2017年1月27日 予算委員会締めくくり質疑『米軍駐留負担増拒否を』
日本共産党の宮本徹議員は27日、衆院予算委員会の締めくくり質疑に立ち、在日米軍の駐留経費負担についてただしました。
宮本氏は、米国のトランプ大統領が大統領選中に、日本が駐留経費を全額負担すべきだと主張していたことに触れ、「負担増を求められたらどうするのか」と質問。「まだ首脳会談もしていないので答えられない」と述べた安倍首相に対し、「国会で『拒否する』と言わないのなら、『負担を増やすこともあり得る』とのメッセージになってしまう」と批判しました。
安倍首相は「日米間で適切な分担が図られるべき」だとの答弁を繰り返しました。
宮本氏は、日米地位協定24条に、米軍駐留経費は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担」との規定があると指摘。それにもかかわらず、当初「特例的措置」としていた思いやり予算が拡大され、辺野古新基地やグアムの基地建設費用まで負担している実態を挙げて、「地位協定の原則を踏み外したやり方はやめるべきだ」と主張しました。
安倍首相は「日米同盟は外交・安全保障の基軸だ。沖縄の基地負担軽減を加速させるためには、応分の負担をしなければならない」と、負担を当然視。宮本氏は「トランプ氏の『アメリカファースト』に『日米同盟第一』で対応すれば、際限なく負担増を求められる。外交戦略を根本から見直すべきだ」と求めました。
以上2017年1月28日付赤旗日刊紙より抜粋
≪第193回 衆院予算委員会 第3号 2017年1月27日 各会派代表質疑 議事録≫
○浜田委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。在日米軍駐留経費についてお伺いいたします。トランプ大統領は選挙中に、在日米軍の駐留経費は全額日本が持つべきという主張も行っておられました。この間、今国会の質疑の中で総理は、これ以上の負担の是非について聞かれて、是とも非とも明確には答えずに、日米間で適切な分担が図られるべきと言うだけです。改めて伺います。トランプ新政権から米軍駐留経費などの負担増を求められたらどうするんですか。拒否するんですか、しないんですか。どっちですか。
○安倍内閣総理大臣 まだ首脳会談を行っていないんですから、今から、大統領がこう言ってきたからこう言うのか、こう言ってきたらこう言うのかということについては、これはお答えできません。基本的には、日米同盟は、日本の外交、安全保障の基軸でございます。まさにこの基軸は揺るぎないということを内外に示す首脳会談にしたい、こう考えておりますが、在日米軍の駐留費についても、日米間で適切な分担が図られるべきものと考えております。
○宮本(徹)委員 首脳会談はこれからだからこそ、国会で、野党は心配してみんな追及しているわけですよ。拒否するということを明言しないということは、これ以上ふやすこともあり得るということなんですね。
○安倍内閣総理大臣 御心配をいただいていることは大変ありがたいとは思いますが、我々としては、もしそういう議論になれば、しっかりと現在の駐留軍経費の姿等について、そもそも、在日米軍の役割等について当然説明をするわけでございまして、在日米軍というのは、我が国をもちろん守る、五条において共同対処するわけでございますが、同時に、極東の平和と安定のために我が国の基地を使っているわけでございます。極東の平和と安定のために基地を使うことによって、米軍のプレゼンスによってまさに地域の平和と安定を守り、それは米国の大きな利益にもなっているということでございます。そうしたこと等を踏まえながら、適切にこの分担を考えていくべきだというお話をさせていただくということを申し上げているわけでございます。
○宮本(徹)委員 これだけ聞いても、適切に分担ということしかおっしゃらないわけですね。国会でこれだけ野党から聞かれて、拒否すると言わず、適切な分担ということを繰り返していたら、これ以上ふやすこともあり得ますよというメッセージになっちゃうんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 そもそも、駐留軍経費については毎年毎年米側と交渉しているわけでございまして、それであればどうするんだということで、その時々にいつも我々がお答えをしているのは、適切に分担をするということを毎年毎年、聞かれればそうお答えをしてきた、このように承知をしております。この姿勢には変わりがないということでございます。
○宮本(徹)委員 毎年毎年と言いましたけれども、思いやり予算の協定は五年に一度だと思うんですが、去年、思いやり予算の協定の改定がありました。私、ここで一年前に議論をしたのを覚えていますけれども、当時、財務省ですら、思いやり予算は聖域視せずに減額すべきだと財政審の中で出していたわけですよね。ところが、日米首脳会談で、総理、オバマ大統領からHNSの話があったわけですよね。そして、その結果、思いやり予算は増額改定になったわけじゃないですか。そして、交渉後は、国会では適切な負担だと説明する。同じことが繰り返されるんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 ホスト・ネーション・サポートについては五年ごとに改正をしていく、そしてその中において毎年毎年予算措置をしていくわけでございますが、今、財務省ですらとお話しでございましたが、財務省は基本的に、しっかりと縮減を図っていくという役割を担っているわけでございます。日米同盟全体を考えるというよりも、予算をどうするかということを考えているんだろう、こう思うわけでございます。我々は、今申し上げましたように、適切に判断をしていくということでございます。
○宮本(徹)委員 適切な分担、適切な分担と言われるわけですけれども、そもそも、日米安保条約、日米地位協定での分担のルールというのはもともとどうなっていたのか、立ち戻る必要があると思うんですよね。地位協定二十四条では、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う全ての経費は、日本に負担をかけないで合衆国が負担すると。岸田大臣、そうですよね、答弁しなくてもいいですけれども。ところが、この分担のルールを破って、不適切な分担を拡大してきたということなんじゃないんですか、この間。アメリカの求めに応じて、条約上の根拠のない思いやり予算も始めた。思いやり予算を始めたときの特別協定、一番初めの協定、一九八七年当時、政府は、円高という極めて異常な現実を踏まえての暫定的、一時的、限定的な、特例的な措置、こう国会で説明したわけですよ。ところが、どんどん拡大されて、初め六十二億円だった思いやり予算、来年度の予算案では二千億近くになるということです。そして、思いやり予算だけじゃないですよ。米軍再編費用、新基地建設、グアムでの基地の建設費用まで、アメリカに求められれば、そのたびにどんどん負担を拡大してきたじゃないですか。こういう地位協定の分担の原則を踏み外したやり方はいいかげんやめるべきだと私は思いますが、そう思いませんか、総理。
○安倍内閣総理大臣 前回の特別協定の改定においては、我々、しっかりと中身を精査いたしました。例えば、その前の改定のときもそうなんでしょうけれども、娯楽的なもの等の予算は、これについては我々は負担をなくしていくと同時に、しかし一方、必要と思われるところについてはしっかりと対応していくということも含めて、中身をしっかりと精査しながら対応しているわけでございます。そこで、まさに日米同盟が我が国の外交、安全保障の基軸である、そして、安保条約の五条において、もし我が国に事あるときには米軍が共同対処するという、この条約の中においてしっかり信頼のきずなが維持されるということも含めて、我々はホスト・ネーション・サポートを行っている。日本以外にも、韓国等々の国々もホスト・ネーション・サポートを行っているのは事実であろう。アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しくなる中において、そしてまた米軍再編を行う中において沖縄の基地負担軽減を加速させていくためには、我々もやはり応分の負担をしなければいけないと、それぞれ我々は判断をしているわけでございます。
○宮本(徹)委員 韓国が負担しているという話もありますけれども、ここでも、韓国だとかドイツやイタリアと比べても日本が突出して負担していると、これは何度も問題になってきたわけじゃないですか。日米同盟が基軸、基軸ということを総理はおっしゃいますけれども、トランプ大統領のアメリカ第一主義に対して日米同盟第一主義で対応していったら、これはもう際限なく負担増を求められて、日本の負担がふえていく道ですよ。こういう外交戦略は根本から見直すべきことを求めて、質問を終わります。