軍事費過去最高 5兆円超に
来年度予算案に計上されている軍事費(防衛関係費)が過去最高額の5兆541億円にのぼっています。安倍政権は2013年度以降、毎年軍事費を増額し続けており、今回は史上初めて5兆円を踏み超えました。なぜこれほど増え続けているのか。衆院予算委員会の論戦で浮き彫りになったことは―。
米軍思いやり
軍事費が過去最高額に達した大きな要因は、沖縄県の辺野古米軍新基地建設費を含む、在日米軍再編経費が1801億円(前年度比375億円増)で過去最高となり、米軍思いやり予算(在日米軍駐留経費)も増額改定したことにあります。
日本共産党の宮本徹議員は、財務省の諮問機関である財政制度等審議会が、思いやり予算の軽減、一部廃止を当初は提起していたにもかかわらず、結局増額した政府の矛盾を追及しました。(2月16日、衆院予算委員会)
10日に審議入りする新しい思いやり予算特別協定(16~20年度)は、約130億円の増額、日本が給与を負担する米軍基地従業員数は2万3187人(553人増)と過去最高の人数を負担します。
さらに思いやり予算で建設される米兵用の住宅が1戸約6200万~9700万円にのぼることも明らかに。政府からは「日本人とは根本的にライフスタイルが違う。体の大きさがそもそも違う」(若宮健嗣防衛副大臣、2月25日、衆院財務金融委員会)などと驚くべき答弁が返ってきました。
米国製の兵器を
もうひとつは、アメリカ製の高額な兵器購入です。日本共産党の本村伸子議員は、日本が12~16年度間で、F35戦闘機の6機導入と「その他関連経費」1237億円の大部分を米政府に支払っている点を指摘しました(2月18日、衆院予算委員会)。これ以外にも空中給油機KC46(231億円)、V22オスプレイを4機(447億円)などを計上しています。
さらに兵器を購入すれば整備や維持、補修、廃棄までの膨大な費用(ライフサイクルコスト)がかかります。しかしそうした概算すらも「見積もっていない」(若宮副防衛大臣、2月25日、衆院財金委員会)としています。
見過ごせないのは、こうしたアメリカ奉仕の財政負担が将来にわたり重大な影響を及ぼすことです。
そのひとつが後年度負担の増加です。後年度負担とは、高額兵器を購入した場合に単年度で支払いきれないため、次年度以降ローン支払いを行うような仕組みです。奨学金の返済制度と同じように、一度発生した新規の後年度負担は5~10年、20年と米国へ支払い続けなければいけません。第2次安倍政権が発足した13年度以降、後年度負担は急増(グラフ)。高額兵器購入のために生まれた借金の後年度負担は16年度には4兆6537億円と、過去最高に膨らんでいます。
以上2016年3月7日付赤旗日刊紙より抜粋