世界経済のブロック化が進展する中で、いかにして持続的な経済成長を実現していくのか。今以上に政治の力が問われているときはありません。これまでとは一変した安全保障環境の下で重要なのは、憲法論議を各党が真っ正面から闊達に行うことを通じて時代に応じた改正を進め、新たな国際環境に対応できる安全保障体制を構築していくことであります。私たち日本維新の会は、過日、平和主義、戦争放棄を堅持した上で、自衛隊を憲法上にしっかり位置づける考えを公表いたしましたが、日米同盟の下、GDP比一%枠に固執することなく、合理的、科学的根拠に基づいた防衛力強化を速やかに進めていくことは、現下の状況に照らせば喫緊の課題です。また、新冷戦とも言われるような状況下で持続的な経済成長を達成するためには、障壁となる規制を撤廃し、時代にふさわしい社会像を目指した根本的な構造改革を断行する必要があります。しかしながら、岸田総理が掲げる新しい資本主義は、いまだに中身が見えないばかりか、迷走しております。所得倍増と言っていたかと思えば、いつの間にか、資産倍増。市場は、岸田政権の政策の方向性がぶれているために、疑心暗鬼となっているのではないでしょうか。超少子高齢化を始めとした様々な構造的問題を抱えている今の日本は、若者が将来に希望を持てない、オワコン国家などと言われております。賃金が上がらず、社会保険料の負担率が増加し、所得が減り続ける我が国の若年世代は苦しんでいます。あしたもよくなる、そう思える、安心して子供を産み育てることができるような社会を実現するためには、可処分所得を大幅に増やし、新たな経済成長モデルを実現するための改革が必要です。私たち日本維新の会は、税制改革、給付つき税額控除又はベーシックインカムを基軸とした再分配の最適化、統合化、労働市場改革を始めとする大胆な規制改革を一体的に進めていくべきだと提案してまいりました。古くなった社会システムの微修正、問題の先送りではなく、今こそ、将来を見据えた具体的な構想を持って改革を実行していくことが政治に求められているのではないでしょうか。安全保障体制の再構築や抜本的な構造改革を力強く実行するには、政治に対する国民の信頼が不可欠です。しかし、現実には、国民の永田町に対する視線は大変厳しいものがあります。例えば、一日でも在職すれば月額百万円が国会議員に支払われる文書通信交通滞在費問題。庶民感覚からかけ離れた制度の実態に、多くの国民があきれ、政治に対する不信感を増幅させました。国民の信なくして政治を前に進めることはできません。日本維新の会の問題提起をきっかけに、文通費の日割り支給は実現しましたが、使途の公開、残額の国庫返納はいまだ実現できておりません。立憲民主党や与党が合意すればすぐにでも実現できることをいつまでも放置しておくことは、政治への不信をいたずらに増幅させることになりかねません。何十年も変わってこられなかったこの国を変えるためには、まず、政治の在り方から、我々国会議員から変わる必要があるのだと声を大にして申し上げたいと思います。私たち日本維新の会は、世界が激しく動く今こそ、自らの襟を正して国民の政治への信頼を取り戻し、大胆な改革によって国民の安全確保と日本の平和と繁栄を実現するために全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、本補正予算案に反対の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(細田博之君) 浅野哲君。
○浅野哲君 国民民主党の浅野哲です。私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、令和四年度補正予算案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)本年二月二十二日の衆議院本会議において、我が会派は、主要野党として、一九七八年以来、実に四十四年ぶりに本予算に賛成いたしました。その動機は、コロナ禍という有事が長期化する中で、国内の賃上げ機運を何としても守り抜くという強い決意、そして、緊迫化する国際情勢の中で、原油高騰対策を早期に実現しなければ国民生活に甚大な影響が及ぶとの危機感であり、そのためにも、最重点目標であったトリガー条項の発動に向けてあらゆる手段を尽くすという不退転の決意からでありました。その後、三月十六日の国民民主党、自由民主党、公明党の幹事長合意に基づき、与野党合同の検討チームを発足し、ガソリン高騰対策について協議を重ねてまいりました。現時点では、我々が求めてきたトリガー条項の発動はいまだ合意されておりませんが、これまでの協議の過程では、幾つかの合意を得ることができました。例えば、元売への補助について、当初、一リットル当たり上限五円だったものを、二十五円、三十五円へと拡充し、さらにはレギュラーガソリンの目標価格を百七十二円から百六十八円に引き下げることによって、ガソリン高騰対策を前進させました。その効果により、直近のレギュラーガソリンの全国平均価格は、六週連続値下がりして、百六十八円八十銭となっています。さらには、支援対象油種に航空機燃料やタクシー用LPガスを追加したことで、経営難に直面し支援を求めていた当該事業者の声に報いることもできました。ただし、目下の電気代やガス代、ガソリン代は昨年より二割以上上昇し、目安となる原油価格は今後も上昇する予想が出されており、トリガー条項の発動に向けた具体的検討などを着実に進めていく必要があります。また、他の野党からも同様な声が上がっているように、今回の補正予算案は現状の需給ギャップを埋めるには不十分で、極めて限定的な予算規模となっていることは間違いありません。そのため、我が党も、追加の経済対策として、本日の予算委員会の中で玉木代表が提案した国民一人十万円のインフレ手当を始め、子育て、教育支援策に係る所得制限の撤廃、事業者の設備投資を強力に後押しするハイパー償却税制などの実現を引き続き求めてまいります。一方で、今回の補正予算案には、国民民主党が、目の前の国民生活を守るため、不退転の決意の下、与党と交渉し、確保された予算として、一兆一千七百三十九億円が計上されていることもまた事実であります。言い換えれば、この予算は、所属議員二十三人の野党第三党が、国民生活を守るために、巨大与党に体当たりで臨み、まさに対決より解決の姿勢でつかみ取った成果とも言えます。日々の暮らしの中で瞬く間に物価が上昇していく状況の中、国民生活を守り抜くことは常に最優先事項です。ならば、この際、我々は信念を持って堂々と賛成することが、国民民主党を支持していただいている皆様を始め広く国民の皆様から見て一本筋の通った行動であろうと確信をしております。この国を前に進めるのは政権与党だけではありません。政策本位の堅実な野党がいてこそ、より深く未来を見詰めた議論ができると考えます。だからこそ、国民の皆様には、具体的な政策提案と現実的な政治交渉によって議論を前進させることのできる野党、国民民主党を更に大きな政党へとお育ていただくことをお願い申し上げ、私の討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(細田博之君) 宮本徹君。
○宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の補正予算案に反対の討論を行います。(拍手)反対する第一の理由は、物価対策の補正予算であるにもかかわらず、ガソリン、燃油対策を除けば、物価高騰に苦しむ国民や中小零細事業主等への支援がないに等しく、これでは国民の暮らしを守れないからであります。物価高騰は電気、ガス、食品、生活必需品など全般に及び、これからも値上げラッシュは続きます。所得が少ない人ほど打撃を受け、中小企業、小規模事業者への影響も深刻であります。今、政治がやるべき仕事は、物価の引下げ、そして物価に負けないよう収入を増やすことではありませんか。物価引下げの最も効果的な対策は、消費税の緊急減税です。政府に決断を求めます。また、賃上げに政治が責任を果たすべきです。中小企業支援とセットで、最低賃金を千五百円目指して抜本的に引き上げ、正規も非正規も賃金の底上げを図るべきであります。物価高騰が続く中、年金の削減や七十五歳以上の医療費の窓口負担の二倍化のような血も涙もない政策は直ちに中止することを強く求めます。年金カット法など年金減額の仕組みを改め、年金の底上げこそ図るべきであります。反対する第二の理由は、本補正予算案での予備費の積み増しは、国民の税金の使い方は国民の代表が国会で議論して議決するという財政民主主義を踏みにじるものだからであります。財政法は、予備費について、予見し難い予算の不足に充てるとしており、閣議決定も、災害に起因する必要な諸経費や比較的軽微と認められる経費等へ支出するとしています。安倍、菅、岸田政権の下で、新型コロナ対策の名目で巨額の予備費計上が常態化しています。本補正予算案では、二二年度の執行中の新型コロナ対策の特定予備費の看板を書き換えて、新たに物価高対策へ拡大しています。予見し難い予算の不足とは到底言えないではありませんか。時の政府が、財政法の趣旨を無視して巨額の予備費を積み、国会での議論を経ることなく、政権の財布のように利用することは、財政民主主義を踏みにじるものであり、断じて認めるわけにはまいりません。岸田総理は、日米首脳会談で、防衛費の相当な増額を確保すると表明しました。自民党は、昨年の総選挙で、GDP比二%以上も念頭に防衛関係費の増額を目指すと掲げ、既に、五年以内に必要な予算水準の確保を目指すと提言しております。GDP比二%といえば、今の防衛省予算のほぼ倍増、十一兆円にもなります。ロシアを超えて、世界三位の軍事費大国になります。どこからそんな財源が出てくるのでしょうか。財務省は、他経費を削減して国防費に一層重点配分するか、国民負担を増加させるかという議論に直結、こう指摘をしております。大軍拡は、消費税増税か、社会保障や福祉、教育の削減への道であり、断じて許すわけにはまいりません。岸田総理は、反撃能力を含め、あらゆる選択肢を検討するとバイデン大統領に説明したといいます。政府が、反撃能力すなわち敵基地攻撃能力の保有について、集団的自衛権の行使として他国の空爆まで言及していることは極めて重大であります。日本が攻撃されていないのに、アメリカが戦争を始めれば、アメリカと一緒になって反撃し、他国への空爆まで行うのは、憲法違反そのものであります。こうした能力の保有は、安全保障のジレンマを呼び起こし、際限のない軍拡競争につながる亡国の道と言わなければなりません。日本とアジアの平和のためには、東アジアに友好協力条約の枠組みをつくっていくなど、憲法九条に基づく平和外交こそ必要です。以上、指摘し、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(細田博之君) これにて討論は終局いたしました。両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(細田博之君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。