5月13日 決算行政監視委員会 住宅セーフティーネット 家賃低廉化制度の改善を

 5月13日、衆院決算行政監視委員会で、家賃低廉化など民間住宅を活用した新たな住宅セーフティーネット制度の活用が進んでいないとして、早急な改善を求めました。

 2017年10月から民間賃貸住宅を活用した新たな住宅セーフティーネット制度がスタートしました。制度は3本柱からなりますが、制度ははじめからつまづいている状況です。

 1、低所得者、高齢者など要配慮者の入居をこばまない住宅の登録制度
国土交通省の目標は、毎年5万戸づつ増やし2020年までに17万5000戸です。
ところが、到達は、2019年4月15日現在、8352戸にとどまります。

 2、登録住宅に対する家賃低廉化などの補助制度
家賃低廉化の補助は国と自治体が2分の1づつ負担して最大4万円の家賃低廉化をおこなうものです。ところが、制度の具体化にふみだした自治体は少数、制度をつくった自治体でも大家さんに敬遠されており実績(2019年5月時点)は次のとおりです。
家賃低廉化の補助 予算化自治体23  補助戸数 49戸  補助総額 1030万4100円(うち国負担約500万)
家賃債務保証料低廉化の補助  補助個数 16戸  補助総額 69万1950円
住宅改修への補助 国の直接補助143戸、7331万5000円
国費+地方の補助 18戸、1642万円
合計161戸     8973万5000円
公営住宅を補完するものとして、重層的な住宅セーフティーネットをつくると制度開始前、石井大臣は私に答弁していましたが、実際はこのセーフティーネットは全国見渡してもほとんどはられていません。
2017年でいえば概算要求で家賃低廉化の予算として半年分3億円を求めていました。3年前に国会で規模が小さすぎると私は批判しましたが、年間で500万円の補助というのは国の想定の100分の1も使われていないのです。

 3、配慮者への入居支援、入居支援をおこなう団体への補助
居住支援法人は203団体のうち、123団体に、3億2123万7380円の補助

 なぜ使われないのか。基礎的自治体にも家賃低廉化の負担をさせることが、基礎的自治体の手があがらない原因です。少なくとも、国と都道府県の負担にするなど基礎的自治体の負担を減らさないと広がりません。
 また、制度を導入した自治体にうかがうと、大家さんは、この制度では、礼金や更新料がとれないというデメリットから敬遠しているという話です。墨田区では成約した場合は大家さんい5万円の補助をはじめました。大家さんにとってのデメリットを上回る、メリットをつくらないと活用はすすみません。
さらに、入居要件でも、全国一律で月収15万8千円以下の世帯と、公営住宅より厳しい基準です。ひとり親で候家賃負担で苦しみながら子供の教育費を捻出している多くの家庭でもこの要件ではつかえないと声があがっています。

 私は、すみやかに改善にむけての検討をすすめ、来年度予算で改善されるよう求めました。。

 石井国土交通大臣は「住生活基本計画改定に向けた議論を今年夏に開始する。その中で検討したい」と答弁しました。

≪2019年5月13日 第198回衆院決算行政監視委員会第2号 議事録 該当部分抜粋≫

○海江田委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、住宅施策についてお伺いしたいと思います。大変、東京は家賃が高いわけですが、都営住宅の応募も、倍率も数十倍というのが続いております。それで、二〇一七年は新たな住宅セーフティーネット制度が始まった年です。公営住宅に加え、新たに民間賃貸住宅を活用した仕組みがつくられました。制度が始まる前に私、石井大臣にも質問したことがございますが、その際、石井大臣は、重層的な住宅セーフティーネットをつくると答弁されておりました。どうだったのか。この制度、三本柱です。一つは、所得の少ない人やお年寄りらの入居を拒まない住宅の登録制度。現状を伺いたいと思いますが、目標に照らして、現在の登録住宅の戸数、うち入居の戸数というのはどうなっていますか。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。平成二十九年十月二十五日に、先ほどの新たな住宅セーフティーネット制度が開始をいたしました。目標としては、二〇二〇年度末までに十七万五千戸の登録を目標にしているところでございますが、制度開始から約一年半たちましたことしの四月十五日現在で、登録数が八千三百五十二戸、受け付け審査中のものを合わせますと一万一千二十六戸という状況でございます。
○宮本委員 十七万五千戸の目標に照らして、今、八千三百五十二戸と。これは、都道府県を見ましたら、大阪が五千四百九戸で突出して多いわけですね。これは、大半はソフトバンク系の会社が雇用促進住宅を買い取って、国に働きかけられて登録住宅にしたということです。大阪以外は、大半の県が数戸から数十戸ということになっております。制度の二つ目の柱は、登録住宅に対して家賃を最大四万円引き下げる家賃低廉化の補助、それから家賃債務保証料低廉化の補助、それからあとはバリアフリー改修などの住宅改修補助があります。この補助の予算額と、あと補助の実績、紹介していただけますか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。まず、平成三十年度におきましては、改修の補助について、社会資本整備交付金等の内数及びスマートウェルネス住宅等推進事業費三百五億円の内数でございます。また、家賃低廉化及び家賃債務保証低廉化の補助につきましては、公的賃貸住宅家賃対策調整補助金、百一億九千四百万円の内数となっております。この中で、地方公共団体の予算要望を踏まえた措置を行っているところでございます。また、平成三十年度におきます三十一年三月時点での実績の見込みにつきましては、改修の補助については二十二の公共団体で補助制度が設けられておりまして、十八戸、約一千六百万円の見込みのほか、国による直接補助によりまして百四十三戸、約七千三百万円の見込みとなっております。また、家賃低廉化の部分につきましては、二十三の公共団体で補助制度が設けられておりまして、四十九戸、約一千万円の見込みでございます。また、家賃債務の保証料の低廉化補助につきましては、十七の公共団体で補助制度が設けられておりまして、十六戸、約七十万円の見込みとなっているところでございます。
○宮本委員 今、数字の紹介があったとおりなんですよね。セーフティーネットといった場合は家賃を引き下げるというのが非常に大事だと思うんですが、全国でわずか四十九戸と。石井大臣、重層的なセーフティーネットという中で、ネットなんてどこにもほとんど張られていないというのが今の現状じゃないかというふうに思います。補助額も、今、一千万程度と。これは国と地方と合わせた補助額ですから、折半ですから、国が出している支出は、家賃低廉化については年間五百万円。三年前、私が国会で質問したときに、概算要求額の紹介が政府からありました。二〇一七年度は半年分、十月からスタートですから三億円と言っていました。恐らく年間では六億円規模を想定していたということなんですね。それも私は少ないという質問をした覚えがありますが、その六億円規模どころか、実際ふたをあけたら、国の支出は五百万円しか使われていない制度ということになっているわけです。余りにも制度設計がうまくいっていないんじゃないかと思わざるを得ません。それから三つ目の柱が、入居支援を行うということで、居住支援法人のうち居住支援活動への補助を受けている法人数と、あと補助の総額、紹介していただけますか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。居住支援法人のうち、補助を受けておりますのは、四月十五日現在で、二百四の法人のうちの百二十三でございます。また、その金額につきましては約三億二千百万円となっているところでございます。
○宮本委員 それで、その登録住宅、先ほど八千三百五十二戸とありましたけれども、これはホームページをつくって公開してあるんですね。セーフティネット住宅情報システムとあります。この利用状況と運営費用も教えていただけますか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。セーフティネット住宅情報提供システムは平成二十九年十月から運用しております。本システムの利用状況につきましては、平時のアクセス数で月平均が二万五千件程度となっております。また、本システムの改修、運用に係ります年間の運営費用につきましては、平成三十年度の実績で約三千万円となっているところでございます。
○宮本委員 この運営費用というのはシステムの作成費用も含めてということですか、三千万というのは。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。運営費用につきましては、システムの作成、改修に要した費用と管理運営費用がまざったものでございます。
○宮本委員 家賃補助は、五百万円やるのに三千万円かけてシステムをつくってやっているという話ですけれども。大臣、重層的なセーフティーネットをこれでつくっていくんだというのがもともとの大臣の決意だったというふうに思いますが、今のこの登録戸数の現状、とりわけ家賃低廉化補助制度の活用状況の現状について大臣はどう評価されて、この補助制度が活用されていない原因がどこにあるとお考えでしょうか。
○石井国務大臣 セーフティーネット住宅につきましては、高齢者、障害者、子育て世帯、低額所得者等の住宅確保要配慮者の居住の安定の確保を図る上で重要な取組であり、今後も積極的に推進していくべきものと考えております。現段階ではまだ十分に普及している状況にはないことから、まずは登録戸数をふやしていくことが肝要であり、あわせて、家賃低廉化補助等の取組を広めていきたいと考えております。セーフティーネット住宅の登録が進まない原因としましては、制度の周知がいまだ不十分であること、賃貸人に登録の手間や手数料等の負担があることなどが考えられるところでございます。
○宮本委員 もっとちゃんと原因を分析された方がいいと思うんですが。まず、そもそも、この家賃低廉化では手を挙げている自治体が極めて少ないわけですよね。先ほど二十三公共団体という話がありましたけれども、都県が入っていますので、基礎的自治体でいえば二十、一千七百二十四自治体中二十というのが現状です。なぜ、自治体が手を挙げるところが少ないのか。これは、この家賃低廉化の負担が、国と地方自治体の負担が二分の一ずつということになっているわけですね。基礎的自治体の財政力に極めて左右されるわけです。ですから、国の負担をもっとふやす、あるいは、国と都府県の負担を基本にするというようなこともやらないと、基礎的自治体が財政力の差がある中で手を挙げていくということになかなかならないんじゃないかと思います。それから、自治体が手を挙げても大家さんが手を挙げないわけです。制度をつくった自治体は、不動産屋さんや、あるいは大家さんを一生懸命回って、この制度を活用してほしいという説明をしております。自治体からお話を伺いましたけれども、大家さんからは、デメリットがあるから嫌だという反応が大変多いという話を伺っております。先ほど大臣からは、登録が大変だとか手数料があるという話がありましたけれども、それだけではなくて、礼金や更新料が取れなくなる、こういう問題もあるわけです。ちなみに、墨田区は、制度をつくったけれどもなかなか進まないので、新たに、成約したら五万円を大家さんに出すという仕組みもつくったという話も聞きました。とにかく、大家さんがデメリットばかりだったら進むわけがないわけでして、デメリットをなくしてメリットをどうつくっていくのか、この改善が私はどうしても必要だと思います。それから、もう一つは、入居者の側からしたら、この入居者の要件が厳しいわけです。全国一律月収十五万八千円までということになっています。公営住宅よりも厳しいわけですね。東京の都営住宅でいえば、例えば、高校までの子供がいれば月の所得基準は二十一万四千円です。それに比べても厳しいわけですよね、この住宅セーフティーネットの基準は。シングルマザーで、高校、大学と教育費を頑張って出して、かつかつでやっているような方が、これでは、本当に高家賃で苦しんでいるけれども、今の制度では救われないということになります。ですから、この収入基準も、少なくとも公営住宅並みにするだとか、こういうことも私は必要だというふうに思います。先ほど大臣も積極的に推進していかなきゃいけない施策だということをおっしゃいましたが、やはり制度設計を、本当にこれでいいのかと、徹底的に、自治体からも聞き取りを行い、不動産屋からも聞き取りを行い、至急改善策を打ち出すべきだと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 住宅セーフティーネット制度に関しましては、これまでも制度の運用実態や事業者団体の要望、地方公共団体の意見等を踏まえながら、制度の改善に努めてきているところでございます。今後、令和三年三月に見込まれます住生活基本計画の全国計画の改定に向けた議論を開始いたしますので、この検討の中で、学識経験者や事業者団体の代表等が参画をしました審議会の場におきまして、新たな住宅セーフティーネット制度の一層の推進方策につきましても議論をしていただきたいと考えております。
○宮本委員 住生活基本計画ですか、その見直しは先ですよね、さっきの大臣のお話でしたら。これだけ使われていないという実態があるわけですから、それを待たずに、とれるべき改善策はとる必要があるんじゃないでしょうか。
○石井国務大臣 これまでも、運用の実態や事業者団体の要望、地方公共団体の御意見等は伺っているところでありますが、先ほど申し上げました住生活基本計画の全国計画の改定に向けた議論は、ことしの夏から議論を開始する予定でございますので、その中でもしっかりと御議論をいただきたいというふうに考えています。
○宮本委員 夏から議論を開始するということで、並行的に、基本計画をまとめるという議論だけじゃなくて、来年度の予算ではこれがちゃんともっと、家賃低廉化が大家さんにも使われる、自治体も手を挙げる、そして本当に困っている方が救われる制度になるように、大臣のイニシアチブを発揮していただくことを強く求めておきたいというふうに思います。それとあわせて、根本的には公営住宅を供給するというのも必要だと思うんです。新しく建てるというのが大変だったら、借り上げ公営住宅という方法もありますし、あるいはUR住宅を低廉な賃貸住宅として供給するというのもあります。さらには、今、大家さんに補助をして家賃を下げてもらうというやり方をしてもらっていますけれども、入居者本人への家賃補助制度というのも考えられるというふうに思いますが、そういう根本的な家賃引下げ政策といいますか、住宅に困っている、高家賃で困っている方々を手助けする政策をつくっていくべきだと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 これまでの我が国の住宅セーフティーネットにつきましては、その根幹としての公営住宅を始め、UR住宅など公的賃貸住宅の供給を図るなど、社会経済情勢の変化に対応いたしましてその機能を強化してきております。具体的には、地方公共団体による公営住宅が約二百十六万戸管理されているほか、都市再生機構や地方住宅供給公社による賃貸住宅が約八十五万戸供給されているなど、住宅セーフティーネットとしての機能を強化してきたところであります。これらに加えまして、民間の空き家、空き室を活用し、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や改修及び家賃低廉化等の支援を行う住宅セーフティーネット制度の推進により、重層的な住宅セーフティーネットの機能の一層の強化を図ってまいりたいと思っております。また、広く入居者本人への家賃補助を行うことにつきましては、これまでも国会等において御議論されてきたところでありますが、財政負担が際限なく増大するのではないか、市場家賃の上昇を招く懸念はないか、適正な運営のための大規模な事務処理体制が必要ではないかなどの課題がございまして、慎重な検討が必要と考えております。
○宮本委員 財政負担が際限なく広がるんじゃないかという懸念から、財政負担ができるだけ広がらない制度に今回の制度としてしたんだというようにしか聞こえないわけですよね。六億円を見込みながら五百万円しか使われない。やはり根本的に、本当に制度設計を見直していかなきゃいけないと思います。それで、もう一点だけ確認しておきたいと思いますが、この住生活基本計画を決めるに当たっていろいろな検討会を開くということですが、この制度についての調査を行うという話も聞いていますが、これは、どこが委託を受けて、幾らで行うんでしょうか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。今年度の予算におきまして、セーフティー住宅の効果的な供給を促進するための各支援制度の活用などに関する実態、効果などについて、公共団体や不動産関係団体などに対して調査、検証を行いますとともに、公的賃貸住宅等の供給方針や住宅確保要配慮者の実態等の地域の実情、課題を踏まえた活用方策の検討を行い、地方公共団体へ周知することを目的として、予算を三千万円ほど組んでおりますが、調査を行う予定でございます。四月二十六日に企画競争の有識者委員会におきまして特定をさせていただいたところでございますが、まだ、決裁、通知がまだでございますので、固有名詞につきましては、ちょっとこの中で御勘弁いただければと思います。
○宮本委員 大手コンサルが委託を受けるという話を聞いておりますけれども、三千万円で今の制度がいかに使われていないのか、どう改変するのかを調べるという話なんですよね。こんなところに、委託して三千万円もかけて、実際の制度は五百万円しか使われていないんですよ。私が自治体から聞いた話だけでも、課題というのは次から次へと、どこを改善しなきゃいけないか、見えてくるわけですよね。ですから、本当にお金の使い方がどうなっているのかなということは、改めて苦言を呈しておきたいと思います。その上で、もう一点、違うテーマに行きますが、公営住宅の応募率が大変高い中で、国交省は、二〇〇五年に入居承継に係る承認の厳格化という通知を出しております。もともと、法令では、名義人が死亡した場合は、同居人が収入要件などを満たしていれば引き続き住むことができるとなっておりますが、この通知では、「入居承継が認められる者は、原則として、現に同居している配偶者及び高齢者、障害者等で特に居住の安定を図る必要がある者とするものとする。」こうされました。東京の場合は、これを受けて、原則、配偶者、高齢者、障害者、病弱者に限りました。結果、何が起きただろうかということなんですね。頼る方がいない方が、入居承継できずに、団地の目の前の公園でホームレスになる。あるいはまた、親御さんの年金で生活していたある女性の方は、アパートも借りることができず、やむを得ず六十代の姉夫婦のところに居候をお願いして、させてもらうことになる。新たな住宅困窮者を生む事態になっております。大臣にお伺いしたいんですけれども、国の入居承継の厳格化の通知というのは、こういうことまで求めたものなんでしょうか。
○石井国務大臣 公営住宅法上、入居者が死亡等の場合、その同居者が一定の要件を満たすことを条件に、公営住宅を管理する地方公共団体の承認を受けて入居承継をすることが可能であります。しかしながら、その運用について、長年にわたり同一親族が居住をし続け、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なっているという実態があったことから、平成十七年の社会資本整備審議会答申におきまして、公営住宅が真にそれを必要とする住宅困窮者に適切に供給されるよう、入居承継の範囲の厳格化を図るべきとされたところであります。これを受けまして、国土交通省としましては、入居承継が認められる者については、「原則として、現に同居している配偶者及び高齢者、障害者等で特に居住の安定を図る必要がある者とする」旨を平成十七年十二月に通知したところであります。この通知では、配偶者、高齢者、障害者のみに限定したものではなく、例えば同居していた者が病気にかかっているなど、引き続き居住の安定を図る特別な事情があると事業主体である地方公共団体が判断した場合には、入居承継の承認をしていただくことも可能でありまして、この旨を公営住宅管理の手引に記載するとともに、公営住宅担当者会議等の場を通じて周知をしてきているところでございます。
○宮本委員 ですから、新たな住宅困窮者を生むようなことは求めていないということでよろしいわけですね。
○石井国務大臣 今、答弁申し上げたところでありますが、原則として、現に同居している配偶者及び高齢者、障害者等で特に居住の安定の必要がある者とする旨を通知しておりますけれども、引き続き居住の安定を図る特別な事情があると事業主体である地方公共団体が判断した場合には、入居承継の承認をしていただくことも可能であります。
○宮本委員 いや、もともと公営住宅法の精神というのは、居住の安定を図るというのが大目的だというふうに思いますので、自治体がこういう範囲で判断してくれればいいという話じゃなくて、やはり入居の安定を図ることが大事だ、そういう答弁ができないとおかしいですよ。もう一点、お伺いします。都市再生機構法二十五条四に基づく家賃の減免についてお伺いします。UR住宅の居住者の高齢化が進み、とりわけ、お二人で年金生活していたのがお一人になると、家賃負担が余りに重く、極めて厳しい生活を送られている方が少なくありません。機構法二十五条四には、「居住者が高齢者、身体障害者その他の特に居住の安定を図る必要がある者でこれらの規定による家賃を支払うことが困難であると認められるものである場合」は、「家賃を減免することができる。」とあります。この二十五条四項に基づく減免制度を居住者に実施してほしいという声が大きく上がり、全国の自治体からも意見書が次々上がっている状況です。大臣にお伺いしますが、これまで何自治体から意見書が国に届けられ、そして、その意見書についての大臣の受けとめはどうでしょうか。
○石井国務大臣 都市再生機構法第二十五条第四項に基づくUR賃貸住宅の家賃減免の実施に関しまして、地方公共団体から国土交通大臣に対する意見書は、昨年度及び今年度に三十三団体からいただきました。これらの意見書は、各地域のUR賃貸住宅の居住者の高齢化や所得の低下等を踏まえ、居住者の居住の安定を確保する等の観点から、URによる家賃の減免の実施等を求めているものであります。UR賃貸住宅は、高齢者や子育て世帯など、民間市場で入居を拒まれるなどの制約を受けがちな弱い立場の方の受皿として住宅セーフティーネットの役割を果たすことが求められておりまして、法第二十五条第四項の趣旨にのっとり、適切な家賃減額措置を講じていくことが重要と考えております。
○宮本委員 ですけれども、二十五条四に基づく適切な減額措置をやることが重要だと大臣は答弁されましたけれども、意見書が次から次へと上がっているのは、適切な減免措置がやられていないんですよね、これ。今住んでいる人じゃなくて、新しく入居募集する際の家賃減額制度はあるわけです、割引制度みたいなのが。家賃を割引するから入ってきてくださいという制度はありますが、現に住んでいる方が、年金が、二人暮らしからひとり暮らしになって、これではとても家賃を払って生活していくのは困難だ、こういう状況になった方について、家賃を引き下げる制度というのはないわけです。大臣にお伺いしますが、都市機構法二十五条四項の「居住者」とは、現にUR住宅に居住している人ですよね。居住していない人じゃないですよね。
○石井国務大臣 都市再生機構法第二十五条第四項の「居住者」は、UR賃貸住宅に現に居住されている方と、新たに入居される方の両方を含んでおります。現に居住されている方に対しましては、例えば、家賃改定によって家賃が引上げとなる場合に、収入が一定額以下の高齢者世帯等を対象に、引上げ後の家賃から引上げ前の家賃の額まで減額を行っております。また、新たに入居される方に対しましては、例えば高齢者向け優良賃貸住宅や健康寿命サポート住宅に居住しようとする世帯のうち、収入が一定額以下の世帯等を対象に家賃減額措置を講じているところであります。国といたしましても、こうした家賃減額を行うURに対して支援を行っているところでありまして、今後とも、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
○宮本委員 いや、引上げ前の額に減額するって、それは減額と言わないんです。家賃を引き上げた後に引上げ前の額に減額というのは、それは据置きと言うんじゃないですか。一円も下がっていないわけですよ。現に名目額で下げているのは、一円も、どこでもやられていないわけですよ。だから、居住者から、法律にあるのに何でやってくれないんですかという声が上がるわけですよ。これ、今、国会の議事録を、私、質問するに当たって見ましたら、与党の方からもたくさん質問が出ているじゃないですか。公明党の方からも質問が出ていましたよ。何で与党からも声が出ているのに、法律に書いてあることすらやらないんですか。法律がありながら法律を運用されていないというのは、私、法治主義にもとると思いますよ。これはちゃんと、先ほど、この「居住者」が、現に住んでいる人も入るという話なんですから、当然、現に住んでいる人が実際に家賃が減額される仕組みをつくって、高齢者の方が救われるようにすべきだということを強く申し上げて、次の質問に移りたいと思います。