2017年3月22日 外務委員会 日報隠蔽問題を追及

日報非開示の決裁文書

↑質問に使った資料

この間、NHKはじめとしたメディアで、廃棄したと説明していた陸上自衛隊内部でも日報データーが保存されていたことがわかったものの、これまでの説明とのつじつまをあわせるためにデーターの消去を統合幕僚監部の「背広組」の幹部が指示をしたことが大きく報じられています。報道をうけ、稲田防衛大臣は特別防衛監察を指示しました。
データーの消去を指示したとされる統合幕僚監部の背広組とはいったい誰なのか?稲田大臣は、質問に対して、統合幕僚監部の背広組の幹部は2人であり、辰巳総括官と吉田参事官であることを明らかにし、この2人も特別防衛監察の対象だとしました。
ジャーナリストから日報の情報開示請求があった際に、非開示を決めた決裁文書には、「関係課所」という欄があり、ここには「統合幕僚監部参事官」と書いてあります。ということはそもそも日報の非開示に、吉田参事官が関わっていたのではないか。この点をただすと、決裁文書には参事官と書かれているにもかかわらず、稲田大臣は、吉田参事官はかかわっていないという筋の通らない説明を繰り返しました。そもそも不開示にかかわっていた参事官がその後のデーターの消去、隠蔽にもかかわっていたならば重大です。
さらに、統合幕僚監部の背広組は、陸自でデーターが保存されていたことを非公表にすることについて、防衛省上層部と相談したと報道されています。稲田大臣が日常的にいっしょに仕事をしている方々が、隠蔽にかかわったという重大問題です。不開示決定には豊田官房長もかかわっていますが、豊田官房長も特別防衛監察の対象だと稲田大臣は答弁しました。
防衛省は安保法制をとおすときも内部文書の隠蔽をおこないました。度し難い隠蔽体質です。隠蔽体質をただし、隠蔽の究明と責任を明らかにしなければなりません。

≪2017年3月22日 第193回衆院外務委員会第6号 議事録≫

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。南スーダンPKO派遣部隊の日報隠蔽問題について、稲田大臣に伺います。大臣は、日報は廃棄したと繰り返し国会で説明してきましたが、電子データが陸上自衛隊内にも保存されていた疑いが新たに浮上いたしました。しかも、情報公開請求への不開示決定後にデータが削除された可能性が指摘されており、事実なら、まさに組織的な隠蔽行為が行われていたという大問題だということであります。報道によれば、統合幕僚監部の背広組と言われる幹部が、国会答弁を乗り切るために、国会議員の資料要求直後にデータを消去するよう指示した、こう言われております。この統幕の背広組幹部とは一体誰なのかということです。そこで、稲田大臣に伺いますが、統合幕僚監部の部長クラス以上の幹部で、いわゆる背広組と言われる事務官というのは何人いらっしゃるんですか。
○稲田国務大臣 まず、隠蔽とおっしゃいますが、出したんです。この日報は全て出しました。百日分も含め全て、今、日報は情報公開をいたしております。そして、破棄をしたこと自体は違法ではありません。その上で、今の御質問ですけれども、統合幕僚監部に背広組の幹部は何人いるのかという委員のお尋ねですが、幹部の定義にはさまざまなものがあります。本省課長職以上の背広組は二名でございます。
○宮本(徹)委員 本省課長以上の幹部は二名ということで、総括官と参事官の二名だと思いますが、改めて確認します。統合幕僚監部のホームページによれば、国会答弁を含む対外説明を担う部署が記されております。統幕の中で、国会答弁を含む対外説明を担っているのはどこでしょうか。
○稲田国務大臣 統合幕僚監部の中で国会答弁を含む対外説明をする担当部署は、統合幕僚監部においては、総括官及び統合幕僚監部参事官付が担当しているところでございます。
○宮本(徹)委員 総括官と参事官、二つしかないわけですが、それぞれどなたですか。
○稲田国務大臣 総括官は辰己総括官、統合幕僚監部参事官付は吉田氏でございます。
○宮本(徹)委員 辰己総括官、吉田参事官、二人はいずれも国会答弁を含む対外説明、国会対応を担っていると。報道にある統合幕僚監部の背広組の幹部というのは、この二人ということでよろしいんですね。
○稲田国務大臣 幹部の定義にもよりますが、本省課長級以上の者は、統合幕僚監部総括官及び統合幕僚監部参事官の二名ということでございます。
○宮本(徹)委員 つまり、辰己総括官、吉田参事官、これが幹部だということなんですが、このお二人というのは、当然、特別防衛監察の対象にされているということでよろしいんですね。
○稲田国務大臣 監察の対象として統合幕僚監部がなっておりますので、そういうことでございます。
○宮本(徹)委員 昨年十月三日に日報の情報開示請求があった際に不開示決定がなされたわけですが、その際の決裁文書、きょうお持ちしました。これは、我が党の要求に対して統幕監部から提出されたものということになっています。この決裁文書に添付された案一には、関係課室という欄があります。ここに何て書いてあるかといいますと、関係課室、統合幕僚監部参事官というふうに書いてあります。稲田大臣、統幕の吉田参事官は不開示決定にそもそもかかわっていたということですね。
○稲田国務大臣 昨年十二月の不開示決定の際には、昨年十一月二十八日に陸上自衛隊が日報を不存在とした判断についての意見照会があり、これに対して統合幕僚監部参事官付政策調整官が、部下職員から照会文書の提示を受け、口頭で、意見なしとの回答を了解いたしました。政策調整官の了解をもって、統幕参事官付として陸自が日報を不存在としたことについて意見なしとの回答を行ったものであり、統合幕僚監部総括官及び参事官の了解を得るというふうなことは行っていないということでございます。
○宮本(徹)委員 了解を得るということはやっていない、かかわってはいないんですか。ここには、参事官のお名前が、はっきりと参事官というのが書かれているんですけれども、かかわっているんですよね。
○稲田国務大臣 今御答弁申し上げましたように、意見なしの決裁は、統合幕僚監部参事官付政策調整官が、部下職員から照会文書の提示を受けて了解をしたものであり、統合幕僚監部総括官及び参事官の了解を得ることは行っていないということでございます。
○宮本(徹)委員 了解を得ることはやっていないといいますけれども、ここに、関係課室、参事官ということは、了解する、しないは別にして、開示、不開示を決める過程にかかわっているんじゃないですか。これはうそが書いてあるんですか。
○稲田国務大臣 今先生がお持ちの書類、それを確認させていただいて、答弁させていただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 それは、いつ答えるんですか。後で答えるということですか。いずれも、これは、書いてあるのはもうはっきりしているわけですよ。これは統幕から出された書類ですからね。関係課室、統合幕僚監部参事官。
○三ッ矢委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○三ッ矢委員長 速記を起こしてください。稲田防衛大臣。
○稲田国務大臣 今突然、手元の書類を示されておりますけれども、今私が申し上げましたように、決裁をしたのは統合幕僚監部参事官付政策調整官でございまして、この者が部下職員から照会文書の提示を受けて、口頭で、意見なしとの回答を了解したということでございます。
○宮本(徹)委員 参事官付調整官という話ですけれども、吉田参事官そのものはかかわっているんじゃないですか。この書類、突然示されたと言いましたけれども、私、きのう通告で、不開示の決定の際に参事官がかかわっているんじゃないかということをお伺いしましたし、これも出所があやふやなものじゃなくて、統幕から出していただいた資料ですよ。
○稲田国務大臣 今申し上げましたように、統合幕僚監部参事官付政策調整官が、十一月二十八日に、陸上自衛隊が日報等不存在とした判断について意見を求められ、部下職員からその提示を受けて、口頭で、意見なしとの回答を了解したということでございます。陸上自衛隊の文書であり、陸上自衛隊において施設隊で作成をし、その報告先である中央即応集団において、その両者において不存在という判断についての意見の照会でございますので、その政策調整官の了解ということでもって回答を行ったものであって、統合幕僚監部総括官及び参事官の了解を得ることは行っていないということを申し上げたということでございます。
○宮本(徹)委員 ですから、それがよくわからないと言っているんですよ。ここに統幕から出された資料は、不開示決定を決めた際の決裁文書は、案一、案二というのを書いています。案一で、関係課室、統合幕僚監部参事官としっかり書いてあるんですよ。にもかかわらず、かかわっていないと言うのは、この文書は、かかわっていないのにかかわっているかのように名前を書いた、そういう極めていいかげんなものだということですか。とにかく、全く納得いかないですから、またこれは続きをやりますけれども、市民から情報開示請求があった際に、日報はないと不開示決定にかかわった可能性が、吉田参事官は高いわけですよ。ここに書いてあるわけですから、参事官と。そうすると、今回の日報のデータの消去をした疑惑を持たれている方が不開示決定にもそもそもかかわっていたということにもなる極めて重大な問題だというふうに思いますので、私、不開示決定の経過を改めてただしていく必要があるというふうに思います。さらに、報道では、統幕監部の背広組の官僚が、防衛省の上層部に相談した上で、公表しないという方針を陸上自衛隊に伝えた疑いがあるというふうにされております。今回の防衛監察で内部部局を対象にした理由というのは何なんですか。報道にあるとおり、上層部の関与に関係があるから内部部局を対象にした、こういうことでいいわけですね。
○稲田国務大臣 報道を踏まえて、報道が事実であるとするならば国民の信頼を失うようなことでありますので、特別防衛監察をすることにし、また、特別防衛監察計画を既に十七日付で承認をして、その中において徹底的に事実関係を解明し、改善すべき体質があればしっかりと改善をしていきたいということでございます。
○宮本(徹)委員 ですから、内部部局を対象にした理由は何ですか。上層部の関与に関係があるからということでいいんですか。報道で、上層部も関与している、こう出ているので内部部局も対象にした、こういうことですか。
○稲田国務大臣 省の情報公開窓口は大臣官房でもあり、内部部局も当然対象になるということでございます。
○宮本(徹)委員 上層部の関与のお話を全然言おうとしないわけですけれども、報道の範囲で言いますと、稲田大臣が日常的に仕事をしている防衛官僚の皆さんが隠蔽を指示した疑いがあるという話なわけですよ。しかも、この不開示の決定の際の決裁文書を見ますと、豊田官房長の名前もありますが、これは豊田官房長も不開示決定にかかわっているということです。報道にある、防衛省の上層部といった場合に、この豊田官房長も可能性としては含まれているというふうに思うんですが、これは、内部部局は監察対象ということになっていますけれども、豊田氏も含まれるということでよろしいんですね。
○稲田国務大臣 まず、報道の内容について、個別の報道についてコメントは差し控え、独立性の高い立場から徹底した調査を行わせるため特別防衛監察が開始をされているということでございます。大臣官房、内部部局も当然に対象となっているということでございます。
○宮本(徹)委員 時間が参りましたけれども、これで質問を終わりますけれども、とにかく、国会答弁を乗り切るために情報を隠蔽するというのは、今回に始まった話じゃないんですよね。安保法制の際に我が党が国会で追及した内部文書、ありました、河野統幕長の訪米録。これも国会答弁では文書の存在を認めなかった。ところが、先週の金曜日に防衛省の大貫三等陸佐が、身に覚えのない内部文書の漏えいを疑われて省内で違法な捜査を受けたということで、国家賠償請求訴訟をさいたま地裁に起こされたわけですよね。ない、ないと国会で答弁した文書の流出元を調べていたわけですよ、防衛省自身が。しかも、訴状によりますと、この内部文書は電子データで各職員が保管していたが、国会で追及された翌日に各職員に削除を命じたとなっているわけですよ。ですから、本当に防衛省の隠蔽体質というのは拭いがたいものですよ。国会を本当に愚弄するような隠蔽体質は絶対に許されないということを申し上げまして、質問を終わります。