2017年4月17日 決算行政監視委員会 先制攻撃はダメと外交解決で非核化めざせとトランプ大統領を説得すべき 

4月17日の決算委員会の速記録を抜粋して紹介します。

まず、とりあげたのトランプ政権のシリア攻撃です。先日のシリアでの化学兵器使用については、国際社会が一致協力して化学兵器使用の真相を突きとめ、使用した者に厳しい対処を行い二度と使わせない、この取り組みが必要です。ところが、問題は、国連の場で真相を究明しようと議論しているさなかにアメリカが一方的にシリアへの攻撃を行っいました。そこで、トランプ政権によるシリア攻撃の国際法上の根拠についてただしました。
○宮本(徹)委員 総理は、アメリカの行動を受けて、理解、支持行使は原則禁止されております。例外的に武力行使が認められるのは、自衛権の行使か、安保理決議に基づく制裁の場合だけです。総理、今回のアメリカのシリア攻撃はこのどちらに当てはまるんでしょうか
○安倍内閣総理大臣 国際法上の解釈であろうと 思うわけでございますが、いわば武力行使を行っ たのは日本ではないわけでございますので、米国の説明を待ちたい、このように思っております。
○宮本(徹)委員 極めて無責任な説明ですね。 国連憲章では武力行使が原則禁止されています。では、アメリカが今回の問題で武力行使をして いいという安保理決議は、岸田外務大臣、ありますか。
○岸田国務大臣 まず、安保理決議は存在しません。あと、武力行使については、国連憲章五十一条と七章の集団安全保障がありますが、五十一条の
場合は国連への報告が義務づけられています。今現在まだ、報告が行われたとは承知しておりません。
○宮本(徹)委員 ないということですよ。安保 理決議もない、そして国連に対しての報告もない。 アメリカに聞くまでもなく、国際法違反というの は明々白々なんじゃないですか。総理はこの間トランプ大統領と電話会談をされておりますが、トランプ大統領に対して国際法上 の根拠をただしたんですか。
○安倍内閣総理大臣 国際法上どうなのかということにつき ましては、まさに今外務大臣から御説明させてい ただいたとおりでございまして、国連に対して報告をするのは米国でございまして、日本は米国の説明を待ちたいという立場でございます。
○宮本(徹)委員 つまり、ずっと待っているだ けで、トランプ大統領とせっかく電話されたわけでしょう、国際法上の根拠なく武力行使はしちゃいけないんですよと、そういうことをただすこと もされなかったんですか。
○安倍内閣総理大臣 我々は評論家ではないわけでありますから、やはり国民の命を守るという大きな責任を私も政府として背負っている中において、米国のこのコミットメントを我々は高く評価しているところでございます。一方、法的根拠等々につきましては先ほど来答 弁しているとおりでございます。
○宮本(徹)委員 つまり、総理はいつも、法の 支配、法の支配、こういうことを強調されるわけですよね。しかし、アメリカが軍事行動をする際には法の支配というのはどうでもいい、これが総理のとっている姿勢ということになりますよ。私は、国際法違反の軍事行動を認めていけば、化学兵器使用というこの国際人道法違反をただしていく足場も失っていくことになることを厳しく指摘しておきたいというふうに思います。

次に、北朝鮮の許しがたい核・ミサイル開発をどう断念させ、どう朝鮮半島の非核化を実現するかについてとりあげました。北朝鮮の核・ミサイル開発に対して、トランプ政権は軍事行動も辞さない言動を表明し、これに対し、質問前日も、北朝鮮が弾道ミサイル発射というさらなる挑発行為にでました。朝鮮半島の非核化にむけた対話に北朝鮮にどう応じさせるか、「圧力」のかけかたをめぐって、経済制裁の厳格な実施とさらなる強化を提案する私に対し、総理は軍事行動も辞さないトランプ政権を評価する姿勢をかえませんでした。しかし、アメリカが先制攻撃にふみきれば、国境を接している韓国、在日米軍基地のある日本もまきこむ戦争になり、おびただしい犠牲がでかねない事態になります。政治の何よりも優先しなければならないことは、国民の命をまもることです。韓国ではじまった大統領選挙では、主要5政党の候補者全員が、アメリカによる北朝鮮への先制攻撃に反対しています。私は、総理に、国民の命をまもるために、トランプ政権へ軍事攻撃はだめだと説得すること、そして、経済制裁の厳格実施・強化で北朝鮮の核・ミサイル開発を断念においこむ政治的解決、外交的解決を求めました。

○宮本(徹)委員 アメリカのティラソン国務長官が、テレビのインタビューで、シリアに対するミサイル攻撃から北朝鮮が受け取るメッセージは何かと問われて、国際規範や合意に違反し、約束を実行できず、他国への脅威となるならば、いずれの段階で対抗措置がとられるだろうというメッセージだと述べたということでございます。軍事行動も辞さないと公然たる軍事的威嚇なわけです。これに対して、昨日、北朝鮮は弾道ミサイルの発射というさらな
る挑発行為に出るということになりました。
まさにチキンレースになってきているのではないか。軍事的対抗がこのままいけばどんどんエスカレートして、最悪の場合は戦争という事態にもなりかねない大変危うい状況だと私たちは考えております。きょうの報道を見ていましても、トランプ政権の高官の方は、きのうのミサイル発射が核実験だったら別の行動をとったというような報道もされているわけですよね。しかし、絶対にこの地域で戦争という道には進んでいってはならな
いですし、戦争を起こしては絶対ならないというふうに思います。
そこで、総理に改めて、北朝鮮の核・ミサイル開発問題の原則的な解決方法について確認をしたいと思います。
北朝鮮の核・ミサイル開発は、安保理決議違反、日朝平壌宣言違反であり、断じて許されません。これに対して、この間、国連では、核・ミサイル
開発を断念させるために、安保理決議で経済制裁の措置を強化してまいりました。そして、中国も、安保理決議に沿って石炭の輸入を二月から年末まで停止するということも決定いたしました。
安保理決議では、平和的、外交的かつ政治的解決、これを何度も確認してきたわけです。しかし、先制攻撃と言うやり方がとられれば、この間の平和的解決を目指してきた国際社会の努力が無になってしまうというふうに思います。
総理に改めて確認したいと思いますが、いま重要なことは、国際社会が結束して経済制裁の厳格な実施強化を行う、そして外交交渉の中で朝鮮半島の非核化を目指す、平和的解決を目指す、このことなんじゃないでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 これは、宮本委員、確かに おっしゃるとおりなんですよ。おっしゃるとおり なんですけれども、実際そのことを国際社会で実 行させるためにどうすればいいかということを真 剣に考えているわけであります。
残念ながら、我々が北朝鮮に対してあるべき姿を説いて、わかりました、そうしますということにはならなかったんですよ、二十数年間。私もず
っとこの問題に向き合っておりますが、何回もこちらが善意を示して、彼らも善意を示すかもしれないと考え、我々がいわば一方的に彼らに対して
さまざまお米の支援等をしたこともありましたが、残念ながらその答えはほとんどゼロあるいはマイナスだったことは事実であります。
つまり、あくまでも行動対行動において対応していくと同時に、やはり圧力をかけなければ残念ながら彼らは話し合いの場に出てこないのも事実でございます。思い出していただきたいんですが、小泉総理が初めて訪朝しました、あの年の初めに何が起こったかということをよく考えていただきたいと思う
んですが、当時のブッシュ政権が北朝鮮に対して悪の枢軸と、いわば北朝鮮を名指ししたわけであります。その中で北朝鮮が対応を変えていき、日本との対話を求めてきたのは事実でございます。
そういう中において、今回、トランプ大統領が戦略的忍耐から、あらゆる選択肢がテーブルの上にあるという形で北朝鮮にさらなる圧力をかけていることを我々は評価しているわけでございますが、同時に、外交交渉によって問題が解決されることが望ましいことは言うまでもないわけでありまして、北朝鮮は核・ミサイル問題に関するこれまでの安保理決議を累次にわたり無視してきており、我が国としては、北朝鮮がこのような姿勢を改める上で、米国や韓国と緊密に連携しつつ、中国に対しさらに大きな役割を果たすよう働きかけを行っていきます。
同時に、北朝鮮に対し、韓国、米国、中国、ロシアなどの関係国と緊密に連携し、さらなる挑発行動を自制し、安保理決議を即時かつ完全に履行
し、核・弾道ミサイル計画を放棄するよう強く求めていく考えでございます。
○宮本(徹)委員 圧力をかけないと対話に応じ ない、それはそのとおりですよ。問題は、どう圧 力をかけるのかということだと思うんですよね。
この間、国際社会は、日本政府も提案して、経済制裁をより強化しよう、中国を含めて厳格に実施しよう、こういう方向で圧力をかけてきたわけ
でありますよ。それと今トランプ政権がやろうとしている圧力は全く違いますよ。軍事的威嚇ですよ。場合によっては軍事行動も辞さない、こうな
ればお互いにチキンレースになっていって本当に戦争になりかねない、私たちはそのことを危惧しているわけです。
きょう、総理に確認したいことがあるんですね。
総理は、この間、トランプ大統領から、あらゆる選択肢がテーブルの上にあると何度も伝えられてきたと。外務省のホームページにもあります。そして、総理はトランプ大統領の姿勢を評価されているわけですが、あらゆる選択肢がテーブルの 上にある、軍事的選択肢も含めてある、こう伝え られて総理は何とおっしゃったんですか。北朝鮮 への先制攻撃というオプションはだめですよと、 これをはっきりおっしゃったんですか。
○安倍内閣総理大臣 今、宮本委員は経済制裁が 当然のことであるようにおっしゃっているんだけ れども、しかし、経済制裁をすべきだと私が申し 上げた当時、二十年前、多くの人たちは、共産党 を含めて皆さん懐疑的だったじゃないですか。あ のときは、経済制裁をすれば相手を刺激して戦争 に至るということで随分私は非難されましたよ。 でも、それはそうではなかったことが今既に明ら かになっているということは申し上げておきたい、 こう思う次第でございます。今、宮本さんではな くて別の方から、共産党の方からやじが飛んでお りますが、私は、今までの経緯について、ずっと この問題について対応しておりますから、事実を 申し上げているわけでございます。
北朝鮮については、十五日の軍事パレードにおいては新型ミサイルと推定されるものを含め七種類の弾道ミサイルを公開し、十六日には弾道ミサイルの発射を試みるなど軍事力を誇示していますが、外交努力を通じて平和を守ることが重要であることは言うまでもないわけでありまし
て、同時に、対話のための対話では意味がないわけであります。
北朝鮮が問題の解決に向け真剣に応じるよう圧力をかけていくことが必要であります。そのことを私たちは今までの北朝鮮の対応から見て学ばなければならないんですよ。それは、建前を述べるのは結構ですけれども、残念ながらそれでは北朝鮮が動いてこなかったのは事実でございます。
どうやって北朝鮮を動かすかということを今までの経験から学ばなければならないわけでありまして、今回、いわば戦略的忍耐を持って我々が対応してきた中において、金正日委員長は二十発の弾道ミサイルの発射を行ったわけでありまして、父親が長い任期の中で行った弾道ミサイルの発射よりも多くの弾道ミサイルを既に発射し、かつ能力を向上させているというのが残念ながら冷厳なる事実でございます。
彼らに時間を稼がせてその能力を向上させればもっと危機の水準が高まっていくわけでありますから、その中においてより大きな圧力をかけていく。当然、中国もこの危機を十分に認識していただき圧力をかけていただくことが大切であって、どのように中国も含めて国際社会が圧力をかけていくかということが重要であろうと考えるわけでございまして、その中において、トランプ政権はこれまでの戦略的忍耐という考え方はとらないことを明らかにしており、全ての選択肢がテーブルの上にあるという考え方に立って問題に対処しているということを我が国としては評価しているところでございます。
○宮本(徹)委員 我が党は、経済制裁について は、先ほど穀田さんからのやじもありましたよう に、賛成をしてきております。その上で、先ほど の話を聞けば、あらゆる選択肢だということを言 われて、評価する評価するということを言っているわけですけれども、評価するということを言えば、先制攻撃を認めるという話になっていくじゃないですか。
私、もし先制攻撃ということになれば取り返しのつかない事態になるというふうに思いますよ。
総理に思い起こしていただきたいことがあります。
一九九四年、私はまだ学生でしたが、アメリカが北朝鮮の核施設への先制攻撃を検討し、戦争の一歩手前まで行ったことがありました。そのとき、当時の韓国の金泳三大統領が、おびただしい犠牲が出るとクリントン大統領を説得いたしました。
金泳三元大統領の回顧録にはこうあります。電話してきたクリントン大統領を厳しく追及した、自分が大統領でいる限り韓半島を戦場にすることは絶対にだめだ、北は即時、休戦ラインから南の主要都市を一斉に砲撃するだろう、こう書いてあります。
一方のクリントン氏の回想録を読むとこう書いてあります。もし軍事攻撃に踏み切った場合、甚大な犠牲者が双方に出るという厳しい予測も三週間前に報告されていた。このときは、カーター元大統領が訪朝して危機は回避されるということになりました。
このときの経緯、総理もこうした経緯は御存じ ですよね。
○安倍内閣総理大臣 先ほど、経済制裁について は、二〇〇四年に私たちが経済制裁を可能にする 法律をつくるべきだということを申し上げたとき には、共産党はそういう態度ではなかったんですよ。その後、この法律ができて実際に制裁を行う中においては皆さんは賛成しているかもしれませんが、しかし当時はそうではなかったのは事実ということをはっきりと申し上げておきたい、このように思います。
そして、朝鮮半島の危機、アメリカはクリントン政権であったわけでございますが、カーター大統領が行って、事実上、その後、KEDOの合意に至ったわけでございます。しかし、同時に、KEDOの合意に至った、日本は一千億円お金を出しましたよね、小さな十メガワットの黒鉛減速炉をやめさせて。しかし、その間に要は軽水炉型の大型のちゃんとした原子力発電所をつくりますよと。我々は一千億円出した、韓国は三千億円お金を出して、それができるまで、アメリカが五十万トンだったかな、毎年毎年重油を提供する、こういう合意をしたんですよ。でも、その合意をした当初から実は彼らはウランの精製を行うということを、遠心分離機を購入してウラン型の核兵器をつくるということを始めたわけでありまして、そしてそれがその後明らかになって事実上KEDO合意は終わるわけでありますが、日本は一千億円の事実上の負担、全部ではありませんが、相当多くを出したのも事実であります。
ですから、これが果たして本当によかったかどうかということも十分に考えなければならないわけでありまして、国際社会を欺いて、彼らは数個の原子爆弾になるウランの精製、あるいはプルトニウム型のものを手に入れていたのも事実であります。こういう実態も、残念ながらそう美しい物語では終わっていないんですよ、そうなったということも、この現実も共産党の皆さんにも直視をしていただきたい。
ですから、彼らにやめさせるためには何をすれ ばいいかということに私たちは真剣に向き合わな ければいけないということでございます。
○宮本(徹)委員 二〇〇四年のお話をされまし たけれども、私たちは、制裁のための制裁じゃだ めだ、対話に持ち込むための制裁が必要だという ことをその時点では主張したわけですよ。
さらに、アメリカが今本当に先制攻撃をすればどうなるのかということです。
アメリカのカーター前国防長官、安倍総理もお会いだと思いますけれども、最近のテレビのインタビューでこうおっしゃっています。米国が北朝鮮を先制攻撃すれば北朝鮮は韓国を攻撃するだろう、その戦争は朝鮮戦争以来見たこともない極めて破壊的なものになるだろう、こう警告されているわけですよ。
総理は、アメリカが先制攻撃を行えば、韓国そ して我が国もおびただしい犠牲が出る、こういう 認識はお持ちじゃないんですか。私は、総理がや るべきは、トランプ政権に対して、軍事的選択肢、 先制攻撃という選択肢は絶対だめだと、このこと を説得することだと思いますよ。どうですか。
○安倍内閣総理大臣 戦争はもちろんあってはな らない、外交的な努力によっても問題を解決しな ければならないのは当然のことであります。
だからこそ、宮本さん、北朝鮮に対して国際社会が一致してこんなことはやめろと強く言わなければならないのであって、アメリカにおまえらは やめろと言うことでは私はないんだろうと思いま す。まずは北朝鮮にしっかりと、こうした行動を やめなければ北朝鮮の未来はないんだということ を国際社会が一致協力して示していくべきであろ う、このように考えております。
○宮本(徹)委員 北朝鮮に対して国際社会が一 致してやめろと言う、当たり前の話ですよ。その ために、この間、国際社会は経済制裁を強化する 安保理決議も採択してきたわけですよ。そして、 今は、中国も巻き込んでさらに制裁を強化して外 交的解決を目指そうということで、国際社会は努 力しなきゃいけないときなんですよ。そのときに アメリカが軍事攻撃をやったら、これはまさにお びただしい犠牲を生み出す大変な事態になるわけ であります。
総理がやるべきは外交解決のためのイニシアチブを発揮することであって、そして、トランプ大統領に軍事的選択肢は絶対とってはならないと、
このことを説得すべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。

≪2017年4月17日 衆院決算行政監視委員会第3号議事録≫

○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。きょうは、トランプ政権のシリア攻撃と北朝鮮の核・ミサイル開発への対応について伺いたいと思います。シリアで化学兵器と見られる攻撃で多くの犠牲者が出たと報じられる中、アメリカのトランプ政権はシリアへのミサイル攻撃を行いました。化学兵器の使用は、誰によるものであれ、断じて許されません。国際社会が一致協力して化学兵器使用の真相を突きとめ、使用した者に厳しい対処を行い二度と使わせない、この取り組みが必要です。問題は、国連の場で真相を究明しようと議論しているさなかにアメリカが一方的にシリアへの攻撃を行ったことにあります。総理は、アメリカの行動を受けて、理解、支持を表明されました。しかし、国連憲章では武力行使は原則禁止されております。例外的に武力行使が認められるのは、自衛権の行使か、安保理決議に基づく制裁の場合だけです。総理、今回のアメリカのシリア攻撃はこのどちらに当てはまるんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 国際法上の解釈であろうと思うわけでございますが、いわば武力行使を行ったのは日本ではないわけでございますので、米国の説明を待ちたい、このように思っております。
○宮本(徹)委員 極めて無責任な説明ですね。国連憲章では武力行使が原則禁止されていますよ。では、アメリカが武力行使をしていいという安保理決議は、岸田外務大臣、ありますか、今回の問題で。
○岸田国務大臣 まず、安保理決議は存在しません。あと、武力行使については、国連憲章五十一条と七章の集団安全保障がありますが、五十一条の場合は国連への報告が義務づけられています。今現在、報告が行われたとは承知しておりません。
○宮本(徹)委員 ないということですよ。安保理決議もない、そして国連に対しての報告もない。アメリカに聞くまでもなく、国際法違反というのは明々白々なんじゃないですか。総理はこの間、トランプ大統領と電話会談をされておりますが、トランプ大統領に対して国際法上の根拠をただしたんですか。
○安倍内閣総理大臣 今回の米国の攻撃については、従来から御説明をさせていただいているわけでございますが、米国が化学兵器の拡散そして使用を断じて許さないという、この米国の決意に対して我々は支持をしたところでございます。そしてまた同時に、今回の措置についてはこれ以上の事態の悪化を防ぐためのものであり、我々は理解をすると申し上げているところでございます。そして、国際法上どうなのかということにつきましては、まさに今外務大臣から御説明させていただいたとおりでございまして、国連に対して報告をするのは米国でございまして、日本は米国の説明を待ちたいという立場でございます。
○宮本(徹)委員 つまり、ずっと待っているだけで、トランプ大統領とせっかく電話されたわけでしょう、国際法上の根拠なく武力行使はしちゃいけないんですよと、そういうことをただすこともされなかったんですか。
○安倍内閣総理大臣 現在、東アジアについても安全保障環境が大変厳しさを増していることは御承知のとおりでございまして、北朝鮮が累次にわたるミサイル発射そしてまた核兵器の能力を確保するための実験を繰り返しているわけでございます。そして、化学兵器についても相当量を既に保有しているのではないか、こういう状況がある中において、化学兵器を含む大量破壊兵器の脅威が深刻さを増す中において、国際秩序の維持と同盟国を初め世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを高く評価しているところでございます。いわば、我が国の安全を守る、そして国民の生命と財産を守るためには我々は何をなすべきかということを真剣に考えなければならないわけでございまして、その中において、コミットメントを我々は高く評価したところでございます。我々は評論家ではないわけでありますから、やはり国民の命を守るという大きな責任を私も政府として背負っている中において、米国のこのコミットメントを我々は高く評価しているところでございます。一方、この法的根拠等々につきましては、先ほど来答弁しているとおりでございます。
○宮本(徹)委員 つまり、総理はいつも、法の支配、法の支配、こういうことを強調されるわけですよね。しかし、アメリカが軍事行動をする際には法の支配というのはどうでもいい、これが総理のとっている姿勢ということになりますよ。私は、国際法違反の軍事行動を認めていけば、化学兵器使用というこの国際人道法違反をただしていく足場も失っていくことになることを厳しく指摘しておきたいというふうに思います。この問題とかかわって、次にお伺いしたいのは北朝鮮の問題であります。アメリカのティラソン国務長官が、テレビのインタビューで、シリアに対するミサイル攻撃から北朝鮮が受け取るメッセージは何かと問われて、国際規範や合意に違反し、約束を実行できず、他国への脅威となるならば、いずれの段階で対抗措置がとられるだろうというメッセージだと述べたということでございます。軍事行動も辞さないと、公然たる軍事的威嚇なわけです。これに対して、昨日、北朝鮮は弾道ミサイルの発射というさらなる挑発行為に出るということになりました。まさにチキンレースになってきているのではないか。軍事的対抗がこのままいけばどんどんエスカレートして、最悪の場合は戦争という事態にもなりかねない大変危うい状況だと私たちは考えております。きょうの報道を見ていましても、トランプ政権の高官の方は、きのうのミサイル発射が核実験だったら別の行動をとったというような報道もされているわけですよね。しかし、絶対にこの地域で戦争という道に進んでいってはならないですし、絶対に戦争を起こしてはならないというふうに思います。そこで、総理に改めて、北朝鮮の核・ミサイル開発問題の原則的な解決方向について確認をしたいと思います。北朝鮮の核・ミサイル開発は、安保理決議違反、日朝平壌宣言違反であり、断じて許されません。これに対して、この間、国連では、核・ミサイル開発を断念させるために、安保理決議で経済制裁の措置を強化してまいりました。そして、中国も安保理決議に沿って、石炭の輸入を二月から年末まで停止するということを決定いたしました。安保理決議では、平和的、外交的かつ政治的解決、これを何度も確認してきたわけです。しかし、先制攻撃というやり方がとられれば、この間の平和的解決を目指してきた国際社会の努力が無になってしまうというふうに思います。総理に改めて確認したいと思いますが、今重要なことは、国際社会が結束して経済制裁の厳格な実施、強化を行う、そして外交交渉の中で朝鮮半島の非核化を目指す、平和的解決を目指す、このことなんじゃないでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 これは、宮本委員、確かにおっしゃるとおりなんですよ。おっしゃるとおりなんですけれども、実際そのことを国際社会で実行させるためにどうすればいいかということを真剣に考えているわけであります。残念ながら、我々が北朝鮮に対してあるべき姿を説いて、わかりました、そうしますということにはならなかったんですよ、二十数年間。私もずっとこの問題に向き合っておりますが、何回もこちらが善意を示して、彼らも善意を示すかもしれないと考え、我々がいわば一方的に彼らに対してさまざまお米の支援等をしたこともありましたが、残念ながらその答えがほとんどゼロあるいはマイナスだったことは事実であります。つまり、あくまでも行動対行動において対応していくと同時に、やはり圧力をかけなければ残念ながら彼らは話し合いの場に出てこないのも事実でございます。思い出していただきたいんですが、小泉総理が初めて訪朝しました、あの年の初めに何が起こったかということをよく考えていただきたいと思うんです。当時のブッシュ政権が北朝鮮に対して悪の枢軸と、いわば北朝鮮を名指ししたわけであります。その中で北朝鮮が対応を変えていき、日本との対話を求めてきたのは事実でございます。そういう中において、今回、トランプ大統領が戦略的忍耐からあらゆる選択肢がテーブルの上にあるという形で北朝鮮にさらなる圧力をかけていることを我々は評価しているわけでございますが、同時に、外交交渉によって問題が解決されることが望ましいことは言うまでもないわけであります。北朝鮮は、核、ミサイル問題に関するこれまでの安保理決議を累次にわたり無視してきており、我が国としては、北朝鮮がこのような姿勢を改める上で、米国や韓国と緊密に連携しつつ、中国に対し、さらに大きな役割を果たすよう働きかけを行っていきます。同時に、北朝鮮に対し、韓国、米国、中国、ロシアなどの関係国と緊密に連携し、さらなる挑発行動を自制し、安保理決議を即時かつ完全に履行し、核・弾道ミサイル計画を放棄するよう強く求めていく考えでございます。
○宮本(徹)委員 圧力をかけないと対話に応じない、それはそのとおりですよ。問題は、どう圧力をかけるのかということだと思うんですよね。この間、国際社会は、日本政府も提案して、経済制裁をより強化しよう、中国を含めて厳格に実施しよう、こういう方向で圧力をかけてきたわけでありますよ。それとトランプ政権が今やろうとしている圧力は全く違いますよ、軍事的威嚇ですよ。場合によっては軍事行動も辞さない、こうなればお互いにチキンレースになっていって本当に戦争になりかねない、私たちはそのことを危惧しているわけです。きょう、総理に確認したいことがあるんですね。総理は、この間、トランプ大統領から、あらゆる選択肢がテーブルの上にあると何度も伝えられてきたと。外務省のホームページにもあります。そして、総理はトランプ大統領の姿勢を評価されているわけですが、あらゆる選択肢がテーブルの上にある、軍事的選択肢も含めてある、こう伝えられて総理は何とおっしゃったんですか。北朝鮮への先制攻撃というオプションはだめですよと、これをはっきりおっしゃったんですか。
○安倍内閣総理大臣 今、宮本委員は経済制裁が当然のことであるようにおっしゃっているんだけれども、しかし、経済制裁をすべきだと私が申し上げた当時、二十年前、多くの人たちが、共産党を含めて皆さん懐疑的だったじゃないですか。あのときは、経済制裁をすれば相手を刺激して戦争に至るということで随分私は非難されましたよ。でも、それはそうではなかったことが今既に明らかになっているということは申し上げておきたい、こう思う次第でございます。今、宮本さんではなくて別の方から、共産党の方からやじが飛んでおりますが、私は、今までの経緯について、ずっとこの問題について対応しておりますから、事実を申し上げているわけでございます。そこで、北朝鮮については、十五日の軍事パレードにおいては新型ミサイルと推定されるものを含め七種類の弾道ミサイルを公開し、十六日には弾道ミサイルの発射を試みるなど軍事力を誇示していますが、外交努力を通じて平和を守ることが重要であることは言うまでもないわけでありまして、同時に、対話のための対話では意味がないわけであります。北朝鮮が問題の解決に向け真剣に応じるよう、圧力をかけていくことが必要であります。そのことを私たちは今までの北朝鮮の対応から見て学ばなければならないんですよ。それは、建前を述べるのは結構ですけれども、残念ながらそれでは北朝鮮が動いてこなかったのは事実でございます。どうやって北朝鮮を動かすかということを今までの経験から学ばなければならないわけでありまして、今回、いわば戦略的忍耐を持って我々が対応してきた中において、金正日委員長は二十発の弾道ミサイルの発射を行ったわけでありまして、父親が長い任期の中で行った弾道ミサイルの発射よりも多くの弾道ミサイルを既に発射し、かつ能力を向上させているというのが残念ながら冷厳なる事実でございます。彼らに時間を稼がせてその能力を向上させればもっと危機の水準が高まっていくわけでありますから、その中において、より大きな圧力をかけていく。当然、中国もこの危機を十分に認識していただき圧力をかけていただくことが大切であって、どのように中国も含めて国際社会が圧力をかけていくかということが重要であろうと考えるわけでございまして、その中において、トランプ政権はこれまでの戦略的忍耐という考え方はとらないことを明らかにしており、全ての選択肢がテーブルの上にあるという考え方に立って問題に対処しているということを我が国としては評価しているところでございます。
○宮本(徹)委員 我が党は、経済制裁については、先ほど穀田さんからのやじもありましたように、賛成をしてきております。その上で、先ほどの話を聞けば、あらゆる選択肢だということを言われて、評価する、評価するということを言っているわけですけれども、評価するということを言えば、先制攻撃を認めるという話になっていくじゃないですか。私、もし先制攻撃ということになれば取り返しのつかない事態になるというふうに思いますよ。総理に思い起こしていただきたいことがあります。一九九四年、私はまだ学生でしたが、アメリカが北朝鮮の核施設への先制攻撃を検討し、戦争の一歩手前まで行ったことがありました。そのとき、当時の韓国の金泳三大統領が、おびただしい犠牲が出るとクリントン大統領を説得いたしました。金泳三元大統領の回顧録にはこうあります。電話してきたクリントン大統領を厳しく追及した、自分が大統領でいる限り韓半島を戦場にすることは絶対にだめだ、北は即時、休戦ラインから南の主要都市を一斉に砲撃するだろう、こう書いてあります。一方のクリントン氏の回想録を読むとこう書いてあります。もし軍事攻撃に踏み切った場合、甚大な犠牲者が双方に出るという厳しい予測も三週間前に報告されていた。このときは、カーター元大統領が訪朝して危機は回避されるということになりました。このときの経緯、総理もこうした経緯は御存じですよね。
○安倍内閣総理大臣 先ほど、経済制裁については、二〇〇四年に私たちが経済制裁を可能にする法律をつくるべきだということを申し上げたときには、共産党はそういう態度ではなかったんですよ。その後、この法律ができて実際に制裁を行う中においては皆さんは賛成しているかもしれませんが、しかし当時はそうではなかったのは事実ということをはっきりと申し上げておきたい、このように思います。そして、朝鮮半島の危機、アメリカはクリントン政権であったわけでございますが、カーター大統領が行って、その後、事実上KEDOの合意に至ったわけでございます。KEDOの合意に至った、しかし、同時に、日本は一千億円お金を出しましたよね。小さな十メガワットの黒鉛減速炉をやめさせて、しかし、そのかわりにいわば軽水炉型の大型のちゃんとした原子力発電所をつくりますよと、我々は一千億円出して、韓国は三千億円お金を出して、それができるまでアメリカが、五十万トンだったかな、毎年毎年重油を提供する、こういう合意をしたんですよ。でも、その合意をした当初から実は彼らは、ウランの精製を行うということ、遠心分離機を購入してウラン型の核兵器をつくるということを始めたわけでありまして、そうしたら、それがその後明らかになって事実上KEDO合意は終わるわけでありますが、日本は一千億円の負担、事実上全部ではありませんが、相当多くを出したのも事実であります。ですから、これが果たして本当によかったかどうかということも十分に考えなければならないわけでありまして、国際社会を欺いて、彼らは数個の原子爆弾になるウランの精製、あるいはプルトニウム型のものを手に入れていたのも事実であります。こういう実態も、残念ながらそう美しい物語では終わっていないんですよ、そうなったということも、この現実も共産党の皆さんにも直視をしていただきたい。ですから、彼らにやめさせるためには何をすればいいかということと私たちは真剣に向き合わなければいけないということでございます。
○宮本(徹)委員 二〇〇四年のお話をされましたけれども、私たちは、制裁のための制裁じゃだめだ、対話に持ち込むための制裁が必要だということをその時点では主張したわけですよ。さらに、アメリカが今本当に先制攻撃をすればどうなるのかということです。アメリカのカーター前国防長官、安倍総理もお会いだと思いますけれども、最近のテレビのインタビューでこうおっしゃっています。米国が北朝鮮を先制攻撃すれば北朝鮮は韓国を攻撃するだろう、その戦争は朝鮮戦争以来見たこともない極めて破壊的なものになるだろう、こう警告されているわけですよ。総理は、アメリカが先制攻撃を行えば韓国そして我が国にもおびただしい犠牲が出る、こういう認識はお持ちじゃないんですか。私は、総理がやるべきは、トランプ政権に対して、軍事的選択肢、先制攻撃という選択肢は絶対だめだと、このことを説得することだと思いますよ。どうですか。
○安倍内閣総理大臣 戦争はもちろんあってはならない、外交的な努力によっても問題を解決しなければならないのは当然のことであります。だからこそ、宮本さん、北朝鮮に対して国際社会が一致してこんなことはやめろと強く言わなければならないのであって、アメリカにおまえらはやめろと言うことでは私はないんだろうと思います。まず北朝鮮がしっかりとこうした行動をやめなければ北朝鮮の未来はないんだということを国際社会が一致協力して示していくべきだろう、このように考えております。
○宮本(徹)委員 北朝鮮に対して国際社会が一致してやめろと言う、当たり前の話ですよ。そのために、この間、国際社会は経済制裁を強化している、安保理決議も採択してきたわけですよ。そして、今、中国も巻き込んでさらに制裁を強化して外交的解決を目指そうということで、国際社会は努力しなきゃいけないときなんですよ。そのときにアメリカが軍事攻撃をやったら、これはまさにおびただしい犠牲を生み出す、もう大変な事態になるわけであります。総理がやるべきは外交解決のためのイニシアチブを発揮することであって、そして、トランプ大統領に軍事的選択肢は絶対とってはならないと、このことを説得すべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。