上告せず解決求める 旧優生保護法問題 共産党議員団が声明
日本共産党国会議員団は27日、旧優生保護法問題の速やかな解決を求める声明を発表しました。宮本徹(党厚生労働部会長)、高橋千鶴子(党障害者権利委員会責任者)両衆院議員が国会内で記者会見しました。
旧優生保護法は違憲だとして国の損害賠償責任を認める判決が、これまで三つの地裁と四つの高裁で出されていると指摘。札幌高裁判決の上告期限が30日に迫る中、声明は(1)首相と厚生労働相が被害者と面談し、謝罪する場を設ける(2)札幌高裁判決、大阪高裁判決に対して上告しない(3)早期の全面解決に向け、原告団、弁護団との間で基本合意の締結に向けた協議を速やかに開始する―の3点を政府に求めています。
宮本氏はこの間の判決について、「いずれも国の損害賠償責任を認め、一連の判決で司法判断の流れは定まっている。国はいたずらに司法の場で争わず、全面解決に向けて速やかに原告と弁護団との協議に入るべきだ」と主張。高橋氏は、2019年に被害者に対する一時金支給法が制定されたが、「支給水準を引き上げることが必要だ。国会として被害者への謝罪、今日も残っている優生思想をなくすための検証をすべきだ」と主張しました。
日本共産党国会議員団の「旧優生保護法問題のすみやかな解決にむけて」と題する声明(27日発表)は次の通りです。
旧優生保護法のもとでの強制不妊手術について、今年に入り行われた、1月23日熊本地裁、2月24日静岡地裁、3月6日仙台地裁、3月16日札幌高裁、3月23日大阪高裁の各判決は、いずれも、優生保護法の違憲性、国による加害行為と被害の重大性を指摘し、国の損害賠償責任を認めました。札幌高裁と大阪高裁の判決では、国会議員の立法行為の違法性も指摘されています。一連の判決で、司法判断の流れは定まっています。
大阪高裁判決は、被害者の憲法上の権利を違法に侵害する立法を行った国が、民法の除斥期間の適用により賠償責任を免れることは、個人の尊厳を基本原理とする日本国憲法が容認していないことは明らかであると指摘しています。そして、国が立法行為の違法性を争い、除斥期間の適用を主張し、責任を否定してきたもとで、被害者の権利行使を著しく困難とする状況は解消していないとして、国が優生条項の憲法違反を認めたとき、または最高裁判決から6カ月間は、除斥期間の経過による効果は発生しないとしています。
国が除斥期間の適用を主張して争い続けること自体が、正義に反します。
昨年2月の大阪高裁と3月の東京高裁の判決後、松野内閣官房長官が「一時金支給法について、判決を重く受け止め、一時金の水準を含め、国会と相談し、対応を検討したい」と表明しましたが、1年経過した今日でも、何も進んでいません。
被害者の方々が高齢化し、次々とお亡くなりになる中で、解決を先延ばしにすることは許されません。被害者を救済し、一刻も早く、全面解決を図ることは、国の責務です。政府及び国会は、上告せず、すべての被害者の尊厳の回復、被害者ら全員に対する人生被害を償うに足りる賠償、旧優生保護法によって引き起こされた差別や優生思想の解消等、旧優生保護法問題の解決に向け、その役割と責任を果たすべきです。
日本共産党国会議員団は、判決の指摘を真摯(しんし)に受け止め、旧優生保護法問題の全面解決に向けて誠実に取り組む決意を表明するとともに、政府に対して以下のことを強く求めます。
1、内閣総理大臣及び厚生労働大臣が優生保護法問題の被害者と面談し、謝罪する場を設けること
2、札幌高裁判決(3月16日)及び大阪高裁判決(3月23日)に対して上告しないこと
3、優生保護法問題の早期の全面解決にむけ、原告団及び弁護団との間で基本合意の締結に向けた協議を速やかに開始すること
以上2023年3月28日付赤旗日刊紙より抜粋