2024年5月29日 厚生労働委員会 接客業務に椅子活用 厚労相 「事業者へ周知徹底する」

 日本共産党の宮本徹議員は5月29日の衆院厚生労働委員会で、立ち仕事が多い接客業務などの労働環境の改善を求めました。武見敬三厚労相は、椅子の活用が進むよう周知徹底し、事例集の作成などを検討する考えを明らかにしました。
 首都圏青年ユニオンのメンバーらでつくる「#座ってちゃダメですかプロジェクト」のアンケートには、レジなどの接客業の労働者から「腰が痛む」「かかとが痛む」などの声が寄せられています。事業者側の「座ってイイッスプロジェクト」の調査でも、アルバイトの32%が、接客中に座れないことで業務に影響が出ていると回答しています。武見厚労相は「アンケートも見て、労働者の方が大変な思いをされていることを再認識している」と述べました。
 宮本氏は、立ち仕事の職場での椅子の設置や、座ってできる仕事では椅子の積極的な活用が進むよう、周知徹底するよう要求。武見厚労相は、座って作業できることを含め、適切に休養が取れる環境を整えることが重要だとして「事業者に周知徹底する」と答弁しました。
 宮本氏は「立業のためのいす」の設置を規定する労働安全衛生規則第615条について「当事者からもヒアリングを行って事例集をつくってほしい」と要請。武見厚労相は「事例集の作成や情報の横展開が可能か、検討を進めたい」として、労働者の声も把握していきたいと応じました。

以上しんぶん赤旗ホームページネット配信記事より抜粋

≪2024年5月29日 第213回国会衆院厚生労働委員会第21号議事録該当部分抜粋≫

○宮本(徹)委員 ~略~ 二つ目の問題に行きます。資料を配付しておりますけれども、先週、首都圏青年ユニオンの座ってちゃダメですかプロジェクトが立ち仕事の労働環境の改善を求めて厚労省に要請を行い、私も同席いたしました。このプロジェクトは、二〇二二年の暮れから、レジなどの立ち仕事に対して椅子の設置を求めて活動をしております。これに呼応する形で、事業者の側でも今度は、座ってイイッスPROJECTというのができまして、今年四月から一部のスーパーなどでレジに椅子を設置する動きも報じられております。資料の三ページ目から六ページ目まで、首都圏青年ユニオンが今月集めたアンケートの一部を載せておきました。レジだとか、商品販売だとか、ホールスタッフだとか、警備員などが、長時間の立ち仕事で膝が痛む、かかとが痛む、足首が痛む、腰が痛む、ふくらはぎがぱんぱんで、ほぐすのが大変だ、就寝中に足がつる、むくむ、疲れが取れない、整体に行っている、こういう声がたくさん寄せられております。事業者側の座ってイイッスPROJECTの調査でも、アルバイトの三二%が、接客中に座れないことで業務に影響が出ている、こう回答されております。また、雇用主の一九%が、接客中の立ち仕事からくる肉体的な要因によるアルバイトの退職を経験している、こう答えております。大臣の認識をお伺いしたいと思いますけれども、やはり、経営者に、接客業など立ちっ放しで座れない仕事というのは労働者の健康に大きな影響を与えるものだという認識を持ってもらう、これは大変重要なことだと思いますが、大臣御自身は、この立ちっ放し、座れない、長時間の立ち仕事の過酷さについてどういう認識をお持ちでしょうか。
○武見国務大臣 アンケートも見させていただいて、立ちっ放しで座ることができない仕事に従事している労働者の方が大変な思いをされているということを再認識しております。そのような方々が適切に休養を取ることができることは、職場における労働者の安全と健康の確保の観点から重要であり、実態を踏まえて事業者に安全衛生対策に取り組んでいただくことが必要であると考えております。必ずしも座って作業することを求めている規定ではございませんけれども、労働安全衛生規則の中で、就業中にしばしば座ることができる機会があるときには座ることができる椅子を備えるよう事業者に義務づけもしているところでございます。こうしたことを周知をさせていただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 アンケートも読んでいただいたということで、本当に大変な過酷な仕事だという認識はやはり社会全体で共有していかなきゃいけないと思います。先ほど、労働安全衛生規則第六百十五条への言及も大臣からありましたけれども、海外では、スーパーのレジは椅子に座ってやるのが当たり前という国も結構あるんですよね。そういう点でいえば、日本は、スーパーのレジ打ちだとか接客業というのは座ってやるのはお客に失礼、こういう固定観念があるわけですけれども、こういう固定観念を社会全体でも改めていかなければならないというふうに思います。そういう点でいえば、労働者側の座ってちゃダメですかプロジェクトと、それに応える形で、事業者側の座ってイイッスPROJECTというのが始まっていまして、社会の中での機運の高まりというのもあります。これに応える形で、是非、厚労省として、労働者の健康を守り、職場環境の改善のためには、立ち仕事の職場での椅子の設置や、椅子に座ってできる仕事については椅子の積極的な活用が進むよう、特出しで周知徹底をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 委員御指摘のプロジェクト、職場環境改善の観点から、立ち作業の多い職場において座って仕事ができる環境を整えるためのものだと理解はしております。以前より、厚生労働省では、職場における腰痛予防対策指針におきまして、立ち作業が長時間継続する場合には、椅子を配置し、作業の途中で腰かけて小休止、休息が取れるようにすることなどを示しているところでございまして、腰痛予防の観点からも事業者に働きかけをしてまいったところであります。一方で、座って仕事ができるかどうかについては個々の事業場の環境や作業内容によるものと承知をしているところでございまして、一律に立ち仕事を改めさせるということは難しいものの、座って作業ができることを含めて、適切に休養が取れる環境が整えられることが重要だと考えております。その旨、都道府県労働局、それから労働基準監督署による指導等の機会を通じて、事業者に周知徹底をしてまいりたいと考えます。
〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本(徹)委員 是非、特出しで、やはり政府もそういう環境づくりを進めていくんだということでやっていっていただきたいと思うんですね。首都圏青年ユニオンの座ってちゃダメですかプロジェクトの皆さんは、労働安全衛生規則第六百十五条について、厚労省として具体的な事例集を作成して、あなたの職場のことですよと分かるように周知徹底してほしい、こういう要請をしているんですね。先ほど、レジだとか、商品販売だとか、ホールスタッフ、こういうお話をしましたけれども、様々な立ち仕事、アパレルの皆さんなんて本当にずっと立っていなきゃいけない状況で、しかもヒールを履いていなきゃいけないということでもっと過酷な場合も多いわけですけれども、こうした様々な立ち仕事について、是非、当事者からもヒアリングを行って、事例集を作っていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 労働安全衛生規則第六百十五条、持続的な立ち作業を行う方について、就業中にしばしば座ることができる機会のあるときに座ることができる椅子を備えるよう事業者に義務づけをしているものでありまして、必ずしも座って作業することを求めている規定ではございません。一方で、職場環境の改善のため、座って作業することも含めて、長時間の立ち作業を改善していくことは重要だと認識しております。このため、まずは、立ち作業が多いと考えられる小売業について、長時間の立ち作業解消のため、どのような取組が業界で行われているかということについて伺いたいと考えております。業界の取組状況を伺った上で、他の事業者が取り入れやすい内容の取組事例が得られるようであれば、事例集の作成や情報の横展開が可能か検討を進めてまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 業界からヒアリングをされるということなんですけれども、事業者側と同時に、実際に立ち作業を様々な分野でやられている困っている労働者の方々の側からもヒアリングも是非していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 長時間の立ち作業解消のために積極的な取組を進めている事業場があれば、労使でどのようにして協力して取組を進めたのかということもしっかり伺い、その中で労働者の声も把握をしていきたいと考えます。
○宮本(徹)委員 なかなか進んでいない側の方も、どういう困難があって、本来だったらこういうことができるんじゃないのかというのも是非把握をしていただきたい。大臣はうなずいていらっしゃいますので、お願いしたいというふうに思います。労働安全衛生規則第六百十五条は、大臣がおっしゃるように、座って仕事をできるようにしなさいというものではなくて、就業中しばしば座ることができる機会があるときは椅子を備えなければならないという中身になっているわけですけれども、これまでの日本社会の固定観念を見直したら、労働安全衛生規則第六百十五条が当てはまる職場というのは相当多いんじゃないかというふうに思います。ですので、しっかりした取組を求めて、次の質問に行きます。 ~以下略~