2023年3月10日 衆院厚生労働委員会 厚労相「解釈で拡大できぬ」 宮本徹氏、経団連に是正させよ

配付資料 出典:中日新聞2023年3月4日付朝刊
配付資料 出典:日本経団連「2023年版経営労働政策特別委員会報告」より
配付資料 出典:日本経済新聞2023年1月30日付朝刊
配付資料 出典:日本労働弁護団ホームページより
配付資料 出典:朝日新聞2023年2月26日付朝刊
配付資料 出典:厚生労働省通知「精神科病院に対する指導監督等の徹底について」より
配付資料 出典:厚生労働省ホームページより

 日本共産党の宮本徹議員は10日の衆院厚生労働委員会で、経団連が企画型裁量労働制について現行法のまま解釈変更で対象拡大できると主張した問題を質問し、加藤勝信厚労相は「解釈変更で対応できない」と答弁しました。
 裁量労働制は、労使であらかじめ決めた時間だけ働いたものとみなし、時間どおりに残業代を支払わなくてもいい制度。経団連は、労働政策審議会で「PDCA(計画・実行・評価・改善)型業務」、システム開発関連の「課題解決型開発提案業務」の2類型への対象拡大を求め、「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)で2類型が「現行の規定においても対象業務となり得る」と一方的に主張しました。
 宮本氏は「2類型が法改正なく対象となるのは事実誤認だ。厚労省として責任を持って是正すべきだ」と強調しました。
 加藤厚労相は、2類型の適用について「法改正が必要だ。現行規定の解釈変更で対応できるものではない。労働政策審議会でも2月14日、公労使で確認した」と答えました。
 是正対応について加藤厚労相は、「関係者から疑義がきた場合、現場の労働基準監督署で説明するなど適切な対応をはかる」とするだけで、経団連に直接訂正を求めるとは明言しませんでした。
 宮本氏は、「経労委報告は、経営者が読んで指針にするもので、社会への影響は深刻だ。是正すべきだ」と強調しました。
 宮本氏は、専門型裁量労働制のM&A業務の対象拡大はやめるべきだとして、「乱用されて健康を脅かされる労働者が増える」と追及。加藤厚労相が「労政審で、公労使で合意した」と答弁したことに対し、「裁量労働制は趣旨を逸脱した乱用がまん延している。現場の監督官からも要件の厳格化、適用範囲の明確化・縮小が必要だと声があがっている」と強調しました。

以上2023年3月11日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2023年3月10日 第211国会衆院厚生労働委員会第2号議事録≫

○三ッ林委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、グーグルの解雇についてお伺いをしたいと思います。グーグルは、全社員の六%を超す約一万二千人を解雇すると発表し、日本でも労働組合が結成されております。報道を見ますと、育休や病気休業中の人がターゲットになっている可能性もある、こういうことも言われております。日本法人が労働者に送っている退職パッケージを見ますと、形式的には退職勧奨ですけれども、親会社が公表している方針を考えれば、事実上の指名解雇ではないかと労働組合は見ているそうです。大臣、解雇は合理的な理由がなければ認められず、手続の面でも、労働組合との協議なしで解雇を進めるなどは認められないのではありませんか。
○加藤国務大臣 今、グーグルという話でありましたが、個別事案については差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、退職勧奨という名目で行われるものであっても、労働者の同意を前提としない使用者による一方的な労働契約の解約、これは解雇に該当するわけであります。その上で、最終的に司法において個別の事案ごとに判断されることとなりますが、その解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効となる。また、使用者の整理解雇の有効性についても、最終的には司法判断となりますが、これまでの裁判例を参考にすれば、実際に整理解雇を行うに当たっては、労働組合との協議や労働者への説明、人員削減を行う必要性、できる限り解雇回避のための措置を尽くしているのか、解雇対象者の選定基準が客観的、合理的であるかなどについて慎重に検討していただくことが望まれるところでございます。厚労省としては、労働契約法に照らし問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局において適切な啓発指導等を行っているところでございます。
○宮本(徹)委員 労働組合との団交には応じると日本法人は言っているそうでございますけれども、先ほど大臣からお話があったとおり、合理的理由なしの解雇は認められませんので、厚労省には、しっかり指導監督することを求めておきたいと思います。続きまして、裁量労働制についてお伺いいたします。配付資料の二ページ目と三ページ目につけておりますが、二ページ目は経団連の経労委報告、三ページ目は日経の記事ですけれども、いずれも昨年末の労政審での審議の結果を書いているわけですけれども。そこで、二〇一八年の働き方改革関連法案制定時に、法改正で対象拡大しようとしていた二類型、PDCA型業務と課題解決型開発提案業務について、現行の規定においても対象業務となり得るんだとか、法改正なしで、既存条文の再解釈と弾力運用によって認められることになった、こんなふうな記述があるわけですね。大臣、二類型のこの業務が法改正なく裁量労働制の対象となり得るというのは、全くの事実誤認じゃないかと思うんです。厚労省として、責任を持って是正のための周知啓発をすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 今御指摘があったのは、働き方改革関連法案に当初盛り込まれ、その後削除された企画業務型裁量労働制の対象業務の追加についてということだと思いますが、これについては、法律改正が必要でありますので、現行規定の解釈変更によって対応できるものではないというふうに認識をしております。なお、この点については、労働政策審議会においても、本年二月十四日に改めて公労使で確認をいただき、明確になっておるところでございます。引き続き、関係者から疑義があった場合に、現場の労働基準監督署で説明する等、適切な対応を図ってまいります。
○宮本(徹)委員 経団連の経労委報告というのは、ある意味、それを見て使用者の側も、ああ、こういう働き方だったらいいのかということで見る指針ですからね。そういうものが全く誤解に基づいて出されているというのは、本当に社会に対する影響も深刻だと思いますので、しっかり是正していただいて、本当に、法改正なしで裁量労働制が広がる、こんなことがないようにしていただきたいと思います。その上で、もう一方で、法改正なしに、今回、厚労省は、告示だけの改正で金融機関のMアンドA業務を専門業務型裁量労働制の対象に加えようとしております。これについては、金融機関のMアンドA業務というのは外延が不明確ではないか、あるいは、業務の遂行方法は他の事務系労働者と変わらない、こういう指摘がなされているわけです。こういうまま裁量労働制拡大ということになれば、濫用されて健康を脅かされる労働者が増えるのではないかと大変懸念をしております。元々、二〇一八年の働き方改革関連法案では、裁量労働制の拡大は削除されたわけですよね。大臣、国会での審議を経ないで対象を拡大するというのはやめるべきじゃありませんか。
○加藤国務大臣 裁量労働制については、専門家による検討を経て、また総務大臣の承認を得た統計調査として裁量労働制実態調査を実施し、この結果も踏まえて、今般、労働政策審議会において精力的に御議論いただいたものであります。御指摘のMアンドAに関する業務については、労働政策審議会において、業務の遂行に必要な高い専門的能力が必要かなどの業務の性質、業務命令の在り方、その他業務の遂行方法といった観点から丁寧な議論が行われ、専門業務型裁量労働制の対象にふさわしいということで公労使で合意されたことを踏まえて対象に追加されたものと認識をしております。当該業務の裁量労働制の対象業務への追加は来年四月から施行することとしておりますが、まずは施行に向けて、改正内容についてしっかり周知するとともに、施行後においても制度の運用が適切になされるよう、労働基準監督署において必要な監督指導等を行ってまいる所存であります。
○宮本(徹)委員 労基署で適切な指導監督をやっていくというふうにおっしゃいますけれども、裁量労働制というのは、もう本当に、本来の趣旨を逸脱した濫用的な運用というのが蔓延しているわけですよね。現場の労働基準監督官からも、裁量労働制については、要件の厳格化、適用範囲の明確化、縮小が必要だという声が上がっているんですね。全労働省労働組合が実施した労働基準監督官アンケート、一千五十三人が答えていますけれども、そういうアンケートの中でも、ちゃんともっと適用範囲を明確化していかないと自分たちも困るということが、現場の皆さん、職員の中からも出ているわけですよ。にもかかわらず、そういう明確化だとかをやらずに適用範囲を拡大していくというのは、大変まずいと思いますよね。是非、裁量労働制については現場の監督官の皆さんからの意見も大臣には聞く機会を設けていただきたいと思いますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 現場の声、まさに組織全体の中でそれぞれ担当、担当が聞かせていただいているところでございますし、そうしたことも踏まえながら、こうした監督行政を進めさせていただいております。なお、本件に関しては、先ほど申し上げた労働政策審議会においても合意もいただいたということでございますので、本件も含めて、制度の運用が適切に行われるよう、引き続き必要な監督指導等が行われるよう対応していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 必要な監督指導をするためにはもっとやらなければならないことがあるということを、現場から指摘があるということを申し上げておきたいと思います。続きまして、八王子にあります滝山病院についてお伺いをいたします。先ほど小川委員も取り上げられましたけれども、滝山病院で看護師が暴行容疑で逮捕されました。滝山病院では、日常的な暴言、暴力、床擦れで骨まで露出するようなことが起きているわけですね。必要な治療、ケアを行っていないのではないのか。あるいは、僅かな血液検査の異常値も心不全と診断して過剰に抗凝固薬を投与するなどの過剰な医療提供、看護記録等の捏造、カルテに指示のない身体拘束、異常に高い死亡退院率などなどが報じられているわけでございます。大臣、これは徹底的な調査が必要なんじゃありませんか。
○加藤国務大臣 今回の事案、精神病院等でこうした事案が発生しているということは甚だ遺憾なことでございます。その上で、東京都において精神保健福祉法及び医療法に基づく立入検査等の対応が現在行われておりますので、そうした東京都の対応をしっかり見据えつつ、連携を密に図りながら実態把握を早期に行い、その上で適切な対応を取りたいと考えております。
○宮本(徹)委員 先ほど小川委員からも指摘がありましたけれども、患者側の弁護士は診療報酬を不正に請求している疑いがあるということで病院の保険医登録の取消しを求めておりますが、こうした角度でも当然調べる、調査するということでよろしいわけですね。
○加藤国務大臣 診療報酬の不正請求について、個別の事案についてお答えするのはこれまでも差し控えさせていただいておりますが、一般論ということにもなりますけれども、病院における診療報酬の不正請求が判明した場合は健康保険法に基づいて厳正に対処することとなります。
○宮本(徹)委員 ちなみに、この間、診療報酬の不正な請求は滝山病院はなかったんですか。
○三ッ林委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○三ッ林委員長 速記を起こしてください。加藤大臣。
○加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、個別の事案についてお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、一般論として申し上げたように、病院における診療報酬の不正請求が判明した場合には健康保険法に基づいて厳正に対処するということであります。
○宮本(徹)委員 これだけの問題になっているわけですから、しっかり、これは国民に対しても、どういう事態があってどこまで厚労省が把握しているのかというのは明らかにされた方がいいと思います。そして、この精神科病院の指導監督に当たるのは都道府県ということになっているわけですけれども、長期にわたる虐待というのが疑われているわけです。東京都は、昨年五月以降、四回調査したといいますけれども実態は把握できなかった、こう述べていたわけですね。大臣は、この滝山病院について、東京都の指導監督が十分に機能してきた、こういう認識でしょうか。
○加藤国務大臣 今回の事案については、現在、東京都が立入検査等の対応を進めていることでありますので、その詳細について申し上げることは差し控えたいと思いますが、一方、東京都も含め都道府県は日頃から精神科病院の指導監督等を実施しているわけでありますけれども、そうした中でも虐待事案が発生をしております。虐待行為が潜在化しやすいことを踏まえた対応が必要であり、二月十七日には、虐待が強く疑われる緊急性が高い場合などは予告期間なしに、ちゅうちょなく速やかに指導監督等を行うよう、改めて都道府県に周知をしたところでございます。また、改正精神保健福祉法において、令和六年四月から、虐待を発見した人には都道府県に通報する義務が生じるわけでありますが、改正法の施行に向け、精神科病院の虐待防止措置に係る取組をしっかり進めるとともに、施行までの間においても、虐待の防止、早期発見、再発防止に向け、自治体ともよく連携をして対処していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 関係者の皆さんは、やはり都道府県の指導監督機能が明らかに機能していないと口々に指摘されていらっしゃいます。精神科病院の虐待はこの数年でも繰り返されているわけですよね。どうすれば指導監督機能がちゃんと発揮されるのかというのを真剣に考えなければならないというふうに思います。基本的に都道府県は年一回は検査をするわけですけれども、予告してから行くわけですよね。滝山病院の場合は、報道を見ていましても、検査の前に拘束具を隠していた、こういう元職員の証言が出ております。私も、滝山病院に監査に入ったことがある医師に聞きました。ですけれども、あのような暴力があることを見抜けなかったと述べておられました。国の通知を見ると、入院中の者に対する虐待が強く疑われる緊急性が高い場合等については予告期間なしに実施できることとありますが、法律上適正を欠く等の疑いでは、最長でも一週間から十日間の予告期間で行うということになって、法律上の適正を欠く疑いがあっても予告して行くのが前提のようになっているわけですよね。これでは、滝山病院のように、虐待だとか、あるいは、医師の指示がない拘束だとかそういうのをやっているということを隠すということが、予告することによって起きてしまうわけであります。ですから、予告なしの立入検査をもっと入れるようにする、こうしたことも含めて、都道府県の指導監督がしっかり機能するようにしなきゃいけないんじゃないでしょうか。
○加藤国務大臣 精神保健福祉法に基づき、都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神科病院の管理者等に対し、報告徴収また立入検査等を求めることができるとされており、これはまさに都道府県の判断ではあります。ただ、厚労省としては、虐待行為の早期発見、再発防止に向けて、虐待が強く疑われる緊急性が高い場合等は予告期間なしに指導監督を行うよう、その通知を令和三年に改正をしております。また、本年の二月十七日には改めて、こうした場合には、ちゅうちょなく速やかに行うよう都道府県に周知をしたところであります。今後、今般の事案の実態把握なども踏まえて、必要な場合に都道府県等が予告期間なしに、ちゅうちょなく速やかに指導監督を行うよう、更に周知徹底することも含めて、必要な対応を検討したいと考えております。
○宮本(徹)委員 今の答弁は、必要な場合、予告期間なしに入れるということで、今のルールよりももっと予告なしで入れるようにしようという方向だということでよろしいですね。
○加藤国務大臣 元々令和三年の改正で、それまでは場合によっては予告なしに実施とされていたものを、入院中の者に対する虐待が強く疑われる緊急性が高い場合などについては予告なしに実施というふうに書き直し、ちゅうちょなく速やかに行うよう、改正をしたわけであります。そして、それを今年の二月にも申し上げたところでありますが、その上において、今回の実態把握も含めて、速やかに監督指導が行えるよう、更なる周知徹底も含めて、どういう対応が必要か検討したいということでございます。
○宮本(徹)委員 今の、やはり、虐待が強く疑われるというのと、法律上適正を欠く疑いとの、この二つのランク分けがされているわけですけれども、強く疑われるよりも、やはり何らかの疑いがあったら入らないと、予告なしで入れるようにしなければ、ちゃんとした立入検査ということにならない。相手は隠してしまうというように思いますので、もっと予告なしで柔軟に立入検査ができるように、できるというか、しなければならないというようにしていただきたいと思います。あわせて、国の通知を見ますと、法律上極めて適正を欠く等の疑いのある精神科病院に対しては、国が直接実地指導を実施することもあり得ることと書いているわけですね。滝山病院に対して、国は立入検査をすべきじゃありませんか。
○加藤国務大臣 まず、精神保健福祉法に基づく国による精神科病院の立入検査は、都道府県の実地指導の状況を検証するために定期的に行うものを除き、基本的には行っていないところでございます。今回の事案については、現在東京都が立入検査等の対応を進めているところであり、厚労省としては、東京都と連携を図りつつ、実態の把握に努めていきたいと思います。精神科病院への実地指導については、今委員御指摘のように、精神保健福祉法では、都道府県及び国に権限があるとされておりますが、実地指導は原則的には都道府県が行うことにしており、国による直接の実地指導は広域にわたる問題等、特に必要がある場合に特例的に実施すべきものとして整理をさせていただいています。
○宮本(徹)委員 国の通知は、広域的というふうには書いていないんですね。法律上極めて適正を欠く等の疑いがある精神科病院ですから、法律上極めて適正を欠く等の疑いがあると滝山病院については思うんですけれども、この通知の書き方に、書きぶりに滝山病院は合致しているんじゃありませんか。
○加藤国務大臣 今申し上げたように、通知において、基本的には都道府県知事においてこれら監督権を発動するものであること、なお、これらの規定により、厚生労働大臣の監督権は、広域にわたる問題等特例的な場合に限り発動するものであると記載をされているところであります。現時点においては、まず、東京都と連携を図りながら実態の把握を行いたいと考えています。
○宮本(徹)委員 通知には、特例的ということに、広域ということは書かれておりません。都道府県の指導監督がしっかりと機能していればもっと虐待は防げるわけですけれども、それはなかなかやはり機能し切れていない、何度もあちらこちらで深刻な虐待事案が繰り返されている、こういうことを踏まえれば、じゃ、虐待防止に対して国はどう責任を果たしていくのかというのをもっと真剣に考えなければならないというふうに思います。その上で、もう一点お伺いします。滝山病院の朝倉院長は、〇一年の朝倉病院事件で保険医の指定が取り消されております。なぜ、また院長になれたのかという疑問が湧き起こっているわけです。法律では、保険医の登録について、申請者が保険医又は保険薬剤師として著しく不適当と認められる者であるときは登録をしないことができるということになっているわけですね。朝倉院長の再登録の際、厚労省はどのような指導をしたのか、再登録の判断は妥当だったのか、再登録の判断を厳格化する必要があるのではないのか、お答えください。
○加藤国務大臣 保険医の登録を取り消された医師から再登録の申請があった場合、健康保険法上、申請者が保険医の登録を取り消された日から五年を経過しない者であるとき、申請者が禁錮以上の刑に処せられて刑の執行を終えていないとき、申請者が保険医として著しく不適当と認められる者であるときは保険者の登録をしないことができるとされており、こうした事由に該当しない場合は、健康保険法の規定に基づき、保険医の登録を行うということになります。今委員から御指摘があった、申請者が保険医として著しく不適当と認められる者であるときについては、局長通知において、取消処分を逃れるために保険医等の登録を辞退し、その後しばらくして登録申請をしていたとき、保険医等の登録取消しを二度以上重ねて受けたときに該当する場合であると示しており、その場合には、地方社会保険医療協議会の協議を経た上で、再登録を拒否することが可能となっております。保険医の登録については、こうした法令、また通知等を踏まえて対応しているところでございます。現状においては、現行の健康保険法において、取消しから五年を経過した者や該当する刑の執行を終える者に再登録の機会が認められる趣旨を踏まえて、こうしたような対応となっているというふうに承知をしております。
○宮本(徹)委員 その局長通知は私もいただいて見ているわけですけれども、その二項目に該当しなければ、五年たてば再登録をしてしまう、これでいいのかと。著しく不適当と認められる者という場合に、もっと私は厳格に見なければ、今回のように、同じような事態が繰り返されるということになってしまうんじゃないかと思うんですね。ですから、これは再登録の判断基準を検討する必要があるんじゃないでしょうか。
○加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、現行の健康保険法においては、取消しから五年を経過した者や該当する刑の執行を終えた者についても再登録の機会が認められているわけでありますので、単に保険医の指定を一度取り消されたからといって保険医の対応をする場合の基準を厳格化するというのは、そうした法の均衡からして、いろいろ課題があるというふうに認識をしております。
○宮本(徹)委員 何らかのルールをやはり厳格化しなければ、同じようなことが繰り返される。今回、もし取消しということになった場合、五年後またということも、ああ、二回取り消すというのは、それはないわけでしたけれどもね。ですけれども、二回目までを認めちゃうということになっているわけですから、そこはしっかり、私は判断基準を厳格化をすべきだと思います。最後の質問に行きます。今日も議論になっております健康保険証の廃止についてです。今回、健康保険証を廃止して、マイナ保険証を使わない方には資格確認書なるものを発行するというわけですけれども、この資格確認書だと窓口負担が増えるというわけですよね。マイナンバーカードの取得は任意なわけですよ。任意であるにもかかわらず、マイナ保険証の普及を後押しするために、マイナ保険証を利用しない者には医療費の負担を増やす、こういう事実上のペナルティーを設けるというのはおかしいんじゃありませんか、大臣。
○加藤国務大臣 診療報酬において、オンライン資格確認を導入した医療機関であって、患者に対し、薬剤情報、特定健診情報、その他必要な診療情報を取得、活用して診療を行う医療機関、これは加算の対象となっております。こうした医療機関では、このオンライン資格確認のシステムを通じて様々な情報を入手し、それを踏まえて、例えば重複投与とか禁忌等の回避等々含めて、患者にとってより質の高い医療の提供が行われる、それを評価するものであります。この加算において、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用した場合には、オンライン等で患者情報を確認できる、そして問診等の業務負担が減るわけでありますが、カードを利用しない場合においては、そうした意味で問診等を行わなきゃならないといった業務負担が増加をするということでございまして、それらを踏まえて、診療報酬上の加算について二段階の仕組みをしているということで、単にマイナンバーカードを使っているか使っていないかということではなくて、そうした加算を行う診療の対象においてどういうコストがかかっているのか、それらも踏まえて二段階の仕組みにさせていただいているところでございます。
○宮本(徹)委員 そうおっしゃいますけれども、資料八ページ目、一番後ろに、この加算を取るための問診票のひな形、厚労省のホームページにあるものを取っておきましたけれども、この問診票に沿った情報を取れば加算になる。マイナ保険証で情報取得できるものがこの中に幾つもあるので、マイナ保険証から情報取得した場合に比べてマイナ保険証じゃない場合は手間がかかるからということで診療報酬が高いわけですけれども、普通、元々、診療報酬というのは、よりよい医療を提供する場合に加算を設けるわけですよね。それを、手間が増えるからということで加算をつけるというのは、そもそもの診療報酬の在り方としていかがなものかというふうに思いますし、それから、先ほど別の委員の方の指摘もありましたけれども、オンライン資格確認を導入していない医療機関では、これと同じ問診票で情報を集めても何の加算もつかないということになるわけですよね。ですから、診療報酬の運用としてもでたらめだと思いますよ。本当に、ただペナルティーとして、マイナ保険証を取らない人には負担をかぶせるというものになっているんじゃないかと思います。さらに、今回、健康保険法の改正で導入される資格確認書は、有効期間が一年が上限で、毎年毎年交付申請の手続が必要となるわけです。今、国民健康保険は、保険証、二年か一年に一回、自動的に送付されます。被用者保険は、通常は就職時に保険証が交付されて、毀損しない限り同じものを使い続けることが可能なわけですね。これも結局、マイナ保険証を使わない方に対しては、毎回毎回申請しろと、従来にない負担をかけるということになっているわけですけれども、これもやはり、マイナ保険証を使わない者に対するペナルティーということで設けるわけですか。
○加藤国務大臣 今回、資格確認書を申請により発行する仕組みとしているわけでありますが、資格確認書を必要とする事情がカードの紛失など様々であるため、本人の申請に基づいて、都度都度、確認をしながら保険証を発行することが必要だということで、一年ごとに又は本人の申請によって発行する、こういう仕組みにさせていただいているところでございます。
○宮本(徹)委員 今ならば自動的に送付されてくるわけですよ。マイナ保険証を使わないという方には、今までどおり自動的に送付すればいいだけじゃありませんか。なぜそれがやれないんですか。本当に嫌がらせみたいなことをやっていますよ。とんでもないということを申し上げて、質問を終わります。